床下点検構造
【課題】大掛かりな補強を施すことなく、かつ1階床高さを大きくすることなく、分断された床下空間の相互を移動可能とする。
【解決手段】鉄筋コンクリート造の基礎スラブ10と、該基礎スラブ10の上面に設置される束20と、該束20に支持される梁30と、該梁30によって支持される床パネル36とを備えた建物における床下点検構造であって、所定の間隔を有する不連続部を設けて一直線上あるいはT字状に配置された2本の梁30と、不連続部において2本の当該梁30に架け渡された連結部材37と、束20であって、不連続部に臨む梁30の端部を支持する束20と、からなり、基礎スラブ10と連結部材37との間には点検者が移動可能な離間寸法が確保されて人通部60が形成されている。
【解決手段】鉄筋コンクリート造の基礎スラブ10と、該基礎スラブ10の上面に設置される束20と、該束20に支持される梁30と、該梁30によって支持される床パネル36とを備えた建物における床下点検構造であって、所定の間隔を有する不連続部を設けて一直線上あるいはT字状に配置された2本の梁30と、不連続部において2本の当該梁30に架け渡された連結部材37と、束20であって、不連続部に臨む梁30の端部を支持する束20と、からなり、基礎スラブ10と連結部材37との間には点検者が移動可能な離間寸法が確保されて人通部60が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下点検構造に関する。さらに詳述すると、本発明は、鉄筋コンクリート造の基礎スラブ等を備えた床下点検構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート造の布基礎を格子状に形成し基礎天端にて床を支持させた建物において、床下空間を点検するためには、各グリッド(布基礎で分断された各領域)の床面に点検口を設ける必要がある。点検口が設けられない場合には、点検者が各グリッドを行き来できるようにするため立ち上がり部に人通孔を設けることがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、立ち上り部を鉄骨梁に置き換えた基礎では、鉄骨梁を支持する部材(束等)の高さを大きくすることで、点検者による床下空間の移動を可能とすることができる(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−081904号公報
【特許文献2】特開2001−262586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、点検者が各グリッドを行き来できるようにするため立ち上がり部に人通孔を設けると、当該人通孔の周辺において大掛かりな補強が必要になるという問題がある。
【0006】
また、鉄骨梁を支持する部材の高さを大きくすると、点検者による床下空間の移動が可能になる反面、1階の床高さが大きくなりアプローチが不便になるといった問題や建物全体の高さが大きくなり斜線制限に抵触しやすくなるといった問題がある。その一方で、床の高さを抑えるために鉄骨梁の成を小さくすると、鉄骨梁の剛性が低下してしまうといった問題がある。
【0007】
本発明は、大掛かりな補強を施すことなく、かつ1階床高さを大きくすることなく、分断された床下空間の相互を移動可能とすることができる床下点検構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するべく本発明者は、基礎スラブ、束、梁、床パネルを備えた建物における床下点検構造について検討した。点検者らがグリッド間を行き来できるようにするためには人通孔が必要だが、そうすると基礎剛性ないしはその設計等に影響が及ぶ。そこで、本発明者は、いわば相反する要素であるこれらを両立することについて種々の検討を重ね、課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。
【0009】
本発明はかかる知見に基づくもので、鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上面に設置される束と、該束に支持される梁と、該梁によって支持される床パネルとを備えた建物における床下点検構造であって、所定の間隔を有する不連続部を設けて一直線上あるいはT字状に配置された2本の梁と、不連続部において2本の当該梁に架け渡された連結部材と、束であって、不連続部に臨む梁の端部を支持する束と、からなり、基礎スラブと連結部材との間には点検者が移動可能な離間寸法が確保されて人通部が形成されたことを特徴とする。
【0010】
このような床下点検構造によれば、束の高さを上げることなく、梁で分断された床下領域相互を点検者らが移動することが可能となる。
【0011】
かかる床下点検構造にあっては、連結部材の下方に着脱自在な補剛部材が掛け渡されていることが好ましい。このような構造によれば、不連続部を有する梁を通常(一般には、点検以外のとき)は梁補剛部材で連結しておくことで連続梁のように機能させ、梁のたわみを抑制することができ、梁の上に筋交等の耐力要素を設置した場合の梁の不連続による耐力の低下も抑制することができる。
【0012】
また、人通部で相互に移動可能となった2つの床下領域の一方において、その上部の床に開口が設けられて、該開口に着脱自在な蓋が設けられていてもよい。こうした場合、床下へ進入するための開口(点検口)の数を減らすことができるため、意匠、コスト等の面で有利になる。また、点検口の存在によるプランや家具レイアウトの制約も減らすことができる。
【0013】
連結部材は、中央が扁平なプレート部を含むものであることが好ましい。こうした場合、点検者らが通過する人通部の領域とくに高さを確保しやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる床下点検構造によれば、大掛かりな補強を施すことなく、かつ1階床高さを大きくすることなく、分断された床下空間の相互を移動可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】建物の施工時における最初の工程例(根切り、PC板設置、アンカーボルト設置)を示す斜視図である。
【図2】基礎スラブの配筋工程を示す斜視図である。
【図3】束をアンカーボルトに設置する工程を示す斜視図である。
【図4】鉄骨梁を設置する工程を示す斜視図である。
【図5】水平ブレースを設置する工程を示す斜視図である。
【図6】基礎スラブの外周部に板状断熱材等を設置する工程を示す斜視図である。
【図7】コンクリートを打設する工程を示す斜視図である。
【図8】梁上部躯体を設置する工程を示す斜視図である。
【図9】施工された建物の基礎の一例を示す断面図である。
【図10】水平ブレースが設置された状態の基礎の一例を示す断面図である。
【図11】火打を介して水平ブレースが設置された部分の鉄骨梁の構造例を示す平面図である。
【図12】外周束の形態例を示す斜視図である。
【図13】外周束の他の形態例を示す斜視図である。
【図14】本発明にかかる床下点検構造の形態例を示す平面図である。
【図15】人通部を含む床下点検構造の形態例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図15等に本発明の一実施形態を示す。本実施形態において例示する建物Aは、305mmの平面モジュールを有する梁勝ち工法による2階建ての鉄骨造の工業化住宅である。ただし、これはあくまで好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0018】
