説明

平面型光波回路

【課題】高い偏波消光比を維持したまま、大きな反射減衰量を確保する。
【解決手段】基板上のクラッド層に埋め込まれた少なくとも1本以上の導波路コアを切断するように形成された溝に、複屈折を有する波長板が挿入された平面型光波回路において、前記導波路コアから前記波長板の入射面に対して斜めに入力光を入射し、前記波長板の光学軸は、前記波長板の入射面に平行であり、前記基板平面と前記波長板の入射面を含む平面との交線と、前記波長板の光学軸とのなす角が、45+α(α≠0)度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型光波回路に関し、より詳細には、偏波依存性の無い平面型光波回路に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信技術の進展に伴い、光信号を電気信号に変換することなく、光信号を直接処理する光部品の開発が益々重要となっている。中でも、平面基板上に集積された平面型光波回路は、量産性に優れ、低コスト、高い信頼性などの優れた特徴をもっている。代表的な光部品として、例えば、アレイ導波路回折格子、マッハツェンダ干渉計、ラティス回路、偏波合成器回路等がある。
【0003】
平面型光波回路の基本的な作製方法としては、標準的なフォトグラフィー法、エッチング法、FHD(Flame Hydrolysis Deposition)法等のガラス堆積技術が用いられる。製作手順は、最初に、基板上にアンダークラッド層を堆積し、クラッド層より屈折率の高いコア層をさらに堆積する。コア層に所望の導波路パターンを形成し、その後、コア層をオーバークラッド層で埋め込む。平面型光波回路における信号光は、埋め込まれた導波路コアで形成された導波路内に閉じ込められて伝搬する。
【0004】
このような平面型光波回路には、伝播光の偏波を制御するために波長板が多く使われる。波長板とは、複屈折材料を用いて作られ、光の偏波間に遅延(リタデーション)を与える素子である。複屈折材料を伝搬する光は、光の電界振幅の方向により、伝播速度が異なる。光の伝播方向に垂直な面において、伝播速度の速い速軸と伝播速度の遅い遅軸とが存在し、互いに90度の角をなす。遅軸に平行な電界を有する光は、速軸に平行な電界を有する光に比べて遅延する。特に、この遅延を、伝播光の波長の半分に設定された複屈折材料を半波長板と呼び、1波長の1/4の場合に1/4波長板と呼ぶ。平面型光波回路内に設置する波長板の遅延量と軸方向を制御することにより、伝播光の偏波状態を変化させることができる。
【0005】
平面型光波回路における波長板の代表的な使用方法は、干渉回路内に半波長板を設置して、干渉特性の偏波依存性を解消するために用いる(例えば、特許文献1参照)。図1を参照して、従来のマッハツェンダ干渉計を説明する。マッハツェンダ干渉計は、光方向性結合器からなる2つの光カプラを用いる。光カプラ7には、入力導波路1,2とアーム導波路5,6とを接続し、光カプラ8には、アーム導波路5,6と出力導波路3,4とを接続する(図1(a))。
【0006】
一例として、入力導波路1から出力導波路4への透過特性を図1(b)に示す。一般的な平面型光波回路の導波路には複屈折が存在するので、入射する光の偏波により、透過特性が異なる。特に、水平偏波(平面型光波回路の基板平面に平行な偏波)の光と垂直偏波(平面型光波回路の基板平面に垂直な偏波)の光を入射した場合に、透過特性の差が最大となる。これは、導波路が複屈折を持つため、水平偏波の光が感じる屈折率と、垂直偏波の光が感じる屈折率が、異なっているからである。この透過特性の偏波依存性は、通信用のデバイスとして使用する場合、デバイス特性の劣化の原因となる。
【0007】
そこで、図2(a)に示すように、アーム導波路5,6の中間に45度半波長板9を挿入し、干渉回路の中央で水平偏波と垂直偏波を入れ替える。半波長板の速軸または遅軸を、平面型光波回路の基板平面方向に対し45度に傾けて設置することにより、アーム導波路5,6を伝播する水平偏波を垂直偏波に、垂直偏波を水平偏波に入れ替えることができる。なお、基板平面(水平)方向に対し、速軸または遅軸が45度となるように設置され、遅延量が入射光の波長の半分に相当する波長板を45度半波長板と呼ぶ。干渉計回路の中央で偏波が変換され、水平偏波と垂直偏波間が入れ替わるので、干渉回路の偏波依存性を解消することができる。その結果、マッハツェンダ干渉計の透過特性に偏波依存性は発生せず、図2(b)に示すように、透過スペクトルは、水平偏波と垂直偏波の双方で一致する。
【0008】
図3に、従来のラティス回路を示す。図2(a)に示したマッハツェンダ干渉計を、多段に接続した構成である。各々のマッハツェンダ干渉計に、45度半波長板9a〜9cが挿入され、偏波依存性を解消している。
【0009】
