説明

店舗決済システム及び店舗決済方法

【課題】ハンディターミナルと決済端末とを用いた店舗決済システムの初期導入にかかる費用を低減するとともに、決済を行う顧客の満足度を高める。
【解決手段】ハンディターミナルと決済端末とを用いる。ハンディターミナルは、顧客が買上げる商品のコードを記憶する。そして、記憶した商品コードに基づいて特定される商品の販売データを決済端末で登録するか否かの判断に用いられるデータを当該商品コードとともに二次元シンボルに変換し、この二次元シンボルを可搬式の記録媒体に可視化表示させる。決済端末は、二次元シンボルを読み取り、この読み取った二次元シンボルから商品コード及び判断に用いられるデータを復元する。そして、復元された判断に用いられるデータにより商品の販売データを決済端末で登録すると決定した場合、二次元シンボルから復元された商品コードで特定される商品の販売データを処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディターミナルと決済端末、例えばPOS(Point Of Sales)端末とを用いた店舗決済システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のハンディターミナルと少なくとも1台のPOS端末とを用いた店舗決済システムは、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された店舗決済システムにおいて、各ハンディターミナルは、それぞれ商品データを入力するための商品データ入力部と、入力した商品データをPOS端末へ送信するための無線通信部とを有する。POS端末は、各ハンディターミナルと通信するための無線通信部と、各ハンディターミナルから上記無線通信部を経由して送られるデータに対し精算処理を行う精算処理部と、上記無線通信部を経由して送られるデータを印刷するレシート出力部とを少なくとも有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−102487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のこの種の店舗決済システムは、各ハンディターミナルで入力された商品データをPOS端末に無線通信を利用して伝達している。このため、店舗内に無線通信システムを構築しなければならない。無線通信システムを構築するためには、ハンディターミナルとして無線回路内蔵の機種を選定するとともに、POS端末に、各ハンディターミナルの親機となる無線機を接続する必要がある。また、店舗内のどの場所からもハンディターミナルから無線送信されたデータがPOS端末に届くように、店舗内の要所にステーション(中継装置)を設置しなければならない。したがって、初期導入の際に多額の費用がかかるという問題がある。
【0006】
また、この種の店舗決済システムを導入しようとする店舗では、通常、POS端末が複数台設置されている。POS端末が2台以上ある場合、POS端末毎に固有の通信アドレスを設定する必要がある。また、各ハンディターミナルでは、通信相手先となるPOS端末を1機選定し、そのPOS端末のアドレスをメモリに設定して、各ハンディターミナルで入力された商品データをあらかじめ設定された相手先POS端末アドレスを有するPOS端末に送信するように制御する必要がある。このため、特定のハンディターミナルで買上商品のデータが入力された顧客は、そのハンディターミナルに対して割り当てられているPOS端末が設置されている会計所に出向いて代金の支払いを行う制約がある。したがって、代金の支払いに出向いた会計所が混んでいたので別の会計所に行くというような対応を取ることができず、不満感を持たれる懸念がある。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、初期導入の際にかかる費用を大幅に低減できる上、決済を行う顧客の満足度を高め得る店舗決済システム及び店舗決済方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ハンディターミナルと決済端末とを用いた店舗決済システムであって、ハンディターミナルは、顧客が買上げる商品のコードを入力するコード入力手段と、このコード入力手段によって入力された商品コードを記憶する記憶手段と、この記憶手段により記憶した商品コードに基づいて特定される商品の販売データを決済端末で登録するか否かの判断に用いられるデータを当該商品コードとともに二次元シンボルに変換し、この二次元シンボルを可搬式の記録媒体に可視化表示させる手段とを備え、決済端末は、二次元シンボルを読み取る読取手段と、この読取手段により読み取った二次元シンボルから商品コード及び判断に用いられるデータを復元する復元手段と、この復元手段によって復元された判断に用いられるデータにより商品の販売データを決済端末で登録すると決定した場合、判断に用いられるデータとともに二次元シンボルから復元された商品コードで特定される商品の販売データを処理する商品販売データ処理手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
