広告印刷物動画作成装置
【課題】 広告などの大型印刷物の静止画デジタルデータ化を動画化し、掲載された商品などに関する情報を効果的に利用者に通知し、ひいては購買意欲や認識を高める。
【解決手段】 大型印刷物の静止画デジタルデータを入力とし、その中の表示対象となる複数のエリアのそれぞれの座標と属性を指定することにより、そのエリアの特徴に応じたサイズや効果的な表現を自動的に設定して利用者にアピールする動画を作成する、操作性の良い動画作成装置を提供する。
【解決手段】 大型印刷物の静止画デジタルデータを入力とし、その中の表示対象となる複数のエリアのそれぞれの座標と属性を指定することにより、そのエリアの特徴に応じたサイズや効果的な表現を自動的に設定して利用者にアピールする動画を作成する、操作性の良い動画作成装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙ベースで提供される広告などの大型印刷物をデジタルデータ化し、携帯端末やモバイルパソコン上に動画として表示する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の発展に伴い、ネットワークを介して商品やサービスを提供する電子商取引が拡がってきている。近年では、通信回線のインフラの整備が進んできており、高速な通信手段が利用できるようになってきた。これにより、特に電子商店と同時に店頭販売もしている商店やメーカーなどのサイトでは、もともと紙ベースで配布していたチラシやカタログについて、これらの紙面画像をデジタルデータ化して顧客に提示することにより、情報の一元化を図る動きが見られるようになってきている。
【0003】
他方で、デジタルサイネージ(電子看板)などの大型表示装置を用い、広告やキャンペーン情報などをデジタル画像データ化し、映像として表示する手段も多く見られるようになってきている。この場合、静止画だけではなく動画を用いることにより、観衆の興味を引き付けるように脚色することも行われている。
【0004】
しかし、紙ベースで提供されてきた広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)において、これらのデジタルデータ化された画像をダウンロードして、利用者の携帯端末やモバイルパソコン及びデジタルサイネージ(以降、ユーザ端末と称す)上に表示させても、静止画として表示されるのみで、動画に較べると利用者へのアピールという点で物足りない感がある。
【0005】
このような場合に、例えば下記特許文献1に記載の、静止画像から複数の遷移画像を生成する技術が知られている。これによれば、ある静止画を画像として取り込み、その画像の一部分についていくつかの部品に分け、それらの部品に色彩や強調などの加工を施しながら任意の順序で重ねて表示する旨指定すると、それらの遷移画像を自動的に生成する手法が紹介されている。
【0006】
また、動画像を生成する技術としては、例えば下記特許文献2に記載のものがある。これによれば、ある静止画を画像として取り込んだ場合、その画像の特徴を自動的に抽出し、その画像に適した視覚効果と音楽を自動的に加えたショートフィルム(短編の映像)を生成する手段が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許2732645号
【特許文献2】特許4261317号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
紙ベースで提供されてきた広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の画像の動画化による利用者への提供は、前記印刷物に掲載された商品などに関する情報を効果的に利用者に通知し、ひいては購買意欲や認識を高めるという目的を持っている。
【0009】
広告などの大型印刷物、特にチラシに関しては、特許文献1で紹介されている手法を用いて、複数個存在するアイテムを順序だてて表示していくのも一つの手段であるが、基本的にスライドショーのような断続的な表示であり、パンニングなどの強調手段やスクロールによる視点の移動といった連続的な動画としての視覚効果が得ることができない。また、特許文献2で紹介されている自動化の手法では、対象とされる静止画は風景やポートレートといった一般人が撮影するような写真が想定されており、チラシのように呈示すべきアイテムが多数に及ぶ画像を対象としていないため、結局、別途数多くの自動化に必要な変換パラメータを設定し直す必要があり、操作が煩雑になってしまう。
【0010】
本発明は、広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の静止画像データについて、元画像の特徴を引き立たせるように動画化することにより、効率よく効果的な動画画像データを作成する動画作成装置と、該装置をコンピュータ上で動作させるためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための、本願の第1の発明は、画像データの選択を受け付け、該画像上で動画化する複数の部分のそれぞれの座標と属性を指定する表示エリア設定を促し、その設定を受け付け、指定された表示エリアを動画化し動画画像データを生成するアニメーション作成手段と、紙面1面分の画像データをアニメーション作成手段に提供するため検索可能な形態で蓄積した紙面データベースと、アニメーション作成手段によって動画化された動画画像データを検索可能な形態で蓄積した動画データベースと、を備えた動画作成装置である。
【0012】
また、コンピュータ装置を、上記に記載された動画作成装置として動作させるためのコンピュータプログラムを提供してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本願の第1の発明によれば、動画作成装置の動画データベース上から、閲覧したい広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)紙面に対応する動画画像データをダウンロードすれば、一般に配布されているWebブラウザやブラウジングアプリケーション(以降、Webブラウザと称す)を用いて該動画を再生することができる。また、別の方法によれば、動画を作成したい紙面の画像データを取り込み、動画作成装置として動作させるためのコンピュータプログラムを作動させて動画画像データを生成し、該動画をWebブラウザで再生することができる。
