説明

広域スペクトル光源

本発明は光源の分野に関し、詳細には、数百ナノメートルの広域スペクトルにわたって延びる波長の光源に関する。本発明の目的は、広域スペクトルにわたって拡散する波長の、比較的コンパクトで安価な光源を提供することである。光源は基本波長または基本波長付近で動作し、0.5nsより長い持続時間のパルスを生成するレーザ(4)と、パルスを誘導するように構成された微細構造光ファイバ(9)とからなり、ファイバ(9)中のパルスによって光が生成される。本発明はさらに、光のスペクトルを生成する方法に関する。本発明は、例えば、ファイバ構成要素のスペクトル試験と、化学標本および生体標本のスペクトル分析などの応用例で有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の分野に関し、詳細には、数百ナノメートルの広域スペクトルにわたって延びる波長の光源に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバ中での非線形相互作用に大きな関心が持たれている。例えば石英ガラスの低い非線形性が、ファイバでの長い相互作用長と高いパワー密度によって弱められて、非常に大きな非線形効果が生じる。ほとんどの非線形過程では、位相整合、パルスの広がり、ウォークオフ、および減衰によって決定される有効相互作用長よりも物理的ファイバ長を長くすることができる。具体的には、短パルス伝搬と非線形過程に関する位相整合条件とに関して、ファイバ分散が主要な役割を果たす。
【0003】
石英ガラスの材料分散それ自体が異常である1300nmを超えるスペクトル領域で正常または異常のモード分散を有し、任意の所与の波長でゼロ分散となるようにファイバを設計および作製することができる(例えば、遠隔通信システムで使用される分散シフトファイバ)。しかし、シリカのステップ・インデックス単一モード光ファイバのゼロ分散波長λを、バルク・シリカのゼロ分散波長である1270nmよりも短い波長まで移動することは不可能である。
【0004】
フォトニック結晶ファイバ(PCF、微細構造ファイバまたはホーリー・ファイバとしても知られる)は、比較的新しい種類の光ファイバである。PCFは、複数の細長いホールを形成する固体マトリックス材料から形成され、クラッディング領域とコア領域とを有する。PCFは、コア領域とクラッディング領域の間の界面での全内部反射を含むいくつかの機構によってそのコア領域で光を誘導する。PCFが単一の固体材料から作製されている場合でも、クラッディング領域中のホールがクラッディングの有効屈折率を低下させ、固体コア領域とクラッディング領域の間で屈折率ステップを与え、誘導光の全内部反射を可能にする。
【0005】
フォトニック結晶ファイバでは、単一モード・シリカ・ファイバのゼロ分散波長をずっと短い波長にシフトすることが可能である(例えば、ディー モギレフチェフ(D.Mogilevtsev)、ティー エー バークス(T.A.Birks)、ピー エスティー ジェー ラッセル(P.St.J.Russell)、「Group−velocity dispersion in photonic crystal fibres」、Opt.Lett.、23(21)、1662〜1664ページ、1998年、ジェー シー ナイト(J.C.Knight)、ジェー アリアガ(J.Arriaga)、ティー エー バークス(T.A.Birks)、エー オルチゴサ・ブランチ(A.Ortigosa−Blanch)、ダブリュー ジェー ワズワース(W.J.Wadsworth)、ピー エスティー ジェー ラッセル(P.St.J.Russell)、「Anomalous dispersion in photonic crystal fibre」、IEEE Photonic Technology Letters、第12巻、807〜809ページ、2000年、およびジェー ケー ランカ(J.K.Ranka)、アール エス ワインデラー(R.S.Windeler)、エー ジェー ステンツ(A.J.Stentz)、「Visible continuum generation in air−silica microstructure optical fibres with anomalous dispersion at 800 nm」、Opt.Lett、25(1)、25〜27ページ、2000年を参照)。これが、750〜850nmのモード・ロックTi:サファイア・レ
ーザで励起された領域580〜900nmでゼロ分散波長を有する小コア高インデックス・コントラストPCFで超連続体を生成するのに、劇的な効果を与えている。こうしたファイバは通常は厳密には単一モードではないが、高次モードの励起が難しく、通常の曲げでは基本モードにも結合されず、したがってファイバを単一モードであるかのように使用することができる。
【0006】
厳密に単一モードのPCFを製作することができるだけでなく、全波長にわたって1つの導波モードだけをサポートするいわゆるエンドレス単一モードPCFも製作することができる(例えば、ティー エー バークス(T.A.Birks)、ジェー シー ナイト(J.C.Knight)、ピー エスティー ジェー ラッセル(P.St.J.Russell)、「Endlessly single−mode photonic crystal fibre」、Opt.Lett.第22巻、961〜963ページ、1997年、およびティー エー バークス(T.A.Birks)、ディー モギレフチェフ(D.Mogilevtsev)、ジェー シー ナイト(J.C.Knight)、ピー エスティー ジェー ラッセル(P.St.J.Russell)、ジェー ブロエング(J.Broeng)、ピー ジェー ロバーツ(P.J.Roberts)、ジェー エー ウエスト(J.A.West)、ディー シー アラン(D.C.Allan)、ジェー シー ファジャルド(J.C.Fajardo)、「The analogy between photonic crystal fibres and
