説明

広告宣伝機能拡張プログラム、広告宣伝機能拡張方法、及び、ホスト装置

【課題】既存のPOSシステムの広告宣伝機能を拡張するためのプログラムであって、既存のアプリケーションを変更することなしに、容易に、多彩な機能拡張を実現することのできる広告宣伝機能拡張プログラム等を提供する。
【解決手段】OSカーネル層のオペレーティングシステムによって動作し、アプリケーション層のアプリケーションにより印刷物を出力する、POS端末装置を構成するコンピューターに、広告宣伝機能を拡張する処理を実行させるプログラムが、アプリケーションから出力される印刷物の印刷データをOSカーネル層で取得するデータ取得工程と、アプリケーション層で、取得された印刷データを解析し、当該印刷データに所定の販売情報が含まれている場合に、顧客に表示するための表示データを生成し、当該表示データを顧客側表示装置に出力する表示工程をコンピューターに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のPOSシステムの広告宣伝機能を拡張するためのプログラム等に関し
、特に、既存のアプリケーションを変更することなしに、容易に、多彩な機能拡張を実現
することのできる広告宣伝機能拡張プログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどの小売販売業においては販売管理システムであるPOSシステ
ムが普及しており、当該システムでは、サーバーとネットワークで接続される複数の端末
装置(レジ)が当該装置に備えられるアプリケーションに従って動作し各種の処理を実行
する。また、通常、当該端末装置には、それぞれ、プリンターが設けられ、上記アプリケ
ーションの指示によりレシートやクーポンの出力を実行する。
【0003】
このようなシステムにおいても、導入後の技術向上や業務改善要望に伴って、機能拡張
の必要が出てくる場合がある。その機能拡張の一つとして、近年普及しつつある、店員側
へ表示するディスプレイと顧客側へ表示するディスプレイの双方を備えたPOS端末装置
、の導入に伴って、顧客への広告宣伝表示機能を拡張することが望まれる。
【0004】
しかしながら、かかるシステムは一般に業務の中枢として常時利用されているものであ
り、また、他のシステムとも複雑に連携している場合も多いため、そのアプリケーション
を改変することは通常容易ではない。
【0005】
かかる課題に関連して、出力処理系の機能に関し、従来、以下のような提案がなされて
いる。
【0006】
下記特許文献1では、すでに存在するアプリケーションプログラムを修正する必要なし
に、従来のモデムに必要とされていたマイクロプロセッサおよびメモリを除去することが
可能なパーソナルコンピュータ中でモデム機能を実行する装置について記載されている。
【0007】
また、下記特許文献2には、アプリケーションを変更することなく、1つの通信ポート
にアクセスすることにより、他の通信ポートに接続されているプリンターへも同時に印刷
を実行させることができ、複製印刷を可能にする装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−69427号公報
【特許文献2】特開2006−338443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の内容では、モデム機能、複製印刷機能な
ど出力系の限られた機能を実現するに留まり、上述した2面ディスプレイの使用等による
広告宣伝機能の拡張は実現できない。
【0010】
また、上記特許文献2では、OSカーネル層での処理であるため、一般に機能構築(プ
ログラム開発等)が容易ではなく機能も限られてしまうという課題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、既存のPOSシステムの広告宣伝機能を拡張するためのプロ
グラムであって、既存のアプリケーションを変更することなしに、容易に、多彩な機能拡
張を実現することのできる広告宣伝機能拡張プログラム、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、OSカーネル層のオペレーティ
ングシステムによって動作し、アプリケーション層のアプリケーションにより印刷物を出
力する、POS端末装置を構成するコンピューターに、広告宣伝機能を拡張する処理を実
行させる広告宣伝機能拡張プログラムが、前記アプリケーションから出力される前記印刷
物の印刷データを、前記OSカーネル層で取得するデータ取得工程と、前記アプリケーシ
ョン層で、前記データ取得工程で取得された印刷データを解析し、当該印刷データに所定
の販売情報が含まれている場合に、顧客に表示するための表示データを生成し、当該表示
データを前記コンピューターに接続される顧客側表示装置に出力する表示工程と、を前記
コンピューターに実行させる、ことである。
【0013】