建物Aにおいては、基礎スラブ10、基礎スラブ10の上面に載置されて固定された束20(図3等参照)、束20で支持された梁(以下、1階床梁ともいう)30(図4等参照)、1階床梁30上に載置されて固定された柱(以下、1階柱ともいう)40(図8参照)、1階柱40の上端を連結するように配置された2階梁(図示省略)、2階梁上に配置された2階柱(図示省略)、R階大梁(図示省略)、隣接する2本の柱間に設置された耐力要素等の部材が、直交する基準線(X方向基準線、Y方向基準線)の中からそれぞれ複数選択された(モジュールの整数倍の間隔となるように設定された)通りに対応して配置されて基本架構が構成されている。さらに、建物Aにおいては、小梁が適宜架け渡され、各階梁で支持されるALC(Autoclaved Light-weight Concrete;軽量気泡コンクリート)からなる床パネルにより各階床が構成され、外周部梁を利用してALC等からなる外壁パネルや開口パネルが取り付けられて外壁が構成されている。
【0019】
本実施形態において基礎スラブ10は全面的にベタ基礎形式となっている。該基礎スラブ10においては、通りに沿った所定の幅の範囲(束20からの荷重が分散する範囲であり、例えば、束20の下フランジの端縁から45度の角度で引いた斜線(図9中の破線参照)と基礎スラブ10の底面との交点の範囲)について地反力に対抗する基礎梁とみなして配筋量が算定されている(図9、図10参照)。これ以外の領域については、地反力を受ける4辺固定のスラブとみなして配筋量が決定されている。なお、本実施形態ではベタ基礎形式の基礎スラブ10を例示しているが、このようなベタ基礎形式に限定されることはなく、例えば、通りに沿って地耐力に応じた所望の幅を有するフーチング形式とすることもできる。本実施形態の基礎スラブ10の上端のレベルは、地盤面よりも高く設定されている(図9、図10参照)。
【0020】
束20は基礎スラブ10の上面に載置されて、該基礎スラブ10の上端面から突設され、上述の1階床梁30を支持する(図4等参照)。本実施形態では、基礎スラブ10に予めアンカーボルト(アンカーフレーム)11を埋設しておき(図1等参照)、このアンカーボルト11の上端部に束20を例えばナットによって接合し、固定する(図3等参照)。束20は、柱(1階柱40)から伝達される荷重を基礎スラブ10に効率よく伝達する役割を有し、少なくとも床梁30上(通り上)に立設される1階柱40の直下に設置され、ジョイントボックス21または1階床梁30の中間部の下フランジのボルト穴を用いて接合され、1階床梁30を支持する。
【0021】
束20は、アンカーボルト11の上端部に接合される下フランジ20bと、例えばジョイントボックス21が接合される上フランジ20aと、これら両フランジ20a,20bを結合する横断面(水平断面)が例えば十字状(クロス形状のものを含む)のウェブ20cとで構成されている。上フランジ20aにはジョイントボックス21を接合するための上ボルト穴20dが設けられ、下フランジ20bには当該束20をアンカーボルト11の上端部に接合するための下ボルト穴20eが設けられている(図12、図13参照)。
【0022】
このような束20は、建物Aの外周部(すなわち外壁寄りの部分)と内周部(すなわち建物Aの内部寄りの部分)とに適宜配置される。これらのうち、外周部(外通り)において基礎スラブ10の端縁に沿って配置される束(本明細書では外周束ともいう)20は、建物外側(建物Aの外周寄りの部分)においては上フランジ20aと下フランジ20bの端縁位置が一致し、建物内側(建物Aの内部を向いた側)においては下フランジ20bが上フランジ20aよりも建物内側に向け延伸しており、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成された形状(オフセット形状)となっている(図9、図12等参照)。また、建物Aの入隅部および出隅部においては、外壁に沿った2方向について、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸し、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成されている外周束20を採用している(図3、図13等参照)。
【0023】
このようなオフセット形状の外周束20を用いることにより、基礎スラブ10のより広い範囲に荷重が分散して伝達され、1階床梁30とみなせる範囲を外周束20のオフセット方向に対応して建物内側方向にオフセットさせることができる。すなわち、本実施形態では、基礎スラブ10のうち、外周束20の下フランジ20bの当接寸法に応じた幅の範囲を地反力に対抗する梁30とみなして鉄筋量を設定しており、より具体的には、外周束20の下フランジ20bの端縁から45度の角度で引いた斜線と基礎スラブ10の底面との交点の範囲を地反力に対抗する基礎梁とみなして配筋量を算定している。したがって、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸したオフセット形状の外周束20を用いた場合、当該下フランジ20bが延伸した長さLの分(図9参照)、基礎スラブ10の底面との交点の範囲が拡大している(図10等参照)。これによれば、1階柱40から伝達される建物荷重を建物内側方向に流すことによって建物外側方向への基礎スラブの延出寸法を小さく抑えながらも建物荷重を分散して伝達させることができ、地反力に対抗する梁とみなせる幅を狭く見積もり鉄筋の過密な配置を防ぐことができる。このように構造計画上不利となることなく建物外周部における基礎スラブ10の延出寸法を小さく抑えることが可能となるから、例えば隣地境界との間に十分な離間寸法が確保されない場合であっても、排水管等の配設に支障を来たさず施工することができるようになる。さらに、このような構造は、内部の鉄骨部材の防錆のために止水処理を施す場合にも好適である。具体例を挙げれば、コンクリート打設前に予めカバー材(一例として、板状断熱材)を型枠(堰板)代わりに起立させておき、基礎スラブ10との密着度を向上させることにより、特段の止水処理を施さなくても、完全ではないにしろある程度の止水効果が期待できる状態とすることが可能である。さらには、RC部分や止水処理部分を地盤面から露出させないようにすることで、建物Aの外観が好ましくなくなるのを回避することが可能である。例えば、基礎スラブ10の下端まで覆うようカバー材(一例として、板状断熱材)を配置することで、外観上単一の材料で段差などもない、意匠的にも好ましい構成とすることが可能となる。
【0024】
また、上述のごとき外周束20に対し、該外周束20の下フランジ20bを固定するため基礎スラブ10に設置されるアンカーボルト11を、建物Aの外周通り芯(1階床梁30、1階柱40の中心位置であり、具体的には外形(水平断面の外形)略正方形の柱の中心(図心))よりも当該建物Aの内側寄りにオフセットさせてもよい。こうした場合、アンカーボルト11の位置が建物Aの内側寄りになり、アンカーボルト11からの縁空き寸法(アンカーボルト11から基礎スラブ10の端縁までの寸法)が充分に確保されるので耐久性や強度の上で好ましい。
【0025】
梁30は例えばH形鋼(I形鋼と呼ばれるような形鋼を含む)からなり、その両端には先端部がL字に屈曲しボルト穴が形成されたガセットプレート34が例えば溶接により接合されている(図4等参照)。梁30には、通り上に配置される大梁(1階床梁)のみならず、床パネルを支持するために対向する大梁間に架け渡される小梁も含まれる。なお、小梁は大梁と他の小梁との間に架け渡される場合もある。
【0026】