step index fibres」、Optical Fibre Conference、ペーパーFG4−1、114〜116ページ、1999年2月26日(金)を参照)。
【0007】
シュレイバーら(Schreiber et al.)は、Opt.Comm.、第228巻、2003年の71〜78ページで、1040nmで動作するイッテルビウム・ドープ・ファイバ増幅器からピコ秒パルスで励起することによるPCFからの超連続スペクトルの生成を報告している。
【0008】
タウンら(Town et al.)は、Appl.Phys.B−Lasers and Optics、第77巻、2003年の235〜238ページで、QスイッチNd:YAGレーザからのナノ秒パルスで励起することによる、無秩序微細構造エア・シリカ光ファイバからの超連続スペクトルの生成を報告している。
【0009】
コーエンら(Coen et al.)は、Opt.Lett.、第26巻、2001年の1356〜1358ページで、647nmで動作するKr−イオン・レーザから675Wピーク・パワーの60psパルスで励起することによるPCFからの超連続体の生成を報告している。
【0010】
ダドレーら(Dudley et al.)は、532nmで動作する周波数2倍QスイッチNd:YAGマイクロチップ・レーザから0.8ns持続時間のパルスで励起することによるエア・シリカ微細構造ファイバからの超連続体の生成を報告している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、広域スペクトルにわたって拡散する波長の、比較的コンパクトで安価な光源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、基本波長または基本波長付近で動作して0.5nsより長い持続時間を有するパルスを生成するレーザと、パルスを誘導するように構成された微細構造光ファ
イバとを有する、300nm超にわたって延びる波長のスペクトルの光源であって、ファイバ中のパルスによって光が生成される光源が提供される。
【0013】
スペクトルは、300nmにわたるほぼすべての波長の光を有する超連続スペクトルでもよく、または全体で300nmにわたって延びるわずか数個の広い間隔の波長の光を含むスペクトルでもよい。この場合、スペクトルは、4波混合(FWM)によって生成することができる。したがって、光源は、微細構造ファイバでFWMによって光を生成する光源でもよく、生成された光はほぼFWM波長でよい。本発明者らは、FWMピークが有用となる比較的長いパルスによってFWMピークが微細構造ファイバで十分効率的に生成されるという驚くべき発見をした。本発明者らはまた、FWMピークが高パワーで著しく広がらないということも発見した。レーザは、ND:YAG、Nd:YLF、Ti:サファイアなどのゲイン結晶を利用する固体レーザでもよい。レーザはQスイッチ型でもよい。レーザはモノリシック・レーザでもよい。マイクロチップ・レーザ、非平面リング・レーザなどのモノリシック・レーザでは、共振器ミラーが、レーザ・ゲイン結晶上に直接被覆される。レーザは、一般に1つまたは複数のダイオード・レーザによって励起される。
【0014】
マイクロチップ・レーザは、Kr−イオン・レーザなどのメインフレーム・レーザよりもかなり安価であり、よりコンパクトである。
レーザは周波数2倍ではなく、その基本波長または基本波長付近で動作する。従来技術では、PCFを励起するのに使用されてきたマイクロチップ・レーザは周波数2倍であった。マイクロチップ・レーザ基本波長、例えば1000nmから1100nmで、非常に広域のスペクトルの生成を達成できることは驚くべきことである。
【0015】
この波長の長パルスを使用して広域スペクトルを生成できることが特に驚くべきことである。光のパルスは、500ps超、1ns超、2ns超、3ns超、4ns超、5ns超、さらには10ns超の持続時間でもよい。
【0016】
比較的低いピーク・パワーのパルスを使用して広域スペクトルを生成できることも特に驚くべきことである。パルスは、50kW未満、20kW未満、15kW未満、10kW未満、9kW未満、3kW未満、さらには1kW未満のピーク・パワーを有することができる。
【0017】
それに伴い広域スペクトルが生成される相対的な難しさの別の徴候は、パルス・ピーク・パワーとファイバ中のパルスの相互作用長(すなわち、パルスが生成している光からパルスを分散分離して多重波相互作用を停止させるのに十分となる前にパルスが移動する長さ。相互作用長の大きさは、ファイバ損失の効果を考慮に入れて計算されることがあり、または計算されないことがある)との積によって与えられる。ピーク・パワーと相互作用長の積が2kWm未満、1kWm未満、さらには500Wm未満であるときに広域スペクトルを生成できることを本発明者らは発見した。
【0018】
さらに広いスペクトルを生成でき、したがってスペクトルは500nm超、または700nm超にわたって延びることができることを本発明者らは発見した。
基本波長は600nmより長くてよい。基本波長は1000nmから1100nmの範囲でよい。
【0019】
微細構造光ファイバは、ゼロ分散波長λを有する。レーザの動作波長は、ゼロ分散波長未満でよい。その場合、広域スペクトルは、一般には4波混合によって生成される。
あるいは、レーザの動作波長はゼロ分散波長よりも長くてもよい。その場合、広域スペクトルは一般には変調不安定性によって生成される。
【0020】
微細構造光ファイバは、1000nmと1100nmの間のゼロ分散波長を有することができる。ゼロ分散波長は、ファイバが作成される材料(例えばシリカ)の透過窓中の最短のゼロ分散波長でよい。
【0021】
微細構造光ファイバは、波長のスペクトル中の全波長、例えば4波混合またはパルスからの超連続体生成で生成された全波長で単一横モードでの光の伝搬をサポートするように構成することができる。
【0022】
