説明

床を清掃する方法及び器具

【課題】実質的に乾いたままで床を清掃する。
【解決手段】床を清掃する方法は、上側にハンドルが固定され且つ下側に吸収性布材をもつ概ね平坦なモップヘッドを有するフラットモップ16を用いる。モップヘッドを折り畳み状態にして、清掃液を含む容器12に吸収性布材の少なくとも大部分を挿入して濡らし、モップヘッドを絞り器14に入れる。絞り器14は、一対のジョーを有し、機械的補助によって動くことにより、吸収性布材の実質的に全体に作用して絞る。湿った吸収性布材を用いて床をモップがけし、別個の乾燥用具18を用いて床を乾燥させる。乾燥用具18は、ハンドルに固定されるヘッドと、乾いた吸収性のある布をヘッドに取り付ける1つ又は複数の取り付け具とを有している。また、乾燥用具18を用いて布を床に当てて、床の上で布の乾いた部分を移動させることによって床を乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床を清掃する方法及び床を清掃する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつもの異なる種類のモップがあるが、最も広く用いられているものの1つとして、ハンドルが固定されているモップヘッドを有するものが挙げられ、このモップヘッドは、モップヘッドから垂下する、例えば紐状の吸収性のあるフィラメントを複数有している。使用時には、フィラメントを清掃液で濡らして絞り器で絞り、それから、まだ濡れた状態のうちにモップを用いて床を清掃する。
【0003】
機械的な補助を受ける絞り器は、フィラメントの上に押し付ける機械的に可動なジョーを有し、清掃液の大半を絞り出すことができるが、そのようなモップは、絞られてもまだ理想として必要とされる状態よりも濡れているため、清掃される床が、清掃後に通常は少なくとも数分間は濡れたままとなり、その間に滑る危険がある。
【0004】
別の種類のモップは、上側にハンドルが固定され且つ下側に吸収性布材を有する、概ね平坦なモップヘッドを備えている。このフラットモップは、例えば掃き掃除及びモップがけを同時に行うのに用いることができるため、用途によっては好まれる。フィラメントが垂下する種類のモップは、ぼろぼろになった土を保持することが得意ではなく、そのようなモップで清掃される床は、通常、最初に掃いてぼろぼろになった土を除去する必要がある。フラットモップは、そのような状況おいてより広い用途で利用される傾向がある。
【0005】
フラットモップのヘッドは、通常、一対の相対的に折り畳み可能な部分を有する。折り畳み可能な部分を共に相対的に折り畳むと、吸収性布材のループがモップヘッドから垂下し、そして、ループを容器内の清掃液で一旦濡らした後、このループを床清掃での使用に先立って絞るために絞り器に入れる。しかしながら、これまで、機械的補助によって絞りを行うことができる可動ジョーの絞り器は、様々なサイズ及び種類のモップヘッドを大まかに絞ることができるように設計されてきており、フラットモップの吸収性布材の全体を絞ることができなかった。そこで同じく、そのようなフラットモップは、理想として必要とされるよりも濡れた状態で用いられてきた。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によると、上側にハンドルが固定され且つ下側に吸収性布材を有する概ね平坦なモップヘッドを備えるフラットモップを用いて床を清掃する方法が提供される。なお、モップヘッドは、共に折り畳んで折り畳み状態になることができる一対の相対的に折り畳み可能な部分を有し、折り畳み状態で、吸収性布材のループがモップヘッドの折り畳まれた折り畳み可能な部分から垂下する。また、この方法は、モップヘッドを折り畳み状態にして、清掃液を含む容器に吸収性布材の少なくとも大部分を挿入して吸収性布材を濡らすステップと、続いて、モップヘッドを絞り器に入れるステップとを含む。なお、絞り器は一対のジョーを有し、一対のジョーは、機械的補助によって動くことにより、吸収性布材をジョーと絞り器の絞り面との間で絞るように吸収性布材の実質的に全体に作用することができる。