説明

廃棄物処理装置および方法

本発明は、固体廃棄物製品を処理するための装置及び方法を含む。装置は、装置は、第1端と、第2端と、内面と、を有する回転自在に取り付けられた円筒形ベッセルであって、少なくとも一方の端が、前記ベッセルの内部へのアクセスが可能なように開放可能であるとともに前記ベッセルの加圧が可能なように密封閉鎖可能であるハッチによって終端している、円筒形ベッセルと、前記端の少なくとも一方に蒸気を噴射するための蒸気入口と、前記ベッセルの前記内面から突出した複数の実質的に直線状のブレードであって、前記ブレードの各々が、実質的に前記ベッセルの全長に亘って延び、廃棄物を前記ベッセルの底部から前記ベッセルの頂部に向けて輸送することができるとともに廃棄物を解放して前記ベッセルの底部に落下させることができる、複数のブレードと、を備える。装置は、前記ベッセルを、前記第1端が前記第2端よりも高くなっている位置と、前記第2端が前記第1端よりも高くなっている位置と、の間で移動させるための少なくとも一つのアクチュエータをさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市固体廃棄物等の処理に関する。
【発明の背景】
【0002】
本発明は、プロセス材料を処理するためのシステムおよび方法に関する。更に詳細には、本発明は、都市(municipal) 固体廃棄物、医療廃棄物、再生紙等を処理するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
埋め立て地の不足の増大により、並びに、環境規制の強化により、埋め立て地に放置するか、焼却するか、あるいは、リサイクルするかのいずれかによって材料を処分するプロセスの一工程で、都市固体廃棄物(「MSW」、municipal solid waste)や、新聞、他の再生紙およびリサイクル紙製品等の紙材料等のプロセス材料の容積を減少する努力がなされてきた。
【0004】
処分を行うためにこのような材料を破砕するため、または、紙製品の場合には絶縁体として使用するため、様々なシステムおよび方法が開発されてきた。
【0005】
このようなプロセスおよびデバイスの一例は、米国特許第5,190,226号である。この特許は、MSWを分離し、回収し、リサイクルするための装置および方法を開示している。装置は、上流端のところで、往復動ラムによる供給が行われる回転ドラムと、このドラムに高温蒸気を導入するために連結された蒸気源と、ドラムの上流端に付着した材料をドラムの長さ方向に沿って輸送するため、ドラム内に取り付けられた螺旋状リブ即ちフライトと、を含む。
【0006】
別の例は、米国特許第5,119,994号に記載されている。この特許には、好ましくは、水平方向に対して所定の角度で定置に保持された蒸気処理ベッセルが記載されている。
【0007】
従来技術の構成の欠点の一つは、ベッセル内で、廃棄物製品装入体(waste product charge)の幾つかの部分が圧縮されるということである。圧縮は、ベッセルを水平方向に関して固定位置に維持することによって受動的に行われるか、あるいは、ベッセルの回転時に装入体の部分を能動的表面に水平方向に(又はベッセルの長さ方向軸線と平行な方向に)押し付ける渦巻き状又は螺旋状のリブ構成を使用することによって能動的に行われる。幾つかの場合には、廃棄物製品装入体の幾つかの部分が圧縮されることにより、これらの廃棄物製品装入体の部分が蒸気処理環境から隔離されてしまう。
【0008】
従来技術の別の欠点は、従来のシステムおよび方法では、ベッセルに加えられたエネルギの制御および分配、並びに、廃棄物装入体質量(廃棄物装入体マス、waste charge mass) への効率的エネルギ伝達を最も有利に行うことができないということである。更に、廃棄物製品の各装入体は、その成分が変化し、これによって、処理を効率的に行う上でのその熱容量およびそのエネルギにおける必要条件が変化する。従来技術の方法では、プロセスパラメータ(温度、圧力、又は時間)を各廃棄物装入体に従って変化させなければならず、さもなくば、処理済みの製品の一貫性(即ち、粒径、含水量、破砕及び処理の全体としての程度)がバッチ毎にばらついてしまう。したがって、廃棄物を効率的に処理するための、経済的であり且つ技術的に実現可能な産業的プロセスは提供されていなかった。
【0009】
したがって、処理を高い効率で実施することができるようにするため、廃棄物製品の所与の装入体の熱容量を決定することができ、これによって、装入体を効率的に処理するために必要なエネルギを決定することが可能であることが有利である。
【0010】
処理をさらに効率的に行おうとする一つの方法が、米国特許第6,397,492号に記載されている。この方法では、装荷中に廃棄物を破砕してほぼ均等な密度の材料にするように、装荷中、ベッセルが回転した状態で蒸気を連続的に供給する。その結果、各バッチで処理される廃棄物の質量(マス、mass)は同じである。しかしながら、このプロセスは、装荷中に蒸気処理を別に行う必要がある。そのため、各廃棄物バッチについて必要とされる時間が長くなってしまう。
【0011】
したがって、重量および成分が変化する廃棄物の装入体の処理を可能にする方法であって、時間およびエネルギ効率を大幅に向上させることができる方法に対する必要性が残っている。
【0012】
