説明

床暖房ユニット

【課題】床暖房ユニットの水循環回路の凍結防止運転の回数を減らす。
【解決手段】床暖房ユニットは、水熱交換器21と、膨張タンク26と、それらを覆う断熱部材50とを備えている。断熱部材50は、水熱交換器21を覆う水熱交換器断熱部材61と、膨張タンク26を覆う膨張タンク断熱部材62とを有する。断熱部材50の内部には、水熱交換器21と膨張タンク26とが配置される空間が形成されている。断熱部材50の内部に水熱交換器21及び膨張タンク26が配置されると、断熱部材50の内部において、水熱交換器21と膨張タンク26との間には、それらが対向する部分であって、水熱交換器断熱部材61及び膨張タンク断熱部材62が設けられていない空間70がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房端末に温水を供給する床暖房ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
床暖房ユニットは、ヒートポンプユニットから供給された冷媒で温水を加熱する熱交換器と、熱交換器で加熱した温水を貯留する膨張タンクとを備えるものが一般的である。そして、特許文献1に記載のように、熱交換器の凍結を防止するために熱交換器の略全表面が断熱部材により覆われていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−195577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱交換器の略全表面を断熱部材により覆った場合でも、外気温度が非常に低い場合には、熱交換器の凍結を防止するために、水循環回路を循環する温水の温度を所定温度以上に保つ凍結防止運転を行っている。
【0005】
そこで、本発明は、熱交換器の凍結を防止するために水循環回路を循環する温水の温度を所定温度以上に保つ凍結防止運転の回数を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る床暖房ユニットは、暖房端末に温水を供給する床暖房ユニットであって、温水を加熱する熱交換器と、温水を貯留する膨張タンクと、前記熱交換器の少なくとも一部を覆う熱交換断熱部材と、前記膨張タンクの少なくとも一部を覆うタンク断熱部材とを備えており、前記熱交換器と前記膨張タンクとの間には、前記熱交換器と前記膨張タンクとが対向する部分であって且つ前記熱交換断熱部材及び前記タンク断熱部材が設けられていない部分がある。
【0007】
この床暖房ユニットでは、熱交換器と膨張タンクとの間に、熱交換器と膨張タンクとが対向する部分であって且つ熱交換断熱部材及びタンク断熱部材が設けられていない部分があることにより、加熱された温水が貯留された膨張タンクの外周面から熱交換器の外周面に向かって熱が伝達されることから、熱交換器を温めることができる。したがって、熱交換器の凍結を防止するために水循環回路を循環する温水の温度を所定温度以上に保つ凍結防止運転の回数を減らすことができる。
【0008】
第2の発明に係る床暖房ユニットは、第1の発明に係る床暖房ユニットにおいて、前記熱交換断熱部材と前記タンク断熱部材とが一体に構成されている。
【0009】
この床暖房ユニットでは、熱交換断熱部材とタンク断熱部材とが一体に構成されていることにより、1つの断熱部材で熱交換器と膨張タンクとを覆うことができることから、部品点数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0011】
第1の発明では、熱交換器と膨張タンクとの間に、熱交換器と膨張タンクとが対向する部分であって且つ熱交換断熱部材及びタンク断熱部材が設けられていない部分があることにより、加熱された温水が貯留された膨張タンクの外周面から熱交換器の外周面に向かって熱が伝達されることから、熱交換器を温めることができる。したがって、熱交換器の凍結を防止するために水循環回路を循環する温水の温度を所定温度以上に保つ凍結防止運転の回数を減らすことができる。
【0012】
第2の発明では、熱交換断熱部材とタンク断熱部材とが一体に構成されていることにより、1つの断熱部材で熱交換器と膨張タンクとを覆うことができることから、部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る床暖房ユニットを備えた暖房装置の概略構成を示す回路図である。
【図2】床暖房ユニットの設置状態を示す図である。
【図3】床暖房ユニットの内部の構成を示す図である。
【図4】床暖房ユニットの内部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る床暖房ユニットを備えた暖房装置ついて、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
最初に、本実施形態の床暖房ユニット2を備えた暖房装置100の全体構成について説明する。
【0016】
<暖房装置100の全体構成>