【0014】
本発明によれば、閲覧したい広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の紙面は、ユーザ端末に応じた画面サイズで動画として表示されるため、静止画を閲覧しているときのような、利用者による画面のスクロールや拡大・縮小といったブラウジング操作にかかる煩雑な操作が不要になる。また、特定商品をパンニングして強調表示するなど、利用者の購買意欲を高める演出が可能になる。
【0015】
本発明によれば、通常の商取引で用いられているのと同様の、紙ベースで配布していた紙面の画像をそのまま呈示することが可能となる。これにより、広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の情報をそのまま利用者に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例における動画作成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】動画作成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】動画作成の流れを示すブロック図である。
【図4】本発明のアニメーション作成プログラム111の概略フローチャートである。
【図5】紙面と表示エリア及び該表示エリアが持つ情報の階層について説明する図である。
【図6】紙面と表示エリアの指定例を説明する図である。
【図7】紙面選択ステップ130の概略フローチャートである。
【図8】表示エリア設定ステップ140の概略フローチャートである。
【図9】紙面登録画面と表示エリア設定画面の例を示す図である。
【図10】動画出力ステップ150の概略フローチャートである。
【図11】アニメーション内容の自動決定ステップの概略フローチャートである。
【図12】表示エリアの表示倍率と表示エリアの表示サイズ決定方法の一例を説明する図である。
【図13】各エフェクトの標準的な実行秒数と移動距離の決定方法の一例を説明する図である。
【図14】アニメーションの軌跡パターンの決定方法の一例を説明する図である。
【図15】アニメーションの詳細パラメータの決定方法の一例を説明する図である。
【図16】アニメーションの表示順を説明する図である。
【図17】「表示エリアの拡大率の決定」に係る換算表
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の構成について図面を参照してさらに詳細に説明する。本発明の実施例として、チラシ紙面の画像について、動画作成装置を用いて動画画像データを作成する例を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の一実施例における動画作成装置の構成を示すブロック図である。図1において、100は本発明における動画作成装置であり、広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)1ページ分の紙面の画像データを検索可能な形態で蓄積した紙面データベース121と、該画像データを動画化するアニメーション作成手段110とアニメーション作成手段によって生成された動画画像データを検索可能な形態で蓄積した動画データベース122を備えている。
【0019】
図2は、動画作成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。動画作成装置100は、制御部101、ローカル記憶部102、周辺機器I/F部103、入力部104、表示部105、通信部106がバス109を介して接続される。制御部101はCPU(中央処理装置)で装置全体を制御する、また、プログラムを実行する。記憶部102は制御部101で処理するデータやプログラムを保持する。周辺機器I/F部103は紙面データベース121や動画データベース122及びプログラムを記録したハードディスクの記憶媒体との間でデータの授受を行う。入力部104はキーボードやマウス等の入力装置であり、データの入力等を行う。表示部105はディスプレイ等の表示装置である。通信部106はネットワークを介して他のコンピュータ等と通信を行う。前記のアニメーション作成手段110は、記憶部102で保持されたアニメーション作成プログラム111が制御部101で解釈実行されて機能する。
【0020】
図3は、編集者が大型印刷物の紙面の動画化を実施する場合の作業の流れを説明する図である。先ず、大型印刷物の紙面の動画化を実施したい編集者は、動画化したい広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)紙面を紙面データベース121から選択する。次に、選択した紙面から実際に動画化して表示したいエリア(以降、表示エリアと称す)の指定と該エリアの属性を設定する。表示エリアの座標設定は領域指定と特定点指定の2種類があり、領域指定は開始点座標と終了点座標で指定され主に定型レイアウトを持つ一群の画像を選択する場合や広範囲のエリアを選択する場合に用いる。特定点指定はエリアを指定せずに特定点座標1点を指定するもので、比較的狭い範囲の注視点を指定したい場合に用いる。また、ここで指定する属性は、レイアウトコマ、タイトル・線画、ロゴ・コラムの3種類(以降、エリア属性と称す)よりなる。レイアウトコマは商品の画像(写真)と値段等の情報(文字)などがセットとなった定型的なレイアウトを持つコマである。タイトル・線画はタイトルや見出しに使われる文字やイラストで不定形なレイアウトを持つコマである。ロゴ・コラムは商標・マークやロゴ、説明コラムや地図などの付随情報のコマである。これらの座標指定の方法とエリア属性は、動画化の際にそれぞれ表示されるサイズや表現方法について異なる評価がなされる(詳細は後述する)。
【0021】
