説明

床および壁が交わる突角コーナー用の床敷材コーナーピース、取付け器具、ならびに取付け方法

【課題】床敷材用および壁紙用のモジュールの形の突角コーナーピースから成るモジュールを取り付ける器具、ならびに実際のモジュールおよび上述の器具を用いてモジュールを取り付ける方法を提供すること。
【解決手段】この器具は、作業員の膝を支持するための後部(2b)を有して前方に定形ブラケット(3)を有する床ベース(2)を備え、その上部は前記ブラケットに対して傾斜して方向付けられ得る支持ヨーク(4)を収容することができ、前記支持ヨークは、モジュールを受け入れる壁の突角コーナーピースに当てて器具を心出しする第1の手段(5)、作業員によって把持する第2の手段(6)、およびモジュールの最終賦形を得るために駆動し伝達し、モジュールに当てて押圧する第3の手段を受け入れるように設計されており、前記第3の手段は取り付けられるべきモジュールの一定部分のクリープ変形に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビニルまたは類似の材料を使用する床敷材および壁紙の技術分野に関する。床および壁が交わるコーナー部位に床敷材を取り付けることは、極端に扱いにくく、敷設技術それ自体、得られるほぼ満足な視覚的外観、および維持費に関して多くの問題を包含している。これらの困難性は、凹角コーナー部位にも突角コーナー部位にも床敷材を取り付ける際に遭遇される。この出願人は、特許文献1の主題である凹角コーナーの床敷材を取り付けるための装置および方法を考案し設計した。これは信頼できる作業およびそれにより生じる結果について大いに満足できるものである。
【背景技術】
【0002】
これと対照的に、突角コーナーにこの種の床敷材を取り付ける問題は全く未解決のままである。そのうえ、この種のコーナーは観察者に対してより視覚的に見やすくこれが問題である。実際に、取付け人は通常、連結されるべき2つの隣接する壁と下にある床の一部との間にほぼ均質な接合箇所を作ろうとして一定の位置に材料を追加しなければならず、これは実行が幾分困難である溶接を行うことを含む特別な方法を使用することによって行われる。
【0003】
したがって、得られる美的な効果は非常に凡庸なものである。なぜならばこの効果は、できるだけ接合部位の外観を隠そうとして床敷材の部分を配置する際に、取付け人の経験および取付け人の技術に依存するからである。実際に作業員は、コーナーに、および床敷材の別々に付加される2つのピースの縁に沿って、1つまたは複数のレーザ溶接または他の溶接を行う。
【0004】
他の技術は、現存する床敷材の上へ溶接され別々に取り付けられるピースにV字状の切込みを作ることを必要とするが、得られる結果はあまり強い印象を与えない。
【0005】
また、この種のコーナー部位に前もって作られた熱成形ピースを取り付けることも知られているが、この場合、人は取り付けられるべき位置にピースを適合させる可能性によって課せられる拘束に直面し、熱成形ピースの産業的に予定した幾何学的な形状およびラインは、建物の現場のコーナー部位に全く適合しないことが多い。言い換えれば、熱成形ピースを取り付けることには、壁、したがってコーナーが多くの場合平坦でなく歪んでいるので追加の取り付け作業を必要とすることが多い。
【0006】
したがって、先行技術の一部である上述の作業のすべては、突角コーナー用に使用される床敷材ピースまたは熱成形ピースが一定の構造、嵩、寸法、および厚さを有すること、ならびに最終的に据え付けられる床敷材が、その床敷材の特性または床敷材の最初のピースに対応することを意味する。
【0007】
先行技術に関連する他の問題は、突角コーナー部位に床敷材を据え付ける現存する方法では通常2人の作業員、すなわち溶接の間中コーナーカバーを保持すべき1人、および壁にこれを取り付けるべきもう1人を必要とすることである。したがって、これらの手順は比較的非実際的であり凡庸なまたはいっそう劣った品質という結果を生じるが、作業員または複数の作業員の一部に一定レベルの技術が必要とされることは至って明白である。
【0008】
特許文献2は、突角コーナーにモジュールを取り付ける方法を開示しており、この方法は得られるべき最終形状に特定される寸法を有するシートを作り出し、これを加熱し、前記突角コーナー部位にこれを形成し、次いで再冷却し、その最終形状に合わせてこれを切削することを必要とする。この方法は使用する際より実際的であるが、かなりの廃材を作り出し、仕上げ切削作業を必要とし、この切削作業は作業員の器用さに依存する非常に変わりやすい品質の仕上がりを残す。