そして、この方法は、モップヘッドを折り畳まれていない平坦な状態に戻すと共に、湿った吸収性布材を用いて床をモップがけするステップと、続いて、別個の乾燥用具を用いて床を乾燥させるステップとを含む。なお、乾燥用具は、ハンドルに固定されるヘッドと、乾いた吸収性のある布をヘッドに取り付ける1つ又は複数の取り付け具とを有する。また、この方法は、乾燥用具を用いて床に布をあて、床の上で布の乾いた部分を移動させることによって、床を乾燥させるステップを含む。なお、フラットモップヘッドの折り畳み可能な部分が共に、相対的に折り畳まれると、折り畳まれたモップヘッドは、折り畳んだ折り畳み可能な部分の合わせた厚さに折り畳み可能な部分同士の間の空間を含めた厚さと、少なくとも同じ大きさになる折り畳み厚さを有し、ジョーは、絞り機構の作動によって共に閉鎖状態に動かされ、閉鎖状態では、ジョー同士の間の距離又はジョー同士の間における少なくとも最も大きい距離が、折り畳み厚さよりも顕著に(significantly)大きくない。
【0007】
本発明の方法は、清掃作業員が、既知の方法を用いた場合のような濡れた状態ではなく、実質的に乾いたままで床を清掃することを可能にし、これにより、床の上で人が滑る危険を減らし、そして、一般的に用いられ且つそれ自体が危険をもたらす「床濡れ注意」の警告標識の使用を最小限にする。
【0008】
このことが達成されるのは、床の清掃時に吸収性布材が辛うじて湿っている程度であるように、絞り器のジョーが吸収性布材の実質的に全体に作用してこれを絞るからである。そのため、モップによって(又は、床をより速く乾燥させるために床の上の残液を移動させるのに用いられることがあるスクイジーによって)液溜まりが残されることがなく、したがって、別個の乾燥用具によって床を効率的に乾燥させることができる。もし、モップがけした後の床が濡れすぎていれば、乾燥用具の乾いた布があまりにもすぐに濡れてしまい、交換又は乾燥を行うことが早くに必要になる。
【0009】
それ故、本発明の方法によれば、絞り器は、より一般的な設計のフラットモップヘッドではなく特定の種類及びサイズのフラットモップヘッドと共に使われるように設計されてよい。この設計が絞り器の多用性に関して何らかの不利な点をもたらすとしても、この不利な点は、床を清掃して実質的に乾いたままにすることができるという利点で相殺される。
【0010】
上述の方法のステップは、床を清掃するためだけのステップであってよい。しかしながら、例えば必要に応じて掃くこと及び/又は濡らして洗浄することによって、床を予め清掃してもよい。しかしながら、本発明の方法のステップを行った後では、床は実質的に乾いており、滑る危険がなく多かれ少なかれすぐに使用可能となる。
【0011】
本発明の第2の態様によると、本発明の第1の態様の方法による床の清掃に用いる器具が提供される。器具は、上側にハンドルが固定され且つ下側に吸収性布材をもつ概ね平坦なモップヘッドを有するフラットモップを備える。なお、モップヘッドは、折り畳み状態になるよう共に折り畳み可能である一対の相対的に折り畳み可能な部分を有し、折り畳み状態では、吸収性布材のループがモップヘッドの折り畳んだ折り畳み可能な部分から垂下する。また、器具は、吸収性布材を少なくとも部分的に挿入して濡らすことができ、且つ使用時に清掃液を含む容器と、一対のジョーを有する絞り器とを備える。一対のジョーは、ループが絞り器に入れられたとき、機械的補助によって動くことにより、絞り器において吸収性布材の実質的に全体に作用して、吸収性布材をジョーと絞り器の絞り面との間で絞ることが可能であり、一対のジョーは、フラットモップの吸収性布材のループをジョー同士の間から絞り面に向かって絞り器に入れることができる開位置と、ジョーが共に実質的に全ての吸収性布材を絞り面に向けて押す全閉位置との間で、絞り器の絞り機構によって可動であり、絞り器のジョーは、絞り機構の動作によって、共に全閉状態に可動であり、全閉状態では、ジョー同士の間の距離、又は、共に完全に閉じられとき最も大きく離れている距離が、モップヘッドの折り畳んだ折り畳み可能な部分同士の間の空間を含む折り畳み可能な部分の折り畳み厚さより、顕著に大きくない。