微細構造光ファイバは、単一横モードでのパルスの伝搬をサポートするように構成することができる。周波数2倍で動作するのではなく基本波長で動作するレーザを使用する利点は、基本波長が第2高調波の波長よりも長くなり、その場合微細構造ファイバを単一モードとなるように製作することが容易であることである。532nmで動作する周波数2倍マイクロチップ・レーザを利用する従来技術のシステムは、その微細構造ファイバの高次モードで伝搬するパルスを生成し、その波長で基本モードで伝搬するためには、微細構造ファイバのコアの直径を1ミクロン未満にする必要があり、製作が難しい。
【0023】
微細構造光ファイバは、全波長で単一横モードでの光の伝搬をサポートするように構成することができる。
波長のスペクトルの光の70%超、80%超、90%超、さらには95%超が、ファイバによってサポートされる最低次の横モードでよい。
【0024】
微細構造ファイバは、2.5ミクロン超、2.7ミクロン超、さらには2.9ミクロン超のピッチを有することができる。
微細構造ファイバは、4ミクロン超、4.5ミクロン超、さらには4.8ミクロン超の直径を有するコアを有することができる。
【0025】
微細構造ファイバは、直径dおよびピッチΛのホールのアレイを有するクラッディング領域を有することができ、d/Λは0.7未満、0.6未満、0.5未満、さらには0.4未満である。
【0026】
微細構造ファイバは、8μm超、9μm超、12μm超、14μm超、さらには15μm超の有効非線形面積を有することができる。それによって高パワー・スペクトルが可能となる。
【0027】
微細構造ファイバは、パルス相互作用長よりも短くてよい。別の箇所で論じるように、パルスは、微細構造ファイバ中の過程の連鎖によって波長のスペクトルの光を生成することができる。例えば、特定の波長、例えば4波混合波長でより高い出力パワーを得るために、そのような短い長さを使用して特定の点でその連鎖を停止させることが望ましいことがある。ファイバ長は、パルス・ウォークオフ長として計算されるパルスの相互作用長よりも短くてよい。ファイバ中の損失の効果のためにより短い長さの後に波長の追加の生成がほとんど生じない可能性があるからである。
【0028】
光源は、波長のスペクトルの小区分中の波長の光を選択するフィルタを含むことができる。
さらに、本発明によれば、500nmにわたって延びる波長のスペクトルの光を生成する方法であって、レーザをその基本波長または基本波長付近で操作して0.5nsより長い持続時間の光のパルスを供給し、微細構造光ファイバ中でパルスを誘導する方法が提供される。
【0029】
波長のスペクトルの光は、その後に超連続体生成が続く非線形過程の連鎖、例えば4波
混合によって生成することができる。そのような連鎖した非線形性を使用することにより、例えば1064nmで動作する、例えばマイクロチップ・レーザから、可視波長、さらには紫外波長で著しいエネルギーを有するスペクトルを生成できることを本発明者らは発見した。500nmより短い波長にわたって延びる連続体の生成は特に有利であり、多くの潜在的用途を有する。それは、周波数2倍マイクロチップ・レーザ(例えば、532nm光から超連続体を生成するレーザ)を利用する従来技術のシステムでは達成されていなかった。しかし、基本波長で動作するモノリシック・レーザからの光、例えば4波混合によって700nmから800nmの範囲の波長に変換され、次いで超連続体に変換された1000nmから1100nmの範囲(例えば1064nm)で動作するマイクロチップ・レーザからの光を変換することにより、可視またはUVに延びるスペクトルの生成が可能であることを本発明者らは発見した。
【0030】
次に、添付の図を参照しながら、単なる例示によって本発明の実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
当技術分野で周知の技法を使用して、PCFは、Nd:YAGレーザの波長1064nm付近の、およびその両方の側のゼロ分散波長を用いて設計および製作されてきた。こうしたファイバを1064nmの600psパルス中のμJエネルギーで励起したときのこうしたファイバでの変調不安定性、超連続体生成、ならびにパラメトリック光生成および増幅を本発明者らは詳細に調査した。Qスイッチ・ナノ秒パルスの使用は、モードロック・フェムト秒/ピコ秒レーザを用いた以前の作業とは著しく異なる。Qスイッチングに必要なレーザ技術は、モード・ロッキングよりもずっと単純であり、サイズとコストの節約が可能となる。ターゲット波長範囲1040〜1070nm内の多数のNd/Ybドープ・レーザも存在し、それを直接ダイオード励起することができ、したがってそれはコンパクトかつ効率的である。
【0032】
大部分の以前の超連続体生成実験は、モード・ロック・レーザからのフェムト秒パルスを使用して超短パルス領域に焦点を当ててきた。その場合、自己位相変調、ソリトン効果、およびパルス・ウォークオフが重要な考慮すべき点であり、伝搬が非線形シュレディンガー方程式によって記述される。ここで、伝搬を準CWとみなすことのできる、ずっと長いパルスを考慮する。パルスのエッジでのdI/dtの効果も、異なる波長間のパルス・ウォークオフも著しくはない。この場合、主な非線形過程は、ポンプから等しい周波数間隔の側波帯を生成するための、位相整合4波混合(FWM)である。こうした過程に関する利得は、シリカの非線形屈折率n=2×10−20/Wによって与えられる。位相整合とエネルギーの保存により、以下の式が与えられる。
【0033】
2kpump=ksignal+kidler+2γP (1)
および
2ωpump=ωsignal+ωidler (2)
上式で、kはモードの波数ベクトル(伝搬定数)であり、ωは、ポンプ波、信号波、およびアイドラ波の周波数であり、Pはポンプ・パワー(準CWの場合、ピーク・ポンプ・パワー)であり、γはファイバの非線形係数である。
【0034】
【数1】

【0035】