表示エリアの設定を終えたら、最後に、動画出力の指示を行う。動画出力指示ステップは2段階で構成されており、先ず、先に設定された表示エリアの座標指定とエリア属性から、該表示エリアを画面に表示する際のアニメーション内容の自動決定がなされ、次に、自動決定された情報に基づいて、動画画像データが生成される。
【0022】
図4は、本発明のアニメーション作成プログラム111の概略フローチャートである。本プログラムは、紙面データベース121より動画化する紙面を選択する紙面選択ステップS130と、選択した紙面から実際に動画化するエリアの指定と該エリアの属性を設定する表示エリア設定ステップS140と、前記表示エリアを動画化し生成された動画画像データを動画データベース122に格納する動画出力ステップS150の大きく3つのステップより構成される。
【0023】
図5は紙面と表示エリア及び該表示エリアが持つ情報の階層について説明する図である。それぞれの表示エリアはいずれかの紙面に属しており、座標指定とエリア属性の情報を持っている。
【0024】
図6は紙面と表示エリアの指定例について説明する図である。例示されている紙面は,
Chirashi_A_Omoteという名称で紙面のサイズは1600ピクセル×1192ピクセルである。また、表示エリアは3つ指定されており、1つめはエリア1でエリア属性はレイアウトコマ、座標指定方法は領域指定で開始点座標は(20,320)終了点座標は(800,700)、2つめはエリア2でエリア属性はタイトル・線画、座標指定方法は領域指定で開始点座標は(20,20)終了点座標は(800,300)、3つめはエリア3でエリア属性はロゴ・コラム、座標指定方法は領域指定で開始点座標は(845,950)終了点座標は(955,1100)であり、それぞれの表示エリアに対しアニメーション作成の処理が施される。
【0025】
図7は、紙面選択ステップ130の概略フローチャートである。動画化したい紙面の選択を行う場合、処理対象とする紙面を設定する紙面登録画面(図9左側の表示例参照)を用いて紙面選択を行う。画面上に表示されている紙面ファイルについて、不要ならば削除し、表示されていなければ新規追加して、今回の処理の対象となる紙面ファイルを指定する(S131)。このとき、紙面ファイルを新規に指定した場合、その紙面データを読み出し(S132)、紙面サイズを抽出する(S133)処理が自動的に行われ、ファイル名の横に該サイズが表示される。ここで指定された紙面ファイルはテーブルに登録され、表示エリア設定の対象となる(S134)。
【0026】
図8は、表示エリア設定ステップS140の概略フローチャートである。表示エリアの設定を行う場合、表示エリア設定画面(図9右側の表示例参照)を用いて表示エリア設定を行う、ここで処理対象とする紙面のファイル名を指定し(S141)、その紙面における表示エリアを一つ選択し、座標指定方法と座標の指定を行う(S142)、次に、エリア属性の設定を行う(S143)。以上の指定が完了すると表示エリアはテーブルに登録され、動画出力の対象となる(S144)。この処理を該紙面の全ての表示エリアに対して繰り返す。次に処理すべき紙面がなくなったら終了する。
【0027】
図10は、動画出力ステップS150の概略フローチャートである。先ず、前記ステップS134で作成されたテーブルを参照し、動画出力対象となる紙面を選定する(S151)。次に、前記ステップS144で作成されたテーブルを参照し、該紙面における表示エリアを一つ選定する(S152)。この表示エリアに対して、アニメーション内容の自動決定S160が起動される。その後、アニメーション内容の自動決定S160で自動決定された情報に基づいて、動画データの生成S170が起動され、動画画像データが生成される。本事例では、動画画像データとしてXML言語のテキストファイルを出力するようにしている。この処理を紙面内の全ての表示エリアに対して行なった後、次の紙面を選定し、同様の処理を繰り返す。次に処理すべき紙面がなくなったら、動画データの編集処理S153を起動する。動画データの編集処理S153は動画の表示順の調整の他、動画データを実際にWebブラウザで表示できるよう編集して、動画データベース122に格納する。
【0028】
図11は、先に述べたアニメーション内容の自動決定ステップS160の概略フローチャートである。アニメーション内容とは表示エリアで指定された画像を実際に動画として画面に表示するために必要な情報群であり、具体的には「表示エリア」をどんな大きさでユーザ端末の画面に表示させるかを計算する、表示エリアの表示倍率と表示エリアの表示サイズ決定(S161)、スクロールやパンニングなどのエフェクト(効果的な表現)の実行秒数と移動距離を決める、各エフェクトの標準的な実行秒数と移動距離の決定(S162)、どの方向に向かってスクロールやパンニングをするかを定める、アニメーションの軌跡パターンの決定(S163)、スクロール回数や折り返し幅を計算する、アニメーションの詳細パラメータの決定(S164)、各エリアに対するアニメーションをどんな順で表示するかを決める、アニメーションの表示順番の決定(S165)といった機能を持つ。
【0029】
図12は、表示エリアの表示倍率と表示エリアの表示サイズ決定(S161)方法の一例を説明する図である。先ず、エリア属性によって該表示エリアの基本的な表示時の大きさを決定する属性倍率が決定される。ここでは、レイアウトコマの属性倍率>タイトル・線画の属性倍率>ロゴ・コラムの属性倍率となっている。次に、表示エリアの元の紙面に対する大きさの割合により表示エリアの拡大率を求める(S1611、S1613)。基本的に大きな表示エリアの拡大率が小さくなる。また、座標指定方法が特定点指定だった場合は一定の拡大率を付与される(S1612)。ここで定められた拡大率と属性倍率により実際の表示エリアの表示倍率が決定され(S1614)、それを該表示エリアサイズに乗じて表示エリアの表示サイズを決定する(S1615)。決定された表示エリアの表示サイズは該表示エリアのテーブルに記録される。上の説明で示されるように、表示エリアの属性と大きさによって表示エリアの表示サイズが変化することが本発明の特徴となっている。尚、図12中に示されている「表示エリアの拡大率の決定」に係る換算表は図17のようなものである。
