説明

廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法

【課題】排土する際、吸引アタッチメント、或いは、吸引ホースの途中に設けたベント管を改良し、排土作業の途中で作業が中断することのなく、作業効率のよい吸引処理装置の吸引管の排出土の目詰まりを防止方法を開発・提供することにある。
【解決手段】土中の穴から廃土(A)を吸引移送する第一吸引ホース(1a)と、該廃土(A)を排土ボックス(B)まで吸引移送する第二吸引ホース(1b)との中途に、分岐管(2)を連通し、該分岐管(2)内の、第一吸引ホース(1a)側から第二吸引ホース(1b)側に吸引移送される廃土(A)を、背後より圧縮エアー(X)を噴出して廃土(A)を、排土ボックス(B)方向に圧送することにより、廃土(A)が分岐管(2)内に付着することを防止することを特徴とする廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法に関し、特に、電柱を設置(建柱)する際の掘削穴から排出される廃土の目詰まり防止方法である。
【背景技術】
【0002】
従来、土木建築現場、例えば、道路脇や道路下に電柱を設置する前の試掘、あるいは電柱を設置、即ち,建柱のための穴を掘削する工事においては、掘削される土中にガス管、ケーブル挿入管、水道管等の各種配管類が埋設されていないかを、注意深く人力による手堀りや、小型の工具を用いたりして、掘削する方法を採られていた。
【0003】
しかし、人力による手堀りでは、作業が煩雑でありその上、作業時間も長く要し作業効率も悪く、さらに、深く掘り進んで行くためには掘削穴に人が入るためのスペースを必要とし、段堀りを採用せざるを得ず、必然的に排出する土の量も増え、排出する土(以下、廃土という)の処理にも時間と費用を要するものであった。
【0004】
それらの掘削作業を省力化するため、土壌に向けて圧縮空気を噴射して土壌を破砕するとともに該破砕された廃土を、吸引ホースにより吸引移送して排出する電柱設置用地中掘削方法が開示されている。例えば、特許文献1のように。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−132372号公報
【0006】
しかしながら、この方法に使用される排出装置は、吸引ホース6は吸引アタッチメント8がベント管10を介して取り付けられており、該吸引ホース6で吸引排土車71に搭載したレシーバタンク73に移送されよう構成されたものである。
【0007】
そして、この装置では、排土の際に、吸引アタッチメント8から吸引された排土がベント管の屈曲部の内周壁に付着し、これにより順次、排土が積層してやがては吸引アタッチメントが目詰まりを生じ、吸引に支障をきたし、その都度、作業を中止し、管内の目詰まりした廃土を取り除く必要があり、作業性が極めて悪いという欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、発明が解決しようとする課題は、廃土する際、吸引アタッチメント、或いは、吸引ホースの途中に設けたベント管を改良し、廃土作業の途中で作業が中断することのなく、作業効率のよい吸引処理装置の吸引ホースの目詰まりを防止方法を開発・提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による課題を解決するための手段としては、従来のベント管に代えて分岐管を用い、廃土を吸引する廃土吸引管と、圧宿空気を吸引するエアー管とを所定の角度で衝突し、連通する略ト字状の分岐管を用い、該分岐管の廃土を吸引した際、第一吸引ホースによって吸引された廃土が、第二吸引ホースに移送される際に衝突する分岐管の衝突箇所に、第二吸引ホースの反対側の延長箇所に設けた保持管に、圧縮エアーの吹き出し口を臨ませて設け、分岐管内の廃土による目詰まりを防止するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によると、吸引ホース(1a,1b)との中途に分岐管(2)を用いて、吸引移送される廃土(A)を背後より圧縮エアー(X)を噴射することにより、排土の吸引移送に加速をつけて廃土ボックス(B)へ移送させると共に、圧縮空気(X)を分岐管(2)内に噴射することにより、分岐管(2)内に廃土が付着することなく、連続して吸引移送ができ、作業効率が図れる等極めて有益なる効果を奏するものである。
【0011】