したがって、本発明は、米国特許第5,540,391号、米国特許第5,1126,363号、米国特許第5,253,764号、米国特許第5,190,226号、米国特許第5,361,994号、米国特許第5,427,650号、米国特許第5,407,809号、及び米国特許第6,397,492号に記載されているような従来技術の装置及び方法に対する改良を提供するものである。これらの特許に触れたことにより、これらの特許に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、固体廃棄物製品を処理するための装置であって、第1端と第2端と内面とを有する回転自在に取り付けられた円筒形ベッセルであって、少なくとも一方の端が、前記ベッセルの内部へのアクセスが可能なように開放可能であるとともに前記ベッセルの加圧が可能なように密封閉鎖可能であるハッチによって終端している、円筒形ベッセルと、一方の端または両端に設けられ蒸気を噴射するための蒸気入口と、前記ベッセルの前記内面から突出した複数の実質的に直線状のブレードであって、前記ブレードの各々が、実質的に前記ベッセルの全長に亘って延び、廃棄物を前記ベッセルの底部から前記ベッセルの頂部に向けて輸送することができるとともに廃棄物を解放して前記ベッセルの底部に落下させることができる、複数のブレードと、前記ベッセルを、前記第1端が前記第2端よりも高くなっている位置と、前記第2端が前記第1端よりも高くなっている位置と、の間で移動させる(すなわち、第1端が水平方向から上方に差し向けられた位置と、第2端が水平方向から上方に差し向けられた位置との間でベッセルを移動させる)ための少なくとも一つのアクチュエータと、を備える装置を提供する。
【0014】
ベッセルは、ベッセルを移動させることができる任意の方法で支持されていてもよい。ベッセルは、ヒンジを備えた支点によって支持されているのが好ましく、ベッセルは、この支点を中心として移動することができる。
【0015】
さらに、ベッセルは、コンベアまたは他の従来の手段でベッセルに輸送される廃棄物の装入体を装荷するため及び取り出すためにベッセルの内部にアクセスするため、少なくとも一つのドア又はハッチ、又は同様の手段を含む。
【0016】
本装置は、当該技術分野で既知であり且つ使用されている、トラニオンリング(trunnion ring)及びローラー、又はチェーン駆動式ギヤ−スプロケットシステム、又は「スパッド(spud)」リング等の、ベッセルを回転するための手段を含む。ベッセルを制御された速度で回転させる任意の適当な方法が適している。しかしながら、ベッセルの回転は、ここに記載したように、アクチュエータによるベッセルの移動に合わせることができなければならない。
【0017】
ブレードおよびベッセルの内部は、好ましくは、ベッセルの回転中に廃棄物製品の装入体が横方向に(すなわち、ベッセルの長さ方向軸線と平行な方向に)押し付けられる表面が本質的になく、ベッセルの実質的に全長に亘って開放した中央領域(すなわち、ベッセルの処理空間)が形成されるように構成されている。このような構成により、廃棄物製品の装入体の部分を、ベッセルの底部からベッセルの頂部に向かって移送し、そしてこれを解放してベッセルの底部まで、ベッセルの蒸気環境に関して前記部分の表面積を増大させるため、別個の比較的低密度の部分として、加圧蒸気環境を通過して落下させることができる。
【0018】
他の実施形態では、ブレードは、隣り合うブレード対が、ベッセルの両端に向かって接近する(近づく、先細をなして近づく)ように構成されていてもよい。この態様では、各ブレードの長さ方向に沿ってわずかな捩じれが設けられていることが好ましい。これにより、回転時にブレードがベッセルの頂部に向かって持ち上がる際、ブレードの上端に載ったマス(塊、部分、質量)の部分と、ブレードの比較的下端に載ったマス(塊、部分、質量)の部分と、の間で時間に僅かなずれが生じる。これに関し、ブレードは、接近していく隣り合うブレードの端が捩じれながら互いから遠ざかるように僅かに捩じれており、これと同時に、離間していく隣り合うブレードの端は、互いに向けて捩じれている。
【0019】
ベッセルは、大量の物体を収容するように設計されていること、及び、これらの内容物を圧力が加わった状態に保持することに関し、当該技術分野で既知であり且つ使用されているベッセルと同じ多くの特徴を備えている。
【0020】
蒸気入口には、ベッセルの移動と適合された蒸気導管によって蒸気が提供される。蒸気導管は、高圧蒸気を伝達するのに適した任意の導管材料であってもよい。導管は、ベッセルの移動に適合するため、可撓性であるか、あるいは、十分に可撓性の又は関節連結された継手を備えており、代表的には、廃棄物の処理中にベッセルへの蒸気の導入およびベッセルからの蒸気の流出を選択的に行うための一つ又はそれ以上のバルブによって制御される。蒸気は、ベッセルの長さ方向に沿った任意の位置で提供されてもよく、このようなベッセルの長さ方向に沿って多くの蒸気入口を形成するための幾つかの構成が既知である。しかしながら、最も簡単な構成は、蒸気入口をベッセルの一端又は両端に設けることである。ベッセルに提供される蒸気は飽和蒸気であってもよいし過熱蒸気(super-heated steam)であってもよく、静的に提供されてもよいし、またはベッセルを通る流れとして提供されてもよいし、あるいは、過熱蒸気のパルスのような、ベッセル内への別個の蒸気パルスの形態で提供されてもよい。
【0021】
アクチュエータは、第1端が第2端よりも高い位置と、第2端が第1端よりも高い位置との間でベッセルを移動させることができる。アクチュエータは、代表的には、ベッセルを、第1端が第2端よりも高い位置と、第2端が第1端よりも高い位置との間で、ベッセル内に配置された固体廃棄物製品の装入体を均すことができるような速度で移動させるようになっている。一例として、液圧アクチュエータおよび機械式ねじアクチュエータ(mechanical screw actuator)が含まれ、これらのアクチュエータは、ベッセルの重心の両側にそれぞれ配置されて対をなしていてもよい。アクチュエータは、例えば、オハイオ州デイトンのジョイス社からジョイス・コムドライブの名称で商業的に入手できる機械式線型ねじアクチュエータであってもよく、ノースカリフォルニア州シャルロッテのダフ−ノートン社から商業的に入手可能なアクチュエータであってもよい。
【0022】
装置は、さらに、アクチュエータとは別個の又はアクチュエータと関連した荷重センサを含む。荷重センサは、本発明の種類の廃棄物処理ベッセルと代表的に関連する荷重の大きさを感知することができ且つ記録することができる任意の種類のセンサであってもよい。
【0023】
装置は、随意であるが、荷重センサと関連したマイクロプロセッサまたはPLC制御装置を含む。マイクロプロセッサまたはPLC制御装置は、アクチュエータの各々の位置等、ベッセル内に分布された荷重を測定するように、プログラム指令を有する。マイクロプロセッサまたはPLC制御装置は、さらに、ベッセル内に収容された廃棄物製品の装入体の分布の変化に応じてアクチュエータに信号を送るようになっていてもよい。
