説明

床下構造体用枠体

【課題】枠材とコーナ連結部材との連結部に段差が生じることがなく、かつ、金属製の枠材の端面の角部に手足が引っ掛からないようにした床下構造体用枠体を提供すること。
【解決手段】床面構成部材Wの上面を覆うフランジ部21を備えた金属製の枠材2と、該枠材2を連結して矩形状の枠体を形成する、床面構成部材Wの上面を覆うフランジ部31を備えた合成樹脂製のコーナ連結部材3とからなり、フランジ部21を含む枠材2の端面20とフランジ部31を含むコーナ連結部材3の端面30とを突き合わせて連結するとともに、突き合わせるフランジ部21を含む枠材2の少なくとも上部の端面20を上向きの傾斜面20Aに、フランジ部31を含むコーナ連結部材3の少なくとも上部の端面30を下向きの傾斜面30Aに、それぞれ形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下構造体用枠体に関し、特に、金属製の枠材の端面の角部に手足が引っ掛からないようにした床下構造体用枠体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床下収納庫や床下点検口(以下、「床下構造体」という。)に用いられる枠体は、床材の方形に開口した床開口部の周縁や、床開口部を覆う蓋材(以下、床材及び蓋材を総称して「床面構成部材」という。)の上面を覆うフランジ部を備えた金属製の枠材を連結して構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
この床下構造体用枠体は、枠材の端部を平面視して45°に切断し、切断面同士を突き合わせた状態で溶接等の接合手段を用いて矩形状の枠体を形成するようにしているが、端部を正確に45°に切断する必要があるため、手数を要するとともに、切断部分の材料が無駄になるという問題があった。
この問題に対処するものとして、枠材同士を、コーナ連結部材を介して連結するようにした床下構造体用枠体が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この床下構造体用枠体は、金属製の枠材及び合成樹脂製のコーナ連結部材のそれぞれに床面構成部材の上面に当接するフランジ部を形成し、フランジ部を含む端部同士を突き合わせ、コーナ連結部材に形成した嵌合片を、枠材に形成した被嵌合部に嵌合して枠材を連結して床下構造体用枠体を構成するようにしている。
【0003】
しかし、コーナ連結部材の端面に枠材の端面を単に当接させ、嵌合片を被嵌合部に嵌合させて連結しただけの状態であるため、枠材とコーナ連結部材とが上下方向にズレると、金属製の枠材のエッジ部分が表面に露出し、手足を引っ掛けたり怪我を負ったりする場合がある。
そのため、コーナ連結部材に、枠材のフランジ部の端面上部を覆う覆い片を設け、金属製の枠材の端部の露出を防止するようにした床下構造体用枠体が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
ところで、コーナ連結部材に覆い片を設けた床下構造体用枠体では、金属製の枠材の端部の露出を防止することができるものの、覆い片と枠材の表面との間で段差が生じ、切り傷等の怪我を負うことはないものの、手足が引っ掛かる場合があるとともに、見栄えが悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2005−120756号公報
【特許文献2】特開平9−310479号公報
【特許文献3】特開2010−116738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の床下構造体用枠体の有する問題点に鑑み、枠材とコーナ連結部材との連結部に段差が生じることがなく、かつ、金属製の枠材の端面の角部に手足が引っ掛からないようにした床下構造体用枠体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の床下構造体用枠体は、床面構成部材の上面を覆うフランジ部を備えた金属製の枠材と、該枠材を連結して矩形状の枠体を形成する、床面構成部材の上面を覆うフランジ部を備えた合成樹脂製のコーナ連結部材とからなる床下構造体用枠体において、フランジ部を含む枠材の端面とフランジ部を含むコーナ連結部材の端面とを突き合わせて連結するとともに、突き合わせるフランジ部を含む枠材の少なくとも上部の端面を上向きの傾斜面に、フランジ部を含むコーナ連結部材の少なくとも上部の端面を下向きの傾斜面に、それぞれ形成してなることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記傾斜面を、枠材及びコーナ連結部材の上面から高さ方向の寸法の5〜50%に亘って形成し、それより下方の端面を鉛直面に形成することができる。