図4に、従来の波長合分波器を示す。入力導波路11に接続されたスラブ導波路12と、複数の出力導波路15に接続されたスラブ導波路14との間に、複数のアレー導波路13が接続されている。アレー導波路13の中央および出力側のスラブ導波路14に45度半波長板19a,19bが挿入され、偏波依存性を解消している。このように、平面型光波回路内に45度半波長板を設置することにより、偏波依存性の解消、伝播光の偏波変換が可能となる。
【0010】
また、45度1/4波長板は、基板平面(水平)方向に対し、速軸または遅軸が45度となるように設置され、遅延量が入射光の波長の1/4に相当する波長板である。45度1/4波長板は、光信号の偏波を円偏波から直線偏波に、または、直線偏波から円偏波に入れ替えるために用いられる。以降、基板平面(水平)方向に対し、速軸または遅軸が45度となるように設置された波長板のことを、特に45度波長板と呼び、遅延量は限定しない。
【0011】
しかしながら、波長板は、一般的に導波路と異なる材料により構成されるため、反射戻り光が発生するという問題があった。波長板の材料は、水晶、BBO(β-BaB24)結晶、延伸ポリイミドフィルム等の高複屈折材料である。波長板の屈折率と導波路の屈折率とが異なるため反射が発生し、入射光の方向に反射光が伝搬して戻るため、平面型光波回路の伝播特性を劣化させてしまう。光通信用のデバイスは、反射戻り光を極力小さくする必要がある。反射を生ずる箇所が複数あると、通信システムの伝送特性が著しく劣化するからである。デバイスに要求される反射戻り光強度は、通信システムの設計により異なるが、一般的なシステムでは全体として、反射減衰量を40〜50dB以上にする必要がある。
【0012】
図5に、従来の波長板の設置方法の第1例を示す。図5(a)は上面図であり、図5(b)は断面図である。基板21上のクラッド層22に、パターン化された導波路コア23が形成されている。平面型光波回路の上面から導波路コア23を切断するように、基板21に向かって垂直に挿入溝24が形成されている。挿入溝24には、波長板25が挿入されている。この方法では、導波路コア23と空気の界面、空気と波長板25の界面で反射が発生し、反射光が入射側の導波路に戻ってしまう。例えば、石英系ガラス導波路にポリイミド系材料の波長板を挿入する場合、空気による導波路と波長板のギャップを極力少なくなるようにしても、全体として−10〜−20dB程度の反射が発生する。
【0013】
図6に、従来の波長板の設置方法の第2例を示す。図6(a)は上面図であり、図6(b)は断面図である。導波路コア23を波長板25の入射平面に対してθx度傾けることにより、導波路コア23からの伝播光を斜めに波長板25に入射し、反射光が導波路コア23に結合することを防ぐ。屈折率の異なる界面での反射現象自体を防ぐことはできないが、反射光が導波路コア23に結合し、反射戻り光として伝播することを防ぐことができる。導波路コア23と波長板25の角度θxを適切に調整することにより、一般的な通信システムに要求される40〜50dB以上の反射減推量を確保することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0014】
図7に、従来の波長板の設置方法の第3例を示す。図7(a)は上面図であり、図7(b)は断面図である。挿入溝24を基板平面に対してθx度傾けることにより、導波路コア23からの伝播光を斜めに波長板25に入射し、反射光が導波路コア23に結合することを防ぐ。図6の構成と同様の原理であり、40〜50dB以上の反射減推量を確保することができる。
【0015】
以上に説明したように、平面型光波回路に波長板を配置する場合、波長板の入射平面に対し斜めに光が入射できる構造を採用することにより、反射戻り光を抑制でき、反射減衰量が大きな平面型光波回路を実現することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第2614365号公報
【特許文献2】特許第3429277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、図6、図7に示した従来の方法では、45度波長板の偏波消光比が劣化し、平面型光波回路の偏波特性が劣化するという問題があった。偏波消光比とは、波長板の性能を示す指標であり、波長板により偏波変換された光の強度と、偏波変換されずに残留した光の強度との比である。以降、波長板により所望の偏波状態に変換され伝搬する光を「偏波変換光」と呼び、所望の偏波状態に変換されず残留して伝搬する光を「残留偏波光」と呼ぶ。式で表現すると、
偏波消光比=−10log(残留偏波光の強度/偏波変換光の強度)[dB]
となる。偏波消光比が高いと、残留偏波光の強度が小さいことを意味し、効率的な偏波変換が実現されていることを示す。すなわち、波長板の動作がより理想的であり、性能が高いことを示している。
