説明

床パン支持構造

【課題】施工性の向上したユニットルームの床パン支持構造を提供する。
【解決手段】本発明の床パン支持構造は、床パン1と、床パン1を調整した高さに支持する床パン支持脚と、床パン1と床パン支持脚の間に配置された取付金具8と、からなるものである。上記床パン1は、床パン1補強用のリブ4と、床パン支持脚のボルト体が螺合するナット7を下方に突出して保持した保持部5と、が下面に突設されている。上記床パン支持脚は上面22bにボルト体を有し下端に高さ調整部を有した床支持棒22で主体が形成されたものである。そして、上記取付金具8はリブ4に固着されると共に上記ボルト体がナット7に螺合されると上記ナット7と上記床支持棒22の間に介在して上記床支持棒22の上面22bに面接触するものである。これにより、ぐらつきの発生を防止して床パン支持脚で床パン1を支持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床パンを床パン支持脚により支持した床パン支持構造に関し、殊に、床支持棒を有した床パン支持脚で集合住宅用床パンを支持したユニットバスの床パン支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗い場や浴槽の床パンを床パン支持脚で部屋の床面等の構造体の底部あるいは住居や住宅等の建築物の基礎等の載置面から底上げした状態で支持して、排水トラップや配水管を配置する空間を床パンの下方に形成するユニットバス等のユニットルームがある。そして、上記ユニットルームの床パンは本体の下面の略全面に形成された格子状のリブにより補強されている。そして、上記リブの一部には下方に開口した埋込穴を有し他の部位より肉厚が厚い保持部が形成されており、上記保持部の埋込穴には内側にねじ孔の形成されたナットが埋設されている。そのため、上記ナットと保持部が床パン支持脚を取り付けるボルト受け部となっている。つまり、上記ボルト受け部に床パン支持脚の上部に突設されたボルト体を螺合させることで、床パンが床パン支持脚に支持されるものである。
【0003】
更に、上記床パンは、上記保持部の埋込穴に上記ナットの略全体が埋め込まれたものと、上記埋込穴にナットの上方側の一部が埋め込まれ残りを保持部の下端より下方に突出させたものと、に大きく二つに分けられる。詳しくは、一階設置等の建築の基礎を用いる載置面と床パンの下面の間が広く高さ調整部を床支持棒で延長した床パン支持脚を用いる戸建用床パンと、集合住宅等で一階以外に設置する階上設置や専用架台設置等の載置面と床パンの下面の間が狭く床支持棒による延長が不要であり高さ調整部だけの床パン支持脚を用いる集合住宅用床パンと、がある。なお、上記床パン支持脚の高さ調整部は、例えば、図4(a)に示すように、外周にねじ山を有したボルト体を本体とし上記本体下端を載置面等に載置する載置部としたアジャスターボルト20であり、上記ボルト体の螺合位置で床パン1の高さを調節すると共に、上記本体に螺合させたロックナット21で床パン1を調整した高さにロックするものである。また、床支持棒22は、例えば、図4(b)に示すように、外径寸法S2が上記ナット7の外径より大きい円柱である。そして、上記円柱の上面22bの円の中心にはアジャスターボルト20の本体と略同径のボルト体である連結ボルト23が上方に突出して設けられており、円柱の下面22aにはボルト受け部5のナット7と略同径の支持ナット24が設けられている。つまり、床支持棒22の下面22aの支持ナット24にアジャスターボルト20を螺合させることで、ボルト受け部5に螺合させる床パン支持脚のボルト体が上記床支持棒22の連結ボルト23となると共に、床パン支持脚の長さが床支持棒22の柱長分延長されるものである。
【0004】