更に、上記発明において、その好ましい態様は、前記表示データを生成するか否かの判
断と前記表示データの内容は、前記POS端末装置のユーザーが設定可能であり予め前記
コンピューターに記憶されるルール情報に基づいて実行される、ことを特徴とする。
【0014】
更にまた、上記発明において、好ましい態様は、前記販売情報は販売した商品の識別情
報であり、前記表示データは当該商品に関する広告宣伝情報を表示するデータである、こ
とを特徴とする。
【0015】
また、上記発明において、好ましい態様は、更に、前記表示工程の後に、クーポン券の
発行指示を受けた場合に、当該クーポン券の印刷データを生成し、当該印刷データを前記
コンピューターに接続されるプリンターに出力する工程を、前記コンピューターに実行さ
せる、ことを特徴とする。
【0016】
更に、上記発明において、一つの態様は、前記印刷物はレシートであり、前記クーポン
券の印刷データは、前記データ取得工程で取得されたレシートの印刷データに統合されて
、一印刷物の印刷データとして出力される、ことを特徴とする。
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、OSカーネル層のオペレーティン
グシステムによって動作し、アプリケーション層のアプリケーションにより印刷物を出力
する、POS端末装置を構成するコンピューターにおける、広告宣伝機能拡張方法が、前
記コンピューターが、前記アプリケーションから出力される前記印刷物の印刷データを、
前記OSカーネル層で取得するデータ取得工程と、前記コンピューターが、前記アプリケ
ーション層で、前記データ取得工程で取得された印刷データを解析し、当該印刷データに
所定の販売情報が含まれている場合に、顧客に表示するための表示データを生成し、当該
表示データを前記コンピューターに接続される顧客側表示装置に出力する表示工程と、を
有する、ことである。
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、OSカーネル層のオペレーテ
ィングシステムによって動作し、アプリケーション層のアプリケーションにより印刷物を
出力する、POS端末装置を構成するホスト装置が、前記アプリケーションから出力され
る前記印刷物の印刷データを、前記OSカーネル層で取得するデータ取得部と、前記アプ
リケーション層で、前記データ取得部で取得された印刷データを解析し、当該印刷データ
に所定の販売情報が含まれている場合に、顧客に表示するための表示データを生成し、当
該表示データを前記ホスト装置に接続される顧客側表示装置に出力する機能拡張処理部と
、を有する、ことである。
【0019】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用したPOS端末装置の実施の形態例に係る概略構成図である。
【図2】広告宣伝処理の処理手順を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の
形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類
似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0022】
図1は、本発明を適用したPOS端末装置の実施の形態例に係る概略構成図である。図
1に示すPOS端末装置1が本発明を適用した装置であり、当該装置では、POSアプリ
ケーション11から出力される印刷データ(例えば、レシートの印刷データ)をOSカー
ネル層120の仮想ポート13で取得する。そして、取得したデータをアプリケーション
層110の機能拡張処理部14で受け取り、印刷データに含まれる販売情報(例えば、販
売された商品コード等)から顧客に広告宣伝情報を表示するか否かを判断する。その結果
、表示すると判断した場合には、表示用の画像データを生成してPOS端末装置1に接続
される(に備えられる)顧客側ディスプレイ2Aに出力する。本POS端末装置1では、
かかる処理を実行することにより、既存のPOSアプリケーション11のプログラムを変
更することなく、POSシステムの広告宣伝機能を容易に拡張できる。
【0023】
本実施の形態例では、スーパーマーケットなどで用いられるPOSシステムを想定して
おり、図1に示すPOS端末装置1は、図示していないが、ネットワークを介してPOS
サーバーに接続される。POSサーバーは、複数のPOS端末装置1と接続され、それら
の管理とそれらから取得される各種データの集計、管理等の処理を実行する。
【0024】
POS端末装置1は、店舗のレジに設置され、1以上のプリンター3(ここでは、プリ
ンター3A及び3B)と接続される。プリンター3は、POS端末装置1から出力される
印刷データに従って、レシートやクーポンを出力する。従って、POS端末装置1はプリ
ンター3のホスト装置と位置づけられる。
【0025】
また、POS端末装置1には、図1に示すディスプレイ2(顧客側ディスプレイ2A及