【0024】
装置は、更に、ベッセルの長さ方向に沿って配置された複数の熱電対または温度計を含んでいてもよい。これらの熱電対または温度計と関連したマイクロプロセッサまたはPLC制御装置が設けられていてもよい。マイクロプロセッサまたはPLC制御装置は、ベッセル内に収容された廃棄物製品の装入体が吸収したエネルギの量を経時的に計算するようになったプログラム指令を有する。
【0025】
装置は、更に、ベッセルを作動するための制御システムを含んでいてもよく、コンピュータプログラムコード製品(computer program code product)を含んでいてもよい。コンピュータプログラムコード製品は、例えば、カリフォルニア州サンタクララのインテル社から商業的に入手可能なペンティアム(ペンティアム(Pentium) は登録商標である)マイクロプロセッサ等の、一つ又はそれ以上の中央演算処理ユニット(CPUs)が周辺制御構成要素を持つメモリーシステムに相互接続されたコンピュータを制御する。
【0026】
最も好ましくは、装置は、アクチュエータと関連した、又はアクチュエータとは別個の、ベッセル内に収容された廃棄物製品の装入体の質量(量、マス、mass)を確認するようになった荷重センサと、ベッセル内に収容された廃棄物製品の装入体の質量当たりのエネルギ吸収量を決定するようにプログラム指令が提供されるマイクロプロセッサまたはPLC制御装置と、を有する。
【0027】
装置は、さらに、ベッセルを回転するための少なくとも一つのモータ又は他の手段を含む。モータは、適当な駆動/伝動手段によってベッセルに連結されていてもよい。例えば、モータは、添付図面に示すように、ベッセルを取り囲む駆動スリーブに連結されていてもよい。代表的には、モータおよび駆動手段は、ベッセルを支持する移動自在のフレームに取り付けること等によって、ベッセル自体の移動に従って移動するような構成で取り付けられる。
【0028】
[チップ均しアクチュエータ(Tip-Leveling Actuator)だけを備えた装置]
本発明のさらに別の変形例は、固体廃棄物製品(solid waste product)を処理するための装置であって、第1端と、第2端と、内面と、を有する回転自在に取り付けられた円筒形ベッセルであって、少なくとも一方の端がハッチで終端し、該ハッチは、ベッセルの内部にアクセスすることができるように開放することができ、ベッセルを加圧することができるように密封閉鎖することができる、円筒形ベッセルと、前記端の少なくとも一方に設けられた、蒸気を噴射するための蒸気入口と、ベッセルの内面から突出した複数の実質的に直線状のブレードであって、ブレードの各々は、廃棄物をベッセルの底部からベッセルの頂部に向かって輸送することができるとともに、廃棄物を解放してベッセルの底部に落下させることができるように、実質的にベッセルの全長に亘って(すなわち、蒸気処理及び移動を受ける廃棄物装入体(waste charge)の収容された容積)延びている、ブレードと、ベッセルを、第1端が第2端よりも高い位置と、第2端が第1端よりも高い位置との間で移動させる(すなわち、第1端が水平方向から上方に差し向けられた位置と、第2端が水平方向から上方に差し向けられた位置との間でベッセルを移動させる)ための少なくとも一つのアクチュエータと、を含む、装置を提供する。
【0029】
[攪拌均し手段だけを備えた装置]
本発明のさらに別の変形例は、固体廃棄物製品を処理するための装置であって、第1端と、第2端と、内面と、を有する回転自在に取り付けられた円筒形ベッセルであって、少なくとも一方の端がハッチで終端し、該ハッチは、ベッセルの内部にアクセスすることができるように開放することができるとともに、ベッセルを加圧することができるように密封閉鎖することができる、円筒形ベッセルと、少なくとも一方の端に配置された、蒸気を噴射するための蒸気入口と、ベッセル内に配置された固体廃棄物製品の装入体(charge of solid waste products)を均すことができるようにベッセルを攪拌するための少なくとも一つのアクチュエータと、を含む、装置を提供する。
【0030】
[低密度ゾーンを通して自由落下させることを含む、廃棄物処理方法]
本発明は、さらに、長さ方向中央軸線を持つベッセル内で固体廃棄物製品を処理する方法であって、ベッセルの内面から実質的にベッセルの全長に亘って延びる複数の実質的に直線状のブレードを有するベッセルに、固体廃棄物製品の装入体(charge of solid waste products)を、ベッセルの底部に沿って装荷する工程と、ベッセルをシールする工程と、ベッセル内に蒸気を導入する工程と、ベッセルを回転させることにより、固体廃棄物製品の装入体を、ベッセルの底部から、ベッセルの頂部に向かって移動させ、実質的にベッセルの長さ方向に沿って廃棄物の密度が低くなる低密度廃棄物領域を維持するように、固体廃棄物製品の装入体をベッセルを通して落下させる工程と、その後、ベッセルの圧力を抜き、処理済みの廃棄物をベッセルから取り出す工程とを含む、方法を提供する。
【0031】
代表的には、固体廃棄物製品を、ベッセルの底部からベッセルの頂部まで移動させ、ベッセル内部の比較的低密度の領域を通し、一連の別個の部分をなして(in a series of discreet)落下させる。
【0032】
固体廃棄物製品の装入体を長さ方向中央軸線と平行な方向に沿って実質的に圧縮することなく、ベッセルを回転させるのが好ましい。更に、ベッセルを回転させているとき、固体廃棄物製品の装入体を積極的に均すのが好ましく、又はベッセルを回転させているとき、ベッセルを攪拌するのが好ましい。
【0033】
本発明の方法の別の好ましい特徴は、ベッセルを回転させているとき、固体廃棄物製品を長さ方向中央軸線と平行な方向に沿って前後に輸送することである。これは、アクチュエータを使用してベッセルを傾けることによって行ってもよいし、ブレード対が両端に向かって接近していく形体(近づいていく形体)を採用する場合には、複数のブレードの作用によって行うこともできる。
