説明

廃棄物処理場及び廃棄物処理方法

【目的】 経済性に優れた廃棄物処理場を供する。
【構成】 地上の凹部表面に遮蔽用シート4を敷設した廃棄物処理場Hにおいて、該遮蔽用シート4の上に底面から法面にかけて合成樹脂発泡体層5を形成し、該合成樹脂発泡体層5の上に更に耐候性塗料を塗布して表面塗布層を設けてその上に廃棄物堆積層6と中間用合成樹脂発泡体層5a及び覆土層10とを交互に積層したことを特徴とする廃棄物処理場及びその処理方法である。加えて中間用合成樹脂発泡体として再生原料を使用することによって環境保護に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遮蔽用シートを敷設して廃棄物から流出する有害な汚染水の拡散を防止した廃棄物処理場に関し、特に廃棄物の散乱飛散、臭気発散、害虫の発生等を防止した廃棄物処理場の構造及び廃棄物の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】腐敗有機物、有害物質、油類等を含む汚染水が流出する産業廃棄物をそのまま地中に投棄すると、汚染水が地中に染み込んで土地を汚染し、地下水に混入して地上に生息する動植物に害を及ぼす。そこで通常は廃棄物処理場の地上に遮蔽用シートを敷き詰め、同遮蔽用シートは薄層材料なので、破損防止のため30〜50cm程度の覆土をした上に廃棄物を投棄している。廃棄物がある程度堆積すると、廃棄物の散乱飛散、臭気発散、はえなどの害虫の発生、ねずみの巣づくり、鳥のえさあさり等を防止し、雨水が廃棄物層に浸入するのをできるだけ防止するため廃棄物堆積層の上に覆土を30〜50cmの厚さで行う。さらにその上に廃棄物を投棄し、覆土するというように積層して最終覆土は厚さ50〜60cmが普通で樹木や草の種類によって1.5〜2.0mの厚さとし、ガスによって根がいためられないように配慮される。その改良として特開平5−68958号が提案されている。特開平5−68958号は覆土層の代わりに合成樹脂発泡体層を廃棄物堆積層の上に積層するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】廃棄物の上に合成樹脂発泡体を積層すると、例えばポリウレタン発泡原液を用いた場合、ポリウレタン樹脂の反応は発熱反応で、特に廃棄物の中に水が混ざっていると異常反応が起こり、火災の恐れがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、鋭意研究した結果本発明に到達したもので本発明は、地上の凹部表面に遮蔽用シートを敷設した廃棄物処理場において、該遮蔽用シートの上に底面から法面にかけて合成樹脂発泡体層を形成し、該合成樹脂発泡体層の上に廃棄物堆積層と中間用合成樹脂発泡体層及び合成樹脂発泡体層の発熱反応を抑制するために覆土層とを交互に積層したことを特徴とする廃棄物処理場であり、地上の凹部表面に遮蔽用シートを敷設した廃棄物処理場において、該遮蔽用シートの上に底面から法面にかけて合成樹脂発泡体層を形成し、更に該合成樹脂発泡体層の上に表面塗布層を設けた廃棄物処理場であり、地上の凹部表面に遮蔽用シート、合成樹脂発泡体層及び表面塗布層を敷設した廃棄物処理場において、廃棄物堆積層と中間用合成樹脂発泡体層及び覆土層とを交互に積層した廃棄物処理方法である。更に中間用合成樹脂発泡体として、再生原料を使用するものである。
【0005】本発明を図面に基づいて説明する。廃棄物処理場Hは、図1に示すように、地表を矩形に掘って形成されており、周囲は適当な勾配をなす法面を形成している。かかる凹部の底面1と法面2及び法面2の周囲に繊維補強材3が敷き詰められ、その上に遮蔽用シートたるゴムシート4が敷設されている。遮蔽用シートはゴムシートの他に合成樹脂シートも使用可能である。ゴムシート4は帯状のゴムシートを順次敷設したもので、隣合うゴムシートどうしは端縁を重ねて熱融着し、液漏れを防止した一枚の遮蔽用シートとしている。図1はこのゴムシート4を敷設した状態を示している。
【0006】図2は本発明の廃棄物処理場の断面図で、このゴムシート4を敷設した状態で、ゴムシート4上に合成樹脂発泡体としてウレタンを現場発泡させて吹き付けを行い、厚さ3cm程の底面用及び法面用のポリウレタン発泡体層5を形成してゴムシート4を保護し、廃棄物中の鋭利な物等によるゴムシート4の破損を防止する。法面2上のゴムシート4の上にも合成樹脂発泡体層5を形成するが、特に法面用合成樹脂発泡体層5はゴムシート4との接着性の良いものを用いると安定した斜面を形成できる。この底面用及び法面用合成樹脂発泡体層5は、強度を必要とする場合、吹き付け途中で繊維補強材3を敷きさらに吹き付けを行って内部に繊維補強材を埋設するようにすれば強度を高くすることができる。又、廃棄物堆積層6の上に中間用合成樹脂発泡体層5aを積層し、合成樹脂発泡体層の発熱を抑制するために覆土層10を5〜10cm設ける。
【0007】本発明の中間用合成樹脂発泡体としては、再生原料を用いる。例えばポリウレタン発泡体の場合、ポリウレタンフォームを再生する方法としては、特開昭48−28407号及び特開昭50−149606号は、炭素数2〜6のグリコール(90〜100%)と炭素数4〜8のジアルカノールアミン(0〜10%)の溶解剤を使用している。軟質ポリウレタンフォームにおいては20%ポリオールとして使用可能であるが、色つきフォームになり製品としては価値は低い。表1に配合例及び物理特性を示す。
【表1】