【0009】
特許文献3は、壁に当てて突角コーナーピースを押圧し配置することを可能にする器具を開示する。しかし、この器具は取り付けられるべきモジュールの実際の特性に少しの効果も有さない。
【特許文献1】仏国特許出願第0551607号明細書
【特許文献2】国際公開第91/10554号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5855361号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、この出願人の取組み方は、使用するのにより容易であり、1人でより迅速に実行することができ、よりよい品質の成果を生じる、突角コーナーに床敷材を取り付けるための新しい概念の案出方法を考慮することであった。
【0011】
これを実現するために、この出願人は、第2の人物が溶接すべき床敷材を定位置に保持しながら1人の人物によって操作されるアドホックな器具を用いて行う際に実行が困難な古典的なコーナー溶接作業の廃止を可能にする解決策を求めた。これは、これらの各人が狭苦しい空間で互いの方法を習得することを可能にするものである。
【0012】
これらの大きな目的および目標は、常に変わることのない構造上および寸法上の特徴を有する床敷材の知識および使用を基礎として実現されるべきであったし、これは少しも明白でなかった。
【0013】
この出願人が採用した発明の取組み方は、いろいろな据付け方法を可能にするために突角コーナー用の床敷材の構造上および寸法上の特徴をできる限り改変する可能性を考察することであった。
【0014】
この出願人が案出した解決策は、先行技術とは完全に異なっており、実際のコーナー床敷材自体に効果を有する方法、およびたった1人の作業員により床敷材を据え付ける方法を包含し、また、作業員を助力する特別な装置を設計することも含む。この解決策は、その取り付け手順の簡単化において大きな技術的進歩を示し、高度な資格を有する専門家の作業員を必要とせず、壁および床が交わる突角コーナーに実に驚くべき仕上げを作り出す。
【0015】
これらの目的およびこれ以外のものは次の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、コーナーの一部にうまくはめられ、次いで得られるべき最終形状に合致するように現場で寸法取りされる目的で加熱により変形されて冷却され得るプラスチック材料の平坦な切り抜き片を備えるタイプの突角床敷材コーナーピースまたは突角壁紙コーナーピースを構成するモジュールは、その最初の状態でコーナーピースを取り囲む床敷材を基準にしたテンプレートに対して特定の形状を有する平坦な切り抜き片を備え、前記コーナーピースが、中間接続部分を有する帽子のように形成された三角形形状を備える先端に向かって延在するベース、およびこの接続部分の両側に特定の湾曲したへこみを備え、上記先端がコーナーピースの頂点のところで交差する2つの傾斜壁を備えること、ならびに前記コーナーピースが、その最終状態でその押圧された部位の位置においてモジュールの突角コーナー部分に隣接する床敷材部分の形状に合致するように、低減された厚さ、および一直線の外方接続形状を有することを特徴とする。
【0017】
他の特徴によれば、床敷材用および壁紙用の突角コーナーピースから成るモジュールを取り付け、作動レバーによって制御される方向付け可能なテレスコピックアームを関着して収容する床ベースを備え、前記テレスコピックアームの端部がモジュールを突角コーナー部材に当てて押圧する手段を収容し、前記押圧手段が突角コーナー部材に傾斜して合致するその中央にV字形状を有する器具は、作業員の膝を支持するための後部および前方の定形ブラケットを含む床ベースを備え、その上部がブラケットに対して傾斜して方向付けられ得る支持ヨークを収容することができること、ならびに支持ヨークがモジュールを受け入れる壁の突角コーナー部材に当てて器具を心出して、コーナーピースを事前配置する第1の手段、作業員によって把持する第2の手段、および伝達し、モジュールに当てて押圧し、後者の最終賦形を可能にする第3の操作可能な手段を収容するように設計されており、前記第3の手段が第1の手段の下の平面において取り付けられるべきモジュールの一定部分のクリープ変形およびモジュールの最終賦形に寄与し、また第3の手段が駆動前に第1の心出しおよび配置手段から離れた所に置かれ、部分的な押圧を可能にしかつモジュールの最終形状を得る目的でモジュールの一定部分の位置のところで圧力によって材料クリープを引き起こすように可動であり、前記モジュールがその構造上の厚さの変化を有することを特徴とする。
