広告体
【課題】壁面に培地を備えず軽量且つ簡易な構成とでき、耐久性の向上を図ることが可能な広告体を提供する。
【解決手段】装飾板2と、装飾板に備えられる広告部3と、装飾板の広告部を除く部分を覆うつる性植物4と、装飾板の広告部を除く近傍に配置され、つる性植物を水耕栽培するための培地が収容される栽培槽5と、を備えた広告体。
【解決手段】装飾板2と、装飾板に備えられる広告部3と、装飾板の広告部を除く部分を覆うつる性植物4と、装飾板の広告部を除く近傍に配置され、つる性植物を水耕栽培するための培地が収容される栽培槽5と、を備えた広告体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、セダム類や蘚苔類等の背丈の低い多年草からなる植物によって建築物の壁面等を緑化した広告体が知られている。この広告体では、建築物の壁面に対して、軟質合成樹脂性の遮水シートが貼着され、この遮水シートの上にオレフィン系樹脂の排水マット、ポリエステル製の防根シート及び植生マットが積層されて固定されている。植生マットは、オレフィン系樹脂の合成繊維等を不織布状に堆積して薄層板状に形成した基盤マットの繊維の間隙に、植物を植え込むための培地を摺り込んで充填したものである。そして、この植生マットに播種又は苗播して植物を植生させている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−31300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した広告体では、培地が充填された植生マットを建築物の壁面に固定する必要がある。このため、緑化する壁面の面積が広くなるにつれて多量の培地が必要となり、広告体の壁面にかかる重量が増加する。これによって、広告体自体にかかる負担が大きくなるという問題があった。更に、培地が屋外における風雨に曝されるため、植物を植生させるために十分な耐久性が得られない虞があった。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、壁面に培地を備えず軽量且つ簡易な構成とでき、耐久性の向上を図ることが可能な広告体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための発明は、装飾板と、前記装飾板に備えられる広告部と、前記装飾板の前記広告部を除く部分を覆うつる性植物と、前記装飾板の前記広告部を除く近傍に配置され、前記つる性植物を水耕栽培するための培地が収容される栽培槽と、を備えた広告体である。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、壁面に培地を備えず軽量且つ簡易な構成とでき、耐久性の向上を図ることが可能な広告体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】第1の実施形態にかかる広告体がビルの屋上に設置された場合の外観を示す斜視図である。
【図1B】図1Aに示す広告体において、つる性植物を省略した図である。
【図2】図1Aに示す広告体に備えられる栽培槽を長手方向に沿って切断した場合の部分断面図である。
【図3】図1Aに示す広告体に備えられる栽培装置の循環系統図である。
【図4A】図1Aに示す広告体に備えられる装飾板について、つる性植物及び栽培装置を省略した場合の広告面の一部を示す図である。
【図4B】図4Aに示す装飾板の側面を示す図である。
【図5A】図1Aに示す広告体に備えられる装飾板の広告面の一部を示す図である。
【図5B】図5Aに示す装飾板の側面を示す図である。
【図5C】図5Aに示す装飾板の上面を示す図である。
【図6A】第2の実施形態にかかる広告体がビルの屋上に設置された場合の外観を示す斜視図である。
【図6B】図6Aに示す広告体において、つる性植物を省略した図である。
【図7】図6Aに示す広告体の上面を省略した平面図である。
【図8】図6Aに示す広告体の上面を示す図である。
【図9A】図8に示す広告体の装飾板をa−a’で切断した場合の部分断面図である。
【図9B】図8に示す広告体の装飾板をb−b’で切断した場合の部分断面図である。
【図10A】図6Aに示す広告体の広告面を示す図である。
【図10B】図10Aに示す広告体の裏面側を示す図である。
【図11A】第3の実施形態にかかる広告体の広告面を示す図である。
【図11B】図11Aに示す広告体の側面を示す図である。
【図12】第4の実施形態にかかる広告体の広告面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
===第1の実施形態===
<<<外観構成について>>>
本実施形態にかかる広告体は、例えばビルの屋上に設けられる看板である。そこで、先ず、図1A及び図1Bを参照しつつ、ビルの屋上に設けられた本実施形態にかかる広告体1の外観構成について説明する。尚、図1Aは、広告体1がビルの屋上に設置された場合の外観を示す斜視図である。また、図1Bは、説明の便宜上、図1Aに示す広告体1において、つる性植物4を省略した図である。広告体1は、装飾板2と、広告部3と、つる性植物4と、栽培槽5とを備えている。
【0012】
装飾板2は、例えば矩形状の板部材であり、広告部3及び透明板9等が備えられた広告面2aがビルの屋上に対して直立するように設置されている。装飾板2の上面2bには、広告面2aに沿って複数の栽培槽5が載置されている。また、ビルの屋上における広告面2aの付近には、同広告面2aに沿って複数の栽培槽5が載置されている。尚、装飾板2及びこの装飾板2に備えられる広告部3及び透明板9等の詳細については後述する。
【0013】
栽培槽5は、つる性植物4を水耕栽培するための培地を収容し、つる性植物4を培養するための養分を含んだ培養液を循環させる培養液循環ユニット10と、供給管6及び回収管7を介して接続されている。栽培槽5内の培地に植え込まれたつる性植物4のつるは、栽培槽5に設けられた開口50から栽培槽5の外部へ伸び出て、装飾板2における広告面2aの広告部3を除く部分を覆っている。
【0014】
つる性植物4としては、例えば耐寒性及び耐暑性に優れ、多年生であり、垂下性及び登坂性を有するという観点から、ウコギ科の植物が好適に用いられる。ウコギ科の植物としては、ヘデラ・ヘリックス、ヘデラ・アルジェニシス、ヘデラ・コルシカ、ヘデラ・ハイバニカ等が挙げられる。
【0015】
<<<栽培装置について>>>
以下、栽培槽5、供給管6、回収管7、培養液循環ユニット10を栽培装置と称し、この栽培装置について、図2及び図3を参照しつつ具体的に説明する。尚、図2は、栽培槽5を長手方向に沿って切断した場合の部分断面図である。また、図3は、栽培装置の循環系統図である。
【0016】
栽培装置では、培養液循環ユニット10の後述する培養液タンク11に貯留された培養液が供給管6を介して栽培槽5内の培地に供給される。また、つる性植物4に吸収されずに培地を流れた余剰の培養液が回収管7を介して栽培槽5から排出されて培養液タンク11へ回収される。つまり、栽培装置では、栽培槽5内の培地を流れた培養液が、回収管7、培養液循環ユニット10、供給管6を介して、再び栽培槽5内の培地に供給され、栽培装置の内部を循環している。
【0017】
尚、供給管6及び回収管7は、日光の照射により内部にアオコ等が発生することを防止するため、例えばポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料から形成されている。
【0018】
<栽培槽について>
先ず、図2を参照しつつ、栽培槽5について説明する。栽培槽5は、例えばポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料からなり、上面が開放された直方体状を呈する栽培槽本体51と、栽培槽本体51の上面の開口を上方から覆うように栽培槽本体51に着脱可能に取り付けられる蓋52とから構成されている。
【0019】
栽培槽本体51を構成する短辺側の側板のうち、一方の側板(上流側板51a)には供給口53が形成され、他方の側板(下流側板51b)には排水口54が形成されている。栽培槽本体51は、この供給口53が形成されている上流側板51a側から排水口54が形成されている下流側板51b側に向かって僅かに下り傾斜するように設置されている。
【0020】
栽培槽本体51の内部に収容された培地には、例えば、圧縮成形したピートモス等の透水性素材からなるポット8で育苗されたつる性植物4が、ポット8ごと植え込まれている。これにより、培地につる性植物4を定植する際に、つる性植物4の根を傷めてしまうことを防止できる。また、定植したつる性植物4を培地に徐々に順応させることができる。よって、つる性植物4をより確実に生育することができる。尚、培地には、例えば、栽培槽本体51の長手方向に沿って、複数のつる性植物4が植え込まれている。
【0021】
供給口53は、供給管6の外径と略等しい長さの直径を有する円形状の開口であり、栽培槽本体51に収容された培地の表面よりも上方となる位置に形成されている。この供給口53から栽培槽本体51の内部に挿通される供給管6によって、培地に植え込まれたつる性植物4に培養液が供給される。具体的には、供給口53から栽培槽本体51内に挿通された供給管6は、栽培槽本体51の長手方向に沿って延在し、培地の表面に載置されている。この培地の表面に載置された供給管6の側面には、培養液を噴射させるため噴射口60が長手方向に沿って複数形成されているため、培養液タンク11からから供給管6に送られた培養液が、噴射口60を介して、培地の表面に散水される。散水された培養液が培地の表面から栽培槽本体51内の底面に向かって浸透することで、つる性植物4の根に培養液が供給される。尚、つる性植物4に吸収されずに栽培槽本体51の底面まで落下した余剰の培養液は、栽培槽本体51が前述したように下り傾斜するように設置されているため、下流側板51bに向かって流れる。