上記戸建用床パン1aは、図5に示すように、保持部6の埋込穴6bにナット7の略全体が埋め込まれており、ナット7の下面7aと保持部6の平らな下面6aを略面一にしてボルト受け部5の下面を構成している。そのため、上記ボルト受け部5の下面が上記床支持棒22の上面22bと略同じ寸法S2となっており、床パン1aを床パン支持脚で支持した際にボルト受け部5の下面に床支持棒22の上面22bの略全体が面接触して、床パン1にぐらつきが生じることを防止している。特に、保持部にナットを埋め込む際に上記ナットと保持部の下面を面一に揃える必要があり、特許文献1のようにフランジ部を有したナットを用いてナットの保持部内への落ち込み等による埋込位置のばらつきを防止したものがある。これは、ナットの下端にフランジ部を溶接等により固着一体化すると共に、フランジ部を保持部の下端に密着させることでナットの埋込位置を一定に揃えるものであり、床パンの荷重を確実に保持部の下端とナットの下端の両方から床支持棒にかかるようにしたものである。つまり、床支持棒の上面を保持部の下面とナットの下面の両方に確実に面接触させて、ナットの埋込位置のばらつきにより、床支持棒の上面とボルト受け部の下面の接触面積が減少して支持強度が低下することを防止すると共に、接合破壊等によるボルト受け部の音鳴りを防止している。
【0005】
また、上記集合住宅用床パン1bでは、図6に示すように、載置面と床パン1の下面の間が狭いため、ぐらつきが生じ難く且つボルト受け部5のナット7に直接アジャスターボルト20を螺合させたものとなっている。そのため、集合住宅用床パン1bの保持部6はナット7の上方側の一部を保持しており、戸建用床パン1aの保持部6より下方への突出量が小さく、集合集宅用床パン1bの生産コストが戸建用床パン1aの生産コストより安価となっている。詳しくは、床パン1が本体3とリブ4と保持部6を樹脂成形により一体で形成された床パン成形体2となっており、保持部6はナット7の一部あるいは全部を無理嵌めや打ち込み等により埋込穴6bに埋設するためリブ4に比べて肉厚の厚くヒケ等による形状誤差を生じ易く成形性が悪い部位となっている。そのため、上記二つの床パン1の生産コストの差は、床パン成形体2成形時の保持部6の突出量の差による樹脂消費量の違いに加えて、保持部6の成形性の良し悪しによる違いも影響しており、集合住宅用床パン1bが戸建用床パン1aより安価なものとなっている。更に、上記集合住宅用床パンが戸建用床パンより安価であるため、載置面と床パンの間が広く高さ調整部(アジャスターボルト)だけでは長さが足りない際に、コンクリートブロックを床パン支持脚の下方に配置し高さ調整部だけで施工可能な高さに嵩上げすることで、集合住宅用床パンを使用可能とし施工コストを低減することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−202387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、安価な集合住宅用床パンは保持部の突出量を抑えたことで、ボルト受け部の最下端がナットの下面だけとなっており、集合住宅用床パンに床支持棒を有した床パン支持脚を取り付けると、床支持棒の上面とボルト受け部の接触面積が足らずぐらつきを生じてしまい、床支持棒を有した床パン支持脚で床パンを支持することができないものとなっている。
【0008】
つまり、集合住宅の全戸を纏めて施工する際に、載置面と床パンの間が広く床パン支持脚に床支持棒が必要な一階用に高価な戸建用床パンを用い、床支持棒が不要な他の階層に安価な集合住宅用床パンを用いており、集合住宅の施工時に二種類の床パンを準備する必要がある。このとき、上記戸建用床パンは一階以外の他の階層にも使用できると共に、床パンの裏側に位置するボルト受け部の形状差でしか区別が付かないため、誤って他の階層に戸建用床パンを使用してしまうことがある。そして、戸建用床パンを他の階層に使用してしまうと、一階の施工時に戸建用床パンが不足してしまい施工が中断したり、戸建用床パンの追加使用により施工コストが増加したりという問題がある。
【0009】
