説明

庭園保全車両用の油圧式トランスアクスル

静水圧変速機アセンブリは、第1のジロータモータと、ポンプハウジングと、第1の可変容量型ポンプと、第2のジロータモータと、第2の可変容量型ポンプとを含む。第1のジロータモータは、第1の軸に沿って整列された第1の出力シャフトを含む。ポンプハウジングは、第1のジロータモータに接続して、接触している。第1の可変容量型ポンプは、第1のポンプハウジングに装着されて、第2の軸に沿って整列された第1の被駆動シャフトを含み、第2の軸は、第1の軸(第1の出力シャフト軸)に対して概して垂直である。第1の可変容量型ポンプは、ポンプハウジング内の通路を介して、第1のジロータモータと流体連通している。第2のジロータモータは、第1の軸に概して沿って、または概して平行に整列された第2の出力シャフトを含む。第2のジロータモータは、ポンプハウジングの第1のジロータモータと反対側で、ポンプハウジングに接続されている。第2の可変容量型ポンプは、ポンプハウジングに装着されて第2の軸に概して平行に整列された、第2の被駆動シャフトを含む。可変容量型ポンプは、ポンプハウジング内の通路を介して、第2のジロータモータと流体連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
油圧制御ギア駆動式ドライブアクスルは、歩行式(walk behind)や乗込み式(ride-on)の芝刈り機、オールテラインビークル(ATV)、およびトラクターなどの陸上車両の速度や方向を制御する効率的な方法である。公知の油圧制御式ドライブユニットの中には、車両の制御の相対的な円滑さを損なう可能性のある、高減速比機械式ギアリングを備えるものがある。さらに、これらのドライブユニットは、本質的に、対地かみ合い動力(ground engaging power)の量が制限されており、制限された量以上のエンジン馬力を対地かみ合いタスクに投入することはできないことがある。このことは、トランスアクスルの制御、精度および寿命に影響を及ぼすだけでなく、車両の性能を低下させ、そうでなければ車両の用途を制限する。
【0003】
その他の公知の対地かみ合いトランスアクスルは、設計および重量において大がかりである。ピストン動力ポンプ付きユニットは、適合性があるが、地面に動力を伝えるために、別個のモータが必要なこと、または関連するギア伝達装置が必要なことを含み、それ自体の要件や制約がある。これらの公知のドライブシステムは機能しうるが、それぞれの設計のコストや性能における、それらの妥協は明白である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】
静水圧変速機(hydrostatic transmission)アセンブリは、第1のジロータ(gerotor)モータと、ポンプハウジングと、第1の可変容量型ポンプ(variable displacement pump)と、第2のジロータモータと、第2の可変容量型ポンプとを含む。第1のジロータモータは、第1の軸に沿って整列された第1の出力シャフトを含む。ポンプハウジングは、第1のジロータモータに接続して、接触している。第1の可変容量型ポンプは、ポンプハウジングに装着されて第2の軸に沿って整列された、第1の被駆動シャフトを含み、この第2の軸は、第1の軸(第1の出力シャフト軸)に概ね垂直である。第1の可変容量型ポンプは、ポンプハウジング内の通路を介して、第1のジロータモータと流体連通している。第2のジロータモータは、第1の軸に概して沿って、または概して平行に整列された第2の出力シャフトを含む。第2のジロータモータは、ポンプハウジングの第1のジロータモータと反対側で、ポンプハウジングに接続されている。第2の可変容量型ポンプは、ポンプハウジングに装着されて第2の軸に対して概して平行に整列された、第2の被駆動シャフトを含む。可変容量型ポンプは、ポンプハウジング内の通路を介して、第2のジロータモータと流体連通している。
【0006】
第2の実施形態によれば、静水圧変速機アセンブリは、ジロータモータと、可変容量型ポンプハウジングと、可変容量型ポンプとを含む。ジロータモータは、出力シャフトと、この出力力シャフトを取り囲むモータハウジングとを含む。モータハウジングは、出力シャフトの回転軸に対して概して直交する第1の表面を画定する。ジロータモータは、第1のポートと第2のポートとをさらに含む。可変容量型ポンプハウジングは、モータハウジングに接続している。ポンプハウジングは、ポンプハウジングの第1の表面に当接する第2の表面を含む。ハウジングは、また、第1の概して直線状の通路と第2の概して直線状の通路とを含む。第1の通路は、ジロータモータの第1のポートと連通している。第2の通路は、ジロータモータの第2のポートと連通している。可変容量型ポンプは、少なくとも部分的にポンプハウジング内に配置されている。ポンプは、出力シャフトに概して垂直に整列された、被駆動シャフトを含む。ポンプは、また、第1の通路および第2の通路と連通するポンプ室を含む。