【0018】
これらの態様およびこれ以外のものは次の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の目的は添付の図面において単に例示として説明される。
【0020】
本発明の目的をより容易に理解できるように次の説明が単に例示として与えられ、添付の図面の参照が行われる。
【0021】
本発明によれば、突角コーナー床コーティングモジュール(1)は器具(A)を使用して非常に特殊な作業手順により取り付けられ、この器具(A)は取り付ける前に上記モジュールを成形して壁にそれをはめ込んでみることができる。
【0022】
突角コーナーピースを構成することができるモジュール(1)が図2に示され、このモジュール(1)は任意の介入および取り付け前の、あらかじめ決められたテンプレートに対して特定の形状で切り抜かれた場所に据え付けられることが意図される床コーティングから得られる平坦なピースとして示される。このモジュールは中間接続部分(1c)を有する帽子のように形成された三角形形状を有する先端(1b)の方向に延在するベース(1a)を備え、その両側は対称形の湾曲したへこみ(1d)を有する。したがって、先端(1b)は前記部分の頂点(1f)のところで交差する2つの傾斜壁(1e)を備える。このピースはポリ塩化ビニルタイプのプラスチック材料で作られ、このプラスチック材料は周囲の床敷材の種類に類似しこれに適合する方法でこのタイプの床敷材を構成する。ピースの厚さは一定不変である。このように画定されるモジュールをカバーとして突角コーナーに適用することができる。したがってその初期の形状で、このピースは、その両側に配置され壁に取り付けられる床敷材の他の部分に連結できるようなピースになるようにその現在状態で実際に設計または適合されていない。特殊な器具を用いた特定の変形プロセスのおかげで幾何学的な変更後にいったんその最終形状が想定されると、突角コーナーの意図された位置にそれを取り付けることができるだけである。
【0023】
これを実現するために使用し、その全体を(A)と呼び、モジュール1を配置し次いで形成するように設計された器具が図1に示される。これは長方形の形状を有する平坦な床ベース(2)を備え、例えば、この床ベースは作業員がその後部に膝をつくことを可能にし、その前部は上述の最初のモジュールを配置し形成するのに使用されるデバイスを収容する。床ベースの後部は、この床ベースの重量を事実上低減するための中央の切欠き(2a)、および両側に2つの部位(2b)を有し、この2つの部位(2b)上に、作業員が作業している時に前記床ベースが移動しないように作業員の膝が載る。なぜなら作業員の体重が床ベースを押し下げ動かなくするからである。床ベースの前面に、垂直に配置され、2つの形成されたアーム(3a)およびアーム(3b)から成る固定されたブラケット(3)があり、その上端部(3a1)および上端部(3b1)は、下記でのちほど説明される追加手段の配置を可能にするようにそれらの間に十分大きな隙間を有して平行である。ブラケットのベース(3c)は、ボルトまたは他の取付け手段によって床ベース(2)に固定される。床ベースの上方部分は連結スペーサ(3d)を含む。前記アーム(3a)および前記アーム(3b)は取付け穴(3e)を有する。そのアーム(3a)とアーム(3b)との間に前記ブラケット(3)は調節可能に方向付けできる支持ヨーク(4)を取り付けることを可能にし、この支持ヨーク(4)は前記ブラケットに対してそれ自体関着され、この支持ヨーク(4)に、モジュールを受け入れる壁の突角コーナー部分に当てて器具を心出しする第1の手段(5)、把持し保持する第2の手段(7)、およびモジュールの最終賦形を得るために、駆動し伝達し、据え付けられたモジュールに当てて押圧する第3の手段が設けられる。
【0024】