そして、分岐管(2)の形状を、第一吸引ホース(1a)と連結する第一連結管(2a)と、第二吸引ホース(1b)と連結する第二連結管(2b)と、圧縮エアー(X)を噴出させる保持管(3)と一体に連結する第三連結管(2c)とで、略ト字状に形成することにより、第一吸引ホース(1a)より吸引された廃土(A)が、所定の角度で、第二吸引ホース(1b)と連結する第二連結管(2b)方向に移送され、さらに、第三連結管(2c)の保持管(3)による圧縮エアー(X)の後押しにより、吸引移送の廃土(A)を、より確実・迅速に移送できるという効果を有する。
【0012】
また、分岐管(2)の、第三連結管(2c)に装着した保持管(3)には、圧縮エアー(X)の吹き出し口(3a)は、第二連結管(2b)に向かうように設け、かつ、第一連結管(2a)より手前に設けることにより、第一連結管(2a)を吸引され通過する廃土(A)を、背後より圧縮エアー(X)を噴出させることによって、廃土(A)を、確実に吸引移送をすることが出来るものである。
【0013】
さらに、分岐管(2)の、第三連結管(2c)に装着した保持管(3)には、その噴出口(3a)を、第一吸引ホース(1a)内を吸引移送される廃土(A)が当接する分岐管(2)の内周壁(I)に、臨ませるよう開口させて設け、圧縮エアー(X)を噴出させることにより、より廃土(A)が、内周壁(I)に付着することを確実に阻止することが出来る。
【0014】
また、保持管(3)には、圧縮エアーを調節可能とするコック(4)を設け、分岐管(2)の内周壁(I)に向けて高圧エアー(X)の噴出程度を、吸引する廃土(A)の性質によって調節することにより、高圧エアー(X)の動力源であるコンプレッサーの稼働エネルギーを節約できるものである。
【0015】
さらに、また、分岐管(2)の、第一連結管(2a)と、第二連結管(2b)との当接角度(α)を、135°前後に設定して設けることにより、廃土(A)を付着しない角度となり、作業中に目詰まりによる作業中断がなく、極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施例を示し、分岐管の要部拡大欠載側面図である。
【図2】この発明の一実施例を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施の形態について述べると、前記ベンド管に代えて、分岐管を用い、さらに、分岐管の吸引アタッチメントと接続する管の一方に、圧縮空気を吸引することにより廃土の吸引処理装置における分岐管の目詰まり防止方法である。
【実施例】
【0018】
そこで、この発明の一実施例を図1,図2に基づいて詳細に説明すると、土中の穴から廃土(A)を吸引移送する第一吸引ホース(1a)と、該廃土(A)を排土ボックス(B)まで吸引移送する第二吸引ホース(1b)との中途に、分岐管(2)を連通し、該分岐管(2)内の、第一吸引ホース(1a)側から第二吸引ホース(1b)側に吸引移送される廃土(A)を、背後より圧縮エアー(X)を噴出して廃土(A)を、排土ボックス(B)方向に圧送することにより、廃土(A)が分岐管(2)内に付着することを防止することを特徴とする廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法から構成されるものである。
【0019】
そして、分岐管(2)は、第一吸引ホース(1a)と連結する第一連結管(2a)と、第二吸引ホース(1b)と連結する第二連結管(2b)と、圧縮エアー(X)を噴出させる保持管(3)と一体に連結する第三連結管(2c)からなり、これら連結管(2a,2b,2c)で、略ト字状に形成したものである。
【0020】
さらに、分岐管(2)の、第三連結管(2c)に装着した保持管(3)には、圧縮エアー(X)の吹き出し口(3a)を、第一連結管(2a)と、第二連結管(2b)とが当接する分岐管(2)の内周壁(I)に臨ませて設けたことを特徴とするものである。
これにより、第一吸引ホース(1a)より吸引された廃土(A)は、分岐管(2)の内周壁(I)に衝突して付着する廃土(A)を吹き飛ばすものである。
【0021】
そして、分岐管(2)の、第三連結管(2c)に装着した保持管(3)には、圧縮エアー(X)の噴出を、調節可能とするコック(4)を設け、分岐管(2)の内周壁(2a)に向けて高圧エアー(X)を噴出程度を調節するものである。
これにより、廃土(A)には、掘削する地層により水分を含んだ泥水状の場合があり、この場合には、敢えて圧縮エアー(X)を噴出する必要がなく、調節可能とするコック(4)を閉塞してしまってもよい。
【0022】
さらに、分岐管(2)の、第一連結管(2a)と、第二連結管(2b)との当接角度(α)が、135°前後とした理由としては、当接角度が90°であれば、吸引された廃土(A)が分岐管(2)の内壁に、直角に衝突してしまうため、衝突した内壁に廃土が付着する可能性が極めて高いが、135°前後とすることにより、衝突を避け、第二連結管(2b)方向へ吸引移送されるものである。