【0007】
別の実施形態によれば、静水圧変速機アセンブリは、ポンプユニットと、ラジエータと、第1の油圧モータと、第2の油圧モータとを含む。ポンプユニットは、第1および第2の容量型ポンプ(displacement pump)を含む。ラジエータは、ポンプユニットに接続するとともに、第1の容量型ポンプと流体連通している少なくとも2つの通路を含む。第1の油圧モータは、ラジエータと接続して、ラジエータの少なくとも2つの通路と連通する。第2の油圧モータは、ポンプユニットに接続するとともに、第2の容量型ポンプと連通する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
陸上車両、例えば乗用ゼロターン式草刈り機(riding zero-turn mower)、歩行式市販芝刈り機、庭用トラクター、オールテラインビークル、または小型自立式無限軌道バックホー用の静水圧変速機アセンブリ10は、構成要素の組合せを使用して、信頼性があり、円滑で、制御が容易な、高トルク動力供給パッケージを提供する。動力入力、制御、および動力供給はユーザには明白である。
【0009】
図1を参照すると、ドライブアセンブリ10の一実施形態は、ポンプユニット12と、ラジエータ14と、第1の油圧動力ユニット16と、第2の油圧動力ユニット18とを含む。図1でわかるように、ラジエータ14は、ポンプユニット12に直接、接触して接続する。第1の油圧ユニット16は、ラジエータ14に直接、接触して接続し、第2の油圧ユニット18は、ポンプユニット12に直接、接触して接続する。したがって、ポンプユニット12と油圧動力ユニット16および18との間の流体連通が頑強で耐久性のあるハウジングユニット内部にあって、機械的に満足できる自立型ドライブアセンブリを提供する、小型の静水圧ドライブアセンブリが提供される。
【0010】
図2および3を参照すると、ポンプユニット12はポンプハウジング22を含み、このポンプハウジング22は、この特定の実施形態においては下部ハウジング部分26に取り付けられた上部プレート24を含み、この下部ハウジング部分26は、図示されている実施形態においては、長方形箱状構成をとる。湾曲した内壁28は、下部ハウジング部分26に位置し、第1の開口32と第34の開口とを含む。ポンプハウジング22は、第1のポンプ40および第2のポンプ42の構成要素を収容し、これらは、図示したポンプユニット12内では、可変容量型ポンプである。
【0011】
第1のポンプ40は、トランスアクスルアセンブリ10の外部にあるモータM(図1に概略を図示)で駆動される被駆動シャフト44を含む。モータMは、車両だけでなく、車両のその他の構成要素、例えば、草刈り機ブレード(mower blades)、その他を駆動するモータとすることもできる。モータMは、変速機(図示せず)を介して被駆動シャフト44を動作可能に駆動することができる。
【0012】
回転可能シリンダブロック46が、被駆動シャフト44に接続し、その結果として、ブロック46はシャフトと共に回転する。回転可能なシリンダブロック46は、スプリング負荷されたピストン52を受ける複数の室48を含む。斜板(swash plate)54は、ピストン52と接触して、各室48内のポンプ室体積を変化させる。斜板54は、被駆動シャフト44の回転軸の回りに旋回する。軸受、例えば上部軸受56および下部軸受58が被駆動シャフト44を支持する。上部軸受56は、第1のポンプ40の構成要素の残部と反対側の上部プレート24に配置されている。図示するように、軸受キャップ62は、上部軸受56の上方に載せられて、上部プレート24に接続して、軸受を保護している。同様に、下部軸受58を受け入れるくぼみ(recess)を有する下部プレート部材64は、下部ハウジング部分26に取り付けられている。下部軸受58は、第1ポンプ40の構成要素の残部と反対側の内壁28に配置されている。
【0013】
被駆動シャフト44は、内壁28中の第1の開口32を通過して延びる。被駆動シャフト40は、第1の円形ギア66に接続する。第1の円形ギア66は、下部軸受58と下部ハウジング部分26の内壁28との間に挟まれる。したがって、第1の被駆動ギア66は、第1のポンプ40の構成要素の残部から離隔されている。
【0014】
第2のポンプ42は、第1のポンプ40と非常に類似する構成を有する。第2のポンプ42は、シリンダブロック76を駆動する被駆動シャフト74を含む。シリンダブロック76は、スプリング負荷されたピストン82を受ける、複数の室78を含む。斜板84は、スプリング負荷されたピストン82と接触する。斜板84は、被駆動シャフト74の回転軸の回りに旋回させることによって変位させて、シリンダブロック76の各室78内で画定されるポンプ室の体積を変化させることができる。被駆動シャフト74は、また、軸受すなわち、上部スリーブ軸受86および下部ボール軸受88によっても支持されており、下部ボール軸受88は、中間壁28を介して第2のポンプ42の構成要素の残部から離隔されている。下部プレート部材64もまた、下部ボール軸受88を受けるためのくぼみを含む。