より詳細には、支持ヨーク(4)は2つの平行する翼部(4a)および翼部(4b)を備えるU字状の形状を有し、この翼部はブラケットの平面に垂直であり、器具の前面に向かって突出し、部分的に後部に向かって突出する。したがってこの支持ヨーク(4)は、特に上述の3つの手段のうちのいくつかを囲む閉鎖したフレームを形成することによって作り出される。支持ヨーク(4)はブラケットに対して関着され、接続ボルトタイプの固締手段(8)が通過するその翼部に開口(4c)を有する。その前面端部の近くに支持ヨークは、圧力ノブ(7)を収容することができる支持スペーサ(4d)を有し、この圧力ノブは作業員によって一方の手で把持されることができかつ第2の手段を構成する。したがって、このノブは作業員が作業を行いながらしっかりと器具を把持することを可能にする。その前面で支持ヨークは、モジュールが当てがわれる壁のコーナーに当てて配置できるように鋭角(5)から成る第1の手段を有する。支持ヨークの端部でこの鋭角は、固締手段(10)によって互いに連結され、2つの湾曲部材(5a1)および湾曲部材(5b1)として延在する2つの平行なL字形部分(5a)およびL字形部分(5b)から成り、この湾曲部材は壁の突角コーナー部分の両側を心出しし、押圧することを可能にする。この鋭角は、下記に説明するように器具(A)を正しい位置に心出しし支持することを可能にする。
【0025】
支持ヨーク(4)はそのフレームの内側で、モジュールを現場で押圧し形成するのに使用される前記第3の手段を内部に収容する。実際に、前記第3の手段は、3つの主要な構成要素、すなわち把持し運動を制御する手段(11)、それを形成するのに使用されるモジュールを押して押圧する手段(12)、および器具の操作を可能にする前述の構成要素の間で連結し伝達する手段(13)を備える。第1の手段(11)または構成要素はグリップであり、そのベースは前述の支持ヨーク(4)に対してそれ自体取り付けられる支持部分(14)に関着して取り付けられる。グリップは他の機構を把持し制御するためのハンドルを形成する。前記グリップのベースは翼部(11a)を用いて設計され、この翼部は関着部分に対して凹所に隠され、それらの間にプッシュロッド(15)用の支持体を収容する。
【0026】
したがって、支持ヨークのフレームの内側に配置される第3の手段は、支持ヨークをブラケットに連結するヒンジピン(8)を使って、支持ヨーク(4)の翼部とブラケット(3)との間で固定的に関着して取り付けられる受け入れ支承面(9)を備える。この受け入れ支承面は作動レバー(11)と連動するプッシュロッド(15)が通過する穴を有する。プッシュロッドは長く、支持ヨークに平行でない平面内において支持ヨークの下にある延長部分として前方に突出する。プッシュロッドの前方端部は、任意の適切な手段によって固定される連結リング(16)に取り付けられる。プッシュロッドの延長部分であるリングの前方部分は、モジュールを押して押圧するためのシューから成る圧力手段(12)の支持ヨーク(17)を収容する。プッシュロッドは固定された半径方向クラウン(19)を受け入れることができ、この半径方向クラウン(19)に、プッシュロッドに取り付けられ上記支承面によって制止される圧縮ばね(20)が作用することができる。したがって、圧力シューは、コーナーに当てがわれるべきモジュールに当てて押圧するために鋭角に方向付けられた2つの同一の部品(12a)および部品(12b)から成る。したがって、シューは、90°程度の角度で開口する円筒形パドル形状の2つの部品を備え、複数の開口(12c)を有することが有利である。このように各パドルは、シュー(12)の支持ヨーク(17)に取り付けられる平坦な羽根(12d)に連結される。したがって、シューの2つのパドルの2つの羽根(12d)は平行であり、補償ばねタイプの弾性手段(22)が取り付けられる締結固定ピン(21)によって互いに連結され、このばねは2つのパドルを配置し開離する際にある程度の可撓性を与える。
【0027】
