説明

床暖房パネル

【課題】表面の温度ムラがより少ない床暖房パネルを提供する。
【解決手段】床暖房パネル1は、裏面側板状基材(木質板材)2b、均熱板3、表面側板状基材(木質板材)2a、化粧板5がこの順番に積層された構造を有する。均熱板3は、アルミニウム箔等の金属箔からなる。床暖房パネル1は、その一方の側面に凸状の雄実7を、他方の側面に凹状の雌実8を有する。雌実8は雄実7に嵌合可能な形状を有する。均熱板3は、雄実7の上面7aから端面7bに沿うように延設されており、上面7a全面と端面7bを覆っている。そのため、雄実7と雌実8の接続部における均熱性に優れ、かつ雄実7の雌実8への嵌入が容易に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床暖房パネルに関する。本発明の床暖房パネルは、表面の温度ムラが少なく、かつ施工が容易なものである。
【背景技術】
【0002】
温水や電気ヒータ等の熱源からの熱により床面を暖める床暖房装置が広く普及している。床暖房装置に用いられる床暖房パネルの構成は、基本的には一般の床材と同じであり、木質材料からなる板材を中心とするものである。ただし、熱源からの熱をできるだけ均一に伝えるために、アルミニウム箔等からなる均熱板がさらに設けられることがある。例えば、特許文献1,2に記載の床材では、複数層からなる基材にアルミニウム箔(アルミニウムシート)の均熱板を介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−56129号公報
【特許文献2】特開平10−131468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床暖房パネルの敷設は、複数個の床暖房パネルの端面同士を突き合わせて並べ、接続することにより行う。しかし、従来の床暖房パネルでは、パネル間の接続部分における均熱板による均熱効果が不十分であった。そのため、パネル間の接続部分の温度が上がりにくい等、温度ムラの一要因となっていた。
【0005】
上記現状に鑑み、本発明は、表面の温度ムラがより少ない床暖房パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、熱源からの熱により床面を暖める床暖房装置に用いられる床暖房パネルであって、複数の木質板材を積層してなる板状基材と、隣接する木質板材間に介在させた金属箔からなる均熱板とを有し、板状基材の一方の側面には凸状の雄実が設けられ、他方の側面には前記雄実に嵌合可能な形状を有する凹状の雌実が設けられ、前記均熱板は雄実側に延設されており、雄実の少なくとも上面全面を被覆していることを特徴とする床暖房パネルである。
【0007】
本発明の床暖房パネルは、複数の木質板材を積層してなる板状基材と、金属箔からなる均熱板とを有している。また、板状基材の一方の側面には凸状の雄実が設けられ、他方の側面には凹状の雌実が設けられている。そして本発明の床暖房パネルでは、木質板材間に介在している均熱板が雄実側に延設されており、雄実の上面全面を被覆している。
【0008】
本発明の床暖房パネル同士を接合する際には、雄実と雌実とを嵌合させることとなるが、本発明の床暖房パネルでは均熱板が雄実の上面全面を被覆しているので、接続部(実部)における均熱性に優れている。そのため、本発明の床暖房パネルを敷設した床表面は、温度ムラが極めて小さいものとなる。
【0009】
また本発明の床暖房パネルでは、金属箔からなる均熱板が雄実の上面全面を被覆しているので、木質材料に比べて当該上面の滑りがよい。そのため、床暖房パネルを敷設する際の、雌実の雄実への嵌入が容易であり、施工性にも優れている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の床暖房パネルによれば、床表面の温度ムラを極めて小さくすることができる。さらに、本発明の床暖房パネルは、敷設する際の施工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本発明の第一実施形態に係る床暖房パネルを示す斜視図、(b)は(a)の床暖房パネルの断面図である。
【図2】第一実施形態に係る床暖房パネルの実部を示す拡大断面図であり、(a)は嵌合前の状態、(b)は嵌合後の状態を示す。