【0030】
図13は、各エフェクトの標準的な実行秒数と移動距離の決定(S162)方法の一例を説明する図である。先ず、エフェクト係数と呼ばれる、基準となる紙面1ページのサイズ(1710ピクセル×1140ピクセル)に対する表示エリアの相対的な大きさを表す数値を算定する(S1621)、次に、実際に画面表示する際の実行秒数を算定し(S1622、400pixel当たりの標準的な秒数は例えば縦横スクロールで6秒、斜めスクロールで4秒といったように定められている)、移動距離を算定する(S1623)。ここでエフェクトの実行秒数が短いものについては定めた時間以上になるように調整される(S1624)。ここで決定された各エフェクトの標準的な実行秒数と移動距離は該表示エリアのテーブルに記録される。
【0031】
図14は、アニメーションの軌跡パターンの決定方法(S163)の一例を説明する図である。軌跡パターンとはズーム(パンニングまたはズームアウト)とスクロールをさせる際の移動方向と方法を指す。ここで「領域に向かってズーム」とは、紙面1ページの中心座標から表示エリアの開始点(特定点指定の場合は特定点)に向かってズーム(パンニングまたはズームアウト)しながらスクロールすることを意味する。スクロールは原則として長辺方向に左から右または上から下に移動する、これを「領域の長辺方向にスクロール」という。また「特定点を中心にスクロール」とは特定点がスクロールの移動線の中心になるようにスクロールすることを指す。
【0032】
アニメーションの軌跡パターンには、基本的にエリア属性と座標指定方法の違いで6種類存在し、これらいずれかに決定される。エリア属性がレイアウトコマで座標指定方法が領域のものは軌跡パターンAと称し、領域に向かってズームした後領域の長辺方向にスクロールする(S1631)。エリア属性がレイアウトコマで座標指定方法が特定点指定のものは軌跡パターンBと称し、特定点に向かってズームした後特定点を中心にスクロールする(S1632)。エリア属性がタイトル・線画で座標指定方法が領域のものは軌跡パターンCと称し、領域の長辺方向にスクロールする(S1633)。エリア属性がタイトル・線画で座標指定方法が特定点指定のものは軌跡パターンDと称し、特定点を中心にスクロールする(S1634)。エリア属性がロゴ・コラムで座標指定方法が領域のものは軌跡パターンEと称し、領域に向かってズームする(S1635)。エリア属性がロゴ・コラムで座標指定方法が特定点指定のものは軌跡パターンFと称し、特定点に向かってズームする(S1636)。ここで決定されたアニメーションの軌跡パターンは該表示エリアのテーブルに記録される。
【0033】
図15は、アニメーションの軌跡パターンの決定方法(S163)で決定された「軌跡パターン」に則り、実際に表示エリアをスクロールさせる際スクロール時間、回数、折り返し幅などのパラメータを生成するアニメーションの詳細パラメータの決定方法(S164)の一例を説明する図である。軌跡パターンAと軌跡パターンCのとき、領域の長辺方向にスクロールするが、そのときのスクロール秒数の決定(S1641)、長辺スクロール回数(折り返し数)の決定(S1642)、スクロール折り返し幅の決定(S1643)をそれぞれ行う。ここで決定された表示エリアのスクロール時間、回数、折り返し幅などのパラメータは該表示エリアのテーブルに記録される。
【0034】
図16は、アニメーションの表示順を説明する図である。アニメーションの表示順とはすなわち表示エリアの表示順である。基本的に開始点座標または特定点座標をキーにZ型を描くように表示していく。また、一度表示された表示エリアは再度表示対象になることはない。アニメーションの表示順番の決定(S165)の一例として、表示エリアの開始点座標または特定点座標のXY座標の値(X座標値とY座標値の和)が小さいものを、初に表示する表示エリアとして選定し、その右隣にある表示エリアを次に選定し、右隣の表示エリアが無くなったら最初の表示エリアの直下の表示エリアを次に選定するといったアルゴリズムを用いて表示順を決定することができる。ここで決定された表示エリアの表示順は該表示エリアのテーブルに記録される。
【0035】
本発明によれば、広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の画像のデザインの属性(特徴)を利用する事により、見どころとなる特定商品に注目を当てた動画を簡易な作業負荷で作成することができ、チラシやカタログに記載された情報の一元化を図ることができるとともに、動画化による特定商品をアピールするといった効果が期待できる。
【0036】
本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内で種々変更、応用が可能である。例えば、本実施例ではユーザ端末として携帯端末やモバイルパソコン及びデジタルサイネージを例示しているが、デスクトップパソコンや電子ブックを対象としても同様に本発明の実施をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
100 動画作成装置
101 制御部
102 記憶部
103 周辺機器I/F部
104 入力部
105 表示部
106 通信部
110 アニメーション作成手段
111 アニメーション作成プログラム
121 紙面データベース
122 動画データベース
S130 紙面選択ステップ
S140 表示エリア設定ステップ
S150 動画出力ステップ
S160 アニメーション内容の自動決定ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙ベースで提供される広告などの大型印刷物をデジタルデータ化し、携帯端末やモバイルパソコン上に動画として表示する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の発展に伴い、ネットワークを介して商品やサービスを提供する電子商取引が拡がってきている。近年では、通信回線のインフラの整備が進んできており、高速な通信手段が利用できるようになってきた。これにより、特に電子商店と同時に店頭販売もしている商店やメーカーなどのサイトでは、もともと紙ベースで配布していたチラシやカタログについて、これらの紙面画像をデジタルデータ化して顧客に提示することにより、情報の一元化を図る動きが見られるようになってきている。