また、梁30の上フランジ30aおよび下フランジ30bにはモジュール柱を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている(図4等参照)。ボルト穴30dは、平面視基準線の交点上に位置するよう穿設されている。また、ウェブ30cにも他の梁30を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている。さらに、梁30のウェブ30cには所定の間隔で大径の穴(一例として、直径125mm)30eが穿設されている(図4等参照)。
【0027】
梁(1階床梁)30の端部どうしを接合する場合、本実施形態ではジョイントボックス21を用いている(図4等参照)。ジョイントボックス21は、平面視十字状のウェブ21cの上下端に正方形の上フランジ21aおよび下フランジ21bが溶接され構成されている。このジョイントボックス21に梁30を接合する場合は、梁30のガセットプレート34の2面を直交するウェブ21cの2面に当接し、ガセットプレート34の屈曲部のボルト穴及びこれに対応するジョイントボックス21のボルト穴にボルトを挿通してボルト接合する。ひとつのジョイントボックスに対し、4方向から梁30を接合することが可能である。
【0028】
また、小梁(図4中において符号30’で示す)を他の梁30の中間部に接合する際には、ガセットプレート34の屈曲部を当該中間部のウェブ30cの面に当接させ、ボルト接合する。なお、上記構成は、上階における梁30の構成と共通するものである。
【0029】
柱40は、通りと通りに直交する基準線との交点に配置され、上下端部がジョイントボックス21または梁30の中間部の上下フランジ30a,30bのボルト穴30dを用いて接合される(図8参照)。
【0030】
耐力要素41は、所定の間隔(例示すれば、610mm、915mmなど)で配置された2本の柱40の内側面にボルト接合される。耐力要素41は例えば筋交い(クロスフレーム)等で構成される(図8参照)。
【0031】
水平ブレース(補剛材)31は、1階の床構面に設置されて、コンクリート打設作業時等における梁30等の変形を抑制する(図5等参照)。床構面に設置された水平ブレース31は、そのまま建物完成後の1階床の面内剛性を確保する部材となる。このような水平ブレース31を梁30の上端付近に直接または火打35を介して取り付けることとすれば、梁30等の変形抑止効果と、基礎形成時の作業性・床下利用性とをさらに向上させることが可能である(図10、図11参照)。なお、ここで例示する水平ブレース31の他、火打梁(火打土台、火打金物)等を補剛材として用いることも可能である。
【0032】
また、1階床(図15において符号70で示す)には、床パネル(図15において符号36で示す)の大きさに対応した寸法を有するとともに開口が形成されているフレーム(図14において符号53で示す)を用いて、床下の点検を行うための床下点検口51が設けられている(図14参照)。ただし、床下空間は梁30によって細かい区画に分けられており、束20の高さは例えば100mm程度で、当該束20を高くすると高さ制限、斜線制限等の法的制限に抵触しやすくなることもあり、点検者らは梁30の下を潜り抜けることはできない。従って、区画毎に床下点検口を設ける必要が生じるが、当該床下点検口自体や蓋の金属製の縁が多くの箇所で見えることは意匠上好ましくなく、間取り上設置ができない(あるいは床下点検口の設置を優先することによって間取りの自由度が低下する)こともある。
【0033】
このような場合に対応するために、本実施形態では、一部の梁30については、その両端部を支持するのではなく、梁30を中間部分で分断して所定幅の不連続部分を設けて人通部60を形成している(図15参照)。不連続部分の幅は、少なくとも点検者が通過可能な幅である。また、分断された梁30の端部(厳密には梁30の端部と結合されるジョイントボックス21)を束20で支持するとともに、不連続部(人通部60)に連結部材37を架け渡して床パネル36を支持し得るように構成して、当該連結部材37と基礎スラブ10との間の空間(人通部60)を点検者らが通過することを可能としている(図15参照)。
【0034】
連結部材37は梁30よりも成の小さな部材である。本実施形態では、この連結部材37を、中央の扁平なプレート部37aと、該プレート部37aの両端を片持ち支持するブラケット部37bとで略アーチ状に構成している(図15参照)。なお、矩形の床パネル36の短辺を連結部材37で支持する場合(床パネル36の短辺方向に連結部材37を掛け渡し、該連結部材37によって床パネル36の一部を支持する場合)、当該連結部材37の中央部分が床パネル36の中央付近に位置するように配置することが好ましい。例を挙げつつその理由を簡単に説明すると以下のとおりである。
【0035】
すなわち、ALCからなる床パネル36は例えば610mm(=平面モジュールの2倍)の幅を有しており、一般に短辺2辺での支持を前提として鉄筋による補強がなされている。また床パネル36の短辺の両端部でそれぞれ短辺の長さのおよそ4分の1(例えば152.5mm)ずつ支持されていれば安全に支持されるように設計されている。すなわち短辺中央の部分およそ305mmの範囲が支持されなくとも安全性が確保されるように設計されている。また、プレート部の幅は床パネル36の幅(短辺の長さ)の約2分の1である。プレート部は床パネル36の支持に耐えうる強度と剛性を有していないが、ブラケット部は床パネル36の支持に耐えうる強度と剛性を備えている。従って、連結部材37の中央部分が床パネル36の中央付近に位置するように配置すれば構造的に問題なく床パネル36を支持することができる。なお、床パネル36の長辺側に位置し短辺を支持しない場合は、床パネル36の支持という意味では連結部材37は不要であるが、分断された梁の位置精度を保つ(倒れを防止する)という意味において有効に機能する。
【0036】
また、梁30の不連続部には、上述の連結部材37に加え、ボルト接合等によって着脱自在な梁30の補剛部材38を架け渡すことができる。通常(一般には、点検作業を行わないとき)はこのように構成しておくことで連結部材37と補剛部材38が協働して分断された梁30を連続梁のように機能させ、当該梁30のたわみ量を低減させることができ、また、梁30の上に、後述する筋交等の耐力要素41を設置した場合の梁分断されたことによる梁の剛性低下に伴う耐力要素41の耐力の低下も抑制することができる。また、点検が必要な場合には梁30の補剛部材38を取り外して点検を行うことができる。例えば本実施形態では、連結部材37の下方に着脱自在な補剛部材38を掛け渡している(図15参照)。詳しい図示はしていないが、補剛部材38と梁30(またはジョイントボックス21)との結合は剛な接合とされていれば剛性が大きくなって好ましい。
【0037】
また、本実施形態では、人通部60で相互に移動可能となった2つの床下領域の一方において、その上部の1階床70に床下点検口51の開口を設けている。こうした場合には、床下へ進入するための開口(床下点検口51)の数を減らすことができるので、建物Aの室内の意匠やコスト等の面で有利である。また、床下点検口51の存在によるプランや家具レイアウトの制約も減らすことができる。床下点検口51の開口には、着脱自在な蓋52が設けられている(図14、図15参照)。なお、開口が設けられる1階床70は、例えば、防湿シート、石膏ボード、合板、床仕上げ材などが積層されて形成されている(図15参照)。
【0038】