【0023】
尚、前記廃土ボックス(B)は、その一例として、建柱車と呼ばれ、地面に堀ってり小径の穴を穿ち、該穴に電柱を建てるための設備を備えた作業車(W)に搭載されるものであり、該廃土ボックス(B)は、図2に示すようにダンプ式となっており、ボックスを傾けることにより廃土を落下させる。また、ボックス(B)内に吸引移送した排土の水分はボックス底部に設けた網目より下方に落下し、排水孔(D)から排出されるものである。
【0024】
また、第一吸引ホース(1a)、第二吸引ホース(1b)のそれぞれ廃土(A)を吸引移送する動力源であるコンプレッサー(C)も、その一例として作業車(W)に搭載されているものであり、該コンプレッサー(C)は、加圧エアーと減圧エアーとがそれぞれ作動可能に構成され、加圧エアーは前記第三連結管(2c)の保持管(3)に連結され、減圧エアーはエアーバールに連結されるものである。
【0025】
前記エアー管(2)の中途に、圧縮エアー(X)の吹き出し口(3a)より噴出するエアーの量を調整するバルブ(V)を設けることにより、廃土(A)が分岐管(2)の内周壁(I)に付着することを防止することにより、目詰まりを防止するものである。
【0026】
尚、第一吸引ホース(1a)の先端には、土壌を吸引掘削する、エアーバールを設け、土中で小径の穴を掘削しながら、掘削した廃土(A)を吸引するものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明の廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法の技術を確立し、該装置を実施・販売することにより、産業上利用できるものである。
【符号の説明】
【0028】
1a 第一吸引ホース
1b 第二吸引ホース
2 分岐管
2a 第一連結管
2b 第二連結管
2c 第三連結管
3 保持管
3a 吹き出し口
4 コック
A 廃土
B 廃土ボックス
C コンプレッサー
D 排水孔
I 内周壁
V バルブ
W 作業車
X 圧縮エアー
α 第一連結管と、第二連結管との当接角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土中の穴から、廃土(A)を吸引移送する第一吸引ホース(1a)と、該廃土(A)を廃土ボックス(B)まで吸引移送する第二吸引ホース(1b)との中途に、分岐管(2)を連通し、該分岐管(2)内の、第一吸引ホース(1a)側から第二吸引ホース(1b)側に吸引移送される途中の廃土(A)を、背後より圧縮エアー(X)を噴出して廃土(A)を、廃土ボックス(B)方向に圧送することにより、廃土(A)が分岐管(2)内に付着することを防止することを特徴とする廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法。
【請求項2】
分岐管(2)は、第一吸引ホース(1a)と連結する第一連結管(2a)と、第二吸引ホース(1b)と連結する第二連結管(2b)と、圧縮エアー(X)を噴出させる保持管(3)と一体に連結する第三連結管(2c)からなり、これら連結管(2a,2b,2c)で、略ト字状に形成したことを特徴とする請求項1記載の廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法。
【請求項3】
分岐管(2)の、第三連結管(2c)に装着した保持管(3)には、圧縮エアー(X)の吹き出し口(3a)を、第一連結管(2a)と、第二連結管(2b)とが当接する分岐管(2)の内周壁に臨ませて設けたことを特徴とする請求項1または2記載の廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法。
【請求項4】
分岐管(2)の、第三連結管(2c)に装着した保持管(3)には、圧縮エアー(X)の噴出を、調節可能とするコック(4)を設け、分岐管(2)の内周壁(2a)に向けて高圧エアー(X)を噴出程度を調節することを特徴とする廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法。
【請求項5】
分岐管(2)の、第一連結管(2a)と、第二連結管(2b)との当接角度(α)が、135°前後であることを特徴とする請求項1または2記載の廃土の吸引処理装置における吸引ホースの目詰まり防止方法。

【図1】
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【図2】
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