説明

広告提供システム、広告端末および広告提供方法

【課題】さらに有効な広告媒体を提供するとともに、効率的に広告を提供する技術を提供する。
【解決手段】広告端末3に、周囲における視聴者の存否を検出する人感センサ37と、コンテンツサーバにより配信される広告情報232を取得する通信部38と、人感センサ37による検出結果に応じて、コンテンツサーバから取得された広告情報232を出力する液晶ディスプレイ35と、液晶ディスプレイ35の表示を制御する出力制御部301とを設ける。出力制御部301は、広告情報232とユーザデータ9に基づいてスライドショーを作成し、操作部34が操作されておらず、かつ、周囲に視聴者が存在する状態のときに、液晶ディスプレイ35に作成したスライドショーを表示させる。これにより、広告端末3において、広告情報232が表示されるフォトフレーム機能を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効な広告媒体を提供するとともに、効率的に広告を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビ放送を利用した映像(動画像のみならず、静止画像および音声を含む)による広告が一般家庭向けの広告として広く用いられている。映像によるリアルタイム広告は、新鮮な広告情報を視聴者に提供できるため効果的であり、広告の依頼主となる事業者にとっては顧客獲得のための重要なツールとなっている。
【0003】
リアルタイム広告は、新聞や雑誌に掲載される広告と異なり、広告映像が流れている瞬間に視聴者がその場所に存在していなければ、そのとき流れた広告映像が視聴者の目に触れる機会は失われてしまい、広告の効果がない。一方で、広告映像の再生には電力を消費するのが一般的であり、広告の効果がないのに広告映像の再生を継続することは、昨今の環境に対する関心の高まりもあり、問題である。したがって、映像によるリアルタイム広告にとっては、いかに視聴者の存在する瞬間を狙って広告映像を提供するかが重要である。その点、テレビ放送を用いた広告の場合、視聴者は、元々、テレビ番組を視聴する目的で長時間、テレビ受像機の前に座っているため、有効であった。
【0004】
しかし、昨今では、テレビ放送に限定されない、様々なメディアによる広告も提案されている。例えば、特許文献1には、映画館に設置される表示端末装置にネットワーク(インターネットや公衆回線)から配信される広告情報を表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−010233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1に記載されている技術は映画館等の公共の場で提供される広告であって、一般家庭向けではない。特に、映画館等では、開館時間内であれば、視聴者がまったく存在しないことはあまり想定されないため、広告映像を流し続けるように構成されており、例えば、運用中の省電力については考慮されていないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、さらに有効な広告媒体を提供するとともに、効率的に広告を提供する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、視聴者に広告を提供する広告提供システムであって、広告主に依頼された広告情報をネットワークを介して配信するコンテンツサーバと、前記ネットワークを介して前記コンテンツサーバとの間でデータ通信が可能な状態で接続される少なくとも1つの広告端末とを備え、前記広告端末は、周囲における視聴者の存否を検出する視聴者検出手段と、前記コンテンツサーバにより配信される広告情報を取得する通信手段と、前記視聴者検出手段による検出結果に応じて、前記通信手段により取得された広告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る広告提供システムであって、前記出力手段は、前記視聴者検出手段によって前記広告端末の周囲における視聴者が検出されない場合に、前記通信手段により取得された広告情報の出力を停止することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る広告提供システムであって、前記広告端末は、視聴者によって操作される操作手段と、前記操作手段が視聴者によって操作されたことを検出する操作検出手段とをさらに備え、前記出力手段は、前記操作検出手段による検出結果において、前記操作手段が操作されている場合には、前記通信手段により取得された広告情報の出力を停止することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係る広告提供システムであって、前記出力手段による広告情報の出力状況を示す履歴情報を作成する作成手段と、前記作成手段により作成された履歴情報に基づいて、広告主に対する課金情報を作成する課金手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係る広告提供システムであって、前記通信手段は、ダウンロードスケジュールに応じて、前記コンテンツサーバから広告情報を取得することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係る広告提供システムであって、前記広告端末は、出力スケジュール情報を記憶する記憶手段をさらに備え、前記出力手段は、前記記憶手段に記憶された出力スケジュール情報に応じて、前記通信手段により取得された広告情報を出力することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明に係る広告提供システムであって、前記広告情報は、広告静止画像であり、前記出力手段は、広告情報として前記広告静止画像を表示することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係る広告提供システムであって、前記広告端末は、動作モードとして、前記出力手段が1つ以上の静止画像を順次表示させるフォトフレームモードを有し、前記フォトフレームモードにおいて前記出力手段が表示する1つ以上の静止画像が、前記通信手段により取得された広告情報を含むことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかの発明に係る広告提供システムであって、視聴者により選択された画像に、前記通信手段により取得された広告情報を合成して合成画像を作成する画像合成手段をさらに備え、前記出力手段は、前記合成手段により作成された合成画像を広告情報として表示することを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、広告主に依頼された広告情報をネットワークを介して配信するコンテンツサーバとの間でデータ通信が可能な状態で接続される広告端末であって、周囲における視聴者の存否を検出する視聴者検出手段と、前記コンテンツサーバにより配信される広告情報を取得する通信手段と、前記視聴者検出手段による検出結果に応じて、前記通信手段により取得された広告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項11の発明は、広告主に依頼された広告情報をネットワークを介して配信するコンテンツサーバと、前記ネットワークを介して前記コンテンツサーバとの間でデータ通信が可能な状態で接続される少なくとも1つの広告端末とを備える広告提供システムにより、視聴者に広告を提供する広告提供方法であって、周囲における視聴者の存否を視聴者検出手段により検出する工程と、前記コンテンツサーバにより配信される広告情報を取得する工程と、前記視聴者検出手段による検出結果に応じて、前記コンテンツサーバから取得された広告情報を前記広告端末に出力する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし10に記載の発明は、周囲における視聴者の存否を検出する視聴者検出手段と、コンテンツサーバにより配信される広告情報を取得する通信手段と、視聴者検出手段による検出結果に応じて、通信手段により取得された広告情報を出力する出力手段とを備えることにより、簡易で価格の安い広告端末を視聴者側に設置するだけで広告媒体として利用できる。また、ネットワークに接続された装置は広く普及しており、これを広告端末として用いることもできる。したがって、一般家庭にも容易に導入可能であり、広告媒体を飛躍的に増大させることができる。また、視聴者の存否に応じて広告情報を出力することにより、効果的かつ効率的な広告の提供が可能となる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、視聴者検出手段によって広告端末の周囲における視聴者が検出されない場合に、通信手段により取得された広告情報の出力を停止することにより、視聴者が存在するときにのみ、広告情報を出力するので、より効果的かつ効率的に広告を提供できる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、視聴者によって操作される操作手段と、操作手段が視聴者によって操作されたことを検出する操作検出手段とをさらに備え、操作検出手段による検出結果において、操作手段が操作されている場合には、通信手段により取得された広告情報の出力を停止することにより、操作中の視聴者が広告情報に煩わされることがないので、広告端末の操作性が向上する。
【0022】
請求項4に記載の発明は、出力手段による広告情報の出力状況を示す履歴情報を作成する作成手段と、作成手段により作成された履歴情報に基づいて、広告主に対する課金情報を作成する課金手段とをさらに備えることにより、広告情報の出力状況に応じた課金を実現できる。したがって、実勢に応じた課金を行うことができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、ダウンロードスケジュールに応じて、コンテンツサーバから広告情報を取得することにより、スケジュールに従って、広告情報を更新することができるため、タイムリーな広告を提供することができる。したがって、広告媒体としての柔軟性が向上する。
【0024】
請求項6に記載の発明は、広告端末は、出力スケジュール情報を記憶する記憶手段をさらに備え、記憶手段に記憶された出力スケジュール情報に応じて、通信手段により取得された広告情報を出力することにより、曜日や日時等に応じて広告情報を出力することができるため、より効果的かつ効率的な広告を提供できる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、広告情報は、広告静止画像であり、出力手段は、広告情報として広告静止画像を表示することにより、広告情報の情報量を抑制することができる。したがって、広告情報を取得する際のネットワーク帯域の圧迫を抑制できる。また、広告端末の必要記憶容量を抑制できる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、視聴者により選択された画像に、通信手段により取得された広告情報を合成して合成画像を作成する画像合成手段をさらに備え、出力手段は、合成手段により作成された合成画像を広告情報として表示することにより、例えば、バックの写真画像は視聴者の好みの画像を表示させつつ、文字画像として広告を表示することが可能である。すなわち、広告を柔軟に提供することができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、広告主に依頼された広告情報をネットワークを介して配信するコンテンツサーバと、ネットワークを介して前記コンテンツサーバとの間でデータ通信が可能な状態で接続される少なくとも1つの広告端末とを備える広告提供システムにより、視聴者に広告を提供する広告提供方法であって、周囲における視聴者の存否を視聴者検出手段により検出する工程と、コンテンツサーバにより配信される広告情報を取得する工程と、視聴者検出手段による検出結果に応じて、コンテンツサーバから取得された広告情報を広告端末に出力する工程とを有することにより、簡易で価格の安い広告端末を視聴者側に設置するだけで広告媒体として利用できる。また、ネットワークに接続された装置は広く普及しており、これを広告端末として用いることもできる。したがって、一般家庭にも容易に導入可能であり、広告媒体を飛躍的に増大させることができる。また、視聴者の存否に応じて広告情報を出力することにより、効果的かつ効率的な広告の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る広告提供システムを示す図である。