操作ハンドルを駆動するとシューが配置されることは明らかである。使用中でない場合、操作ハンドルは、プッシュロッドおよびしたがって圧力シューがその後退位置にあるように上げられる。使用中の場合に、操作ハンドルを駆動しこれを下方に旋回すると、トグルジョイント効果が加えられ、それにより受け入れ支承面によって案内され維持されるプッシュロッドの移動が生じ、圧力シューを配置し、モジュールに当ててこれを押圧する。したがって、把持操作ハンドル(11)を駆動すると上述の機構全体の移動が生じることが明らかである。最初は、把持操作ハンドル(11)が揚げられ、このことは、プッシュロッドが駆動されずその後部の後退位置にあり、したがって圧力シューがその後退位置にあることを意味する。作業員が問題の突角コーナーにモジュール(1)を配置すると、この作業員は、前記突角コーナーに面して器具を配置し、特に取り扱われるべき突角コーナーの上へ、しかしモジュール(1)が配置される部位の十分上方の高さのところに鋭角(5)を移動し配置しなければならない。前記鋭角の配置が支持ヨーク(4)に対して固定されるので、こうして器具(A)は適切に心出しされる。次いで作業員は、彼または彼女自身の体重を用いて床ベースに膝をついて器具を動かなくし、一方の手で圧力ノブ(7)を把持し、他方の手を用いて上述の操作把持手段(11)を駆動することができる。この動作により、手段(11)の下方への移動を伝達するおかげで、および前方に移動するプッシュロッドによって圧力シューをモジュールに当てて移動することが可能になる。
【0028】
明らかに、操作手段(11)と圧力シュー(12)との間で説明された伝達機構は、制限的なものではなく単なる典型的な実施例に過ぎない。
【0029】
上述の形状を有するモジュール(1)を取り付け付着させることによって突角コーナーを作り出す方法が下記で説明される。
【0030】
コーナー床敷材を切り抜くために、突角コーナーを覆う床敷材ピースの形状寸法を決定するテンプレートを規定して、次いで取り付けられるべき突角コーナーピースまたはモジュール(1)を切り抜く。次いで人がこのモジュールのレイアウトの境界を仕切り、幅木の輪郭を適合させる。次いで、モジュール(1)を取り付ける方法は次のようであり、すなわち
a)モジュールまたはコーナーピースの背面に、およびモジュールを受け入れるべき壁および床の部位にコンタクト型接着剤を塗布し、この接着剤が乾燥することを可能にする段階と、
b)モジュールまたはコーナーピースをその物理的状態が変化するまで一様に加熱するためにヒートガンを使用し、モジュールが形成されることを可能にする段階と、
c)モジュール(1)またはコーナーピースを手で壁の突角コーナーに当てて押圧する段階と、
d)より近くに器具(A)を移動し、鋭角(5)を壁のコーナーの鋭いエッジに当てて配置する段階と、
e)床ベースに膝をつき、運動を伝達し圧力シューを駆動する把持操作手段(11)を用いることによって器具を動かなくする段階と、
f)幅木の上へモジュールまたはコーナーピースを押圧し、圧力シューの作用により材料をモジュールの対応する接触部位において変形することができる。これにより問題の圧力部位においてモジュールの厚さを変形することができ、モジュール(1)の突角コーナーピースに隣接する床敷材のこれらの部分の形状に合致するように一直線の外方接続形状を作り出す段階と、
g)壁にモジュールの上端縁を固定する段階と、
h)形成された部分を急速に冷却するように凍結スプレーを使用し、これによりモジュールまたはコーナーピースの形状を安定化する段階と、
i)モジュールの取り付けを完了して、器具を引き離す段階と
である。
【0031】
本発明による、突角コーナーにモジュールを取り付けるための器具および方法は多くの利点を有する。
【0032】
第1に、作業が、以前には必要とされた現場での溶接作業のいずれについても必要がなく、簡単に、迅速に、および安全に作業するたった1人の人によって実行できる。
【0033】
モジュールまたはコーナーピースは、輪郭として最初のテンプレートの形状を用いて簡単な切削作業を行うことによって現場で引き渡される床敷材から、正しい位置に形成され切り抜かれる。したがって、突角コーナーピースは室に据え付けられる床敷材と同じ材料から作られ、したがって一様な装飾的外観が確保される。これが取り付けられると、本発明によるモジュールまたはコーナーピースの最終的な幾何学的形状は、その厚さのように最初の状態に比べて変更される。なぜなら圧力シューが押圧するこれらの部分により所望の最終形状を得るための材料クリープが可能になるからである。したがって、モジュールの形状および厚さの両方が変更されその厚さはもはや全体を通じて一定ではない。これは、取付け後の問題の位置におけるいかなる残留応力も極めて小さいために、少しの問題も提起しない。
【0034】
コーナーピースまたはモジュールの機械的強度特性は先行技術を用いて得られるものよりもより良好である。作業員は、モジュールまたはコーナーピースを取り付けることが簡単であるので以前と同じ技術およびノウハウを有する必要がない。
