説明

床パンのリブ及びそのリブが形成された床パンの支持構造

【課題】充分な強度を有する安価で成型の容易な床パンのリブ及びそのリブが形成された床パンの支持構造を提供する。
【解決手段】床パン1の裏面に形成されるリブであって、一方向に形成される第一のリブ2と、他方向に形成される第二のリブ3からなり、第一のリブ2と第二のリブ3が交差する交点Pの周囲に肉厚部4を形成し、第一のリブ2と第二のリブ3の交点Pから肉厚部4の終端E1,E2までの距離D1,D2が、第一のリブ2側と第二のリブ3側で異なる構成とする。第一のリブ2と第二のリブ3が交差する交点Pの周囲に形成した肉厚部4の、交点Pから肉厚部4の終端E1,E2までの距離D1,D2を、強度が必要となる一方向に重点的に形成し、他の方向は最小限に抑えることで、材料の増加を最小限に留めて、効果的にクラックの発生を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニーや庭先のデッキ等の床面に敷設される床パンの裏面に形成されるリブ及びそのリブが形成された床パンの支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バルコニーや庭先のデッキ等の床面に敷設される床パンは、その上を人が歩くなどして相応の強度が求められるため、従来より、床パンの裏面にリブを格子状に形成して、必要な強度を確保している。(例えば特許文献1など)。
【0003】
しかしながら、上記のように、裏面に補強用のリブを形成した床パンであっても、リブとリブの交点部分は、成形によるウエルドラインが発生しやすいため強度が弱くなりやすく、一方で、荷重による応力が集中しやすい部分であるため、人がリブとリブの交点部分を踏むと、パキッという音と共に、その交点部分のリブにクラックが発生してしまうことがあった。
【0004】
そこで、床パンの裏面に形成されるリブの本数を増やしたり、或いは、リブの高さを高くしたり、リブの幅を広くしたりするなどして対応してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−278207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記手段では、リブの成型に多くの材料が必要となるため、大幅なコストアップとなって、製品の重量も重くなってしまうという問題があった。また、リブを高く形成すると、成型材料がリブの先端まで充分に充填されなかったり、リブ幅を広くすると、表面に大きなヒケが発生したりして、成型性や外観が悪くなってしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、クラックの発生を抑えるだけの充分な強度を有するにもかかわらず、コストアップを最小限に抑え、成型の容易な床パンのリブ及びそのリブが形成された床パンの支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る床パンのリブは、床パンの裏面に形成されるリブであって、一方向に形成される第一のリブと、他方向に形成される第二のリブからなり、上記第一のリブと上記第二のリブが交差する交点の周囲に肉厚部を形成し、上記第一のリブと上記第二のリブの交点から上記肉厚部の終端までの距離が、第一のリブ側と第二のリブ側で異なることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の床パンのリブにおいては、上記肉厚部が、第一のリブと第二のリブの交点から遠ざかるにつれて漸次細くなっていることが好ましい。また、第一のリブと肉厚部の境点と、第二のリブと肉厚部の境点とを直線で結んだ線よりも肉厚部が内側に位置している、又は、該線と同一線上にある床パンのリブがより好ましい。
【0010】
次に、本発明の床パンの支持構造は、上記のような構成の床パンのリブが裏面に形成された床パンの支持構造であって、少なくとも2本の長尺支持部材を平行に配設して床パンを下方から支持し、肉厚部の終端までの距離が長い方のリブを、上記長尺支持部材に対して直交するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の床パンのリブは、一方向に形成される第一のリブと、他方向に形成される第二のリブが交差する交点の周囲に肉厚部を形成しているので、床パンのなかで最もクラックが発生し易いリブの交点近傍の強度をアップさせて、クラックの発生を未然に防止することができる。