建物Aの外周部には、基礎スラブ10の端縁および外周部の梁30に沿ってカバー材が取り付けられている。本実施形態の場合、カバー材は、合成樹脂発泡体からなる板状断熱材(発泡ポリスチレンフォーム等)14、板状断熱材14の表面に塗布された樹脂モルタル等からなる。本実施形態では、板状断熱材14の上端を、梁30に係止された保持具(図示省略)にて保持し、コンクリート打設の際のコンクリートによる側圧に対し梁30に反力を持たせて対抗させるようにしている(図9、図10参照)。板状断熱材(カバー材)14は、基礎スラブ10の外周における型枠(堰板)機能を兼ねることができる。保持具は、コンクリート打設の際の仮の部材でも、恒久的な部材でもよい。なお、符号32は外壁パネルの受け金物である(図9参照)。本実施形態の受け金物32は断面が逆T字形状であり、先端が斜め下方に屈曲してシーリング材が充填できるようになっている。
【0039】
板状断熱材14は、基礎スラブ10のコンクリートの型枠(堰板)を兼ねたものであり、コンクリート打設前に予め設置される(図6参照)。したがってこの板状断熱材14の下端のレベルは基礎スラブ10の下端のレベルと同一となっている(図9等参照)。板状断熱材14を予め設置することによってコンクリートとの密着度が高まり更に基礎スラブ10の上端レベルが地盤面より高く設定されているので、建物Aの内部への水の浸入を抑制することができる。また基礎スラブ10の端縁部が露出しないので意匠的に好ましい。さらには、設備配管等を貫通させる場合、容易に加工ができるといった利点もある。
【0040】
なお、板状断熱材14と梁30との間には、板状断熱材14の上端部の建物内部側への倒れを防止する間隔保持具15が介在している。間隔保持具15としては、板状断熱材14と同じ材質の部材を採用することができる。
【0041】
続いて、建物Aの基礎の施工手順について一例を挙げつつ以下に説明する。
【0042】
まず、地盤を根伐り(根切り)し、砕石17を敷きつめ転圧する(図1参照)。根伐り底における束位置(束20が設置される位置)にPC(プレキャストコンクリート)板16を設置する(図1参照)。PC板16にアンカーボルト11の18を固定したら、該定着板18にアンカーボルト11を固定する(図1参照)。
【0043】
続いて、鉄筋12を配筋する(図2参照)。本実施形態において基礎梁とみなしている部分(通りに沿った所定の幅の範囲)には、算定された配筋量に応じて鉄筋12が密に配筋される。
【0044】
その後、束20をアンカーボルト11に設置する(図3参照)。まず、アンカーボルト11に、束20を仮支持するための下部ナットをねじ入れ、束20のレベル(高さ)等を調整する。続いて、束20の下フランジ20bのボルト孔にアンカーボルト11を挿通し、更に上部ナットをねじ入れ、束20を固定する(図9等参照)。なお、図9と図10とでは、アンカーボルト11と下フランジ20bとの接合が異なっている。すなわち、図9では、外周束20に対するアンカーボルト11の位置が図10の場合よりもオフセットしているため、アンカーボルト11が外周束20のウェブ20c(末広がり状のウェブ20cと直交しているウェブ)と干渉してしまい、図10のように下フランジ20bの下ボルト穴20eにアンカーボルト11を挿通して下フランジ20bの上からナットで締結するという方法をとることができない。そこで、このような場合には、下フランジ20bに貫通しないタップ穴を設けてこれにアンカーボルト11をねじ込んで固定するようにしている(図9参照)。
【0045】
続いて、束20の上に梁30を載置し、ボルトおよびナットを用いて固定する(図4参照)。
【0046】
次に、基礎の外周部に板状断熱材14を起立させる。さらに、板状断熱材14の外面に沿って間隔保持具15を設ける(図6参照)。
【0047】
また、人通部60が形成される部分(梁30の中間部分が分断されることによって形成された不連続部分)には、連結部材37を取り付ける(図14、図15参照)。さらに、当該連結部材37の下方には、着脱自在な補剛部材38を取り付ける(図15参照)。
【0048】
さらに、1階床構面に水平ブレース31等の補剛材を取り付け、梁30の対角寸法を確認するなどして梁位置の調整(ゆがみの補正)を行う(図5参照)。上述したように、構面の高い位置に水平ブレース(補剛材)31を設置することが好ましいが、梁30の上フランジ30aのレベルを越えると床パネルの敷設の邪魔となるので工夫が必要である。例えば、仮の水平ブレースで梁位置を調整した後に火打ち梁等で固定する等の手順を採用してもよい。
【0049】
その後、コンクリートを打設する(図7参照)。本実施形態では、束20の下端レベルに合わせてコンクリートを打設する(図9等参照)。コンクリートの養生後、梁上部躯体(1階柱40等)を設置することができる(図8参照)。
【0050】
なお、コンクリートの打設工程の前に、梁30を利用して作業床(道板)33を掛止してもよい(図7参照)。梁30を利用して作業床33を掛け渡すことで打設・仕上げ時に作業者がコンクリート中に足を踏み入れなくて済み、現場を汚さない上に仕上げ時に足跡を消すという作業が不要になる。なお、当該作業床33を梁30の下フランジ30bに掛け渡すとウェブ30cで長手方向の移動が拘束され、ずれ落ちないようにより確実に掛止することができる。
【0051】
本実施形態にかかる建物Aの施工方法によれば、アンカーボルト(アンカーフレーム)11によって束20を支持し、予め位置決めされた状態の該束20で基礎を形成することができるので、梁30の撓み等の影響を受けにくい構造とし、基礎を高い精度で施工することができる。このような施工方法によれば、鉄骨基礎のメリット(天端精度調整のしやすさ、柱40等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等)はそのままに、必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させることができる。
【0052】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態では、梁30の中間部分を分断して不連続部分(人通部60)を形成した例を示したが(図15参照)、これは好適な一例にすぎない。この他、例えば、梁30が他の梁30とT字状に接合される部分においても不連続部分(人通部60)を構成することは可能である。いずれの場合にも、不連続部分に臨む梁30の端部は束20によって支持されている(図15等参照)。
【0053】
また、上述した実施形態では、梁30が束20に直接支持されている構造の建物Aを例示して説明したが(図8等参照)、この他、特に図示はしないが、一部の梁30が、束20に支持される他の梁を介して間接的に支持されている構造の建物Aにおいても本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、鉄骨造建物全般に適用して好適である。
【符号の説明】
【0055】
10…基礎スラブ、11…アンカーボルト、20…束、30…1階床梁(梁)、36…床パネル、37…連結部材、37a…プレート部、38…補剛部材、51…床下点検口、52…蓋、60…人通部、70…1階床(床)、A…建物
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下点検構造に関する。さらに詳述すると、本発明は、鉄筋コンクリート造の基礎スラブ等を備えた床下点検構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート造の布基礎を格子状に形成し基礎天端にて床を支持させた建物において、床下空間を点検するためには、各グリッド(布基礎で分断された各領域)の床面に点検口を設ける必要がある。点検口が設けられない場合には、点検者が各グリッドを行き来できるようにするため立ち上がり部に人通孔を設けることがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、立ち上り部を鉄骨梁に置き換えた基礎では、鉄骨梁を支持する部材(束等)の高さを大きくすることで、点検者による床下空間の移動を可能とすることができる(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−081904号公報