【0034】
最も好ましくは、ブレードは、廃棄物装入体マス(廃棄物装入体のかたまり)を更に側方に移動させるため、ベッセルの両端に向かって交互に接近していく対をなして設けられているのが好ましい。さらに、ブレードには、ベッセルの回転時に、角度をなした各ブレードの比較的高い部分によって持ち上げられた廃棄物装入体マスの部分の落下と、角度をなした各ブレードの比較的低い部分によって持ち上げられた廃棄物装入体マスの部分の落下と、の間で時間的遅延が生じるように、ブレードの長さ方向軸線に沿って捩じれが設けられていてもよい。
【0035】
最も好ましくは、蒸気をベッセルの両端から導入する。最も好ましくは、蒸気は、適当なバルブ−圧力解放システムを使用してベッセルにパルスをなして導入された過熱蒸気(superheated steam)である。
【0036】
本発明の方法の別の好ましい態様では、ベッセルの回転時に固体廃棄物製品の装入体のマス分布(質量分布)を計測し、随意であるが、ベッセルの回転時に固体廃棄物製品の装入体が吸収するエネルギを計測する。
【0037】
更に、本発明の方法は、ベッセルの回転時に、固体廃棄物製品の装入体のマス分布(質量分布)を計測し、固体廃棄物製品の装入体が吸収するエネルギを計測し、固体廃棄物製品の装入体を処理するのに必要な時間を、固体廃棄物製品の装入体が経時的に吸収するエネルギの量から決定する。これにより、オペレータは、固体廃棄物製品の装入体が経時的に吸収するエネルギの量から、固体廃棄物製品の装入体を処理するのに必要であると確認された時間の後、固体廃棄物製品の装入体の処理を停止することができる。オペレータは、マイクロプロセッサまたはPLC制御装置からのフィードバック制御により、これを自動的に行ってもよい。
【0038】
本発明の装置および方法は、固体廃棄物製品の装入体をベッセルの一端から他端まで移動するように設計された螺旋状の又はオーガー状の構成を持つ、又はベッセルの長さ方向軸線に対して垂直に配置された表面を特徴とする他の内部構成を持つ従来のシステムを越える利点を提供する。これらの構成は、多くの場合、廃棄物製品の装入体の一部分を圧縮してしまい、これらの部分を効率的に且つ完全に処理することを妨げる。
【0039】
本発明の装置および方法は、これとは対照的に、処理の開始前または処理開始直後に、ベッセルに入れた装入体を均すことによって、ベッセルの長さ方向に延びるゾーンを形成できる。本発明の装置のブレードは、装入体をベッセルの長さ方向軸線に沿って輸送することによって、又はベッセルを水平方向に関して傾斜した位置に維持することによって行われるように、廃棄物製品装入体の部分を実質的に圧縮することなく、廃棄物製品装入体の一部分を取り出してこれらの部分を連続的に持ち上げ、この低密度ゾーンを通して落下させる。
【0040】
さらに、本発明の装置および方法により、ベッセル内のゾーンの荷重および温度の両方を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以上の簡単な説明にしたがって、現在最良の態様であると考えられている好ましい実施形態を詳細に以下に説明する。
【0042】
本発明は、廃棄物をリサイクルするためのプロセスに関する。このプロセスは、都市固体廃棄物(MSW: municipal solid waste)から、ガラス、プラスチック、金属を取り除き、その他のものを回収し、紙、板紙、食品廃棄物等を有用な繊維に変換し、これをその他のリサイクル可能な材料から分離する。
【0043】
図1は、固体廃棄物製品を本発明の一実施形態にしたがってプロセス処理するための装置の一例を示す。
【0044】
図1は、回転自在に取り付けられた円筒形ベッセル1を示す。このベッセルは、第1端と、第2端と、内面と、を有し、少なくとも一方の端部がハッチ2で終端する。ハッチ2は、ベッセルの内部にアクセスすることができるように開放することができ、ベッセル内を加圧することができるように密封閉鎖することができる。ベッセルはいずれかの端にハッチを備えていることが好ましく、これにより、ベッセルの内部にアクセス可能とするためにベッセルを開放することができ、並びに、ベッセル内を加圧することによって廃棄物製品の装入体を加圧することができる。この結果、廃棄物製品は、一方の端部で装入され、他端で取り出される。これは、処理済みの装入体をベッセルから押すラムを使用して行ってもよい。これは、ベッセルを通してラムを延ばすことによって行われる。
【0045】
図1には、更に、蒸気を噴射するための蒸気入口3が示してある。蒸気入口3は、少なくとも一方の端に配置され、好ましくは両端に配置される。蒸気入口3は、蒸気圧をベッセルに導入し、ベッセル内に蒸気圧を維持するように、蒸気導管(図示せず)に連結されていてもよい。
【0046】
図1は、更に、ベッセルの内面から突出した実質的に直線状の複数のブレード4を示す。各ブレードは、廃棄物をベッセル底部からベッセル頂部に向かって輸送し、廃棄物を解放してベッセル底部に落下させることができるように、実質的にベッセルの全長に亘って延びている。
【0047】
ベッセルは、機械式スリーブ駆動装置6等によって上フレーム部分5に関して回転させられ得るようになっている。装置は、さらに、ベッセルを回転させるための少なくとも一つのモータまたは他の手段を含んでいてもよい。
【0048】
モータ7は、他の方法で、適当な駆動/伝動手段によってベッセルに連結されていてもよく、スプロケット等にチェーンまたはベルトによって連結されていてもよい。
【0049】
代表的には、モータおよび駆動手段は、ベッセルを支持する移動自在のフレーム5に取り付けること等によって、ベッセル自体の移動にともなって移動するような構成をなして取り付けられる。
【0050】