【0003】
他方で、デジタルサイネージ(電子看板)などの大型表示装置を用い、広告やキャンペーン情報などをデジタル画像データ化し、映像として表示する手段も多く見られるようになってきている。この場合、静止画だけではなく動画を用いることにより、観衆の興味を引き付けるように脚色することも行われている。
【0004】
しかし、紙ベースで提供されてきた広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)において、これらのデジタルデータ化された画像をダウンロードして、利用者の携帯端末やモバイルパソコン及びデジタルサイネージ(以降、ユーザ端末と称す)上に表示させても、静止画として表示されるのみで、動画に較べると利用者へのアピールという点で物足りない感がある。
【0005】
このような場合に、例えば下記特許文献1に記載の、静止画像から複数の遷移画像を生成する技術が知られている。これによれば、ある静止画を画像として取り込み、その画像の一部分についていくつかの部品に分け、それらの部品に色彩や強調などの加工を施しながら任意の順序で重ねて表示する旨指定すると、それらの遷移画像を自動的に生成する手法が紹介されている。
【0006】
また、動画像を生成する技術としては、例えば下記特許文献2に記載のものがある。これによれば、ある静止画を画像として取り込んだ場合、その画像の特徴を自動的に抽出し、その画像に適した視覚効果と音楽を自動的に加えたショートフィルム(短編の映像)を生成する手段が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許2732645号
【特許文献2】特許4261317号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
紙ベースで提供されてきた広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の画像の動画化による利用者への提供は、前記印刷物に掲載された商品などに関する情報を効果的に利用者に通知し、ひいては購買意欲や認識を高めるという目的を持っている。
【0009】
広告などの大型印刷物、特にチラシに関しては、特許文献1で紹介されている手法を用いて、複数個存在するアイテムを順序だてて表示していくのも一つの手段であるが、基本的にスライドショーのような断続的な表示であり、パンニングなどの強調手段やスクロールによる視点の移動といった連続的な動画としての視覚効果が得ることができない。また、特許文献2で紹介されている自動化の手法では、対象とされる静止画は風景やポートレートといった一般人が撮影するような写真が想定されており、チラシのように呈示すべきアイテムが多数に及ぶ画像を対象としていないため、結局、別途数多くの自動化に必要な変換パラメータを設定し直す必要があり、操作が煩雑になってしまう。
【0010】
本発明は、広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の静止画像データについて、元画像の特徴を引き立たせるように動画化することにより、効率よく効果的な動画画像データを作成する動画作成装置と、該装置をコンピュータ上で動作させるためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための、本願の第1の発明は、画像データの選択を受け付け、該画像上で動画化する複数の部分のそれぞれの座標と属性を指定する表示エリア設定を促し、その設定を受け付け、指定された表示エリアを動画化し動画画像データを生成するアニメーション作成手段と、紙面1面分の画像データをアニメーション作成手段に提供するため検索可能な形態で蓄積した紙面データベースと、アニメーション作成手段によって動画化された動画画像データを検索可能な形態で蓄積した動画データベースと、を備えた動画作成装置である。
【0012】
また、コンピュータ装置を、上記に記載された動画作成装置として動作させるためのコンピュータプログラムを提供してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本願の第1の発明によれば、動画作成装置の動画データベース上から、閲覧したい広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)紙面に対応する動画画像データをダウンロードすれば、一般に配布されているWebブラウザやブラウジングアプリケーション(以降、Webブラウザと称す)を用いて該動画を再生することができる。また、別の方法によれば、動画を作成したい紙面の画像データを取り込み、動画作成装置として動作させるためのコンピュータプログラムを作動させて動画画像データを生成し、該動画をWebブラウザで再生することができる。
【0014】
本発明によれば、閲覧したい広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の紙面は、ユーザ端末に応じた画面サイズで動画として表示されるため、静止画を閲覧しているときのような、利用者による画面のスクロールや拡大・縮小といったブラウジング操作にかかる煩雑な操作が不要になる。また、特定商品をパンニングして強調表示するなど、利用者の購買意欲を高める演出が可能になる。
【0015】
本発明によれば、通常の商取引で用いられているのと同様の、紙ベースで配布していた紙面の画像をそのまま呈示することが可能となる。これにより、広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の情報をそのまま利用者に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例における動画作成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】動画作成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】動画作成の流れを示すブロック図である。
