説明

広告配信サーバ及び広告配信方法

【課題】ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供する。
【解決手段】広告配信サーバ10は、複数のラベル付きユーザ端末20毎の所定期間における当該ユーザ端末20に表示されたWebページに含まれていた全ての広告の数である全広告数を当該広告が属するカテゴリ毎に集計する広告数集計手段131と、複数のラベル付きユーザ端末20毎の所定期間における当該ユーザ端末20に表示されたWebページに含まれていた広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数を上記カテゴリ毎に集計するクリック広告数集計手段132と、所定期間における、全広告数及びクリック広告数に基づき、上記カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末20を推定して高クリック率ユーザの端末20と判断する高クリック率ユーザ端末判断手段150と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告配信サーバ及び広告配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターネットの普及に伴い、ユーザ端末において、サーバから提供されたWebページ上に広告を表示し、この広告がクリックされることで、当該広告の広告主である企業や当該企業の製品についてのより詳細情報が示されたWebページに遷移させる技術が知られている。このような広告は、広告配信サーバによって、当該広告の属するカテゴリに興味を持っているユーザを想定し、当該ユーザのユーザ端末に提供される。
【0003】
このような広告配信サーバとして、ユーザ端末がWebページ上の広告掲載対象コンテンツへのアクセス要求をした場合に、アクセスした広告掲載対象コンテンツのアドレス情報に対応するキーワード/トピックスにより広告を検索し、広告付きのコンテンツをユーザ端末に提供する広告配信サーバが提案されている(特許文献1)。
この広告配信サーバによれば、ユーザにより閲覧されたWebサイトに含まれるWebコンテンツの内容に連動した広告を提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−286833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された広告配信サーバは、特定のWebコンテンツを閲覧したユーザを、当該特定のWebコンテンツが関連するカテゴリについて興味を持っているユーザであると推定し、当該ユーザのユーザ端末に当該特定のWebコンテンツが関連するカテゴリにおける企業・製品の広告を提供できる。
【0006】
しかしながら、ユーザが興味を持つカテゴリを特定できたとしても、当該ユーザがWebページ上に表示された広告を実際にクリックし、当該広告の広告主である企業や当該企業の製品についてのより詳細情報が示されたWebページを閲覧するとは限らない。一方、当該企業や企業の製品のカテゴリに興味があると特定されたユーザ以外にも、実際に当該企業や当該企業の製品の広告をクリックするユーザが少なからず存在するのも事実である。
【0007】
そこで本発明は、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信することができる広告配信サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 広告を含むWebページを表示する複数のユーザの端末にネットワークを介して接続され、前記ユーザの端末に広告を配信する広告配信サーバであって、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部についてアクセス及びクリックの履歴を示すログを格納するログ格納手段と、前記ログ格納手段に格納された前記ログに基づき、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部について所定期間における前記ユーザの端末に表示された前記Webページに含まれていた全ての広告の数である全広告数を当該広告が属するカテゴリ毎に集計する広告数集計手段と、前記ログ格納手段に格納された前記ログに基づき、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部について前記所定期間における前記ユーザの端末に表示された前記Webページに含まれていた広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数を前記カテゴリ毎に集計するクリック広告数集計手段と、前記所定期間における、前記広告数集計手段で集計された前記全広告数及び前記クリック広告数集計手段で集計された前記クリック広告数に基づき、前記カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザの端末と判断する高クリック率ユーザ端末判断手段と、前記高クリック率ユーザ端末判断手段で判断した前記高クリック率ユーザの端末を集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成し格納する高クリック率ユーザ端末リスト格納手段と、前記高クリック率ユーザ端末リスト格納手段に格納された前記高クリック率ユーザ端末リストに基づいて、当該高クリック率ユーザの端末に前記広告を配信する広告配信手段と、を備える広告配信サーバ。
【0009】
(1)に記載の発明によれば、ログ格納手段は、複数のユーザの端末のうち少なくとも一部についてアクセス及びクリックの履歴を示すログを格納し、広告数集計手段は、ログ格納手段に格納されたログに基づき、複数のユーザの端末毎の所定期間におけるユーザの端末に表示されたWebページに含まれていた全ての広告の数である全広告数を広告が属するカテゴリ毎に集計し、クリック広告数集計手段は、ログ格納手段に格納されたログに基づき、複数のユーザの端末のうち少なくとも一部について所定期間におけるユーザの端末に表示されたWebページに含まれていた広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数をカテゴリ毎に集計し、
高クリック率ユーザ端末判断手段は、所定期間における、広告数集計手段で集計された全広告数及びクリック広告数集計手段で集計されたクリック広告数に基づき、カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザの端末と判断し、高クリック率ユーザ端末リスト格納手段は、高クリック率ユーザ端末判断手段で判断した高クリック率ユーザの端末を集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成し格納し、広告配信手段は、高クリック率ユーザ端末リスト格納手段に格納された高クリック率ユーザ端末リストに基づいて、ユーザ端末に広告を配信する。
【0010】