び店員側ディスプレイ2B)が接続され、図示していないキーボードやバーコードリーダ
ーなどの入力装置が備えられる。
【0026】
POS端末装置1は、上述した入力装置から取得される情報に基づいて、レシートやク
ーポンに印刷する情報を生成して、プリンター3へ出力する。当該POS端末装置1は、
コンピューターで構成され、図示していないが、CPU、RAM、ROM、HDDなどを
備えている。後述するPOSアプリケーション11のプログラムや機能拡張処理のための
プログラムは、上記HDD等に記憶され、それらのプログラムに従って上記CPUが動作
することにより各処理が実行される。
【0027】
また、POS端末装置1は、図1に示すような機能構成となっている。まず、POSア
プリケーション11は、本発明に基づく機能拡張を行う前から備えられる既存POSシス
テムにおけるアプリケーションである。POSアプリケーション11は、上述したレシー
トやクーポンに印刷する情報を生成して出力する処理等を行うが、ここで生成されるデー
タは、そのままプリンター3A(既存POSシステムにおけるプリンター)へ出力できる
形式のデータ、あるいは、プリンター3A用ドライバー12に渡す形式のデータである。
前者は、テキストだけの印刷など簡単な印刷データの場合に生成される。
【0028】
また、プリンター3A用ドライバー12は、プリンター3A用の既存POSシステムに
備えられていたプリンタードライバーであり、POSアプリケーション11から出力され
たデータを、プリンター3Aの機種(デバイス)に依存したコマンドによる、プリンター
3Aが受信して印刷可能な印刷データとして出力する。
【0029】
なお、POSアプリケーション11とプリンター3A用ドライバー12は、図1に示す
ように、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)に基づきその上でプログラ
ムが各処理を実行するアプリケーション層110に位置する。また、両者は、それぞれの
処理内容を指示する上記HDD等に格納されたプログラムと当該プログラムに従って処理
を実行する上記CPU等によって構成される。
【0030】
次に、仮想ポート13(データ取得部)は、POSアプリケーション11又はプリンタ
ー3A用ドライバー12から出力された印刷データを、通信ポート17が受け取る前に上
記オペレーティングシステムが位置するOSカーネル層120で受け取る部分である。そ
して、仮想ポート13は、取得した印刷データを機能拡張処理部14へ引き渡す。
【0031】
次に、機能拡張処理部14は、上記仮想ポート13から引き渡された印刷データを用い
て顧客への宣伝広告を行う部分である。具体的には、受け取った印刷データを解析し、顧
客側ディスプレイ2Aに広告宣伝のための表示を行うか否かを判断し、表示を行う場合に
はその画面用のデータを生成して、顧客側ディスプレイ2Aに出力する処理、当該表示に
対してクーポン発行の要求があった場合にクーポン用の印刷データを生成して、プリンタ
ー3(ここでは、プリンター3B)に出力する処理などを実行する。これら処理の具体的
な処理手順については後述する。
【0032】
次に、データ格納部15は、上記機能拡張処理部14が使用する各種データを記憶する
部分であり、上記HDD等で構成される。ここに格納されるデータには、仮想ポート13
から転送された印刷データがいずれの印刷物のものであるかを判別するためのルール、当
該印刷物のどの位置にどのような情報が配置されているかを示す情報、顧客への広告宣伝
表示についてのルール(以下、表示ルールと呼ぶ)、及び、当該表示やクーポンの印刷デ
ータを生成するために必要な画像データ(以下、画像DB)等がある。
【0033】
上記表示ルールには、商品の識別情報(商品コード、商品名等)毎に表示内容と発行す
るクーポンの内容が収められている。また、上記画像DBには、商品の外観画像や店舗ロ
ゴ等の画像データが読み出し可能に収められている。
【0034】
次に、ルール設定部16は、POS端末装置1のユーザー(例えば、店員)が上記表示
ルールや画像DBのデータをデータ格納部15に設定するための部分である。ユーザーは
、店員側ディスプレイ2B、前述した入力装置を用いて、ルール設定部16を起動させ、
当該ルール設定部16が提供するインターフェース画面に対して所定の操作を行うことに
より、所望の表示ルールや画像データを設定することができる。当該設定処理は、適時行
うことができ、その設定内容により、広告表示を行う商品や表示内容、発行するクーポン
の内容を自在に変更することができる。
【0035】
なお、仮想ポート13、機能拡張処理部14、及び、ルール設定部16は、それぞれ、
各部が行う処理を指示する、上記HDD等に格納されたプログラムと、当該プログラムに
従って処理を実行する上記CPU等によって構成される。また、これらの部分に係るプロ
グラムが本発明の広告宣伝機能拡張プログラムに相当する。
【0036】