【0022】
排水口54は、回収管7の外径と略等しい長さの直径を有する円形状の開口であり、栽培槽本体51の底面側となる位置に形成されている。この排水口54には回収管7が挿通されており、下流側板51bに向かって流れた余剰の培養液は、排水口54から回収管7を介して栽培槽本体51の外部に排出され、培養液タンク11に戻される。
【0023】
蓋52は、栽培槽5を清掃するとき等に栽培槽本体51から取り外される。この蓋52は、栽培槽本体51と対向する面が開放された直方体の箱形状を呈している。そして、装飾板2の上面2bに載置される栽培槽5における蓋52では、長辺側の側板に、つる性植物4のつるを栽培槽5の外へと導くための開口50が形成されている(図1B参照)。また、ビルの屋上の広告面2aの付近に配置される栽培槽5における蓋52では、蓋52の上面に開口50が形成されている(図1B参照)。
【0024】
尚、栽培槽本体51に蓋52を取り付けることで、栽培槽本体51内のつる性植物4や培地等を強風や強雨から保護できる。また、栽培槽本体51内に、藻類の発生原因となる日光や、培養液を希釈する雨水や、雑草の種子及び病原菌等が侵入することを防ぐことができる。更に、培地に供給された培養液が大気中に蒸発してしまうことを抑制できる。よって、つる性植物4をより確実に生育でき、広告体1の耐久性を向上させることができる。
【0025】
<培養液循環ユニットについて>
次に、図3を参照しつつ、培養液循環ユニット10について説明する。培養液循環ユニット10は、培養液タンク11と、ディスクフィルタ12、13と、ヒータ14と、サーモコントローラ15と、吸引口16と、ポンプ17と、電磁弁18と、タイムスイッチ19、培養液生成部20と、紫外線滅菌装置27とを有している。そして、これらの培養液循環ユニット10の構成が箱型フレーム28(図1A、図1B参照)の中に収納されている。
【0026】
ディスクフィルタ12は、栽培槽5から回収管7に流入した余剰の培養液中に、例えば培地の一部等の異物が混入している場合に、培養液中からこの異物を取り除く。ディスクフィルタ12によって異物が取り除かれた培養液は培養液タンク11に排出される。培養液タンク11は、例えばポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料からなり、回収管7からディスクフィルタ12を介して排出された余剰の培養液と、培養液生成部20によって生成された培養液とが収容される。
【0027】
培養液生成部20は、水道水と、つる性植物4を培養するための養分が濃縮された液肥とを混合して培養液を生成する。そして、培養液タンク11に貯留される培養液が所定量よりも減少した場合に、生成した培養液を培養液タンク11へ供給する。この培養液生成部20は、ボールバルブ21と、液肥混入器22と、液肥タンク23と、浮き玉24とを備えている。ボールバルブ21は、上水道の給水管25から液肥混入器22に水道水を引き込むための流路26を開閉する。つまり、ボールバルブ21によって、液肥混入器22に水道水が供給されることを許可又は禁止することができる。
【0028】
液肥混入器22は、水道水と、液肥タンク23に貯留される液肥とを混合して培養液を生成する。この液肥混入器22は、例えば、培養液に対する浮き玉24の浮力を利用して、培養液タンク11内に貯留される培養液の水位が所定の水位となるように、培養液タンク11に培養液を供給する。
【0029】
具体的には、つる性植物4に吸収されること等により培養液が消費され、培養液タンク11内に貯留される培養液の水位が所定の水位よりも低くなると、培養液の表面に浮かぶ浮き玉24の液肥混入器22に対する位置も所定位置より低くなる。これにより、液肥混入器22から培養液タンク11へ培養液が流れ込むようになっている。そして、液肥混入器22から培養液タンク11へ培養液が供給されることで、培養液タンク11内の培養液の水位が上昇し所定の水位に達すると、浮き玉24の液肥混入器22に対する位置も所定位置まで上昇する。これによって、液肥混入器22から培養液タンク11への培養液の供給が停止されるようになっている。液肥タンク23は、例えばポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料からなり、液肥が収容されている。
【0030】
吸引口16は、培養液タンク11内の底面近傍に配置され、ポンプ17が駆動することによって、培養液タンク11から供給管6へ培養液を取り入れる。ポンプ17は、吸引口16を介して供給管6に培養液を取り入れ、この培養液が栽培槽5に送られるように、培養液に圧力を与えてディスクフィルタ13側に送り出す。ディスクフィルタ13は、ポンプ17から送られた培養液に含まれる異物を培養液中から取り除く。
【0031】
紫外線滅菌装置27は、供給管6の途中に設けられ、供給管6を流れる培養液に紫外線を照射することによりつる性植物4の生育に有害な菌を滅菌する。電磁弁18は、紫外線滅菌装置27の下流側に設けられ、タイムスイッチ19の制御に応じて供給管6を開閉する。これによって、栽培槽5に培養液を供給することを許可又は禁止できる。
【0032】
タイムスイッチ19は、栽培槽5に培養液を間欠的に供給するべく、電磁弁18による供給管6の開閉を制御する。タイムスイッチ19による電磁弁18の制御によって、例えば、夏場では、つる性植物4の光合成が盛んに行われる日の出から日没までの間、一時間毎に栽培槽5に培養液を供給するように設定することができる。そして、つる性植物4が光合成を行わない日没後から日の出までの間は、栽培槽5への培養液の供給を停止することができる。一方、冬場では、気温が下がる夜間の時間帯のみ、供給管6や回収管7に培養液を循環させて、培養液が凍結してしまうことを防止することができる。これによって、より確実につる性植物4を生育することができる。
【0033】
ヒータ14は、培養液タンク11の内部に設けられ、サーモコントローラ15の制御に応じて、培養液の温度を上昇させる。サーモコントローラ15は、ヒータ14を制御することで、栽培槽5に供給される培養液がつる性植物4の培養に適した温度となるように、培養液タンク11内の培養液の温度を調整する。
【0034】
<<<装飾板について>>>
次に、図4A、図4B、図5A乃至図5Cを参照しつつ、装飾板2について説明する。尚、図4Aは、装飾板2の広告面2aに備えられた広告部3、透明板9、網材29を示す部分正面図である。図4Bは、装飾板2の広告面2aに備えられた広告部3及び透明板9について、装飾板2の側面2c側から見た側面図である。尚、図4A及び図4Bでは、説明の便宜上、つる性植物4及び栽培装置を省略している。図5Aは、装飾板2の広告面2aの部分正面図である。図5Bは、装飾板2の側面2c側から見た側面図である。図5Cは、装飾板2の上面2b側から見た部分平面図である。尚、図5A乃至図5Cでは、説明の便宜上、供給管6、回収管7、培養液循環ユニット10を省略している。
【0035】
図4A及び図4Bに示すように、装飾板2には、広告面2aから突出するように広告部3が備えられている。広告部3は、広告体1における伝達情報を表示するための部分であり、例えば広告面2aから突出する広告部3の端面3aに文字やロゴマーク等の伝達情報が示されている。尚、広告部3では、端面3a自体を文字やロゴマーク等の形状に形成することで、伝達情報を表示してもよい。また、端面3aに設けられる文字やロゴマークはネオン等の発光体によって形成されていてもよく、広告部3自体がネオン等の発光体によって形成されていてもよい。
【0036】
装飾板2の広告面2aの広告部3を除く部分には、広告面2aに沿って網材29が取り付けられている。広告面2aに取り付けられた網材29において、広告部3に対応する部分には、例えば広告部3の端面3aの面積よりも大きい面積を有する開口29aが夫々形成されている。この開口29aを介して広告部3は広告面2a及び網材29から突出している。この網材29は、栽培槽5の開口50から伸び出ているつる性植物4のつるを支持する。
【0037】
広告部3の端面3aには、透明板9が接着剤やビス等によって取り付けられている。透明板9は例えばアクリル等からなり、端面3aを覆うとともに広告部3の周辺の広告面2aに対向する部分を備える形状の透明な板部材である。
【0038】
ここで、図5A乃至図5Cを参照しつつ、装飾板2の広告面2aにおける広告部3、透明板9(規制部材)、網材29(規制部材)と、つる性植物4との関係について説明する。図5Aに示すように、栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が網材29の網目を伝って垂下及び登坂することで、広告面2aはつる性植物4に覆われる。この際、広告部3は、綱材29の開口29a内に設けられている。これによって、広告部3がつる性植物4によって覆われることを抑制できる。さらに、透明板9の広告面2aに対向する部分によって、つる性植物4は、広告部3の突出方向への移動が規制されている。これによって、例えば、風等に煽られた場合であってもつる性植物4が広告部3の端面3aを覆うことをより確実に抑制できる。また、つる性植物4の枯葉等が飛散することを抑制できる。
【0039】
以上より、広告体1では、栽培装置によって水耕栽培されるつる性植物4が、装飾板2の上側から広告面2aに沿って垂下するとともに装飾板2の下側から広告面2aに沿って登坂することで、広告面2aの広告部3を除く部分をつる性植物4によって覆うことができる。このため、つる性植物4を栽培するための培地を広告面2aに備える必要がない分、広告体1の構造を簡易にできるとともに広告面2aにかかる重量を軽量化できる。また、広告体1では、培地が栽培槽5の内部に収容され。これによって、培地が屋外における風雨に直接曝されることを防止でき、広告体1の耐久性を向上させることができる。さらに、雑草等の種子やつる性植物4の病原菌等が培地に混入することを抑制できるため、つる性植物4をより確実に生育することができる。