これにより、広告が属するカテゴリ毎の全広告数及びクリック広告数に基づき、当該カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザの端末と判断し、この高クリック率ユーザの端末に広告を配信できる。
ここで、ユーザの端末を操作するユーザの中には、当該ユーザが興味を持っていないカテゴリの広告でもクリックする傾向(クリック性向)が強いユーザが存在する。
(1)に記載の発明によれば、端末を操作するユーザが何に興味を持っているかに関わらず、クリック性向の強いユーザを検出し、このユーザの端末に広告を配信することで、ユーザ自身が興味を持っていないカテゴリの広告でも、クリックされる可能性を向上できる。
したがって、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信し、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【0011】
(2) 前記ログに含まれるユーザの端末の属性情報に基づいて、当該属性情報を素性として含む学習データを用いて機械学習を行い、判断器を生成する判断器生成手段をさらに備え、前記高クリック率ユーザ端末判断手段は、前記判断器生成手段で生成した前記判断器を用いて、前記クリックし易いユーザの端末を推定する(1)に記載の広告配信サーバ。
【0012】
(2)に記載の発明によれば、判断器生成手段は、ログに含まれるユーザの端末の属性情報に基づいて、当該属性情報を素性として含む学習データを用いて機械学習を行い、判断器を生成し、高クリック率ユーザ端末判断手段は、当該判断器を用いて、クリックし易いユーザの端末を推定する。
【0013】
これにより、全広告数及びクリック広告数についてのデータが無いユーザの端末がクリックし易いユーザの端末と推定し高クリック率ユーザの端末と判断し、この高クリック率ユーザの端末に広告を配信できる。さらに、ルールベースでの判断に比べて、処理が軽く、判断対象の属性の変化にも対応することができる。
したがって、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信し、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【0014】
(3) 前記広告数集計手段は、複数の前記所定期間において集計を行い、各々の前記所定期間が新しいものほど大きくなる乗数を前記全広告数にそれぞれ乗算し、
前記クリック広告数集計手段は、前記複数の前記所定期間において集計を行い、各々の前記所定期間が新しいものほど大きくなる乗数を前記クリック広告数にそれぞれ乗算する(1)又は(2)に記載の広告配信サーバ。
【0015】
(3)に記載の発明によれば、広告数集計手段は、複数の所定期間において集計を行い、各々の所定期間が新しいものほど大きくなる乗数を全広告数にそれぞれ乗算し、クリック広告数集計手段は、当該複数の当該所定期間において集計を行い、各々の当該所定期間が新しいものほど大きくなる乗数をクリック広告数にそれぞれ乗算する。
これにより、全広告数及びクリック広告数のデータが新しいものほど重み付けを大きくできるので、時間経過による高クリック率ユーザの端末の傾向変化に適したモデルを作成できる。よって、時間経過による高クリック率ユーザの傾向変化を考慮しつつ、高クリック率ユーザの端末であるか否かを判断し、高クリック率ユーザの端末に広告を配信できる。
したがって、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信し、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【0016】
(4) 前記広告数集計手段は、前記ログにおいて、時間経過に応じて、新たなデータが追加された場合に、最も古いデータから順に除外して、前記全広告数を集計し、前記クリック広告数集計手段は、前記ログにおいて、時間経過に応じて、新たなデータが追加された場合に、最も古いデータから順に除外して、前記クリック広告数を集計する(1)から(3)のいずれかに記載の広告配信サーバ。
【0017】
(4)に記載の発明によれば、広告数集計手段は、ログにおいて、時間経過に応じて、新たなデータが追加された場合に、最も古いデータから順に除外して、全広告数を集計し、クリック広告数集計手段は、ログにおいて、時間経過に応じて、新たなデータが追加された場合に、最も古いデータから順に除外して、クリック広告数を集計する。
これにより、データを時間経過に応じて更新できるので、最新の全広告数及びクリック広告数に基づき、高クリック率ユーザの端末であるか否かを判断し、高クリック率ユーザの端末に広告を配信できる。
したがって、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信し、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【0018】
(5) 広告を含むWebページを表示する複数のユーザの端末にネットワークを介して接続され、前記ユーザの端末に広告を配信する広告配信サーバーによって実行される広告配信方法であって、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部についてアクセス及びクリックの履歴を示すログを格納するログ格納ステップと、前記ログ格納ステップで格納した前記ログに基づき、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部について所定期間における前記ユーザの端末に表示された前記Webページに含まれていた全ての広告の数である全広告数を当該広告が属するカテゴリ毎に集計する広告数集計ステップと、前記ログ格納ステップで格納したログに基づき、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部について前記所定期間における前記ユーザの端末に表示された前記Webページに含まれていた広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数を前記カテゴリ毎に集計するクリック広告数集計ステップと、前記所定期間における、前記広告数集計ステップで集計した前記全広告数及び前記クリック広告数集計ステップで集計した前記クリック広告数に基づき、前記カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザの端末と判断する高クリック率ユーザ端末判断ステップと、前記高クリック率ユーザ端末判断ステップで判断した前記高クリック率ユーザの端末を集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成し格納する高クリック率ユーザ端末リスト格納ステップと、前記高クリック率ユーザ端末リスト格納ステップで格納した前記高クリック率ユーザ端末リストに基づいて、当該高クリック率ユーザの端末に前記広告を配信する広告配信ステップと、を備える広告配信方法。
【0019】
(5)に記載の発明によれば、(1)と同様の作用効果を奏する広告配信方法を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る広告配信システムの機能構成を示す図である。