更に、特許文献1のように溶接等の接合によりフランジ部をナットに固着一体化させたものでは、接合したフランジ部の下面を平らにする後加工が必要であると共に、埋込時の衝撃で接合が外れて床パンが使用不能になることもあり、生産性及び施工性が悪く且つコストも高いものである。そして、上記ナットの埋め込みを工場等で現場への搬入前に行うため、フランジ部の有無でナットの異なる二種類の床パンを施工現場に持ち込むと、戸建用床パンと集合住宅用床パンの識別と同様に、床パン下面のボルト受け部の形状差で判断するため、誤使用により施工が中断したり、高価なフランジ付床パンの追加使用により施工コストが増加したりするという問題もある。
【0010】
また、載置面と床パンの間が広くコンクリートブロックで床パン支持脚を嵩上げして床支持棒を用いずに集合住宅用床パンを施工するものでは、上記コンクリートブロックを穴埋めして補強した状態で使用するため、コンクリートブロックの運搬や施工現場での位置調整時に施工作業者の負担が大きいという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は上記事情に鑑みて発明したものであり、床パンと床パン支持脚の接触面積を増すと共に、床パンの荷重をリブとナットに分散させて、集合住宅用床パンに床支持棒を有した床パン支持脚を使用可能とすることで、低コストで且つ施工性を向上させた床パン支持構造を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の床パン支持構造は以下の構成を特徴としている。請求項1に係る発明は、床パン1を取付金具8を介して床パン支持脚に支持させたものである。そして、上記床パン1は、上記床パン1を補強するリブ4と、上記床パン支持脚を取り付けるナット7を保持する保持部6と、が下面に一体で突設されており、上記ナット7は上部が上記保持部6に埋設されると共にナット7の下面7aを保持部6の下端より下方に突出させたものである。また、上記床パン支持脚は、上記ナット7の下面7aより広い上面22bを有した床支持棒22と、上記床支持棒22の下端に取り付けられ床パン1の高さを調整する高さ調整部と、上記床支持棒22の上面22bの中央から上方に突出した連結ボルト23と、からなるものである。また、上記取付金具8は、上記ナット7のねじ孔と同径あるいは上記ねじ孔より大径の貫通孔10を有した板状の本体部9と、上記取付金具8を上記リブ4に固着する固着部と、からなるものである。そして、上記ナット7のねじ孔に上記貫通孔10を連通させ且つ上記ナット7の下面7aに上記本体部9の上面9bを当接させて上記取付金具8が上記固着部により上記リブ4に固着されると共に、上記本体部9の下面9aに上記床支持棒22の上面22bを面接触させて上記連結ボルト23が上記ナット7に取り付けられて上記ナット7と上記床支持棒22の間に上記本体部9を介在させて上記床パン1を上記床パン支持脚に支持させるものである。
【0013】
このような構成としたことで、床パン支持脚に対する床パン1の接触面積が増すと共に、床パン1の荷重がナット7とリブ4に分散されて床パン支持脚にかかり、ぐらつきを生じることなく床パン支持脚で床パン1を支持することができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、床パン1を取付金具8を介して床パン支持脚に支持させたものである。そして、上記床パン1は、上記床パン1を補強するリブ4と、上記床パン支持脚を取り付けるナット7を保持する保持部6と、が下面に一体で突設されており、上記ナット7は上部が上記保持部6に埋設されると共にナット7の下面7aを保持部6の下端より下方に突出させたものであるい。また、上記床パン支持脚は、上記ナット7の下面7aより広い上面22bを有した床支持棒22と、上記床支持棒22の下端に取り付けられ床パン1の高さを調整する高さ調整部と、上記床支持棒22の上面22bの中央から上方に突出した連結ボルト23と、からなるものである。また、上記取付金具8は、上記ナット7の外形と同形の貫通孔10を有した板状の本体部9と、上記取付金具8を上記リブ4に固着する固着部と、からなるものである。そして、上記ナット7の下面7aに上記本体部9の下面9aを面一にさせて上記取付金具8が上記固着部により上記リブ4に固着されると共に、上記ナット7の下面7aに上記床支持棒22の上面22bを面接触させて上記連結ボルト23が上記ナット7に取り付けられ、上記床支持棒22の上面22bに上記本体部9の下面9aを面接触させて上記床パン1を上記床パン支持脚に支持させるものである。