【0040】
===第2の実施形態===
<<<外観構成について>>>
本実施形態にかかる広告体は、例えばビルの屋上に設けられる広告塔である。図6A及び図6Bを参照しつつ、ビルの屋上に設けられた本実施形態にかかる広告体100の外観構成について説明する。図6Aは、広告体100がビルの屋上に設置された場合の外観を示す斜視図である。また、図6Bは、説明の便宜上、図6Aに示す広告体100におけるつる性植物4を省略した図である。尚、図6A及び図6Bにおいて、図1A乃至図5Cに示す構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。広告体100は、装飾筐体200と、広告部3と、つる性植物4とを備えている。
【0041】
装飾筐体200は、例えば底面が開口するように、装飾板201a、201b、201cによって形成された筐体である。装飾板201aは、広告部3及び透明板9等が備えられた広告面200aを備えている。装飾板201bは、装飾筐体200の上面200bを備えている。装飾板201cは、装飾筐体200の側面200cを備えている。そして、広告体100では、広告面200aの広告部3を除く部分と、上面200bと、側面200cとがつる性植物4によって覆われている。
【0042】
<<<装飾筐体について>>>
次に、図7、図8、図9A、図9B、図10A、図10Bを参照しつつ、装飾筐体200について説明する。尚、図7は、装飾板201bを取り除いた場合の装飾筐体200の平面図であり、装飾筐体200の内部を示している。図8は、装飾筐体200の装飾板201bの上面200bを示す図である。図9Aは、図8におけるa−a’で切断した場合の装飾板201bと、栽培槽5、つる性植物4、載置棚203bとを示す部分断面図である。図9Bは、図8におけるb−b’で切断した場合の装飾板201bと、栽培槽5と、つる性植物4と、載置棚203bとを示す部分断面図である。図10Aは、装飾板201aの広告面200aを示す図である。図10Bは、装飾板201aの広告面200aの裏面側を示す図である。尚、図7、図9A、図9B、図10Bでは、説明の便宜上、供給管6及び回収管7を省略している。
【0043】
図7に示すように、装飾筐体200の内部には、前述した栽培装置と、例えばビル内の空調に備えられる室外機30等が収容されている。図7及び図10Aに示すように、装飾板201aには、上側及び下側に夫々水平方向に沿って複数の開口202aが形成されている。図7に示すように、装飾板201cについても装飾板201aと同様に、装飾板201cの上側及び下側に夫々水平方向に沿って複数の開口202cが形成されている。また、図8、図9A、図9Bに示すように、装飾板201bには、長手方向と直行する方向の略中央に長手方向に沿って複数の開口202bが形成されている。
【0044】
広告体100では、装飾筐体200の内部に備えられる栽培装置の栽培槽5に植え込まれたつる性植物4が開口202a、202b、202cを介して装飾筐体200の外部に伸び出て、広告面200a、上面200b、側面200cを夫々覆っている。
【0045】
図9A、図9Bに示すように、装飾板201bにおける上面200bの裏面側であって、開口202bの付近には、栽培槽5が載置される載置棚203bを備えている。載置棚203bに載置された栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201bの開口202bから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。尚、装飾板201bの上面200bには、つる性植物4のつるを支持する網材(不図示)が上面200bに沿って配置されていてもよい。開口202bから伸び出たつる性植物4は、例えばこの網材を伝って上面200bを覆っている。
【0046】
図10A及び図10Bに示すように、装飾板201aにおける広告面200aの裏面側であって、装飾板201aの上側の開口202a付近には、栽培槽5が載置される載置棚203aを備えている。この載置棚203aに載置された栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201aの上側の開口202aから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。また、装飾板201aにおける広告面200aの裏面側であって、装飾板201aの下側の開口202a付近のビルの屋上には、栽培槽5が載置されている。この栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201aの下側の開口202aから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。
【0047】
装飾板201aの広告面200aには、前述した広告面2aと同様に、広告部3、透明板9、網材29が備えられている。これによって、装飾板201aの上側の開口202aから伸び出たつる性植物4は、装飾板201aの上側から網材29を伝って垂下する。また、装飾板201aの下側の開口202aから伸び出たつる性植物4は、装飾板201aの下側から網材29を伝って登坂する。この際、前述したように網材29の開口29a及び透明板9の広告面200aに対向する部分によって、つる性植物4が広告部3を覆うことを抑制できる。
【0048】
装飾板201cにおける側面200cの裏面側においても、装飾板201aにおける広告面200aの裏面側と同様に、装飾板201cの上側の開口202cの付近に栽培槽5が載置される載置棚203c(図7参照)を備えている。この載置棚203cに載置された栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201cの上側の開口202cから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。また、装飾板201cにおける側面200cの裏面側であって、装飾板201cの下側の開口202c付近のビルの屋上には、栽培槽5が載置されている。この栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201cの下側の開口202cから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。尚、装飾板201cの側面200cには、つる性植物4のつるを支持する網材(不図示)が側面200cに沿って配置されていてもよい。開口202cから伸び出たつる性植物4は、例えばこの網材を伝って垂下又は登坂し、側面200cを覆っている。
【0049】
以上より、広告体100では、つる性植物4によって広告面200a、上面200b、側面200cが夫々覆われた装飾筐体200の内部に栽培装置及び室外機30が収容されている。これによって、栽培装置や室外機30が夏場の高温及び冬場の低温や、屋外の風雨に直接曝されることを防止できる。このため、栽培装置における培養液タンク11内の培養液や、栽培槽5内のつる性植物4の根等を温度変化から保護することができ、広告体100の耐久性をより向上させること及びつる性植物4をより確実に生育することができる。さらに、培地が栽培槽5及び装飾筐体200の内部に収容され、屋外における風雨に曝されることをより確実に防止できるため、広告体100の耐久性をより一層向上させることができる。また、培地に雑草等の種子やつる性植物4の病原菌等が混入することをより確実に抑制でき、つる性植物4をより確実に生育することができる。
【0050】
また、屋外における温度変化や風雨によって室外機30等にかかる負荷を軽減できる。尚、装飾筐体200内には、室外機30に限らず、給水タンクや変圧器等のビルの屋上等において温度変化や風雨に曝されることが好ましくないものを収容することができる。
【0051】
また、広告体100では、つる性植物4を垂下又は登坂させることで広告面200aの広告部3を除く部分と、上面200bと、側面200cとを覆うことができる。これによって、つる性植物4を栽培するための培地を広告面200a、上面200b、側面200cに備える必要がない分、広告体100の構造を簡易にできるとともに広告面200a、上面200b、側面200cにかかる重量を軽量化できる。よって、広告体100の耐久性をより向上させることができる。
【0052】
===第3の実施形態===
本実施形態にかかる広告体300について、図11A及び図11Bを参照しつつ説明する。図11Aは、広告体300の広告面300aを示す図である。図11Bは、広告体300の側面を示す図である。尚、図11A及び図11Bでは、説明の便宜上、栽培装置及びつる性植物4を省略している。また、図11A及び図11Bにおいて、図1A乃至図10Bに示す構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。広告体300は、前述した広告体1における広告面2aのかわりに広告面300aを備えている。
【0053】
広告面300aは、前述した広告部3のかわりに広告部301を備え、網材29のかわりに網材304を備えている。広告部301は、広告面300aから突出する突出棒302と、突出棒302の端面に対して接着剤やビス等によって取り付けられた表示板303とを備えている。表示板303は、広告体300における伝達情報を表示するための部分であり、例えば文字やロゴマーク等の伝達情報が示されている。尚、表示板303では、表示板303自体を文字やロゴマーク等の形状に形成することで、伝達情報を表示してもよい。網材304は、広告面300aに対して、広告面300aに沿って取り付けられ、栽培槽5の開口50から伸び出ているつる性植物4のつるを支持する。