【0035】
ヒートガンおよび凍結スプレーを使用することは、いかなる特別な取り扱いの困難性も提起しない。
【0036】
取付け品質が著しく改善される。
【0037】
コーナーピースと床敷材の他の隣接部分との間に外周溶接を行う必要がある場合、これは作業者が行うのに極めて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】突角コーナー床敷材を取り付けるのに使用される本発明による器具の透視図である。
【図2】本発明により切り抜かれ、2つの連続する壁または仕切りが交わる突角コーナーに適用されるべき床敷材モジュールの平面図である。
【図3】モジュールを加熱し、次いで初期にモジュールを定位置に配置した後に、突角コーナー床コーティングに適合させる第1の作動段階の概略図である。
【図4】モジュールを壁のコーナーの一部に当てて定位置に固定する前に本発明による器具を用いて突角コーナー床コーティングに適合させる第2の作動段階の概略図である。
【図5】クリープ変形を得るためにモジュールの一定部分を押圧する作業によってモジュールを固定する際に、器具を用いて突角コーナー床コーティングに適合させる第3の作動段階の概略図である。
【図6】工具の使用後、およびそれが取り付けられる位置に接合された場合の、変形されたコーナー床コーティングを示す概略図である。
【図7】それが使用に供される前の器具を示す透視図である。
【図8】それが使用中の場合の器具を示す透視図である。
【図9】器具の正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 モジュール
1a ベース
1b 先端
1c 中間接続部分
1d 湾曲したへこみ
1e 傾斜壁(1e)
2 床ベース
2a 中央の切欠き
2b 部位
3 ブラケット
3a、3b 定形アーム
3c ブラケットのベース
3d 連結スペーサ
3e 取付け穴
4 支持ヨーク
4a、4b 翼部
4c 開口
4d 支持スペーサ
5 第1の手段、鋭角、心出しおよび配置手段
5a、5b L字形部分
5a1、5b1 湾曲部材
6 第2の手段
7 圧力ノブ
8 ヒンジピン
9 受け入れ支承面
10 固締手段
11 第1の手段、作動レバー
11a 翼部
12 押圧手段、シュー
12a、12b 同一の部品
12c 開口
12d 平坦な羽根、平坦なアーム
13 連結する手段、連結し伝達する手段
14 支持部分
15 プッシュロッド
16 連結リング
17 支持ヨーク
19 半径方向クラウン
20 圧縮ばね
21 締結固定ピン
22 弾性手段
A 器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーナーの一部にうまくはめられ、次いで得られるべき最終形状に合致するように現場で寸法取りされる目的で加熱により変形されて冷却され得るプラスチック材料の平坦な切り抜き片を備えるタイプの突角床敷材コーナーピースまたは突角壁紙コーナーピースを構成するモジュールであって、
その最初の状態で前記コーナーピースを取り囲む前記床敷材を基準にしたテンプレートに対して特定の形状を有する平坦な切り抜き片を備え、前記コーナーピースは、中間接続部分(1c)を有する帽子のように形成された三角形形状を備える先端(1b)に向かって延在するベース(1a)、およびこの接続部分の両側に特定の湾曲したへこみ(1d)を備え、前記先端は前記コーナーピースの頂点(1f)のところで交差する2つの傾斜壁(1e)を備え、
前記コーナーピースは、その最終状態でその押圧された部位の位置において前記モジュールの前記突角コーナー部分に隣接する前記床敷材部分の形状に合致するように、低減された厚さ、および一直線の外方接続形状を有することを特徴とする、モジュール。
【請求項2】
床敷材用および壁紙用の突角コーナーピースから成る請求項1に記載のタイプの前記モジュールを取り付け、作動レバーによって制御される方向付け可能なテレスコピックアームを関着して収容する床ベースを備え、前記テレスコピックアームの端部は前記モジュールを前記突角コーナーピースに当てて押圧する手段を収容し、前記押圧手段は前記突角コーナーピースに傾斜して合致するその中央にV字形状を有する器具であって、
作業員の膝を支持するための後部(2b)、および前方の定形ブラケット(3)を含む床ベース(2)を備え、その上部は前記ブラケットに対して傾斜して方向付けられ得る支持ヨーク(4)を収容することができ、