上フレーム部分5は、下フレーム部分8によって支持されている。下フレーム部分8は、支点枢動部分9を含む。図1には、さらに、支点枢動部分9の両側に設けられた機械式ねじアクチュエータ10が示されている。機械式ねじアクチュエータ10は、第1端が第2端よりも高い位置と、第2端が第1端よりも高い位置との間において、ベッセル1を移動させる。オペレータは、この移動により、蒸気処理前および処理中の両方で、廃棄物製品の装入体の荷重のバランスをとることができる。オペレータは、蒸気処理中に廃棄物製品の装入体のバランスをとることにより、廃棄物装入体のかたまり(マス、mass)で発生するコールドスポットをなくすこと等によって、かたまり(マス、mass)への熱伝達をさらに均等にすることができる。アクチュエータ10は、それぞれの電気モータ12によって駆動される駆動ロッド11によって、フレーム8に亘り、タンデム(縦並び)をなして連結されていてもよい。
【0051】
アクチュエータ10は、最初に装荷した廃棄物製品の装入体のバランスの状態を確認するための荷重センサを備えていてもよい。廃棄物製品の装入体を最初に装荷したとき、バランスがとれていないことが確認されると、アクチュエータ10を使用して、前後揺動または急速攪拌のいずれかによって、荷重をバランスがとれるまで再分配し、廃棄物製品の装入体のベッセル内での位置を移動させる。荷重センサは、マイクロプロセッサまたはPLCに信号または情報を提供する。マイクロプロセッサまたはPLCには、各センサのところでの荷重にアクセスするため、および、フィードバック指令をアクチュエータにもたすため、プログラム指令が準備されている。
【0052】
図1は、さらに、入力コンベア13を用いてベッセルに装荷する場合にとるような、第1端が第2端に関して持ち上げられた位置で、回転自在に取り付けられた円筒形ベッセル1を示している。この位置は、廃棄物製品を処理後に排出コンベア14上に排出することにも使用することでき、あるいは、処理中に廃棄物製品の荷重を均等にするために廃棄物製品の装入体を第2端に向けて押圧することにも使用することができる。もちろん、ベッセル1の位置は、水平方向から、図1に示す最大傾斜角度とその逆方向の最大傾斜角度との間の任意の角度までの位置範囲に沿って変化させ得るようにしてもよい。
【0053】
図1Aは、図1に示す装置の別の斜視図である。図1Aにおいて、排出端すなわち第2端が、入力端すなわち第1端よりも低い。
【0054】
図3は、図1に示したのと同じ参照番号を使用し、図1に示した回転自在に取り付けられた円筒形ベッセル1を、第1端が第2端とほぼ同じ高さにあってベッセルが水平に保たれた状態で、示している。この位置は、作動中にベッセルが維持される代表的な位置であり、廃棄物製品の荷重を均等にするために廃棄物製品の装入体をいずれかの端に向かって押圧するため、比較的小さな調節が行われる。この図は、さらに、処理済みの廃棄物製品装入体用の出口ハッチとして使用される第2ハッチ2a(蒸気入口3aを備えている)を示している。
【0055】
逆に、図4は、図1に示す回転自在に取り付けられた円筒形ベッセル1の平面図を示す。廃棄物製品の荷重を均等にするために廃棄物製品の装入体を第1端に向かって移動させる上で必要とされるように、第2端が第1端に関して持ち上げてある。
【0056】
図5は、固体廃棄物製品を、図1および図2と同じリード線(lead line) を使用して、本発明の第1実施例にしたがって処理するためのベッセルシステムの、図4の5−5線に沿った長さ方向断面図である。図5は、図2(図4の2−2線に沿った断面)に示す16a−16d等のブレードのうちの一つのブレードの傾斜を示す。さらに、隣り合うブレード対がベッセルの両端に向かって交互に接近していく(先細をなして近づく)ことを示す。この図は、さらに、ベッセルが、截頭円錐区分(frusto-conical section)を両端に追加に備えていてもよいということを示す。これらの截頭円錐区分は、ベッセルの装荷および取り出しを補助するため、並びに、廃棄物製品の装入体の部分が攪拌を行うためにブレードが設けられたベッセルの部分に配向された状態を維持するのを補助するために、設けられている。図2および図5には、さらに、ブレードが、好ましくは僅かに捩じれており、接近していく隣り合うブレードの端部は、互いから遠ざかるように捩じれているのに対し、離間していく隣り合うブレードの端部は、互いに向かって捩じれることが示してある。
【0057】
図8、図9および図10は、ここに記載された処理ベッセルの円筒形部分を示す図であり、ベッセルで複数の直線状ブレードを使用する本発明の変形例を示す。
【0058】
図8は、上文中に説明したベッセル1の代りの処理ベッセル20の円筒形部分の断面図を示し、この図では、複数の直線状ブレード21がベッセルで使用されている。これらのブレード21は、ブレード21を内面23から離して保持するのに役立つ個々の取り付けブラケット22に取り付けられている。図8は、図9の8−8線での図である。取り付けブラケット22は、上文中に説明した捩じれブレードを取り付けるのにも使用され得る。
【0059】
図9は、処理ベッセル20の円筒形部分の正面図であり、複数の直線状ブレード21およびこれらのブレード21を内面23から離して保持する取り付けブラケット22を仮想線で示している。
【0060】
図10は、処理ベッセル20の円筒形部分の斜視図であり、複数の直線状ブレード21およびこれらのブレード21を内面23から離して保持する取り付けブラケット22を仮想線で示している。
【0061】
図6は、固体廃棄物製品を本発明の一実施形態にしたがって処理するための、本発明を使用した廃棄物処理システムの概略図である。このシステムは、ベッセルを通る一方向への蒸気流を可能にしている。この図は、ベッセルに蒸気を提供するように設計された、システムの様々な構成要素、及び好ましい実施形態の補助的構成要素を示している。この図は、更に、標準的表示を使用するバルブやゲージの位置を示す。このようなバルブやゲージには、制御バルブ、チェックバルブ、熱電対、ストレーナ、圧力ゲージ、モータ、及びポンプ等が含まれる。
【0062】
図7は、固体廃棄物製品を本発明の別の実施形態に従って処理するための、本発明を使用した廃棄物処理システムの概略図である。このシステムは、ベッセルを通る二方向への蒸気流を可能にしている。これらの流れは、パルスをなして(パルス的に)提供される。この図は、さらに、標準的表示を使用するバルブやゲージの位置を示す。このようなバルブやゲージには、制御バルブ、チェックバルブ、熱電対、ストレーナ、圧力ゲージ、モータ、及びポンプ等が含まれる。この概略図は、蒸気、特に過熱蒸気をパルスをなして本発明のベッセルに提供できるシステムの一例を提供する。