【0018】
図8に、45度半波長板32に光を入射した場合の、偏波変換光と残留偏波光を模式的に示す。入射光として、水平偏波の光を、導波路コア31を介して45度半波長板に入射した場合、垂直偏波に変換される。このとき、偏波変換光とは、導波路コア31からの出射光のうち垂直偏波の光のことである。45度半波長板32により垂直偏波に変換されず、水平偏波のまま導波路コア31から出射される光が残留偏波光である。一般的に、45度半波長板の膜厚誤差、複屈折の誤差、屈折率主軸が45度からずれた場合等の製造誤差が発生した場合、残留偏波光が増加し、偏波消光比が劣化、すなわち低くなる。
【0019】
平面型光波回路を偏波無依存化するためには、この残留偏波光の存在が問題となる。わずかな残留偏波光でも、波長板の性能は大きく劣化し、偏波多重用通信システム用デバイスに平面型光波回路を応用する場合、信号の品質劣化を招く。また、平面型光波回路を偏波無依存化するために45度波長板を用いた場合、偏波依存性が完全に解消されない。以下にこの問題について説明する。
【0020】
図9に、45度波長板の反射減衰量、偏波変換光および残留偏波光の強度、偏波消光比の入射角依存性を示す。ここで、入射角θinとは、45度波長板の法線と、光の進行方向とがなす角である。図9(a)に示すように、45度波長板に対し、入射角θinを増加させると反射減衰量が増加し、反射光を抑制することができる。一方、入射角θinが増加すると、偏波変換光の強度が減少し、不要な残留偏波光の強度が増加する(図9(b))。結果的には、45度波長板の偏波消光比が劣化する(図9(c))。
【0021】
図10に、従来の波長板の設置方法の第4例を示す。図10(a)は上面図であり、図10(b)は断面図である。挿入溝24を基板平面に対してθx度傾けることにより、導波路コア23からの伝播光を斜めに45度半波長板25に入射させる。45度半波長板25は、挿入溝24に挿入され、固定材料26で固定されている。通常、導波路コア23、45度半波長板25、および固定材料26は、異なる材料により構成される。例えば、平面型光波回路は、石英系ガラス、窒化シリコン、Si、半導体等である。45度半波長板25は、有機系材料、水晶等の結晶である。また、固定材料26は、取り扱いのよさから樹脂等が用いられる。ここでは、平面型光波回路は石英系ガラス、波長板はポリイミド材料、固定材料は接着性樹脂として説明する。
【0022】
まず、反射光について考える。導波路コア23を伝搬してきた光は、石英系ガラス→樹脂→ポリイミド材料→樹脂→石英系ガラスと5種類の異なる材料を透過する。このとき、異なる材料の間の屈折率差により反射が発生する。45度半波長板25への光の入射角を、0度より大きく設定した場合、異なる材料の間の界面における反射は、入射光の進行方向とは異なる方向に反射する。このため、異なる材料の間の界面で発生する反射光は、入射側の導波路に結合せず、反射減衰量が大きくなる。入射角を大きくすれば、反射減衰量は大きくなる。
【0023】
一方、透過光に着目すると、透過光は異なる材料の間の界面で屈折し、伝搬方向が変化する。45度半波長板25の中を透過する光の伝搬方向は、挿入溝24の設置角度θxと屈折により決定される。45度半波長板25は、入射角が0度のとき、理想的な動作をする。しかしながら、図10に示したように、入射角を0度より大きく設定した場合、45度半波長板25の中を伝播する光が感じる光学軸の角度は、45度からずれる。この場合、45度半波長板25による所望の偏波変換動作が行われず、偏波変換効率が下がる。残留偏波光が増加することによって、偏波消光比が劣化する。従って、入射角を大きくすると、偏波消光比が劣化する。
【0024】
なお、その他にも、45度半波長板への入射角を0度より大きくした場合、伝搬光の感じる45度半波長板の複屈折率変動、斜め伝搬による伝搬距離の増加、45度半波長板の膜厚方向の屈折率の影響等により偏波消光比の劣化を招く。
【0025】
以上のように、45度半波長板に斜めに光が入射した場合、45度半波長板自体の変化はなくとも、光の感じる様々な45度半波長板の特性が変化する。ここでは、45度半波長板に斜めに光が入射した時の偏波消光比劣化を説明したが、22.5度半波長板、45度1/4波長板など、他の波長板においても同様な現象が発生し、偏波消光比劣化を招く。
【0026】
従来技術では、入射光の入射角を0度より大きくすることにより反射減衰量を確保していた。しかしながら、導波路と波長板平面のなす角を0度より大きくすればするほど、上述したように偏波消光比は劣化する。逆に、導波路と波長板平面のなす角を小さくすると、波長板の偏波消光比は高くなるが、反射減衰量が劣化する。つまり、「反射減衰量」と「偏波消光比」とはトレードオフの関係にあり、両者をともに大きな値にすることは困難であった。
