説明

床用吸込具及びそれを連結する電気掃除機

【課題】照明部を備えているため暗い場所でも状況確認がしやすく、壁際のごみも吸い込みやすく、また照明部のカバーを効果的に保護することのできる床用吸込具を提供する。
【解決手段】床用吸込具1は、本体ケース10の底面に吸込口15を有する。本体ケース10内には、駆動源で回転する回転ブラシ16が吸込口15に臨む形で配置される。本体ケース10の上面には前方を照らす照明部21が設けられる。吸込口15は本体ケース10の前面まで延長され、前面吸込口17を形成している。前面吸込口17にも回転ブラシ16が臨んでいる。前面吸込口17にはそれを閉ざすため跳ね上げ式のシャッター18が設けられる。シャッター18は、前面吸込口17を開くため角度を変えるとき、照明部21を前方の障害物から保護する位置に変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の床用吸込具及びそれを連結する電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機の床用吸込具には、通常、回転ブラシが備えられている。特許文献1に見られるように、前方を照らす照明部を設けたものもある。照明部を設けておけば、部屋の隅やベッドの下など、部屋の照明が行き届きにくい場所を明るくすることができ、ごみの吸い込みもれや、吸い込んではならないものを吸い込んでしまったりする事態を避けることができる。
【0003】
床用吸込具では吸込口は通常本体ケースの底面に形成され、この吸込口に臨む形で本体ケース内に回転ブラシが配置されるが、中には、本体ケースの前面まで吸込口を延長して前面吸込口を形成し、この前面吸込口にも前記回転ブラシを臨ませたものがある。特許文献2にその例を見ることができる。特許文献2記載の構成では、前面吸込口は、床面に面する吸込口からの吸込力が弱まらないようにするため、また回転中の回転ブラシに使用者の手指等が接触して怪我をするといった事故を回避するため、カバーで閉ざされる。壁などに接近させるときのみカバーが持ち上げられ、前面吸込口からの吸引が可能となる。
【0004】
床用吸込具の従来の構成例を図29及び図30に示す。図29は側面図、図30は上面図である。床用吸込具100は、偏平で横長の本体ケース101を有する。本体ケース101の後部中央からは図示しない電気掃除機に連結するための連結管102が突き出す。本体ケース101は後方の主車輪103と前方の補助車輪104により床の上に支持される。本体ケース101の底面には図示しない吸込口が形成され、そこから回転ブラシ105の一部が突き出す。
【0005】
本体ケース101の上面には照明部106が設けられる。照明部106は、本体ケース101に一体成型で、あるいは別体の部品を取り付けて構成され、前面が開口となったハウジング部106aと、ハウジング部106aの内部に配置され、ハウジング部106aの前面開口から前方に投光する図示しない光源と、ハウジング部106aの前面開口を覆う透明樹脂製のカバー106bからなる。
【特許文献1】特開平4−54930号公報(国際特許分類:A47L9/04)
【特許文献2】特開2004−141536号公報(国際特許分類:A47L9/02)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
床用吸込具は家具や壁などの障害物に頻繁に衝突する。図29及び図30に示す従来の床用吸込具100で言えば、照明部106のカバー106bが特に衝突しやすい箇所となる。衝突しても破損しないようにするには、耐衝撃性の高い樹脂で成型すればよいが、カバー106bの場合、透明であることとコストが樹脂選定の第一条件となり、必ずしも耐衝撃性の高さを基準にできる訳ではない。そのため、カバー106bが壁や家具に衝突しないようにする手立てが求められていた。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、照明部を備えているため暗い場所でも状況確認がしやすく、壁際のごみも吸い込みやすく、また照明部のカバーを効果的に保護することのできる床用吸込具を提供することを目的とする。さらに、その床用吸込口を連結して清掃効率を高めることができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、底面に吸込口を有する本体ケース内に、駆動源で回転する回転ブラシを前記吸込口に臨ませて配置するとともに、前記本体ケースの上面には、前方を照らす照明部を設けた電気掃除機の床用吸込具において、前記吸込口を前記本体ケースの前面まで延長して前面吸込口を形成し、この前面吸込口にも前記回転ブラシを臨ませるとともに、前記前面吸込口にはそれを閉ざす跳ね上げ式のシャッターを設け、前記シャッターは、前記前面吸込口を開くため角度を変えるとき、前記照明部を前方の障害物から保護する位置に変位することを特徴としている。