【0063】
図3および図4は、単に例示の目的で使用される図であり、均すことにより荷重分布を比較的小さく調節するため、処理中、ベッセルを小さく傾けてもよく、このような移動は、荷重状態に応じて、比較的急速であっても低速であってもよく、及び/又は繰り返し行ってもよいということは理解されよう。
【0064】
図2は、更に、ベッセル1内で均した場合の廃棄物製品の装入体の頂部を示す線17の一例を示す。廃棄物製品の装入体は、その上方に空間18のゾーンを残す。ベッセルが回転するときに廃棄物製品の連続的部分(successive portions)が通過する蒸気領域が、ベッセルの長さ方向に亘って延びている。ベッセルの内部には、ベッセルの長さ方向中央軸線と実質的に平行でない表面を提供する構造が実質的にないのが好ましい。
【0065】
ベッセルの作動は、図3に示す装置の断面図である、ベッセル1の内面15及びブレード16a−16dを示す図2から理解されよう。
【0066】
ブレードは、直線状であり且つベッセルの長さ方向軸線と実質的に平行であってもよく、又は、図2に示すように、好ましくは、隣り合うブレード対(例えば16a及び16b)がベッセルの一端に向かって接近していくように角度をなしていてもよく、その場合、連続したブレード対(例えば16b及び16c)は、図2から理解され得るように、ベッセルの反対側の端部に向かって離間していっている。直線状ブレードにより、ベッセルの回転時に廃棄物装入体の部分を垂直方向に持ち上げて垂直方向に落下させることができる。さらに、上文中に説明した角度をなしたブレードは、ベッセルの回転時に、廃棄物装入体の連続した部分を、交互に側方に移動させる。この移動は、廃棄物装入体の連続した部分がぶつかり合うことなく側方に穏やかに移動するように、廃棄物装入体の連続した部分を垂直方向に対して所定の角度で落下させることによって行われる。
【0067】
ベッセルに廃棄物製品の装入体を装荷した後、装荷時に装入体が通過したドアを閉鎖し、蒸気をベッセルに連続的に導入し、ベッセルを加圧する。新たな蒸気を装荷端からベッセルに連続的に供給してもよく、所定のプロセス圧力に達した後、蒸気をベッセルから排出蒸気ライン内に逃がしてもよい。
【0068】
ベッセルの温度および圧力を監視し、プロセスを所定のプロセス範囲(代表的には、148.9℃で3.515kg/cm2(300°Fで50psi))内に維持するため、蒸気の流れを調節する。ベッセルを所定の速度(ベッセルの大きさで決まる)で回転し、所定時間(代表的には20分乃至45分)経過後、圧力を解放し、処理済みの廃棄物を取り出す。
【0069】
ベッセルの長さ方向に沿って配置された温度計または熱電対によって廃棄物製品の装入体の温度を監視するようにしてもよい。温度を読み取ってこれを適用し、廃棄物製品の装入体の部分の温度を確認する。温度計または熱電対は、マイクロプロセッサまたはPLCに信号または情報を提供する。マイクロプロセッサまたはPLCには、各温度計または熱電対のところでの温度にアクセスするため、及びフィードバック指令をアクチュエータに提供するため、プログラム指令が準備されている。この情報は、効果的な熱処理を受け取っていない装入体の部分への熱伝達を増大させるようにベッセル内の廃棄物製品の装入体を調節するため、及び、廃棄物製品の装入体全体に対する全体として効果的な熱伝達を維持するため、アクチュエータ9へのフィードバック信号として使用されてもよい。
【0070】
廃棄物製品の所与の装入体は、木材、紙、有機物、水、等の様々な成分を含んでいてもよい。廃棄物製品の各装入体は、熱容量および熱伝達曲線が各々異なり、廃棄物製品の装入体を効果的に処理するため、マス全体(かたまり全体)が熱を吸収することを必要とする。
【0071】
温度計または熱電対からの情報は、廃棄物製品の装入体の初期加熱中の経時的熱吸収を決定するのにも使用され得る。これにより、オペレータ(又はマイクロプロセッサ又はPLC)は、その廃棄物製品の装入体について必要とされるエネルギを、熱伝達曲線の比較に基づいて推測することができ、さらに、廃棄物製品の装入体を構成する成分のおおよその量を決定することができ、かくして、その特定の装入体が必要とする処理時間を決定することができる。
【0072】
本発明のベッセルの作動にあたり、ベッセルを傾けて入力ハッチ2を水平方向に関して上方に置き、コンベア13を使用して廃棄物製品の装入体をベッセルに入れてもよい。次いでハッチ2を閉鎖し、蒸気の導入前に、又は蒸気の初期導入中に、廃棄物製品17の装入体(図2参照)を、随意であるが、アクチュエータ10の往復動作動によって均す 。
【0073】
ハッチ2をシールした後、入口3及び/又は入口3aを通して蒸気をベッセルに入れ、ベッセル1内に加圧蒸気環境を形成する。蒸気を発生して噴射するのに使用されるシステムの例は、図6及び図7に示してある。
【0074】
次いで、ベッセル1を回転させると、ブレード16a−16d(又は図8、図9、及び図10のブレード21)が作用し、廃棄物製品の装入体17の部分をベッセルの底部から頂部まで持ち上げた後、これらの部分を解放し、密度が比較的低い蒸気環境18のゾーン(即ち、廃棄物製品17によって占有されていない空間(図2参照))を通して落下させる。
【0075】
円筒形形状のベッセル1には、熱を均等にし、廃棄物を垂直方向及び/又は水平方向に循環させるための攪拌装置として機能する多数のブレードと、廃棄物を装荷し取り出すための少なくとも一つの開口部(すなわち、ハッチ2及び2aの夫々)が設けられている。開口部に円錐形構造が設けられていることにより、廃棄物製品の装入体の入力及び処理済みの廃棄物の排出が容易になる。ベッセルは、廃棄物をベッセル内に重力で効果的に装荷するため、その長さ方向軸線を水平位置に関して傾けてもよい。この傾けは、処理中に廃棄物製品の装入体を均すのにも使用できる。
【0076】