【図4】本発明のアニメーション作成プログラム111の概略フローチャートである。
【図5】紙面と表示エリア及び該表示エリアが持つ情報の階層について説明する図である。
【図6】紙面と表示エリアの指定例を説明する図である。
【図7】紙面選択ステップ130の概略フローチャートである。
【図8】表示エリア設定ステップ140の概略フローチャートである。
【図9】紙面登録画面と表示エリア設定画面の例を示す図である。
【図10】動画出力ステップ150の概略フローチャートである。
【図11】アニメーション内容の自動決定ステップの概略フローチャートである。
【図12】表示エリアの表示倍率と表示エリアの表示サイズ決定方法の一例を説明する図である。
【図13】各エフェクトの標準的な実行秒数と移動距離の決定方法の一例を説明する図である。
【図14】アニメーションの軌跡パターンの決定方法の一例を説明する図である。
【図15】アニメーションの詳細パラメータの決定方法の一例を説明する図である。
【図16】アニメーションの表示順を説明する図である。
【図17】「表示エリアの拡大率の決定」に係る換算表
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の構成について図面を参照してさらに詳細に説明する。本発明の実施例として、チラシ紙面の画像について、動画作成装置を用いて動画画像データを作成する例を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の一実施例における動画作成装置の構成を示すブロック図である。図1において、100は本発明における動画作成装置であり、広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)1ページ分の紙面の画像データを検索可能な形態で蓄積した紙面データベース121と、該画像データを動画化するアニメーション作成手段110とアニメーション作成手段によって生成された動画画像データを検索可能な形態で蓄積した動画データベース122を備えている。
【0019】
図2は、動画作成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。動画作成装置100は、制御部101、ローカル記憶部102、周辺機器I/F部103、入力部104、表示部105、通信部106がバス109を介して接続される。制御部101はCPU(中央処理装置)で装置全体を制御する、また、プログラムを実行する。記憶部102は制御部101で処理するデータやプログラムを保持する。周辺機器I/F部103は紙面データベース121や動画データベース122及びプログラムを記録したハードディスクの記憶媒体との間でデータの授受を行う。入力部104はキーボードやマウス等の入力装置であり、データの入力等を行う。表示部105はディスプレイ等の表示装置である。通信部106はネットワークを介して他のコンピュータ等と通信を行う。前記のアニメーション作成手段110は、記憶部102で保持されたアニメーション作成プログラム111が制御部101で解釈実行されて機能する。
【0020】
図3は、編集者が大型印刷物の紙面の動画化を実施する場合の作業の流れを説明する図である。先ず、大型印刷物の紙面の動画化を実施したい編集者は、動画化したい広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)紙面を紙面データベース121から選択する。次に、選択した紙面から実際に動画化して表示したいエリア(以降、表示エリアと称す)の指定と該エリアの属性を設定する。表示エリアの座標設定は領域指定と特定点指定の2種類があり、領域指定は開始点座標と終了点座標で指定され主に定型レイアウトを持つ一群の画像を選択する場合や広範囲のエリアを選択する場合に用いる。特定点指定はエリアを指定せずに特定点座標1点を指定するもので、比較的狭い範囲の注視点を指定したい場合に用いる。また、ここで指定する属性は、レイアウトコマ、タイトル・線画、ロゴ・コラムの3種類(以降、エリア属性と称す)よりなる。レイアウトコマは商品の画像(写真)と値段等の情報(文字)などがセットとなった定型的なレイアウトを持つコマである。タイトル・線画はタイトルや見出しに使われる文字やイラストで不定形なレイアウトを持つコマである。ロゴ・コラムは商標・マークやロゴ、説明コラムや地図などの付随情報のコマである。これらの座標指定の方法とエリア属性は、動画化の際にそれぞれ表示されるサイズや表現方法について異なる評価がなされる(詳細は後述する)。
【0021】
表示エリアの設定を終えたら、最後に、動画出力の指示を行う。動画出力指示ステップは2段階で構成されており、先ず、先に設定された表示エリアの座標指定とエリア属性から、該表示エリアを画面に表示する際のアニメーション内容の自動決定がなされ、次に、自動決定された情報に基づいて、動画画像データが生成される。
【0022】
図4は、本発明のアニメーション作成プログラム111の概略フローチャートである。本プログラムは、紙面データベース121より動画化する紙面を選択する紙面選択ステップS130と、選択した紙面から実際に動画化するエリアの指定と該エリアの属性を設定する表示エリア設定ステップS140と、前記表示エリアを動画化し生成された動画画像データを動画データベース122に格納する動画出力ステップS150の大きく3つのステップより構成される。
【0023】
図5は紙面と表示エリア及び該表示エリアが持つ情報の階層について説明する図である。それぞれの表示エリアはいずれかの紙面に属しており、座標指定とエリア属性の情報を持っている。
【0024】
図6は紙面と表示エリアの指定例について説明する図である。例示されている紙面は,