【0015】
このような構成としたことで、床パン支持脚に対する床パン1の接触面積が増すと共に、床パン1の荷重がナット7とリブ4に分散されて床パン支持脚にかかり、ぐらつきを生じることなく床パン支持脚で床パン1を支持することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記のように、本発明の床パン支持構造は、集合住宅用床パンの下方に取付金具を取り付けたことで、取付金具により床パン支持脚の床支持棒に対する床パンの接触面積が増すと共に、床パンの荷重をリブとナットに分散して床パン支持脚にかけることができる。そのため、載置面と床パンの間が広く高さ調整部だけでは長さの足りない施工現場において、穴埋めしたコンクリートブロックを使用せずに、床支持棒を有した床パン支持脚を使用しても、集合住宅用床パンにぐらつきが発生することなく支持することができる。つまり、載置面と床パンの下面の間の距離の大小に関わらず、高価な戸建用床パンや施工作業者負担の大きいコンクリートブロックを使用せずに、安価な集合住宅用床パンを使用してユニットルームを施工できて、施工コストを削減することができると共に、施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の取付金具を備えた床パンの(a)ボルト受け部周辺の一部を切断した正面図、(b)床パン支持脚を取り付けた際の説明図である。
【図2】同上の床パンの下面の斜視図である。
【図3】同上の取付金具の(a)正面図、(b)下面図、(c)側面図である。
【図4】床パン支持脚の(a)アジャスターボルトの斜視図、(b)床支持棒の斜視図である。
【図5】従来の戸建用床パンの(a)ボルト受け部周辺の一部を切断した正面図であり、(b)床パン支持脚を取り付けた際の説明図である。
【図6】従来の集合住宅用床パンの(a)ボルト受け部周辺の一部を切断した正面図であり、(b)床パン支持脚を取り付けた際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の床パン支持構造の実施形態について説明する。なお、以下の本発明の説明において、従来技術で前述した構成と同様の構成の説明は省略し、本発明の特徴及び従来技術との差異点を記載する。
【0019】
本発明の床パン支持構造を備えたユニットルームは洗い場と浴槽を備えたユニットバスであり、上記ユニットバスの底部である浴槽設置面や洗い場の床面は樹脂製の床パン成形体2の上面3bで構成されている。そして、上記床パン成形体2は下方側に設けたボルト受け部5のナット7に床パン支持脚を取り付けることで、構造体の底部等の載置面から持ち上げた状態で床パン1が支持されて、ユニットルームの下方に収納部や配管等を配置する空間を形成するものである。
【0020】
そして、上記床パン支持脚は、上記ボルト受け部5のナット7の下面より広い面積の上面22bを有する円柱状の床支持棒22と、上記床支持棒22の上面22bの円の中心から上方に突出した連結ボルト23と、上記床支持棒22の下端の支持ナット24に螺合したアジャスターボルト20と、からなるものである。なお、上記連結ボルト23は床パン支持脚を床パンに取付可能であれば、ナット7に挿通するとナット7より上方に上端が位置すると共に上方に位置した上端が大径に開き抜け止めとなる係止ピン等の軸体であってもよい。
【0021】
また、上記床パン成形体2は、図1に示すように、上記上面3b及び下面3aを有した板状の本体3と、本体3の下面3aから突出し本体3を補強する格子状のリブ4と、上記ナット7を保持する保持部6と、からなるものである。上記保持部6は下方に開口した埋込穴6bを有しており、上記埋込穴6bに上記ナット7の上方側の一部が埋め込まれた状態でナット7を保持しており、上記床パン支持脚を螺合させて取り付けるボルト受け部5を上記ナット7と保持部6とで構成されている。そして、上記ナット7は保持部6の下面6aより下方にナット7の下面7aが位置したものとなっており、本例の床パン1は、図2に示すように、保持部6からナット7の突出した集合住宅用床パン1bである。