かかる手段を講じた本発明によれば、初期導入の際にかかる費用を大幅に低減できる上、決済を行う顧客の満足度を高め得る店舗決済システム及び店舗決済方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態である店舗決済システムの全体構成図。
【図2】同システムを構成するハンディターミナルのブロック図。
【図3】同ハンディターミナルのRAMに形成される主要なメモリエリアを示す図。
【図4】同システムを構成するPOS端末のブロック図。
【図5】同POS端末のHDDに保存される主要なデータファイルを示す図。
【図6】同ハンディターミナルのCPUが実行する主要な制御手順を示す流れ図。
【図7】同POS端末のCPUが実行する主要な制御手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
各接客担当者がそれぞれハンディターミナルを携帯して顧客と接客し、その顧客が買上げる商品のデータをハンディターミナルに入力する。一方、買物を終えた顧客は、POS端末が設置されている任意の会計所に出向いて代金を支払う。本実施の形態は、このような運用の店舗決済システムに、本発明を適用した場合である。
【0012】
はじめに、本実施の形態における店舗決済システムの全体図を図1に示す。このシステムは、複数M(M≧2)台のPOS端末1と、複数N(N>M)台のハンディターミナル2とを備えている。各ハンディターミナル2は、それぞれ二次元シンボル3が印刷されたサブレシート4を発行可能なプリンタ5を備えている。各POS端末1は、それぞれ二次元シンボル3を読取り可能なシンボルリーダ6を接続している。シンボルリーダ6は、バーコード等の一次元シンボルも読み取ることができる。この種のシンボルリーダ6は、カメラを使用した固定式や、スキャナを使用した手持ち式等、市販の機種を適用することができる。
【0013】
次に、各ハンディターミナル2の具体的構成について、図2のブロック図を用いて説明する。なお、各ハンディターミナル2は、同一構成である。
【0014】
ハンディターミナル2は、ユーザが携帯可能な小型軽量のターミナル本体20に、キーボード21、スキャナ22、表示器23及びプリンタインターフェイス24を設けている。また、制御部本体としてのCPU(Central Processing Unit)25、主記憶部としてのROM(Read Only Memory)26及びRAM(Random Access Memory)27を、前記ターミナル本体20に内蔵している。そして、CPU25と、ROM26,RAM27,キーボード21,スキャナ22,表示器23及びプリンタインターフェイス24とを、アドレスバス,データバス等のバスライン28を介して接続している。
【0015】
キーボード21は、“0”〜“9”の数字を入力するための置数キー、置数が点数であることを宣言する乗算キー、置数が商品コードであることを宣言する商品キー、置数がオペレータコードであることを宣言するオペレータキー、1客が買上げる商品のデータ入力終了を指令する終了キー、上方向へのカーソルの移動を指令する上キー、下方向へのカーソルの移動を指令する下キー、データの取消を指令する取消キー等の各種キーを配置したものである。
【0016】
スキャナ22は、商品に付されたバーコードを光学的に読み取るものである。
表示器23は、置数データや、スキャナ22で読み取られたバーコードを復号したコードデータ等を表示するものである。
【0017】
プリンタインターフェイス24は、前記プリンタ5を接続するためのものである。プリンタインターフェイス24とプリンタ5との間は、有線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。プリンタ5は、ユーザが携帯可能な小型軽量のものである。プリンタ5をターミナル本体20に内蔵して、ハンディターミナル1と一体化してもよい。