【0012】
ジョーが絞り器内の実質的に全ての吸収性布材に作用する器具を提供することによって、フラットモップの吸収性布材は、辛うじて湿っている程度になるように絞られる。
【0013】
次に、添付図面を参照して実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の方法で用いられる床を清掃する器具の一方の側を示す側面図である。
【図2】器具の反対側を示す側面図である。
【図3】折り畳まれていない状態のフラットモップを示す斜視図である。
【図4】折り畳まれた状態の図3のフラットモップの端面図である。
【図4a】図4のフラットモップの側面図である。
【図4b】従来技術の絞り器によって絞られているフラットモップヘッドを示す正面図である。
【図5】本発明で用いられる絞り器を上方且つ側方から見たものを示す斜視図である。
【図5a】絞り中の図5の絞り器内におけるフラットモップヘッドの吸収性布材の形態を示す垂直断面図である。
【図6】本発明の器具における乾燥用具の一部を示す正面図である。
【図7a】床の乾燥に使用中の図6の乾燥用具の選択される1つの形態を示す側面図である。
【図7b】床の乾燥に使用中の図6の乾燥用具の選択される別の形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、床を清掃する器具10が示されており、この器具10は、概して必要なものを装備した(self contained)ものであり、床清掃液が入れられる容器12、容器12に備えられた絞り器14、フラットモップ16、及び乾燥用具18を備えている。器具10は、床乾燥用の布を貯蔵するための容器20、及び使用済みの濡れた床乾燥用の布の容器22をさらに備える。
【0016】
容器12は、通常、2対の車輪23,24が取り付けられ得る樹脂成形品によって与えられるが、容器12は、別個の車輪付き台車に組み付けられてもよく、又は、容器12は、他の方法により、清掃すべき床まで容器12を車輪移動させることを可能にする車輪23,24よって、通常は容器12内に入れられる床清掃液と共に、運ばれてもよい。
【0017】
絞り器14は、容器12と一体である、又は、容器12の上部縁に取り付けられる、並びに/若しくは、容器内に及び/或いは上部縁の上に部分的に取り付けられる。いずれの場合も、絞り器14は、容器12に備えられているため、清掃すべき床まで容器12と共に車輪での移動が可能である。
【0018】
絞り器は、絞り器バスケット25(図5を参照)を有し、絞り器バスケット25は、下にある容器12内に液体を排出させることができる開口をもつ1つ又は複数の壁部を有している。
【0019】
絞り器14は、一対の可動なジョー28,29を有する種類のものである。図5では、ジョー28,29が全閉状態で示されており、この状態へのジョー28,29の移動は、機械的補助を伴って、絞り機構の動作を通して行われ、絞り機構は、この例では絞り器ハンドル30を有している。図5において、ハンドル30は、ジョー28,29が開いているときは実線で図示され、ジョー28,29が完全に閉じているときは下げられたハンドル位置である点線で図示されている。下げられたハンドル30の拘束が解除されると、絞り機構のばね(図示せず)が、ハンドル30をより直立した位置に戻し、ジョー28,29は、互いに離れ、このとき、絞り機構のガイドスロット32によって全開状態に案内される。そして、全開状態では、絞るべき物をジョー28,29同士の間に入れることができ且つ絞った物を取り出すことができる。
【0020】
ハンドル30を図示の点線位置に下げると、ジョー28,29は、共に閉じ、ジョー28,29同士の間に入れられた物に下方へ向かう絞る力を加え、この物を押してジョー28,29の下にある絞り面と接触させるが、この絞り面は、この例ではバスケット25の底部に位置する挿入体31(図5aを参照)によって与えられる。
【0021】
挿入体31は、この例では、複数の貫通する排出開口を有する半硬質の弾性を有する材料からなる。
【0022】
そのような絞り器14の一般的な動作は既知であるため、絞り機構及びその動作のより詳細な全体的な説明は省く。