通常、床パンは、一定の方向に配設された数本の支持部材(根太等)で支持されている場合が多く、例えば、図11に示すように、支持部材が床パンの長さ方向に配設されている場合は、床パンの上を人が歩くと一方向(長さ方向)に形成された第一のリブよりも、他方向(幅方向)に形成された第二のリブのほうが大きく撓って、第二のリブが交点部分で破損してしまうことが多い。この点に着目することによって、本発明の床パンのリブは、交点から肉厚部の終端までの距離を、第一のリブ側と第二のリブ側で異なるように形成しているので、上記のような場合には、第二のリブ側の肉厚部を交点から長く形成することで、撓りに対する剛性を高め、効果的にクラックの発生を防止することができる。このように、リブ補強のための肉厚部を、強度が必要となる方向に重点的に形成し、他の方向は最小限に抑えることで、材料の増加を最小限に留めて、床パンの重量増加とコストアップを最小限に抑えることができる。また、必要充分な強度が得られるため、リブを高く形成したり、リブ幅を広く形成したりする必要もなくなり、成型性や外観が非常に良好となる。しかも、本発明の床パンのリブは、従来の床パンを成型するのに用いた金型のリブの交点近傍を一部改良するだけでよいので、コストアップを最小限に抑えることができる。
【0012】
また、上記肉厚部が、第一のリブと第二のリブの交点から遠ざかるにつれて漸次細くなっている床パンのリブは、応力が集中する箇所を分散させることによって、リブの撓みも小さくなり、リブの破損をより確実に防止することができる。また、肉厚部を漸次細くすることで、成型材料が滞溜してしまう部分がなくなるので、成型性が向上すると共に、ヒケの発生を低減して床パン表面の外観も良好となる。
【0013】
更に、第一のリブと肉厚部の境点と、第二のリブと肉厚部の境点とを直線で結んだ線よりも肉厚部が内側に位置している、又は、該線と同一線上にある床パンのリブは、必要充分な強度を確保しつつ、成型材料の増加を最小限に抑えて、コストアップを抑えると共に、床パンを軽量化することができる。また、境点と境点とを直線で結んだ線よりも肉厚部が内側に位置する、又は、該線と同一線上にすることで、成型材料の溜まり部分が皆無に等しくなるので、成型性がより一層向上する。
【0014】
次に、本発明の床パンの支持構造は、前述したような優れた効果を奏するリブが裏面に形成された床パンの、肉厚部の終端までの距離が長い方のリブを、長尺支持部材に対して直交するように下方から長尺支持部材で支持させるので、強度が必要となる方向(床パンが大きく撓る方向)に、強度が強いほうのリブ(肉厚部が長い方のリブ)が位置することになるので、床パンの特性を利用しながら破損を防止しつつ、重量増加とコストアップを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る床パンのリブが形成された床パンの裏面を示す斜視図である。
【図2】同リブの第一のリブと第二のリブの交点近傍の拡大図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る床パンのリブの第一のリブと第二のリブの交点近傍の拡大図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態に係る床パンのリブの第一のリブと第二のリブの交点近傍の拡大図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態に係る床パンのリブの第一のリブと第二のリブの交点近傍の拡大図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る床パンの支持構造を示す斜視図である。
【図7】同支持構造の底面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る床パンの支持構造を示す底面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に係る床パンの支持構造を示す底面図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態に係る床パンの支持構造を示す底面図である。
【図11】床パンに力が作用したときの状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0017】
図1に示す本発明の床パンのリブは、バルコニーや庭先のデッキ等の床面、或いは、風呂場の床面に敷設される床パン1の裏面に形成される補強用のリブであって、一方向(本実施形態では床パン1の長さ方向)に形成される第一のリブ2と、他方向(本実施形態では床パン1の幅方向)に形成される第二のリブ3からなる。