【図2】コンテンツサーバを示す図である。
【図3】ハードディスクに記憶される端末データベースの例を示す図である。
【図4】ハードディスクに記憶される広告データベースの例を示す図である。
【図5】コンテンツサーバの機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図6】本発明に係る広告端末を示す図である。
【図7】広告端末の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図8】広告提供方法のうち、主に、コンテンツサーバにおいて実現される工程を示す流れ図である。
【図9】広告提供方法のうち、主に、コンテンツサーバにおいて実現される工程を示す流れ図である。
【図10】広告提供方法のうち、主に、広告端末において実現される工程を示す流れ図である。
【図11】広告提供方法のうち、主に、広告端末において実現される工程を示す流れ図である。
【図12】広告端末における広告表示処理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0030】
<1. 実施の形態>
図1は、本発明に係る広告提供システム1を示す図である。広告提供システム1は、広告主に依頼された広告情報(後述)をネットワーク8を介して配信するコンテンツサーバ2と、ネットワーク8を介してコンテンツサーバ2との間でデータ通信が可能な状態で接続される複数の広告端末3とを備えている。
【0031】
なお、図1では、3つの広告端末3を示しているが、広告端末3の数はこれに限定されるものではない。また、ネットワーク8は、インターネットや公衆回線が該当するが、これに限定されるものではない。
【0032】
図2は、コンテンツサーバ2を示す図である。コンテンツサーバ2は、各種データの演算を行うとともにコンテンツサーバ2の各構成を制御するCPU20、CPU20のワーキングエリアとして使用されるRAM21、プログラム220を格納する読み取り専用のROM22、および、ハードディスク23を備えている。このようにコンテンツサーバ2は、一般的なコンピュータとしての構成を備えており、例えば広告代理店やプロバイダの店舗等に設置される。
【0033】
ハードディスク23は、比較的大容量のデータを記憶するように設計された記憶装置であるとともに、電力供給がないとき(コンテンツサーバ2の電源が落とされた場合)でも記憶したデータが失われないようになっている(不揮発性記憶媒体)。特に、本実施の形態におけるハードディスク23は、図2に示すように、端末データベース230および広告データベース231を記憶するために使用される。
【0034】
図3は、ハードディスク23に記憶される端末データベース230の例を示す図である。図3に示すように、端末データベース230は、端末IDと、ネットワークアドレスと、個人情報と、通信日とが互いに関連づけられて1つのレコードを構成するテーブル構造のデータベースである。
【0035】
端末IDは、広告提供システム1を構成する複数の広告端末3を個々に識別するために付与される広告IDである。詳細は後述するが、本実施の形態における端末IDは、端末データベース230に新たな広告端末3が登録される際に、コンテンツサーバ2(CPU20)によって自動的に付与される。
【0036】
また、ネットワークアドレスは、各広告端末3のネットワーク8におけるアドレスである。端末データベース230にネットワークアドレスが格納されることにより、コンテンツサーバ2は、個々の広告端末3にアクセスすることが可能となる。
【0037】
また、個人情報とは、各広告端末3のユーザに関する情報であり、図3に示す例では、ユーザ名と住所とが含まれている。ただし、個人情報はこれに限定されるものではなく、例えば電話番号や性別、年齢、家族構成、登録日、関心事等が含まれていてもよい。また、ネットワークアドレスを個人情報に含めて管理してもよい。
【0038】
また、通信日とは、コンテンツサーバ2が当該広告端末3から最後に履歴情報211を受信した日付を格納したものである。
【0039】
図4は、ハードディスク23に記憶される広告データベース231の例を示す図である。図4に示すように、広告データベース231は、広告情報232と、広告主と、単価と、出力先と、課金情報233と、更新日とが互いに関連づけられて1つのレコードを構成するテーブル構造のデータベースである。
【0040】
広告情報232とは、広告データベース231における1つのレコードを構成する情報のうち、広告端末3に向けて送信される情報の総称である。本実施の形態における広告情報232は、広告IDと、出力スケジュール情報234と、コンテンツ235とを含んでいる。ただし、広告情報232に含まれる情報は、広告データベース231に格納されている情報のうち、上記の情報に限定されるものではなく、他の情報(例えば「広告主」)を含めてもよい。
【0041】
広告IDとは、広告データベース231に格納され、コンテンツサーバ2から配信される広告を個別に識別するための情報である。広告IDは、各広告が広告データベース231に登録される際に、コンテンツサーバ2によって付与される。
【0042】
出力スケジュール情報234は、各広告端末3において当該広告をどのような日時(スケジュール)に出力するかを決定する情報である。図4に示す例では、毎日(EveryDay)、平日(WeekDay)、週末(WeekEnd)や、時間帯が格納されている。
【0043】
なお、出力スケジュール情報234は、季節や月によって指定できてもよいし、複数種類を組み合わせてもよい。あるいは、後述するフォトフレーム機能における1回当たりの表示時間(連続表示時間)を個別に規定してもよいし、基準となる画像に対する表示頻度を規定してもよい。
【0044】
出力スケジュール情報234は、広告主が、広告を依頼する際に、各自の商品やサービスに応じて、最も適切であると信じるスケジュールを、提示される単価を考慮しつつ選択することが好ましい。
【0045】
コンテンツ235は、詳細は後述するが、各広告端末3において出力される情報である。コンテンツ235は、通常は、広告主により制作され、コンテンツサーバ2に入力され格納されるが、もちろんコンテンツサーバ2の提供者が作成してもよい。
【0046】
一般に、動画像による広告は、ユーザに対する宣伝効果が高いという利点がある。また、音声による広告は、ユーザが広告端末3の画面に注視していなくても、広告の内容等を容易に知覚することができるため、画像のみの広告に比べて効果的である。しかしながら、静止画像のみの場合に比べてこれらの情報を含む場合は広告情報232の情報量が増大するため、コンテンツサーバ2が広告情報232を各広告端末3に配信するときに、ネットワーク8の帯域を圧迫するおそれがある。
【0047】
したがって、本実施の形態における広告提供システム1では、広告情報232に含まれるコンテンツは静止画像とする。ただし、配信する広告情報232の情報量や広告端末3の数に対して、ネットワーク8の帯域を充分に確保できる場合には、コンテンツ235として動画像や音声を含めてもよい。図4に示す例では、コンテンツ235の静止画像として、写真(「PHO1.jpg」や「PHO2.jpg」)、商標やキャッチフレーズ文字等(「IMG4.bmp」)が格納されている。
【0048】
広告主とは、広告データベース231に格納されている各広告を提供する者の名称(あるいは広告IDでもよい)である。課金情報233として計算される広告料金は、当該課金情報233に関連づけられている広告主に請求される。
【0049】
単価とは、各広告に対する広告料金を算出する基準となる値であり、図4に示す例では、広告が出力された総時間当たりの金額と、出力先の広告端末数当たりの金額との二重料金制となっている。
【0050】
広告が提供される場合、当該広告が出力(表示)される総時間が広告効果に影響を与えるのは当然である。したがって、広告提供システム1は、広告の総出力時間を求めて広告料金を算出できるように構成されている。また、同じ家庭(出力先)に2時間表示されるよりも、2件に1時間ずつ表示される方が、一般に広告効果は高いと期待される。したがって、広告提供システム1は、広告の総出力時間だけでなく、出力先の数をカウントして広告料金に反映できるように構成されている。
【0051】
「単価」は、広告が出力される日時(出力スケジュール情報234)や、「コンテンツ235」の種類、情報量等によって変化する。詳細は後述するが、本実施の形態における広告提供システム1では、視聴者が存在しないと判断されるときには、広告を表示しないように構成しているため、誰にも視聴されないという事態は低減されている。それでも時間帯によって、視聴者の数は変化するため、多数の視聴者が期待される曜日や時間帯とそうでないときとでは「単価」に差を設けることが好ましい。なお、単価は、出力回数等を基準に決定されていてもよいし、貨幣単位は「円」に限定されるものではない。
【0052】
出力先とは、当該広告を出力したことを、履歴情報(後述)により通知してきた広告端末3の端末IDが格納される。当該端末IDの数をカウントすることにより、当該広告を実際に出力した広告端末3の数を求めることができる。本実施の形態における広告提供システム1は、出力先の数を課金情報233を算出する基の情報とする。
【0053】
課金情報233とは、該当する広告を広告端末3に出力したことに対する対価として、当該広告を依頼した広告主に対して請求する広告料金の総額を示す情報である。課金情報233は、CPU20が定期的に「単価」や「出力先」等に応じて算出し、広告データベース231に格納する。詳細は後述するが、本実施の形態では、コンテンツサーバ2が履歴情報211を受信するごとに、課金情報233を算出する。
【0054】
更新日は、当該広告が広告データベース231に登録あるいは更新された日を示す情報である。なお、図4に示す例では、更新日として時刻までは格納していないが、もちろん時刻を格納してもよい。
【0055】
図2に戻って、コンテンツサーバ2は、さらに操作部24、表示部25および通信部26を備えている。なお、図2では図示を省略しているが、コンテンツサーバ2は、課金情報233をプリントアウトして広告主に対する請求書を作成するプリンタを備えていてもよい。
【0056】
操作部24は、例えば、各種ボタン類やキーボード、マウス等が該当する。操作部24は、コンテンツサーバ2のオペレータ(以下、単に「オペレータ」と省略する。)が、コンテンツサーバ2に各種の情報を入力する際に使用される。例えば、操作部24は、オペレータが端末データベース230や広告データベース231を作成(編集)する際に、当該オペレータによって操作される。
【0057】