【0015】
円形ギア92は、被駆動シャフト74に接続している。円形ギア92は、第2ポンプ42の構成要素の残部と中間壁28の反対側に配設されている。第2のギア92は、第1の円形ギア66と係合する。それぞれのギア66、92は、同じ直径であり、その結果、第1の速度で第1のギア66が回転すると、同じ速度で第2のギア92が回転することになる。したがって、第1の駆動シャフト44が回転すると、第2の被駆動シャフト74が、第1の被駆動シャフトと同じ速度で(しかし反対回転方向に)回転することになる。図示した実施形態におけるギア66および92は、粉末金属によって製作されており、第1の被駆動シャフト44と第2の駆動シャフト74との間の効率的な接続をもたらす。ギア66および92は、トランスアクスルアセンブリ用の共通の回転モータMを可能にする。望ましい場合には、第1のギア66と第2のギア92の間に中間ギアを配置して、第1の回転方向における第1のギア66の回転から、同じ回転方向の第2のギア92の回転が生じるようにすることができる。斜板54および84の角度変位は、制御部材、例えば、棒94および96(図1)によって制御される。第1の斜板54の角度調整は、制御部材94によって制御され、第2の斜板84の角度変位は、制御部材96によって制御される。車両の運転者は、それぞれ個々のポンプの体積出力を、当該技術において知られている方法で制御部材を操作することによって、変更することができる。
【0016】
図2に戻ると、チャージポンプ100は、ポンプユニット12の上部プレート24に装着されている。車両の補助機能、例えば、ステアリング、草刈り機デッキリフト(deck lift)、またはその他の補助機能のための油圧動力を提供するために、チャージポンプ100は、そのチャージ機能に対して必要とされるよりも大容量のものであって、入出タップ(in/out taps)102、104を含む。チャージャポンプ100は、第2の被駆動シャフト74に接続している。チャージポンプ100の被駆動シャフト74への相互接続によって、チャージポンプ100は、ポンプ40および42の制御条件にかかわらず、第1の被駆動シャフト44が回転すればいつでも起動状態にある。チャージポンプ100の容量は、両方のポンプ40および42のためのチャージポンプ100の使用に関して、両者に対して十分な流れの量を提供するように、設定される。油圧チャージポンプ100は、起動状態のポンプ室40および42をバイパスする油を再充填する。示した実施形態において、チャージポンプ100はまた、冷間スタートを含む、すべての動作条件において、動作の即時性をもたらすために、ポンプユニットに呼び水をする(prime)。
【0017】
図3においてより明確にわかるように、上部プレート26は、複数の経路と開口を含む。第1および第2の湾曲開口110、112は、それぞれシリンダブロック46(図2)の室48(図2)と連通して、第1の被駆動シャフト44の回転方向に応じて、第1のポンプ40用の入力ポートおよび出力ポートを提供する。第1の湾曲開口110は、以下により詳細に説明するように、第2の油圧動力ユニット18と連通する第1の直線状通路114と連通する。第2の湾曲開口112は、以下により詳細に説明するように、第2の油圧動力ユニット18と連通する第2の直線状通路116と連通する。第1の開口118は、第1の直線状通路114がそこで終端する、上部プレート26の第1の平面表面122に形成されている。第2の開口124もまた、上部プレート26の第1の平面表面122内に形成されて、第2の直線状通路116と連通する。第1および第2のボルト開口126、128も、第2の油圧ユニット18をポンプユニット12に取り付けることを可能にするために、それぞれ、上部プレート126内に形成される。
【0018】
上部プレート26はまた、第2のポンプ42のシリンダブロック76(図2)の室78(図2)と連通する、第3の湾曲開口130と第4の湾曲開口132を含む。第3の湾曲開口130は、以下により詳細に説明するように、第1の油圧ユニット16と連通する第3の直線状通路134と連通する。第4の湾曲開口132は、以下により詳細に説明するように、第1の油圧ユニット16と連通する第4の直線状通路136と連通する。第3の開口138は、第3の直線状通路134と連通する、上部プレート26の第2の平面表面142内に形成される。第4の開口144は、第2の平面表面142に設けられて、第4の直線状開口136と連通する。第3および第4のボルト穴146、148は、それぞれ、ラジエータ14をポンプユニット12に取り付けられるようにするために、上部プレート26内に設けられる。
【0019】