【0022】
また、図3に示すように、上記集合住宅用床パン1bはねじやビス等の固定具(特に図示しない)を用いることで下方側に取付金具8を選択的に取り付けることができるものとなっている。つまり、集合住宅用床パン1bを所定の高さで載置面に支持する際に、アジャスターボルト20では長さが足りない場合と、アジャスターボルト22で長さが足りる場合と、で集合住宅用床パン1bに取付金具8を取り付けるか否かを施工現場で選択できるものとなっている。
【0023】
上記取付金具8は、ナット7のねじ孔と略同径の貫通孔10を略中央に備えた矩形状の板である本体部9と、本体部9の板の両側の端辺から夫々延設された固着片11と、を一体で有したものである。取付金具8は本体部9の板面の一方である上面9bをボルト受け部5のナット7の下面7aに当接した状態で、上記固定具により固着片11をリブ4に固定することで取り付けるものである。
【0024】
詳しくは、上記本体部9が略正方形状の板であり、当該板の外寸S1が円柱形状である床支持棒22の外径寸法S2より大きいあるいは略同じとなっている。そのため、本体部9の中央に位置した貫通孔10をナット7のねじ孔に同芯で連通させて、本体部9の上面9aをボルト受け部5のナット7の下面7aに当接すると、本体部9がナット7の下面7aを覆い隠すものとなっている。
【0025】
そして、上記本体部9でナット7の下面7aを覆い隠したことで、ボルト受け部5に床支持棒22を取り付けると、ボルト受け部5の下方に位置した取付金具8に床支持棒22の上面22bを当接されるものとなっている。つまり、取付金具8は本体部9がナット7と床支持棒22に挟まれると共に、本体部9の外寸S1が床支持棒22の外径S2と略同じ面積あるいは外径S2より大きいため、本体部9の下面9aが床支持棒22の上面22bの略全体に面接触するものである。
【0026】
また、取付金具8の固着片11は本体部9の平行な二つの端辺から夫々延設されており、上記二つの固着片11は上記二つの端辺に直交し且つ貫通孔10の中心を通る直線上に位置している。そして、各固着片11は、リブ4と略同じ厚さの幅を有し本体部9と略面一の基部12と、該基部12の延設方向に沿った側辺の一方から基部12に直交して上方へ立ち上がった壁部13と、を有したL字形状のものである。
【0027】
各固着片11の上記壁部13は基部12側の面をリブ4の側面に当接する当接面とすると共に、上記当接面に直交して貫通した挿通孔14を有しており、上記挿通孔14にねじやビスの軸部を挿通し当接面の裏面にねじやビスの頭部するものである。つまり、固着片11は、上記当接面をリブ4に当接して、挿通孔14を介して固定具をリブ4に取り付けることで、取付金具8をリブ4に固定するものである。
【0028】
そして、各固着片11は互いに異なる側辺に壁部13を有しており、図3(c)に示すように上記延設方向に視て固着片11の壁部13は基部12を挟んで当接面が向き合う配置となっている。詳しくは、夫々の固着片11が床支持棒22をナット7に螺合させる際の床支持棒22の回転方向の前方側に上記当接面を有しており、床支持棒22の螺合時に取付金具8が床支持棒22に共回りしてリブ4から外れることを防止している。
【0029】