【0018】
かかる構成のハンディターミナル2は、図3に示すように、店舗コードエリア271、オペレータコードエリア272及び買上商品テーブル273を、RAM27に形成している。当該ハンディターミナル2を用いた店舗決済システムが稼動する店舗を特定するための店舗コードを、店舗コードエリア271で記憶する。当該ハンディターミナル2を携帯して接客を行う接客担当者を特定するためのオペレータコードを、オペレータコードエリア272で記憶する。1客が買上げる商品の商品コードと買上点数とを、買上商品テーブル273で記憶する。
【0019】
次に、各POS端末1の具体的構成について、図4のブロック図を用いて説明する。なお、各POS端末1は、同一構成である。
【0020】
POS端末1は、制御部本体を構成するCPU11、主記憶部を構成するROM12及びRAM13、補助記憶装置を構成するHDD(Hard Disk Drive)14、現在の日付及び時刻を計時する時計部15、上位コンピュータを接続する通信インターフェイス16、前記シンボルリーダ6を接続するシンボルリーダインターフェイス17の他、キーボード18、オペレータ用ディスプレイ19、客用ディスプレイ110、レシートプリンタ111等の種々の入出力デバイスを備えている。CPU11と、ROM12,RAM13,HDD14,時計部15,通信インターフェイス16,シンボルリーダインターフェイス17及び各種入出力デバイスとを、アドレスバス,データバス等のバスライン112を介して接続している。
【0021】
キーボード18は、“0”〜“9”の数字を入力するための置数キー、置数が点数であることを宣言する乗算キー、置数が商品コードであることを宣言する商品キー、置数が預かり金額であることを宣言する預/現計キー、1客が買上げる商品の合計出力を指令する合計キー、上方向へのカーソルの移動を指令する上キー、下方向へのカーソルの移動を指令する下キー、データの取消を指令する取消キー等の各種キーを配置したものである。
【0022】
オペレータ用ディスプレイ19は、POS端末のオペレータであるキャッシャに対して、客が買上げる商品の品名,単価、合計金額、釣銭額等を表示するものである。客用ディスプレイ110は、買物客に対して上記と同様なデータを表示するものである。レシートプリンタ111は、レシートの印字・発行を行うものである。
【0023】
かかる構成のPOS端末1は、HDD14に、各商品の商品コードに関連付けて、品名、単価等の商品データを記憶してなる商品データファイルを保存している。また、図5に示すように、業務開始時刻、業務終了時刻及びオペレータコードからなる接客担当者のスケジュールデータを記憶してなる業務スケジュールファイル141と、終了時刻調整時間tを記憶してなる調整時間データファイル142とを、HDD14に保存している。これらのデータファイルには、予め所望のデータを上位コンピュータからダウンロードする。
【0024】
次に、図6及び図7の流れ図を用いて、本実施の形態の作用を説明する。図6の流れ図は、各ハンディターミナル2におけるCPU25の制御手順を示しており、図7の流れ図は、各POS端末1におけるCPU11の制御手順を示している。
【0025】
各ハンディターミナル2において、RAM27の店舗コードエリア271には、予め該当する店舗コードが記憶されている。他方、各POS端末1において、HDD14の業務スケジュールファイル141には、当日に勤務する各接客担当者の業務スケジュール(業務開始時刻〜業務終了時刻)と、そのオペレータのオペレータコードとが紐付けられて記憶されている。また、調整時間データファイル142には、所望の調整時間が記憶されている。調整時間は、売場にて接客担当者が携帯するハンディターミナル2で買上げ商品のデータ入力を終えた顧客が、POS端末1が設置されている会計所まで出向いて支払いを行うまでに要する十分な時間(例えば10分)である。
【0026】
ハンディターミナル2とプリンタ5とを携帯した接客担当者は、はじめに、キーボード21の置数キーとオペレータキーとを操作して、自身に設定されたオペレータコードを入力する。
【0027】
これに関連して、ハンディターミナル2のCPU25は、ステップST1としてオペレータコードが入力されるのを待機している。そして、キーボード21を介してオペレータコードが入力されたと判断すると(ST1のYES)、CPU25は、ステップST2として、入力されたオペレータコードをRAM27のオペレータコードエリア272に上書きする。また、CPU25は、ステップST3として、RAM27の買上商品テーブル273をクリアする。