【0008】軟質ポリウレタンフォームにおいては再生ポリオールは20%以下というよりフォームの色からみると殆ど使用不可であり、硬質ポリウレタンフォームにおいても20%以下では使用可能であるが現在での使用は包装用しか使用されていない。表2に配合例及び物理特性を示す。物理特性やフォームの色を問題にしない廃棄物処理には再生ポリオールは使用可能である。
【表2】


【0009】図3は本発明の廃棄物処理場Hの断面図である。合成樹脂発泡体は発泡体故に表面を含めて強度的に弱い。特に時間がたつにつれて強度が低下する。この強度低下を防ぐために合成樹脂発泡体層5の上に耐候性塗料を塗布して表面塗布層7を設ける。非発泡体の表面塗布層を設けることで耐候性が向上し、合成樹脂発泡体層5を保護し表面劣化を防止する。耐候性塗料としてはアクリル樹脂エマルジョン塗料を用いる。
【0010】この表面塗布層7の上に廃棄物を投棄し、ある程度堆積するとローラ等で転圧を行って3m程の厚さの廃棄物堆積層6を形成し、その上にポリウレタン発泡原液を吹き付けて、厚さ10cm程の中間用の合成樹脂発泡体層5aを形成する。中間用合成樹脂発泡体層5aの形成を、ガス漏れや水の浸入をできるだけ少なくする目的で行う場合は硬質ポリウレタンの発泡体層を形成し、逆にガス抜きや透水性をもたせるためには軟質ウレタンの発泡体層を形成すればよい。また廃棄物運搬車の通路にあたる部分には繊維補強材3を埋設して補強をしておく。この合成樹脂発泡体層5aの上に、合成樹脂発泡体層の発熱反応を抑制するために5〜10cmの覆土層10を積層する。さらに廃棄物が投棄され、廃棄物堆積層6が形成され、転圧されて3m程の層をつくると、その上にまた中間用の合成樹脂発泡体層5aが吹き付け形成され、覆土層を設け、以後廃棄物と合成樹脂発泡体層及び覆土層が交互に積層される。また廃棄物の堆積が3mの厚さとなる前にも1日の埋め立て作業が終了した時に、即日発泡体の吹き付けを厚さ6cm程で行って、その上に覆土層を積層し、廃棄物の散乱飛散、臭気発散、はえ等の害虫の発生、ねずみの巣づくり、鳥のえさあさり等を防止することができる。
【0011】図4は本発明の法面2の勾配の工事対策として法面に段差9を設けた断面図で、図4は本発明の法面の工事方法を示す断面図で、法面斜面に遮蔽用シート4を張り付ける方法の一例として法面固定具によるものを例示しておく。
【0012】
【作用】廃棄物堆積層の上に中間用の合成樹脂発泡体層を設け、その上に合成樹脂発泡体層の発熱反応を抑制するために覆土層を積層する。
【0013】
【発明の効果】本発明は、合成樹脂発泡体を用いることで、経済性に優れた廃棄物処理場を供することができる。廃棄物堆積物、中間用の合成樹脂発泡体層及び覆土層の繰り返しで従来に較べ覆土層が少なくてすみ、更に法面及び底面の合成樹脂発泡体層の上に表面塗布層を設けたことで廃棄物処理場の耐久性が向上し、地下への汚染は防止される。更に今まで使用されにくかった再生原料を中間用合成樹脂発泡体を使用することで環境保護に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る一実施例の遮蔽用シートを敷設した状態の廃棄物処理場の外観図である。
【図2】図2は本発明に係る廃棄物処理場の構造を示す断面図である。
【図3】図3は本発明の別の廃棄物処理場の構造を示す断面図である。
【図4】図4は本発明に係る法面に段差を設けた廃棄物処理場の断面図。
【図5】図5は本発明に係る遮蔽用シートの法面段差への固定方法の一例を示す断面図。
【図6】図6は本発明に係る法面に段差を有する廃棄物処理場の断面図。
【符号の説明】
1 底面
2 法面
3 繊維補強材
4 遮蔽用シート
5 合成樹脂発泡体層
5a 中間用合成樹脂発泡体層
6 廃棄物堆積層
7 表面塗布層
8 法面固定具
9 法面段差
10 覆土層
H 廃棄物処理場

【特許請求の範囲】
【請求項1】地上の凹部表面に遮蔽用シートを敷設した廃棄物処理場において、該遮蔽用シートの上に底面から法面にかけて合成樹脂発泡体層を形成し、該合成樹脂発泡体層の上に廃棄物堆積層と中間用合成樹脂発泡体層及び覆土層とを交互に積層したことを特徴とする廃棄物処理場。
【請求項2】地上の凹部表面に遮蔽用シートを敷設した廃棄物処理場において、該遮蔽用シートの上に底面から法面にかけて合成樹脂発泡体層を形成し、更に該合成樹脂発泡体層の上に表面塗布層を設けたことを特徴とする廃棄物処理場。
【請求項3】地上の凹部表面に遮蔽用シート、合成樹脂発泡体層及び表面塗布層を敷設した廃棄物処理場において、廃棄物堆積層と中間用合成樹脂発泡体層及び覆土層とを交互に積層したことを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項4】廃棄物堆積層と中間用合成樹脂発泡体層及び覆土層とを交互に積層した廃棄物処理場において中間用合成樹脂発泡体が再生原料を用いたことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の廃棄物処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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