説明

床パネル及び床構造

【課題】 剛性を充分に高いものにできながら、しかも、寸法や形状に狂いを生じさせることがなく、かつ、環境共生の考え方にもマッチし、更に軽量化も実現できる床パネル1の提供。
【解決手段】 床板2の平坦下面に鋼製の折版3が重ねられ、床板2が折版3の各山部の頂板部3aに接合されて床板2と折版3とが一体化された構造の床パネル1である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅、アパート等の建築物に用いられる床パネル及び床構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】住宅等の建築では、図7に示すように、合板やパーティクルボードなどからなる床板52の下面に、複数本の木製根太53…を接着剤と釘54とで接合一体化して構成された床パネル51が用いられることがある。
【0003】しかしながら、上記のような床パネル51では、根太53…が木製であるために、その寸法に狂いを生じやすい。根太53…の寸法上の狂いは、床板52ひいては床パネル51の形状の狂いとして波及し、例えば、根太53…に反りを生じると、床パネル51も反ってしまう結果となる。
【0004】また、根太53…は、床パネル51に必要な剛性をもたせるために用いられるものであるがゆえ、1つの床パネル51に用いられる木材の量がかなり多くなってしまうのが一般的で、このことは、木材の使用量を可及的に減らそうとする環境共生の考え方に反するものでもある。
【0005】更に、根太53…の使用により、確かに剛性は高まるものの、その一方で床パネル51が重いものになってしまう欠点もある。
【0006】本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、剛性を充分に高いものにすることができながら、しかも、寸法や形状に狂いを生じさせることがなく、かつ、環境共生の考え方にもマッチし、更に軽量化も実現できる床パネル及び床構造を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、床板の平坦下面に金属製波板が重ねられ、床板が金属製波板の山板部に接合されて床板と金属製波板とが一体化されてなることを特徴とする床パネル、及び、床板の平坦下面に金属製波板が重ねられ、床板が金属製波板の山板部に接合されて床板と金属製波板とが一体化されてなることを特徴とする床構造によって解決される。
【0008】即ち、本発明の床パネル及び床構造は、従来の木製根太に替え、金属製波板を用いたものである。金属製波板は、各種金属構造材の中でも、軽量にして高剛性を発揮するものであり、しかも、木材の場合のような反りなどの寸法・形状上の狂いを生じることもない。従って、高剛性にして、寸法・形状上の狂いがなく、しかも軽量な床パネル、床構造が実現される。また、金属材にて剛性を高めるものであるため、木材の使用量が大幅に減少され、環境共生の考え方にも適合する。
【0009】また、金属製波板として折版が用いられることにより、折版は、屋根材などとして広く市販されているものも多く、入手しやすく、そのような折版を用いることによって、床パネル及び床構造がコスト的に有利に製作される。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】図1ないし図3には、本発明を床パネルに適用した場合の第1の実施形態を示すもので、この床パネル1において、2は床板、3は金属製波板であり、本実施形態では更にフレーム4が用いられている。
【0012】床板2は、合板、パーティクルボード等による方形板からなる。
【0013】金属製波板3は、鋼製の折版によるもので、山の頂板部3a、谷の底板部3b及び立ち上がり板部3cがともに平板状をなし、かつ、上辺が下辺よりも短い台形状山部と、上辺が下辺よりも長い逆台形状谷部とを交互に繰り返していくタイプの波板に成形されたものである。
【0014】フレーム4は、4本の角形鋼管材の端部同士を接合して方形環状に製作された鋼製フレームによるものである。
【0015】床パネル1は、折版3を挟む上側に床板2を、下側に鋼製フレーム4を配し、これら三者を接合一体化して製作される。即ち、折版3と鋼製フレーム4とは、鋼製フレーム4の上面に折版3を配置し、折版3の各谷部の底板部3b…と鋼製フレーム4の上面との間にゴム等による防振材5を介在させ、ドリルビス等の締結部材6にて締結して接合一体化されている。また、折版3と床板2とは、折版3の各山部の頂板部3a…の上面に、床板2の平坦な下面を配置し、これらの間にブチルテープ等の接着材7を介在させて折版3と床板2とを接着すると共に、タッピン皿ネジ等の締結部材8にて締結して接合一体化されている。この床パネル1の製作は工場にて行われる。
【0016】因みに、具体的一例としてその寸法を挙示すれば、床板2は、その厚さが例えば12mmである。また、折版3は、板厚が例えば0.5mm、高さが例えば88mmである。また、鋼製フレーム4はその肉厚が例えば2.3mm、高さが例えば100mmである。
【0017】上記構造の床パネル1は、従来の木製根太に替え、鋼製の折版3を用いて剛性を確保するようにしたものであるから、折版3に反りを生じさせて床パネル1を反らせてしまうというような不具合の発生がなく、寸法・形状上の狂いの問題を効果的に解決することができる。