表示部25は、例えば、液晶ディスプレイやCRT等が該当する。表示部25は、各種の情報(端末データベース230や広告データベース231等)を画面に表示することにより、表示した情報をオペレータに視認させる機能を提供する。
【0058】
通信部26は、コンテンツサーバ2をネットワーク8に接続する機能を提供する。これにより、コンテンツサーバ2は、ネットワーク8を介して、各広告端末3との間でデータ通信が可能となる。特に、通信部26は、各広告端末3から送信される登録情報210および履歴情報211を受信するとともに、各広告端末3に広告情報232を送信(配信)する。
【0059】
図5は、コンテンツサーバ2の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図5に示す登録部200、課金部201および配信部202は、CPU20がプログラム220に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0060】
詳細は後述するが、図5に示す登録情報210および履歴情報211は、いずれも広告端末3において作成され、コンテンツサーバ2に向けて送信された情報である。通信部26は、登録情報210および履歴情報211を受信した場合、これらをRAM21に転送し記憶させる。
【0061】
登録部200は、通信部26が受信した登録情報210に基づいて、端末データベース230を編集する機能を有する。
【0062】
課金部201は、履歴情報211と、広告データベース231に格納されている「単価」および「出力先」とに基づいて、各広告ごとに、広告主に対する課金情報233を作成し広告データベース231に格納する機能を有している。
【0063】
配信部202は、履歴情報211と端末データベース230とを参照しつつ、広告データベース231に格納されている広告情報232を、各広告端末3に配信する機能を有する。
【0064】
また、配信部202は、履歴情報211に基づいて、当該履歴情報211を送信してきた広告端末3の「通信日」を更新するとともに、当該広告端末3の端末IDを広告データベース231の「出力先」に格納する。
【0065】
また、配信部202は、定期的に端末データベース230の「通信日」を確認する。そして、長期間、履歴情報211を送信してこない広告端末3が存在する場合には、端末データベース230に格納されている当該広告端末3の「ネットワークアドレス」を用いて当該広告端末3にアクセスし、当該広告端末3に履歴情報211を送信するよう要求する。さらに、当該広告端末3に接続できないために送信要求ができない場合や、送信要求によっても履歴情報211を送信してこない場合は、表示部25に当該広告端末3についての警告を表示させて、オペレータに通知する。
【0066】
広告提供システム1では、履歴情報211によって課金情報233が作成され、これが広告料金として広告主に請求される。そのため、履歴情報211が回収できない場合、コンテンツサーバ2の提供者は、広告主に広告料金を請求できず、広告収入の減少を招来する。そこで、配信部202は、履歴情報211が正常に送信されているか否かを各広告端末3ごとに確認し、送信してこない広告端末3が存在する場合には警告する。これにより、広告提供システム1は、広告収入の減少を抑制することができる。
【0067】
図6は、本発明に係る広告端末3を示す図である。なお、広告提供システム1が備える複数の広告端末3は、必ずしも完全に同一の装置である必要はないが、本実施の形態では説明の便宜上、同一の装置として説明する。
【0068】
広告端末3は、各種データの演算を行うとともに広告端末3の各構成を制御するCPU30、CPU30のワーキングエリアとして使用されるRAM31、プログラム320を格納する読み取り専用のROM32、および、広告情報232を記憶するメモリユニット33を備えている。
【0069】
このように広告端末3は、一般的なコンピュータとしての構成および機能を備えた装置であり、主に個人宅に設置される。昨今、個人宅に設置されるパーソナルコンピュータはインターネット等のネットワーク8に接続することが可能となっているものも多い。また、用途上、当然に通信機能を備えたコンピュータとしては、すでに広く普及している携帯電話も存在する。したがって、広告提供システム1を構成する広告端末3としては、パーソナルコンピュータや携帯電話を想定する(あるいは流用する)ことももちろん可能である。これにより、新たな装置を購入させる場合に比べて低コストでシステムを導入できるため、広告媒体を増大させることができる。
【0070】
しかし、一般家庭に設置されるパーソナルコンピュータは、ユーザが何らかの目的で操作し使用し続けているときに電源が投入された状態となる装置である。逆に言えば、何ら使用しないときに電源が投入されたままの状態となることはむしろ稀である。
【0071】
そして、ユーザが積極的に使用中の装置に広告情報232を出力させると、ユーザの本来の使用が阻害されるため、広告を出力することが逆効果になるおそれがある。例えば、ワープロソフトを使用して文章を作成しているときに、画面に広告情報232が表示されると、ユーザは文章の作成作業を中断させられることになり、広告に対する反感を持つかもしれない。したがって、詳細は後述するが、広告提供システム1では、ユーザが広告端末3を使用していないときに、広告情報232を出力(表示)するように構成する。
【0072】
しかしながら、先述のように、パーソナルコンピュータは、ユーザが使用していないときには、電源も切られていることが多く、広告情報232を表示させる時間が短くなるという欠点がある。したがって、パーソナルコンピュータを広告端末3として用いることは技術的にはもちろん可能であるが、最適な装置とはいえない面がある。
【0073】
また、携帯電話は常時通電されているが、使用中でないときにはポケットやカバン等に格納されていることが多く、広告情報232を出力する効果が薄い。また、携帯電話のように持ち運ぶことを想定した装置は、電池で駆動されるため、消費電力を極力抑制する必要があり、その意味でも、使用中でないときに、むやみに広告情報232を出力することは好ましくない。したがって、携帯電話を広告端末3として用いることも技術的にはもちろん可能であるが、これも最適な装置とはいえない。
【0074】
以上のことから、広告端末3としては、ユーザによる操作時間(作業時間)が短く、かつ、操作していない時間においても電源が投入されている装置が適していると言える。本実施の形態における広告提供システム1では、広告端末3は、ネットワーク8に接続する機能を有する表示装置(閲覧端末)として説明する。
【0075】
表示装置は、パーソナルコンピュータに比べて安価に実現できるため、サービス提供者がユーザに無償(あるいは、かなりの低価格)で配布することも考えられる。すなわち、より多くの家庭に普及させることが可能となり、広告媒体の増大を図ることができる。
【0076】
また、表示装置は、情報の閲覧に特化した装置であるため、パーソナルコンピュータに比べて機能が制限される代わりに、操作も容易であり、ユーザの煩わしさを軽減することができる。操作が煩わしければ、ユーザは積極的に広告情報232を出力させようとはしないから、広告提供システム1において広告端末3の操作が容易であることは重要な要素である。
【0077】
なお、広告端末3は、広告情報232を閲覧するための専用端末として構成することも可能であるが、ネットワーク8を介して、天気予報、占い、ニュース、メール送受信、HPやブログ閲覧、レシピの閲覧、ビデオ再生、時計表示、カレンダー表示等の様々なサービスの提供を受けることが可能とされていることが好ましい。このようなサービスは、コンテンツサーバ2が提供してもよいし、ネットワーク8に接続される他の装置が提供してもよい。
【0078】
また、広告端末3は、図示しない計測センサにより、家庭内の消費電力量を計測する機能を有していてもよい。昨今のエコロジー(環境)に対する関心の高まりにより、このような機能を有する装置は、ユーザに対する訴求効果が期待できる。
【0079】
このように、広告端末3を専用端末とするのではなく、様々なサービスが提供される装置として構成することにより、積極的に広告端末3を設置し、利用(電源投入)しようとするユーザの意欲を増大させることができる。
【0080】
図6に示す広告端末3のメモリユニット33は、記憶した情報の読み取りのみならず、新たな情報を書き込むことも可能であり、かつ、広告端末3の電源が断たれても、記憶した情報が失われない不揮発性の記憶媒体である。特に、本実施の形態におけるメモリユニット33は、コンテンツサーバ2から配信される広告情報232(出力スケジュール情報234)を記憶する。
【0081】
メモリユニット33に記憶されている設定情報330は、登録時にコンテンツサーバ2によって付与される端末IDと、コンテンツサーバ2のネットワーク8におけるネットワークアドレスと、コンテンツサーバ2に対して広告情報232のダウンロードを要求するタイミングを決定するダウンロードスケジュールとを含んでいる。
【0082】
また、ユーザデータ9は、ユーザによって取得される情報の総称であり、例えば、コンテンツサーバ2から提供される風景写真や動植物の写真等(広告情報232を含まない静止画像)である。ユーザデータ9は、主に、ユーザが操作部34を操作することにより、コンテンツサーバ2からダウンロードされ、メモリユニット33に記憶される。ただし、ユーザデータ9は、ユーザが撮影した写真や、録音した音楽のデータ等であってもよいし、動画像であってもよい。また、ユーザデータ9は、メモリカードやSDカード等からメモリユニット33に読み込まれてもよい。
【0083】
なお、メモリユニット33は、必ずしも広告端末3に組み込まれた一体型の構造物である必要はなく、例えば、広告端末3の内部に挿入されたメモリカード等の可搬性(着脱可能な)記憶媒体自体であってもよい。また、後述するフォトフレームモードにおいてスライドショーとして使用するユーザデータ9(静止画像)は、メモリユニット33に作成される既定のフォルダーに格納されていることが好ましい。
【0084】
図6に示すように、広告端末3は、さらに操作部34、液晶ディスプレイ35、スピーカ36、人感センサ37および通信部38を備えている。
【0085】
操作部34は、例えば、各種ボタン類やテンキー、カーソルキー等が該当する。操作部34は、広告端末3のユーザが、広告端末3に各種の情報を入力する際に使用される。例えば、操作部34は、ユーザが登録情報210を作成(編集)する際に、当該ユーザによって操作される。
【0086】
液晶ディスプレイ35は、各種の情報を画面に表示することにより、表示した情報をユーザに視認させる機能を提供する。特に、液晶ディスプレイ35は、広告情報232を出力表示する。なお、操作部34を補助するために、ソフトウェアキーを液晶ディスプレイ35に表示してもよい。
【0087】
スピーカ36は、音を再生する機能を有するハードウェアである。先述のように、本実施の形態における広告情報232は音声情報を含まない。したがって、本実施の形態における広告端末3は出力手段としてのスピーカ36は必要ない。しかし、後述するフォトフレーム機能を実現する際に、広告端末3はユーザの好みのBGMをスピーカ36により再生することが可能なように構成されている。なお、広告情報232が音声情報を含む場合には、スピーカ36は、広告情報232の出力手段として、広告に関するガイダンスやCMソング等の音声出力を行う。
【0088】
人感センサ37は、広告端末3の周囲におけるユーザ(視聴者)の存否を検出し、CPU30に検出結果を伝達する機能を有する。本実施の形態における人感センサ37は赤外センサである。人感センサ37は、広告端末3を操作することが可能な範囲よりも広範囲(例えば同一室内程度)における人物を検出する。