【0009】
この構成によると、本体ケースの上面に設けられた照明部により、部屋の隅やベッドの下など、部屋の照明が行き届きにくい場所を明るくすることができ、ごみの吸い込みもれや、良く確認できないままに吸い込んではならないものを吸い込んでしまったりする事態を避けることができる。また本体ケース底面の吸込口を本体ケースの前面まで延長して前面吸込口としたから、壁際や家具の間際のごみも良く吸い込むことができる。前面吸込口は、そこからごみを吸い込まないときはシャッターで閉ざされるから、床面に面する吸込口からの吸込力が弱まることもなく、また回転中の回転ブラシに使用者の手指等が接触して怪我をするといった事故も回避できる。そしてシャッターは、前面吸込口を開くために角度を変えるとき、照明部を前方の障害物から保護する位置に変位するから、照明部に障害物が衝突して透明カバーに傷がついたり破損したりすることもない。
【0010】
また本発明は、上記構成の床用吸込具において、前記シャッターの一部は前方に突出するバンパー部となり、前記シャッターが前記前面吸込口を開くと、前記バンパー部が前記照明部の前方に回り込むことを特徴としている。
【0011】
この構成によると、バンパー部を形成したことにより剛性が増し、シャッターの強度が向上する。バンパー部が照明部の前方に回り込むことにより、照明部の保護も一層効果的なものとなる。
【0012】
また本発明は、上記構成の床用吸込具において、前記バンパー部には、前記照明部が投光する光を透過させる穴または切り欠きが形成されていることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、バンパー部の存在で前方照明が阻害されるということがない。
【0014】
また本発明は、上記構成の床用吸込具において、前記バンパー部には、前記照明部が投光する光を透過させる透明板部が設けられていることを特徴としている。
【0015】
この構成によると、バンパー部の存在で前方照明が阻害されるということがない。
【0016】
また本発明は、上記構成の床用吸込具において、前記透明板部は、前記照明部が投光する光を屈折拡散させる凹レンズであることを特徴としている。
【0017】
この構成によると、広い範囲を照明することが可能となる。
【0018】
また本発明は、上記構成の床用吸込具において、前記バンパー部が前方の障害物に当たって圧力を受けると、前記シャッターに前記前面吸込口を開く方向のモーメントが作用することを特徴としている。
【0019】
この構成によると、バンパー部を障害物に押し当てるだけでシャッターを開くことができる。
【0020】
また本発明は、上記構成の床用吸込具において、前記シャッターは、動力により前記前面吸込口を閉ざす角度へ、あるいはそれを開く角度へと角度変更されることを特徴としている。
【0021】
この構成によると、労力を要さずシャッターを開閉することができる。
【0022】
また本発明は、上記構成の床用吸込具において、前記回転ブラシと前記駆動源との間に変速機構が設けられ、前記シャッターの開閉により前記変速機構の変速シフトが行われることを特徴としている。
【0023】
この構成によると、底面の吸込口から吸い込みを行う場合と、前面吸込口から吸い込みを行う場合とで回転ブラシの回転数を変えることができる。例えば、前面吸込口から吸い込みを行う場合は、安全のため回転ブラシを減速回転させることができる。
【0024】
また本発明は、上記構成の床用吸込具において、前記シャッターの開閉状態を検知し、その検知信号を当該床用吸込具が連結された電気掃除機に伝達する検知装置が設けられていることを特徴としている。
【0025】
この構成によると、シャッターの開閉状態を電気掃除機に伝達し、電気掃除機の制御に役立てることができる。
【0026】
上記目的を達成するために本発明は、上記床用吸込具を連結する電気掃除機であって、前記検知装置からの検知信号に基づき、前記シャッターの開閉状態に応じて前記回転ブラシの回転数を変える制御を行うことを特徴としている。
【0027】