次に、POS端末装置1には、物理層130に通信ポート17A、17B、17C及び
17Dが備えられ、それぞれ、プリンター3A及び3B、顧客側ディスプレイ2A(顧客
側表示装置)、店員側ディスプレイ2Bに接続される。
【0037】
プリンター3は、一例として、プリンター3Aが既存POSシステムに備えられていた
モノクロプリンターであり、プリンター3Bが本発明による機能拡張時に新設されたカラ
ープリンターである。なお、ここでは、プリンター3Aはレシートの印刷に用いられ、プ
リンター3Bはクーポンの印刷に用いられる。
【0038】
また、店員側ディスプレイ2Bは、既存POSシステムに備えられていた、店員に情報
を表示するために店員側を向いた表示装置であり、顧客側ディスプレイ2Aは、機能拡張
時に新設された、顧客に情報を表示するために顧客側を向いた表示装置である。また、顧
客側ディスプレイ2Aは、表示画面を顧客が触れることによって入力操作を行うことがで
きる、いわゆるタッチパネルとしての機能を有する。なお、POS端末装置1と顧客側デ
ィスプレイ2Aと店員側ディスプレイ2Bが一体として構成された装置を用いてもよい。
この場合には、POS端末装置1の本体装置と店員側ディスプレイ2Bも機能拡張時に新
設されることになる。
【0039】
これらPOS端末装置1及びその周辺装置は、上述のように、既存POSシステムで備
えられていた装置に機能拡張に必要な部分を追加した構成となっており、当該追加された
部分は図1において太線で示される。
【0040】
以上説明をしたような構成を有する本POS端末装置1では、印刷データを用いた顧客
への広告宣伝機能に特徴があり、以下、その機能の具体的な処理内容について説明する。
図2は、当該広告宣伝処理の処理手順を例示したフローチャートである。
【0041】
まず、前述の通り、POSアプリケーション11から直接、又は、プリンター3A用ド
ライバー12を介して、印刷データが出力される。ここでは、当該印刷データは、プリン
ター3Aから出力することを想定しているレシートの印刷データであり、従って、出力先
の通信ポートには通信ポート17Aが指定され、プリンター3Aに依存したコマンドで表
現されている。
【0042】
次に、出力された印刷データは、指定された通信ポートに(ここでは、通信ポート17
Aに)届く前に仮想ポート13によって受け取られる(ステップS1)。かかる処理は、
通信ポート17Aへ向けたデータを、まず、仮想ポート13が受け取るように、レジスト
リーの(優先度の)設定を変更しておくことで実現され、かかる設定変更はOSの起動時
に実行される。その後、受け取られた印刷データは、仮想ポート13からアプリケーショ
ン層110の機能拡張処理部14に転送される(ステップS1)。
【0043】
次に、機能拡張処理部14は、転送された印刷データを解析する(ステップS2)。具
体的には、印刷データのコマンドを解釈し、データ格納部15に記憶される、上述した印
刷物を判別するためのルールに従って、当該印刷データの印刷物を判別する。そして、印
刷物がレシートであった場合には、データ格納部15に記憶される、上述した位置の情報
に従って、販売された(顧客によって購入された)商品の商品名や商品コードなどの商品
識別情報が印刷される場所の印刷データを取得する。なお、ここでは、印刷物がレシート
でない場合、当該解析処理を終了する。
【0044】
上記印刷データの取得後、機能拡張処理部14は、当該レシートの出力に合わせて顧客
側ディスプレイ2Aに広告宣伝表示を行うか否かを判断する。具体的には、取得した商品
識別情報のデータを、データ格納部15に記憶される上述した表示ルールの商品識別情報
と比較し、表示ルールに一致するものがあれば、上記広告宣伝表示を行うと判断する。一
方、一致するものがなければ当該表示を行わないと判断する。
【0045】
以上のようにして印刷データの解析が終了すると、機能拡張処理部14は、上記転送さ
れた印刷データを通信ポート17Aに向けて出力する(ステップS2)。出力された印刷
データは、通信ポート17Aを介してプリンター3Aに送られ、当該印刷データによりレ
シートが印刷される。
【0046】
一方、上記データ解析後、上記広告宣伝表示を行わないと判断された場合には(ステッ
プS3のNo)、当該印刷データについての広告宣伝処理を終了する。
【0047】
一方、上記広告宣伝表示を行うと判断された場合には(ステップS3のYes)、機能
拡張処理部14は、表示する画像データの生成と出力の処理を実行する(ステップS4)
。具体的には、表示ルールの上記一致した商品識別情報に対して表示ルールに収められて
いる表示内容を参照し、表示する画像を顧客用ディスプレイ2A用のデータとして生成す
る。その際、必要に応じて上述した画像DBに格納される商品の画像データ等を用いる。
なお、表示する内容は、当該商品識別情報の商品に関する広告宣伝情報とすることができ
る。
【0048】
また、表示を行う商品についてクーポン券を発行できることが表示ルールに示されてい