【特許文献2】特開2001−262586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、点検者が各グリッドを行き来できるようにするため立ち上がり部に人通孔を設けると、当該人通孔の周辺において大掛かりな補強が必要になるという問題がある。
【0006】
また、鉄骨梁を支持する部材の高さを大きくすると、点検者による床下空間の移動が可能になる反面、1階の床高さが大きくなりアプローチが不便になるといった問題や建物全体の高さが大きくなり斜線制限に抵触しやすくなるといった問題がある。その一方で、床の高さを抑えるために鉄骨梁の成を小さくすると、鉄骨梁の剛性が低下してしまうといった問題がある。
【0007】
本発明は、大掛かりな補強を施すことなく、かつ1階床高さを大きくすることなく、分断された床下空間の相互を移動可能とすることができる床下点検構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するべく本発明者は、基礎スラブ、束、梁、床パネルを備えた建物における床下点検構造について検討した。点検者らがグリッド間を行き来できるようにするためには人通孔が必要だが、そうすると基礎剛性ないしはその設計等に影響が及ぶ。そこで、本発明者は、いわば相反する要素であるこれらを両立することについて種々の検討を重ね、課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。
【0009】
本発明はかかる知見に基づくもので、鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上面に設置される束と、該束に支持される梁と、該梁によって支持される床パネルとを備えた建物における床下点検構造であって、所定の間隔を有する不連続部を設けて一直線上あるいはT字状に配置された2本の梁と、不連続部において2本の当該梁に架け渡された連結部材と、束であって、不連続部に臨む梁の端部を支持する束と、からなり、基礎スラブと連結部材との間には点検者が移動可能な離間寸法が確保されて人通部が形成されたことを特徴とする。
【0010】
このような床下点検構造によれば、束の高さを上げることなく、梁で分断された床下領域相互を点検者らが移動することが可能となる。
【0011】
かかる床下点検構造にあっては、連結部材の下方に着脱自在な補剛部材が掛け渡されていることが好ましい。このような構造によれば、不連続部を有する梁を通常(一般には、点検以外のとき)は梁補剛部材で連結しておくことで連続梁のように機能させ、梁のたわみを抑制することができ、梁の上に筋交等の耐力要素を設置した場合の梁の不連続による耐力の低下も抑制することができる。
【0012】
また、人通部で相互に移動可能となった2つの床下領域の一方において、その上部の床に開口が設けられて、該開口に着脱自在な蓋が設けられていてもよい。こうした場合、床下へ進入するための開口(点検口)の数を減らすことができるため、意匠、コスト等の面で有利になる。また、点検口の存在によるプランや家具レイアウトの制約も減らすことができる。
【0013】
連結部材は、中央が扁平なプレート部を含むものであることが好ましい。こうした場合、点検者らが通過する人通部の領域とくに高さを確保しやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる床下点検構造によれば、大掛かりな補強を施すことなく、かつ1階床高さを大きくすることなく、分断された床下空間の相互を移動可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】建物の施工時における最初の工程例(根切り、PC板設置、アンカーボルト設置)を示す斜視図である。
【図2】基礎スラブの配筋工程を示す斜視図である。
【図3】束をアンカーボルトに設置する工程を示す斜視図である。
【図4】鉄骨梁を設置する工程を示す斜視図である。
【図5】水平ブレースを設置する工程を示す斜視図である。
【図6】基礎スラブの外周部に板状断熱材等を設置する工程を示す斜視図である。
【図7】コンクリートを打設する工程を示す斜視図である。
【図8】梁上部躯体を設置する工程を示す斜視図である。
【図9】施工された建物の基礎の一例を示す断面図である。
【図10】水平ブレースが設置された状態の基礎の一例を示す断面図である。
【図11】火打を介して水平ブレースが設置された部分の鉄骨梁の構造例を示す平面図である。
【図12】外周束の形態例を示す斜視図である。
【図13】外周束の他の形態例を示す斜視図である。
【図14】本発明にかかる床下点検構造の形態例を示す平面図である。
【図15】人通部を含む床下点検構造の形態例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図15等に本発明の一実施形態を示す。本実施形態において例示する建物Aは、305mmの平面モジュールを有する梁勝ち工法による2階建ての鉄骨造の工業化住宅である。ただし、これはあくまで好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0018】
建物Aにおいては、基礎スラブ10、基礎スラブ10の上面に載置されて固定された束20(図3等参照)、束20で支持された梁(以下、1階床梁ともいう)30(図4等参照)、1階床梁30上に載置されて固定された柱(以下、1階柱ともいう)40(図8参照)、1階柱40の上端を連結するように配置された2階梁(図示省略)、2階梁上に配置された2階柱(図示省略)、R階大梁(図示省略)、隣接する2本の柱間に設置された耐力要素等の部材が、直交する基準線(X方向基準線、Y方向基準線)の中からそれぞれ複数選択された(モジュールの整数倍の間隔となるように設定された)通りに対応して配置されて基本架構が構成されている。さらに、建物Aにおいては、小梁が適宜架け渡され、各階梁で支持されるALC(Autoclaved Light-weight Concrete;軽量気泡コンクリート)からなる床パネルにより各階床が構成され、外周部梁を利用してALC等からなる外壁パネルや開口パネルが取り付けられて外壁が構成されている。
【0019】
本実施形態において基礎スラブ10は全面的にベタ基礎形式となっている。該基礎スラブ10においては、通りに沿った所定の幅の範囲(束20からの荷重が分散する範囲であり、例えば、束20の下フランジの端縁から45度の角度で引いた斜線(図9中の破線参照)と基礎スラブ10の底面との交点の範囲)について地反力に対抗する基礎梁とみなして配筋量が算定されている(図9、図10参照)。これ以外の領域については、地反力を受ける4辺固定のスラブとみなして配筋量が決定されている。なお、本実施形態ではベタ基礎形式の基礎スラブ10を例示しているが、このようなベタ基礎形式に限定されることはなく、例えば、通りに沿って地耐力に応じた所望の幅を有するフーチング形式とすることもできる。本実施形態の基礎スラブ10の上端のレベルは、地盤面よりも高く設定されている(図9、図10参照)。
【0020】
束20は基礎スラブ10の上面に載置されて、該基礎スラブ10の上端面から突設され、上述の1階床梁30を支持する(図4等参照)。本実施形態では、基礎スラブ10に予めアンカーボルト(アンカーフレーム)11を埋設しておき(図1等参照)、このアンカーボルト11の上端部に束20を例えばナットによって接合し、固定する(図3等参照)。束20は、柱(1階柱40)から伝達される荷重を基礎スラブ10に効率よく伝達する役割を有し、少なくとも床梁30上(通り上)に立設される1階柱40の直下に設置され、ジョイントボックス21または1階床梁30の中間部の下フランジのボルト穴を用いて接合され、1階床梁30を支持する。