上式で、Aeffは、ファイバの有効面積であり、λはポンプ波長である。こうした位相整合条件は、所与のファイバ中のピーク・ゲインに対する波長を与え、ファイバの色分散に依存する。様々なファイバに関する分散を測定または計算することができ、したがって位相整合条件(1)を計算することができる。PCFの数値モデリングより、伝搬定数kを直接得ることができ、次いでそれを(1)にあてはめることができる。測定値については、わかるのは群速度分散、伝搬定数の2次導関数だけである。通常は、(光振動数の関数としての)分散曲線をテイラー級数として分散係数βで展開し、分散係数βから位相整合(1)を計算することができる。ここで考慮するPCFでは、実測群速度分散曲線に対する妥当なフィットおよび補外を与えるために、βまでの項を含めた(図1a)。テイラー係数β(ps/km)は、群速度分散に関する工学単位D(ps/nm
km)に
【0036】
【数2】

【0037】
により関係付けられている。
1PCFの測定した分散から計算された位相整合FWM波長を、ゼロ分散波長からのポンプ波長偏位の関数として図1(b)に示す。a)λpump≪λ、b)λpump≦λ、c)λpump>λという3つの重要な領域がある。
【0038】
これらを逆の順序で考慮する。ケースc)(図1(b)の右半分)は、ポンプ波長に近いFWMピークの強いパワー依存位相整合を示す。この領域での(1)の解に対しては非ゼロ値のγPが必要である。このことは、すべてのファイバの異常分散領域で生じる変調不安定性(MI)のよく知られた現象である。ゲイン・ピークは比較的広く、中央周波数は、主に群速度分散βに依存し、より高次の分散への依存はわずかである。
【0039】
ケースb)(図1(b)の左半分)では、広い間隔のFWMピークの主にパワー独立の位相整合が存在する。この領域での(1)の解は、ゼロ・パワーでも存在するが、非ゼロ高次分散についてのみである(テイラー展開中の偶数項β、βなどのみ)。ゲイン・ピークは比較的狭く、中央周波数は、高次の分散に強く依存する。
【0040】
ケースa)(図1(b)の左側の向こう)では、FWMについて位相整合は存在しない。a)とb)の間の境界は、実験的位置および理論的位置を有する。図1(b)より、λからのポンプの偏位が増大するとき、アイドラ波長が2μmをさらに超えて偏位することがわかる。2.2μmを超えて生成されたアイドラ信号は、シリカの吸収がこの波長範囲で急速に増大するために検出することができない。吸収を無視しても、理想化されたファイバは、湾曲してそれ自体の上に戻るFWM位相整合分岐を示し、FWMが生じることのできる最大波長偏位に対する制限が与えられる。
【0041】
広い間隔のFWMピーク(ケースb)を頻繁に議論したが、それは、ゼロ分散波長652nmのPCFでモード・ロックKrレーザからの647nmの60psパルスを使用して、本発明者らによって最近になって発見されただけである(例えば、ジェイ ディー
ハーヴェイ(J.D.Harvey)、アール レオンハルト(R.Leonhardt)、ケー エル ジー ウォング(K.L.G.Wong)、ジェー シー ナイト(J.C.Knight)、ダブリュー ジェイ ワズワース(W.J.Wadsworth)、およびピー エスティー ジェー ラッセル(P.St.J.Russell)、
「An optical parametric oscillator in the
visible using PCF」、CLEO 2003、ペーパー CMR3(2003年)を参照)。この研究では、本発明者らは、入手可能な多数の異なるNd/Ybドープ・レーザを考えると、工学的に非常に重要な、1桁長い600psおよび波長1064nmのパルスで、FWM/MI現象を詳細に調査している。
【0042】
FWM/MI利得と同様に、すべてのシリカ・ファイバは、特性偏位13THzでラマン利得を示す。これは位相整合過程ではないので、すべてのファイバで生じ、ファイバ分散の差によってあまり影響を受けない。位相整合が利用可能である場合、FWM/MI利得はシリカではラマン利得よりも一般に大きく、したがって、著しいラマン効果が観測されることが予想されるのは、FWM/MI利得が存在しないとき(すなわち、ケースaの場合)だけである。
【0043】
多くのPCFは、1064nmの一方の側に対するゼロ分散波長で製作される。ファイバは、標準ファイバ・クリーバ、ストリッパ、機械的ホルダ、およびアダプタとの互換性のために、125μmの外径と250μmアクリラート・バッファとを有する。ファイバのすべては、名目上同一のホール間ピッチΛ=3μmを有するが、コア直径約5μmに対応する、d/Λ=0.3からd/Λ=0.5までの異なるホール直径dを有する。ホールが大きくなると、ゼロ分散波長はより短い波長となる。実測ゼロ分散波長λは1040nmから1105nmに及ぶ。製造中にファイバ損失を低減するための特定の試みは行わず、その結果、ファイバ損失は比較的高く、1550nmで4.5dB/km、1064nmで12dB/km、1380nmのOH吸収のピークで110dB/kmであった。代表的ファイバの走査電子顕微鏡写真を図2に示す。比較のために、単一モード・カットオフ波長920nmと1060nmでのモード・フィールド直径6.2μmとを有する従来型ステップ型ファイバNufern 1000−HPも調査した。
【0044】
ファイバ中の非線形相互作用は、受動QスイッチNd:YAGレーザ(JDS Uniphaseモデル番号NP−10620−100)からの600psパルスで励起することによって観測された。ファイバに送達された平均パワーは30mWであり、パルス反復率7.25kHzと共に、パルス・エネルギー4.1μJおよびピーク・パワー6.9kWに対応する。様々な単一モード・ファイバへの結合効率は35〜50%であった。このポンプ・レーザは低コストであり、レーザ・ヘッドが100×22×32mmで極めてコンパクトであり、これにより、波長変換および連続体生成への科学的関心に対して実際的な有用性が加えられる。試験下でのファイバへのパワー入力を、マイカ波長板および結晶偏光子を使用して制御した。ファイバへの入力の偏光を、すべての時間で垂直に固定した。入力パワーおよび出力パワーを、生成される広い範囲の出力波長にわたってフラットなスペクトル応答を有するために熱パワー・メータで測定した。出力スペクトルを光スペクトル分析器(Ando AO−6315B)で測定した。スペクトル分解能を別段の記述がある場合を除いて5nmに設定した。SF11等辺プリズムで出力を分散させ、個々のビームを熱パワー・メータで測定することによって離散的パラメトリック波長でのパワーを測定した。パラメトリック・ゲインの測定のために、ファイバ結合CWダイオード・レーザからの出力を、被覆されていないガラス板からの45°での反射によって入力ビームに導入した。ダイオードの偏光を板からの最大反射のために調節した。これは、ポンプ光偏光に平行な、支配的垂直偏光に対応する。ファイバに結合されるシード・パワーを、シード波長で較正した低パワー・フォトダイオード検出器を使用してファイバ出力で測定した。