【0089】
本実施の形態における広告情報232は、先述のように、音声情報を含まないものとして説明する。したがって、人感センサ37は、液晶ディスプレイ35の前方(液晶ディスプレイ35を視認することができる方向)における人物を特に検出するように、検出範囲が設定されていることが好ましい。ただし、広告情報232が音声情報を含む場合には、音声の届く範囲の人物(すなわち後方の人物)も検出することが好ましい。
【0090】
また、人感センサ37の検出範囲は、床上70cm〜250cm程度の高さ範囲に設定される。これにより、留守中のペット(室内犬や猫等)を「人物」と誤認することによる誤検出を抑制することができる。
【0091】
なお、人感センサ37は、周囲におけるユーザの存否を検出できるものであれば、赤外センサに限定されるものではない。例えば、周囲を撮像するカメラにより実現されてもよい。すなわち、カメラにより撮像された画像をCPU30が処理(動き検出や形状認識)することにより、周囲における人物の存否を検出するようにしてもよい。エッジ検出等により人間の形状を認識して人物を検出する場合、動きによる人物検出に比べて、ペット等を誤認する可能性を抑制することができる。
【0092】
通信部38は、広告端末3をネットワーク8に接続する機能を提供する。これにより、広告端末3は、ネットワーク8を介して、コンテンツサーバ2との間でデータ通信が可能となる。特に、通信部38は、コンテンツサーバ2から送信される広告情報232を受信してメモリユニット33に転送し記憶させるとともに、コンテンツサーバ2によって付与される端末IDを受信した場合は、設定情報330としてメモリユニット33に格納する。また、ユーザが操作部34を操作することにより作成される登録情報210や、CPU30によって作成される履歴情報211をコンテンツサーバ2に向けて送信する機能も有している。
【0093】
図7は、広告端末3の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図7に示すデータ管理部300、出力制御部301、モード設定部302および履歴作成部303は、CPU30がプログラム320に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0094】
データ管理部300は、設定情報330を参照することにより、ダウンロードスケジュールに従って、通信部38に対して、ダウンロード要求をコンテンツサーバ2に向けて送信するように指示(以下、「ダウンロード指示」と称する。)を伝達する。ダウンロード指示があると、通信部38は、設定情報330に含まれるコンテンツサーバ2のネットワークアドレスを取得して、ダウンロード要求をコンテンツサーバ2に向けて送信する。
【0095】
なお、ダウンロード要求とは、広告情報232を送信するように、広告端末3がコンテンツサーバ2に要求する情報であり、少なくとも当該広告端末3を識別するための端末IDが含まれる。詳細は後述するが、本実施の形態における広告端末3は、履歴情報211をコンテンツサーバ2に向けて送信することにより、ダウンロード要求を行う。すなわち、履歴情報211とダウンロード要求とが兼用される。
【0096】
また、データ管理部300は、広告情報232に含まれる出力スケジュール情報234を参照することにより、広告情報232に含まれる複数のコンテンツ235ごとに、それぞれ出力可否を判定し、出力制御部301に伝達する。
【0097】
出力制御部301は、データ管理部300から伝達される各コンテンツ235に対する出力可否と、モード設定部302から伝達される広告端末3の動作モードとに応じて、広告情報232を液晶ディスプレイ35に表示させる。
【0098】
また、出力制御部301は、ユーザにより選択されたユーザデータ9(画像)に、広告情報232(コンテンツ235)を合成して合成画像を作成し、作成した合成画像を広告情報232として液晶ディスプレイ35に表示させる。
【0099】
モード設定部302は、広告端末3の電源投入時における動作を規定する動作モードを設定し、出力制御部301に伝達する機能を有する。詳細は後述するが、モード設定部302は、操作部34の操作状況(無操作期間nt)と、人感センサ37による検出結果(不存在期間ut)とに応じて動作モードを設定する。
【0100】
無操作期間ntとは、最後に操作部34が操作されてからの経過時間である。モード設定部302は、常時、操作部34に対する操作の有無を監視し、操作部34に対して操作がされたか否かを検出する。すなわち、モード設定部302は、操作部34に対するユーザの操作が行われるたびに、操作部34からの信号に応じて、無操作期間ntの値を「0」にリセットしつつ無操作期間ntを計測する。
【0101】
また、不存在期間utとは、人感センサ37が人物を最後に検出してからの経過時間である。モード設定部302は、常時、人感センサ37からの信号を監視しており、人感センサ37によって人物(ユーザ)が検出されるたびに、不存在期間utの値を「0」にリセットしつつ不存在期間utを計測している。
【0102】
本実施の形態における広告端末3は、動作モードとして、ユーザの使用を優先させる通常モードと、液晶ディスプレイ35が1つ以上の静止画像を順次表示させるフォトフレームモードと、消費電力の抑制を優先する省電力モードとを有する。
【0103】
詳細は後述するが、モード設定部302は、無操作期間ntが「NT」以上となったときに、ユーザによる広告端末3の使用がされていないと判断し、通常モードを終了させる。また、不存在期間utが「UT」以上となったときに、液晶ディスプレイ35を視聴するユーザが周囲にいないと判断し、フォトフレームモードを終了させる。なお、「NT」や「UT」は、設定情報330に適当な値を予め格納しておくことができる。
【0104】
履歴作成部303は、出力制御部301から広告情報232の出力状況(液晶ディスプレイ35への表示時間DT)を取得して、当該出力状況に応じて、広告情報232の履歴情報211を作成(更新)する。さらに、履歴作成部303は、通信部38から履歴情報211のコンテンツサーバ2への送信を完了したことを示す通知(以下、「送信完了通知」と称する。)があると、履歴情報211を初期状態にリセットする。
【0105】
以上が、広告提供システム1の構成および機能の説明である。次に、広告提供システム1を用いて、広告を提供する方法(広告提供方法)について説明する。
【0106】
図8および図9は、広告提供方法のうち、主に、コンテンツサーバ2において実現される工程を示す流れ図である。まず、コンテンツサーバ2は、サービスの提供(広告情報232の提供)を開始する前に、所定の初期設定を実行してから待機状態となる。
【0107】
待機状態において、コンテンツサーバ2は、広告データベース231に対する編集要求(広告編集要求)の有無(ステップS1)と、新たな広告端末3からの端末登録要求の有無(ステップS3)と、広告端末3からのダウンロード要求の有無(ステップS11)とを監視している。なお、待機状態において、コンテンツサーバ2は、必ずしも他の処理を実行することなく、ただ待機しているわけではなく、その他の処理(例えば、天気予報の提供やレシピの公開、請求書の発行処理等)を実行していてもよい。
【0108】
待機状態において、オペレータによって操作部24が操作され、広告の編集が要求されると、コンテンツサーバ2はステップS1においてYesと判定し、例えば、広告データベース231を編集するための画面を表示部25に表示させる。
【0109】
広告の編集では、「新規登録」と、「削除」と、「更新」が選択可能とされる。「新規登録」とは、新たな広告の依頼があったときに、広告データベース231に新たなレコードを登録する処理である。また、「削除」とは、広告データベース231に登録されているレコードのうち、不必要になったレコードの広告情報232の配信を停止させる処理である。また、「更新」とは、広告データベース231に登録されているレコードのうち、一部の情報を書き替える処理である。
【0110】
広告の編集において「新規登録」が選択されると、コンテンツサーバ2は、新たに依頼された広告を配信し提供するために必要となる情報の入力(取得)を促す。そして、取得された情報に基づいて、広告データベース231のレコードを作成し、当該レコードに新たな「広告ID」を付与する。
【0111】
すなわち、当該新たなレコードに、広告ID、広告情報232、広告主、単価、課金情報233および更新日(この場合は登録日を意味する)が格納される。このとき、課金情報233には「0」が格納されるが、未だ配信されてもいない広告情報232については「出力先」は存在しないので、「出力先」には何も格納されない。
【0112】
広告の編集において「削除」が選択されると、コンテンツサーバ2は、削除の対象となる広告(既登録レコード)を選択するよう促す。そして、選択されたレコードにおける広告情報232の「広告ID」以外の情報(本実施の形態では、出力スケジュール情報234およびコンテンツ235)を削除するとともに、更新日を「削除」が実行された日付に更新する。
【0113】
これにより、「削除」が実行されたレコードにおいては、広告情報232における「広告ID」のみが広告情報232として配信されるため、出力スケジュール情報234やコンテンツ235が広告端末3に配信されることはない。
【0114】
なお、詳細は後述するが、「広告ID」のみの広告情報232が受信されることにより、広告端末3は、当該「広告ID」で示される広告が削除されたと判断し、メモリユニット33に記憶されている広告情報232から、当該「広告ID」で示される広告に関する情報を削除する。また、広告情報232がダウンロードされるときは、更新日が確認されるため、広告IDのみの広告情報232(削除された広告の広告情報232)の配信は各広告端末3に対して一度しか実行されない。
【0115】
ここで、削除されたレコードについて、広告データベース231から当該レコード全体を削除しない目的は、過去のレコードも保存しておかなければ、削除後に送信されてくる履歴情報211に基づいた課金が行えなくなるからである。ただし、削除後、ただちに削除された旨が全広告端末3に通知され、当該広告に関する履歴情報211がただちに回収される場合(タイムラグを無視できる場合)や、削除後の広告料金を端数として無視する場合には、レコード全体を削除してもよい。
【0116】
広告の編集において「更新」が選択されると、コンテンツサーバ2は、更新の対象となる広告(既登録レコード)を選択するよう促すとともに、更新する情報の入力を促す。そして、入力された情報に応じて、新たなレコードを作成するか否かを判定する。
【0117】
例えば、広告主の名称が変更になり、これを更新するような場合は、その他の情報は更新する必要はないし、以後の履歴情報211にもそのまま対応可能である。したがって、そのような情報が更新される場合には、新たなレコードを作成せずに、旧レコードの該当する情報のみを書き替える。
【0118】
一方で、例えば、コンテンツ235が変更になる場合は、これに連動して、単価、出力先、課金情報233および更新日の変更が必要となる。また、「削除」のときと同様に、旧コンテンツ235に対する課金を担保するために、旧レコードも保存しておく必要がある。このような場合には、コンテンツサーバ2は、広告データベース231のレコードを作成し、当該レコードに新たな「広告ID」を付与する。そして、当該新たなレコードに、広告ID、広告情報232、広告主、単価、出力先、課金情報233および更新日を格納する。このとき、更新(変更)の対象とならない情報については過去の情報が旧レコードから新たなレコードに複写される。さらに、更新の対象となったレコード(旧レコード)の広告情報232から「広告ID」以外の情報を削除するとともに、更新日を「更新」が実行された日付に更新する。