【0027】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、平面型光波回路に配置する波長板において、簡便な方法により、高い偏波消光比を維持したまま、大きな反射減衰量を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、このような目的を達成するために、基板上のクラッド層に埋め込まれた少なくとも1本以上の導波路コアを切断するように形成された溝に、複屈折を有する波長板が挿入された平面型光波回路において、前記導波路コアから前記波長板の入射面に対して斜めに入力光を入射し、前記波長板の光学軸は、前記波長板の入射面に平行であり、前記基板平面と前記波長板の入射面を含む平面との交線と、前記波長板の光学軸とのなす角が、45+α(α≠0)度であることを特徴とする。
【0029】
前記基板平面と前記溝の底面とが平行であり、前記半波長板の底辺と前記半波長板の光学軸とのなす角を45+α度とすることもできる。
【0030】
前記基板平面と前記溝の底面とのなす角がα度であり、前記半波長板の底辺と前記半波長板の光学軸とのなす角を45+α度とすることもできる。
【0031】
前記基板平面と前記半波長板の入射面を含む平面との交線と、前記溝の底面と前記半波長板の入射面を含む平面との交線とのなす角がα度であり、前記半波長板の底辺と前記半波長板の光学軸とのなす角を45度とすることもできる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、平面型光波回路に配置する波長板において、使用する波長板の光学軸をα度をずらしておくにことより、高い偏波消光比を維持したまま、大きな反射減衰量を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来のマッハツェンダ干渉計の動作原理を説明するための図である。
【図2】従来の波長板付きマッハツェンダ干渉計の動作原理を説明するための図である。
【図3】従来のラティス回路の構成を示す図である。
【図4】従来の波長合分波器の構成を示す図である。
【図5】従来の波長板の設置方法の第1例を示す図である。
【図6】従来の波長板の設置方法の第2例を示す図である。
【図7】従来の波長板の設置方法の第3例を示す図である。
【図8】偏波変換光と残留偏波光とを説明するための図である。
【図9】反射減衰量、偏波変換光および残留偏波光の強度、偏波消光比の入射角依存性を示す図である。
【図10】従来の波長板の設置方法の第4例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかる波長板の入射角依存性を示す図である。
【図12】従来の45度半波長板と本発明の一実施形態にかかる(45+α)度半波長板との比較を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態にかかる(45+α)度半波長板の作製方法を示す図である。
【図14】具体的なαの値を示す図である。
【図15】波長板の光学軸を設定する方法を説明するための図である。
【図16】従来例と本発明の実施例1とを偏波消光比により比較した図である。
【図17】(45+α)度半波長板のαの値と偏波消光比との関係を示す図である。
【図18】波長板への入射角が変化したときの偏波消光波長の変化を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態にかかる波長板の設置方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
上述したように、反射減衰量を十分に確保できる入射角となるように45度波長板を平面型光波回路に配置した場合、偏波消光比が劣化する。このとき、複数回の屈折、屈折率主軸の角度ずれ、膜厚方向の屈折率の影響等の様々な現象により偏波消光比の劣化を招く。そこで、これらの複合的な変化を「波長板軸の仮想角度ずれ」として考える。「波長板軸の仮想角度ずれ」とは、波長板に光を斜めに入射した時の実際の角度ずれではなく、複合的な特性変化を、波長板の面(平面)内における波長板の速軸(遅軸)の回転的な角度ずれとして、仮想的に置き換えたものである。波長板に光を斜めに入射した時の角度ずれは、3次元的な角度ずれであり、波長板の面(平面)内と、その面に垂直な軸とにより作られる空間において生ずる。従って、仮想的な角度ずれと実際の角度ずれとは、必ずしも一致しない。
【0035】