【0054】
このような広告体300では、表示板303と広告面300aとの間に配置されるつる性植物4は、表示板303によって、同表示板303よりも広告面300aとは反対側へ移動することを規制される。このため、例えば、風等に煽られた場合であってもつる性植物4が表示板303を覆うことを抑制できる。
【0055】
===第4の実施形態===
本実施形態にかかる広告体400について、図12を参照しつつ説明する。尚、図12において、図1A乃至図11Bに示す構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。広告体400は、前述した広告体100における装飾板201aの上側の開口202aから伸び出るつる性植物4と、装飾板201aの下側の開口202aから伸び出るつる性植物4とで異なる色彩の葉を有している。これによって、広告体400では、例えば広告面200aにおいて上側400aと下側400bとで異なる色彩を有することとなり、広告体としてのバリエーションを増やすことができる。
【0056】
尚、装飾板201cの側面200cについても同様に、装飾板201cの上側の開口202cから伸び出るつる性植物4と、装飾板201cの下側の開口202cから伸び出るつる性植物4とで色彩の異なる葉を有していることとしてもよい。
【0057】
また、広告体400では、広告面200aにおける上側と下側とでつる性植物4の葉を異なる色彩とすることに限られない。例えば、隣り合うつる性植物4の葉の色彩を異なるものにしたり、広告面200aの水平方向の中心を境としてつる性植物4の葉の色彩を異なるものとしたり、任意の組み合わせを採用することができる。側面200cについても同様である。
【0058】
===その他の実施形態===
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0059】
前述した広告体1では、装飾板2における広告面2aの広告部3を除く部分をつる性植物4によって覆うこととしたが特にこれに限定されるものではなく、更に、装飾板2における側面2cもつる性植物4によって覆うこととしてもよい。この場合、装飾板2の上面2bに載置される栽培槽5における蓋52の短辺側の側板に開口50を設け、この開口50から伸び出たつる性植物4を垂下させることで装飾板2の側面2cを覆うことができる。また、装飾板2における側面2cに、この側面2cに沿って網材(不図示)を取り付け、装飾板2の上面2bに載置される栽培槽5又はビルの屋上の装飾板2付近に載置される栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4がこの網材を伝うことで側面2cが覆われることとしてもよい。
【0060】
また、前述した広告体1では、装飾板2の上面2bの上と、ビルの屋上の装飾板2付近の両方に栽培槽5を載置することとした。これによって、栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が、装飾板2の上側から広告面2aに沿って垂下するとともに装飾板2の下側から広告面2aに沿って登坂することで、広告面2aの広告部3を除く部分をつる性植物4によって覆うこととした。しかし、特にこれに限定されるものではない。例えば、栽培槽5は、装飾板2の上面2bの上及びビルの屋上の装飾板2付近の少なくとも何れか一方に備えられ、装飾板2の上側から広告面2aに沿って垂下するつる性植物4又は装飾板2の下側から広告面2aに沿って登坂するつる性植物4の少なくとも何れか一方によって広告面2aの広告部3を除く部分が覆われることとしてもよい。これは、広告体100、300、400についても同様であり、栽培槽5は、載置棚203a、203c又はビルの屋上の装飾板201a、201c付近の少なくとも何れか一方に載置されることとしてもよい。
【0061】
また、前述した広告体1、100では、透明板9及び網材29によって、つる性植物4の移動を規制することとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、広告体1、100では、透明板9及び網材29の少なくとも一方を備えることとしてもよい。尚、網材29を備えない場合、広告体1では、つる性植物4が装飾板2の上側から垂下するように、栽培槽5は装飾板2の上面2bに載置されることとする。また、網材29を備えない場合、広告体100では、つる性植物4が装飾板201a、201cの上側から垂下するように、栽培槽5は少なくとも載置棚203a、203cに載置されることとする。
【0062】
また、前述した広告体1では、装飾板2及び網材29を両方備えることとしたが特にこれに限定されるものではなく、例えば、網材29を備えず、装飾板2自体が網材から形成されていることとしてもよい。この場合、更に広告体1を軽量化することができる。これは、広告体100、300、400についても同様であり、網材29、304を備えず、装飾板201a、201b、201c自体が網材から形成されていることとしてもよい。
【0063】
また、前述した広告体1では、装飾板2をビルの屋上に設置される看板としたが、特にこれに限定されるものではない。ビルの壁面自体を装飾板2として、つる性植物4によって覆ってもよい。
【0064】
また、前述した広告体1、100、300、400では、栽培槽5の蓋52に開口50が形成されていることとした。しかし特にこれに限定されるものではなく、例えば、栽培槽本体51に、つる性植物4のつるを栽培槽5の外部へと導くための開口が形成されていてもよい。更に、栽培槽5は、蓋52を備えないこととしてもよい。
【0065】
また、前述した広告体1、100、300、400はビルの屋上に設置されることとしたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば屋内に設置されてもよい。
【0066】
また、前述した広告体100では、広告面200aの広告部3を除く部分と、上面200bと、側面200cとがつる性植物4によって覆われていることとした。しかし、特にこれに限定されるものではなく、少なくとも、広告面200aの広告部3を除く部分がつる性植物4によって覆われていればよい。これは、広告体300、400についても同様である。
【0067】
また、前述した広告体100では、栽培槽5が装飾筐体200の内部に収容されていることとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、栽培槽5は、装飾板201bの上や、ビルの屋上の装飾板201aの広告面200aの下側付近等、装飾板201aの広告部301を除く近傍に配置されていればよい。これは、広告体300、400についても同様である。
【0068】
また、前述した広告体100では、装飾板201a、201b、201cによって、底面が開口する筐体である装飾筐体200が形成されることとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば底面が開口する多面体等、装飾板によって所定の空間を取り囲むことが可能な形状が形成されればよい。
【0069】
また、前述した広告体300は、広告体1における広告面2aのかわりに広告面300aを備えていることとしたが、広告体100における広告面200aのかわりに広告面300aを備えることとしてもよい。
【0070】
また、前述した広告体400では、広告体100における装飾板201aの上側の開口202aから伸び出るつる性植物4と、装飾板201aの下側の開口202aから伸び出るつる性植物4とで異なる色彩の葉を有していることとした。しかし、特にこれに限定されるものではく、広告体1における広告面2aにおいて同様に、装飾板2の上側から垂下するつる性植物4と、装飾板2の下側から登坂するつる性植物4とで色彩の異なる葉を有していることとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1、100、300、400…広告体,2、201a、201b、201c…装飾板,2a、200a、300a…広告面,2b、200b…上面,2c、200c…側面,3、301…広告部,3a…端面,4…つる性植物,5…栽培槽,6…供給管,7…回収管,8…ポット,9…透明板,10…培養液循環ユニット,11…培養液タンク,12、13…ディスクフィルタ,14…ヒータ,15…サーモコントローラ,16…吸引口,17…ポンプ,18…電磁弁,19…タイムスイッチ,20…培養液生成部,21…ボールバルブ,22…液肥混入器,23…液肥タンク,24…浮き玉,25…給水管,26…流路,27…紫外線滅菌装置、28…箱型フレーム,29、304…網材,29a、50、202a、202b、202c…開口,30…室外機,51…栽培槽本体,51a…上流側板,51b…下流側板,52…蓋,53…供給口,54…排水口,60…噴射口,200…装飾筐体,203a、203b、203c…載置棚,302…突出棒,303…表示板,400a…上側,400b…下側