【0119】
このように、オペレータによって広告の編集が要求されると(ステップS1においてYes)、広告の編集において、「新規登録」、「削除」、または「更新」が実行されれることにより、広告データベース231が編集される(ステップS2)。ステップS2が実行され、広告データベース231の編集が完了すると、コンテンツサーバ2は、再び待機状態に戻る。
【0120】
待機状態において、コンテンツサーバ2の通信部26が、登録情報210を受信すると、通信部26は受信した登録情報210をRAM21に転送し記憶させる。そして、CPU20(登録部200)は、ステップS3においてYesと判定し、当該登録情報210を送信してきた広告端末3に新たな端末IDを付与する(ステップS4)。
【0121】
次に、登録部200は、端末データベース230に新たなレコードを作成し、ステップS4において付与した端末IDを格納するとともに、登録情報210に基づいて、ネットワークアドレスおよび個人情報を格納する。これにより、当該登録情報210を送信した広告端末3が端末データベース230に登録される(ステップS5)。
【0122】
さらに、配信部202が新たに端末IDを付与された広告端末3に向けて、当該端末IDを送信するように、通信部26を制御する。通信部26は、配信部202から伝達されるネットワークアドレスに従って新規登録された広告端末3にアクセスし、同じく配信部202から伝達される新たに付与された端末IDを当該広告端末3に向けて送信する(ステップS6)。ステップS6が実行され、端末IDを通知した後、コンテンツサーバ2は、再び待機状態に戻る。
【0123】
待機状態において、コンテンツサーバ2の通信部26がダウンロード要求を受信すると、CPU20がステップS11においてYesと判定する。なお、本実施の形態における広告提供システム1では、履歴情報211の受信により、ステップS11においてYesと判定される。
【0124】
履歴情報211には、当該履歴情報211を送信した広告端末3の端末IDと、当該広告端末3のメモリユニット33に格納されている広告情報232に含まれる「広告ID」と、各「広告ID」に関連づけられた表示時間otとが含まれている。「広告ID」に関連づけられた表示時間otとは、当該「広告ID」で示される広告(コンテンツ235)を広告端末3において表示した時間の累計時間(ただし、直近の履歴情報211を送信してから当該履歴情報211を送信するまでの間の累計)である。
【0125】
ステップS11においてYesと判定すると、配信部202は、受信した履歴情報211に含まれる端末ID(当該履歴情報211を送信した広告端末3を特定する情報)をキーとして、端末データベース230を検索する。これにより、配信部202は、当該広告端末3のネットワークアドレスと、当該広告端末3とコンテンツサーバ2との最終の通信日とを取得する(ステップS12)。
【0126】
そして、取得した最終の通信日と、広告データベース231の各レコードに記録されている「更新日」とを比較しつつ(ステップS13)、取得した最終の通信日よりも更新日の方が新しいレコード(広告)を、要送信広告として特定する(ステップS14)。すなわち、ステップS13,S14によって、広告データベース231から、直近のダウンロード要求以後に更新されたレコードが特定される。
【0127】
次に、配信部202は、ステップS12で取得したネットワークアドレスと、ステップS14において特定した要送信広告の広告情報232とを通信部26に伝達する。これに応じて、通信部26は、配信部202から伝達されたネットワークアドレスを用いて広告端末3(すなわち、履歴情報211を送信した広告端末3)にアクセスし、広告情報232を送信する(ステップS15)。
【0128】
これにより、広告端末3からのダウンロード要求に対して、直前のダウンロード要求以後に更新された広告情報232のみが当該広告端末3にダウンロードされる。すなわち、すでに以前のダウンロードにより取得されている広告情報232を除外することができる。したがって、広告データベース231に格納されている全ての広告情報232を、ダウンロード要求のたびにダウンロードする場合に比べて、ダウンロードされる広告情報232の情報量を抑制できる。
【0129】
なお、すでに説明したように、広告の編集において「削除」あるいは「更新」された広告についても、当該広告のレコードの「更新日」が編集された日付に更新されている。したがって最終の通信日以後に編集された広告(新たに削除あるいは更新された広告)についても、広告情報232(ただし、「広告ID」のみ)が送信される。
【0130】
ダウンロード要求を行った広告端末3に対する広告情報232の送信が完了すると、配信部202は、端末データベース230における当該広告端末3の「通信日」を更新する(ステップS16)。
【0131】
ステップS12ないしS16までの処理と並行して、課金部201は、履歴情報211に含まれる「広告ID」をキーとして、広告データベース231を検索し、当該「広告ID」で示されるレコードごとに課金情報233を演算し(ステップS17)、課金情報233を更新する(ステップS18)。
【0132】
本実施の形態におけるステップS17においては、「出力先追加料金」と、「表示時間料金」とが求められ、すでに格納されている課金情報233に加算されることにより新たな課金情報233が演算される。
【0133】
「出力先追加料金」の算出方法は、まず、該当するレコードから、「出力先」を取得し、当該「出力先」に履歴情報211に含まれる端末IDが格納されているか否かを判定する。
【0134】
当該端末IDが格納されていない場合、当該広告端末3が当該広告の新たな出力先となった(当該広告の出力先が1つ増えた)ことを意味する。したがって、この場合、課金部201は、当該端末IDを「出力先」に格納するとともに、「単価」のうちの出力先の数に応じた値を、「出力先追加料金」とする。一方、当該端末IDが格納されている場合は、すでに当該広告端末3については出力先の数としてカウントされ、当該広告端末3についての「出力先追加料金」は課金情報233に加算されているため、このときの「出力先追加料金」は「0」とする。
【0135】
図4に示す例において、「広告ID」が「000001」で示される広告(×○▲食品によって提供される広告)についてみると、「広告ID(000001)」に関連づけられている「出力先(T00001,T00002,・・・)」に、履歴情報211に含まれる端末IDが格納されていなければ、「単価(20)」が「出力先追加料金」となり、「課金情報233(946785)」に加算される。一方、「出力先(T00001,T00002,・・・)」に、当該端末IDが格納されていれば、「出力先追加料金」は「0」であり、加算はされない。
【0136】
また、「表示時間料金」の算出方法は、「広告ID」に該当するレコードの「単価」から表示時間に応じた値を取得し、履歴情報211に含まれる当該「広告ID」に関連づけられた表示時間otの値を乗じて算出する。
【0137】
図4に示す例において、同様に、「広告ID」が「000001」で示される広告についてみると、「広告ID(000001)」に関連づけられている「単価(5)」が、履歴情報211における「広告ID(000001)」に関連づけられている表示時間otに乗じられて「表示時間料金」となる。すなわち、表示時間料金[円]=5[円/h]×ot[h]で表現される式により、今回の履歴情報211における「表示時間料金」が求められる。もちろん、当該広告が全く表示されておらず、当該広告の広告IDに関連づけられた表示時間otが「0」であれば、今回の履歴情報211における「表示時間料金」は「0」となり、加算はされない。
【0138】
履歴情報211に含まれる全ての広告(「広告ID」)について、課金情報233を演算し、更新すると、コンテンツサーバ2は、再び待機状態となる。
【0139】
以上が、主に、コンテンツサーバ2の動作である。なお、ここでは、コンテンツサーバ2の端末データベース230から広告端末3を抹消する処理については説明を省略するが、コンテンツサーバ2はこのような処理も実行できるように構成されている。
【0140】
図10および図11は、広告提供方法のうち、主に、広告端末3において実現される工程を示す流れ図である。
【0141】
なお、詳細は省略するが、図10および図11に示す各工程が実行されるまでに、広告端末3において、登録情報210の作成と、当該登録情報210のコンテンツサーバ2への送信と、自機に対して付与された端末IDのコンテンツサーバ2からの取得と、広告情報232の最初のダウンロードとが終了しているものとする。これらの工程は、例えば、広告端末3が最初に立ち上げられ、広告提供システム1に初めて接続されるときに実行される。
【0142】
すでに登録が完了している広告端末3は、電源が投入されると、所定の初期設定を実行する。次に、モード設定部302が無操作期間ntおよび不存在期間utの値をいずれも「0」にリセットする(ステップS21)とともに、広告端末3の動作モードを通常モードに設定する(ステップS22)。
【0143】
ステップ22により、出力制御部301は、モード設定部302によって動作モードが通常モードであることが通知される。通常モードにおいて、出力制御部301は、液晶ディスプレイ35に広告情報232を表示させることはなく、ユーザの操作に応じた画面が液晶ディスプレイ35に表示される。
【0144】
以下の説明では、ステップS22が実行されることにより液晶ディスプレイ35が表示する画面を「通常画面」と称する。通常画面とは、例えば、ユーザが天気予報を閲覧しているのであれば天気予報の画面であり、メールを作成しているのであれば文章の編集画面(エディタの画面)である。通常画面には広告情報232が表示されることはないが、例えば、ユーザが広告端末3をブラウザとして使用している場合、ホームページ上のバナー広告等が表示されることはあり得る。
【0145】
広告端末3が通常モードの状態にあり、通常画面が表示されている状態において、CPU30(モード設定部302)は、無操作期間ntが「NT」以上となるか(ステップS23)、ユーザによって終了が指示されるか(ステップS24)を監視している。
【0146】
通常モードにおいて、ユーザによって終了が指示されると、広告端末3(CPU30)は、ステップS24においてYesと判定し、処理を終了する。ただし、先述のように、広告端末3は、操作がされない間においても、長時間、電源が投入された状態となることを想定した装置であり、終了が指示されることは稀な装置である。特に、広告端末3が家庭内の消費電力を計測する機能を有している場合には、広告端末3の電源をOFFにして、広告端末3の処理を全て終了させると、当該計測ができなくなり目的を達成することができなくなる。したがって、広告端末3がこのような機能を提供する場合、広告端末3が終了されることはあまり想定する必要はない。
【0147】
また、ユーザによる終了の指示は、必ず、操作部34に対する何らかの操作を伴う。したがって、操作を受け付ける直前の広告端末3の動作モードに関わらず、当該操作により、広告端末3はステップS22を実行して必ず通常モードに復帰する。しかも、復帰後、ただちにステップS23においてNoと判定されるため、ユーザが終了を指示した場合は、その瞬間の広告端末3の状態に関わらず、必ず、ステップS24が実行されて、ステップS24においてYesと判定され、処理が終了することとなる。
【0148】