図1に戻って参照すると、ラジエータ12は、ポンプユニット12と接触して接続している。図示した実施形態においては、図4においてより明確にわかるように、ラジエータ14は、熱伝導性材料、好ましくは金属からなる、一体型ケーシング160である。ラジエータ14は、アセンブリ10内で発達した熱を放散するための、ケーシング160に形成された、複数のフィン162を含む。図示したラジエータは、ラジエータ14が第1の油圧動力ユニット16とポンプユニット12の間に延びている点において、アセンブリ10全体に対して非対称であるが、この非対称性は、アセンブリ用の液溜め(後述)を介する両動力ユニットを通過する体積流が実質的に同等になることから適当である。約50%の流体が各ポンプ40、42を通過すると、その結果は、アセンブリの合計流体体積の25%がラジエータ作用に供される。望ましい場合には、ラジエータは、図4に示すものと実質的に同様のラジエータを、ポンプユニット12と第2の油圧動力ユニット18との間に介在させることもできる。また、異なる長さのラジエータを使用すると、アセンブリ10の残部のその他の修正を行うことなく、異なるトラックまたはフレームを有する車両に利用することができる。
【0020】
図3に戻って参照すると、第1の油圧動力ユニット16とポンプユニット12の間(および、任意選択で、2つ以上のラジエータが設けられる場合には、第2の油圧動力ユニット18とポンプユニット12との間)の連通を可能にするために、複数の通路が、ラジエータ14内に設けられている。図3においてより明確にわかるように、ラジエータは、ケーシング160の第1の平面表面166からケーシング160の第2の平面表面168に延びる、第1の直線状通路164を含む。ラジエータ14はまた、第1の平面表面166から第2の平面表面168に延びる第2の直線状通路172を含む。第1の開口174は、第1の平面表面166に形成されて、第1の直線状通路164と連通する。第2の開口176は、第1の平面表面166に形成されて、第2の直線状通路172と連通する。組み立てられると、ラジエータ14のケーシング160の第1の平面表面166は、ポンプユニット12の上部プレート26の第2の平面表面142と接触する。望ましい場合には、ラジエータ14と上部プレート26との間の境界面が両者の間の流体通過の漏れが大きくなりすぎないものである限り、平面表面は、その他の構成をとることができる。したがって、上部プレート26内の第3の直線状通路134は、ケーシング160内の第1の直線状通路164と連通する。同様に、ケーシング160内の第2の直線状通路172は、上部プレート26内の第4の直線状通路136と連通する。第3のポートまたは開口178が、第2のケーシング160内の第2の表面168に形成され、第1の直線状通路164と連通する。第4のポートまたは開口180も、第2の表面168に形成されて、第2の直線状通路172と連通する。
【0021】
第1および第2のボルト穴182、184が、ラジエータ114のケーシング160の反対両側に設けられている。第1のボルト穴182は、上部プレート26における第3のボルト穴146と整列している。同様に、第2のボルト穴184は、上部プレート26の第4のボルト穴148と整列している。
【0022】
図1に戻って参照すると、アセンブリ10用の液溜め190は、ラジエータケーシング160に取り付けられている。図4を参照すると、ネジ切りされていてもよい、ニップル(nipple)192が、液溜め190とラジエータ14との接続を可能にするために、ケーシング160に設けられている。このニップル192は、第2の平面表面168からケーシング160の第1の平面表面166に向かって延びる第3の内部通路196と連通する、ポート194(図3も参照)を画定する。
【0023】
図1に戻って参照すると、フィルタ198も、ラジエータ14のケーシング160に取り付けられている。フィルタ198をケーシング160に取り付けるために、ニップル192(図4)と同様のニップル(見えない)が設けられている。図3に戻って参照すると、第1のフィルタポート202が第1の中央通路196と連通し、第2のフィルタポート204が第2の中央通路206と連通する。第2の中央通路は、ケーシング160の第1の平面表面166において終端する。したがって、流体は、通路196と通路206の間で、フィルタ198を通過して移動する。
【0024】
ラジエータ14は、第1の油圧動力式装置16のエンドポートプレート210と接触し、このエンドポートプレート210は、モータハウジングの一部分を備えることができる。エンドポートプレート210は、アセンブリ10が組み立てられるときに、ラジエータ14のケーシング160の第2の平面表面168と接触する、平面状の第1の表面214を含む。これらの平面表面は、その他の相補的構成をとることができる。プレート210はまた、第1の平面表面214の反対側の第2の平面表面216を含む。第1の通路218は、第1の平面表面214から、ボディ212を介して、第2の表面216へと延びる。第1の通路218は、ラジエータ14のケーシング160内に位置する第1の直線状通路164と連通する。エンドポートプレート210内の第1の通路218はまた、第1の油圧動力ユニット16のジロータ構造222と連通する第1のポート220とも連通する。プレート210はまた、ラジエータ14のケーシング160内に形成された、第2の通路172と連通する、第2の通路224を含む。第2の通路224はまた、第1の油圧ユニット16のジロータ構造222の第2のポート226と連通する。油圧動力ユニットは、参照により組み入れてある、米国特許第6257853号に開示された油圧モータなどの、油圧モータに加えて、インライン入力および出力が可能なその他任意公知の油圧動力ユニットとすることもできる。