前記支持ヨークは、前記モジュールを受け入れる前記壁の前記突角コーナー部分に当てて前記器具を心出して、前記コーナーピースを再配置する第1の手段(5)、前記作業員によって把持する第2の手段(6)、および伝達駆動し、前記モジュールに当てて押圧し、後者の最終賦形を可能にする第3の手段を収容するように設計されており、前記第3の手段は、前記第1の手段の下の平面において取り付けられるべき前記モジュールの一定部分のクリープ変形および前記モジュールの最終賦形に寄与し、また前記第3の手段は、駆動前に前記第1の心出しおよび配置手段(5)から離れた所に置かれ、部分的な押圧を可能にしかつ前記モジュールの最終形状を得る目的で前記モジュールの一定部分の位置のところで圧力によって材料クリープを引き起こすように可動であり、前記モジュールはその構造上の厚さの変化を有することを特徴とする、器具。
【請求項3】
前記床ベースの前面に、垂直に配置されて2つの定形アーム(3a)および定形アーム(3b)から成る固定されたブラケット(3)があり、その上端部(3a1)および上端部(3b1)は追加手段の配置を可能にするようにそれらの間で十分大きな隙間有して平行であり、
そのアーム(3a)とアーム(3b)との間に、前記ブラケット(3)は調節可能に方向付けできる支持ヨーク(4)を取り付けることを可能にし、この支持ヨーク(4)は前記ブラケットに対してそれ自体関着され、その支持ヨーク(4)に、前記モジュールを受け入れる前記壁の前記突角コーナー部分に当てて前記器具を心出しする第1の手段(5)、把持し保持する第2の手段(6)、および前記モジュールの最終賦形を得るために、駆動し、前記据え付けられたモジュールに当てて押圧する第3の手段が設けられることを特徴とする、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
支持ヨーク(4)は、2つの平行する翼部(4a)および翼部(4b)を備えるU字状の形状を有し、この翼部は、前記ブラケットの平面に長手方向に垂直であり、前記器具の前面に向かって突出し、
したがって支持ヨーク(4)は、特に第3の手段を囲む閉鎖したフレームを形成することによって作り出され、
支持ヨーク(4)は、前記ブラケットに対して関着され、前記接続ボルトタイプの固締手段(8)が通過するその翼部に開口(4c)を有し、
その前面端部の近くに前記支持ヨークは、ノブ(7)を収容することができる支持スペーサ(4d)を有し、このノブは前記作業員によって一方の手で把持されることができかつ前記第2の手段を構成し、
前記前面において前記支持ヨークは、前記モジュールが当てがわれる前記壁のコーナーに当てて配置できるように鋭角(5)から成る第1の手段を有することを特徴とする、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記支持ヨークの端部で鋭角(5)は、固締手段(10)によって互いに連結され、2つの湾曲片(5a1)および湾曲片(5b1)として延在する2つの平行なL字形部分(5a)およびL字形部分(5b)から成り、この湾曲片は前記壁の前記突角コーナー部分の両側を心出しし、押圧することを可能にすることを特徴とする、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
支持ヨーク(4)はそのフレームの内側で、前記モジュールを現場で押圧し形成するのに使用される前記第3の手段を内部に収容し、
前記第3の手段は、3つの主要な構成要素、すなわち把持し運動を制御する手段(11)、それを形成するのに使用される前記モジュールを押圧する手段(12)、および前記器具の操作を可能にする前述の構成要素の間で連結する手段(13)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の器具。
【請求項7】
第1の手段または構成要素(11)はグリップであり、そのベースは前述の支持ヨーク(4)に対してそれ自体取り付けられる支持部分(14)に関着して取り付けられ、
前記グリップは、他の機構を把持し制御するためのハンドルを形成し、