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、セダム類や蘚苔類等の背丈の低い多年草からなる植物によって建築物の壁面等を緑化した広告体が知られている。この広告体では、建築物の壁面に対して、軟質合成樹脂性の遮水シートが貼着され、この遮水シートの上にオレフィン系樹脂の排水マット、ポリエステル製の防根シート及び植生マットが積層されて固定されている。植生マットは、オレフィン系樹脂の合成繊維等を不織布状に堆積して薄層板状に形成した基盤マットの繊維の間隙に、植物を植え込むための培地を摺り込んで充填したものである。そして、この植生マットに播種又は苗播して植物を植生させている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−31300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した広告体では、培地が充填された植生マットを建築物の壁面に固定する必要がある。このため、緑化する壁面の面積が広くなるにつれて多量の培地が必要となり、広告体の壁面にかかる重量が増加する。これによって、広告体自体にかかる負担が大きくなるという問題があった。更に、培地が屋外における風雨に曝されるため、植物を植生させるために十分な耐久性が得られない虞があった。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、壁面に培地を備えず軽量且つ簡易な構成とでき、耐久性の向上を図ることが可能な広告体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための発明は、装飾板と、前記装飾板に備えられる広告部と、前記装飾板の前記広告部を除く部分を覆うつる性植物と、前記装飾板の前記広告部を除く近傍に配置され、前記つる性植物を水耕栽培するための培地が収容される栽培槽と、を備えた広告体である。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、壁面に培地を備えず軽量且つ簡易な構成とでき、耐久性の向上を図ることが可能な広告体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】第1の実施形態にかかる広告体がビルの屋上に設置された場合の外観を示す斜視図である。
【図1B】図1Aに示す広告体において、つる性植物を省略した図である。
【図2】図1Aに示す広告体に備えられる栽培槽を長手方向に沿って切断した場合の部分断面図である。
【図3】図1Aに示す広告体に備えられる栽培装置の循環系統図である。
【図4A】図1Aに示す広告体に備えられる装飾板について、つる性植物及び栽培装置を省略した場合の広告面の一部を示す図である。
【図4B】図4Aに示す装飾板の側面を示す図である。
【図5A】図1Aに示す広告体に備えられる装飾板の広告面の一部を示す図である。
【図5B】図5Aに示す装飾板の側面を示す図である。
【図5C】図5Aに示す装飾板の上面を示す図である。
【図6A】第2の実施形態にかかる広告体がビルの屋上に設置された場合の外観を示す斜視図である。
【図6B】図6Aに示す広告体において、つる性植物を省略した図である。
【図7】図6Aに示す広告体の上面を省略した平面図である。
【図8】図6Aに示す広告体の上面を示す図である。
【図9A】図8に示す広告体の装飾板をa−a’で切断した場合の部分断面図である。
【図9B】図8に示す広告体の装飾板をb−b’で切断した場合の部分断面図である。
【図10A】図6Aに示す広告体の広告面を示す図である。
【図10B】図10Aに示す広告体の裏面側を示す図である。
【図11A】第3の実施形態にかかる広告体の広告面を示す図である。
【図11B】図11Aに示す広告体の側面を示す図である。
【図12】第4の実施形態にかかる広告体の広告面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
===第1の実施形態===
<<<外観構成について>>>
本実施形態にかかる広告体は、例えばビルの屋上に設けられる看板である。そこで、先ず、図1A及び図1Bを参照しつつ、ビルの屋上に設けられた本実施形態にかかる広告体1の外観構成について説明する。尚、図1Aは、広告体1がビルの屋上に設置された場合の外観を示す斜視図である。また、図1Bは、説明の便宜上、図1Aに示す広告体1において、つる性植物4を省略した図である。広告体1は、装飾板2と、広告部3と、つる性植物4と、栽培槽5とを備えている。
【0012】
装飾板2は、例えば矩形状の板部材であり、広告部3及び透明板9等が備えられた広告面2aがビルの屋上に対して直立するように設置されている。装飾板2の上面2bには、広告面2aに沿って複数の栽培槽5が載置されている。また、ビルの屋上における広告面2aの付近には、同広告面2aに沿って複数の栽培槽5が載置されている。尚、装飾板2及びこの装飾板2に備えられる広告部3及び透明板9等の詳細については後述する。
【0013】
栽培槽5は、つる性植物4を水耕栽培するための培地を収容し、つる性植物4を培養するための養分を含んだ培養液を循環させる培養液循環ユニット10と、供給管6及び回収管7を介して接続されている。栽培槽5内の培地に植え込まれたつる性植物4のつるは、栽培槽5に設けられた開口50から栽培槽5の外部へ伸び出て、装飾板2における広告面2aの広告部3を除く部分を覆っている。
【0014】
つる性植物4としては、例えば耐寒性及び耐暑性に優れ、多年生であり、垂下性及び登坂性を有するという観点から、ウコギ科の植物が好適に用いられる。ウコギ科の植物としては、ヘデラ・ヘリックス、ヘデラ・アルジェニシス、ヘデラ・コルシカ、ヘデラ・ハイバニカ等が挙げられる。
【0015】
<<<栽培装置について>>>
以下、栽培槽5、供給管6、回収管7、培養液循環ユニット10を栽培装置と称し、この栽培装置について、図2及び図3を参照しつつ具体的に説明する。尚、図2は、栽培槽5を長手方向に沿って切断した場合の部分断面図である。また、図3は、栽培装置の循環系統図である。
【0016】
栽培装置では、培養液循環ユニット10の後述する培養液タンク11に貯留された培養液が供給管6を介して栽培槽5内の培地に供給される。また、つる性植物4に吸収されずに培地を流れた余剰の培養液が回収管7を介して栽培槽5から排出されて培養液タンク11へ回収される。つまり、栽培装置では、栽培槽5内の培地を流れた培養液が、回収管7、培養液循環ユニット10、供給管6を介して、再び栽培槽5内の培地に供給され、栽培装置の内部を循環している。
【0017】
尚、供給管6及び回収管7は、日光の照射により内部にアオコ等が発生することを防止するため、例えばポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料から形成されている。
【0018】
<栽培槽について>
先ず、図2を参照しつつ、栽培槽5について説明する。栽培槽5は、例えばポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料からなり、上面が開放された直方体状を呈する栽培槽本体51と、栽培槽本体51の上面の開口を上方から覆うように栽培槽本体51に着脱可能に取り付けられる蓋52とから構成されている。
【0019】
栽培槽本体51を構成する短辺側の側板のうち、一方の側板(上流側板51a)には供給口53が形成され、他方の側板(下流側板51b)には排水口54が形成されている。栽培槽本体51は、この供給口53が形成されている上流側板51a側から排水口54が形成されている下流側板51b側に向かって僅かに下り傾斜するように設置されている。
【0020】
栽培槽本体51の内部に収容された培地には、例えば、圧縮成形したピートモス等の透水性素材からなるポット8で育苗されたつる性植物4が、ポット8ごと植え込まれている。これにより、培地につる性植物4を定植する際に、つる性植物4の根を傷めてしまうことを防止できる。また、定植したつる性植物4を培地に徐々に順応させることができる。よって、つる性植物4をより確実に生育することができる。尚、培地には、例えば、栽培槽本体51の長手方向に沿って、複数のつる性植物4が植え込まれている。
【0021】
供給口53は、供給管6の外径と略等しい長さの直径を有する円形状の開口であり、栽培槽本体51に収容された培地の表面よりも上方となる位置に形成されている。この供給口53から栽培槽本体51の内部に挿通される供給管6によって、培地に植え込まれたつる性植物4に培養液が供給される。具体的には、供給口53から栽培槽本体51内に挿通された供給管6は、栽培槽本体51の長手方向に沿って延在し、培地の表面に載置されている。この培地の表面に載置された供給管6の側面には、培養液を噴射させるため噴射口60が長手方向に沿って複数形成されているため、培養液タンク11からから供給管6に送られた培養液が、噴射口60を介して、培地の表面に散水される。散水された培養液が培地の表面から栽培槽本体51内の底面に向かって浸透することで、つる性植物4の根に培養液が供給される。尚、つる性植物4に吸収されずに栽培槽本体51の底面まで落下した余剰の培養液は、栽培槽本体51が前述したように下り傾斜するように設置されているため、下流側板51bに向かって流れる。
【0022】
排水口54は、回収管7の外径と略等しい長さの直径を有する円形状の開口であり、栽培槽本体51の底面側となる位置に形成されている。この排水口54には回収管7が挿通されており、下流側板51bに向かって流れた余剰の培養液は、排水口54から回収管7を介して栽培槽本体51の外部に排出され、培養液タンク11に戻される。
【0023】
蓋52は、栽培槽5を清掃するとき等に栽培槽本体51から取り外される。この蓋52は、栽培槽本体51と対向する面が開放された直方体の箱形状を呈している。そして、装飾板2の上面2bに載置される栽培槽5における蓋52では、長辺側の側板に、つる性植物4のつるを栽培槽5の外へと導くための開口50が形成されている(図1B参照)。また、ビルの屋上の広告面2aの付近に配置される栽培槽5における蓋52では、蓋52の上面に開口50が形成されている(図1B参照)。
【0024】
尚、栽培槽本体51に蓋52を取り付けることで、栽培槽本体51内のつる性植物4や培地等を強風や強雨から保護できる。また、栽培槽本体51内に、藻類の発生原因となる日光や、培養液を希釈する雨水や、雑草の種子及び病原菌等が侵入することを防ぐことができる。更に、培地に供給された培養液が大気中に蒸発してしまうことを抑制できる。よって、つる性植物4をより確実に生育でき、広告体1の耐久性を向上させることができる。
【0025】
<培養液循環ユニットについて>