そのため、集合住宅用床パン1bの荷重は、ボルト受け部5のナット7を介して本体部9にかかるものと、リブ4から固着片11を介して本体部9にかかるものと、に分散されている。つまり、集合住宅用床パン1bの荷重はナット7とリブ4の両方に分散されて取付金具8にかかると共に、取付金具8を介して上記集合住宅用床パン1bの荷重が床支持棒22にかかるものとなっている。なお、上記リブ4の下端とナット7の下面7aが略面一となっており、基部12の上面にリブ4の下端が当接しているが、リブ4は上記下端がナット7の下面7aより上方に位置し基部12の上面に当接しないものであってもよい。もちろん、取付金具8は鉛直方向に沿った直線上で上記ナット7及び床支持棒22の両方に当接し上記ナット7と床支持棒22の間に本体部9が介在し本体部9の下面9aと床支持棒22の上面22bの接触面積がナット7の下面7aより大きいものであれば、貫通孔10がナットの7ねじ孔より大径で本体部9の上面9bがナット7の下面7aの一部に当接するものであってもよい。
【0030】
このように、取付金具8を集合用床パン1に取り付けたことで、床支持棒22の上面22bに対する床パン1の接触面積が増しており、床支持棒22を有した床パン支持脚で集合住宅用床パン1bを支持しても、ぐらつきが生じないものとなっている。そのため、載置面と床パン1の下面の間の距離が広くアジャスターボルト20だけでは床パン支持脚の長さが足りない際に、穴埋めしたコンクリートブロックや高価な戸建用床パン1aを使用せずに、ユニットルームを構成することができると共に、施工現場でボルト受け部5の形状から二種類の床パン1を識別する作業を不要にできる。
【0031】
つまり、載置面と床パン1の間の距離の大小に関わらず、安価な集合住宅用床パン1bだけで集合住宅の全戸のユニットルームを施工できて、施工コストを削減することができると共に、施工現場での施工性を向上することができる。更に、使用する床パン1が一種類となったことで、床パン1の生産コストを削減できると共に、在庫管理においても複数の床パン1を分別保管するスペースを不要にできて、管理コストも安価に抑えることができる。
【0032】
また、固着片11を夫々リブ4の側面にねじやビス等の固定具で固定するため、リブ4やボルト受け部5に変更を加えずに従来の集合住宅用床パン1bを使用できると共に、取付金具8を容易にリブ4に固定できて、施工性の良いものとなっている。そして、取付金具8が集合住宅用床パン1bに選択的に取り付けられる別体のものであるため、施工現場で床支持棒22を用いるか否かに応じて取付金具8をリブ4に取り付けるか否かを選べるものとなっている。つまり、載置面と床パン1の下面の間が狭くアジャスターボルト20を直接ボルト受け部5に取り付ける際に、取付金具8を使用せずに床パン1の施工を行え、床支持棒22を用いずに床パン1を支持する際の施工コストの増加を防止している。
【0033】
また更に、上記取付金具8は所定の形状に打ち出した一枚の金属板にプレス加工等による孔開口及び曲げ加工を行うことで容易に形成できるため、量産性が高く且つ生産コストが安価なものとなっている。そのため、戸建用床パン1aを生産し使用するより、取付金具8を生産し集合住宅用床パン1bに選択的に使用することで、生産コストや在庫管理コストや施工コスト等を低減できて、総コストを安価に抑えることができる。そして、固着片11の壁部13を曲げ加工等で形成されるため、溶接や接着等による接合部がなく、運搬時の外部接触等の衝撃による破損を防止できて、施工性が良いものとなっている。
【0034】
なお、取付金具8は金属製のものが施工現場で基部12と壁部13の成す角度を施工作業者が容易に変更調整できて好ましいが、床支持棒22を取付可能な強度を有するものであれば、セラミックスや樹脂あるいは複合材料で生産したものであってもよい。もちろん、取付金具8は、本体部9を矩形状とせずに円形状や楕円形状としたものや、壁部13を基部12の両側辺に設けリブ4の両側を固着片11で挟持して取り付けるもの等であってもよい。ましてや、固着片11が爪や突起等の係止部を備え固定具を用いずに取付金具8をリブ4に固定できるものであってもよい。そして、床支持棒22は多角形状の棒であってもよく、床支持棒22の下面22aに直接ねじ孔を設け支持ナット24を床支持棒22と一体で形成したものであってもよい。
【0035】