【0045】
表1に、この文書で考慮するいくつかのPCFについての光学的データを示す。低コヒーレンス干渉技法を使用して分散を測定した。パラメトリック光生成(OPG)波長とは、1から3mの短い長さのファイバが1064nmのパルスで励起されたときの実測出力
波長を指す。ファイバPを除く、表1に列挙したすべてのファイバはエンドレス単一モードである。波長がどうであっても1つの導波モードしか存在しない。ホール直径d/Λ>0.4を有するファイバPはエンドレス単一モードではないが、単一モード・カットオフ波長は<650nmであり、したがって、注目の波長での単一モードである。ファイバの選択のための実測分散曲線が、Λ=3μm、d/Λ=0.3の理想化されたファイバについて計算された曲線と共に図1(a)に示されている。上述の非線形相互作用の異なる領域が、利用可能なファイバの範囲ですべてアクセス可能である。a)Nufern 1000−HPの従来型ステップ型ファイバで表されるλpump≪λ、b)PCF Lで表されるλpump≦λ、c)PCF Pで表されるλpump>λ
【0046】
それぞれのケースについて、入力パワーおよびファイバ長に伴う出力スペクトルの変化を以下のセクションで論じる。
ケースa)λpump≪λ
ステップ型ファイバ1000−HPは、実測ゼロ分散波長λ=1440nmを有する。ポンプ波長偏位は非常に大きく−376nmであり、これは、非線形位相整合が存在しない領域内にある。ポンプ波長1064nmでの分散は、−37ps/nm kmである。100mのこのファイバに関する入力パワーに伴う実測出力スペクトルの変化を図3に示す。著しいラマン生成が存在し、数次のラマン・ストークス線が見える。スペクトルは片側であり、ポンプよりも短い波長の生成はない。予想通り、これは、パラメトリック法の欠如を明白に示している。
【0047】
ケースb)λpump≦λ
PCF Lは、実測ゼロ分散波長λ=1069nmを有する。ポンプ波長偏位は小さく−5nmであり、これは、広い間隔の波長の位相整合が存在し、パワー依存性がほとんどない領域内にある(FWM、図1(b)の左半分)。ポンプ波長での分散も小さく、丁度−1ps/nm kmである。6mのこのファイバに関する実測出力スペクトルの入力パワーに伴う変化を図4(a)に示す。低パワーでは、2つの別個のパラメトリック波長が、ポンプ波長についてのエネルギーにおいて等しい間隔の895nmと1315nmで生成される。これは位相整合計算から予想される通りである。ポンプ・パワーがさらに増大するとき、ポンプ波長、信号波長、およびアイドラ波長についてのスペクトルの広がりがある。他のPCF、−40nmまでのλからのポンプ偏位を伴うA〜Nでは、686nmから975nmまでの範囲の信号波長と、1168nmから1900nmを超える範囲のアイドラ波長を伴う類似のパラメトリック光生成が見られる(表1、図5(a))。
【0048】
図4(a)の高パワーで見られる、生成されたパラメトリック・ピークの広がりは、より広い間隔のFWM波長を生成するファイバではかなり低減される。例えば、図5(b)は、ファイバBについての出力を示す。ここで、ポンプ・パワーが増大するときにポンプおよび信号波長の広がりは非常に少ない。これは、式(1)の右辺が、厳密な位相整合解に近い(信号波長の変化に対する)鋭い傾きを有し、したがってパラメトリック・ゲイン・ピークが狭いためである。中/高入力パワーに関する716nm信号のスペクトルを、716nmおよび1064ピークの帯域幅のポンプ・パワーに伴う変化と共に図6に示す。各帯域幅は、両者が30mWポンプ・パワーで1.8nmFWHMまで増加するとき、25mWまでポンプ・パワーに対して不変である。信号のパワーおよびプリズムで分散するポンプ・ビームを測定することにより、このファイバでのパラメトリック変換効率を求めた。30mWの入力パワーでは、全出力は11mWであり、そのうち8.3mWが1064nmでのポンプであり、2.5mWが716nmでの信号であり、22%の変換であった。予想されるアイドラ波長2.07μmで放射は測定されなかった。長波長での閉込め損失が出力でのこの波長の欠如の理由であると考えられる。より小さいポンプ波長偏位のファイバCを使用すると、FWM波長は732nm(実測)および1945nm(信号波長からの推測)にわずかに近くなる。この場合、アイドラ波長での出力放射が観測され
た。30mWのポンプ・パワーで3mの長さの場合、全出力パワーは13mWであり、そのうち8.0mWが1064nmでのポンプであり、4.5mWが732nmでの信号であり、35%の変換、および0.43mWが1945nmでのアイドラであり、3%の変換であった。
【0049】
ファイバC、F、G、H、I、Lで測定したパラメトリック光生成の波長を、各ファイバについての測定したλからのポンプ波長偏位に対して図1(b)にプロットする。ファイバGの測定した分散から等式(1)および2によって計算したこれらの点および線の間に良好な一致が見られる。
【0050】