図1に示すように、暖房装置100は、ヒートポンプユニット1と、床暖房ユニット2と、4つの床暖房パネル3(暖房端末)とを備えている。図2に示すように、ヒートポンプユニット1と床暖房ユニット2は別体に構成されており、共に屋外に設置される。床暖房パネル3は、家屋の床面に設置される。
【0017】
図1に示すように、ヒートポンプユニット1と床暖房ユニット2とは、2本の冷媒配管5a,5bを含む冷媒循環回路10を介して接続されている。また、床暖房ユニット2と4つの床暖房パネル3とは、8本の水配管6a、6bを含む温水循環回路20(水循環回路)を介して接続されている。
【0018】
図1に示すように、ヒートポンプユニット1内の冷媒循環回路10は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、電動膨張弁13と、四路切換弁14とを有する。圧縮機11の吸入側と四路切換弁14との間にはアキュムレータ15が設けられている。また、室外熱交換器12の近傍には、室外ファン16が設けられている。
【0019】
床暖房ユニット2内の冷媒循環回路10は、水熱交換器21(熱交換器)を有する。水熱交換器21では、ヒートポンプユニット1から供給される高温冷媒によって温水が加熱される。
【0020】
床暖房ユニット2内の温水循環回路20は、水熱交換器21と、循環ポンプ25と、膨張タンク26と、循環ポンプ25にヘッダ22を介して接続された4本の分岐戻り管24aと、膨張タンク26にヘッダ23を介して接続された4本の分岐往き管24bとを有する。循環ポンプ25と、水熱交換器21と、膨張タンク26とは、ヘッダ22とヘッダ23との間にヘッダ22側から順に設けられている。また、4本の分岐往き管24bには、それぞれ熱動弁27が介設されている。水熱交換器21で加熱された温水は、温水循環回路20を介して床暖房パネル3に供給される。循環ポンプ25は、温調水を床暖房パネル3に供給するものである。膨張タンク26には、温水が貯留される。
【0021】
床暖房パネル3は、蛇行形状のパイプを有する。床暖房パネル3のパイプは、分岐戻り管24aと分岐往き管24bとに水配管6a、6bを介して接続されている。
【0022】
次に、図2〜4を用いて、床暖房ユニット2の内部の構成について説明する。
【0023】
図2に示すように、床暖房ユニット2は、略直方体状のケーシング40を有する。ケーシング40の内部には、図1に示す水熱交換器21、循環ポンプ25及び膨張タンク26等が収納されている。
【0024】
図3,4には、ケーシング40の内部に収納された水熱交換器21及び膨張タンク26と、それらを覆う断熱部材50とだけを示している。図3には、膨張タンク26と水熱交換器21と断熱部材50との分解斜視図を示している。図4には、水熱交換器21と膨張タンク26とが断熱部材50により覆われた状態を示しており、図4(a)には斜視図を示し、図4(b)には正面図を示している。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「右」及び「左」は、断熱部材50を正面からみたときの方向を示す。
【0025】
図3,4に示すように、水熱交換器21及び膨張タンク26は左右方向に並んで配置されており、水熱交換器21の右側面と膨張タンク26の左側面とが対向している。
【0026】
断熱部材50は、床暖房ユニット2の正面側に配置される断熱部材51と、床暖房ユニット2の背面側に配置される断熱部材52とを有する。断熱部材50は、例えば、発泡ASにより形成されている。
【0027】
図3,4に示すように、断熱部材51は、左側に設けられた水熱交換器断熱部51aと、右側に設けられた膨張タンク断熱部51bとを有する。図3に示すように、断熱部材51の内周面には、水熱交換器21及び膨張タンク26を収容するための凹部が形成されている。また、図3及び図4(a)に示すように、断熱部材52は、左側に設けられた水熱交換器断熱部52aと、右側に設けられた膨張タンク断熱部52bとを有する。図3に示すように、断熱部材52の内周面には、水熱交換器21及び膨張タンク26を収容するための凹部が形成されている。そして、図4に示すように、水熱交換器断熱部51a,52aによって、水熱交換器21を覆う水熱交換器断熱部材61(熱交換断熱部材)が構成されている。また、膨張タンク断熱部51b,52bによって、膨張タンク26を覆う膨張タンク断熱部材62(タンク断熱部材)が構成されている。
【0028】
図4に示すように、水熱交換器断熱部材61により、水熱交換器21の正面の上部、上面、下面、左側面及び背面が覆われる。なお、水熱交換器21の正面の下部及び右側面は、水熱交換器断熱部材61により覆われない。また、膨張タンク断熱部材62により、膨張タンク26の正面、上面、下面、右側面及び背面が覆われる。なお、膨張タンク26の上部に設けられた供給口26aは、断熱部材50の上端部に設けられた開口50aの内部に配置されており、膨張タンク断熱部材62により覆われない。また、膨張タンク26の左側面と、膨張タンク26の正面に設けられた流入部26b及び流出部26cとは、膨張タンク断熱部材62により覆われない。
【0029】
図4に示すように、水熱交換器断熱部材61の内周面には、水熱交換器21の外形に沿った凹部61aが形成されている。また、図4(b)に示すように、膨張タンク断熱部材62の内周面には、膨張タンク26の外形に沿った凹部62aが形成されている。