この構成によると、シャッターの開閉状態に応じてそれに適した回転数で回転ブラシを回転させることができる。前面吸込口から吸い込みを行う場合は、安全のため回転ブラシを減速回転させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、部屋の隅やベッドの下など、部屋の照明が行き届きにくい場所でも明るくして清掃を行うことができ、壁際や家具の間際のごみも良く吸い込める上、照明部の透明カバーが破損したりする懸念の少ない床用吸込具を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下本発明の第1実施形態を図1から図7に基づき説明する。図1は第1実施形態に係る床用吸込具の側面図、図2は第1実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図、図3は第1実施形態に係る床用吸込具の、シャッターが障害物に当たった状況を示す側面図、図4は第1実施形態に係る床用吸込具の、前面吸込口を開いた状態の側面図、図5は第1実施形態に係る床用吸込具の、前面吸込口を開いた状態の垂直断面図、図6は第1実施形態に係る床用吸込具の上面図、図7は第1実施形態に係る床用吸込具で用いられるシャッターの斜視図である。なお図1において左側が床用吸込具の前方(前部)、右側が後方(後部)である。床用吸込具の左側と右側は、使用者が床用吸込具の後ろに立って前方を見たときの使用者の左側と右側に一致するものとする。
【0030】
第1実施形態に係る床用吸込具1は、偏平で横長の本体ケース10を有する。本体ケース10の後部中央からは図示しない電気掃除機に連結するための連結管11が突き出す。連結管11はジョイント部12(図2参照)により垂直面内で回動できるように本体ケース10に取り付けられている。ジョイント部12は、連結管11の内部と本体ケース10の内部を気密に連結するものでもある。連結管11には、本体ケース10内の後述する電動機やLEDランプに電気掃除機側から電力を供給し、またそれらを制御する電気配線が組み込まれている。
【0031】
本体ケース10は、後部に配置した主車輪13と、それよりも前方に配置した補助車輪14により床の上に支持される。主車輪13と補助車輪14はそれぞれ左右1対ずつ設けられる。本体ケース10の底面には、前端に近い部分に吸込口15(図2参照)が形成されている。本体ケース10の内部には、吸込口15に臨む形で回転ブラシ16が配置される。回転ブラシ16は、前方から見た幅、すなわち正面幅が吸込口15の正面幅よりも少し短く、ブラシ下部が吸込口15を通り抜けて床の方に突き出す。回転ブラシ16は、本体ケース10内に配置した図示しない電動機を動力源として回転せしめられる、いわゆるパワーブラシである。
【0032】
吸込口15は本体ケース10の前面まで延長され、その結果、本体ケース10の前面に前面吸込口17が形成されている。回転ブラシ16は前面吸込口17にも臨んでおり、ブラシ前部は前面吸込口17から僅かに突き出している。
【0033】
前面吸込口17には図7に示す形状のシャッター18が設けられる。シャッター18は跳ね上げ式であり、左右両側に設けられた支点軸19で本体ケース10に取り付けられ、支点軸19を中心として、図1及び図2に示す位置と、図4及び図5に示す位置の間を回動する。図1及び図2に示す位置で、シャッター18は前面吸込口17を閉ざし、図4及び図5に示す位置で、シャッター18は前面吸込口17を全開にする。シャッター18は通常は重力で図1及び図2に示す位置に保たれる。
【0034】
シャッター18の一部は前方に突出するバンパー部20となっている。バンパー部20はシャッター18と同じ正面幅を有するうね状の突部であって、図2に見られるように断面V字状であり、この形状のためシャッター18の剛性が増し、強度が向上している。バンパー部20は水平にではなく斜め上方向に突き出しており、図1及び図2に示すシャッター閉鎖位置において、その先端は支点軸19よりも高い位置にある。
【0035】
本体ケース10の上面には照明部21が設けられる。照明部21は、本体ケース10に一体成型で、あるいは別体の部品を取り付けて構成され、前面が開口となったハウジング部22と、ハウジング部22の内部に配置され、ハウジング部22の前面開口から前方に投光するLEDランプ23と、ハウジング部22の前面開口を覆う透明樹脂製のカバー24からなる。なお図2はカバー24を取り外した状態で描かれている。
【0036】
床用吸込具1は、図示しない電気掃除機に図示しないホース及び延長パイプを介して連結され、次のように動作する。ホースの手元操作部を操作して電気掃除機をパワーONの状態にすると、連結管11から本体ケース10を通じて空気の吸い込みが始まる。床用吸込具1が壁や家具から引き離されているときは、シャッター18は図1及び図2に示す位置に下りており、前面吸込口17は閉ざされ、底面の吸込口15からのみ空気が吸い込まれる。必要に応じ手元操作部の操作でLEDランプ23を点灯し、床用吸込具1の前方を照らす。
【0037】