【0025】
このエンドポートプレートは、リアポート付きの(rear ported)公知のモータユニットにおけるエンドキャップを置換することができる。これによって、単一部品の流体的および機械的な相互接続が得られる。インライン流体ポートは、多くの公知の油圧モータにおける横方向流体接続とは反対に、熱損失および絞り損失(restriction loss)を低減することによって、アセンブリの流体効率を向上させる。そのような構成はまた、扁平形(low-profile)アセンブリ10を可能にする。それにもかかわらず、ラジエータケーシング160は、エンドポートプレートを修正することによる代替的な実装に適している。
【0026】
油圧動力ユニット16は、車両の車輪(図示せず)を駆動することのできる、出力シャフト230を含む。出力シャフト230の回転軸は、第1のポンプユニット40の被駆動シャフト44の回転軸に少なくとも概して垂直である。そのような構成によって、草刈り機にはほとんど普遍的に好ましい、モータMの垂直ドライブシャフトが可能となり、同時にPで概略的に示しある(図1)簡易単一プーリー直接ドライブ接続が得られる。エンドポートプレート210において、内部弁通路228は、第1の通路218を第2の通路224に相互接続する。第3の直線状通路232は第1の平面表面214から内側方向に延びて、内部弁通路228と連通する。内部弁通路228内に、ボール234が配置されている。
【0027】
プレート210はまた、2つのボルト穴236、238を含む。ボルト242は、ボルト穴236に受け入れられて、ラジエータ14内のボルト穴182を通過して、ポンプユニット12の上部プレート26内のボルト穴146中に延びる。第2のボルト244は、エンドポートプレート210のボルト穴238に受け入れられ、さらにラジエータ14内のボルト穴184を介して受け入れられ、最後に上部プレート26のボルト穴148に受け入れられる。したがって、油圧モータ16は、ラジエータ14を介してポンプユニット12に取り付けられている。
【0028】
アセンブリを通過する流体移動の方向は、シャフト44が駆動される回転方向の関数である。流体が第2のポンプ42によって圧送されるときに、流体は、ポンプユニット12の上部プレート26内の直線状通路134を効率的に通過し、ラジエータ14のケーシング160内の第1通路164中に入り、エンドポートプレート210の第1の通路218中に入り、第1のポート220を通過して第1の油圧動力ユニット16のジロータ構造222を駆動して、出力シャフト230を回転させる。次いで、流体は、油圧動力ユニット16の第2のポート226を通過し、エンドポートプレート210の第2の通路224に入り、ラジエータ14のケーシング160内の第2の通路172中に入り、そしてポンプユニット12の上部プレート26の第4の直線状通路136中に入る。ボール234は、通常は着座して、エンドポートプレート210の第1の通路218と、エンドポートプレートの第2の通路224との間の連通を防止する。
【0029】
このアセンブリにおいて、エンドポートプレート210内の第3の直線状通路232および第2の通路224と連通している弁通路228を介して、漏洩が制御される。リリーフ弁250が、第3の通路232と連通しており、漏洩の制御を可能にする。したがって、流体は、第2の直線状通路224を通過して、内部弁通路228中に入り、さらに第3の直線状通路232を通過して、ラジエータ14のケーシング160内の第3の通路196に向かって、その中に流れる。第3の通路196を通過して流れる流体は、ポート202を介してフィルタ198(図1)を通過して流れ、ポート204を介して出て、第2の中央通路206の中に入り、ポンプユニット12の上部プレート26内に形成された中央通路252の中に入る。ポンプユニット12の上部プレート26内の中央通路226は、第2のポンプ42の非起動状態の室78と連通するとともに、やはりリリーフ機構254を含む。中央通路252はまた、チャージポンプ100と連通して、その結果として液溜め190(図1)はチャージポンプ100と連通している。アセンブリ内で圧力スパイクがあると、ボール234は座から離れて、内部弁通路228、第3の直線状通路232、およびラジエータ14のケーシング160内の中央通路196を介して、エンドポートプレート210の第1の通路218と液溜め190(図1)との間の流体連通を可能にする。
【0030】