CWダイオード・レーザ・プローブ・ビームを使用して、2.5mの長さのファイバLについて1315nmでのパラメトリック・ゲインを測定した。自発パラメトリック光生成がまだ低い結合ポンプ・パワー4mW(ピーク・パワー920W)では、1315nmで15μWのシード・パワーについて>55dBの利得を測定した。信号波長(895nm)で光の観測に関するしきい値は、非シード化自発生成に関する2mW(460Wピーク)ポンプ・パワーから、1315nmでのシード・パワー11μWに関する0.95mW(218Wピーク)まで低下した。2mW(460Wピーク)ポンプ・パワーでは、シード化パラメトリック光生成が、最低の達成可能シード・パワー0.07μWについて観測され、これは、600ps利得期間中の300光子未満に対応する(図4(b))。シード化信号中に見られるモードは、1310nmのシード・ダイオード・レーザの縦モードに対応する。必要なポンプおよびシード・パワーは十分低く、フィードバックを有するより長いファイバを使用してCWパラメトリック振動を生成することを妥当に期待することができる。
【0051】
ケースc)λpump>λ
PCF Pは、ゼロ分散波長λ=1039nmを有する。ポンプ波長偏位は+25nmであり、これは、密な間隔の波長のパワー依存位相整合が存在する領域内にある(MI、図1(b)の右半分)。ポンプ波長での分散は+5ps/nm kmである。1m、3m、20m、および100mのこのファイバに関する実測出力スペクトルの入力パワーに伴う変化を図7に示す。短い1mおよび3mの長さでは、対称的MIピークがポンプ波長の両側近くにはっきりと見える。低パワー(5〜7mW)では、等式(1)から予想される、生成されるMI波長の入力パワーに伴う偏位があるが、MIピーク中に著しいパワーがあると、波長は飽和を通じて固定される。長い20mおよび100mの長さのファイバでは、MIは、まさに最低のパワー<2mWでしか見えない。生成される波長は、それが測定されるより低いポンプ・パワーから予想されるように、ポンプにずっと近く(100mではポンプからほとんど分離されない)、やはり、ピークの位置は高パワーで安定する。高パワーでは、出力帯域幅は、広く極めてフラットな連続体に成長し、約500nmからOSAの限界1750nmを超えて広がる。1900nmを超えるスペクトル中のパワーが確かに存在することを示すために他の検出器を使用した。20mの長さの2つのファイバの代表的高パワー・スペクトルを線形目盛および対数目盛の両方で図8に示す。フラットな連続体のスペクトル特徴の欠如が、PCFでフェムト秒パルスで生成される連続体と著しい対照をなす。短/中期間時間安定性も良好である。本発明者らは、この連続体を、その入力パワーを監視する必要なしに干渉測定のための光源として応用しているからである。スペクトルが20mのファイバの後で既に極めて広いとき、帯域幅は、100mまでのさらなる伝搬からほとんど得られない。実際、さらなる伝搬の主な効果はパワー損失である。しかし、伝搬は、ファイバの最初の20mで生成される広域スペクトルの受動線形伝搬ではない。このことは、20から100mの受動ファイバ伝搬に関する8dBに相当する、1380nmでのファイバのOH吸収によって引き起こされる出力スペクトル中のディップを見ることによって理解することができる。100m後のスペクトルで測定される実際のディップはわずか4dBであり、吸収のためにエネルギーが失われるときにエ
ネルギーをこの領域中に再配布し続けることができるのに十分なパワーが吸収の両側の連続体中にあることが示唆される。
【0052】
本発明者らは、ゼロGDV波長が1064nmに近い、単一モード・ファイバに関する新しい分散領域を実演した。これが、広くフラットなスペクトル的かつ空間的に明るい単一モード連続体放射のコンパクト・ソースを生成するため、または近赤外の選択した波長でのパルスを生成するためのコンパクトで効率的な波長変換のために、サブナノ秒Qスイッチ・レーザ・パルスの非線形相互作用に適用される。広くフラットでコンパクトな連続体源は、ファイバ構成要素のスペクトル試験(これに関しては、本発明者らの実験室では既にその能力および汎用性が既に立証されている)と、化学標本および生体標本のスペクトル分析とへの明らかな応用例を有する。他の選択した波長でのパルス・ナロー・バンド源は、2光子蛍光などの方式での非線形識別および検出に容易に利用可能な波長の範囲を増大させ、他の注目の波長でのファイバ中の非線形相互作用に関するポンプ源を供給する。例えば、750nmで生成されたパルスを、Ti:サファイア・レーザでの連続体生成のために設計された非線形分散偏位PCF内に発射することができ、IR内の1064nmで開始したときに可能なものよりもさらに可視光に及ぶ連続体を生成する。観測した非線形性は、FWMおよびMIのよく理解された物理的過程に適合し、PCF技術で容易に利用可能な分散の制御により、レーザ工学での非常に重要な波長への応用が可能となった。ファイバ分散のさらなる考慮は、ここで提示した結果をさらに改善する助けとなる。
【0053】
上述の作業の別の開発では、通常考えられるよりも数倍長いパルスでの強いFWMおよび超連続体生成をここで報告する。この準CW領域では、必要な(ピーク・パワー)×(相互作用長)が500W・m未満であることが示される。上で論じたように、生成される連続体は、分光およびフォトニック・デバイス試験に適用可能である。FWMを使用して、2光子蛍光顕微鏡検査または別の非線形変換のための特定の所望の波長の強いパルスを生成することができる。
【0054】
ここで、102から103Wピーク・パワーのナノ秒Qスイッチ・レーザ・パルスの単一モード・パラメトリックおよび連続体変換を伴う真cwオペレーションに向けた次のステップを行う。これは、QスイッチNdレーザのコンパクトかつ低コストの性質のために、科学的関心だけでなく実用上重要である。
【0055】
コンパクトさおよび低コストのために、受動QスイッチNd:YAGマイクロチップ・レーザ(7.25kHz、30mW、1064nmでの短パルス0.6ns)を選び、安定性および柔軟性のために、能動QスイッチNd:YLFレーザ(Lightwave Electronics Inc.によって提供される1Hzから50kHz、250mW、1047nmの長パルス6〜30ns)を選ぶ。図9(a)は、λ=1038nmでのPCF Pに関する出力スペクトルと、両方のポンプ波長での異常分散とを示す。それぞれのレーザは7.25kHzおよびフル・パワーで動作する。連続体はどちらのケースでも広くフラットであり、長パルス・レーザのより高い平均パワーがより高いスペクトル密度を与える。図2bに、通常の分散領域における、短パルス・レーザを使用したλ=1080〜1105nmを有する6つの異なるPCFからの出力を示す。強い4波混合(FWM)が広い間隔の波長で見える。