また、他例として、貫通孔10の開口をナット7の外形と略同形状の六角形で形成し、ナット7を貫通孔10内に納めた状態で取付金具8を集合住宅用床パン1bに取り付けるものもある。詳しくは、本体部9が六角形に開口した貫通孔10を板の略中央に有しており、床パン1の下方に取付金具8を取り付けると、貫通孔10内に上記ナット7の下端側が収納される。そして、上記貫通孔10内に収納されたナット7は下端側の外周を上記本体部9の貫通孔10の周面を形成する部位に当接すると共に、ナット7の下面7aと本体部9の下面9aを略面一に位置して、上記ナット7の下面7aと上記本体部9の下面9aを夫々床支持棒22の上面22bに面接触させたものである。
【0036】
つまり、本体部9の下面9aとナット7の下面7aの両方の下面を床支持棒22の上面22b全体に面接触する集合住宅用床パン1bの下面としたものである。そのため、本体部9が床支持棒22に面接触する分だけ床支持棒22に対する集合住宅用床パン1bの接触面積が増しており、ぐらつきの発生を防止して床支持棒22を有した床パン支持脚で集合住宅用床パン1bを載置面に支持することができるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 床パン
8 取付金具
20 アジャスターボルト
22 床支持棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床パンを取付金具を介して床パン支持脚に支持させた床パン支持構造であって、上記床パンは、上記床パンを補強するリブと、上記床パン支持脚を取り付けるナットを保持する保持部と、が下面に一体で突設されており、上記ナットは上部が上記保持部に埋設されると共にナットの下面を保持部の下端より下方に突出させたものであり、上記床パン支持脚は、上記ナットの下面より広い上面を有した床支持棒と、上記床支持棒の下端に取り付けられ床パンの高さを調整する高さ調整部と、上記床支持棒の上面の中央から上方に突出した連結ボルトと、からなるものであり、上記取付金具は、上記ナットのねじ孔と同径あるいは上記ねじ孔より大径の貫通孔を有した板状の本体部と、上記取付金具を上記リブに固着する固着部と、からなるものであり、上記ナットのねじ孔に上記貫通孔を連通させ且つ上記ナットの下面に上記本体部の上面を当接させて上記取付金具が上記固着部により上記リブに固着されると共に、上記本体部の下面に上記床支持棒の上面を面接触させて上記連結ボルトが上記ナットに取り付けられ、上記ナットと上記床支持棒の間に上記本体部を介在させて上記床パンを上記床パン支持脚に支持させるものであることを特徴とする床パン支持構造。
【請求項2】
床パンを取付金具を介して床パン支持脚に支持させた床パン支持構造であって、上記床パンは、上記床パンを補強するリブと、上記床パン支持脚を取り付けるナットを保持する保持部と、が下面に一体で突設されており、上記ナットは上部が上記保持部に埋設されると共にナットの下面を保持部の下端より下方に突出させたものであり、上記床パン支持脚は、上記ナットの下面より広い上面を有した床支持棒と、上記床支持棒の下端に取り付けられ床パンの高さを調整する高さ調整部と、上記床支持棒の上面の中央から上方に突出した連結ボルトと、からなるものであり、上記取付金具は、上記ナットの外形と同形の貫通孔を有した板状の本体部と、上記取付金具を上記リブに固着する固着部と、からなるものであり、上記ナットの下面に上記本体部の下面を面一にさせて上記取付金具が上記固着部により上記リブに固着されると共に、上記ナットの下面に上記床支持棒の上面を面接触させて上記連結ボルトが上記ナットに取り付けられ、上記床支持棒の上面に上記本体部の下面を面接触させて上記床パンを上記床パン支持脚に支持させるものであることを特徴とする床パン支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−94326(P2011−94326A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247048(P2009−247048)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】