【0009】
また、枠材の上面と傾斜面のなす角度を100°〜150°に、コーナ連結部材の上面と傾斜面のなす角度を80°〜30°に設定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の床下構造体用枠体によれば、突き合わせるフランジ部を含む枠材の少なくとも上部の端面を上向きの傾斜面に、フランジ部を含むコーナ連結部材の少なくとも上部の端面を下向きの傾斜面に、それぞれ形成することにより、枠材とコーナ連結部材は、上向きと下向きの傾斜面となっている端面同士が当接し、枠材とコーナ連結部材の連結部に段差が生じず、また、金属製の枠材の端面の角部の角度、すなわち、枠材の上面と傾斜面のなす角度が鈍角となることから、金属製の枠材の端面の角部に手足が引っ掛かることをなくすことができる。
【0011】
また、前記傾斜面を、枠材及びコーナ連結部材の上面から高さ方向の寸法の5〜50%に亘って形成し、それより下方の端面を鉛直面に形成することにより、枠材とコーナ連結部材との端面を突き合わせたときに、枠材とコーナ連結部材との連結部の70〜95%を鉛直面として連結することができ、枠材とコーナ連結部材との支持力を向上させることができるとともに、傾斜面を形成するために必要な枠材の切断量を少なくし、無駄となる材料の発生を少なくすることができる。
【0012】
また、枠材の上面と傾斜面のなす角度を100°〜150°に、コーナ連結部材の上面と傾斜面のなす角度を80°〜30°に設定することにより、枠材とコーナ連結部材との上下方向のズレを確実に防止するとともに、下向きの傾斜面となるコーナ連結部材の上部端面の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の床下構造体用枠体の一実施例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のX−X断面の拡大図である。
【図2】同床下構造体用枠体の枠体とコーナ連結部材との連結部を示す斜視図である。
【図3】同床下構造体用枠体を床面構成部材である床材に配設し、床下収納庫の収納庫本体を載置した状態を示す、一部切り欠き断面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の床下構造体用枠体の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1〜図3に、本発明の床下構造体用枠体の一実施例を床下収納庫に適用した例を示す。
この床下構造体用枠体1は、床面構成部材Wとしての床材の方形に開口した床開口部の周縁の上面を覆うフランジ部21を備えた金属製の枠材2と、該枠材2を連結して矩形状の枠体を形成する、床面構成部材Wとしての床材の方形に開口した床開口部の周縁の上面を覆うフランジ部31を備えた合成樹脂製のコーナ連結部材3とからなり、フランジ部21を含む枠材2の端面20とフランジ部31を含むコーナ連結部材3の端面30とを突き合わせて連結するとともに、突き合わせるフランジ部21を含む枠材2の少なくとも上部の端面20を上向きの傾斜面20Aに、フランジ部31を含むコーナ連結部材3の少なくとも上部の端面30を下向きの傾斜面30Aに、それぞれ形成するようにしている。
【0016】
床下構造体用枠体1は、本実施例に示すように、床材の方形に開口した床開口部に設けるもののほか、開口した床開口部を塞ぐ蓋材に設けるものとすることができる(図示省略。この場合、フランジ部21は、外向きに設けられる本実施例と異なり、内向きに設けられる。)。
【0017】
枠材2は、アルミニウム等の金属を押出成形によって製造した長尺部材を、長手方向に所望の長さに切断して形成されるもので、床面構成部材Wが床材の場合には、床面構成部材Wの上面を覆うフランジ部21と、フランジ部21から下方に向かって延びる立設面22と、立設面22からフランジ部21とは逆方向で水平に延びる、床開口部を塞ぐ蓋材が載置される水平面23と、さらに、水平面23から下方に向かって延びる第2の立設面24及び第2の立設面24から水平面23と同方向に延びる第2の水平面25とから構成される。
水平面23は、立設面22の反フランジ部側の端部から延設するようにしても構わないが、本実施例においては、立設面22の中間位置から延設し、立設面22の反フランジ部側の端部は、第2の水平面25の位置まで延設されている。
第2の水平面25には、床開口部に配設される、有底箱状の収納庫本体4の開口端縁部40から外側に延設したフランジ41が載置される。
なお、床面構成部材Wが床開口部を塞ぐ蓋材の場合には、第2の立設面24及び第2の水平面25を設ける必要はなく、水平面23はフランジ部21と同方向に延設し、枠材2を断面コ字状に形成して、蓋材を、立設面22から延設されるフランジ部21と水平面23とによって挟み込むように構成する。