【図2】上記実施形態に係るログDBを説明する図である。
【図3】上記実施形態に係る属性情報DBを説明する図である。
【図4】上記実施形態に係る広告数集計手段及びクリック広告数集計手段の乗算処理を説明する図である。
【図5】上記実施形態に係る広告数集計手段及びクリック広告数集計手段の更新処理を説明する図である。
【図6】上記実施形態に係るカテゴリとクリック率の関係を説明する図である。
【図7】上記実施形態に係る判断器生成手段が生成するSVM(Support Vector Machine)を用いた判断器を説明するための図である。
【図8】上記実施形態に係る広告配信サーバの広告配信サーバ制御手段が判断器を生成する処理のフローチャートである。
【図9】上記実施形態に係る広告配信サーバ制御手段の広告数集計手段が全広告数を当該広告が属するカテゴリ毎に集計し、重み付けする処理のフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る広告配信サーバ制御手段のクリック広告数集計手段がクリック広告数を上記カテゴリ毎に集計し、重み付けする処理のフローチャートである。
【図11】上記実施形態に係る広告配信サーバの広告配信サーバ制御手段がクリック率が未知のユーザ端末が高クリック率ユーザの端末であるか否かを判断し、当該高クリック率ユーザの端末に広告を配信する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0023】
[広告配信システム1の機能構成]
図1は、本発明の実施形態に係る広告配信システム1の機能構成を示す図である。
広告配信システム1は、広告を含むWebページを表示する複数のユーザ端末(第1,2,3・・・nユーザ端末)20と、第1〜第nユーザ端末20にネットワーク7を介して接続され、第1〜第nユーザ端末20に広告を含むWebページを配信する広告配信サーバ10と、を備える。
【0024】
広告配信サーバ10は、広告配信サーバ制御手段100と、ログ記憶手段125と、属性情報記憶手段135と、高クリック率ユーザ端末リスト記憶手段165と、を備える。
広告配信サーバ制御手段100は、ユーザ端末識別手段110と、ログ格納手段120と、学習手段130と、高クリック率ユーザ端末判断手段150と、高クリック率ユーザ端末リスト格納手段160と、広告配信手段170と、を備える。
【0025】
ユーザ端末識別手段110は、広告配信サーバ10へのアクセスを要求する第1〜第nユーザ端末20を識別する。具体的には、ユーザ端末識別手段110は、第1〜第nユーザ端末20から送信された広告配信サーバ10へのアクセスを要求するアクセス要求情報に含まれる第1〜第nユーザ端末20を識別する各ユーザ端末20固有の識別子により、第1〜第nユーザ端末20のいずれであるかを識別する。また、アクセス要求情報に識別子が含まれない場合は、新規のユーザとして新たな識別子を付与する。また、ユーザ端末識別手段110は、アクセス要求情報にユーザ固有の情報であるユーザIDが含まれていた場合は、当該ユーザIDと対応付けられたユーザのユーザ端末20であると識別するがこれに限られず、Cookieにより識別することもできる。
【0026】
ログ格納手段120は、ユーザ端末識別手段110で識別した第1〜第nユーザ端末20のうち、後述する判断器生成手段133の機械学習において、学習データとなる複数のラベル付きユーザ端末毎に、アクセス及びクリックの履歴を示すログをログ記憶手段125に記憶されたログDB(図2参照)に格納する。このログには、広告配信サーバ10にアクセスした日時、ユーザ端末20に配信し表示されたWebページに含まれていた全ての広告の数である全広告数、当該Webページに含まれていた広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数等が含まれる。
【0027】
具体的には、ログ格納手段120は、広告配信サーバ10にアクセスした日時、全広告数及びクリック広告数を、複数のラベル付きユーザ端末毎の識別子又はユーザ毎のユーザIDに、対応付けて、ログDB(図2参照)に格納する。
また、ログ格納手段120は、ユーザ端末識別手段110で識別した第1〜第nユーザ端末20(複数のラベル付きユーザ端末及びラベル付きユーザ端末以外のユーザ端末の両方を含む)を操作するユーザ又はユーザIDによりアクセスしたユーザに関する情報として、年齢、性別、住所等を示す情報がログに含まれていた場合は、これらの情報を属性情報として、第1〜第nユーザ端末20毎の識別子又はユーザ毎のユーザIDに対応付けて、属性情報記憶手段135に記憶された属性情報DBに格納する。
【0028】
ログ記憶手段125は、ログDB(図2参照)を記憶する。
図2は、本実施形態に係るログDBを説明する図である。
ログDBは、広告が属するカテゴリ毎に、ユーザ端末20(複数のラベル付きユーザ端末)の識別子・ユーザIDに、アクセスした日時、全広告数及びクリック広告数が対応づけられている。
【0029】
カテゴリは、ユーザ端末20に表示されたWebページに含まれていた広告が属するカテゴリである。例えば、カテゴリ1はレディースファッションであり、カテゴリ2はメンズファッションであり、カテゴリ3はアクセサリーである(図6参照)。
識別子・ユーザIDは、広告配信サーバ10が付与した第1〜第nユーザ端末20毎の識別子又はユーザ毎のユーザIDである。
日時は、年月日、曜日、時間を含む。
年月日は、図2では、例えば、2010年の9月を示し、1日毎に全広告数及びクリック広告数を集計して記憶している。時間は、ユーザ端末20が広告配信サーバ10にアクセスした時間帯であり、例えば、“1”とはユーザ端末20が9:01〜12:00の時間帯にアクセスしたことを示し、“2”とはユーザ端末20が12:01〜13:00の時間帯にアクセスしたことを示し、“3”とはユーザ端末20が13:01〜17:00の時間帯にアクセスしたことを示し、“4”とはユーザ端末20が17:01〜20:00の時間帯にアクセスしたことを示し、“5”とはユーザ端末20が20:01〜24:00の時間帯にアクセスしたことを示す。なお、本実施形態では、ユーザ端末20がアクセスした時間を時間帯で記憶しているが、これは一例であり、具体的な時分を記憶しておくこともできる。
【0030】
属性情報記憶手段135は、属性情報DB(図3参照)を記憶する。
図3は、本実施形態に係る属性情報DBを説明する図である。
属性情報DBは、第1〜第nユーザ端末20(複数のラベル付きユーザ端末及びラベル付きユーザ端末以外のユーザ端末の両方を含む)の識別子・ユーザIDに、属性情報が対応づけられている。
【0031】
識別子・ユーザIDは、広告配信サーバ10が付与した第1〜第nユーザ端末20毎の識別子又はユーザ毎のユーザIDである。
属性情報は、当該ユーザ端末20を操作するユーザの年齢、性別及び住所を含む。
年齢の欄において、例えば、“1”とはユーザの年齢が10代であることを示し、“3”とはユーザの年齢が30代であることを示し、“5”とはユーザの年齢が50代であることを示す。なお、本実施形態では、ユーザの年齢として年代で記憶しているが、これは一例であり、ユーザの具体的な年齢(例えば、18歳であれば“18”)を記憶しておくこともできる。