前記グリップの前記ベースは翼部(11a)を用いて設計され、この翼部は関着部分に対して凹所に隠され、それらの間にプッシュロッド(15)用の支持体を収容することを特徴とする、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記支持ヨークの前記フレームの内側に配置される前記第3の手段は、前記支持ヨークを前記ブラケットに連結するヒンジピン(8)によって支持ヨーク(4)の前記翼部とブラケット(3)との間で固定的に関着して取り付けられる受け入れ支承面(9)を備え、前記支承面は前記作動レバーと連動するプッシュロッド(15)が通過する穴を有することを特徴とする、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
プッシュロッド(15)は長く、前記支持ヨークに平行でない平面内において前記支持ヨークの下にある延長部分として前方に突出し、
前記プッシュロッドの前方端部は連結リング(16)に取り付けられ、前記プッシュロッドの延長部分である前記リングの前方部分は、前記モジュールに当てて押圧するためのシューから成る押圧手段(12)の支持ヨーク(17)を収容することを特徴とする、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
押圧手段(12)は、コーナーに当てがわれるべき前記モジュールに当てて押し上げるために鋭角に方向付けられた2つの同一の部品(12a)および部品(12b)から成る圧力シューであり、
したがって前記シューは、90°程度の角度で開口する円筒形パドル形状の2つの部品を備え、複数の開口(12c)を有することが有利であり、
このように各パドルは、前記シューの前記支持ヨークに取り付けられる平坦なアーム(12d)に連結され、
したがって前記シューの前記2つのパドルの羽根(12d)は平行であり、補償ばねタイプの弾性手段(22)が取り付けられる締結固定ピン(21)によって互いに連結され、このばねは前記2つのパドルを配置し開離する際にある程度の可撓性を与えることを特徴とする、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
請求項1に規定する前記モジュールによる突角コーナー床敷材を取り付け、請求項1から10のいずれかにより規定される器具を使用する方法であって、前記コーナー床敷材を切り抜くためにテンプレートを規定して、取り付けられるべき前記突角コーナーピースまたはモジュール(1)が切り抜かれ、次いで人が前記モジュールのレイアウトの境界を仕切り、これを次のような
a)前記モジュールまたは前記コーナーピースの背面に、および前記モジュールを受け入れるべき前記壁および前記床の部位にコンタクト型接着剤を塗布し、前記接着剤が乾燥することを可能にする段階と、
b)前記モジュールまたは前記コーナーピースをその物理的状態が変化するまで一様に加熱するためにヒートガンを使用し、前記モジュールが形成されることを可能にする段階と、
c)モジュール(1)または前記コーナーピースを手で前記壁の前記突角コーナーに当てて押圧する段階と、
d)より近くに器具(A)を移動し、鋭角(5)を前記壁の前記コーナーの鋭いエッジに当てて配置する段階と、
e)前記床ベースに膝をつき、運動を伝達し前記圧力シューを駆動する把持操作手段(11)を用いることによって前記器具を動かなくする段階と、
f)幅木の上へ前記モジュールまたは前記コーナーピースを押圧し、前記圧力シューの作用により前記材料を前記モジュールの対応する接触部位において変形させることを可能にし、これにより問題の前記圧力部位において前記モジュールの厚さを変形させることを可能にし、前記モジュール(1)の前記突角コーナーピースに隣接する前記床敷材のこれらの部分の形状に合致するように一直線の外方接続形状を作り出す段階と、
g)前記壁の前記モジュールの上端縁を固定する段階と、
h)形成された部分を急速に冷却するように凍結スプレーを使用し、これにより前記モジュールまたは前記コーナーピースの形状を安定させる段階と、
i)前記モジュールの取り付けを完了して、前記器具を引き離す段階と、
により取り付けることを特徴とする、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−115689(P2008−115689A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−282224(P2007−282224)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(597058848)
【Fターム(参考)】