【0018】
また、枠材2には、後述するコーナ連結部材3に形成されている嵌合片36が嵌合する嵌合溝26を形成する。
嵌合溝26の形成個所は、特に限定されるものではないが、本実施例においては、立設面22の裏面側に形成する。
具体的には、立設面22の裏面との間で、嵌合片36の厚みよりも若干大きくなる隙間(溝部)を形成するように、突設片26a、26aを枠材2の全長に亘って設けることによって嵌合溝26を形成する。本実施例においては、上側の突設片26aは、フランジ部21の下面から突設し、下側の突設片26aは、L字状の屈折片として立設面22の下方から突設するようにしている。
【0019】
また、嵌合溝26を形成する立設面22には、後述する嵌合片36から突出して設けた係止爪36aが係止する係止孔22bを開口する。
嵌合片36が嵌合溝26に嵌合され、係止爪36aが係止孔22bに係止されているときは、枠材2からコーナ連結部材3が外れることを防止する。
【0020】
そして、フランジ部21を含む枠材2の少なくとも上部の端面20を上向きの傾斜面20Aとなるように形成している。
この傾斜面20Aの形成範囲は、特に限定されるものではないが、本実施例においては、枠材2の上面から高さ方向の寸法の5〜50%に亘って形成し、それより下方の端面20を鉛直面20Bとなるように形成するようにしている。
【0021】
コーナ連結部材3は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂により形成し、両端部に枠材2の端面20が当接する端面を有するもので、図1(a)及び図2に示すように、平面視L字状をなし、枠材2と同様、床面構成部材Wが床材の場合には、床面構成部材Wの上面を覆うフランジ部31と、フランジ部31から下方に向かって延びる立設面32と、立設面32からフランジ部31とは逆方向で水平に延びる、床開口部を塞ぐ蓋材が載置される水平面33と、さらに、水平面33から下方に向かって延びる第2の立設面34及び第2の立設面34から水平面33と同方向に延びる第2の水平面35とから構成される。
第2の立設面34及び水平面33は、床面構成部材Wが床開口部を塞ぐ蓋材の場合には、枠材2の第2の立設面24及び第2の水平面25と同様に設ける必要はない。
【0022】
また、コーナ連結部材3には、枠材2の嵌合溝26に嵌合する嵌合片36が端面30から突出して形成されている。
嵌合片36には、枠材2の立設面22に形成した係止孔22bに係止する、嵌合片36の表面よりも突出する係止爪36aを形成するようにしている。
この係止爪36aは、嵌合片36の表面から出没可能となるように構成するものであれば、特に限定されるものではないが、本実施例においては、嵌合片36の表面をコ字状に切り欠き、嵌合片36と繋がる部分を揺動辺とし、自由端近傍に突出するように形成している。
コーナ連結部材3に形成する嵌合片36及び枠材2に形成する嵌合溝26は、コーナ連結部材3に嵌合溝を形成し、枠材2に嵌合片を形成することもでき、この場合には、係止爪を枠材2に形成する嵌合片に、係止孔をコーナ連結部材3の立設面32に形成するようにする。
【0023】
なお、嵌合片36を枠材の嵌合溝26に嵌合させ、枠材2の立設面22の外側からボルトやビス等の締結手段を用いて、床面構成部材Wに固定するようにしてもよく、この場合には、嵌合片36の係止爪36a及び枠材2の立設面22の係止孔22bを省略することができる。
【0024】
そして、フランジ部31を含むコーナ連結部材3の少なくとも上部の端面30を下向きの傾斜面30Aとなるように形成している。
この傾斜面30Aの形成範囲は、枠材2に形成する傾斜面20Aの形成範囲と同じ範囲となるように形成するもので、本実施例においては、枠材2と同様に、コーナ連結部材3の上面から高さ方向の寸法の5〜50%に亘って形成し、それより下方の端面30を鉛直面30Bとなるように形成するようにしている。
枠材2及びコーナ連結部材3に傾斜面20A、30Aを上面から高さ方向の寸法の5〜50%に亘って形成し、それより下方の端面20、30を鉛直面20B、30Bとなるように形成することよって、枠材とコーナ連結部材との連結部の70〜95%を鉛直面として連結することができ、枠材2とコーナ連結部材3との支持力を向上させることができるとともに、傾斜面20A、30Aを形成するために必要な枠材の切断量を少なくし、無駄となる材料の発生を防止することができる。
【0025】