【0018】しかも、折版3は、他の構造の金属部材に比べて、軽量でありながらも高い剛性を発揮しうるものであり、これを床パネル1に適用することによって、床パネル1の剛性を高いものにでき、同時に、床パネル1を、金属構造部分を有するものでありながら軽量なものにすることができる。従ってまた、木製根太使用の床パネルと同じ剛性をもちながら、この木製根太使用の床パネルよりも軽量な床パネルの実現も不可能ではない。
【0019】更に、従来の木製根太が排除され、木製部分が削減されるから、環境共生の考え方にも適合し、環境に優しい床構造を実現することができる。
【0020】また、鋼製の折版3として、屋根材などとして広く市販されているものを用いることにより、床パネル1をコスト的に有利に製作することができる。
【0021】更にまた、本発明は、折版のような山・谷を繰り返した金属製の波板をパネル1の剛性確保のための補強材として用いたものであるから、従来のように、床板2の下面に複数本の根太53…を所定の間隔おきに並列状態に配列して取り付けた構造の床パネル1などに比べて、床板への補強材の取付けが格段に容易となり、床パネル1を生産性良く製作していくことができる。
【0022】図4に示す第2実施形態の床パネル1は、床板2と折版3とで構成されており、鋼製フレームは省略されている。そして、床板2と折版3とで囲まれた幅方向に複数の室9…にはそれぞれ、断熱材としての発泡ウレタン10…が注入され、パネル1の断熱性、強度及び防振性が向上されたものとなされている。その他は、上記実施形態と同様である。
【0023】図5に示す第3実施形態の床パネル1は、床板2と折版3、そして合板等による底板11とで構成されているもので、底板11も床板2と同様にして折版3の谷部の底板部3b…と接合一体化されたものである。そして、床板2と折版3とで囲まれた各室9…のみならず、底板11と折版3とで囲まれた各室12…にも、それぞれ断熱材としての発泡ウレタン10が注入され、パネル1の断熱性、強度及び防振性がより一層高められたものとなされている。
【0024】以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種変形が可能である。例えば、床材2は、合板やパーティクルボードに限られるものではなく、その他各種の床材が用いられてよい。また、上記実施形態では、1枚の床板2の下面に1枚の折版3を重ねてこれらを接合一体化して1つの床パネル1とした例を示しているが、複数枚の床板を一単位とし、それらの下面側にわたすように1つの折版を重ね、これら複数枚の床板と1枚の折版とを接合一体化して1つのパネルとした構造のものなどであってもよい。また、金属製の波板として、上記実施形態では、屋根材として広く市販されている鋼製の折版3が用いられているが、床パネルの独自性を重視すべく特定の寸法・形状に設計された専用品による折版が用いられてもよい。また、図示のような形状の折版3のほか、図6(ロ)(ハ)に示すような各種断面形状の折版が用いられてもよく、また、金属製素板をプレス等により折曲げ加工して製作されたもののほか、形材品などによるものであってもよい。また、その材質も鉄系金属によるもののほか、アルミニウム等の他の各種金属材によるものであってよい。また、上記各実施形態では、いわゆる床パネルに適用した場合を説明しているが、本発明は、パネル形式によるもののほか、建築現場にて、金属製波板を敷き、その上に床板を重ねるように敷いて、この金属製波板と床板とを接合一体化して構成する、パネル形式によらない床構造であってもよい。
【0025】
【発明の効果】上述の次第で、本発明の床パネル及び床構造は、床板の平坦下面に金属製波板が重ねられ、床板が金属製波板の山板部に接合されて床板と金属製波板とが一体化されたものであるから、剛性を充分に高いものにすることができながら、しかも、寸法や形状に狂いを生じさせることがなく、かつ、環境共生の考え方にもマッチし、更に軽量化も実現できる。
【0026】また、金属製波板として折版を用いる場合は、折版には屋根材として広く市販されているものが多く、入手しやすく、そのような折版を用いることによって、床パネル及び床構造をコスト的に有利に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態にかかる床パネルの端面図である。
【図2】同床パネルの構成部材を分離状態にして示す斜視図である。
【図3】同床パネルの斜視図である。
【図4】第2実施形態にかかる床パネルの斜視図である。
【図5】第3実施形態にかかる床パネルの斜視図である。
【図6】図(イ)は上記実施形態に用いられている折版の横断面図、図(ロ)及び図(ハ)は折版の変形例を示す横断面図である。
【図7】従来の床パネルを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…床パネル
2…床板
3…鋼製折版(金属製波板)
3a…頂板部(山板部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 床板の平坦下面に金属製波板が重ねられ、床板が金属製波板の山板部に接合されて床板と金属製波板とが一体化されてなることを特徴とする床パネル。
【請求項2】 前記金属製波板が折版からなる請求項1に記載の床パネル。
【請求項3】 床板の平坦下面に金属製波板が重ねられ、床板が金属製波板の山板部に接合されて床板と金属製波板とが一体化されてなることを特徴とする床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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