ここで、「波長板軸の仮想角度ずれ」について詳しく説明する。波長板の入射面に光を垂直に入射した時、入射方向に垂直な面と、波長板の屈折率楕円体との交差部は、楕円となり、長軸および短軸を有する。波長板に光を斜めに入射した時、入射方向に垂直な面と屈折率楕円とにより形成される楕円は、垂直に入射した時に較べて傾き、それぞれの長軸方向およびそれぞれの短軸方向は、ある角度をなす。この角度が「波長板軸の仮想角度ずれ」であり、屈折率楕円体を用いて求めることができる。入射角が0度でない場合、波長板の特性劣化量を「波長板軸の仮想角度ずれ」として置き換えられることがわかった。
【0036】
そこで、使用する波長板の光学軸を、入射角度に応じて発生する「波長板軸の仮想角度ずれ」を補償するように、あらかじめ角度をずらしておく。これにより、平面型光波回路に波長板を配置した場合に、理想的な波長板の動作を実現することができる。例えば、図10に示したように、基板平面に対してθx度傾けた挿入溝24に、45度半波長板25を挿入した場合、「波長板軸の仮想角度ずれ」をαとすると、(45+α)度半波長板を用いればよい。45度半波長板と同一の波長板を用いて、速軸または遅軸と基板平面(水平)方向とがなす角を、(45+α)度になるように、波長板を回転させればよい。これにより、偏波消光比の劣化を招くことなく、反射減衰量を大きく確保でき、かつ、波長板は45度半波長板として機能する。
【0037】
図11に、本発明の一実施形態にかかる波長板の入射角依存性を示す。図11(a)に示すように、(45+α)度半波長板に対し、入射角を増加させると反射減衰量が増加する。これは、図9(a)に示した従来の波長板と同様である。一方、入射角が増加すると、偏波変換光の強度は最大値、残留偏波光の強度は最低値となるピークが存在する(図11(b))。その結果、偏波消光比も最大値となるピークが存在する(図11(c))。すなわち、設定した入射角θxになった場合に、偏波消光比は最大となる。この場合の偏波消光比は、45度半波長板に光を垂直に入射したとき(入射角=0度)の理想的な偏波消光比よりも多少劣化するが、十分に大きな偏波消光比が得られる。
【0038】
図12に、従来の45度半波長板と(45+α)度半波長板との比較を示す。平面型光波回路に入斜角θxで配置した場合の、それぞれの反射減衰量と偏波消光比を示す。本発明の一実施形態にかかる構成では、従来の高い反射減衰量を維持したまま(図12(a))、高い偏波消光比を実現することができる(図12(b))。
【0039】
本発明の一実施形態は、非常に簡便に実現できるところも利点である。なぜなら、通常の45度半波長板の作製時に使用する基板材料(フィルム材料)を、光学軸を45度から少しずらした角度で切断すればよいからである。通常の45度半波長板は、面内に光学軸(通常は遅軸)を有している基板またはフィルム(図13(a))を、基板平面(水平)方向に対する光学軸の角度θWPが45度になるように切断する(図13(b))。従って、(45+α)度半波長板の作製は、同じ材料を用いて、光学軸がθWP=(45+α)度になるようにカットすればよい(以下、実施例1,2参照)。また、通常の45度半波長板をそのまま使用し、平面型光波回路に設けた波長板設置溝の角度を基板に水平な方向からα度余分に傾けることにより、見た目上(45+α)度にすることもできる(以下、実施例3参照)。
【0040】
図14に、具体的なαの値を示す。αの値としては、平面型光波回路を構成する導波路の屈折率、波長板の屈折率および複屈折、入射角等で決定される。図の実線は、入射角θxに対する最適なαの値を示す。波長板の3次元屈折率楕円体を考慮し、導波路からの出射光が半波長板に入射する角度を求め、その角度において半波長板内を伝搬する光の感じる遅延量(リタデーション)と実効的な光学軸を計算することにより、半波長板の消光比を計算することができる。図14には、半波長板の消光比が最大となるαの計算値が、実線によりプロットされている。一方、実線の上にプロットされている黒丸は、図17を参照して後述するように、入射角θxが決まった場合に、偏波消光比が最大となるαの実験値である。計算値と実験値とが、よく一致しているのが分かる。
【0041】
図14の点線は、上述の方法により半波長板の消光比を計算し、従来と同じ反射減衰量を確保でき、従来より偏波消光比が向上するαの理論的上限値を示している。点線の上にプロットされている白丸は、図17を参照して後述するように、従来と同じ反射減衰量を確保でき、従来より偏波消光比が向上するαを実験的に求めた上限値を示している。
【0042】
一般的に、石英系のガラス導波路を用いた場合、反射減衰量を40dB以上確保するために必要な入射角θxは5度以上であり、作製の容易さを考慮すると16度以下程度が望ましい。このとき、偏波消光比を従来よりも向上させるためには、αの値は、0より大きく9度より小さい範囲となる。さらに、最適なαの値としては、入射角によって変化するが、0.5度より大きく5度より小さい範囲が最適である。
【0043】