尚、一方向に形成される第一のリブ2は、本実施形態のように、床パン1の長さ方向に、また、他方向に形成される第二のリブ3は、床パン1の幅方向に形成されるものが大半を占めるが、第一のリブ2と第二のリブ3が交差するのであれば、長さ方向や幅方向に限定されるものではない。
【0018】
上記第一のリブ2と第二のリブ3は、図1、図7に示すように、床パン1の裏面に格子状に形成されるもので、第一のリブ2とそれに隣接する第一のリブ2との間隔が50〜300mm程度、第二のリブ3とそれに隣接する第二のリブ3との間隔が50〜300mm程度となるように形成されている。そして、このリブの高さ(床パン1裏面からリブの下端までの距離)が10〜200mm程度、リブ幅が2〜30mm程度に設定されており、このような寸法にリブを設定することで、床パン1に必要となる強度を確保している。
尚、このリブの縦断面形状は長方形状であるが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、下端の幅が上端の幅よりも短い台形状としてもよい。
【0019】
上記第一のリブ2と第二のリブ3の交点Pの周囲には、図1、図2に示すように、肉厚部4が形成されている。この肉厚部4は、最も破損し易い交点P近傍の第一のリブ2と第二のリブ3を、通常のリブ幅よりも太く形成したもので、これによって第一のリブ2と第二のリブ3を補強し、強度をアップすることでリブの破損を防止する。
【0020】
上記肉厚部4は、図2に示すように、交点Pから第一のリブ2側の肉厚部4の終端E1までの距離D1と、交点Pから第二のリブ3側の肉厚部4の終端E2までの距離D2が異なる。即ち、距離D1よりも距離D2の方が長く、その比率D1/D2が1/10〜9/10程度となるように設定される。図2に示す例では、D1/D2が1/4程度となるように形成されており、具体的には、D1が2〜120mm程度、D2が2.5〜150mm程度に設定されている。これは、通常、床パン1は、図6に示すように、一定の方向(本実施形態では長さ方向)に配設された数本(本実施形態では2本)の長尺支持部材5,5で支持されている場合が多く、図11に示すように、床パン1の上を人が歩くなどして矢印の方向に力が作用すると、床パン1は長さ方向よりも幅方向に大きく撓る。従って、他方向(幅方向)に形成された第二のリブ3のほうが、一方向(長さ方向)に形成された第一のリブ2よりも大きく撓って、第二のリブ3が交点P近傍で破損してしまうことが殆どである。このような事情に鑑みて、本発明の床パンのリブは、交点Pから肉厚部4の終端E1,E2までの距離D1,D2を、第二のリブ3側(距離D2)を長くすることで、撓りに対する剛性を高め、効果的にクラックの発生を防止する。このように、リブ補強のための肉厚部4を、強度が必要となる第二のリブ3側(幅方向)に重点的に形成し、第一のリブ2側(長さ方向)は最小限に抑えることで、材料の増加を最小限に留めて、床パン1の重量増加とコストアップを抑えることができる。
【0021】
また、図2に示すように、上記肉厚部4は、交点P近傍の幅が最も広く、交点Pから遠ざかるにつれて漸次細くなるように形成されている。このように、第一のリブ2と第二のリブ3を補強する肉厚部4を徐々に細く形成すると、応力が一箇所に集中することなく徐々に分散されることになるので、リブの撓みも小さくなって、第一のリブ2と第二のリブ3の破損を確実に防止することができる。
【0022】
更に、図2に示すように、上記肉厚部4は、第一のリブ2と肉厚部4の境点B1と、第二のリブ3と肉厚部4の境点B2とを直線で結んだ線よりも内側に位置するように形成されている。このように、肉厚部4を漸次細く形成すると共に、境点B1と境点B2とを直線で結んだ線よりも内側に位置させることで、必要充分な強度を確保しつつも、材料の増加を最小限に留めて、コストと重量増加を抑える。また、成型時に成型材料が金型に滞溜してしまう樹脂滞溜部がなくなるので、成型性が向上すると共に、ヒケの発生を低減して床パン表面の外観も良好となるという効果も奏する。
【0023】
本実施形態の他にも、漸次細く形成された肉厚部として、例えば、図5に示すような略楕円形状の肉厚部4eも考えられる。このような形状の肉厚部4eも、応力が一箇所に集中することなく徐々に分散されるので、リブの破損を防止することができる。
【0024】