図10に示すように、通常モードにおいては、無操作期間ntが「NT」以上とならない限り(操作がされていないと判断されない限り)、通常モードがフォトフレームモードに移行することはない。すなわち、モード設定部302による操作部34に対する検出結果により、操作部34が操作されていると判断される場合には、広告情報232の出力を停止させておくことができる。したがって、操作中のユーザが広告情報232に煩わされることがないので、広告端末3の操作性が向上する。
【0149】
通常モードにおいて、無操作期間ntが「NT」以上となると、モード設定部302はステップS23においてYesと判定し、フォトフレームモードが有効か否かを判定する(ステップS25)。言い換えれば、最後に広告端末3がユーザによって操作されてから、NTの時間が経過すると、モード設定部302はステップS25を実行する。なお、フレームモードの有効/無効の設定は、ユーザにより予め設定され、設定情報330に格納しておくことができる。
【0150】
フォトフレームモードが無効である場合(ステップS25においてNo)、モード設定部302は動作モードを通常モードから省電力モードに切り替えて設定する(ステップS26)。省電力モードにおいて、出力制御部301は、消費電力を抑制することを優先し、液晶ディスプレイ35への表示を停止する。すなわち、液晶ディスプレイ35のバックライトを消灯させる。また、スピーカ36が音声を再生しているときには、当該音声の再生も停止させる。
【0151】
このように、フォトフレームモードが無効に設定されている場合、広告端末3は広告情報232を表示(出力)することはない。なお、省電力モードにおいて出力を停止するのは、液晶ディスプレイ35かスピーカ36かのいずれか一方であってもよい。すなわち、省電力モードにおいて出力を停止させるハードウェアを予め設定情報330に設定しておき、省電力モードに移行した際に出力制御部301が参照するよう構成してもよい。
【0152】
ステップS26が実行されることにより省電力モードに移行すると、モード設定部302は操作部34が操作されたか否かを監視しつつ、操作部34が操作されるまで待機する状態となる(ステップS27)。
【0153】
これにより、操作部34が再び操作されるまで、省電力モードが継続され、その間の消費電力が抑制される。なお、ステップS27が繰り返されている期間は、フォトフレームモードが無効に設定されているため、フォトフレームモードに復帰することはない。したがって、この期間は人感センサ37からの入力信号は無視されるので、ステップS26が実行されたときには、人感センサ37を停止させてもよい。これにより、さらに消費電力を抑制できる。
【0154】
ステップS25においてYesの場合(フォトフレームモードが有効の場合)、モード設定部302は動作モードを通常モードからフォトフレームモードに切り替えて設定する(ステップS28)。
【0155】
フォトフレームモードに移行すると、図11に示すように、広告端末3は、不存在期間utが「UT」以上となるか(ステップS31)を監視しつつ、広告表示処理(ステップS36)を実行するとともに、ユーザによって操作部34が操作されたか否かと(ステップS37)、人感センサ37によるユーザの検出(ステップS38)とを監視する状態となる。
【0156】
フォトフレームモードにおいて、人感センサ37が周囲の人物を検出できない状態となってからの経過時間(不存在期間ut)が「UT」以上となると、モード設定部302は、ステップS31においてYesと判定し、省電力モードに切り替えて設定する(ステップS32)。
【0157】
これにより、フォトフレームモードが終了し、省電力モードになり、ステップS26と同様に出力制御部301がバックライトを消灯するよう液晶ディスプレイ35を制御するため、コンテンツ235(広告情報232)の表示が停止される。すなわち、液晶ディスプレイ35は、人感センサ37によって広告端末3の周囲における人物(視聴者)が検出されない場合に、広告情報232の出力を停止する。これにより、広告端末3は、視聴者が存在するときにのみ、広告情報232を出力するので、より効果的かつ効率的に広告を提供できる。
【0158】
ステップS32によって省電力モードに移行すると、モード設定部302は、ユーザによって操作部34が操作されたか否かと(ステップS33)、人感センサ37によるユーザの検出(ステップS34)とを監視しつつ待機する状態となる。
【0159】
この状態で、操作部34が操作されると、当該操作をモード設定部302が検出し、ステップS33においてYesと判定して、図10に示すステップS21に戻って処理を繰り返す。すなわち、操作部34が操作されると、ステップS22が実行され、省電力モードから通常モードに復帰する。
【0160】
この場合、液晶ディスプレイ35には、通常画面が表示されるため、コンテンツ235(広告情報232)は表示されない。すなわち、ユーザが広告端末3に対する操作を再開したとき、液晶ディスプレイ35は広告情報232の表示を停止したままであり、ユーザの操作が阻害されることはない。
【0161】
一方、ステップS32が実行されることにより省電力モードに移行している状態で、人感センサ37が周囲の人物の存在を検出すると、人感センサ37はこれをモード設定部302に伝達する。これに応じて、モード設定部302は、ステップS34においてYesと判定するとともに、動作モードをフォトフレームモードに切り替えて設定する(ステップS35)。
【0162】
すなわち、ステップS32によって省電力モードに移行した場合は、ステップS26によって省電力モードに移行した場合と異なり、人感センサ37が駆動されており、当該人感センサ37が周囲の人物を検出したときには、通常モードではなく、フォトフレームモードに復帰する。
【0163】
ステップS35が実行されることにより、フォトフレームモードに復帰すると、モード設定部302は、不存在期間utの値を「0」にリセット(ステップS39)してから、ステップS31に戻り、処理を繰り返す。
【0164】
フォトフレームモードにおいて、操作部34が操作されると、当該操作をモード設定部302が検出し、ステップS37においてYesと判定して、図10に示すステップS21に戻って処理を繰り返す。すなわち、フォトフレームモードにおいて操作部34が操作されると、ステップS22が実行され、フォトフレームモードから通常モードに復帰する。
【0165】
この場合においても、液晶ディスプレイ35には、通常画面が表示されるため、コンテンツ235(広告情報232)は表示されない。すなわち、ユーザが広告端末3に対する操作を再開したとき、液晶ディスプレイ35は広告情報232の表示を停止するため、ユーザの操作が阻害されることはない。
【0166】
なお、通常は、操作部34が操作される前に、操作部34を操作するために広告端末3に接近してきた人物が人感センサ37によって検出される。したがって、ステップS32によって省電力モードに移行した場合には、ステップS33においてYesと判定されることは稀であり、ステップS34においてYesと判定されてフォトフレームモードに一旦復帰した後、ステップS37においてYesと判定されて通常モードに復帰する。
【0167】
フォトフレームモードにおいて、人感センサ37による周囲の人物の存在が検出されると、人感センサ37からの入力信号に応じて、モード設定部302がステップS38においてYesと判定した後、不存在期間utの値を「0」にリセット(ステップS39)してから、ステップS31に戻り、処理を繰り返す。
【0168】
すなわち、人感センサにより周囲の人物が検出されている限り、フォトフレームモードが継続され、広告表示処理(ステップS36)が実行される。したがって、広告端末3の周囲に、広告情報232を視聴することが可能な人物(視聴者)が存在すると判断されている期間においては、例え、操作部34に対する操作が行われていなくとも、液晶ディスプレイ35にコンテンツ235(広告情報232)が表示される。すなわち、ユーザは、広告情報232を視聴するための操作を要求されることはなく、煩わしさが軽減される。
【0169】
図12は、広告端末3における広告表示処理を示す流れ図である。広告表示処理(ステップS36)が開始されると、まず、出力制御部301がメモリユニット33に記憶されているユーザデータ9のうちから、フォトフレームモードにおいて出力するユーザデータ9(以下、「出力対象ユーザデータ9」と称する。)を特定する(ステップS41)。
【0170】
なお、本実施の形態における出力対象ユーザデータ9は、予めユーザによって指定され、特定のフォルダーに格納されている。したがって、当該フォルダー内に格納されているユーザデータ9が、ステップS41において出力制御部301によって出力対象ユーザデータ9として特定される。
【0171】
このとき特定されるユーザデータ9は主に静止画像を表現したデータであるが、フォトフレームモードにおいて音声(音楽)を再生することをユーザが指定していた場合には、当該音楽を表現したデータが特定される場合もある。また、複数の音楽を順次再生するように、ユーザが指定していた場合には、音声を表現したデータが複数特定される場合もある。動画像を表現したデータであってもよい。
【0172】
次に、データ管理部300が、広告情報232に格納されている広告IDごとに、出力スケジュール情報234と現在日時とを比較確認しつつ、出力すべき状態となっているコンテンツ235を特定することにより、表示するコンテンツ235を特定する(ステップS42)。
【0173】
図4に示す例において、例えば、現在日時が「金曜日の15時」であった場合には、「広告ID(000001)」と、「広告ID(000004)」と、「広告ID(00000n)」とに関連づけられているコンテンツ235(すなわち、PHO1.jpg,IMG4.bmp,PHOn.jpg)が特定されることになる。
【0174】
表示するコンテンツ235が特定されると、データ管理部300は、特定されたコンテンツ235については出力可を示す出力可否を、特定されなかったコンテンツ235については出力不可を示す出力可否を、それぞれ出力制御部301に伝達する。
【0175】
出力制御部301は、出力可を示す出力可否を伝達されたコンテンツ235について、それぞれ合成が必要なコンテンツ235であるか否かを判定する(ステップS43)。そして、合成が必要なコンテンツ235については、合成する出力対象ユーザデータ9を特定した上で、当該出力対象ユーザデータ9と合成が必要なコンテンツ235とを合成する(ステップS44)。
【0176】
本実施の形態における出力制御部301は、ファイル名の先頭の三文字が「IMG」であるコンテンツ235については、合成が必要なコンテンツ235であると判定し、それ以外は合成が必要ないコンテンツ235であると判定する。ただし、合成の要否を示す識別子が別途、広告情報232に格納されていてもよい。
【0177】
このように、広告提供システム1では、視聴者により選択された画像(ユーザデータ9)に、コンテンツ235(広告情報232)を合成して合成画像を作成し、作成された合成画像を広告情報232として表示することができる。したがって、例えば、バックの写真画像としては視聴者が選択した視聴者の好みの画像(ユーザデータ9)を表示させつつ、広告静止画像(商標やキャラクタ、キャッチフレーズ文字等)としての広告情報232のみを表示することも可能である。すなわち、広告の柔軟性が向上するとともに、ユーザの好みに近い広告情報232を表示させることができるため、ユーザの現実の視聴率(液晶ディスプレイ35への注目度)が向上する。また、このような手法では、液晶ディスプレイ35の表示領域の一部を広告情報232の表示領域とすることができるため、全画面分のデータを送信しなければならない場合に比べて、ダウンロード負荷を軽減できる。
【0178】