性別の欄において、例えば、“1”とはユーザが男性であることを示し、“0”とはユーザが女性であることを示す。
住所の欄において、例えば、“1”とはユーザの住所が東京都であることを示し、“2”とはユーザの住所が神奈川県であることを示し、“8”とはユーザの住所が和歌山県であることを示す。なお、本実施形態では、ユーザの住所として都道府県まで記憶しているが、これは一例であり、ユーザの住所を市町村まで記憶しておくこともできる。
【0032】
学習手段130は、広告数集計手段131と、クリック広告数集計手段132と、判断器生成手段133と、を備える。
【0033】
図4は、本実施形態に係る広告数集計手段131及びクリック広告数集計手段132の乗算処理を説明する図である。
広告数集計手段131は、ログ格納手段120によってログ記憶手段125に格納された広告が属するカテゴリ毎のログDB(図2参照)に基づき、複数のラベル付きユーザ端末毎に、複数の所定期間(例えば、所定期間を1日として、30日間)において全広告数を当該カテゴリ毎に集計し、各々の所定期間が新しいものほど大きくなる乗数を全広告数にそれぞれ乗算する。ここで、乗数は、例えば、複数の所定期間において、広告数集計時に最も近い(最も新しい)全広告数に乗算する乗数を1として、古くなるにつれ0.99、0.98、0.97と順に小さくなる。
【0034】
クリック広告数集計手段132は、ログ格納手段120によってログ記憶手段125に格納されたログDB(図2参照)に基づき、複数のラベル付きユーザ端末毎に、複数の所定期間(例えば、所定期間を1日として、30日間)においてクリック広告数を上記カテゴリ毎に集計し、各々の所定期間が新しいものほど大きくなる乗数をクリック広告数にそれぞれ乗算する。ここで、乗数は、上記の広告数集計手段131の乗数と同様である。
【0035】
図5は、本実施形態に係る広告数集計手段131及びクリック広告数集計手段132の更新処理を説明する図である。
広告数集計手段131は、複数の所定の間隔(例えば、日毎、所定時間毎)で、広告が属するカテゴリ毎のログDB(図2参照)を参照し、当該ユーザ端末の全広告数についての新たなデータが追加されていた場合には、当該新たなデータを追加し、最も古い全広告数についてのデータから順に除外して全広告数を当該カテゴリ毎に集計する。
【0036】
また、クリック広告数集計手段132は、複数の所定の間隔(例えば、日毎、所定時間毎)で、DB(図2参照)を参照し、当該ユーザ端末のクリック広告数についての新たなデータが追加されていた場合には、当該新たなデータを追加し、最も古いクリック広告数についてのデータから順に除外してクリック広告数を上記カテゴリ毎に集計する。
広告数集計手段131及びクリック広告数集計手段132は、例えば、全広告数及びクリック広告数のデータを毎日更新し、更新後に上記の乗数を乗算し集計する。
【0037】
図1に戻って、判断器生成手段133は、属性情報DB(図3参照)に含まれるユーザ端末20の属性情報等に基づいて、当該属性情報等を素性として含む学習データを用いて機械学習を行い、判断器140を生成する。
判断器生成手段133は、SVM(Support Vector Machine)を用いて、複数のラベル付きユーザ端末の属性情報に基づいて、当該属性情報を素性として含む学習データを用いて機械学習を行い、高クリック率ユーザの端末であるか否かを判断する判断器140を生成する。
【0038】
具体的には、判断器生成手段133は、複数の所定期間(例えば、30日間)における、広告数集計手段131で集計された全広告数と、クリック広告数集計手段132で集計されたクリック広告数とに基づき、複数のラベル付きユーザ端末をクリックし易いユーザの端末とクリックし難いユーザの端末とに分類する。
より詳細には、判断器生成手段133は、クリック広告数集計手段132で上記カテゴリ毎に集計されたクリック広告数を広告数集計手段131で当該カテゴリ毎に集計された全広告数で除算することで、当該カテゴリ毎にクリックし易さを示すクリック率を算出する。例えば、全広告数が10,000個あり、クリック広告数が50個であった場合、クリック率は、0.5%となる。
【0039】
そして、判断器生成手段133は、複数のラベル付きユーザ端末のうち、所定数以上(例えば、10以上)のカテゴリにおいて、クリック率が所定の閾値以上(例えば、0.2%以上)のユーザをクリックし易いユーザの端末と推定し、クリック率が所定の閾値以下のユーザをクリックし難いユーザの端末と推定し、クリックし易いユーザの端末とクリックし難いユーザの端末とを分類する。なお、所定の閾値は、複数設定することもできる。これにより、クリックし易いユーザの端末を複数のグループに分けることもできる。
【0040】
カテゴリとクリック率の関係について、図6を用いて具体的に説明する。
図6は、カテゴリとクリック率の関係を説明する図である。
図6に示すように、識別子・ユーザID「aaa***」は、例えば、カテゴリ1(レディースファッション)のクリック率が0.5%であり、カテゴリ2(メンズファッション)のクリック率が0.1%であり、カテゴリ3(アクセサリー)のクリック率が0.3%であり、カテゴリ4(食品)のクリック率が0.1%であり、カテゴリ5(ドリンク)のクリック率が0.2%であり、カテゴリ6(コスメ)のクリック率が0.4%である。判断器生成手段133(図1参照)は、この場合、上記所定の閾値が、0.2%以上であれば、カテゴリ1,3,5,6をクリック率が所定の閾値以上のカテゴリとして集計し、この集計したカテゴリの数が上記所定数以上(例えば、10以上)であれば、「aaa***」をクリックし易いユーザの端末と推定する。
なお、広告のカテゴリに関わりなくクリック率が高い(クリックし易い)ユーザとは、これに限られず、各カテゴリ毎のクリック率の分散や標準偏差が所定値以下の値で、かつ、当該各カテゴリ毎のクリック率の平均が所定値以上であるユーザ、あるいは、各カテゴリ等のクリック率の中央値と平均値との差が所定値以下であり、かつ、当該各カテゴリ毎のクリック率の平均が所定値以上であるユーザ等、ユーザ抽出の目的に応じて様々な方法で定義することができる。
【0041】
ここで、SVMを用いた判断器140について、図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係る判断器生成手段133が生成するSVMを用いた判断器140を説明するための図である。
判断器生成手段133(図1参照)は、属性情報DB(図3参照)を参照して、クリックし易いユーザの端末とクリックし難いユーザの端末との分類を特徴付ける属性情報を素性と特定する。
判断器生成手段133(図1参照)は、この素性、例えば、素性xと素性y(分類を特徴付ける素性は2つとは限らないが、理解を容易にするため素性が2つの場合を例として説明する。)を軸とする範囲に複数のラベル付きユーザ端末のデータを配置し、クリックし易いユーザの端末の集合とクリックし難いユーザの端末の集合を生成する。本実施形態における素性は、属性情報であるユーザの年齢、性別(図2参照)及び住所等のうちからクリックし易いユーザの端末の集合とクリックし難いユーザの端末の集合を生成するのに適したものが選択される。