第1のポンプ40は、第2のポンプ42が第1の油圧動力装置16と連通するのと同様に、第2の油圧動力装置18と連通する。図示した実施形態において、第1の油圧動力装置16は、第2の油圧動力装置18と同一である。図示した実施形態においては、ポンプ40、42の被駆動シャフト44、74(図2)は、それぞれ反対方向に回転するので、第2の油圧ユニット18を通過する流体経路は、第1の油圧ユニット16の流体経路と反対である。第1の油圧動力装置16は同一である必要はないが、以下で開示する一般概念は、概して同一であり、この場合に、第1の油圧動力装置は第2の油圧動力装置と類似している。簡略にするために、第2の油圧モータ18の構成要素は、第1の油圧モータ16と同じ参照番号を参照して説明する。
【0031】
ポンプユニット12における第1のポンプ40は、湾曲開口112を通過し、通路116を通過してエンドポートプレート210内の第1の通路218中に、さらにジロータ構造234の第1のポート222を通過して流体を送り出す。流体は、ジロータ構造234から出て、第2のポート226を通過して、エンドポートプレート210の第2の通路224中に入り、さらに通路114およびポンプユニット12の上部プレート24の中に入り、湾曲開口110を介して第1のポンプ40と連通する。ボール234は、通常は、着座して流体がエンドポートプレート内の第1の通路218から第3の通路232中に通過するのを防止するが、圧力スパイクが発生すると、流体は、第1の通路218から第3の通路232中に、そして上部プレート24の内部通路258内に形成されたリリーフ弁256に向かって流れることができる。
【0032】
上記で開示した変速機アセンブリ10は、流体の方向の変化がほとんどない、頑強なハウジングの内部で、変速機アセンブリ用のすべて、またはほぼすべての流体通路を提供する。これは、ポンプユニットとドライブユニットとの間に介在ホースを含む、変速機アセンブリとは異なる。上述のように、ポンプユニットとドライブユニットの間の流体連通は、介在ホースを含まない、直線状またはほぼ直線状の流体通路によって得られる。そのような構成によって、流体漏洩が減少し、流体がより効率的に配送される。このアセンブリは、アセンブリの構成要素が容易に交換できるように、設けられる。例えば、多くの異なる油圧モータをポンプユニットおよび/またはラジエータケーシングに取り付けることができる。変速アセンブリの構成要素のすべてを互いに装着して、それによって、一個のユニットとして車両に装着することが可能である。このような構成によって、動力入力の構造的および回転上の完全性を向上させ、また変速機がそれに装着される車両の残部が簡略化される。
【0033】
上述のように、構成要素のすべてを互いに装着することができる。図1に戻って参照すると、トルクテンション部材270は、第1の油圧動力ユニット16に装着されるとともに、第2の油圧動力ユニット18の方向に延びて、それに装着されている。トルクテンション部材は、変速機アセンブリ10の反対端における、第1の油圧動力ユニット16と第2の油圧ユニット18との間の角度屈曲(angular flexing)を低減する。作動に際して、トルクテンション部材270は、変速アセンブリ10と関連する車両とのトルク差屈曲を補償し、それによってそれぞれの長寿命化に寄与する。
【0034】
図5および6を参照すると、静水圧変速機アセンブリ310の代替実施形態が開示されている。2つのポンプで、2つの別個の油圧モータを駆動するのとは異なり、1つのポンプで1つの油圧モータを駆動することができる。公知の変速アセンブリとは異なり、図5および6に開示した実施形態は、介在ホースなしに、ポンプユニットとドライブユニット間の直接的な、機械的および流体的接続をもたらす。したがって、公知のアセンブリと比較して、ドライブユニットに流体が、直接的かつ効率的に配給される。
【0035】
図5でわかるように、油圧動力ユニット316、例えば、図1および3に上記したものなどの油圧モータは、図1の右側に示したアセンブリの場合と同様な方法でポンプユニット312に直接取り付けられる。そのような接続、例えば、介在ホースまたは流体通路の方向の変化がないことによって、頑丈で効率的な変速機アセンブリが得られる。
【0036】
ポンプユニット312は、図2に開示されたポンプユニット12と同様であるが、このポンプユニットは、1つの可変容量型ポンプだけを含む。ポンプユニット312における可変容量型ポンプ(図示せず)は、構成において図2に開示された第1のポンプ40または第2のポンプ42に類似している。ポンプユニットは、上部プレート24と同様の、ハウジング部分324を含み、このハウジング部分324は、ポンプが油圧モータ316と連通することを可能にするために、複数の流体通路を含む。
【0037】