【0021】
束20は、アンカーボルト11の上端部に接合される下フランジ20bと、例えばジョイントボックス21が接合される上フランジ20aと、これら両フランジ20a,20bを結合する横断面(水平断面)が例えば十字状(クロス形状のものを含む)のウェブ20cとで構成されている。上フランジ20aにはジョイントボックス21を接合するための上ボルト穴20dが設けられ、下フランジ20bには当該束20をアンカーボルト11の上端部に接合するための下ボルト穴20eが設けられている(図12、図13参照)。
【0022】
このような束20は、建物Aの外周部(すなわち外壁寄りの部分)と内周部(すなわち建物Aの内部寄りの部分)とに適宜配置される。これらのうち、外周部(外通り)において基礎スラブ10の端縁に沿って配置される束(本明細書では外周束ともいう)20は、建物外側(建物Aの外周寄りの部分)においては上フランジ20aと下フランジ20bの端縁位置が一致し、建物内側(建物Aの内部を向いた側)においては下フランジ20bが上フランジ20aよりも建物内側に向け延伸しており、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成された形状(オフセット形状)となっている(図9、図12等参照)。また、建物Aの入隅部および出隅部においては、外壁に沿った2方向について、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸し、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成されている外周束20を採用している(図3、図13等参照)。
【0023】
このようなオフセット形状の外周束20を用いることにより、基礎スラブ10のより広い範囲に荷重が分散して伝達され、1階床梁30とみなせる範囲を外周束20のオフセット方向に対応して建物内側方向にオフセットさせることができる。すなわち、本実施形態では、基礎スラブ10のうち、外周束20の下フランジ20bの当接寸法に応じた幅の範囲を地反力に対抗する梁30とみなして鉄筋量を設定しており、より具体的には、外周束20の下フランジ20bの端縁から45度の角度で引いた斜線と基礎スラブ10の底面との交点の範囲を地反力に対抗する基礎梁とみなして配筋量を算定している。したがって、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸したオフセット形状の外周束20を用いた場合、当該下フランジ20bが延伸した長さLの分(図9参照)、基礎スラブ10の底面との交点の範囲が拡大している(図10等参照)。これによれば、1階柱40から伝達される建物荷重を建物内側方向に流すことによって建物外側方向への基礎スラブの延出寸法を小さく抑えながらも建物荷重を分散して伝達させることができ、地反力に対抗する梁とみなせる幅を狭く見積もり鉄筋の過密な配置を防ぐことができる。このように構造計画上不利となることなく建物外周部における基礎スラブ10の延出寸法を小さく抑えることが可能となるから、例えば隣地境界との間に十分な離間寸法が確保されない場合であっても、排水管等の配設に支障を来たさず施工することができるようになる。さらに、このような構造は、内部の鉄骨部材の防錆のために止水処理を施す場合にも好適である。具体例を挙げれば、コンクリート打設前に予めカバー材(一例として、板状断熱材)を型枠(堰板)代わりに起立させておき、基礎スラブ10との密着度を向上させることにより、特段の止水処理を施さなくても、完全ではないにしろある程度の止水効果が期待できる状態とすることが可能である。さらには、RC部分や止水処理部分を地盤面から露出させないようにすることで、建物Aの外観が好ましくなくなるのを回避することが可能である。例えば、基礎スラブ10の下端まで覆うようカバー材(一例として、板状断熱材)を配置することで、外観上単一の材料で段差などもない、意匠的にも好ましい構成とすることが可能となる。
【0024】
また、上述のごとき外周束20に対し、該外周束20の下フランジ20bを固定するため基礎スラブ10に設置されるアンカーボルト11を、建物Aの外周通り芯(1階床梁30、1階柱40の中心位置であり、具体的には外形(水平断面の外形)略正方形の柱の中心(図心))よりも当該建物Aの内側寄りにオフセットさせてもよい。こうした場合、アンカーボルト11の位置が建物Aの内側寄りになり、アンカーボルト11からの縁空き寸法(アンカーボルト11から基礎スラブ10の端縁までの寸法)が充分に確保されるので耐久性や強度の上で好ましい。
【0025】
梁30は例えばH形鋼(I形鋼と呼ばれるような形鋼を含む)からなり、その両端には先端部がL字に屈曲しボルト穴が形成されたガセットプレート34が例えば溶接により接合されている(図4等参照)。梁30には、通り上に配置される大梁(1階床梁)のみならず、床パネルを支持するために対向する大梁間に架け渡される小梁も含まれる。なお、小梁は大梁と他の小梁との間に架け渡される場合もある。
【0026】
また、梁30の上フランジ30aおよび下フランジ30bにはモジュール柱を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている(図4等参照)。ボルト穴30dは、平面視基準線の交点上に位置するよう穿設されている。また、ウェブ30cにも他の梁30を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている。さらに、梁30のウェブ30cには所定の間隔で大径の穴(一例として、直径125mm)30eが穿設されている(図4等参照)。
【0027】
梁(1階床梁)30の端部どうしを接合する場合、本実施形態ではジョイントボックス21を用いている(図4等参照)。ジョイントボックス21は、平面視十字状のウェブ21cの上下端に正方形の上フランジ21aおよび下フランジ21bが溶接され構成されている。このジョイントボックス21に梁30を接合する場合は、梁30のガセットプレート34の2面を直交するウェブ21cの2面に当接し、ガセットプレート34の屈曲部のボルト穴及びこれに対応するジョイントボックス21のボルト穴にボルトを挿通してボルト接合する。ひとつのジョイントボックスに対し、4方向から梁30を接合することが可能である。
【0028】
また、小梁(図4中において符号30’で示す)を他の梁30の中間部に接合する際には、ガセットプレート34の屈曲部を当該中間部のウェブ30cの面に当接させ、ボルト接合する。なお、上記構成は、上階における梁30の構成と共通するものである。
【0029】
柱40は、通りと通りに直交する基準線との交点に配置され、上下端部がジョイントボックス21または梁30の中間部の上下フランジ30a,30bのボルト穴30dを用いて接合される(図8参照)。
【0030】
耐力要素41は、所定の間隔(例示すれば、610mm、915mmなど)で配置された2本の柱40の内側面にボルト接合される。耐力要素41は例えば筋交い(クロスフレーム)等で構成される(図8参照)。
【0031】
水平ブレース(補剛材)31は、1階の床構面に設置されて、コンクリート打設作業時等における梁30等の変形を抑制する(図5等参照)。床構面に設置された水平ブレース31は、そのまま建物完成後の1階床の面内剛性を確保する部材となる。このような水平ブレース31を梁30の上端付近に直接または火打35を介して取り付けることとすれば、梁30等の変形抑止効果と、基礎形成時の作業性・床下利用性とをさらに向上させることが可能である(図10、図11参照)。なお、ここで例示する水平ブレース31の他、火打梁(火打土台、火打金物)等を補剛材として用いることも可能である。