本発明によれば、蒸気入口は、一つ又はそれ以上の飽和蒸気又は過熱蒸気供給器および蒸気レシーバに連結されている。このようにしてベッセルを加圧し、一つ又はそれ以上の開口部から蒸気を抜く。各開口部には、圧力ロックおよび双方向蒸気流導管およびバルブが設けられていてもよい。装置は、更に、ベッセルから圧力を急速に抜くため、各開口部に随意の蒸気真空ポンプが設けられていてもよい。ベッセルを回転させたり傾けたりするときに蒸気をベッセルに流入させたり流出させたりすることができる回転ユニオンバルブが設けられていてもよい。これらの特徴は、図6および図7に概略的に示してある。
【0077】
アクチュエータに取り付けられた、これらのアクチュエータとは別個のロードセルがフレーム構造に連結されており、ベッセル内のプロセス材料がベッセルの水平軸線に沿って不均等に分布しているとき、これを検出する。廃棄物は、ベッセルを、ロードセルの信号に従って、この信号に基づいて、横方向軸線を中心として回転させることによって、ベッセル内で均等に分布される。
【0078】
ベッセルの回転時に温度を監視し、廃棄物製品の装入体の経時的温度変化を確認する。ベッセル内の温度を均等にするため、フィードバックを制御装置に送出するのに複数の温度センサを使用してもよい。制御システムおよび制御装置は、マイクロプロセッサまたはPLCを含んでいてもよい。マイクロプロセッサまたはPLCは、温度センサおよび荷重センサからデータを受け取って、ベッセルの回転およびアクチュエータに対してフィードバック制御をもたらし、廃棄物製品の装入体を、効率的に処理する上で必要とされるように再位置決めし且つ再分配する。
【0079】
処理サイクル中の熱伝達を均等にするため、廃棄物の種類に応じて、加熱した及び加圧したベッセルを双方向に、一定速度で又は可変の速度で回転させるのが好ましい。圧力および温度により廃棄物が収縮すると、廃棄物装入体の容積が減少する。ベッセル内での収縮により、空間18の容積等の開放空間が増大する。この開放空間は、密度が比較的低いこの領域で持ち上げられて落下される廃棄物の装入体の部分に熱処理を行うための高温の領域として役立つ。これにより、廃棄物が蒸気環境に対して最も完全に且つ効率的に露呈される。
【0080】
この温度データを使用して、経時的全エネルギ吸収量を決定してもよい。これにより、オペレータは、廃棄物製品の成分についての所定のデータにより、廃棄物製品の特徴を、定性的に(即ち有機物、紙、等の全体としての組成に関して)定めることができ、これによって、所与の廃棄物製品の装入体を完全に処理するのに必要な時間を推測することができる。この情報を記憶し、制御システムにフィードバックし、処理を自動的に、又はオペレータへの信号によって停止する時間を決定する。
【0081】
このプロセス中に蒸気が凝縮するため、スラッジが発生する。リサイクルした廃棄物がスラッジと混合しないようにするため、スラッジをベッセル及び攪拌機構の底部にとどめておくことができるよう、ブレードには、一つ又はそれ以上の隙間又は穴が(好ましくは、ブレード16a−16dと内面15との間の界面近くに)設けられていてもよい(例えば、穴及び隙間の夫々が設けられたブレード16a及び16dを参照されたい)。チャンバがスラッジをベッセルの底部に保持する。これは、図8、図9および図10に示す取り付け構成を使用することによっても行うことができる。図2に示す穴は、図8、図9および図10に示す直線状ブレードでも使用され得り、図8、図9および図10に示す取り付け構成は、図2に示す種類および構成のブレードでも使用され得る。
【0082】
スラッジの量は、蒸気の種類および品質に応じて変化し、スラッジの量を減少させるため、従来の飽和蒸気の代わりに乾燥過熱蒸気を使用してもよい。
【0083】
さらに、ベッセルの回転中、装入体自体の組成により、又は圧縮により、廃棄物製品の装入体に比較的低温の領域が発生したかどうかを熱電対が確認する。圧縮は、このような比較的低温の領域への熱伝達速度を遅延させる。比較的低温の領域が確認された場合には、ベッセルをアクチュエータによって傾け及び/又は揺動し、マス(質量)をベッセルの長さ方向に沿って再分配する。廃棄物製品の装入体のバランスがその他の態様で失われた場合にも、ベッセルをアクチュエータによって傾け及び/又は揺動し、マスをベッセルの長さ方向に沿って再分配する。これは、熱電対およびアクチュエータと関連して作動するPLC制御装置またはマイクロプロセッサによって行ってもよい。
【0084】
アクチュエータを作動することにより、廃棄物の装入体を、プロセス中、ベッセルの長さ方向に沿って比較的均等に分配された状態に維持することができる。その結果、ブレードは、ベッセルの長さ方向に沿って比較的均等に分配された廃棄物製品の装入体の部分を持ち上げることができ、ベッセルの処理容積の長さ方向に沿って形成され且つ維持された比較的低密度のゾーンを通してこれらの部分を落下させることができる。
【0085】
傾斜枢動点は、好ましくは、水平方向位置での重量のバランスをとるため、及びベッセルをその水平方向位置に対して調節自在の双方向角度で傾斜させるため、重心に配置される。機械式線型アクチュエータ、チェーンシステム、液圧アクチュエータ、ラックアンドピニオンシステム、シザースシステム等が、傾斜移動を提供する上で使用できる代表的な機構である。
【0086】
したがって、このシステムは、アンバランスな荷重、及び廃棄物製品の装入体の何らかの他の局所的圧縮源を阻止し且つ動的に調整し、廃棄物製品の装入体の個々の部分が通過する低密度ゾーンを形成し且つ維持することによって、廃棄物製品の装入体を効果的に処理することができるようにする。これにより効率が向上し、更に、廃棄物製品の装入体の部分を圧縮状態のままにし、すなわち不均等に分布した状態のままにする能動的な輸送システムまたはベッセルを持つ他の処理ベッセルシステムで生じる、廃棄物製品の装入体の部分の圧縮を生じることがない。
【0087】
本発明の特定の実施形態を開示したが、装置又はプロセスパラメータを、本発明の精神及び範囲内で様々に変更してもよいということは明らかである。したがって、本発明の精神及び範囲は、特許請求の範囲を参照することによって決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、固体廃棄物製品を処理するための本発明の一実施形態による装置の斜視図である。