【0042】
そして、判断器生成手段133(図1参照)は、クリックし易いユーザの端末の集合を形成するデータのうち最もクリックし難いユーザの端末の集合に接近するデータに接する識別線31を算出し、クリックし難いユーザの端末の集合を形成するデータのうち最もクリックし易いユーザの端末の集合に接近するデータに接する識別線32を算出する。判断器生成手段133は、識別線31及び識別線32同士の距離(マージン)が素性xと素性yを軸とする範囲において最大になるように識別線31及び識別線32を算出し、これらの中央に位置する境界線33を算出し、判断器140(図1参照)を生成する。
【0043】
判断器140は、境界線33を境界とした2つのクラス(クリックし易いユーザの端末の集合及びクリックし難いユーザの端末の集合)のいずれかに属するかを検証し、ラベル付きユーザ端末以外のユーザ端末(クリック率が未知のユーザ端末)がいずれのクラスに属するかを判断する。
【0044】
図1に戻って、高クリック率ユーザ端末判断手段150は、判断器生成手段133が生成した判断器140を用いて、広告のカテゴリに関わりなく、クリック率が未知のユーザ端末がクリックし易いユーザの端末であるか否かを推定する。
具体的には、高クリック率ユーザ端末判断手段150は、判断器140を用いて、属性情報DB(図3参照)を参照して、クリック率が未知のユーザ端末の素性(属性情報(年齢、性別及び住所))に基づき、広告が属するカテゴリに関わりなく、当該ユーザ端末が、境界線33(図7参照)で分けられたクリックし易いユーザの端末のクラスと、クリックし難いユーザの端末のクラスと、のいずれに含まれるかを検証し、クリックし易いユーザの端末のクラスに属するユーザ端末をクリックし易いユーザの端末と推定し高クリック率ユーザの端末と判断する。
【0045】
次に、本実施形態の判断器生成手段133(図1参照)の別態様について説明する。
本実施形態の判断器生成手段133は、SVMを用いた態様とは別態様の判断器を生成できる。
具体的には、判断器生成手段133は、クリックし易いユーザの端末のデータを統計的処理を行うことで、属性情報であるユーザの年齢、性別(図2参照)及び住所等の特徴のうち、クリックし易いユーザの端末において共通する共通特徴を抽出し、この共通特徴を基準としてクリックし易いユーザの端末であるかを推定し、高クリック率ユーザの端末であるか否かを判断する判断器を生成できる。
この別態様における判断器は、クリック率が未知のユーザ端末が、この共通特徴を有するか否かを判断し、この共通特徴を有すれば高クリック率ユーザの端末であると判断する。ここで、共通特徴は、全てのクリックし易いユーザの端末に共通する特徴であってもよいし、全てのクリックし易いユーザの端末の所定の割合い(例えば、8割)以上のユーザの端末が有する特徴であってもよい。
【0046】
図1に戻って、高クリック率ユーザ端末リスト格納手段160は、高クリック率ユーザ端末判断手段150で判断した高クリック率ユーザの端末を集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成し高クリック率ユーザ端末リスト記憶手段165に格納する。高クリック率ユーザ端末リスト格納手段160は、高クリック率ユーザ端末判断手段150で判断した高クリック率ユーザの端末に加え、高クリック率ユーザ端末判断手段150がラベル付きユーザ端末のうちクリックし易いユーザの端末と判断したユーザも集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成する。
高クリック率ユーザ端末リスト記憶手段165は、高クリック率ユーザ端末リストを記憶する。
【0047】
広告配信手段170は、高クリック率ユーザ端末リスト記憶手段165に記憶された高クリック率ユーザ端末リストを参照して、第1〜第nユーザ端末20又はユーザIDによりアクセスしたユーザのユーザ端末20のうちの高クリック率ユーザの端末に広告を配信する。
【0048】
第1ユーザ端末20は、入力手段210と、表示手段220と、ユーザ端末制御手段230と、を備える。第2〜nユーザ端末20も第1ユーザ端末20と同様の構成であるが、図1においては入力手段210、表示手段220及びユーザ端末制御手段230の記載を省略している。
【0049】
入力手段210は、ユーザのクリック操作やID入力操作を受け付ける。
表示手段220は、広告配信サーバ10から配信された広告を含むWebページや、広告をクリックしたことにより遷移したWebページを表示する。
ユーザ端末制御手段230は、第1ユーザ端末20を制御し、入力手段210で受け付けたユーザの操作に伴う情報(例えば、広告配信サーバ10へのアクセスを要求する情報)を広告配信サーバ10に送信する。また、ユーザ端末制御手段230は、広告配信サーバ10から配信された広告を受信し、表示手段220に表示させる制御を行う。
【0050】
[広告配信システム1のハードウェア構成]
実施形態に係る広告配信システム1の広告配信サーバ10及び第1〜第nユーザ端末20は、コンピュータ及びその周辺装置に適用される。広告配信サーバ10及び第1〜第nユーザ端末20における各部は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに当該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
【0051】
上記ハードウェアには、広告配信サーバ制御手段100・ユーザ端末制御手段230としてのCPU(Central Processing Unit)、ログ記憶手段125、属性情報記憶手段135及び高クリック率ユーザ端末リスト記憶手段165としての記憶部の他、通信装置、表示手段220としての表示装置、入力手段210としての入力装置が含まれる。記憶部としては、例えば、メモリ(RAM:Random Access Memory、ROM:Read Only Memory等)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、及び光ディスク(CD:Compact Disk、DVD:Digital Versatile Disk等)ドライブが挙げられる。通信装置としては、例えば、各種有線及び無線インターフェース装置が挙げられる。表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種ディスプレイが挙げられる。入力装置としては、例えば、入力キー、タッチパネル、キーボード及びポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボール等)が挙げられる。
【0052】
上記ソフトウェアには、上記ハードウェアを制御するコンピュータ・プログラム、判断器140及びデータが含まれる。コンピュータ・プログラム、判断器140及びデータは、記憶部により記憶され、各制御部により適宜実行、参照される。また、コンピュータ・プログラムやデータは、通信回線を介して配布されることも可能であり、CD−ROM等のコンピュータ可読媒体に記録して配布されることも可能である。