次に、図3を参照しつつ、培養液循環ユニット10について説明する。培養液循環ユニット10は、培養液タンク11と、ディスクフィルタ12、13と、ヒータ14と、サーモコントローラ15と、吸引口16と、ポンプ17と、電磁弁18と、タイムスイッチ19、培養液生成部20と、紫外線滅菌装置27とを有している。そして、これらの培養液循環ユニット10の構成が箱型フレーム28(図1A、図1B参照)の中に収納されている。
【0026】
ディスクフィルタ12は、栽培槽5から回収管7に流入した余剰の培養液中に、例えば培地の一部等の異物が混入している場合に、培養液中からこの異物を取り除く。ディスクフィルタ12によって異物が取り除かれた培養液は培養液タンク11に排出される。培養液タンク11は、例えばポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料からなり、回収管7からディスクフィルタ12を介して排出された余剰の培養液と、培養液生成部20によって生成された培養液とが収容される。
【0027】
培養液生成部20は、水道水と、つる性植物4を培養するための養分が濃縮された液肥とを混合して培養液を生成する。そして、培養液タンク11に貯留される培養液が所定量よりも減少した場合に、生成した培養液を培養液タンク11へ供給する。この培養液生成部20は、ボールバルブ21と、液肥混入器22と、液肥タンク23と、浮き玉24とを備えている。ボールバルブ21は、上水道の給水管25から液肥混入器22に水道水を引き込むための流路26を開閉する。つまり、ボールバルブ21によって、液肥混入器22に水道水が供給されることを許可又は禁止することができる。
【0028】
液肥混入器22は、水道水と、液肥タンク23に貯留される液肥とを混合して培養液を生成する。この液肥混入器22は、例えば、培養液に対する浮き玉24の浮力を利用して、培養液タンク11内に貯留される培養液の水位が所定の水位となるように、培養液タンク11に培養液を供給する。
【0029】
具体的には、つる性植物4に吸収されること等により培養液が消費され、培養液タンク11内に貯留される培養液の水位が所定の水位よりも低くなると、培養液の表面に浮かぶ浮き玉24の液肥混入器22に対する位置も所定位置より低くなる。これにより、液肥混入器22から培養液タンク11へ培養液が流れ込むようになっている。そして、液肥混入器22から培養液タンク11へ培養液が供給されることで、培養液タンク11内の培養液の水位が上昇し所定の水位に達すると、浮き玉24の液肥混入器22に対する位置も所定位置まで上昇する。これによって、液肥混入器22から培養液タンク11への培養液の供給が停止されるようになっている。液肥タンク23は、例えばポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料からなり、液肥が収容されている。
【0030】
吸引口16は、培養液タンク11内の底面近傍に配置され、ポンプ17が駆動することによって、培養液タンク11から供給管6へ培養液を取り入れる。ポンプ17は、吸引口16を介して供給管6に培養液を取り入れ、この培養液が栽培槽5に送られるように、培養液に圧力を与えてディスクフィルタ13側に送り出す。ディスクフィルタ13は、ポンプ17から送られた培養液に含まれる異物を培養液中から取り除く。
【0031】
紫外線滅菌装置27は、供給管6の途中に設けられ、供給管6を流れる培養液に紫外線を照射することによりつる性植物4の生育に有害な菌を滅菌する。電磁弁18は、紫外線滅菌装置27の下流側に設けられ、タイムスイッチ19の制御に応じて供給管6を開閉する。これによって、栽培槽5に培養液を供給することを許可又は禁止できる。
【0032】
タイムスイッチ19は、栽培槽5に培養液を間欠的に供給するべく、電磁弁18による供給管6の開閉を制御する。タイムスイッチ19による電磁弁18の制御によって、例えば、夏場では、つる性植物4の光合成が盛んに行われる日の出から日没までの間、一時間毎に栽培槽5に培養液を供給するように設定することができる。そして、つる性植物4が光合成を行わない日没後から日の出までの間は、栽培槽5への培養液の供給を停止することができる。一方、冬場では、気温が下がる夜間の時間帯のみ、供給管6や回収管7に培養液を循環させて、培養液が凍結してしまうことを防止することができる。これによって、より確実につる性植物4を生育することができる。
【0033】
ヒータ14は、培養液タンク11の内部に設けられ、サーモコントローラ15の制御に応じて、培養液の温度を上昇させる。サーモコントローラ15は、ヒータ14を制御することで、栽培槽5に供給される培養液がつる性植物4の培養に適した温度となるように、培養液タンク11内の培養液の温度を調整する。
【0034】
<<<装飾板について>>>
次に、図4A、図4B、図5A乃至図5Cを参照しつつ、装飾板2について説明する。尚、図4Aは、装飾板2の広告面2aに備えられた広告部3、透明板9、網材29を示す部分正面図である。図4Bは、装飾板2の広告面2aに備えられた広告部3及び透明板9について、装飾板2の側面2c側から見た側面図である。尚、図4A及び図4Bでは、説明の便宜上、つる性植物4及び栽培装置を省略している。図5Aは、装飾板2の広告面2aの部分正面図である。図5Bは、装飾板2の側面2c側から見た側面図である。図5Cは、装飾板2の上面2b側から見た部分平面図である。尚、図5A乃至図5Cでは、説明の便宜上、供給管6、回収管7、培養液循環ユニット10を省略している。
【0035】
図4A及び図4Bに示すように、装飾板2には、広告面2aから突出するように広告部3が備えられている。広告部3は、広告体1における伝達情報を表示するための部分であり、例えば広告面2aから突出する広告部3の端面3aに文字やロゴマーク等の伝達情報が示されている。尚、広告部3では、端面3a自体を文字やロゴマーク等の形状に形成することで、伝達情報を表示してもよい。また、端面3aに設けられる文字やロゴマークはネオン等の発光体によって形成されていてもよく、広告部3自体がネオン等の発光体によって形成されていてもよい。
【0036】
装飾板2の広告面2aの広告部3を除く部分には、広告面2aに沿って網材29が取り付けられている。広告面2aに取り付けられた網材29において、広告部3に対応する部分には、例えば広告部3の端面3aの面積よりも大きい面積を有する開口29aが夫々形成されている。この開口29aを介して広告部3は広告面2a及び網材29から突出している。この網材29は、栽培槽5の開口50から伸び出ているつる性植物4のつるを支持する。
【0037】
広告部3の端面3aには、透明板9が接着剤やビス等によって取り付けられている。透明板9は例えばアクリル等からなり、端面3aを覆うとともに広告部3の周辺の広告面2aに対向する部分を備える形状の透明な板部材である。
【0038】
ここで、図5A乃至図5Cを参照しつつ、装飾板2の広告面2aにおける広告部3、透明板9(規制部材)、網材29(規制部材)と、つる性植物4との関係について説明する。図5Aに示すように、栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が網材29の網目を伝って垂下及び登坂することで、広告面2aはつる性植物4に覆われる。この際、広告部3は、綱材29の開口29a内に設けられている。これによって、広告部3がつる性植物4によって覆われることを抑制できる。さらに、透明板9の広告面2aに対向する部分によって、つる性植物4は、広告部3の突出方向への移動が規制されている。これによって、例えば、風等に煽られた場合であってもつる性植物4が広告部3の端面3aを覆うことをより確実に抑制できる。また、つる性植物4の枯葉等が飛散することを抑制できる。
【0039】
以上より、広告体1では、栽培装置によって水耕栽培されるつる性植物4が、装飾板2の上側から広告面2aに沿って垂下するとともに装飾板2の下側から広告面2aに沿って登坂することで、広告面2aの広告部3を除く部分をつる性植物4によって覆うことができる。このため、つる性植物4を栽培するための培地を広告面2aに備える必要がない分、広告体1の構造を簡易にできるとともに広告面2aにかかる重量を軽量化できる。また、広告体1では、培地が栽培槽5の内部に収容され。これによって、培地が屋外における風雨に直接曝されることを防止でき、広告体1の耐久性を向上させることができる。さらに、雑草等の種子やつる性植物4の病原菌等が培地に混入することを抑制できるため、つる性植物4をより確実に生育することができる。
【0040】
===第2の実施形態===
<<<外観構成について>>>
本実施形態にかかる広告体は、例えばビルの屋上に設けられる広告塔である。図6A及び図6Bを参照しつつ、ビルの屋上に設けられた本実施形態にかかる広告体100の外観構成について説明する。図6Aは、広告体100がビルの屋上に設置された場合の外観を示す斜視図である。また、図6Bは、説明の便宜上、図6Aに示す広告体100におけるつる性植物4を省略した図である。尚、図6A及び図6Bにおいて、図1A乃至図5Cに示す構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。広告体100は、装飾筐体200と、広告部3と、つる性植物4とを備えている。
【0041】
装飾筐体200は、例えば底面が開口するように、装飾板201a、201b、201cによって形成された筐体である。装飾板201aは、広告部3及び透明板9等が備えられた広告面200aを備えている。装飾板201bは、装飾筐体200の上面200bを備えている。装飾板201cは、装飾筐体200の側面200cを備えている。そして、広告体100では、広告面200aの広告部3を除く部分と、上面200bと、側面200cとがつる性植物4によって覆われている。
【0042】
<<<装飾筐体について>>>