また、枠材2及びコーナ連結部材3の傾斜面20A、30Aの角度は、金属製の枠材2の端面20が、床面構成部材Wよりも突出することがないように覆われ、かつ、枠材2とコーナ連結部材3との連結部に段差を生じさせることがないように、両端面20、30が当接するものであれば、特に限定されるものではないが、枠材2とコーナ連結部材3との上下方向のズレを確実に防止するとともに、下向きの傾斜面30Aとなるコーナ連結部材の強度を確保することができる、枠材2の上面2Uと傾斜面20Aのなす角度αを100°〜150°に、コーナ連結部材3の上面3Uと傾斜面30Aのなす角度βを80°〜30°に設定することが好ましく、特に、角度αを135°、角度βを45°とすることにより、上下方向のズレ防止と、下向きの傾斜面30Aの強度のバランスに優れたものとなる。
また、金属製の枠材2の傾斜面20Aの角度αを100°〜150°と鈍角に形成することで、枠材2の端面の角部が表面に露出しても、手足を引っ掛けることがない。
【0026】
次に、床下構造体用枠体1を組み立てて、床面構成部材Wである床材に取り付ける手順を説明する。
まず、図2に示すように、コーナ連結部材3の嵌合片36を、矢符方向に枠材2の嵌合溝26に嵌合する。
このとき、嵌合片36から突設した係止爪36aが枠材2の立設面22に開口して形成された係止孔22bに係止し、かつ、枠材2及びコーナ連結部材3のそれぞれの端面20、30が突き合わさった状態となるようにする。
【0027】
そして、図1(a)に示すように、4本の枠材2を4つのコーナ連結部材3によって連結し、平面視矩形状の床下構造体用枠体1を形成する。
【0028】
矩形状に連結された床下構造体用枠体1は、図3に示すように、床面構成部材Wである床材の開口部に配設する。
このとき、枠材2及びコーナ連結部材3のフランジ部21、31を床面構成部材Wの上面に載置するとともに、枠材2及びコーナ連結部材3の第2の水平面25、35の下面を、開口部内に固定されている補強枠5上に載置し、ボルト、ビス等の締結手段によって、床下構造体用枠体1を補強枠5に固定する。
【0029】
その後、床下収納庫の収納庫本体4の開口端縁部40から外側に延設したフランジ41を床下構造体用枠体1の第2の水平面25、35上に載置する。
【0030】
そして、水平面23、33を、フランジ部21、31と同方向に延設し、第2の立設面24、34及び第2の水平面25、35を有さない枠材2及びコーナ連結部材3を、矩形上に連結した床下構造体用枠体1によって周縁部を覆われた蓋材(図示省略)を、床下収納庫の収納庫本体4を載置した床下構造体用枠体1の水平面23、33上に載置し、床下収納庫を完成させる。
【0031】
以上、本発明の床下構造体用枠体について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の床下構造体用枠体は、枠材とコーナ連結部材との連結部に段差が生じることがなく、かつ、金属製の枠材の端面の角部に手足が引っ掛からないようにできることから、床下収納庫や床下点検口等の床下構造体用の枠体の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 床下構造体用枠体
2 枠材
20 端面
20A 傾斜面
21 フランジ部
3 コーナ連結部材
30 端面
30A 傾斜面
31 フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面構成部材の上面を覆うフランジ部を備えた金属製の枠材と、該枠材を連結して矩形状の枠体を形成する、床面構成部材の上面を覆うフランジ部を備えた合成樹脂製のコーナ連結部材とからなる床下構造体用枠体において、フランジ部を含む枠材の端面とフランジ部を含むコーナ連結部材の端面とを突き合わせて連結するとともに、突き合わせるフランジ部を含む枠材の少なくとも上部の端面を上向きの傾斜面に、フランジ部を含むコーナ連結部材の少なくとも上部の端面を下向きの傾斜面に、それぞれ形成してなることを特徴とする床下構造体用枠体。
【請求項2】
前記傾斜面を、枠材及びコーナ連結部材の上面から高さ方向の寸法の5〜50%に亘って形成し、それより下方の端面を鉛直面に形成してなることを特徴とする請求項1記載の床下構造体用枠体。
【請求項3】
枠材の上面と傾斜面のなす角度を100°〜150°に、コーナ連結部材の上面と傾斜面のなす角度を80°〜30°に設定してなることを特徴とする請求項1又は2記載の床下構造体用枠体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−193498(P2012−193498A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56117(P2011−56117)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(392034746)吉川化成株式会社 (22)