【0032】
また、1階床(図15において符号70で示す)には、床パネル(図15において符号36で示す)の大きさに対応した寸法を有するとともに開口が形成されているフレーム(図14において符号53で示す)を用いて、床下の点検を行うための床下点検口51が設けられている(図14参照)。ただし、床下空間は梁30によって細かい区画に分けられており、束20の高さは例えば100mm程度で、当該束20を高くすると高さ制限、斜線制限等の法的制限に抵触しやすくなることもあり、点検者らは梁30の下を潜り抜けることはできない。従って、区画毎に床下点検口を設ける必要が生じるが、当該床下点検口自体や蓋の金属製の縁が多くの箇所で見えることは意匠上好ましくなく、間取り上設置ができない(あるいは床下点検口の設置を優先することによって間取りの自由度が低下する)こともある。
【0033】
このような場合に対応するために、本実施形態では、一部の梁30については、その両端部を支持するのではなく、梁30を中間部分で分断して所定幅の不連続部分を設けて人通部60を形成している(図15参照)。不連続部分の幅は、少なくとも点検者が通過可能な幅である。また、分断された梁30の端部(厳密には梁30の端部と結合されるジョイントボックス21)を束20で支持するとともに、不連続部(人通部60)に連結部材37を架け渡して床パネル36を支持し得るように構成して、当該連結部材37と基礎スラブ10との間の空間(人通部60)を点検者らが通過することを可能としている(図15参照)。
【0034】
連結部材37は梁30よりも成の小さな部材である。本実施形態では、この連結部材37を、中央の扁平なプレート部37aと、該プレート部37aの両端を片持ち支持するブラケット部37bとで略アーチ状に構成している(図15参照)。なお、矩形の床パネル36の短辺を連結部材37で支持する場合(床パネル36の短辺方向に連結部材37を掛け渡し、該連結部材37によって床パネル36の一部を支持する場合)、当該連結部材37の中央部分が床パネル36の中央付近に位置するように配置することが好ましい。例を挙げつつその理由を簡単に説明すると以下のとおりである。
【0035】
すなわち、ALCからなる床パネル36は例えば610mm(=平面モジュールの2倍)の幅を有しており、一般に短辺2辺での支持を前提として鉄筋による補強がなされている。また床パネル36の短辺の両端部でそれぞれ短辺の長さのおよそ4分の1(例えば152.5mm)ずつ支持されていれば安全に支持されるように設計されている。すなわち短辺中央の部分およそ305mmの範囲が支持されなくとも安全性が確保されるように設計されている。また、プレート部の幅は床パネル36の幅(短辺の長さ)の約2分の1である。プレート部は床パネル36の支持に耐えうる強度と剛性を有していないが、ブラケット部は床パネル36の支持に耐えうる強度と剛性を備えている。従って、連結部材37の中央部分が床パネル36の中央付近に位置するように配置すれば構造的に問題なく床パネル36を支持することができる。なお、床パネル36の長辺側に位置し短辺を支持しない場合は、床パネル36の支持という意味では連結部材37は不要であるが、分断された梁の位置精度を保つ(倒れを防止する)という意味において有効に機能する。
【0036】
また、梁30の不連続部には、上述の連結部材37に加え、ボルト接合等によって着脱自在な梁30の補剛部材38を架け渡すことができる。通常(一般には、点検作業を行わないとき)はこのように構成しておくことで連結部材37と補剛部材38が協働して分断された梁30を連続梁のように機能させ、当該梁30のたわみ量を低減させることができ、また、梁30の上に、後述する筋交等の耐力要素41を設置した場合の梁分断されたことによる梁の剛性低下に伴う耐力要素41の耐力の低下も抑制することができる。また、点検が必要な場合には梁30の補剛部材38を取り外して点検を行うことができる。例えば本実施形態では、連結部材37の下方に着脱自在な補剛部材38を掛け渡している(図15参照)。詳しい図示はしていないが、補剛部材38と梁30(またはジョイントボックス21)との結合は剛な接合とされていれば剛性が大きくなって好ましい。
【0037】
また、本実施形態では、人通部60で相互に移動可能となった2つの床下領域の一方において、その上部の1階床70に床下点検口51の開口を設けている。こうした場合には、床下へ進入するための開口(床下点検口51)の数を減らすことができるので、建物Aの室内の意匠やコスト等の面で有利である。また、床下点検口51の存在によるプランや家具レイアウトの制約も減らすことができる。床下点検口51の開口には、着脱自在な蓋52が設けられている(図14、図15参照)。なお、開口が設けられる1階床70は、例えば、防湿シート、石膏ボード、合板、床仕上げ材などが積層されて形成されている(図15参照)。
【0038】
建物Aの外周部には、基礎スラブ10の端縁および外周部の梁30に沿ってカバー材が取り付けられている。本実施形態の場合、カバー材は、合成樹脂発泡体からなる板状断熱材(発泡ポリスチレンフォーム等)14、板状断熱材14の表面に塗布された樹脂モルタル等からなる。本実施形態では、板状断熱材14の上端を、梁30に係止された保持具(図示省略)にて保持し、コンクリート打設の際のコンクリートによる側圧に対し梁30に反力を持たせて対抗させるようにしている(図9、図10参照)。板状断熱材(カバー材)14は、基礎スラブ10の外周における型枠(堰板)機能を兼ねることができる。保持具は、コンクリート打設の際の仮の部材でも、恒久的な部材でもよい。なお、符号32は外壁パネルの受け金物である(図9参照)。本実施形態の受け金物32は断面が逆T字形状であり、先端が斜め下方に屈曲してシーリング材が充填できるようになっている。
【0039】
板状断熱材14は、基礎スラブ10のコンクリートの型枠(堰板)を兼ねたものであり、コンクリート打設前に予め設置される(図6参照)。したがってこの板状断熱材14の下端のレベルは基礎スラブ10の下端のレベルと同一となっている(図9等参照)。板状断熱材14を予め設置することによってコンクリートとの密着度が高まり更に基礎スラブ10の上端レベルが地盤面より高く設定されているので、建物Aの内部への水の浸入を抑制することができる。また基礎スラブ10の端縁部が露出しないので意匠的に好ましい。さらには、設備配管等を貫通させる場合、容易に加工ができるといった利点もある。
【0040】
なお、板状断熱材14と梁30との間には、板状断熱材14の上端部の建物内部側への倒れを防止する間隔保持具15が介在している。間隔保持具15としては、板状断熱材14と同じ材質の部材を採用することができる。
【0041】
続いて、建物Aの基礎の施工手順について一例を挙げつつ以下に説明する。
【0042】
まず、地盤を根伐り(根切り)し、砕石17を敷きつめ転圧する(図1参照)。根伐り底における束位置(束20が設置される位置)にPC(プレキャストコンクリート)板16を設置する(図1参照)。PC板16にアンカーボルト11の18を固定したら、該定着板18にアンカーボルト11を固定する(図1参照)。
【0043】
続いて、鉄筋12を配筋する(図2参照)。本実施形態において基礎梁とみなしている部分(通りに沿った所定の幅の範囲)には、算定された配筋量に応じて鉄筋12が密に配筋される。
【0044】