【0053】
[広告配信サーバ10の制御フロー]
次に、広告配信サーバ10の制御フローについて説明する。
図8は、本実施形態に係る広告配信サーバ10の広告配信サーバ制御手段100が判断器を生成する処理のフローチャートである。
【0054】
ステップS11では、ユーザ端末識別処理を行う。この処理において、ユーザ端末識別手段110(図1参照)は、広告配信サーバ10(図1参照)へのアクセスを要求する第1〜第nユーザ端末20(図1参照)を識別する。また、ユーザ端末識別手段110は、第1〜第nユーザ端末20から送信されたアクセスを要求する情報にユーザ固有の情報であるユーザIDが含まれていた場合は、当該ユーザIDと対応付けられたユーザのユーザ端末20であると識別するがこれに限られず、Cookieにより識別することとしてもよい。
【0055】
ステップS12では、ログ格納処理を行う。この処理において、ステップS11でユーザ端末識別手段110が識別した第1〜第nユーザ端末20のうち、判断器生成手段133(図1参照)の機械学習において、学習データとなる複数のラベル付きユーザ端末毎に、アクセス及びクリックの履歴を示すログを解析しログ記憶手段125(図1参照)に記憶されたログDB(図2参照)に格納する。
【0056】
ステップS13では、広告数集計処理を行う。この処理において、広告数集計手段131(図1参照)は、複数のラベル付きユーザ端末毎に、当該ユーザに対して表示されたWebページに含まれていた全ての広告の数である全広告数を集計し、重み付けする。
【0057】
広告数集計処理の詳細について、図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係る広告配信サーバ制御手段100の広告数集計手段131が全広告数を当該広告が属するカテゴリ毎に集計し、重み付けする処理のフローチャートである。
【0058】
ステップS131では、広告数データ集計処理を行う。この処理において、広告数集計手段131(図1参照)は、ステップS12でログ格納手段120(図1参照)によってログ記憶手段125(図1参照)に格納されたログDB(図2参照)に基づき、複数のラベル付きユーザ端末毎に、全広告数を上記カテゴリ毎に集計する。
また、広告数集計手段131は、所定の間隔で、ログDBを参照し、複数のラベル付きユーザ端末の全広告数についての新たなデータが追加されていた場合には、当該新たなデータを追加し、最も古い全広告数についてのデータから順に除外して全広告数を上記カテゴリ毎に集計する。
【0059】
ステップS132では、広告数データ重み付け処理を行う。この処理において、広告数集計手段131は、ステップS131で集計された複数のラベル付きユーザ端末毎の全広告数に、各々の所定期間が新しいものほど大きくなる乗数(図4参照)を乗算する。
【0060】
図8に戻って、ステップS14では、クリック広告数集計処理を行う。この処理において、クリック広告数集計手段132(図1参照)は、複数のラベル付きユーザ端末毎に、当該ユーザに対して表示されたWebページに含まれていた全ての広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数を上記カテゴリ毎に集計し、重み付けする。
【0061】
クリック広告数集計処理の詳細について、図10を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係る広告配信サーバ制御手段100のクリック広告数集計手段132がクリック広告数を上記カテゴリ毎に集計し、重み付けする処理のフローチャートである。
【0062】
ステップS141では、クリック広告数データ集計処理を行う。この処理において、クリック広告数集計手段132(図1参照)は、ステップS12でログ格納手段120(図1参照)によってログ記憶手段125(図1参照)に格納されたログDB(図2参照)に基づき、複数のラベル付きユーザ端末毎に、クリック広告数を上記カテゴリ毎に集計する。
また、クリック広告数集計手段132は、所定の間隔で、ログDBを参照し、複数のラベル付きユーザ端末のクリック広告数についての新たなデータが追加されていた場合には、当該新たなデータを追加し、最も古いクリック広告数についてのデータから順に除外してクリック広告数を上記カテゴリ毎に集計する。
【0063】
ステップS142では、クリック広告数データ重み付け処理を行う。この処理において、クリック広告数集計手段132は、ステップS131で集計された複数のラベル付きユーザ端末毎のクリック広告数に、各々の所定期間が新しいものほど大きくなる乗数(図4参照)を乗算する。
【0064】
図8に戻って、ステップS15では、判断器生成処理を行う。この処理において、判断器生成手段133(図1参照)は、属性情報DB(図3参照)に含まれるユーザ端末20の属性情報等に基づいて、当該属性情報等を素性として含む学習データを用いて機械学習を行い、判断器140(図1参照)を生成する。
【0065】
具体的には、この処理において、判断器生成手段133(図1参照)は、ステップS14でクリック広告数集計手段132(図1参照)が上記カテゴリ毎に集計したクリック広告数を、ステップS13で広告数集計手段131(図1参照)が上記カテゴリ毎に集計した全広告数で除算することで、当該カテゴリ毎にクリックし易さを示すクリック率を算出する。また、判断器生成手段133は、複数のラベル付きユーザ端末のうち、所定数以上(例えば、10以上)のカテゴリにおいて、クリック率が所定の閾値以上のユーザの端末をクリックし易いユーザの端末と推定して、所定値以下のユーザの端末をクリックし難いユーザの端末と推定して、クリックし易いユーザの端末とクリックし難いユーザの端末とを分類する。また、判断器生成手段133は、属性情報DB(図3参照)を参照して、クリックし易いユーザの端末とクリックし難いユーザの端末との分類を特徴付ける属性情報を素性と特定する。
【0066】
そして、判断器生成手段133は、この特定した素性を軸とする範囲に複数のラベル付きユーザ端末のデータを配置し、クリックし易いユーザの端末の集合とクリックし難いユーザの端末の集合を生成し、クリックし易いユーザの端末の集合を形成するデータのうち最もクリックし難いユーザの端末の集合に接近するデータに接する識別線を算出し、クリックし難いユーザの端末の集合を形成するデータのうち最もクリックし易いユーザの端末の集合に接近するデータに接する識別線を算出する。
【0067】
判断器生成手段133は、収束計算を繰り返し、これら識別線同士の距離(マージン)が素性を軸とする範囲において最大になるような識別線を算出し、これらの中央に位置する境界線を算出し、判断器140(図1参照)を生成する。
【0068】
ステップS16では、更新するか否かを判断する。この処理において、広告配信サーバ制御手段100(図1参照)は、学習データの差分を判断器140(図1参照)に適用して更新する必要があるか否かを判断し、更新する必要があると判断した場合には、ステップS11に処理を移し、更新する必要がないと判断した場合には、本ルーチンを終了する。