流体はポンプによって圧送されて、第1の湾曲通路330を通過して、直線状通路332中に入り、そして油圧モータ316のエンドポートプレート336内に形成された第1の直線状通路334中へと入る。次いで流体は、油圧モータの第1の流体ポート338中へと流入して、出力シャフト344を回転させるジロータ構造342を駆動する。次いで、流体は第2のポート346を通過して、エンドポートプレート346内の第2の直線状通路348中に戻る。次いで、流体は、ポンプユニットハウジングのハウジング部分324内に形成された第2の直線状通路352中に流入し、さらにポンプと連通する第2の湾曲ポート354中に流入する。ボール356は、エンドポートプレート336内の第1の直線状通路334と第2の直線状通路348との間の通路358内に配置されている。通常は、ボール356は着座して、第1の通路334と第2の通路348の間の連通を防止する。圧力スパイクが発生すると、ボール356は座から離れて、第2の通路348と、ポンプユニットハウジング内に設けられたリリーフ弁362との間の連通を可能にする。図5に戻って参照すると、チャージポンプ364は、上述のチャージポンプ100と同様に、ポンプユニット312内に配置されたポンプと連通することが可能である。
【0038】
図6に戻って参照すると、油圧モータ316は、エンドポートプレート36内の開口372と開口374およびポンプユニット312とを通過して受け入れられるボルト370を介して、ポンプユニット312に直接的に取り付けられる。
【0039】
上記に開示したものや、その他の様々な特徴および機能、またはそれらの代替案は、望ましくは組み合わせて、他の多くの異なるシステムまたは応用とすることができることが認識されるであろう。また、現在わかっていない、または予想されていない様々な代替形態、修正形態、変形形態またはその中の改良が、後に当業者によって行われる可能性があり、これらは添付の特許請求の範囲に含めることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】油圧変速機アセンブリの側面図である。
【図2】一部を断面で示した、図1の油圧変速機アセンブリのポンプユニットの側面図である。
【図3】図1の線3−3に沿った、図1のアセンブリの断面図である。
【図4】図1のアセンブリのラジエータの斜視図である。
【図5】静水圧変速機アセンブリの代替実施形態の側面図である。
【図6】図5の線6−6に沿った、分解断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸に沿って整列された第1の出力シャフトを含む、第1のジロータモータと、
前記第1のジロータモータに接続されて、それと接触しているポンプハウジングと、
前記ポンプハウジングに装着されて、第2の軸に沿って整列された第1の被駆動シャフトを含み、前記第2の軸は前記第1の軸に概して垂直である、第1の可変容量型ポンプであって、前記ポンプハウジング内の通路を介して前記第1のジロータモータと流体連通している、第1の可変容量型ポンプと、
概して前記第1の軸に沿って、または概して平行に整列された第2の出力シャフトを含むとともに、ポンプハウジングの前記第1のジロータモータと反対側で前記ポンプハウジングに接続している、第2のジロータモータと、
前記ポンプハウジングに装着されて、前記第2の軸に概して平行に整列された、第2の被駆動シャフトを含む、第2の可変容量型ポンプであって、前記ポンプハウジング内の通路を介して前記第2のジロータモータと流体連通している、第2の可変容量型ポンプと
を備える、静水圧変速機アセンブリ。
【請求項2】
前記第2の被駆動シャフトが、前記第1の被駆動シャフトの回転によって前記第2の被駆動シャフトの回転が生じるように、前記第1の被駆動シャフトに動作可能に接続されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の被駆動シャフトに取り付けられた第1のギアと、前記第2の被駆動シャフトに取り付けられた第2のギアとをさらに備え、前記第1のギアが前記第2のギアと係合する、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のギアの直径が、前記第2のギアの直径と実質的に等しい、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記第1の可変容量型ポンプと流体連通する第1および第2の直線状ボアを含み、前記ボアは、前記ハウジングのハウジング面で終端しており、前記第1のジロータモータは、前記ハウジング面と当接するモータ面を含み、前記第1のジロータモータは、前記直線状ボアと連通する流体通路を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジングポンプハウジングと前記第2のジロータモータとの間に配置されたラジエータをさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ラジエータが、前記第2の可変容量型ポンプと前記第2のジロータモータとの間の流体連通をもたらすための、直線状通路を含む、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の可変容量型ポンプと前記第2の可変容量型ポンプの少なくとも一方と流体連通するチャージポンプをさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記チャージポンプが、前記第2の被駆動シャフトによって駆動される、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1および第2のジロータモータに装着された、トルクテンション部材をさらに備え、該トルクテンション部材は、前記第1のジロータモータと前記第2のジロータモータとの間の角度屈曲を低減するように適合されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