【0023】
代表的な従来の絞り器(図4bを参照)では、ジョー28,29を共に完全に閉じると、ジョー28,29同士の間に、多種多様なモップヘッドを受け入れることができるように十分な広さを有する広い間隙36ができる。通常、間隙36は、モップヘッド、例えば吸収性のある材料からなる複数のフィラメントが取り付けられるモップヘッドの少なくとも一部を含み、ジョー28,29は、閉じるとフィラメントに作用してフィラメントを絞ることができる。図4bでは、後述するように、従来技術の絞り器のジョー28,29が共に完全に閉じられると、フラットモップ16のモップヘッド38における一対の折り畳み可能な部分45a,45bの折り畳み厚さTよりも顕著に広い間隙36ができることが分かる。
【0024】
図5から分かるように、本発明の構成では、ジョー28,29を閉じたときの間隙36は、従来備えるよりもかなり小さいため、絞り器14は、フラットモップ16を用いる特定の用途に適合することができる。
【0025】
図3には、フラットモップ16が示されている。これは、ハンドル40が固定されるモップヘッド38を有している。ハンドル40用のソケット41が設けられており、自在継手(詳細は図示せず)がある。自在継手によって、モップ16を移動させる床に対して、ソケット41が、それ故ハンドル40が、A1及びA2で示す一対の互いに垂直な軸の周りで動くことが可能になる。別の構成では、ハンドル40は、例えば1本の軸の周りで、より限られた動きをするようにヘッド38に他の方法で固定されてもよく、又は、ハンドル40は、ハンドル40とヘッド38との間での動きを、より限られたものにできるように、若しくは一切行うことができないように、ヘッド38と一体的にすることによって固定することさえできる。
【0026】
モップヘッド38は、図4に示すように共に相対的に折り畳み可能である一対の折り畳み可能な部分45a,45bをさらに有する。
【0027】
吸収性布材44は、モップヘッド38に取り付けられ、折り畳み可能な部分45a,45bのそれぞれ及びそれらの間の本体部分48によって与えられる、モップヘッド38の下側部分45に沿って延びる。吸収性布材は、1つの細長いシート状をした吸収性のある材料44として与えられ、このとき、この材料44の端部44a,44bは、折り畳み可能な部分45a,45bの先端の縁に巻き付いて、例えば留め具及び/若しくは接着剤及び/若しくはクリップによって取り付けられる、又は、図示の例では、モップヘッド38の装備に巻き付けられて図4にVで示すようなVelcro(登録商標)タイプの接続部を有している。
【0028】
折り畳み可能な部分45a,45bを図4及び図4aに示すように下方に共に折り畳むと(この例では折り畳み可能な部分45a,45bの両方をモップヘッド38の本体部分48に対して枢動させると)、吸収性布材44は、折り畳み可能な部分45a,45bからループ49を形成して垂下する。このループ49は、この状態で、濡らすために容器12内の清掃液に挿入するのに都合がよく、後述するように絞って清掃液を除去し且つ吸収性布材を湿った状態にしておくことができる。
【0029】
従来の絞り器(図4bを再度参照)を用いる場合、なお、この絞り器では、可動なジョー28,29を共に閉じると、広い間隙、すなわちモップヘッド38の折り畳んだ部分45a,45b(及び折り畳んだ部分45a,45b同士の間の空間S)を合わせた折り畳み厚さTよりも顕著に広い間隙36ができるが、ジョー28,29は、図4bに44c,44dで示され且つ折り畳んだ部分45a,45bの直ぐ近くとなる、吸収性布材44の領域には作用しないため、ジョー28,29は、ループ49の吸収性布材44の全体に作用することができない。
【0030】
しかしながら、本発明によれば、絞り器14は、閉じたジョー28,29同士の間の間隙36が折り畳んだ折り畳み可能な部分45a,45bの折り畳み厚さTよりも辛うじて広いか又は広くないように設計され、そのため、ジョー28,29は、モップ16における実質的に全体の吸収性布材44に作用することができる。実際の間隙36のサイズは、モップヘッド38及び布材44の実際のサイズ及び形状に応じて決まるが、例えば、間隙36は、最大でも1/8インチ(3.12mm)しかないか、又は少なくとも1/2インチ(12.7mm)以下であるか、又は好ましくは1/4インチ(6.35mm)以下であってよい。