る場合には、表示する広告宣伝画面の所定箇所に、クーポン券の発行をするか否かの指示
を顧客に促す表示を追加するよう、画像データを生成する。また、複数の商品について広
告宣伝表示を行う場合など、当該表示が複数ページ(画面)に及ぶ場合には、表示画面の
所定箇所に、表示ページ(画面)の変更指示を顧客に促す表示を追加するように、画像デ
ータを生成する。
【0049】
このようにして生成された表示用データは、機能拡張処理部14から通信ポート17C
に向けて出力される。
【0050】
出力された表示用データは通信ポート17Cを介して顧客用ディスプレイ2Aに渡され
、ここで表示される。すなわち、顧客に対する広告宣伝表示がなされる。そして、上述し
たクーポン券発行のための表示がない場合、及び、当該表示に対して顧客が発行しない旨
の指示を行った場合には(ステップS5のNo)、当該印刷データについての広告宣伝処
理を終了する。なお、上記顧客の指示は、広告宣伝表示画面上の、上記クーポン券発行の
ための表示の所定箇所を触れることによってなされ、当該指示が顧客用ディスプレイ2A
から機能拡張処理部14へ通知されて処理が終了される。
【0051】
一方、上記表示に対して顧客がクーポン券を発行する旨の指示を行った場合には(ステ
ップS5のYes)、その指示が顧客用ディスプレイ2Aから機能拡張処理部14へ通知
され、機能拡張処理部14は、発行を指示されたクーポン券の印刷データの生成及び出力
の処理を実行する(ステップS6)。なお、上記顧客による発行の指示は、広告宣伝表示
画面上の、上記クーポン券発行のための表示の所定箇所を触れることによってなされる。
また、上記クーポン券発行のための表示には、発行されるクーポン券の内容(次回購入時
50%オフなど)を表示してもよい。
【0052】
上記クーポン券の印刷データ生成では、具体的には、上述した表示ルールにおいて、顧
客がクーポン発行を指示した商品に対して収められるクーポンの内容を参照し、その内容
に従ったクーポン券の印刷データを、必要に応じて上記画像DBのロゴ等を利用して生成
する。クーポン券をカラーで発行する場合にはプリンター3Bで印刷するため、プリンタ
ー3B用のコマンドで表現した印刷データとして生成し、その印刷データを通信ポート1
7Bに出力する。一方、クーポン券をモノクロで発行する場合にはプリンター3Aで印刷
するため、プリンター3A用のコマンドで表現した印刷データとして生成し、その印刷デ
ータを通信ポート17Aに出力する。
【0053】
その後、出力された印刷データは通信ポート17を介してプリンター3に送られ、プリ
ンター3において当該印刷データに基づくクーポン券の印刷が実行される。
【0054】
そして、印刷されたクーポン券が出力されて、当該印刷データ(レシート)についての
広告宣伝処理を終了する。
【0055】
なお、上述の説明では、クーポン券の発行処理を行っていたが、当該処理を行わずに、
広告宣伝機能として広告宣伝表示のみを行うようにしてもよい。この場合には、図2にお
けるステップS4までの処理で広告宣伝処理を終了する。
【0056】
また、上述の説明では、レシートとクーポン券を別々の印刷物として印刷したが、クー
ポン券を発行する場合に、レシート用紙内にクーポン券を印刷するようにしてもよい。例
えば、レシートの印刷面の下部やレシートの裏面にクーポン券を印刷するようにしてもよ
い。裏面に印刷する場合には、当該クーポン付のレシートを印刷するプリンター3は、両
面印刷が可能なプリンターとする。
【0057】
かかる処理を行う場合には、図2におけるステップS2のデータ出力(仮想ポート13
から転送された印刷データの通信ポート17Aへの出力)をこの時点で行わずに、クーポ
ン券の発行を行わない場合には、そのことが決定したした時点で(S3のNo及びS5の
No)当該データ出力を上述の通り実行する。一方、クーポン券の発行を行う場合には、
ステップS6の処理で、クーポン券の印刷データを、仮想ポート13から転送されたレシ
ートの印刷データに統合した後に、データ出力を実行する。この統合後のデータ出力では
、クーポン付レシートの印刷色に適したプリンター3が接続される通信ポート17に対し
て出力が行われる。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態例に係る広告宣伝機能拡張プログラムを用いること
により、既存のPOS端末装置に顧客側ディスプレイやカラープリンターなどの新規装置
を導入した際に、既存のPOSアプリケーションプログラムの変更を伴わない容易な方法
で、既存POSシステムに対し、顧客に対する広告宣伝表示やクーポン券の発行といった
広告宣伝機能を追加することができる。すなわち、図1における太線で示した部分を追加
することにより、当該機能追加が可能になる。
【0059】
また、主な機能拡張処理は、コンピューターのアプリケーション層で行うように構成す
るので、多彩な処理を実行させるプログラムの開発を容易に行うことができる。