Chirashi_A_Omoteという名称で紙面のサイズは1600ピクセル×1192ピクセルである。また、表示エリアは3つ指定されており、1つめはエリア1でエリア属性はレイアウトコマ、座標指定方法は領域指定で開始点座標は(20,320)終了点座標は(800,700)、2つめはエリア2でエリア属性はタイトル・線画、座標指定方法は領域指定で開始点座標は(20,20)終了点座標は(800,300)、3つめはエリア3でエリア属性はロゴ・コラム、座標指定方法は領域指定で開始点座標は(845,950)終了点座標は(955,1100)であり、それぞれの表示エリアに対しアニメーション作成の処理が施される。
【0025】
図7は、紙面選択ステップ130の概略フローチャートである。動画化したい紙面の選択を行う場合、処理対象とする紙面を設定する紙面登録画面(図9左側の表示例参照)を用いて紙面選択を行う。画面上に表示されている紙面ファイルについて、不要ならば削除し、表示されていなければ新規追加して、今回の処理の対象となる紙面ファイルを指定する(S131)。このとき、紙面ファイルを新規に指定した場合、その紙面データを読み出し(S132)、紙面サイズを抽出する(S133)処理が自動的に行われ、ファイル名の横に該サイズが表示される。ここで指定された紙面ファイルはテーブルに登録され、表示エリア設定の対象となる(S134)。
【0026】
図8は、表示エリア設定ステップS140の概略フローチャートである。表示エリアの設定を行う場合、表示エリア設定画面(図9右側の表示例参照)を用いて表示エリア設定を行う、ここで処理対象とする紙面のファイル名を指定し(S141)、その紙面における表示エリアを一つ選択し、座標指定方法と座標の指定を行う(S142)、次に、エリア属性の設定を行う(S143)。以上の指定が完了すると表示エリアはテーブルに登録され、動画出力の対象となる(S144)。この処理を該紙面の全ての表示エリアに対して繰り返す。次に処理すべき紙面がなくなったら終了する。
【0027】
図10は、動画出力ステップS150の概略フローチャートである。先ず、前記ステップS134で作成されたテーブルを参照し、動画出力対象となる紙面を選定する(S151)。次に、前記ステップS144で作成されたテーブルを参照し、該紙面における表示エリアを一つ選定する(S152)。この表示エリアに対して、アニメーション内容の自動決定S160が起動される。その後、アニメーション内容の自動決定S160で自動決定された情報に基づいて、動画データの生成S170が起動され、動画画像データが生成される。本事例では、動画画像データとしてXML言語のテキストファイルを出力するようにしている。この処理を紙面内の全ての表示エリアに対して行なった後、次の紙面を選定し、同様の処理を繰り返す。次に処理すべき紙面がなくなったら、動画データの編集処理S153を起動する。動画データの編集処理S153は動画の表示順の調整の他、動画データを実際にWebブラウザで表示できるよう編集して、動画データベース122に格納する。
【0028】
図11は、先に述べたアニメーション内容の自動決定ステップS160の概略フローチャートである。アニメーション内容とは表示エリアで指定された画像を実際に動画として画面に表示するために必要な情報群であり、具体的には「表示エリア」をどんな大きさでユーザ端末の画面に表示させるかを計算する、表示エリアの表示倍率と表示エリアの表示サイズ決定(S161)、スクロールやパンニングなどのエフェクト(効果的な表現)の実行秒数と移動距離を決める、各エフェクトの標準的な実行秒数と移動距離の決定(S162)、どの方向に向かってスクロールやパンニングをするかを定める、アニメーションの軌跡パターンの決定(S163)、スクロール回数や折り返し幅を計算する、アニメーションの詳細パラメータの決定(S164)、各エリアに対するアニメーションをどんな順で表示するかを決める、アニメーションの表示順番の決定(S165)といった機能を持つ。
【0029】
図12は、表示エリアの表示倍率と表示エリアの表示サイズ決定(S161)方法の一例を説明する図である。先ず、エリア属性によって該表示エリアの基本的な表示時の大きさを決定する属性倍率が決定される。ここでは、レイアウトコマの属性倍率>タイトル・線画の属性倍率>ロゴ・コラムの属性倍率となっている。次に、表示エリアの元の紙面に対する大きさの割合により表示エリアの拡大率を求める(S1611、S1613)。基本的に大きな表示エリアの拡大率が小さくなる。また、座標指定方法が特定点指定だった場合は一定の拡大率を付与される(S1612)。ここで定められた拡大率と属性倍率により実際の表示エリアの表示倍率が決定され(S1614)、それを該表示エリアサイズに乗じて表示エリアの表示サイズを決定する(S1615)。決定された表示エリアの表示サイズは該表示エリアのテーブルに記録される。上の説明で示されるように、表示エリアの属性と大きさによって表示エリアの表示サイズが変化することが本発明の特徴となっている。尚、図12中に示されている「表示エリアの拡大率の決定」に係る換算表は図17のようなものである。
【0030】
図13は、各エフェクトの標準的な実行秒数と移動距離の決定(S162)方法の一例を説明する図である。先ず、エフェクト係数と呼ばれる、基準となる紙面1ページのサイズ(1710ピクセル×1140ピクセル)に対する表示エリアの相対的な大きさを表す数値を算定する(S1621)、次に、実際に画面表示する際の実行秒数を算定し(S1622、400pixel当たりの標準的な秒数は例えば縦横スクロールで6秒、斜めスクロールで4秒といったように定められている)、移動距離を算定する(S1623)。ここでエフェクトの実行秒数が短いものについては定めた時間以上になるように調整される(S1624)。ここで決定された各エフェクトの標準的な実行秒数と移動距離は該表示エリアのテーブルに記録される。
【0031】
図14は、アニメーションの軌跡パターンの決定方法(S163)の一例を説明する図である。軌跡パターンとはズーム(パンニングまたはズームアウト)とスクロールをさせる際の移動方向と方法を指す。ここで「領域に向かってズーム」とは、紙面1ページの中心座標から表示エリアの開始点(特定点指定の場合は特定点)に向かってズーム(パンニングまたはズームアウト)しながらスクロールすることを意味する。スクロールは原則として長辺方向に左から右または上から下に移動する、これを「領域の長辺方向にスクロール」という。また「特定点を中心にスクロール」とは特定点がスクロールの移動線の中心になるようにスクロールすることを指す。