【0069】
図11は、本実施形態に係る広告配信サーバ10の広告配信サーバ制御手段100がクリック率が未知のユーザ端末が高クリック率ユーザの端末であるか否かを判断する処理のフローチャートである。
【0070】
ステップS21では、判断器読み込み処理を行う。この処理において、高クリック率ユーザ端末判断手段150(図1参照)は、ステップS15で判断器生成手段133(図1参照)が生成した判断器140(図1参照)を読み込む。
【0071】
ステップS21では、未知ユーザ端末の属性情報読み込み処理を行う。この処理において、高クリック率ユーザ端末判断手段150は、属性情報DB(図3参照)を参照して、クリック率が未知のユーザ端末の属性情報を読み込む。当該属性情報は、ステップS153で特定した判断器生成手段133が特定した素性である。
【0072】
ステップS22では、高クリック率ユーザ端末判断処理を行う。この処理において、高クリック率ユーザ端末判断手段150は、ステップS15で判断器生成手段133(図1参照)が生成した判断器140(図1参照)を用いて、ステップS21で読み込んだクリック率が未知のユーザ端末の属性情報に基づき、広告が属するカテゴリに関わりなく、当該ユーザ端末が、境界線33(図7参照)で分けられたクリックし易いユーザの端末のクラスと、クリックし難いユーザの端末のクラスと、のいずれに含まれるかを検証し、クリックし易いユーザの端末のクラスに属するユーザ端末をクリックし易いユーザの端末と推定し高クリック率ユーザの端末と判断する。
また、高クリック率ユーザ端末判断手段150は、所定期間における、広告数集計手段131で集計された全広告数及びクリック広告数集計手段132で集計されたクリック広告数に基づき規定した所定のルールに基づき、クリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザの端末と判断することもできる。
【0073】
広告配信サーバ制御手段100は、判断器140(図1参照)を用いることで、ルールベースでの判断に比べて、処理が軽く、判断対象の属性の変化にも対応することができる。
【0074】
ステップS23では、高クリック率ユーザ端末リスト格納処理を行う。この処理において、高クリック率ユーザ端末リスト格納手段160(図1参照)は、ステップS22で高クリック率ユーザ端末判断手段150(図1参照)が判断した高クリック率ユーザの端末を集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成し高クリック率ユーザ端末リスト記憶手段165(図1参照)に格納する。
【0075】
広告配信手段170(図1参照)は、ステップS23で高クリック率ユーザ端末リスト記憶手段165(図1参照)に記憶された高クリック率ユーザ端末リストを参照して、第1〜第nユーザ端末20(図1参照)又はユーザIDによりアクセスしたユーザのユーザ端末20のうちの高クリック率ユーザの端末に広告を配信する。
【0076】
本実施形態によれば、以下のような作用効果がある。
本実施形態によれば、ログ格納手段120は、第1〜第nユーザ端末20毎のアクセス及びクリックの履歴を示すログを格納し、広告数集計手段131は、ログ格納手段120に格納されたログに基づき、第1〜第nユーザ端末20のうち少なくとも一部から選出された複数のラベル付きユーザ端末毎の所定期間における当該ユーザ端末に対して表示されたWebページに含まれていた全ての広告の数である全広告数を広告が属するカテゴリ毎に集計し、クリック広告数集計手段132は、ログ格納手段120に格納されたログに基づき、第1〜第nユーザ端末20のうち少なくとも一部である選出された複数のラベル付きユーザ端末毎の所定期間における当該ユーザ端末に対して表示されたWebページに含まれていた広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数をカテゴリ毎に集計し、高クリック率ユーザ端末判断手段150は、所定期間における、広告数集計手段131で集計された全広告数及びクリック広告数集計手段132で集計されたクリック広告数に基づき、カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザの端末と判断し、高クリック率ユーザ端末リスト格納手段160は、高クリック率ユーザ端末判断手段150で判断した高クリック率ユーザの端末を集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成し格納し、広告配信手段170は、高クリック率ユーザ端末リスト格納手段160に格納された高クリック率ユーザ端末リストに基づいて、高クリック率ユーザの端末に広告を配信する。
【0077】
これにより、広告が属するカテゴリ毎の全広告数及びクリック広告数に基づき、当該カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザと判断し、この高クリック率ユーザの端末に広告を配信できる。
ここで、ユーザの端末を操作するユーザの中には、当該ユーザが興味を持っていないカテゴリの広告でもクリックする傾向(クリック性向)が強いユーザが存在する。
本実施形態によれば、端末を操作するユーザが何に興味を持っているかに関わらず、クリック性向の強いユーザを検出し、このユーザのユーザ端末に広告を配信することで、ユーザ自身が特に興味を持っていないカテゴリの広告でも、クリックされる可能性を向上できる。
したがって、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信し、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【0078】
また、判断器生成手段133は、ログに含まれるユーザの端末の属性情報に基づいて、当該属性情報を素性として含む学習データを用いて機械学習を行い、判断器140を生成し、高クリック率ユーザ端末判断手段150は、当該判断器140を用いて、クリックし易いユーザの端末を推定する。
【0079】
これにより、全広告数及びクリック広告数についてのデータが無いユーザの端末がクリックし易いユーザの端末か推定し高クリック率ユーザの端末と判断し、この高クリック率ユーザの端末に広告を配信できる。
したがって、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信し、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【0080】
また、広告数集計手段131は、複数の所定期間において集計を行い、各々の所定期間が新しいものほど大きくなる乗数を全広告数にそれぞれ乗算し、クリック広告数集計手段132は、当該複数の当該所定期間において集計を行い、各々の当該所定期間が新しいものほど大きくなる乗数をクリック広告数にそれぞれ乗算する。
これにより、全広告数及びクリック広告数のデータが新しいものほど重み付けを大きくできるので、時間経過による高クリック率ユーザの傾向変化に適した学習データ30を作成できる。よって、時間経過による高クリック率ユーザの傾向変化を考慮しつつ、高クリック率ユーザの端末であるか否かを判断し、高クリック率ユーザの端末に広告を配信できる。