【0060】
また、上述した表示ルールをユーザーが適宜変更可能であるので、自在な宣伝広告をタ
イムリーに行うことができる。
【0061】
また、クーポン券を発行する場合に、上述のように、レシートの裏面に統合することに
より、用紙の効率的な利用に寄与できる。
【0062】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発
明とその均等物に及ぶものである。
【符号の説明】
【0063】
1 POS端末装置、 2A 顧客側ディスプレイ、 2B 店員側ディスプレイ、
3 プリンター、 11 POSアプリケーション、 12 プリンター3A用ドライバ
ー、 13 仮想ポート、 14 機能拡張処理部、 15 データ格納部、 16 ル
ール設定部、 17 通信ポート、 110 アプリケーション層、 120 OSカー
ネル層、 130 物理層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OSカーネル層のオペレーティングシステムによって動作し、アプリケーション層のア
プリケーションにより印刷物を出力する、POS端末装置を構成するコンピューターに、
広告宣伝機能を拡張する処理を実行させる広告宣伝機能拡張プログラムであって、
前記アプリケーションから出力される前記印刷物の印刷データを、前記OSカーネル層
で取得するデータ取得工程と、
前記アプリケーション層で、前記データ取得工程で取得された印刷データを解析し、当
該印刷データに所定の販売情報が含まれている場合に、顧客に表示するための表示データ
を生成し、当該表示データを前記コンピューターに接続される顧客側表示装置に出力する
表示工程と、を前記コンピューターに実行させる
ことを特徴とする広告宣伝機能拡張プログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示データを生成するか否かの判断と前記表示データの内容は、前記POS端末装
置のユーザーが設定可能であり予め前記コンピューターに記憶されるルール情報に基づい
て実行される
ことを特徴とする広告宣伝機能拡張プログラム。
【請求項3】
請求項1あるいは2において、
前記販売情報は販売した商品の識別情報であり、前記表示データは当該商品に関する広
告宣伝情報を表示するデータである
ことを特徴とする広告宣伝機能拡張プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、更に、
前記表示工程の後に、クーポン券の発行指示を受けた場合に、当該クーポン券の印刷デ
ータを生成し、当該印刷データを前記コンピューターに接続されるプリンターに出力する
工程を、前記コンピューターに実行させる
ことを特徴とする広告宣伝機能拡張プログラム。
【請求項5】
請求項4において、
前記印刷物はレシートであり、
前記クーポン券の印刷データは、前記データ取得工程で取得されたレシートの印刷デー
タに統合されて、一印刷物の印刷データとして出力される
ことを特徴とする広告宣伝機能拡張プログラム。
【請求項6】
OSカーネル層のオペレーティングシステムによって動作し、アプリケーション層のア
プリケーションにより印刷物を出力する、POS端末装置を構成するコンピューターにお
ける、広告宣伝機能拡張方法であって、
前記コンピューターが、前記アプリケーションから出力される前記印刷物の印刷データ
を、前記OSカーネル層で取得するデータ取得工程と、
前記コンピューターが、前記アプリケーション層で、前記データ取得工程で取得された
印刷データを解析し、当該印刷データに所定の販売情報が含まれている場合に、顧客に表
示するための表示データを生成し、当該表示データを前記コンピューターに接続される顧
客側表示装置に出力する表示工程と、を有する
ことを特徴とする広告宣伝機能拡張方法。
【請求項7】
OSカーネル層のオペレーティングシステムによって動作し、アプリケーション層のア
プリケーションにより印刷物を出力する、POS端末装置を構成するホスト装置であって

前記アプリケーションから出力される前記印刷物の印刷データを、前記OSカーネル層
で取得するデータ取得部と、
前記アプリケーション層で、前記データ取得部で取得された印刷データを解析し、当該
印刷データに所定の販売情報が含まれている場合に、顧客に表示するための表示データを
生成し、当該表示データを前記ホスト装置に接続される顧客側表示装置に出力する機能拡
張処理部と、を有する
ことを特徴とするホスト装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−226413(P2012−226413A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90755(P2011−90755)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】