図6に示すように、本体ケース10には連結管11の左側に足踏みスイッチ25が設けられている。足踏みスイッチ25は回転ブラシ16を回転させる電動機の制御スイッチであり、必要に応じこれを踏んで回転ブラシ16を回転させる。前面吸込口17はシャッター18で閉ざされているため、回転中の回転ブラシ16に使用者の手指等が接触して怪我をするといった事故を回避できる。
【0038】
壁際や家具の間際の掃除を行うときは、図3に示すように、壁や家具(図3では仮想線Wでその存在を象徴する)に床用吸込具1を接近させ、シャッター18のバンパー部20を壁や家具に押しつける。すると、前述の通りバンパー部20の先端は支点軸19よりも高い位置にあるため、バンパー部20に圧力が加わると、シャッター18には支点軸19を中心とするモーメントが発生する。モーメントは図3では時計回り方向であり、シャッター18が前面吸込口17を開く方向に作用し、シャッター18は跳ね上げられる。すなわちシャッター18は本体ケース10の中に入って行き、バンパー部20が照明部21の前方へ回り込む。最大限に跳ね上げられると、シャッター18は図4及び図5に示す位置に来る。
【0039】
シャッター18を跳ね上げると前面吸込口17が開くので、前方からもごみを吸い込むことができる。前方からのごみの通過を回転ブラシ16が阻害しないよう、回転ブラシ16を回転させておくのがよい。床用吸込具1を壁や家具から引き離せば、シャッター18は再び図1及び図2に示す位置に下がる。
【0040】
シャッター18は、前面吸込口17を開くために角度を変えると、バンパー部20が照明部21の前方に回り込む。このため、照明部21は前方の障害物―壁や家具、その他―から保護され、照明部21に障害物が衝突してカバー24に傷がついたり破損したりすることがなくなる。
【0041】
続いて本発明の第2実施形態以下の実施形態を図8以下の図に基づき説明する。これらの実施形態では、床用吸込具の符号「1」に「A」「B」…と実施形態後毎に異なる添字を付して第1実施形態と区別する。同様に、構成要素の中で第1実施形態にも存在したが第1実施形態から構造が変わったものにはその符号に「A」「B」…と実施形態後毎に異なる添字を付して第1実施形態と区別する。第1実施形態と変わらない構成要素には第1実施形態で用いたのと同じ符号を付し、説明は省略する。
【0042】
第2実施形態を図8から図11に示す。図8は第1実施形態で配慮すべきであった点を説明する床用吸込具の垂直断面図、図9は第2実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図、図10は第2実施形態に係る床用吸込口で用いられるシャッターの斜視図、図11は第2実施形態に係る床用吸込口で用いられるシャッターを異なる角度から見た斜視図である。
【0043】
照明部21のLEDランプ23は、床用吸込具の前方を照らすように光軸が設定されている。第1実施形態の床用吸込具1では、図8に示すように、シャッター18のバンパー部20が光軸を遮り、光が床に届くのを妨げていた。
【0044】
そこで第2実施形態に係る床用吸込具1Aでは、シャッター18Aのバンパー部20Aに横長の穴26を形成した。照明部21が投光する光は穴26を透過するので、光が床に届かないという問題は解消する。
【0045】
第3実施形態を図12と図13に示す。図12は第3実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図、図13はシャッターの斜視図である。
【0046】
第3実施形態に係る床用吸込具1Bでは、シャッター18Bのバンパー部20Bに横長の切り欠き27を形成した。照明部21が投光する光は切り欠き27を透過するので、光が床に届かないという問題は解消する。
【0047】
第4実施形態を図14に示す。図14は第4実施形態に係る床用吸込具のシャッターの斜視図である。
【0048】
第2実施形態ではシャッターのバンパー部に穴を形成し、第3実施形態ではシャッターのバンパー部に切り欠きを形成したが、第4実施形態ではシャッター18Cのバンパー部20Cに横長の穴を設けた後、そこに透明樹脂パネルを嵌め込んで透明板部28を形成した。照明部が投光する光は透明板部28を透過するので、床に光が届かないという問題は解消する。
【0049】
第5実施形態を図15及び図16に示す。図15は第5実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図、図16は図15の線A−Aに沿って得たシャッターのバンパー部の断面図である。
【0050】