次に、図7、図8、図9A、図9B、図10A、図10Bを参照しつつ、装飾筐体200について説明する。尚、図7は、装飾板201bを取り除いた場合の装飾筐体200の平面図であり、装飾筐体200の内部を示している。図8は、装飾筐体200の装飾板201bの上面200bを示す図である。図9Aは、図8におけるa−a’で切断した場合の装飾板201bと、栽培槽5、つる性植物4、載置棚203bとを示す部分断面図である。図9Bは、図8におけるb−b’で切断した場合の装飾板201bと、栽培槽5と、つる性植物4と、載置棚203bとを示す部分断面図である。図10Aは、装飾板201aの広告面200aを示す図である。図10Bは、装飾板201aの広告面200aの裏面側を示す図である。尚、図7、図9A、図9B、図10Bでは、説明の便宜上、供給管6及び回収管7を省略している。
【0043】
図7に示すように、装飾筐体200の内部には、前述した栽培装置と、例えばビル内の空調に備えられる室外機30等が収容されている。図7及び図10Aに示すように、装飾板201aには、上側及び下側に夫々水平方向に沿って複数の開口202aが形成されている。図7に示すように、装飾板201cについても装飾板201aと同様に、装飾板201cの上側及び下側に夫々水平方向に沿って複数の開口202cが形成されている。また、図8、図9A、図9Bに示すように、装飾板201bには、長手方向と直行する方向の略中央に長手方向に沿って複数の開口202bが形成されている。
【0044】
広告体100では、装飾筐体200の内部に備えられる栽培装置の栽培槽5に植え込まれたつる性植物4が開口202a、202b、202cを介して装飾筐体200の外部に伸び出て、広告面200a、上面200b、側面200cを夫々覆っている。
【0045】
図9A、図9Bに示すように、装飾板201bにおける上面200bの裏面側であって、開口202bの付近には、栽培槽5が載置される載置棚203bを備えている。載置棚203bに載置された栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201bの開口202bから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。尚、装飾板201bの上面200bには、つる性植物4のつるを支持する網材(不図示)が上面200bに沿って配置されていてもよい。開口202bから伸び出たつる性植物4は、例えばこの網材を伝って上面200bを覆っている。
【0046】
図10A及び図10Bに示すように、装飾板201aにおける広告面200aの裏面側であって、装飾板201aの上側の開口202a付近には、栽培槽5が載置される載置棚203aを備えている。この載置棚203aに載置された栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201aの上側の開口202aから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。また、装飾板201aにおける広告面200aの裏面側であって、装飾板201aの下側の開口202a付近のビルの屋上には、栽培槽5が載置されている。この栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201aの下側の開口202aから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。
【0047】
装飾板201aの広告面200aには、前述した広告面2aと同様に、広告部3、透明板9、網材29が備えられている。これによって、装飾板201aの上側の開口202aから伸び出たつる性植物4は、装飾板201aの上側から網材29を伝って垂下する。また、装飾板201aの下側の開口202aから伸び出たつる性植物4は、装飾板201aの下側から網材29を伝って登坂する。この際、前述したように網材29の開口29a及び透明板9の広告面200aに対向する部分によって、つる性植物4が広告部3を覆うことを抑制できる。
【0048】
装飾板201cにおける側面200cの裏面側においても、装飾板201aにおける広告面200aの裏面側と同様に、装飾板201cの上側の開口202cの付近に栽培槽5が載置される載置棚203c(図7参照)を備えている。この載置棚203cに載置された栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201cの上側の開口202cから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。また、装飾板201cにおける側面200cの裏面側であって、装飾板201cの下側の開口202c付近のビルの屋上には、栽培槽5が載置されている。この栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が更に装飾板201cの下側の開口202cから装飾筐体200の外部に伸び出るようになっている。尚、装飾板201cの側面200cには、つる性植物4のつるを支持する網材(不図示)が側面200cに沿って配置されていてもよい。開口202cから伸び出たつる性植物4は、例えばこの網材を伝って垂下又は登坂し、側面200cを覆っている。
【0049】
以上より、広告体100では、つる性植物4によって広告面200a、上面200b、側面200cが夫々覆われた装飾筐体200の内部に栽培装置及び室外機30が収容されている。これによって、栽培装置や室外機30が夏場の高温及び冬場の低温や、屋外の風雨に直接曝されることを防止できる。このため、栽培装置における培養液タンク11内の培養液や、栽培槽5内のつる性植物4の根等を温度変化から保護することができ、広告体100の耐久性をより向上させること及びつる性植物4をより確実に生育することができる。さらに、培地が栽培槽5及び装飾筐体200の内部に収容され、屋外における風雨に曝されることをより確実に防止できるため、広告体100の耐久性をより一層向上させることができる。また、培地に雑草等の種子やつる性植物4の病原菌等が混入することをより確実に抑制でき、つる性植物4をより確実に生育することができる。
【0050】
また、屋外における温度変化や風雨によって室外機30等にかかる負荷を軽減できる。尚、装飾筐体200内には、室外機30に限らず、給水タンクや変圧器等のビルの屋上等において温度変化や風雨に曝されることが好ましくないものを収容することができる。
【0051】
また、広告体100では、つる性植物4を垂下又は登坂させることで広告面200aの広告部3を除く部分と、上面200bと、側面200cとを覆うことができる。これによって、つる性植物4を栽培するための培地を広告面200a、上面200b、側面200cに備える必要がない分、広告体100の構造を簡易にできるとともに広告面200a、上面200b、側面200cにかかる重量を軽量化できる。よって、広告体100の耐久性をより向上させることができる。
【0052】
===第3の実施形態===
本実施形態にかかる広告体300について、図11A及び図11Bを参照しつつ説明する。図11Aは、広告体300の広告面300aを示す図である。図11Bは、広告体300の側面を示す図である。尚、図11A及び図11Bでは、説明の便宜上、栽培装置及びつる性植物4を省略している。また、図11A及び図11Bにおいて、図1A乃至図10Bに示す構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。広告体300は、前述した広告体1における広告面2aのかわりに広告面300aを備えている。
【0053】
広告面300aは、前述した広告部3のかわりに広告部301を備え、網材29のかわりに網材304を備えている。広告部301は、広告面300aから突出する突出棒302と、突出棒302の端面に対して接着剤やビス等によって取り付けられた表示板303とを備えている。表示板303は、広告体300における伝達情報を表示するための部分であり、例えば文字やロゴマーク等の伝達情報が示されている。尚、表示板303では、表示板303自体を文字やロゴマーク等の形状に形成することで、伝達情報を表示してもよい。網材304は、広告面300aに対して、広告面300aに沿って取り付けられ、栽培槽5の開口50から伸び出ているつる性植物4のつるを支持する。
【0054】
このような広告体300では、表示板303と広告面300aとの間に配置されるつる性植物4は、表示板303によって、同表示板303よりも広告面300aとは反対側へ移動することを規制される。このため、例えば、風等に煽られた場合であってもつる性植物4が表示板303を覆うことを抑制できる。
【0055】
===第4の実施形態===
本実施形態にかかる広告体400について、図12を参照しつつ説明する。尚、図12において、図1A乃至図11Bに示す構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。広告体400は、前述した広告体100における装飾板201aの上側の開口202aから伸び出るつる性植物4と、装飾板201aの下側の開口202aから伸び出るつる性植物4とで異なる色彩の葉を有している。これによって、広告体400では、例えば広告面200aにおいて上側400aと下側400bとで異なる色彩を有することとなり、広告体としてのバリエーションを増やすことができる。
【0056】
尚、装飾板201cの側面200cについても同様に、装飾板201cの上側の開口202cから伸び出るつる性植物4と、装飾板201cの下側の開口202cから伸び出るつる性植物4とで色彩の異なる葉を有していることとしてもよい。
【0057】
また、広告体400では、広告面200aにおける上側と下側とでつる性植物4の葉を異なる色彩とすることに限られない。例えば、隣り合うつる性植物4の葉の色彩を異なるものにしたり、広告面200aの水平方向の中心を境としてつる性植物4の葉の色彩を異なるものとしたり、任意の組み合わせを採用することができる。側面200cについても同様である。