出力シャフトと該出力シャフトを取り囲むモータハウジングとを含む、ジロータモータであって、前記モータハウジングは、前記出力シャフトの回転軸に概して垂直の第1の表面を画定し、前記ジロータモータは、第1のポートおよび第2のポートをさらに含む、ジロータモータと、
前記モータハウジングに接続された可変容量型ポンプハウジングであって、該ポンプハウジングの第1の表面に当接する第2の表面を含むとともに、第1の概して直線状の通路と第2の概して直線状の通路とを含み、前記第1の通路は前記ジロータモータの前記第1のポートと連通しており、前記第2の通路は前記ジロータモータの前記第2のポートと連通している、可変容量型ポンプハウジングと、
少なくとも部分的に前記ポンプハウジング内に配設された可変容量型ポンプであって、前記出力シャフトに概して垂直に整列された被駆動シャフトと、前記第1の通路および前記第2の通路と連通するポンプ室を含む、可変容量型ポンプと
を備える、静水圧変速機アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の通路は、前記第1の通路と前記第1のポートとの間に介在する構成要素なしに、前記ジロータモータの前記第1のポートと直接、連通している、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記ハウジングに装着されたチャージポンプをさらに含み、前記チャージポンプは、前記可変容量型ポンプと流体連通している、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記チャージポンプは、前記可変容量型ポンプの前記被駆動シャフトによって駆動される、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
第1および第2の容量型ポンプを含むポンプユニットと、
該ポンプユニットに接続されて、前記第1の容量型ポンプと流体連通する、少なくとも2つの通路を含む、ラジエータと、
前記ラジエータに接続されて、該ラジエータの少なくとも2つの通路と連通する第1の油圧モータと、
前記ポンプユニットに接続されて、前記第2の容量型ポンプと連通する、第2の油圧モータと
を備える、静水圧変速機アセンブリ。
【請求項16】
前記ラジエータが、前記第1の容量型ポンプを前記第1の油圧モータに、介在する流体通路なしに直接的に流体接続する、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
それぞれが前記ラジエータ内の少なくとも1つの通路と流体連通する、フィルタと液溜めをさらに備える、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記第1の容量型ポンプが、第1の軸の回りに回転する被駆動シャフトを含み、前記第1の油圧モータが、第2の軸の回りに回転する出力シャフトを含み、前記第1の軸は前記第2の軸と概して垂直である、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記第2の容量型ポンプが、前記第1の容量型ポンプの前記被駆動シャフトに動作可能に接続された被駆動シャフトを含む、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記容量型ポンプの少なくとも一方と流体連通するとともに、前記容量型ポンプの少なくとも一方の被駆動シャフトによって駆動される、チャージポンプをさらに備える、請求項19に記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−526172(P2009−526172A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553227(P2008−553227)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/042480
【国際公開番号】WO2007/092061
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(507347875)ホワイト・ドライブ・プロダクツ・インコーポレーテッド (5)