次に、出力制御部301は、出力対象ユーザデータ9と、データ管理部300から伝達される各コンテンツ235に対する出力可否と、作成された合成画像とに基づいて、表示リストを作成する(ステップS45)。そして、出力制御部301は、作成された表示リストに従って、画像(ユーザデータ9、コンテンツ235あるいは合成画像)については液晶ディスプレイ35に順次に表示させ(ステップS46)、音声についてはスピーカ36に再生させる。
【0179】
これにより、表示リストに登録された静止画像については、フォトフレームモードの期間、スライドショーのような映像(1つ以上の静止画像が決められた表示時間経過後に次々と切り替わるような映像)が液晶ディスプレイ35に出力表示される。すなわち、広告端末3は、いわゆるフォトフレーム機能をユーザに提供することができるとともに、その際に、コンテンツサーバ2から取得した広告情報232を表示させることができる。
【0180】
スライドショーの表示が開始されると、履歴作成部303は、出力制御部301から伝達される、コンテンツ235の切り替えタイミングに応じて、当該コンテンツ235が液晶ディスプレイ35に表示されていた時間(表示時間DT)を、履歴情報211に累積的に格納する(ステップS47)。
【0181】
すなわち、履歴作成部303は、当該コンテンツ235に関連づけて履歴情報211に格納されている表示時間otを取得し、これに今回表示されていた時間(表示時間DT)を加算して新たな表示時間otとし、再度、履歴情報211に格納する。これにより、コンテンツ235が表示され次の画像に切り替わるごとに、当該コンテンツ235が液晶ディスプレイ35に表示されてから次の画像に切り替わるまでの時間(すなわち、同一のコンテンツ235が連続して表示されていた時間)が、履歴情報211に当該コンテンツ235に関連づけて格納されている表示時間otに加算されて格納される。
【0182】
したがって、履歴情報211は、液晶ディスプレイ35による広告情報232の出力状況(累積表示時間)を示す情報となる。したがって、先述のように、課金部201が履歴情報211に基づいて、広告主に対する課金情報233を作成することにより、広告情報232の出力状況に応じた課金を実現できる。
【0183】
例えば、TVCMは視聴率に応じて課金されるが、当該視聴率はごく少数のサンプルから求められた値であり、実勢との乖離が問題となる。しかし、広告提供システム1は、コンテンツ235が現実に表示された時間を算出して、これに応じて課金するため、実勢に応じた課金を行うことができ、広告料金に対する広告主の納得を得やすいといえる。
【0184】
ステップS47が実行されると、広告端末3(CPU30)は、広告表示処理を終了して図11に示す処理に戻る。
【0185】
なお、ステップS36の広告表示処理はフォトフレームモードにおいて比較的短時間の間に繰り返し実行される処理である。したがって、当該処理が繰り返されるたびに、ステップS44(画像合成)を繰り返すのは実用的ではない。そこで、一旦、作成された合成画像をメモリユニット33に保存しておき、ステップS43においてYesと判定されるたびに、当該合成画像の存否を確認して、これが存在する場合はステップS44をスキップするように構成することが望ましい。
【0186】
また、フォトフレームモードが継続され、現在日時が変化することにより、当然のことながら、各コンテンツ235についての出力可否の状態は変化する。しかし、表示されるコンテンツ235を決定する表示リストの更新間隔は、ステップS42ないしS45により、ほぼフォトフレームモードにおける広告表示処理の実行間隔となり、出力可否が変化する間隔に比べて充分に短時間である。したがって、広告提供システム1において、タイムラグによって、広告主が意図しない日時に広告情報232が表示されるおそれはほとんどないといえる。
【0187】
また、常に監視され続けており、条件を満たしたときに、遅滞なく、割り込みにより発生するダウンロード要求(本実施の形態では、広告端末3からの履歴情報211の送信)は、図示の都合上、広告端末3の動作を示す図10ないし図12において図示していない。先述のように、広告端末3からのダウンロード要求は、データ管理部300が設定情報330と現在日時とを監視することにより、例えば、毎日午前1時になったときに、ダウンロード指示として通信部38に通知される。
【0188】
これにより、広告端末3は、ダウンロードスケジュール(設定情報330)に応じて、コンテンツサーバ2から広告情報232を取得することができ、当該スケジュールに従って、広告情報232を更新することができる。したがって、広告提供システム1は、常にタイムリーな広告をユーザに提供することができる。したがって、広告主の満足度が向上するとともに、広告媒体としての柔軟性が向上する。
【0189】
なお、広告提供システム1を構成する多数の広告端末3が同時にダウンロード要求を実行すると、コンテンツサーバ2がビジーとなるおそれがある。したがって、ダウンロードスケジュールは、各広告端末3ごとに多少のタイムラグを設けておくことが好ましい。このようなタイムラグを設けるためには、例えば、広告端末3の登録時に、コンテンツサーバ2から端末IDとともに、当該広告端末3に固有のダウンロードスケジュールを送信するようにしてもよい。
【0190】
また、ダウンロードにより取得された広告情報232は通信部38によりメモリユニット33に転送され記憶される。このとき取得された広告情報232において広告IDのみを含むレコードが存在した場合(出力スケジュール情報234およびコンテンツ235が削除されている場合)、通信部38は、当該広告IDで示される広告が削除されたと判断し、メモリユニット33から当該広告IDで示されるレコードを削除する。これにより、以後、出力制御部301が作成する表示リストに当該広告IDと関連づけられるコンテンツ235が登録されることはなく、当該コンテンツ235の表示が停止される。
【0191】
また、すでに説明したように、本実施の形態では、ダウンロード要求は、履歴情報211の送信により行われる。したがって、ダウンロードスケジュールに従って履歴情報211の送信が開始された後、当該送信が完了すると通信部38は送信完了通知を履歴作成部303に伝達し、これにより、履歴作成部303が履歴情報211を初期化する。
【0192】
以上のように、本実施の形態における広告提供システム1は、ユーザに広告を提供するシステムとして構成されており、広告主に依頼された広告情報をネットワーク8を介して配信するコンテンツサーバ2と、ネットワーク8を介してコンテンツサーバ2との間でデータ通信が可能な状態で接続される少なくとも1つの広告端末3とを備え、広告端末3は、周囲におけるユーザ(視聴者)の存否を検出する人感センサ37と、コンテンツサーバ2により配信される広告情報232を取得する通信部38と、人感センサ37による検出結果に応じて、通信部38により取得された広告情報232を出力する液晶ディスプレイ35とを備えることにより、簡易で価格の安い広告端末3を視聴者側に設置するだけで広告媒体として利用できる。また、ネットワーク8に接続された装置は広く普及しており、これを広告端末3として用いることもできる。したがって、一般家庭にも容易に導入可能であり、広告媒体を飛躍的に増大させることができる。また、視聴者の存否に応じて広告情報232を出力することにより、効果的かつ効率的な広告の提供が可能となる。
【0193】
また、液晶ディスプレイ35が、人感センサ37によって広告端末3の周囲における視聴者が検出されない場合に、通信部38により取得された広告情報232の出力を停止することにより、視聴者が存在するときにのみ、広告情報232を出力するので、より効果的かつ効率的に広告を提供できる。
【0194】
また、ユーザによって操作される操作部34と、操作部34がユーザによって操作されたことを検出するモード設定部302とをさらに備え、液晶ディスプレイ35は、モード設定部302による検出結果において、操作部34が操作されている場合には、通信部38により取得された広告情報232の出力を停止することにより、操作中のユーザが広告情報232に煩わされることがないので、広告端末3の操作性が向上する。
【0195】
液晶ディスプレイ35による広告情報232の出力状況を示す履歴情報211を作成する履歴作成部303と、履歴作成部303により作成された履歴情報211に基づいて、広告主に対する課金情報233を作成する課金手段とをさらに備えることにより、広告情報232の出力状況に応じた課金を実現できる。したがって、実勢に応じた課金を行うことができる。
【0196】
通信部38は、ダウンロードスケジュールに応じて、コンテンツサーバ2から広告情報232を取得することにより、スケジュールに従って、広告情報232を更新することができるため、タイムリーな広告を提供することができる。したがって、広告媒体としての柔軟性が向上する。
【0197】
広告端末3は、出力スケジュール情報234を記憶するメモリユニット33をさらに備え、液晶ディスプレイ35は、メモリユニット33に記憶された出力スケジュール情報234に応じて、通信部38により取得された広告情報232を出力することにより、曜日や日時に応じて広告情報232を出力することができるため、より効果的かつ効率的な広告を提供できる。
【0198】
広告情報232は、広告静止画像であり、液晶ディスプレイ35は、広告情報232として当該広告静止画像を表示することにより、広告情報232の情報量を抑制することができる。したがって、広告情報232を取得する際のネットワーク帯域の圧迫を抑制できる。また、広告端末3の必要記憶容量を抑制できる。
【0199】
ユーザにより選択された画像に、通信部38により取得された広告情報232を合成して合成画像を作成する出力制御部301をさらに備え、出力制御部301により作成された合成画像を広告情報232として表示することにより、例えば、バックの写真画像は視聴者の好みの画像を表示させつつ、文字画像として広告を表示することも可能である。すなわち、広告の多様性が向上する。
【0200】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0201】
例えば、端末データベース230に含まれる個人情報に応じて、コンテンツサーバ2が、各ユーザに適した広告情報232を広告データベース231から選択して配信するように構成してもよい。例えば、女性向けの化粧品に関するコンテンツ235を含む広告情報232については、個人情報における性別に「女性」が格納されている広告端末3に優先的に配信するようにしてもよい。このように構成することによって、ユーザにあった広告情報232を配信し、表示させることができるため、より効率的かつ効果的に広告を提供することが可能となる。
【0202】
また、上記実施の形態では、広告端末3からのダウンロード要求に対して、コンテンツサーバ2が当該広告端末3に広告情報232を配信すると説明した。しかしながら、コンテンツサーバ2(配信部202)が、配信スケジュールに応じて、各広告端末3に順次アクセスし、広告情報232を配信するように構成してもよい。一般に、複数の広告端末3からのダウンロード要求が殺到すると、コンテンツサーバ2側で輻輳が発生するおそれがある。しかしながら、コンテンツサーバ2側に用意される配信スケジュールによって、コンテンツサーバ2が配信先や配信タイミング等をコントロールすれば、そのような危険性を抑制できる。この場合、コンテンツサーバ2が広告端末3にアクセスしたときに、当該広告端末3から履歴情報211を取得するようにすればよい。
【0203】
また、上記実施の形態における課金部201は、広告の出力先(実際に当該広告を表示させた実績のある広告端末3)の数に応じた料金と、広告端末3に実際に表示された時間に応じた料金とのみによって課金情報233を作成すると説明した。しかし、これ以外の基準を用いて課金情報233を作成してもよい。例えば、広告情報232の配信先数に応じて課金するようにしてもよい。