第5実施形態に係る床用吸込具1Dでは、シャッター18D全体を透明樹脂で成型し、バンパー部20Dそのものを透明板部とした。バンパー部20Dの中でも照明部20が投光する光を透過させる部分は、光を前後左右に屈折拡散させる凹レンズ29として成型した。
【0051】
LEDランプ23は1個で用いられることはなく、図16に示すように複数のLEDランプ23を横一列に展開するのであるが、それらのLEDランプ23からの光は凹レンズ29によりさらに前後左右に屈折拡散するから、広い範囲を照明することが可能となる。
【0052】
第6実施形態を図17から図19に示す。図17及び図18は第6実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図で、シャッターの角度を異ならせたもの、図19は図17及び図18とは90°異なる方向から断面を得た床用吸込具の部分断面図である。
【0053】
第6実施形態に係る床用吸込具1Eでは、シャッター18Eに一体形成した支点軸19Eに歯車30が固定されている。歯車30には本体ケース10内に配置された電動機31(図19参照)の軸に固定された歯車32がかみ合う。シャッター18は、電動機31を駆動することにより、前面吸込口17を閉ざす角度へ、あるいはそれを開く角度へと角度変更される。このため、労力を要さずシャッター18を開閉することができる。
【0054】
支点軸19Eは左右両側に存在するが、その両方を電動機31で駆動する必要はない。どちらか一方だけに電動機31を配置すればよい。電動機31の制御については、足踏みスイッチ25と同様の足踏みスイッチを本体ケース10に追加することとしてもよく、ホースの手元操作部で操作することとしてもよい。
【0055】
シャッター18Eを回動させる動力源は電動機に限らない。電磁石でシャッター18Eを回動させる構成も可能である。
第7実施形態を図20から図24に示す。図20は第7実施形態に係る床用吸込具の水平断面図、図21は第7実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図、図22は図21の状態における変速プーリの位置を示す図、図23は第7実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図でシャッターの位置を図21と異ならせたもの、図24は図23の状態における変速プーリの位置を示す図である。
【0056】
第7実施形態に係る床用吸込具1Fは、回転ブラシ16を電動機33で回転させる。回転ブラシ16と電動機33の間には変速機構40が介在している。変速機構40は、電動機33の軸に巻き掛けられたベルト41と、回転ブラシ16の軸に巻き掛けられたベルト42と、電動機33と回転ブラシ16の間にあって、ベルト41とベルト42の両方を巻き掛ける変速プーリ43と、変速プーリ43を回転自在且つ軸線方向には移動不能に支持し、自身は本体ケース10内の軸受部44(図22参照)に回転自在且つ軸線方向に移動可能に支持された変速シャフト45と、変速シャフト45の一方の端に当接する面カム46を備える。変速プーリ43は鼓形であり、中央の小直径部にベルト41、42の一方が巻き掛けられ、その両側の大直径部の一方にベルト41、42の他方が巻き掛けられる。変速シャフト45は図示しないばねにより面カム46に押しつけられる。面カム46は支点軸19を中心としてシャッター18と共に回動する。
【0057】
図21のように、シャッター18が前面吸込口17を閉ざしている状態では、変速プーリ43及びそれを支持する変速シャフト45は図22において左寄りの位置にある。この時は、ベルト41が変速プーリ43の中央の小直径部に巻き掛けられ、ベルト42は図22において小直径部の右側に位置する大直径部に巻き掛けられる。これは変速機構40の高速側であり、回転ブラシ16は高速回転する。
【0058】
図23のように、シャッター18が前面吸込口17を開いている状態では、変速プーリ43及びそれを支持する変速シャフト45は図24に示すように面カム46のカム突部46aで押され、図24の右側にシフトする。すると、ベルト41は変速プーリ43の小直径部からその左側(図24において)に位置する大直径部に乗り移り、ベルト42は大直径部から小直径部に乗り移る。これは変速機構40の低速側であり、回転ブラシ16は減速回転する。
【0059】
このように、本体ケース10の底面の吸込口15から吸い込みを行う場合には回転ブラシ16が高速回転するから、ごみを力強くかき上げることができる。前面吸込口17から吸い込みを行う場合には回転ブラシ16は減速回転するから、安全性が向上する。
【0060】