【0058】
===その他の実施形態===
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0059】
前述した広告体1では、装飾板2における広告面2aの広告部3を除く部分をつる性植物4によって覆うこととしたが特にこれに限定されるものではなく、更に、装飾板2における側面2cもつる性植物4によって覆うこととしてもよい。この場合、装飾板2の上面2bに載置される栽培槽5における蓋52の短辺側の側板に開口50を設け、この開口50から伸び出たつる性植物4を垂下させることで装飾板2の側面2cを覆うことができる。また、装飾板2における側面2cに、この側面2cに沿って網材(不図示)を取り付け、装飾板2の上面2bに載置される栽培槽5又はビルの屋上の装飾板2付近に載置される栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4がこの網材を伝うことで側面2cが覆われることとしてもよい。
【0060】
また、前述した広告体1では、装飾板2の上面2bの上と、ビルの屋上の装飾板2付近の両方に栽培槽5を載置することとした。これによって、栽培槽5の開口50から伸び出たつる性植物4が、装飾板2の上側から広告面2aに沿って垂下するとともに装飾板2の下側から広告面2aに沿って登坂することで、広告面2aの広告部3を除く部分をつる性植物4によって覆うこととした。しかし、特にこれに限定されるものではない。例えば、栽培槽5は、装飾板2の上面2bの上及びビルの屋上の装飾板2付近の少なくとも何れか一方に備えられ、装飾板2の上側から広告面2aに沿って垂下するつる性植物4又は装飾板2の下側から広告面2aに沿って登坂するつる性植物4の少なくとも何れか一方によって広告面2aの広告部3を除く部分が覆われることとしてもよい。これは、広告体100、300、400についても同様であり、栽培槽5は、載置棚203a、203c又はビルの屋上の装飾板201a、201c付近の少なくとも何れか一方に載置されることとしてもよい。
【0061】
また、前述した広告体1、100では、透明板9及び網材29によって、つる性植物4の移動を規制することとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、広告体1、100では、透明板9及び網材29の少なくとも一方を備えることとしてもよい。尚、網材29を備えない場合、広告体1では、つる性植物4が装飾板2の上側から垂下するように、栽培槽5は装飾板2の上面2bに載置されることとする。また、網材29を備えない場合、広告体100では、つる性植物4が装飾板201a、201cの上側から垂下するように、栽培槽5は少なくとも載置棚203a、203cに載置されることとする。
【0062】
また、前述した広告体1では、装飾板2及び網材29を両方備えることとしたが特にこれに限定されるものではなく、例えば、網材29を備えず、装飾板2自体が網材から形成されていることとしてもよい。この場合、更に広告体1を軽量化することができる。これは、広告体100、300、400についても同様であり、網材29、304を備えず、装飾板201a、201b、201c自体が網材から形成されていることとしてもよい。
【0063】
また、前述した広告体1では、装飾板2をビルの屋上に設置される看板としたが、特にこれに限定されるものではない。ビルの壁面自体を装飾板2として、つる性植物4によって覆ってもよい。
【0064】
また、前述した広告体1、100、300、400では、栽培槽5の蓋52に開口50が形成されていることとした。しかし特にこれに限定されるものではなく、例えば、栽培槽本体51に、つる性植物4のつるを栽培槽5の外部へと導くための開口が形成されていてもよい。更に、栽培槽5は、蓋52を備えないこととしてもよい。
【0065】
また、前述した広告体1、100、300、400はビルの屋上に設置されることとしたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば屋内に設置されてもよい。
【0066】
また、前述した広告体100では、広告面200aの広告部3を除く部分と、上面200bと、側面200cとがつる性植物4によって覆われていることとした。しかし、特にこれに限定されるものではなく、少なくとも、広告面200aの広告部3を除く部分がつる性植物4によって覆われていればよい。これは、広告体300、400についても同様である。
【0067】
また、前述した広告体100では、栽培槽5が装飾筐体200の内部に収容されていることとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、栽培槽5は、装飾板201bの上や、ビルの屋上の装飾板201aの広告面200aの下側付近等、装飾板201aの広告部301を除く近傍に配置されていればよい。これは、広告体300、400についても同様である。
【0068】
また、前述した広告体100では、装飾板201a、201b、201cによって、底面が開口する筐体である装飾筐体200が形成されることとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば底面が開口する多面体等、装飾板によって所定の空間を取り囲むことが可能な形状が形成されればよい。
【0069】
また、前述した広告体300は、広告体1における広告面2aのかわりに広告面300aを備えていることとしたが、広告体100における広告面200aのかわりに広告面300aを備えることとしてもよい。
【0070】
また、前述した広告体400では、広告体100における装飾板201aの上側の開口202aから伸び出るつる性植物4と、装飾板201aの下側の開口202aから伸び出るつる性植物4とで異なる色彩の葉を有していることとした。しかし、特にこれに限定されるものではく、広告体1における広告面2aにおいて同様に、装飾板2の上側から垂下するつる性植物4と、装飾板2の下側から登坂するつる性植物4とで色彩の異なる葉を有していることとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1、100、300、400…広告体,2、201a、201b、201c…装飾板,2a、200a、300a…広告面,2b、200b…上面,2c、200c…側面,3、301…広告部,3a…端面,4…つる性植物,5…栽培槽,6…供給管,7…回収管,8…ポット,9…透明板,10…培養液循環ユニット,11…培養液タンク,12、13…ディスクフィルタ,14…ヒータ,15…サーモコントローラ,16…吸引口,17…ポンプ,18…電磁弁,19…タイムスイッチ,20…培養液生成部,21…ボールバルブ,22…液肥混入器,23…液肥タンク,24…浮き玉,25…給水管,26…流路,27…紫外線滅菌装置、28…箱型フレーム,29、304…網材,29a、50、202a、202b、202c…開口,30…室外機,51…栽培槽本体,51a…上流側板,51b…下流側板,52…蓋,53…供給口,54…排水口,60…噴射口,200…装飾筐体,203a、203b、203c…載置棚,302…突出棒,303…表示板,400a…上側,400b…下側
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾板と、
前記装飾板に備えられる広告部と、
前記装飾板の前記広告部を除く部分を覆うつる性植物と、
前記装飾板の前記広告部を除く近傍に配置され、前記つる性植物を水耕栽培するための培地が収容される栽培槽と、
を備えたことを特徴とする広告体。
【請求項2】
前記装飾板は、所定の空間を取り囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の広告体。
【請求項3】
前記つる性植物が前記広告部を覆うことを規制する規制部材を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の広告体。
【請求項4】
前記広告部は、前記装飾板から突出し、
前記規制部材は、前記広告部の前記装飾板とは反対側の面に当接するように固定され、前記装飾板の前記広告部の周囲に対向する部分を更に有する透明板であること、
を特徴とする請求項3に記載の広告体。
【請求項1】
装飾板と、
前記装飾板に備えられる広告部と、
前記装飾板の前記広告部を除く部分を覆うつる性植物と、
前記装飾板の前記広告部を除く近傍に配置され、前記つる性植物を水耕栽培するための培地が収容される栽培槽と、
を備えたことを特徴とする広告体。
【請求項2】
前記装飾板は、所定の空間を取り囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の広告体。
【請求項3】
前記つる性植物が前記広告部を覆うことを規制する規制部材を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の広告体。
【請求項4】
前記広告部は、前記装飾板から突出し、
前記規制部材は、前記広告部の前記装飾板とは反対側の面に当接するように固定され、前記装飾板の前記広告部の周囲に対向する部分を更に有する透明板であること、
を特徴とする請求項3に記載の広告体。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【公開番号】特開2012−128110(P2012−128110A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278463(P2010−278463)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]