【0056】
さらに、PCF Oでは、通常の分散1047nmで、長パルス・レーザが、分離したFWMピークを生成した。これは、図4のFWMと同等であるが、ずっと長いパルスに関するものである。30kHzでの持続時間約20nsのパルスを使用して、1400nm付近および835nm付近のFWMピークを生成した。
【0057】
これらの結果は、現在のコンパクト・レーザ・システムの範囲内のしきい値パワー(〜
1W)でのファイバ・リング空洞中の真cw OPO振動の可能性を指し示している。
広域スペクトル光源の1例
図10を参照して、以下の例は、本発明による光源の1つの特定の例を説明する。図10に示す超連続体光源は3つの区間からなる。第1区間(図10の要素1から6)は、2nsから5nsのパルス幅(2〜5ns範囲より短いまたは長い他のパルス長を例えば空洞長を変更することによって実装することができる)を有する1064nmの光を放射するqスイッチNd:YAGレーザを形成する。第2区間(図10の要素7および8)は、Nd:YAGレーザからの光を第3区間に結合するための光学的結合区間を形成する。第3区間(図10の要素9)は光非線形フォトニック結晶ファイバである。
【0058】
図10に示す白色光源は、波長808nmの持続波モードで最大3Wの光を放射するダイオード・レーザ1(JDSU、SDL−2472−P1)を使用して組み立てられる。焦点距離8mmの非球面レンズ2(Thoriabs、C240TM)が、放射光をダイオード・レーザ1からの距離1メートルに集束させるために、ダイオード・レーザ1の正面に約8mmの距離L1で位置合せされる。焦点距離8mmの第2非球面レンズ3(Thoriabs、C240TM)が、レンズ2から10mmの距離L2でレンズ2と共に軸上に配置される。一方の端部に1064nm光に対する99.8%反射被覆を有し、他方の端部に1064nm光に対する反射防止膜を有する5mm厚Nd:YAG結晶4(1%Nd)が、レンズ3から8mmの距離L3でレンズ3と共に軸上に配置される。両方の光学面上に1064nm光に対する70%初期透過および反射防止膜を有する1mm厚Cr4+:YAG結晶5が、Nd:YAG結晶4から0.5mmの距離L4でNd:YAG結晶4と共に軸上に配置される。1064nm光に対する90%反射被覆を有し、曲率500mmを有するレーザ・ミラー6(CASIX、NDO0112)が、Cr4+:YAG結晶5から0.5mmの距離L5でCr4+:YAG結晶5と共に軸上に配置される。光がレーザ1から放射されると、要素4から6からレーザ光を1064nmで放射するためにミラー6を位置合せしなければならない。ミラー6から出る1064nmの光の出力パワーを最大にするために、距離L3を最適化することができる。焦点距離75mmのレンズ7が、ミラー6から40mmの距離L6でミラー6と共に軸上に配置される。焦点距離2.97mmのレンズ8(Lightpath、350660)が、レンズ7から125mmの距離L7でレンズ7と共に軸上に配置される。モード・フィールド直径4.0μm、開口数0.20、およびゼロ分散波長1040nmを有する光非線形フォトニック結晶ファイバ9(Crystal Fibre A/S、Birkerod、デンマーク、NL−4、8−1040)が、レンズ8から3mmの距離L8でレンズ8と共に軸上に入力ファセットと共に配置される。1064nmの光のファイバへの結合を最大にするために、2つのレンズ7および8ならびにファイバ9の位置を位置合せしなければならない。
【0059】
プリフォームから取り出すことによるフォトニック結晶ファイバの製造は、例えばブジャルクレフ(Bjarklev)、ブロエング(Broeng)、およびブジャルクレフ(Bjarklev)、「Photonic Crystal Fibres」、Kluwer Academic Press、2003、第4章、115〜130ページで論じられている。
【0060】
上記でいくつかの好ましい実施形態を示したが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲に記載の主題の範囲内の他の方式で実施できることを強調しておく。
【0061】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1(a)】考慮するいくつかのファイバ(表1のファイバO、P、およびGにそれぞれ対応する05A、05E、および31G)についての実測分散曲線、ならびに円形ホールおよびピッチΛ、3μmおよびd/Λ=0.3を有する通常のPCFについて計算した分散のプロット。
【図1(b)】2ωpump→ωsignal+ωidlerについての非線形位相整合条件のプロット(実線:入力パワー14W、140W、1400WでのファイバGの実測分散曲線から計算。円:ファイバC、F、G、H、I、L(表1)についての実測波長およびポンプ波長偏位)。
【図2】ファイバO、Λ=2.97、d/Λ=0.39、λ=1065nmのSEM。
【図3】Nufern 1000−HP単一モード・ファイバの100mからの実測出力連続スペクトルを示す図(dBm/5nm帯域幅の尺度)。
【図4(a)】通常の分散領域での強いパラメトリック光生成を示す6mの長さのPCF Lについての出力スペクトルを示す図。
【図4(b)】2mWポンプおよび9.5、4.2、1.4、0.07μWシードでの2.5mの長さのPCF Lについての信号出力を示す図(ポンプのみ、シードなし、ブラック。1μW cwシードは600psでの4000光子。分光計分解能0.1nm)。
【図5(a)】通常の分散領域で強いパラメトリック光生成を示す3mの長さのPCF A、C、F、G、H、Iについての出力スペクトルを示す図。入力パワー10〜20mW。分光計分解能0.2nm(1750nmより長いアイドラ波長はこの分光計では測定されない)。