【0028】
なお、オペレータの識別子であるオペレータコードの入力手段は、キーボード21に限定されるものではない。例えば、各接客担当者が、それぞれ自身のオペレータコードを示すバーコードが印刷された名札を付している場合は、この名札に付されているバーコードをスキャナ22で読み取り操作することによって、オペレータコードをハンディターミナル2に入力してもよい。
【0029】
接客担当者は、次に、顧客から商品を買上げる旨の申し出を受けると、その商品の商品コード及び買上点数を、ハンディターミナル2に入力する。買上点数は、キーボード21の置数キーと乗算キーとによって入力する。なお、買上点数が“1”の場合は、点数入力を省略できる。商品コードは、商品にバーコードラベルが付されている場合にはそのバーコードをスキャナ22で読み取って入力する。バーコードラベルが付されていない場合には、キーボード21の置数キーと商品キーとによって入力する。接客担当者は、顧客が買上げる全ての商品のデータ(商品コード,買上点数)を入力する。そして、入力し終えると、接客担当者は、キーボード21の終了キーを入力する。
【0030】
これに関連して、ハンディターミナル2のCPU25は、ステップST4として、商品コードが入力されるのを待機している。キーボード21またはスキャナ22を介して商品コードが入力されたと判断すると(ST4のYES)、CPU25は、ステップST5として、置数nが入力されたか否かを判断する。置数nが入力されていない場合には(ST5のNO)、CPU25は、ステップST6として、入力された商品コードと買上点数“1”とを、買上商品テーブル273に書き込む。これに対し、キーボード21を介して置数nが入力された場合には(ST5のYES)、CPU25は、ステップST7として、入力された商品コードと買上点数nとを、買上商品テーブル273に書き込む。
【0031】
ここに、キーボード21及びスキャナ22は、顧客が買上げる商品のデータを入力するための入力手段を構成する。買上商品テーブル273は、入力手段を介して入力された商品データを記憶する記憶手段を構成する。
【0032】
CPU25は、ST6またはST7の書込み処理を終了する毎に、ステップST8として、キーボード21の終了キーが入力されたか否かを判断する。終了キーが入力されていないと判断した場合には(ST8のNO)、CPU25は、ステップST4の処理に戻る。したがって、CPU25は、商品データが入力される毎に(ST4のYES)、上記商品データの書込み処理(ST6またはST7)を実行する。
【0033】
キーボード21の終了キーが入力されたと判断すると(ST8のYES)、CPU25は、ステップST9として、店舗コードエリア271及びオペレータコードエリア272に格納されている店舗コード及びオペレータコードを取得する。そして、ステップST10として、これら店舗コード及びオペレータコードと、買上商品テーブル273に格納された商品データ(商品コード,買上点数)とを順に配列したコード列を、例えばマトリックス型の二次元シンボル3に変換する。しかる後、CPU25は、ステップST11として、プリンタインターフェイス24を介して接続されるプリンタ5を制御して、記録紙に上記二次元シンボル3を印字して、サブレシート4として発行する。このように、本実施の形態では、店舗コード,オペレータコード、商品データ及びその買上点数からなる二次元シンボル3が、印刷によって可視化表示された紙媒体をサブレシート4と定義する。
【0034】
ここに、CPU25は、ステップST8の処理により、顧客が買上げる商品のデータ入力終了を検知する終了検知手段を構成する。また、ステップST9〜ST11の処理により、終了検知手段により商品データ入力終了を検知したことに応じて、記憶手段(買上商品テーブル273)に記憶された商品データを可搬式の記録媒体に記録する記録手段、詳しくは、記憶手段に記憶された商品データを二次元シンボルに変換し、この二次元シンボルを可搬式の記録媒体(サブレシート4)に可視化表示させる手段を構成する。
【0035】
終了キーを入力した接客担当者は、プリンタ5からサブレシート4が発行されるのを待機する。そして、サブレシート4が発行されたならば、サブレシート4を顧客に渡す。サブレシート4を受取った顧客は、会計所に出向いて、買上商品の代金を支払う。この際、会計所の場所は、特に制約されない。会計所に出向いた顧客は、キャッシャにサブレシート4を渡す。サブレシート4を受取ったキャッシャは、そのサブレシート4に印刷されている二次元シンボル3をシンボルリーダ6によって読み取らせる。