また、境点B1と境点B2とを直線で結んだ線よりも肉厚部が内側に位置しているものとして、本実施形態の他にも、例えば、図3に示すような実施形態のものも考えられる。この実施形態に用いられる肉厚部4aは、境点B1と境点B2とを直線で結んだ線よりも内側に位置するだけでなく、更に、肉厚部4aを内側に湾曲させたもので、このように、肉厚部4aを、境点B1と境点B2とを直線で結んだ線よりも内側に湾曲させることで、より一層の樹脂の削減ができると共に、樹脂の滞溜部がなくなる。
【0025】
この他にも、肉厚部として、図4の(a)に示す、交点Pの周囲を長方形状に肉盛した肉厚部4bや、図4の(b)に示す、交点Pの周囲を略六角形状に肉盛し肉厚部4cや、図4の(c)に示す、交点Pの周囲を長方形状に肉盛すると共に、更にその周囲を長方形状に肉盛した肉厚部4dなど、種々の形状が考えられる。
【0026】
以上のような構成の本発明の床パンのリブは、一方向(床パン1の長さ方向)に形成される第一のリブ2と、他方向(床パン1の幅方向)に形成される第二のリブ3が交差する交点Pの周囲に肉厚部4を形成しているので、最もクラックが発生し易いリブの交点P近傍の強度をアップさせて、クラックの発生を未然に防止することができる。その際、強度が必要となる方向(幅方向)の肉厚部4の終端E2までの距離D2を長く形成し、他の方向(長さ方向)の肉厚部4の終端E1までの距離D1を短く形成することで、撓りに対する剛性を高めながら、材料の増加を最小限に留めて、床パン1の重量増加とコストアップを最小限に抑えることができる。また、必要充分な強度が得られるため、リブを必要以上に高く形成したり、リブ幅を広くしたりする必要もなくなり、成型性や外観が非常に良好である。
【0027】
次に、上記構成のリブが裏面に形成された床パン1の支持構造を説明する。
【0028】
この支持構造に用いられる床パン1は、図6に示すように、四周囲が外枠1a,1a,1a,1aで囲繞されたもので、その表面には、排水管(不図示)を接続するための排水口1bが2箇所形成されている。この排水口1bに排水管を接続することで、床パン1の表面に溜まった水が外部へと排水されるようになっている。そして、図7に示すように、この床パン1の裏面には、上記構成の第一のリブ2が一方向(長さ方向)に、第二のリブ3が他方向(幅方向)にそれぞれ形成されており、その交点Pの周囲には、第一のリブ2側の距離D1よりも第二のリブ3側の距離D2が長い肉厚部4が形成されている。この床パン1の成型材料は特に限定されないが、SMC(Sheet Molding Compound)や、BMC(Bulk Molding Compound)でプレス成型されたものが好適に用いられる。
尚、床パン1を長さ方向に何枚か連結する場合は、幅方向に形成される外枠1aの一方、又は、双方が取り除かれた床パンが使用される。
また、上記第一のリブ2と第二のリブ3に対応した床パン1の表面に、浅溝(不図示)を形成してもよく、これによって、交点P近傍に発生してしまうヒケを目立たなくして、床パン1の外観を良好に保つことができるようになる。
【0029】
上記床パン1は、図6に示すように、長さ方向に平行に配設された2本の長尺支持部材5,5によって下方から支持されている。この床パン1を支持する長尺支持部材5としては、根太等が用いられる。このとき、図2、図7に示すように、肉厚部4の終端E2までの距離D2が長い第二のリブ3を、長尺支持部材5に対して直交するようにして支持させる。
【0030】
上記のように、長さ方向に配設された長尺支持部材5に対して、肉厚部4の終端E2までの距離D2が長い第二のリブ3を直交するように支持させることで、図11に示すように、床パン1の上を人が歩くなどして矢印の方向に力が作用しても、肉厚部4が重点的に長く形成された第二のリブ3によって、床パン1が幅方向に撓り難くなって、第二のリブ3が破損することがなくなる。このように、本発明の床パンの支持構造は、強度が必要となる方向(床パンが大きく撓る方向)に、肉厚部4が長く形成されて強度が強いほうの第二のリブ3が位置することになるので、重量増加とコストアップを最小限に抑えて、効率的に強度アップさせることができる。
【0031】
一方、図8に示すように、複数本の長尺支持部材5が幅方向に配設されている場合は、床パン1Aに力が加わると、上記とは反対に、床パン1Aは幅方向よりも長さ方向に大きく撓る。このような場合は、肉厚部4の終端までの距離が長いリブを、長尺支持部材5に対して直交するようにして支持させればよい。具体的には、肉厚部4の終端E1までの距離D1(第一のリブ2側)が距離D2(第二のリブ3側)よりも長い床パン1Aを用いる。
【0032】