【図3】本発明の第二実施形態に係る床暖房パネルの実部を示す拡大断面図であり、(a)は嵌合前の状態、(b)は嵌合後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の理解を容易にするために、各図面において、各部材の大きさや厚みについては一部誇張して描かれており、実際の大きさや比率等とは必ずしも一致しないことがある。さらに、本発明が以下の実施形態に限定されないことは勿論である。
【0013】
まず、本発明の第一実施形態について説明する。以下の説明では、図1(a)に即して第一実施形態に係る床暖房パネル1の外観と積層構造を説明し、次いで、図1(b)、図2(a)、図2(b)に即してパネル間の実部(雄実7と雌実8)について説明する。なお図1(a)では、床暖房パネル1が有する実部の図示を省略している。
【0014】
本発明の第一実施形態に係る床暖房パネル1は、図1(a)に示すように、平面視が長方形状の板体であり、板状基材2と均熱材3を基本構成とするものである。詳細には、図1(a)、図1(b)に示すように、床暖房パネル1は、下から順に、裏面側板状基材(木質板材)2b、均熱板3、表面側板状基材(木質板材)2a、及び化粧板5が積層された構造を有している。すなわち、板状基材2は、表面側板状基材2aと裏面側板状基材2bの二層で構成されており、均熱板3は、表面側板状基材2aと裏面側板状基材2bの間に介在して設けられている。
【0015】
板状基材2は、表面側板状基材2aと裏面側板状基材2bとからなる。表面側板状基材2aと裏面側板状基材2bは、いずれも、合板やMDF等の木質材料からなる板材である。床暖房パネル1の敷設時において、表面側板状基材2aが居室側(上側)に、裏面側板状基材2bが熱源側(下側)に、それぞれ位置する。
【0016】
裏面側板状基材2bの厚みは大きく、床暖房パネル1全体の厚みの半分以上を占める。一方、表面側板状基材2aの厚みは裏面側板状基材2bの厚みよりも小さい。
【0017】
均熱板3は、表面側板状基材2aと裏面側板状基材2bとの間に設けられている。均熱板3は、アルミニウム箔等の金属箔からなる薄いシート材であり、表面側板状基材2a及び裏面側板状基材2bに接着剤等で接着されている。均熱板3のサイズは、板状基材2のサイズよりもやや大きく、具体的には、板状基材2の両側面から均熱板3の一部がはみ出ている(図1(b))。
【0018】
化粧板5は、表面側板状基材2aの上に設けられている。化粧板5は、塩化ビニル樹脂等で構成されたシート材である。床暖房パネル1の敷設時において、化粧板5は居室側の最表面に位置する。
【0019】
図1(b)、図2(a)、図2(b)に示すように、床暖房パネル1は、その一方の側面に凸状の雄実7を、他方の側面に凹状の雌実8を有している。そして、板状基材2の両側面からはみ出た均熱板3が、雄実7と雌実8の一部を覆っている。
【0020】
雄実7は、床暖房パネル1の一方の側面に設けられており、具体的には、裏面側板状基材2bの側面に設けられている。雄実7は、裏面側板状基材2bの側面の長手方向全体に延びる突条であり、その断面形状は長方形状である。
【0021】
均熱板3は、雄実7の少なくとも上面7a全面から端面7bに沿うように延設されており、上面7a全面と端面7bを覆っている。
【0022】
雌実8は、床暖房パネル1の他方の側面に設けられており、具体的には、裏面側板状基材2bの他方の側面に設けられている。雌実8は、裏面側板状基材2bの側面の長手方向全体に延びる凹状の溝であり、その断面形状はコの字状である。雌実8を構成する溝の形状は、雄実7を構成する突条の形状に合致し、雌実8は雄実7に嵌合可能である。
【0023】
均熱板3は、雌実8の端面8bから凹部の天面8aに沿うように延設されており、端面8bと天面8aを覆っている。このために、この雌実8においても床暖房パネル1を敷設した床表面の温度ムラを小さくする効果がある。
【0024】
次に、床暖房パネル1を敷設する方法、及び床暖房パネル1同士の嵌合構造について説明する。
【0025】
床暖房パネル1を敷設する際には、複数の床暖房パネル1の端面同士を突き合わせて並べ、床暖房パネル1同士を接合する(図2(a)、図2(b))。接合は、雄実7を雌実8に嵌入し、両者を嵌合することにより行う。
【0026】