【0036】
これに関連して、POS端末1のCPU11は、ステップST21として、二次元シンボル3が読み取られるのを待機している。シンボルリーダ6により二次元シンボル3が読み取られたと判断すると(ST21のYES)、CPU11は、ステップST22として、シンボルリーダインターフェイス17を介して入力された二次元シンボル3のデータを、店舗コード,オペレータコード及び商品データ(商品コード,買上点数)からなるコード列に復元する。
【0037】
ここに、シンボルリーダ6及びCPU11は、記録媒体に記録された商品データを読み取る読取手段、詳しくは、記録媒体(サブレシート4)に可視化表示された二次元シンボル3を読取り、商品コードを復元する手段を構成する。
【0038】
二次元シンボル3をコード列に復元し終えると、CPU11は、ステップST23として、復元されたコード列の中の店舗コードが自店舗の店舗コードと一致するか否かを判断する。各POS端末1のRAM13には、予め自店舗の店舗コードが設定されている。CPU11は、この自店舗の店舗コードと二次元シンボル3から復元した店舗コードとを照合して、一致するか否かを判断する。店舗コードが一致しない場合(ST23のNO)、サブレシート4は他の店舗で発行されたものである。この場合、CPU11は、エラーを報知する。
【0039】
店舗コードが一致した場合(ST23のYES)、CPU11は、ステップST24として、時計部15から現在時刻Tを取得する。そして、ステップST25として、二次元シンボル3から復元したオペレータコードと上記現在時刻Tとを検索キーとして、業務スケジュールファイル141を検索する。具体的には、検索キーであるオペレータコードが紐付けられている業務スケジュールデータの中に、現在時刻Tを、その[業務開始時刻]から[業務終了時刻+終了時刻調整時間]までの業務時間帯に含むデータがあるか否かを判断する。例えば、該当するオペレータコードのスケジュールデータの業務開始時刻が11時00分、業務終了時刻が12時00分、終了時刻調整時間が10分であると仮定すると、11時00分から12時10分の業務時間帯に現在時刻Tが含まれるか否かを判断する。
【0040】
現在時刻Tを業務時間帯として含むスケジュールデータが存在する場合、二次元シンボル3が印刷されたサブレシート4は、正規の接客担当者が発行した正当なものである。これに対し、現在時刻Tを業務時間帯として含むスケジュールデータが存在しない場合、サブレシート4は、正規の接客担当者以外の者が発行した不正なものである可能性がある。
【0041】
CPU11は、業務スケジュールファイル141を検索した結果、現在時刻Tを業務時間帯として含むスケジュールデータが存在する場合、ステップST26として、サブレシート4が有効であると判断する。換言すれば、現在時刻Tを業務時間帯として含むスケジュールデータが存在しない場合は、サブレシート4が無効であると判断する。サブレシート4が無効であると判断した場合には(ST26のNO)、CPU11は、エラーを報知する。
【0042】
一方、サブレシート4が有効であると判断した場合(ST26のYES)、CPU11は、ステップST27として、二次元シンボル3から復元した商品データ(商品コード,買上点数)をRAM13の取引メモリに展開する。そして、ステップST28として、オペレータ用ディスプレイ19及び客用ディスプレイ110に、買上商品データ、すなわち取引メモリに展開された商品コードで特定される商品の品名、単価、買上点数及び買上金額(単価×買上点数)と、買上商品の合計金額とを表示させる。
【0043】
サブレシート4の二次元シンボル3をシンボルリーダ6で読み取らせたキャッシャは、買上商品データが表示されるのを待機する。エラーが報知されること無く、オペレータ用ディスプレイ19に買上商品データが表示された場合には、その表示内容と客が購入する商品とを照合して、取引を確定させてよいか否かを判断する。取引を確定させてよい場合には合計キーを入力して、顧客から代金の支払いを受ける。
【0044】
なお、この時点で顧客から別の商品の購入申し出を受ける場合がある。あるいは、ある商品の購入取り止めの申し出を受ける場合がある。このような場合、キャッシャは、キーボード18またはシンボルリーダ6を操作して、追加商品あるいは取消商品のデータを入力する。追加商品あるいは取消商品のデータは、取引メモリのデータに反映され、オペレータ用ディスプレイ19及び客用ディスプレイ110の表示内容が更新される。