【0032】
アニメーションの軌跡パターンには、基本的にエリア属性と座標指定方法の違いで6種類存在し、これらいずれかに決定される。エリア属性がレイアウトコマで座標指定方法が領域のものは軌跡パターンAと称し、領域に向かってズームした後領域の長辺方向にスクロールする(S1631)。エリア属性がレイアウトコマで座標指定方法が特定点指定のものは軌跡パターンBと称し、特定点に向かってズームした後特定点を中心にスクロールする(S1632)。エリア属性がタイトル・線画で座標指定方法が領域のものは軌跡パターンCと称し、領域の長辺方向にスクロールする(S1633)。エリア属性がタイトル・線画で座標指定方法が特定点指定のものは軌跡パターンDと称し、特定点を中心にスクロールする(S1634)。エリア属性がロゴ・コラムで座標指定方法が領域のものは軌跡パターンEと称し、領域に向かってズームする(S1635)。エリア属性がロゴ・コラムで座標指定方法が特定点指定のものは軌跡パターンFと称し、特定点に向かってズームする(S1636)。ここで決定されたアニメーションの軌跡パターンは該表示エリアのテーブルに記録される。
【0033】
図15は、アニメーションの軌跡パターンの決定方法(S163)で決定された「軌跡パターン」に則り、実際に表示エリアをスクロールさせる際スクロール時間、回数、折り返し幅などのパラメータを生成するアニメーションの詳細パラメータの決定方法(S164)の一例を説明する図である。軌跡パターンAと軌跡パターンCのとき、領域の長辺方向にスクロールするが、そのときのスクロール秒数の決定(S1641)、長辺スクロール回数(折り返し数)の決定(S1642)、スクロール折り返し幅の決定(S1643)をそれぞれ行う。ここで決定された表示エリアのスクロール時間、回数、折り返し幅などのパラメータは該表示エリアのテーブルに記録される。
【0034】
図16は、アニメーションの表示順を説明する図である。アニメーションの表示順とはすなわち表示エリアの表示順である。基本的に開始点座標または特定点座標をキーにZ型を描くように表示していく。また、一度表示された表示エリアは再度表示対象になることはない。アニメーションの表示順番の決定(S165)の一例として、表示エリアの開始点座標または特定点座標のXY座標の値(X座標値とY座標値の和)が小さいものを、初に表示する表示エリアとして選定し、その右隣にある表示エリアを次に選定し、右隣の表示エリアが無くなったら最初の表示エリアの直下の表示エリアを次に選定するといったアルゴリズムを用いて表示順を決定することができる。ここで決定された表示エリアの表示順は該表示エリアのテーブルに記録される。
【0035】
本発明によれば、広告などの大型印刷物(チラシ、カタログ、リーフレット、ポスター等)の画像のデザインの属性(特徴)を利用する事により、見どころとなる特定商品に注目を当てた動画を簡易な作業負荷で作成することができ、チラシやカタログに記載された情報の一元化を図ることができるとともに、動画化による特定商品をアピールするといった効果が期待できる。
【0036】
本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内で種々変更、応用が可能である。例えば、本実施例ではユーザ端末として携帯端末やモバイルパソコン及びデジタルサイネージを例示しているが、デスクトップパソコンや電子ブックを対象としても同様に本発明の実施をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
100 動画作成装置
101 制御部
102 記憶部
103 周辺機器I/F部
104 入力部
105 表示部
106 通信部
110 アニメーション作成手段
111 アニメーション作成プログラム
121 紙面データベース
122 動画データベース
S130 紙面選択ステップ
S140 表示エリア設定ステップ
S150 動画出力ステップ
S160 アニメーション内容の自動決定ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの選択を受け付け、該画像上で動画化する複数の部分のそれぞれの座標と属性を指定する表示エリア設定を促し、その設定を受け付け、指定された表示エリアを動画化し動画画像データを生成するアニメーション作成手段と、
紙面1面分の画像データをアニメーション作成手段に提供するため検索可能な形態で蓄積した紙面データベースと、
アニメーション作成手段によって動画化された動画画像データを検索可能な形態で蓄積した動画データベースと、
を備えた動画作成装置。
【請求項2】
コンピュータ装置を、請求項1に記載の動画作成装置として動作させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
画像データの選択を受け付け、該画像上で動画化する複数の部分のそれぞれの座標と属性を指定する表示エリア設定を促し、その設定を受け付け、指定された表示エリアを動画化し動画画像データを生成するアニメーション作成手段と、
紙面1面分の画像データをアニメーション作成手段に提供するため検索可能な形態で蓄積した紙面データベースと、
アニメーション作成手段によって動画化された動画画像データを検索可能な形態で蓄積した動画データベースと、
を備えた動画作成装置。
【請求項2】
コンピュータ装置を、請求項1に記載の動画作成装置として動作させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−73572(P2013−73572A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214243(P2011−214243)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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