実際の波長板の作製方法を説明する。例えば、フッ素化ポリイミド樹脂で作製する場合、フッ素化ポリイミドフィルムを高温下で1方向に延伸する。延伸方向に有機鎖が配向することで屈折率が高くなり、複屈折を発現することができる。この配向方向は遅軸方向であり、光学軸となる。また、水晶やBBO結晶等の結晶を用いる場合、結晶方位で決定される光学軸が基板面内に含まれるように、基板化する。材料によらず、光学軸が面内に含まれるような基板もしくはフィルムを用意し、光学軸の方向に合わせて切断する(図13(b)参照)。
【0044】
平面型光波回路に波長板を使用する際、その光学軸の方向の調整は物理的に困難である。従って、波長板を挿入するための挿入溝に挿入した際に、一意に所望の角度に決定させる必要がある。波長板を切断する際の切断形状は自由であるが、少なくとも一辺が直線となるようにし、その一辺に対し光学軸が所望の角度になるように切断する。そして、その一辺が平面型光波回路の挿入溝の底面に接するように配置することにより、平面型光波回路に対し光学軸を所望の角度に設定することができる。最も簡易な方法は、図13(b)に示したように、長方形もしくは台形に切断し、その一辺に対し光学軸が設計した角度θwpを有するように切断する。この辺を平面型光波回路に設けた溝の底面に接するように配置することにより「θwp度波長板」を実現することができる。波長板の遅延量(リタデーション)は、用意した複屈折材料の膜厚と複屈折とにより制御することができる。
【0045】
一方、本実施形態以外の方法で、波長板に斜めに光を入射した時に偏波消光比を高くする方法は、上述したように、波長板を斜めに配置する時に発生する全てのずれ量をあらかじめ計算し、それを反映した波長板を設計・作製することである。しかしながら、これは非常に複雑な波長板の作製技術が必要であり、場合によっては極めて困難である。なぜなら、斜め入射時には波長板の軸が3次元的にずれ、それに合わせて複屈折材料の光学軸を合わせなければならない。
【0046】
図15(a)に示すように、波長板に斜めに光を入射した時、基板平面(水平)方向に対して光学軸が45度になるように、波長板内で3次元的に光学軸調整が必要となる。水晶、BBO結晶等などの結晶性の材料を用いた波長板の場合、3次元的に光学軸を調整するためには、結晶方位と異なる面での加工が必要となる。このことは、波長板の加工性や制御性が非常に悪い。1方向に有機フィルムを延伸した一軸延伸フィルムを用いた波長板の場合、光学軸はフィルムの面内だけに発生するため、図15(c)に示すように、3次元的にフィルム内で光軸が存在するように作製することは、ほとんど不可能である。本実施形態で用いる波長板は、図15(b)に示すように、主軸の角度が波長板面内で、角度αの分だけ異なるのみなので、一般的な複屈折材料を用いることができる。そして、波長板を切り出す際の切断角を調整することにより、容易に実現することができる。
【0047】
このような方法は、平面型光波回路で用いる場合、特に有効となる。複屈折材料に光を斜めに入射すると、複屈折材料の屈折率主軸が、伝播光の進行方向に垂直な平面内に存在しない状態となる。この場合、入射光の偏波成分毎に屈折角が異なり、入射光が分離して伝播する。空間光学系のデバイスの場合、空間を伝播する距離が長くなるため、分離した光を再び1本の光に戻すことは困難である。一方、平面型光波回路の導波路に溝を設け、そこに波長板を挿入する場合、空間を伝播する距離は短くなるため、分離が小さい状態で光は導波路に結合し、1つの伝播光として振舞う。従って、本発明は平面型光波回路において特に有効となる。
【0048】
以上のように、本発明は、平面型光波回路に波長板を設置することにより、非常に簡便に反射減衰量と偏波消光比を共に大きく確保することができる。
【実施例1】
【0049】
平面型光波回路としては、Si基板上に堆積した石英系ガラス導波路を用いる。火炎堆積法により、Si基板上に下部クラッド層およびコア層を堆積し、フォトリソグラフィーおよびエッチングにより、コア層に導波路パターンを形成する。再び火炎堆積法により上部クラッド層を作製する。コア層には、クラッド層と異なり、ゲルマニウムをドープすることにより屈折率を高める。平面型光波回路の上面から、Si基板上のクラッド層に埋め込まれた1または複数の導波路コアを切断するように、Si基板に向かって挿入溝を形成する。図10に示した構成と同様に、挿入溝に波長板を挿入し、樹脂により固定する。波長板は、Si基板の基板平面(水平)方向に平行な面と波長板の入射面を含む平面との交線と、波長板の光学軸とのなす角が45+α(α≠0)度となるように設置される。
【0050】
波長板は、フッ素化ポリイミド樹脂で作製したフィルムを高温下で延伸する。延伸方向に有機鎖が配向することで屈折率が高くなり、複屈折が発現する。この延伸フィルムの延伸方向、すなわち光学軸に対して、切断角を調整して波長板を作成する。実施例1では、波長板の遅延量(リタデーション)を、波長1550nmの光に対し、半波長分に相当する値に設定する。