【図5(b)】λsignal=716nmを生成するファイバBについてのスペクトルのパワー依存性を示す図。
【図6】図5(b)のファイバBからのスペクトルの詳細を示す図(分光計解像度0.2nm)。
【図6(a)】ポンプ波長(1064nm)およびOPG信号波長(716nm)での出力の線幅(半値全幅)を示す図。
【図6(b)】低/高入力パワーに対するOPG信号波長での正規化出力スペクトルを示す図。
【図7(a)】1mのファイバPからの実測出力連続スペクトルを示す図。偽カラー尺度dBm/5nm帯域幅。
【図7(b)】3mのファイバPからの実測出力連続スペクトルを示す図。偽カラー尺度dBm/5nm帯域幅。
【図7(c)】20mのファイバPからの実測出力連続スペクトルを示す図。偽カラー尺度dBm/5nm帯域幅。
【図7(d)】100mのファイバPからの実測出力連続スペクトルを示す図。偽カラー尺度dBm/5nm帯域幅。
【図8(a)】30mW入力パワーでの20mの長さのファイバOおよびPについての出力スペクトルを対数目盛で示す図。
【図8(b)】30mW入力パワーでの20mの長さのファイバOおよびPについての出力スペクトルを線形目盛で示す図(任意単位、1064nmでの残留ポンプ・ピークに正規化)。
【図9】短/長パルスでの20mのPCF Pでの出力スペクトル超連続体生成を示す図。
【図10】本発明による超連続光源の1実施形態を示す図。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
300nmを超えて延びる波長のスペクトルの光源であって、基本波長または基本波長付近で動作し、0.5nsよりも長い持続時間のパルスを生成するレーザと、
該パルスを誘導するように構成された微細構造光ファイバと、
からなり、
該ファイバ中のパルスによって光が生成される光源。
【請求項2】
前記レーザがモノリシック・レーザである請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記モノリシック・レーザがマイクロチップ・レーザである請求項2に記載の光源。
【請求項4】
光の前記パルスが、2ns超、3ns超、4ns超、5ns超、8ns超、10ns超など、1nsより長い持続時間である請求項1乃至3のいずれかに記載の光源。
【請求項5】
前記パルスが、20kW未満、15kW未満、10kW未満、9kW未満、3kW未満、1kW未満など、50KW未満のピーク・パワーを有する請求項1乃至4のいずれかに記載の光源。
【請求項6】
前記パルスがピーク・パワーを有し、前記ファイバの長さにわたって前記ファイバと相互作用し、それによって該ピーク・パワーと相互作用長との積が、1kWm未満、500Wm未満など、2kWm未満である請求項1乃至5のいずれかに記載の光源。
【請求項7】
前記スペクトルが、700nm超など、500nm超にわたって延びる請求項1乃至6のいずれかに記載の光源。
【請求項8】
前記基本波長が600nmより長い請求項1乃至7のいずれかに記載の光源。
【請求項9】
前記基本波長が1000nmから1100nmの範囲内である請求項1乃至8のいずれかに記載の光源。
【請求項10】
前記微細構造光ファイバがゼロ分散波長λを有し、前記レーザの動作波長が該ゼロ分散波長未満である請求項1乃至9のいずれかに記載の光源。
【請求項11】
前記微細構造光ファイバがゼロ分散波長λを有し、前記レーザの動作波長が該ゼロ分散波長より長い請求項1乃至9のいずれかに記載の光源。
【請求項12】
前記微細構造光ファイバが、1000nmと1100nmの間のゼロ分散波長を有する請求項1乃至11のいずれかに記載の光源。
【請求項13】
前記微細構造光ファイバが、前記スペクトル中の全波長で単一横モードでの光の伝搬をサポートするように構成される請求項1乃至12のいずれかに記載の光源。
【請求項14】
前記微細構造光ファイバが、単一横モードでの前記パルスの伝搬をサポートするように構成される請求項1乃至13のいずれかに記載の光源。
【請求項15】
前記微細構造光ファイバが、全波長で単一横モードでの光の伝搬をサポートするように構成される請求項1乃至14のいずれかに記載の光源。
【請求項16】
前記微細構造ファイバが、2.7ミクロン超、2.9ミクロン超など、2.5ミクロンよ
りも大きいピッチを有する請求項1乃至15のいずれかに記載の光源。
【請求項17】
前記微細構造ファイバが、4.5ミクロン超、4.8ミクロン超など、4ミクロンよりも大きい直径を有するコアを有する請求項1乃至16のいずれかに記載の光源。
【請求項18】
前記微細構造ファイバが、直径dおよびピッチΛのホールのアレイを含むクラッディング領域を有し、d/Λが、0.6未満、0.5未満、0.4未満など、0.7未満である請求項1乃至17のいずれかに記載の光源。
【請求項19】
前記微細構造ファイバが、9μm超、12μm超、14μm超、15μm超など、8μmより広い実効非線形面積を有する請求項1乃至18のいずれかに記載の光源。
【請求項20】
300nmにわたって延びる波長のスペクトルの光を生成する方法であって、モノリシック・レーザを基本波長または基本波長付近で操作し、0.5nsよりも長い持続時間のパルスを供給する工程と、
該パルスを微細構造光ファイバ内に誘導する工程と、からなる方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−515680(P2007−515680A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544468(P2006−544468)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053653
【国際公開番号】WO2005/062113
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506179491)コヒラス アクティーゼルスカブ (5)
【氏名又は名称原語表記】KOHERAS A/S
【Fターム(参考)】