【0045】
これに関連して、CPU11は、ステップST29として合計キーが入力されるか、ステップST30として買上商品データの修正が指示されるのを待機する。キーボード18を介して買上商品の修正データ、すなわち追加商品データや取消商品データが入力された場合には、CPU11は、ステップST31として、その修正データに基づいて取引メモリの商品データを修正する。しかる後、ST28の処理に戻り、修正後の取引メモリのデータに合せて、オペレータ用ディスプレイ19及び客用ディスプレイ110の買上商品データを更新する。
【0046】
合計キーが入力された場合には、CPU11は、ステップST32として、商品販売データ処理を実行する。この処理は、取引メモリに記憶された商品データに基づいて商品販売データを取得し、この商品販売データを売上メモリに登録する処理である。また、客の代金支払いに応じた処理、例えば現金支払いの場合には釣銭額を算出して、オペレータ用ディスプレイ及び客用ディスプレイに表示させる処理を含む。ここに、CPU11は、読取手段(シンボルリーダ6及びCPU11)により読み取った商品データに基づいて顧客が買上げる商品の販売データを処理する商品販売データ処理手段を構成する。
【0047】
商品販売データ処理が終了すると、CPU11は、ステップST33として、レシートプリンタ111を動作させて、買上レシートを印字発行させる。キャッシャは、買上レシートを顧客に渡す。以上で、当該顧客との一取引が終了する。
【0048】
このように本実施の形態によれば、複数台のPOS端末1と、POS端末1より台数の多いハンディターミナル2とからなる店舗決済システムを、店舗内に無線通信システムを構築することなく導入することができる。したがって、システムの構築に要する手間と時間を短縮できる上、初期導入の際にかかる費用も大幅に低減させることができる。
【0049】
また顧客は、ハンディターミナル2から発行された正当なサブレシート4を持ってさえいれば、どの会計所に出向いても代金を支払うことができる。したがって、例えば比較的空いている会計所を顧客自身が選択することができるので、顧客の満足度を高めることができる。
【0050】
換言すれば、サブレシート4に印刷されている二次元シンボル3に組み込まれている店舗コードやオペレータコードが不正なコードであった場合には、エラーとなって決済が禁止される。したがって、たとえハンディターミナル2とPOS端末1とがオフラインであっても、十分なセキュリティを確保することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、ハンディターミナル2において、買上商品テーブル273に記憶された商品データを二次元シンボル3に変換しているが、二次元シンボル3は、非常に多くの情報を持つことができるので、通常は、買上げ商品の数に係らず1人の客に対して二次元シンボル3は1つで十分である。したがって、会計所では、二次元シンボル3の1回の読み取り操作だけで、客が買上げる商品のデータをPOS端末1にまとめて入力できるので、会計業務の処理時間短縮及びキャッシャの作業負荷軽減をも図ることができる。
【0052】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0053】
例えば、前記実施の形態では、二次元シンボルを可視化表示させる記録媒体を紙媒体としたが、記録媒体は紙媒体に限定されるものではない。たとえば、所定の温度で加熱することにより発色したり消色したりする可逆性感熱記録媒体を用いることもできる。
【0054】
また、本発明は、必ずしも記憶手段に記憶された商品データを二次元シンボルに変換し、この二次元シンボルを可搬式の記録媒体に可視化表示させる必要はない。記憶手段に記憶された商品データをそのまま可搬式の記録媒体に記録させ、この記録媒体に記録された商品データをPOS端末1で一括して読み取るようにしてもよい。例えば、POS端末1がRFIDリーダ・ライタを備えていた場合は、記録媒体をRFIDカードとすることによって、上記実施形態を実現することができる。
【0055】