【0031】
ジョー28,29がそれぞれ、追加の脇部分28a,28b及び29a,29bを有していることが分かる。脇部分28a,28b及び29a,29bは、共に閉じ、そしてこの例では、ジョー28,29を完全に閉じると、使用時に吸収性布材44が通り抜ける間隙36の両側において、実際には重なる。間隙36は、このように側方を閉じなければジョー28,29の全長にわたって延びることになるが、側方を閉じることにより、ジョー28,29及び脇部分28a,28b及び29a,29bが絞り中に吸収性布材44の実質的に全体に作用することがさらに確実なものになり、それによって、吸収性布材44が最大限に水切りされることが確実なものになる。
【0032】
図4aでは、吸収性布材44がモップヘッド38の折り畳み可能な部分45a,45bよりも広いため、折り畳み可能な部分45a,45bを関連させて折り畳むと、吸収性布材44が肩部43a,43bをあらわすようになることが分かる。下向き矢印で示すように、脇部分28a,28b及び29a,29bが、絞り中に肩部43a,43bに作用することで、実質的に全体の吸収性布材44を絞る対象とすることが確実なものになる。
【0033】
この例では、ジョー28,29を共に完全に閉じたときの間隙36は、限定するわけではないが特に、脇部分28a,28b及び29a,29bが設けられていることによって、モップヘッド38の折り畳み可能な部分45a,45bの縁及び空間Sによる断面寸法及び断面積よりも小さな形状及び面積を有している、そのため、使用時に、モップヘッド38を受け入れるには小さすぎる間隙36を通るのは吸収性布材44だけである。
【0034】
それ故、記載の絞り器14によって、濡れたフラットモップ16は、従来の絞り器を用いたこれまでの場合より、はるかに乾いた状態まで絞られることが可能になる。よって、モップ16を用いて床を清掃すると、床は、従来のモップを用いた場合より、床の濡れ具合が大幅に低減される、すなわち実質的に乾いた状態になる。モップ16を用いた清掃後にあまり液体が残らないため、より速く乾燥させることを目的として、床にスクイジーをかけて液体を例えば液溜めの中に移動させる必要がない。
【0035】
さらに、床が比較的乾いているため、乾燥用具18を用いて床を実質的に乾いた状態までさらに乾燥させることは、やりがいのあることである。
【0036】
図6を参照すると、乾燥用具18は、ハンドル52が傾斜角を付けて上面に固定されるヘッド50を有し、この上面にはソケット53が設けられ、ハンドル52は、ソケット53の枢軸継手によって、枢軸Bを中心にヘッド50に対して旋回移動することができる。
【0037】
ハンドル52とヘッド50との間の枢軸継手は、ハンドル52を左右に動かすことができつつ、ヘッド50が床と平行関係を維持しながら乾燥用具18を用いることを可能にする。
【0038】
ヘッド50は、細長く、使用時に下向きに開く溝形開口を備える。溝形開口内には、この例ではネオプレン又は同様のゴム状材料のU字形のシートである、縁部材54が設けられ、U字形の縁部材54における溝形の脚部の下縁によって一対の作用縁部55,56が与えられ、作用縁部55,56は使用の際には互いに非常に接近する。
【0039】
乾燥用具のヘッド50は、この例ではクリップ58,59である一対の取り付け具を有し、クリップ58,59によって、乾燥用の布60が使用時にヘッド50に取り付けられる。この例では、布60は概ね矩形であり、クリップ58,59は、布60を1つの側部61に沿って取り付ける。続いて、布60における対向するフリーな側部62がヘッド50の周りに掛け渡される。
【0040】