【0030】
図4に示すように、断熱部材50の内部には、水熱交換器21と膨張タンク26とが配置される空間が形成されている。断熱部材50の内部に水熱交換器21と膨張タンク26とが配置されると、断熱部材50の内部において、水熱交換器21と膨張タンク26との間には、それらが対向する部分であって、水熱交換器断熱部材61及び膨張タンク断熱部材62が設けられていない空間70がある(図4(b))。したがって、温水が貯留された膨張タンク26の外周面から水熱交換器21に向かって、熱が伝達される。
【0031】
以上のように、本実施形態の床暖房ユニット2では、水熱交換器21と膨張タンク26との間に、水熱交換器21と膨張タンク26とが対向する部分であって且つ水熱交換器断熱部材61及び膨張タンク断熱部材62が設けられていない部分があることにより、加熱された温水が貯留された膨張タンク26の外周面から水熱交換器21の外周面に向かって熱が伝達されることから、水熱交換器21を温めることができる。したがって、水熱交換器21の凍結を防止するために温水循環回路20を循環する温水の温度を所定温度以上に保つ凍結防止運転の回数を減らすことができる。
【0032】
また、本実施形態の床暖房ユニット2では、水熱交換器断熱部51aと膨張タンク断熱部51bとが一体に構成され、水熱交換器断熱部52aと膨張タンク断熱部52bとが一体に構成されていることにより、1つの断熱部材50で水熱交換器21と膨張タンク26とを覆うことができることから、部品点数を減らすことができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0034】
例えば、上述の実施形態では、断熱部材50において、水熱交換器断熱部51aと膨張タンク断熱部51bとが一体に構成され、水熱交換器断熱部52aと膨張タンク断熱部52bとが一体に構成されている場合について説明したが、水熱交換器断熱部と膨張タンク断熱部とが一体に構成されていなくてもよい。
【0035】
また、上述の実施形態では、水熱交換器断熱部材61により、水熱交換器21の正面の上部、上面、下面、左側面及び背面が覆われ、膨張タンク断熱部材62により、膨張タンク26の正面、上面、下面、右側面及び背面が覆われる場合について説明したが、水熱交換器21が水熱交換器断熱部材61により覆われる部分及び膨張タンク断熱部材62が膨張タンク断熱部材62により覆われる部分は、それぞれ変更可能なものである。例えば、水熱交換器21の全周面が水熱交換器断熱部材61により覆われるように構成してもよい。
【0036】
また、上述の実施形態では、床暖房ユニット2のケーシング40内部において、水熱交換器21及び膨張タンク26は左右方向に並んで配置されており、水熱交換器21の右側面と膨張タンク26の左側面とが対向している場合について説明したが、水熱交換器21及び膨張タンク26の配置は変更可能なものである。例えば、床暖房ユニット2のケーシング40内部において、膨張タンク26及び水熱交換器21は上下方向に上から順に並んで配置され、膨張タンク26の下面と水熱交換器21の上面とが対向してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明を利用すれば、床暖房ユニットの水循環回路の凍結防止運転の回数を減らすことができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ヒートポンプユニット
2 床暖房ユニット
3 床暖房パネル(暖房端末)
20 温水循環回路
21 水熱交換器(熱交換器)
25 循環ポンプ
26 膨張タンク
50,51,52 断熱部材
51a,52a 水熱交換器断熱部
51b,52b 膨張タンク断熱部
61 水熱交換器断熱部材(熱交換断熱部材)
62 膨張タンク断熱部材(タンク断熱部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房端末に温水を供給する床暖房ユニットであって、
温水を加熱する熱交換器と、
温水を貯留する膨張タンクと、
前記熱交換器の少なくとも一部を覆う熱交換断熱部材と、
前記膨張タンクの少なくとも一部を覆うタンク断熱部材とを備えており、
前記熱交換器と前記膨張タンクとの間には、前記熱交換器と前記膨張タンクとが対向する部分であって且つ前記熱交換断熱部材及び前記タンク断熱部材が設けられていない部分があることを特徴とする床暖房ユニット。
【請求項2】
前記熱交換断熱部材と前記タンク断熱部材とが一体に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の床暖房ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−149779(P2012−149779A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6395(P2011−6395)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】