【0051】
平面型光波回路へ挿入した波長板の特性を評価するために、波長板を固定した平面型光波回路の前後に偏光子を配置し、透過スペクトルを測定した。偏光子の方向を垂直にした場合と平行にした場合の透過率の差から、偏波消光比が測定できる。
【0052】
図16に、従来例と本発明の実施例1とを偏波消光比により比較した図を示す。図16(a)は、図5に示した従来の波長板の設置方法の第1例と同じ構成であり、45度半波長板の角度(入射角)θxを0度に設定した。図16(b)は、図7に示した従来の波長板の設置方法の第3例と同じ構成であり、入射角θxを0より大きい値である8度に設定した。第1例および第3例ともに、使用した波長板は、従来の45度半波長板である。図16(c)は、実施例1の結果であり、図10に示した構成により、入射角θxは8度に設定した。使用した波長板は、46.2度半波長板である。
【0053】
図16(a)を参照すると、入射角0度で45度半波長板を使用しているため、本来の45度半波長板の性能を実現できており、設計波長である1550nm付近の波長において−40dB以上の偏波消光比を実現できている。しかしながら、0度入射による反射の影響が大きく、反射減衰量は20dBと小さく、通信システムに要求される値を満足しない。
【0054】
図16(b)を参照すると、入射角を8度にしているため、反射減衰量が50dBとなり、十分に反射を抑えることができた。しかしながら、入射角を8度にしているため、偏波消光比が劣化している。最も偏波消光比が高い波長においても、20dB程度まで劣化した。
【0055】
実施例1の結果である図16(c)を参照すると、入射角を8度にしているため、反射減衰量は50dBを確保することができ、46.2度半波長板を使用しているため、偏波消光比も図16(a)と同様に十分な値が得られている。このように、非常に単純な方法により、高い反射減衰量と、高い偏波消光比が実現できている。
【0056】
実施例1では、(45+α)度半波長板のαの値を1.2度に設定した。このαの最適値を調べるための実験を行った。図10に示した構成において、入射角θxを0度、4度、11度に設定し、3種類の平面型光波回路を用意した。ここに、αを変化させた(45+α)度半波長板を挿入し、偏波消光比を測定した。
【0057】
図17に、αの値と偏波消光比との関係を示す。横軸はαの値であり、縦軸は設計波長における偏波消光比である。ただし、測定系の精度の限界のため、偏波消光比が43dB以上は測定ができず、値が飽和している。入射角θx=0度の場合、αは0の場合が最も偏波消光比が大きい。これは、45度半波長板に入射光を0度入射して、理想的な使用方法となっているからである。逆に、45度からずらすと、偏波消光比が劣化する。
【0058】
入射角θx=4度のとき、αが0の場合は偏波消光比が劣化し、−19dBとなる。αを大きくしていくと偏波消光比が大きくなり、偏波消光比が改善されていく。αが0.5〜0.7度付近で偏波消光比が最大となり、さらにαを大きくしていくと偏波消光比は劣化する。偏波消光比が向上するのは、αが0より大きく1度以下の場合であり、αの最適値は0.5度以上0.7度以下である。
【0059】
入射角θx=11度のとき、αが0の場合は偏波消光比が5dB程度まで劣化する。αを大きくしていくと偏波消光比が大きくなり、αの最適値は、入射角θx=4度の場合と較べて大きくなる。αの最適値は、おおよそ2度程度である。このようにαの最適値は、入射角で大きく変わるが、入射角が0度より大きい場合、αも0度より大きくすることにより偏波消光比を改善することができる。
【0060】
実施例1では45度半波長板を用いて説明したが、−45度半波長板を作製した場合も同様な効果が得ることができる。この場合も、入射角に応じ最適なαを用い、−(45+α)度半波長板にすることにより本発明の効果を得ることができる。
【0061】
また、αの最適値は異なるが、基板平面(水平)方向に対する光学軸の角度を任意のθwp度(但し0度および90度を除く)の波長板に対しても同様な効果を得ることができる。入射角0度用いた場合に所望の偏波変換動作を実現できるθwp度波長板を平面型光波回路に使用する場合、(θwp+α)度波長板にすれば、0度入射の際と同様な偏波変換動作を入射角が0度より大きい場合でも実現できる。αの最適値は図17と同様な実験により簡単に確かめられる。
【0062】
さらに、図6に示したように、挿入溝を垂直に設けて、基板と平行な平面内で導波路と半波長板とを斜めに交差させる場合でも、(45+α)度半波長板を使用することができる。図6に示した入射角θxに対し、高い偏波消光比が実現できるように、αを設定すればよい。