布60には、布60の上に、又は使用時に上向きになる面に少なくとも、複数のラインL1,L2等が記されており、これらのラインは、モップヘッド50及び布60の1つの側部61と概ね平行に延びて個々の布領域を表示する。対向する側部62がフリーであるため、布60が床F上にある場合(図7a及び図7bを参照)、作用縁部55,56(又は少なくともそのうちの一方)は、必要に応じてラインL1,L2等で示される領域から選択されるいずれの領域にも合わせるようにして、布60上で位置決めすることができる。
【0041】
図7aでは、作用縁部55,56は、第1のラインL1に合わせるようにして第1の領域に位置を合わせた状態で示されている。
【0042】
続いて、ヘッドを床Fに押し付けつつ、乾燥用具18を床Fの上で前後左右に移動させることができ、そして、枢軸継手があるおかげで、すでに生乾きの床Fを布60で拭いて乾燥させながら、移動させることができる。布の領域L1の濡れ具合が増すにつれて、床Fを乾燥させる効率が悪くなる。
【0043】
その場合、乾燥用具18のヘッド50を布60から持ち上げることによって、領域/ラインL1,L2等のすべてからさらなる乾燥等のために布60における異なる領域が選択されるように、ヘッド50を、隣となる例えば次のラインL2に、布60に対して位置を合わせ直すことができる。図7bでは、作用縁部55,56がL2に合わせるようにして位置を合わせた状態で示されている。
【0044】
それ故、同じ布60を長期間にわたって乾燥のために用いることができる。従来から続けられている、濡らして清掃する作業よりも、床Fが最初から乾いているため、布60はすぐに濡れてしまわない。
【0045】
布60を用いることができる時間をさらに延ばすことが望まれる場合、布60を両面式にしてもよい。各面は、マイクロファイバ等の高吸収性材料からなっていてもよく、各面の間に膜があってもよい。
【0046】
膜は、防湿性であっても少なくとも耐湿性であってもよい。
【0047】
それ故、布60の一方の面が用いられたとき、布のその一方の面に床を乾燥させるのに十分なまだ乾いている領域が残っていない場合、布60を裏返して他方の面を用いることができる。このことは、取り付け具58,59を操作して布60を裏返すことによって、又は、フリーな側部62をヘッド50の周りに反対方向に単に巻き付けることによって行うことができる。
【0048】
必要に応じて、布60の両面がラインL1,L2を有していてもよい。
【0049】
乾燥用具18は、図示の構成と比べて変更してもよい。図示の対の作用縁部55,56ではなく、単一の作用縁部を設けてもよく、又は2つ以上の作用縁部を設けてもよいが、1つ又は複数の作用縁部は、床Fの凹凸に対応すると共に布60の選択された領域をつかんでおくように弾性を有することが好ましい。単一の作用縁部又は複数の作用縁部は、縁部又は縁部の組み合わせと床Fとの間における布面積を最大にする、例えば最大幅3インチ(約7.62cm)にするように、非常に広くしてもよい。
【0050】
布60は、図示のクリップによってヘッド50に取り付ける必要はなく、代わりの取り付け構成を利用することもできる。
【0051】
1つ又は複数の作用縁部55,56は、ヘッド50に沿って連続しているのが好ましいが、そうである必要はない。ハンドル52は、ヘッド50に対して自在に動くことができてもよく、又は、相対的に全く動くことができなくてもよい。
【0052】
布60に必ずしもラインL1,L2等が記されている必要はない。
【0053】
布60を交換する必要がある場合、クリップ又は他の取り付け具(複数可)を操作して側部61を解放し、布60を廃棄することができるが、布60は再使用のために洗浄及び清掃されるのが好ましい。使用済みの布60は、容器12と共に備えられている使用済み布用容器22に入れることができる。
【0054】
続いて、例えば容器20内の貯蔵したものからの未使用の乾いた布60を乾燥用具18に取り付けて、さらなる床乾燥に用いることができる。
【0055】
図1に示唆するようにモップ16及び乾燥用具18を車輪付き容器12と共に運ぶことができるようにするために、容器12は、ハンドルクリップ等の適切な取り付け具と、モップヘッド38及び乾燥用具ヘッド50をそれぞれ受け入れるトレーの形態のもの又はワイヤ/樹脂の形態のものとを有し得る。
【0056】