その後、束20をアンカーボルト11に設置する(図3参照)。まず、アンカーボルト11に、束20を仮支持するための下部ナットをねじ入れ、束20のレベル(高さ)等を調整する。続いて、束20の下フランジ20bのボルト孔にアンカーボルト11を挿通し、更に上部ナットをねじ入れ、束20を固定する(図9等参照)。なお、図9と図10とでは、アンカーボルト11と下フランジ20bとの接合が異なっている。すなわち、図9では、外周束20に対するアンカーボルト11の位置が図10の場合よりもオフセットしているため、アンカーボルト11が外周束20のウェブ20c(末広がり状のウェブ20cと直交しているウェブ)と干渉してしまい、図10のように下フランジ20bの下ボルト穴20eにアンカーボルト11を挿通して下フランジ20bの上からナットで締結するという方法をとることができない。そこで、このような場合には、下フランジ20bに貫通しないタップ穴を設けてこれにアンカーボルト11をねじ込んで固定するようにしている(図9参照)。
【0045】
続いて、束20の上に梁30を載置し、ボルトおよびナットを用いて固定する(図4参照)。
【0046】
次に、基礎の外周部に板状断熱材14を起立させる。さらに、板状断熱材14の外面に沿って間隔保持具15を設ける(図6参照)。
【0047】
また、人通部60が形成される部分(梁30の中間部分が分断されることによって形成された不連続部分)には、連結部材37を取り付ける(図14、図15参照)。さらに、当該連結部材37の下方には、着脱自在な補剛部材38を取り付ける(図15参照)。
【0048】
さらに、1階床構面に水平ブレース31等の補剛材を取り付け、梁30の対角寸法を確認するなどして梁位置の調整(ゆがみの補正)を行う(図5参照)。上述したように、構面の高い位置に水平ブレース(補剛材)31を設置することが好ましいが、梁30の上フランジ30aのレベルを越えると床パネルの敷設の邪魔となるので工夫が必要である。例えば、仮の水平ブレースで梁位置を調整した後に火打ち梁等で固定する等の手順を採用してもよい。
【0049】
その後、コンクリートを打設する(図7参照)。本実施形態では、束20の下端レベルに合わせてコンクリートを打設する(図9等参照)。コンクリートの養生後、梁上部躯体(1階柱40等)を設置することができる(図8参照)。
【0050】
なお、コンクリートの打設工程の前に、梁30を利用して作業床(道板)33を掛止してもよい(図7参照)。梁30を利用して作業床33を掛け渡すことで打設・仕上げ時に作業者がコンクリート中に足を踏み入れなくて済み、現場を汚さない上に仕上げ時に足跡を消すという作業が不要になる。なお、当該作業床33を梁30の下フランジ30bに掛け渡すとウェブ30cで長手方向の移動が拘束され、ずれ落ちないようにより確実に掛止することができる。
【0051】
本実施形態にかかる建物Aの施工方法によれば、アンカーボルト(アンカーフレーム)11によって束20を支持し、予め位置決めされた状態の該束20で基礎を形成することができるので、梁30の撓み等の影響を受けにくい構造とし、基礎を高い精度で施工することができる。このような施工方法によれば、鉄骨基礎のメリット(天端精度調整のしやすさ、柱40等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等)はそのままに、必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させることができる。
【0052】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態では、梁30の中間部分を分断して不連続部分(人通部60)を形成した例を示したが(図15参照)、これは好適な一例にすぎない。この他、例えば、梁30が他の梁30とT字状に接合される部分においても不連続部分(人通部60)を構成することは可能である。いずれの場合にも、不連続部分に臨む梁30の端部は束20によって支持されている(図15等参照)。
【0053】
また、上述した実施形態では、梁30が束20に直接支持されている構造の建物Aを例示して説明したが(図8等参照)、この他、特に図示はしないが、一部の梁30が、束20に支持される他の梁を介して間接的に支持されている構造の建物Aにおいても本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、鉄骨造建物全般に適用して好適である。
【符号の説明】
【0055】
10…基礎スラブ、11…アンカーボルト、20…束、30…1階床梁(梁)、36…床パネル、37…連結部材、37a…プレート部、38…補剛部材、51…床下点検口、52…蓋、60…人通部、70…1階床(床)、A…建物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上面に設置される束と、該束に支持される梁と、該梁によって支持される床パネルとを備えた建物における床下点検構造であって、
所定の間隔を有する不連続部を設けて一直線上あるいはT字状に配置された2本の梁と、
前記不連続部において2本の当該梁に架け渡された連結部材と、
前記束であって、前記不連続部に臨む前記梁の端部を支持する束と、からなり、
前記基礎スラブと前記連結部材との間には点検者が移動可能な離間寸法が確保されて人通部が形成されたことを特徴とする床下点検構造。
【請求項2】
前記連結部材の下方に着脱自在な補剛部材が掛け渡されたことを特徴とする請求項1に記載の床下点検構造。
【請求項3】
前記人通部で相互に移動可能となった2つの床下領域の一方において、その上部の床に開口が設けられて、該開口に着脱自在な蓋が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の床下点検構造。
【請求項4】
前記連結部材は、中央が扁平なプレート部を含むものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の床下点検構造。
【請求項1】
鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上面に設置される束と、該束に支持される梁と、該梁によって支持される床パネルとを備えた建物における床下点検構造であって、
所定の間隔を有する不連続部を設けて一直線上あるいはT字状に配置された2本の梁と、
前記不連続部において2本の当該梁に架け渡された連結部材と、
前記束であって、前記不連続部に臨む前記梁の端部を支持する束と、からなり、
前記基礎スラブと前記連結部材との間には点検者が移動可能な離間寸法が確保されて人通部が形成されたことを特徴とする床下点検構造。
【請求項2】
前記連結部材の下方に着脱自在な補剛部材が掛け渡されたことを特徴とする請求項1に記載の床下点検構造。
【請求項3】
前記人通部で相互に移動可能となった2つの床下領域の一方において、その上部の床に開口が設けられて、該開口に着脱自在な蓋が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の床下点検構造。
【請求項4】
前記連結部材は、中央が扁平なプレート部を含むものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の床下点検構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−241542(P2011−241542A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112332(P2010−112332)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
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