また、前記実施の形態では、ハンディターミナル2のCPU25は、ステップST1としてオペレータコードが入力されるのを待機し、オペレータコードが入力されたならば、ステップST2として、入力されたオペレータコードをRAM27のオペレータコードエリア272に上書きするとともに、ステップST3として、RAM27の買上商品テーブル273をクリアするようにしている。したがって、1取引毎にオペレータコードを入力する必要がある。このような仕組みは、1台のハンディターミナル2を複数のオペレータが共有する場合に有効である。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
例えば、ハンディターミナル2のキーボード21に買上商品テーブル273のクリアを指示するキーを設ける。そして、ステップST1としてオペレータコードが入力されるのを待機しているときに、上記クリアの指示キーが入力されたことを検知したならば、CPU25は、ステップST3の処理、すなわちRAM27の買上商品テーブル273をクリアするように構成する。こうすることにより、各オペレータがそれぞれハンディターミナル2を占有する仕様においては、1取引毎にオペレータコードを入力しなければならない手間を省略できる。
【0057】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
以下に、本分割出願の基礎となる出願(特願2008−179349)の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
ハンディターミナルと決済端末とを用いた店舗決済システムであって、前記ハンディターミナルは、顧客が買上げる商品のデータを入力するための入力手段と、前記入力手段を介して入力された商品データを記憶する記憶手段と、顧客が買上げる商品のデータ入力終了を検知する終了検知手段と、この終了検知手段により商品データ入力終了を検知したことに応じて、前記記憶手段に記憶された商品データを可搬式の記録媒体に記録する記録手段と、を具備し、前記決済端末は、前記記録媒体に記録された商品データを読み取る読取手段と、この読取手段により読み取った商品データに基づいて顧客が買上げる商品の販売データを処理する商品販売データ処理手段とを具備したことを特徴とする店舗決済システム。
【0058】
[付記2]
前記記録手段は、前記記憶手段に記憶された商品データを二次元シンボルに変換し、この二次元シンボルを可搬式の記録媒体に可視化表示させる手段であり、前記読取手段は、前記記録媒体に可視化表示された二次元シンボルを読取り、商品コードを復元する手段であることを特徴とする付記1記載の店舗決済システム。
【0059】
[付記3]
顧客が買上げる商品のデータを入力するための入力手段と、前記入力手段を介して入力された商品データを記憶する記憶手段と、顧客が買上げる商品のデータ入力終了を検知する終了検知手段と、この終了検知手段により商品データ入力終了を検知したことに応じて、前記記憶手段に記憶された商品データを、当該商品データに基づいて顧客が買上げる商品の販売データを処理する決済端末に入力するための可搬式の記録媒体に記録する記録手段とを具備したことを特徴とするハンディターミナル。
【0060】
[付記4]
入力手段,記憶手段、終了検知手段及び記録手段を備えたハンディターミナルと、読取手段及び商品販売データ処理手段を備えた決済端末とを用いた店舗決済方法であって、前記ハンディターミナルにおいて、顧客が買上げる商品のデータを、前記入力手段により入力し、この入力された商品データを、前記記憶手段で記憶し、前記終了検知手段により顧客が買上げる商品のデータ入力終了を検知すると、前記記憶手段に記憶された商品データを、前記記録手段により可搬式の記録媒体に記録し、前記決済端末は、前記記録媒体に記録された商品データを、前記読取手段により読取り、この読み取った商品データに基づいて、前記商品販売データ処理手段が、前記顧客が買上げる商品の販売データを処理することを特徴とする店舗決済方法。
【0061】
[付記5]
前記記録手段は、前記記憶手段に記憶された商品データを二次元シンボルに変換し、この二次元シンボルを可搬式の記録媒体に可視化表示させ、前記読取手段は、前記記録媒体に可視化表示された二次元シンボルを読取り、商品コードを復元することを特徴とする付記4記載の店舗決済方法。
【符号の説明】
【0062】
1…POS端末、2…ハンディターミナル、3…二次元シンボル、4…サブレシート、5…プリンタ、6…シンボルリーダ、11,25…CPU、15…時計部、17…シンボルリーダインターフェイス、18,21…キーボード、19…オペレータ用ディスプレイ、22…スキャナ、23…表示器、24…プリンタインターフェイス、110…客用ディスプレイ、111…レシートプリンタ、273…買上商品テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンディターミナルと決済端末とを用いた店舗決済システムであって、