【0204】
また、上記実施の形態では、フォトフレームモードが有効である限り、広告情報232が表示されるように構成されていた。しかしながら、フォトフレームモードにおいて、必ずしも広告情報232を表示しなければならないわけではない。したがって、フォトフレームモードが有効の場合でも、フォトフレームモードにおいて広告情報232が表示されないように設定できてもよい。すなわち、広告端末3は、フォトフレームモードにおいて、ユーザデータ9によるスライドショーのみが液晶ディスプレイ35に表示されるような動作モードを有していてもよい。
【0205】
また、広告端末3から送信される履歴情報211において、一定期間における表示時間が閾値(最低視聴時間)より短い場合、コンテンツサーバ2が、当該広告端末3のユーザに対してペナルティを課すように構成してもよい。例えば、広告を視聴することを条件に、広告端末3を無償で貸与している場合のように、コンテンツサーバ2の提供者がユーザに対して何らかの負担をしている場合には、広告を一定以上視聴しないユーザ(広告料金への貢献度が低いユーザ)を他のユーザと区別することは有効である。このようなペナルティの存在により、ユーザによる一定時間以上の視聴を確保することができれば、広告提供システム1の広告媒体としての価値が向上する。ペナルティとしては、広告以外に提供されるサービス(例えば、天気予報やレシピ等の閲覧)を制限するとか、広告端末3の使用料を徴収(あるいは増額)すること等が考えられる。
【0206】
また、ダウンロード要求に対しては、広告情報232のみがダウンロードされると説明したが、広告情報232を含まない風景写真や観光地の写真等が、広告情報232とともにユーザデータ9としてダウンロードされてもよい。例えば、旅行会社は、世界中の観光地の写真を保有していると考えられるが、このような写真がユーザの家庭で表示されるだけで(例えば、会社名等の広告情報232が合成されていなくても)、ユーザの旅行気分を喚起することができる。したがって、旅行会社は、このような写真を無償で提供することも考えられる。
【0207】
また、広告提供システム1では、広告情報232がダウンロードされるときに、広告IDのみの広告情報232が送信されることにより各広告端末3において不要となった広告が削除されると説明した。この場合、コンテンツサーバ2において広告が削除されてから、広告の出力が停止されるまでにタイムラグが生じることが考えられる。そこで、広告提供システム1は、広告主から広告停止の要請があった場合に、その旨を直ちにコンテンツサーバ2から各広告端末3に送信し、直ちに各広告端末3に記憶されている広告情報232(コンテンツ235)を削除することができるモードを有していてもよい。
【0208】
また、広告情報232のコンテンツ235には、それぞれに対応した出力スケジュール情報234が関連づけられており、各コンテンツ235とともにダウンロードされると説明した。しかし、ダウンロードされる広告情報232において、出力スケジュール情報234が含まれていなくてもよい。例えば、月曜日から土曜日は、その日の早朝にダウンロードされた広告情報232を当日の所定の時刻(例えば、ダウンロードの1時間後等)以降に表示させ、日曜日には、例えば、ユーザが起床している蓋然性の高い時間帯を区切って、順次一週間分を表示させるようにしてもよい。すなわち、ダウンロードされた日時と関連づけて、広告端末3において出力スケジュールが決定されてもよい。これにより、ダウンロードされる情報量を抑制できる。
【0209】
また、出力スケジュール情報234には、予め、有効期限が含まれていてもよい。上記実施の形態では、コンテンツサーバ2において「削除」処理が行われた広告についても、ダウンロード要求がされない広告端末3に対しては、当該広告の広告IDのみの広告情報232を送信することができない。その場合、いつまでも古い広告情報232(コンテンツ235)が広告端末3において表示され続けることとなる。しかし、有効期限を設定しておけば、出力スケジュール情報234を参照するデータ管理部300が、これに応じて、有効期限の切れたコンテンツ235を削除することができる。なお、同一の広告の提供を有効期限経過後においても継続したい場合は、コンテンツサーバ2において、出力スケジュール情報234(有効期限)の「更新」処理を行えばよい。
【0210】
また、上記実施の形態において示した各工程は、あくまでも例示であって、図8ないし図12に示した内容および順序に限定されるものではない。同様の効果が得られるならば、内容や順序が変更されてもよい。
【0211】
また、上記実施の形態において、プログラム220,320(ソフトウェア)によって実現されると説明した機能ブロックの一部または全部を専用の論理回路等のハードウェアで実現してもよい。例えば、出力制御部301がユーザデータ9と広告情報232とを合成して合成画像を作成する機能は、専用の画像処理回路で実現してもよい。
【0212】
また、コンテンツサーバ2で実現されると説明した機能の一部を広告端末3において実現してもよいし、広告端末3において実現されると説明した機能の一部をコンテンツサーバ2において実現してもよい。また、コンテンツサーバ2は一台のコンピュータとして説明したが、コンテンツサーバ2が複数のコンピュータにより分散的に実現されていてもよい。
【符号の説明】
【0213】
1 広告提供システム
2 コンテンツサーバ
20,30 CPU
200 登録部
201 課金部
202 配信部
210 登録情報
211 履歴情報
220,320 プログラム
230 端末データベース
231 広告データベース
232 広告情報
233 課金情報
234 出力スケジュール情報
235 コンテンツ
3 広告端末
300 データ管理部
301 出力制御部
302 モード設定部
303 履歴作成部
33 メモリユニット
330 設定情報
34 操作部
35 液晶ディスプレイ
36 スピーカ
37 人感センサ
38 通信部
8 ネットワーク
9 ユーザデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴者に広告を提供する広告提供システムであって、
広告主に依頼された広告情報をネットワークを介して配信するコンテンツサーバと、
前記ネットワークを介して前記コンテンツサーバとの間でデータ通信が可能な状態で接続される少なくとも1つの広告端末と、
を備え、
前記広告端末は、
周囲における視聴者の存否を検出する視聴者検出手段と、
前記コンテンツサーバにより配信される広告情報を取得する通信手段と、
前記視聴者検出手段による検出結果に応じて、前記通信手段により取得された広告情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする広告提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の広告提供システムであって、
前記出力手段は、前記視聴者検出手段によって前記広告端末の周囲における視聴者が検出されない場合に、前記通信手段により取得された広告情報の出力を停止することを特徴とする広告提供システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の広告提供システムであって、
前記広告端末は、
視聴者によって操作される操作手段と、
前記操作手段が視聴者によって操作されたことを検出する操作検出手段と、
をさらに備え、
前記出力手段は、前記操作検出手段による検出結果において、前記操作手段が操作されている場合には、前記通信手段により取得された広告情報の出力を停止することを特徴とする広告提供システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の広告提供システムであって、
前記出力手段による広告情報の出力状況を示す履歴情報を作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された履歴情報に基づいて、広告主に対する課金情報を作成する課金手段と、
をさらに備えることを特徴とする広告提供システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の広告提供システムであって、
前記通信手段は、ダウンロードスケジュールに応じて、前記コンテンツサーバから広告情報を取得することを特徴とする広告提供システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の広告提供システムであって、
前記広告端末は、出力スケジュール情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記記憶手段に記憶された出力スケジュール情報に応じて、前記通信手段により取得された広告情報を出力することを特徴とする広告提供システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の広告提供システムであって、
前記広告情報は、広告静止画像であり、
前記出力手段は、広告情報として前記広告静止画像を表示することを特徴とする広告提供システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の広告提供システムであって、
前記広告端末は、動作モードとして、前記出力手段が1つ以上の静止画像を順次表示させるフォトフレームモードを有し、
前記フォトフレームモードにおいて前記出力手段が表示する1つ以上の静止画像が、前記通信手段により取得された広告情報を含むことを特徴とする広告提供システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の広告提供システムであって、
視聴者により選択された画像に、前記通信手段により取得された広告情報を合成して合成画像を作成する画像合成手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記合成手段により作成された合成画像を広告情報として表示することを特徴とする広告提供システム。
【請求項10】
広告主に依頼された広告情報をネットワークを介して配信するコンテンツサーバとの間でデータ通信が可能な状態で接続される広告端末であって、
周囲における視聴者の存否を検出する視聴者検出手段と、
前記コンテンツサーバにより配信される広告情報を取得する通信手段と、
前記視聴者検出手段による検出結果に応じて、前記通信手段により取得された広告情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする広告端末。
【請求項11】
広告主に依頼された広告情報をネットワークを介して配信するコンテンツサーバと、前記ネットワークを介して前記コンテンツサーバとの間でデータ通信が可能な状態で接続される少なくとも1つの広告端末とを備える広告提供システムにより、視聴者に広告を提供する広告提供方法であって、
周囲における視聴者の存否を視聴者検出手段により検出する工程と、
前記コンテンツサーバにより配信される広告情報を取得する工程と、
前記視聴者検出手段による検出結果に応じて、前記コンテンツサーバから取得された広告情報を前記広告端末に出力する工程と、
を有することを特徴とする広告提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−170117(P2011−170117A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34145(P2010−34145)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】