したがって、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信し、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【0081】
また、広告数集計手段131は、ログDBにおいて、時間経過に応じて、新たなデータが追加された場合に、最も古いデータから順に除外して、全広告数を集計し、クリック広告数集計手段132は、ログDBにおいて、時間経過に応じて、新たなデータが追加された場合に、最も古いデータから順に除外して、クリック広告数を集計する。
これにより、データを時間経過に応じて更新できるので、最新の全広告数及びクリック広告数に基づき、高クリック率ユーザの端末であるか否かを判断し、高クリック率ユーザの端末に広告を配信できる。
したがって、ユーザが興味を持っているカテゴリに関わらず、広告をクリックする可能性が高いユーザに広告を配信し、広告による企業や製品の知名度を向上できる広告配信サーバを提供できる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
10 広告配信サーバ
120 ログ格納手段
131 広告数集計手段
132 クリック広告数集計手段
150 高クリック率ユーザ端末判断手段
160 高クリック率ユーザ端末リスト格納手段
170 広告配信手段
20 第1〜第nユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告を含むWebページを表示する複数のユーザの端末にネットワークを介して接続され、前記ユーザの端末に広告を配信する広告配信サーバであって、
複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部についてアクセス及びクリックの履歴を示すログを格納するログ格納手段と、
前記ログ格納手段に格納された前記ログに基づき、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部について所定期間における前記ユーザの端末に表示された前記Webページに含まれていた全ての広告の数である全広告数を当該広告が属するカテゴリ毎に集計する広告数集計手段と、
前記ログ格納手段に格納された前記ログに基づき、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部について前記所定期間における前記ユーザの端末に表示された前記Webページに含まれていた広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数を前記カテゴリ毎に集計するクリック広告数集計手段と、
前記所定期間における、前記広告数集計手段で集計された前記全広告数及び前記クリック広告数集計手段で集計された前記クリック広告数に基づき、前記カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザの端末と判断する高クリック率ユーザ端末判断手段と、
前記高クリック率ユーザ端末判断手段で判断した前記高クリック率ユーザの端末を集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成し格納する高クリック率ユーザ端末リスト格納手段と、
前記高クリック率ユーザ端末リスト格納手段に格納された前記高クリック率ユーザ端末リストに基づいて、当該高クリック率ユーザの端末に前記広告を配信する広告配信手段と、を備える広告配信サーバ。
【請求項2】
前記ログに含まれるユーザの端末の属性情報に基づいて、当該属性情報を素性として含む学習データを用いて機械学習を行い、判断器を生成する判断器生成手段をさらに備え、
前記高クリック率ユーザ端末判断手段は、前記判断器生成手段で生成した前記判断器を用いて、前記クリックし易いユーザの端末を推定する請求項1に記載の広告配信サーバ。
【請求項3】
前記広告数集計手段は、複数の前記所定期間において集計を行い、各々の前記所定期間が新しいものほど大きくなる乗数を前記全広告数にそれぞれ乗算し、
前記クリック広告数集計手段は、前記複数の前記所定期間において集計を行い、各々の前記所定期間が新しいものほど大きくなる乗数を前記クリック広告数にそれぞれ乗算する請求項1又は2に記載の広告配信サーバ。
【請求項4】
前記広告数集計手段は、前記ログにおいて、時間経過に応じて、新たなデータが追加された場合に、最も古いデータから順に除外して、前記全広告数を集計し、
前記クリック広告数集計手段は、前記ログにおいて、時間経過に応じて、新たなデータが追加された場合に、最も古いデータから順に除外して、前記クリック広告数を集計する請求項1から3のいずれかに記載の広告配信サーバ。
【請求項5】
広告を含むWebページを表示する複数のユーザの端末にネットワークを介して接続され、前記ユーザの端末に広告を配信する広告配信サーバによって実行される広告配信方法であって、
複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部についてアクセス及びクリックの履歴を示すログを格納するログ格納ステップと、
前記ログ格納ステップで格納した前記ログに基づき、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部について所定期間における前記ユーザの端末に表示された前記Webページに含まれていた全ての広告の数である全広告数を当該広告が属するカテゴリ毎に集計する広告数集計ステップと、
前記ログ格納ステップで格納したログに基づき、複数の前記ユーザの端末のうち少なくとも一部について前記所定期間における前記ユーザの端末に表示された前記Webページに含まれていた広告のうちクリックされた広告の数であるクリック広告数を前記カテゴリ毎に集計するクリック広告数集計ステップと、
前記所定期間における、前記広告数集計ステップで集計した前記全広告数及び前記クリック広告数集計ステップで集計した前記クリック広告数に基づき、前記カテゴリに関わりなくクリックし易いユーザの端末を推定して高クリック率ユーザの端末と判断する高クリック率ユーザ端末判断ステップと、
前記高クリック率ユーザ端末判断ステップで判断した前記高クリック率ユーザの端末を集計して高クリック率ユーザ端末リストを作成し格納する高クリック率ユーザ端末リスト格納ステップと、
前記高クリック率ユーザ端末リスト格納ステップで格納した前記高クリック率ユーザ端末リストに基づいて、当該高クリック率ユーザの端末に前記広告を配信する広告配信ステップと、を備える広告配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−141785(P2012−141785A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294016(P2010−294016)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】