乾いた布60の備えは、設けられている容器20内ではなく清掃作業員によって運ばれてもよい。使用済みの濡れた布を廃棄する場合、それらを図1に示す容器22ではなくごみ箱に入れてもよい。あるいは、使用済みの再利用可能な布を、容器12と共に運ばれる容器22を経由する以外の方法で洗浄/乾燥所(station)に移してもよい。
【0057】
別の例では、溝形開口の脚部50aと縁部材54との間に第1の布の縁部61を押し込むことによって、取り付け機構とし、その結果、布60が図示のように乾燥用具18の前方に延びてから1つ又は複数の作用縁部55,56の下で後方に延びるのではなく、布60が乾燥用具18のヘッドの後ろに延びてから1つ又は複数の作用縁部55,56の下で前方に延びるようにしてもよい。
【0058】
布の縁部61は、縁部材54の弾性によって所定位置に保持される。
【0059】
当業者には理解されるように、本発明の範囲から逸脱せずにさまざまな他の変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側にハンドルが固定され且つ下側に吸収性布材を有する概ね平坦なモップヘッドを備えるフラットモップを用いて床を清掃する方法であって、前記モップヘッドが、折り畳み状態になるよう共に折り畳み可能である一対の相対的に折り畳み可能な部分を有し、前記折り畳み状態では、前記吸収性布材のループが前記モップヘッドの折り畳んだ前記折り畳み可能な部分から垂下する、方法において、
前記モップヘッドを折り畳み状態にして、清掃液を含む容器に前記吸収性布材の少なくとも大部分を挿入して前記吸収性布材を濡らすステップと、
続いて、前記モップヘッドを絞り器に入れるステップであって、前記絞り器が、一対のジョーを有し、前記一対のジョーが、機械的補助によって動くことにより、前記吸収性布材の実質的に全体に作用して、前記吸収性布材を前記ジョーと前記絞り器の絞り面との間で絞ることが可能である、ステップと、
前記モップヘッドを折り畳まれていない平坦な状態に戻すと共に、湿った前記吸収性布材を用いて前記床をモップがけするステップと、
続いて、別個の乾燥用具を用いて前記床を乾燥させるステップであって、前記乾燥用具が、ハンドルに固定されるヘッド、及び、乾いた吸収性のある布を前記ヘッドに取り付ける1つ又は複数の取り付け具を有する、ステップと
を含み、
該方法は、前記乾燥用具を用いて前記布を前記床に当てて、前記床の上で前記布の乾いた部分を移動させることによって、前記床を乾燥させるステップを含み、
前記フラットモップヘッドの前記折り畳み可能な部分が共に相対的に折り畳まれると、折り畳まれた前記モップヘッドは、折り畳んだ前記折り畳み可能な部分の合わせた厚さに前記折り畳み可能な部分同士の間の空間を含めた厚さと、少なくとも同じ大きさの折り畳み厚さを有し、前記ジョーは、絞り機構の動作によって、閉鎖状態に共に移動し、前記閉鎖状態では、前記ジョー同士の間の距離又は前記ジョー同士の間の少なくとも最も大きい距離が前記折り畳み厚さよりも顕著に大きくない、方法。
【請求項2】
前記ジョーは、前記ジョー同士の間の距離又は前記ジョー同士の間の少なくとも最も大きい距離が前記折り畳み厚さよりも小さくなる前記閉鎖状態に、共に移動する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記乾燥用具で前記床を乾燥させるとき、前記乾燥用具の前記ヘッドを前記床の上で移動させ、且つ前記布における第1の領域を前記乾燥用具の前記ヘッドの作用縁部と前記床との間にして前記ヘッドを前記床に押し付け、
前記方法が、前記布に対する前記作用縁部の位置を調整するステップと、前記床の上で前記ヘッドを移動させ且つ前記布における第2の領域を前記作用縁部と前記床との間にして前記ヘッドを前記床に押し付けることによって、さらなる乾燥を行うステップと、さらにまた、前記布に対する前記作用縁部の位置をさらに調整するステップと、前記床の上で前記ヘッドを移動させ且つ前記布における第3の領域を前記作用縁部と前記床との間にして前記ヘッドを前記床に押し付けることによって、さらなる乾燥を行うステップとを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記乾燥用具の前記ヘッド及び前記作用縁部は、細長くなっており、