第8実施形態を図25から図27に示す。図25及び図26は第8実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図で、シャッターの角度を異ならせたもの、図27は第8実施形態に係る床用吸込具の水平断面図である。
【0061】
第8実施形形態に係る床用吸込具1Gでは、本体ケース10の内部に、シャッター18の端部によって押されるスイッチ50が配置されている。スイッチ50はシャッター18の開閉状態を検知する検知装置として機能する。
【0062】
図25のようにシャッター18が前面吸込口17を閉ざしている状態では、シャッター18はスイッチ50から離れている。スイッチ50は「ON」または「OFF」の状態にあり、この状態であることが検知信号として電気掃除機に伝達され、電気掃除機はシャッター18が前面吸込口17を閉ざしていることを認識する。
【0063】
図26のようにシャッター18が前面吸込口17を開くと、シャッター18の端部がスイッチ50を押す。これによりスイッチ50のON/OFF状態が逆転する。スイッチ50のON/OFF状態が逆転したことが検知信号として電気掃除機に伝達され、電気掃除機はシャッター18が前面吸込口17を開いたことを認識する。
【0064】
このように、スイッチ50より電気掃除機にシャッター18の開閉状態を伝達し、電気掃除機の制御に役立てることができる。
【0065】
例えば電気掃除機に、スイッチ50からの検知信号に基づき、シャッター18の開閉状態に応じて回転ブラシ16の回転数を変える制御を行わせることができる。シャッター18が前面吸込口17を閉ざしている間は回転ブラシ16を高速回転させるが、シャッター18が前面吸込口17を開いたときは回転ブラシ16を減速回転させることとすれば、安全性が向上する。
【0066】
上記各実施形態の構成は、矛盾をきたさない限り、色々と組み合わせて実施することができる。
【0067】
床用吸込具に照明部を設けるについては、図28に示す構成も可能である。すなわちここではシャッター18を透明樹脂で成型し、バンパー部20の中にLEDランプ23を配置している。このようにすれば、本体ケース10の上面の照明部配置スペースが不要となる。
【0068】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は電気掃除機の床用吸込具に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態に係る床用吸込具の側面図である。
【図2】第1実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図である。
【図3】第1実施形態に係る床用吸込具の、シャッターが障害物に当たった状況を示す側面図である。
【図4】第1実施形態に係る床用吸込具の、前面吸込口を開いた状態の側面図である。
【図5】第1実施形態に係る床用吸込具の、前面吸込口を開いた状態の垂直断面図である。
【図6】第1実施形態に係る床用吸込具の上面図である。
【図7】第1実施形態に係る床用吸込口で用いられるシャッターの斜視図である。
【図8】第1実施形態で配慮すべきであった点を説明する床用吸込具の垂直断面図である。
【図9】第2実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図である。
【図10】第2実施形態に係る床用吸込口で用いられるシャッターの斜視図である。
【図11】図10のシャッターを異なる角度から見た斜視図である。
【図12】第3実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図である。
【図13】第3実施形態に係る床用吸込口で用いられるシャッターの斜視図である。
【図14】第4実施形態に係る床用吸込具のシャッターの斜視図である。
【図15】第5実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図である。
【図16】図15の線A−Aに沿って得たシャッターのバンパー部の断面図である。
【図17】第6実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図である。
【図18】第6実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図で、シャッターの角度を図17と異ならせたものである。
【図19】図17及び図18とは90°異なる方向から断面を得た床用吸込具の部分断面図である。
【図20】第7実施形態に係る床用吸込具の水平断面図である。
【図21】第7実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図である。