雄実7を雌実8に嵌入する際、雄実7の上面7aと雌実8の天面8aとが互いに接触しながら動く。すなわち、雄実7の上面7aと雌実8の天面8aが摺動面となる。ここで、本実施形態では、上面7aと天面8aがいずれも金属箔の均熱板3で覆われているから、滑りがよく、雄実7の雌実8への嵌入が容易に行える。そのため、床暖房パネル1は施工性に優れている。
【0027】
図2(b)に示すように、本実施形態において雄実7と雌実8とを嵌合すると、従来技術と比較して、その接続部(実部)における均熱板3が占める面積が大きくなる。そのため、本実施形態の床暖房パネル1によれば接続部の均熱性がよく、裏面側板状基材2b側からの熱が均一化され、表面の温度ムラが極めて小さくなる。
【0028】
上記した第一実施形態では、均熱板3が雄実7の端面7bまで延設されるとともに端面7bを被覆しているが、本発明において、端面7bへの延設及び被覆は任意である。すなわち、均熱板3は、少なくとも、上面7aまで延設され上面7a全面を被覆しておればよい。さらに第一実施形態では、均熱板3が雌実8側に延設され、端面8bと天面8aが被覆されているが、本発明において、雌実8側への延設と被覆は任意である。そのような構成を有する床暖房パネル10(第二実施形態)の実部の構造を、図3(a)、図3(b)に示す。
【0029】
第二実施形態においても、従来技術と比較して、その接続部(実部)における均熱板3が占める面積が大きくなる。そのため、床暖房パネル10によれば接続部の均熱性がよく、裏面側板状基材2b側からの熱が均一化され、表面の温度ムラが極めて小さくなる。さらに、雄実7を雌実8に嵌入する際、第一実施形態と同様に、雄実7の上面7aと雌実8の天面8aが摺動面となる。ここで、本実施形態では天面8aは木質材料であるが、上面7a全面が第一実施形態と同様に金属箔の均熱板3で覆われているから、滑りがよく、雄実7の雌実8への嵌入が容易に行える。そのため、床暖房パネル10は施工性に優れている。
【0030】
第二実施形態の床暖房パネル10は、第一実施形態の床暖房パネル1よりも実部の構造が簡単であり、製造が容易である
上記した実施形態では、板状基材2が二層からなるものであるが、板状基材2は三層以上からなるものでもよい。
【0031】
上記した実施形態では、均熱板3を1枚設けているが、2枚以上設けてもよい。例えば、板状基材2を三層以上で構成し、各々の隣接する層の間に均熱板3を介在させてもよい。この際、均熱板3の両側面への延設は、いずれか1枚だけでもよい。
【0032】
上記した実施形態では、表面側板状基材2aと裏面側板状基材2bの間に均熱板3が介在し、直接接触しているが、均熱板3と表面側板状基材2aの間、あるいは均熱板3と裏面側板状基材2b間に、別の層を介在させてもよい。別の層としては、均熱板3の保護層などが挙げられる。
【0033】
上記した実施形態では、床暖房パネル1,10の一対の側面(2面)に雄実7と雌実8が1個ずつ設けられているが、残りの2面にも雄実7と雌実8を設けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 床暖房パネル
2 板状基材
2a 表面側板状基材(木質板材)
2b 裏面側板状基材(木質板材)
3 均熱板
7 雄実
7a 上面
8 雌実
10 床暖房パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源からの熱により床面を暖める床暖房装置に用いられる床暖房パネルであって、
複数の木質板材を積層してなる板状基材と、隣接する木質板材間に介在させた金属箔からなる均熱板とを有し、
板状基材の一方の側面には凸状の雄実が設けられ、他方の側面には前記雄実に嵌合可能な形状を有する凹状の雌実が設けられ、
前記均熱板は雄実側に延設されており、雄実の少なくとも上面全面を被覆していることを特徴とする床暖房パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−2202(P2013−2202A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136228(P2011−136228)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】