前記方法が、前記乾いた吸収性のある布をこの布の1つの側部に沿って前記ヘッドに取り付けるように前記取り付け具を操作するステップと、フリーな対向する側部を前記作用縁部に巻き付けて、前記作用縁部の方向に延び且つ前記布において選択された領域を前記作用縁部に合わせるステップとを含む、方法。
【請求項5】
前記作用縁部に対する前記布の位置の調整は、前記ヘッドと前記床との間で前記布を前記床に接触させて行われ、前記調整は、前記作用縁部をその下の前記布から持ち上げて、前記布における前記選択された領域又は次の選択された領域の上に前記作用縁部を位置合わせし直すことによって行われる請求項3に記載の方法。
【請求項6】
床の清掃に用いる器具であって、
上側にハンドルが固定され且つ下側に吸収性布材をもつ概ね平坦なモップヘッドを有するフラットモップであって、前記モップヘッドが、折り畳み状態になるよう共に折り畳み可能である一対の相対的に折り畳み可能な部分を有し、前記折り畳み状態では、前記吸収性布材のループが前記モップヘッドの折り畳んだ前記折り畳み可能な部分から垂下する、フラットモップと、前記吸収性布材を少なくとも部分的に挿入して濡らすことができ、且つ使用時に清掃液を含む容器と、一対のジョーを有する絞り器とを備え、
前記一対のジョーは、前記ループが前記絞り器に入れられたとき、機械的補助によって動くことにより、前記絞り器において前記吸収性布材の実質的に全体に作用して、前記吸収性布材を前記ジョーと前記絞り器の絞り面との間で絞ることが可能であり、前記一対のジョーは、前記フラットモップの前記吸収性布材の前記ループを前記ジョー同士の間から前記絞り面に向かって前記絞り器に入れることができる開位置と、前記ジョーが共に実質的に全ての前記吸収性布材を前記絞り面に向けて押す全閉位置との間で、前記絞り器の絞り機構によって可動であり、前記絞り器の前記ジョーは、前記絞り機構の動作によって、共に全閉状態に可動であり、前記全閉状態では、前記ジョー同士の間の距離又は前記ジョー同士の間の少なくとも最も大きい距離が、前記モップヘッドの折り畳んだ前記折り畳み可能な部分同士の間の空間を含む、前記折り畳み可能な部分の折り畳み厚さよりも顕著に大きくない、器具。
【請求項7】
前記絞り器の前記ジョーは、前記ジョー同士の間の距離又は前記ジョー同士の間の少なくとも最も大きい距離が前記折り畳み厚さよりも小さくなる全閉状態に、前記絞り機構の動作によって共に可動である請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記モップの前記吸収性布材は、前記折り畳み可能な部分よりも広く、前記ジョーの両方又は一方は、前記ジョーを共に閉じたとき、前記折り畳み可能な部分に隣り合う前記布材の肩部に作用する脇部分を有する請求項6に記載の器具。
【請求項9】
閉じた前記ジョー及び前記脇部分は、前記モップヘッドの折り畳んだ前記折り畳み可能な部分の縁及び前記折り畳み可能な部分同士の間の空間による断面形状及び断面積に概ね対応する間隙を形成する請求項8に記載の器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図5a】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【公開番号】特開2010−227574(P2010−227574A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−70440(P2010−70440)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(509264970)
【氏名又は名称原語表記】YOUNG, Ronald, Alexander (Scot)
【住所又は居所原語表記】Scot Young Research, Lye By Pass, Lye, Stourbridge, West Midlands DY9 8HG, United Kingdom
【Fターム(参考)】