【図22】図21の状態における変速プーリの位置を示す図である。
【図23】第7実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図で、シャッターの位置を図21と異ならせたものである。
【図24】図23の状態における変速プーリの位置を示す図である。
【図25】第8実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図である。
【図26】第8実施形態に係る床用吸込具の垂直断面図で、シャッターの位置を図25と異ならせたものである。
【図27】第8実施形態に係る床用吸込具の水平断面図である。
【図28】床用吸込具の考え得る他の構成を示す垂直断面図である。
【図29】床用吸込具の従来の構成例を示す側面図である。
【図30】床用吸込具の従来の構成例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 床用吸込具
10 本体ケース
11 接続管
15 吸込口
16 回転ブラシ
17 前面吸込口
18 シャッター
19 支点軸
20 バンパー部
21 照明部
22 ハウジング
23 LEDランプ(光源)
24 カバー
26 穴
27 切り欠き
28 透明板部
29 凹レンズ
31 電動機
40 変速機構
50 スイッチ(検知装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に吸込口を有する本体ケース内に、駆動源で回転する回転ブラシを前記吸込口に臨ませて配置するとともに、前記本体ケースの上面には、前方を照らす照明部を設けた電気掃除機の床用吸込具において、
前記吸込口を前記本体ケースの前面まで延長して前面吸込口を形成し、この前面吸込口にも前記回転ブラシを臨ませるとともに、前記前面吸込口にはそれを閉ざす跳ね上げ式のシャッターを設け、前記シャッターは、前記前面吸込口を開くため角度を変えるとき、前記照明部を前方の障害物から保護する位置に変位することを特徴とする床用吸込具。
【請求項2】
前記シャッターの一部は前方に突出するバンパー部となり、前記シャッターが前記前面吸込口を開くと、前記バンパー部が前記照明部の前方に回り込むことを特徴とする請求項1に記載の床用吸込具。
【請求項3】
前記バンパー部には、前記照明部が投光する光を透過させる穴または切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の床用吸込具。
【請求項4】
前記バンパー部には、前記照明部が投光する光を透過させる透明板部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の床用吸込具。
【請求項5】
前記透明板部は、前記照明部が投光する光を屈折拡散させる凹レンズであることを特徴とする請求項4に記載の床用吸込具。
【請求項6】
前記バンパー部が前方の障害物に当たって圧力を受けると、前記シャッターに前記前面吸込口を開く方向のモーメントが作用することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の床用吸込具。
【請求項7】
前記シャッターは、動力により前記前面吸込口を閉ざす角度へ、あるいはそれを開く角度へと角度変更されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の床用吸込具。
【請求項8】
前記回転ブラシと前記駆動源との間に変速機構が設けられ、前記シャッターの開閉により前記変速機構の変速シフトが行われることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の床用吸込具。
【請求項9】
前記シャッターの開閉状態を検知し、その検知信号を当該床用吸込具が連結された電気掃除機に伝達する検知装置が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の床用吸込具。
【請求項10】
請求項9に記載の床用吸込具を連結する電気掃除機であって、前記検知装置からの検知信号に基づき、前記シャッターの開閉状態に応じて前記回転ブラシの回転数を変える制御を行うことを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−148661(P2010−148661A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329822(P2008−329822)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】