前記ハンディターミナルは、
顧客が買上げる商品のコードを入力するコード入力手段と、
このコード入力手段によって入力された商品コードを記憶する記憶手段と、
この記憶手段により記憶した商品コードに基づいて特定される商品の販売データを前記決済端末で登録するか否かの判断に用いられるデータを当該商品コードとともに二次元シンボルに変換し、この二次元シンボルを可搬式の記録媒体に可視化表示させる手段と、を具備し、
前記決済端末は、
前記二次元シンボルを読み取る読取手段と、
この読取手段により読み取った前記二次元シンボルから前記商品コード及び前記判断に用いられるデータを復元する復元手段と、
この復元手段によって復元された前記判断に用いられるデータにより前記商品の販売データを前記決済端末で登録すると決定した場合、前記判断に用いられるデータとともに前記二次元シンボルから復元された商品コードで特定される商品の販売データを処理する商品販売データ処理手段と、
を具備したことを特徴とする店舗決済システム。
【請求項2】
前記決済端末は、
前記復元手段によって復元された前記判断に用いられるデータにより前記商品の販売データを前記決済端末で登録すると決定した場合、前記判断に用いられるデータとともに前記二次元シンボルから復元された商品コードで特定される商品の品名及び単価を表示させる手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の店舗決済システム。
【請求項3】
前記決済端末は、
前記復元手段によって復元された前記判断に用いられるデータにより前記商品の販売データを登録しないと決定した場合、エラーを報知する手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1または2記載の店舗決済システム。
【請求項4】
前記決済端末は、
前記判断に用いられるデータにより前記商品の販売データを前記決済端末で登録するか否かの決定に現在時刻を用いることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の店舗決済システム。
【請求項5】
前記ハンディターミナルは、
プリンタが接続されるプリンタインターフェイスを備え、このプリンタインターフェイスに接続されたプリンタを制御して前記二次元シンボルを印刷させることを特徴とする請求項1記載の店舗決済システム。
【請求項6】
前記決済端末は、
前記二次元シンボルから復元した商品コードを展開する取引メモリを有し、追加商品あるいは取消商品のデータ入力があると、当該入力データに基づいて前記取引メモリの内容を修正することを特徴とする請求項1記載の店舗決済システム。
【請求項7】
ハンディターミナルと決済端末とを用いた店舗決済方法であって、
前記ハンディターミナルは、
コード入力手段によって顧客が買上げる商品のコードが入力されると、この入力された商品コードを記憶部で記憶し、
この記憶部に記憶した商品コードに基づいて特定される商品の販売データを前記決済端末で登録するか否かの判断に用いられるデータを当該商品コードとともに二次元シンボルに変換し、
この二次元シンボルを可搬式の記録媒体に可視化表示させ、
前記決済端末は、
読取手段よって前記二次元シンボルを読み取ると、この読み取られた前記二次元シンボルから前記商品コード及び前記判断に用いられるデータを復元し、
この復元された前記判断に用いられるデータにより前記商品の販売データを前記決済端末で登録すると決定した場合、前記判断に用いられるデータとともに前記二次元シンボルから復元された商品コードで特定される商品の販売データを処理することを特徴とする店舗決済方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−43471(P2012−43471A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258676(P2011−258676)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2008−179349(P2008−179349)の分割
【原出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】