上記のように、長尺支持部材5が配設される方向(長さ方向又は幅方向)によって、肉厚部4が重点的に長く形成された方のリブ(第一のリブ2又は第二のリブ3)を長尺支持部材5に対して直交するように支持させることで、効率的にクラックの発生を防止し、コストと重量増加を最小限に抑えることができる。
尚、床パン1が四角形状をしていないなどして、極稀に長尺支持部材5が長さ方向、又は、幅方向に配設されない場合が想定される(例えば斜め方向)。そのような場合にも、上記のように、長尺支持部材5に対して、肉厚部4が重点的に長く形成された方のリブ(第一のリブ2又は第二のリブ3)を直交させるようにする。具体的には、第一のリブ2又は第二のリブ3が、斜め方向に配設された長尺支持部材5に対して平行であって、第二のリブ3又は第一のリブ2が長尺支持部材5に対して直交するように形成された床パン(不図示)を用いればよい。
【0033】
また、床パンとしては、上記床パン1,1Aのように、リブが格子状に形成されたものに限定されるものではなく、図9に示すように、第一のリブ2と第二のリブ3の交点が略T字状となるように形成された床パン1Bを用いてもよい。この床パン1Bは、第一のリブ2と第二のリブ3の交点Pの周囲に肉厚部4が略三角形状に形成されたもので、交点Pから第一のリブ2側の肉厚部4の終端E1までの距離D1よりも、交点Pから第二のリブ3側の肉厚部4の終端E2までの距離D2が長く、第二のリブ3が重点的に補強されたものである。従って、この床パン1Bを支持させる場合は、肉厚部4の終端E2までの距離D2が長い第二のリブ3を、長尺支持部材5に対して直交するようにすれば、リブの破損を防止しながら、コストアップを最小限に抑えることができる。
【0034】
逆に、図10に示すように、長尺支持部材5が幅方向に配設されている場合には、交点Pから第二のリブ3側の肉厚部4の終端E2までの距離D2よりも、交点Pから第一のリブ2側の肉厚部4の終端E1までの距離D1が長い、第一のリブ2が重点的に補強された床パン1Cを用いて、距離D1が長い第一のリブ2を、長尺支持部材5に対して直交するように支持させればよい。
【0035】
上記のように、本発明の床パンの支持構造は、肉厚部4が長く形成された方のリブを、長尺支持部材5に対して直交するようにすれば、コストアップを最小限に抑えながら、長尺支持部材5がいかなる方向に配設されていても対応することができる。
【符号の説明】
【0036】
1,1A,1B,1C 床パン
1a 外枠
1b 排水口
2 第一のリブ
3 第二のリブ
4,4a,4b,4c,4d,4e 肉厚部
5 長尺支持部材
P 第一のリブと第二のリブの交点
B1 肉厚部と第一のリブの境点
B2 肉厚部と第二のリブの境点
D1 第一のリブと第二のリブの交点から第一のリブ側の肉厚部終端までの距離
D2 第一のリブと第二のリブの交点から第二のリブ側の肉厚部終端までの距離
E1 第一のリブ側の肉厚部の終端
E2 第二のリブ側の肉厚部の終端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床パンの裏面に形成されるリブであって、
一方向に形成される第一のリブと、他方向に形成される第二のリブからなり、
上記第一のリブと上記第二のリブが交差する交点の周囲に肉厚部を形成し、
上記第一のリブと上記第二のリブの交点から上記肉厚部の終端までの距離が、第一のリブ側と第二のリブ側で異なることを特徴とする床パンのリブ。
【請求項2】
上記肉厚部が、第一のリブと第二のリブの交点から遠ざかるにつれて漸次細くなっていることを特徴とする請求項1に記載の床パンのリブ。
【請求項3】
第一のリブと肉厚部の境点と、第二のリブと肉厚部の境点とを直線で結んだ線よりも肉厚部が内側に位置している、又は、該線と同一線上にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床パンのリブ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の床パンのリブが裏面に形成された床パンの支持構造であって、
少なくとも2本の長尺支持部材を平行に配設して床パンを下方から支持し、
肉厚部の終端までの距離が長い方のリブを、上記長尺支持部材に対して直交するようにしたことを特徴とする床パンの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−275783(P2010−275783A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129923(P2009−129923)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】