【実施例2】
【0063】
実施例1では、入射角θxを0度以上にし、αを最適化した(45+α)度半波長板の構成を説明した。ここでは、偏波消光波長が最も大きくなる波長(以下、偏波消光波長という)を微調整する方法を説明する。波長板の材料によっては、入射角θx=0度の時の偏波消光波長と、0度より大きい入射角用にαを最適化した(45+α)度半波長板の偏波消光波長とが、大きく異なる場合がある。
【0064】
図18に、波長板への入射角が変化したときの偏波消光波長の変化を示す。水晶を用いて、(45+α)度半波長板と−(45+α)度半波長板とを作成し、実験を行った。入射角に応じて、偏波消光波長が変化することがわかる。さらに、光学軸(水晶結晶のC軸)の角度が45度と−45度の場合とで、偏波消光波長の変化する方向も変わる。このような偏波消光波長の変化は、所望の波長で半波長板を使用したい場合に問題となる。よって、この偏波消光波長の変化を補償するように、水晶基板(半波長板)の膜厚をあらかじめ制御すればよい。これにより、入射角が変わっても偏波消光波長の変化がなく、所望の波長で高い偏波消光比を実現することができる。
【実施例3】
【0065】
実施例1では波長板の光学軸を調整し、(45+α)度半波長板の説明をした。実施例3では、従来の45度半波長板をそのまま用いて、偏波消光比を劣化させることなく、高い反射減衰量を実現できる構成を説明する。
【0066】
図19に、本発明の一実施形態にかかる波長板の設置方法を示す。図19(a)は上面図であり、図19(b)は断面図であり、図19(c)は側面図である。基板21上のクラッド層22に、パターン化された導波路コア23が形成されている。挿入溝24を基板平面に対してθx度傾けることにより、導波路コア23からの伝播光を斜めに波長板25に入射させる。さらに、光の進行方向から見た挿入溝24の角度を基板平面に対してθy度傾けることにより、波長板の光学軸の方向を調整する。ここでは、θyをαにすると、(45+α)度半波長板を実現することができる。従来と同じ45度半波長板を用い、溝の角度の調整のみで、実施例1と同様の効果を実現することができる。αの設定値は、実施例1と同様となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の光干渉回路は、光通信ネットワークなどに使用される光モジュールに使用することができる。
【符号の説明】
【0068】
21 基板
22 クラッド層
23 導波路コア
24 挿入溝
25 波長板
26 固定材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のクラッド層に埋め込まれた少なくとも1本以上の導波路コアを切断するように形成された溝に、複屈折を有する波長板が挿入された平面型光波回路において、
前記導波路コアから前記波長板の入射面に対して斜めに入力光を入射し、
前記波長板の光学軸は、前記波長板の入射面に平行であり、
前記基板平面と前記波長板の入射面を含む平面との交線と、前記波長板の光学軸とのなす角が、45+α(α≠0)度であることを特徴とする平面型光波回路。
【請求項2】
前記基板平面と前記溝の底面とが平行であり、前記半波長板の底辺と前記半波長板の光学軸とのなす角が45+α度であることを特徴とする請求項1に記載の平面型光波回路。
【請求項3】
前記基板平面と前記溝の底面とのなす角がα度であり、前記半波長板の底辺と前記半波長板の光学軸とのなす角が45+α度であることを特徴とする請求項1に記載の平面型光波回路。
【請求項4】
前記基板平面と前記半波長板の入射面を含む平面との交線と、前記溝の底面と前記半波長板の入射面を含む平面との交線とのなす角がα度であり、前記半波長板の底辺と前記半波長板の光学軸とのなす角が45度であることを特徴とする請求項1に記載の平面型光波回路。
【請求項5】
前記入力光の前記半波長板の入射面への入射角が、5度以上16度以下であり、前記αの値が、0度より大きく9度より小さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の平面型光波回路。
【請求項6】
前記入力光の波長において偏波消光比が最大となるように、前記半波長板の厚さが調整されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の平面型光波回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−232633(P2011−232633A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104073(P2010−104073)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】