【図1A】図1Aは、固体廃棄物製品を処理するための本発明の一実施形態による装置の斜視図である。
【図2】図2は、固体廃棄物製品を処理するための本発明の一実施形態によるベッセルの断面図である。
【図3】図3は、固体廃棄物製品を処理するための本発明の一実施形態による装置の別の斜視図である。
【図4】図4は、固体廃棄物製品を処理するための本発明の一実施形態による装置の平面図である。
【図5】図5は、固体廃棄物製品を処理するための本発明の一実施形態によるベッセルの断面図である。
【図6】図6は、固体廃棄物製品を本発明の一実施形態に従って処理するための、本発明を使用する廃棄物処理システムの概略図である。
【図7】図7は、固体廃棄物製品を本発明の一実施形態に従って処理するための、本発明を使用する廃棄物処理システムの概略図である。
【図8】図8は、複数の直線状ブレードをベッセルで使用した本発明の別の実施形態を示す、処理ベッセルの円筒形部分の断面図である。
【図9】図9は、複数の直線状ブレードをベッセルで使用した本発明の別の実施例を示す、処理ベッセルの円筒形部分の正面図である。
【図10】図10は、複数の直線状ブレードをベッセルで使用した本発明の別の実施形態を示す、処理ベッセルの円筒形部分の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体廃棄物製品を処理するための装置であって、
第1端と、第2端と、内面と、を有する回転自在に取り付けられた円筒形ベッセルであって、少なくとも一方の端が、前記ベッセルの内部へのアクセスが可能なように開放可能であるとともに前記ベッセルの加圧が可能なように密封閉鎖可能であるハッチによって終端している、円筒形ベッセルと、
前記端の少なくとも一方に蒸気を噴射するための蒸気入口と、
前記ベッセルの前記内面から突出した複数の実質的に直線状のブレードであって、前記ブレードの各々が、実質的に前記ベッセルの全長に亘って延び、廃棄物を前記ベッセルの底部から前記ベッセルの頂部に向けて輸送することができるとともに廃棄物を解放して前記ベッセルの底部に落下させることができる、複数のブレードと、
前記ベッセルを、前記第1端が前記第2端よりも高くなっている位置と、前記第2端が前記第1端よりも高くなっている位置と、の間で移動させるための少なくとも一つのアクチュエータと、を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数の実質的に直線状のブレードは、前記ベッセルの前記長さ方向軸線と実質的に平行である
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の実質的に直線状のブレードは、隣り合うブレード対が前記ベッセルの両端に向けて接近していく、ように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
接近していく隣り合うブレード対の端部が互いから遠ざかるように捩じれ、その一方で、離間していく隣り合うブレード対の端部が互いに近づくように捩じれるよう、前記複数の実質的に直線状のブレードが捩じられている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ブレードに穴が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ブレードは、前記ブレードと前記内面との間に空間が形成されるようにして、取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのアクチュエータは、前記ベッセルの重心の両側にそれぞれ設けられた一対の機械式ねじアクチュエータを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ベッセルの重心の両側での荷重を感知するようになされた荷重センサをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記荷重センサと関連したマイクロプロセッサまたはPLC制御装置をさらに備え、
前記マイクロプロセッサまたはPLC制御装置は、前記少なくとも一つのアクチュエータの各々に作用する荷重を確認し、前記ベッセル内に収容された廃棄物製品の装入体の分布の変化に応じて前記少なくとも一つのアクチュエータに信号を送るようになされたプログラム指令を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記ベッセルの長さ方向に沿って配置された複数の熱電対をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の熱電対と関連したマイクロプロセッサまたはPLC制御装置をさらに備え、
前記マイクロプロセッサまたはPLC制御装置は、前記ベッセル内に収容された廃棄物製品の装入体が吸収したエネルギの量を経時的に計算するようになされたプログラム指令を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つのアクチュエータと関連した荷重センサであって、前記ベッセル内に収容された前記廃棄物製品の装入体の質量を確認するようになされた荷重センサと、
前記ベッセル内に収容された廃棄物製品の装入体の質量当たりのエネルギ吸収量を決定するためのプログラム指令を有するマイクロプロセッサまたはPLC制御装置と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
長さ方向中央軸線を持つベッセル内で固体廃棄物製品を処理する方法であって、
前記ベッセルの前記内面から突出した複数の実質的に直線状のブレードであって、前記ブレードの各々が、実質的に前記ベッセルの全長に亘って延びている、複数のブレードを有した前記ベッセルに、固体廃棄物製品の装入体を、前記ベッセルの底部に沿って装荷する工程と、
前記ベッセルをシールする工程と、
前記ベッセル内に蒸気を導入する工程と、
前記ベッセルを回転させることにより、前記固体廃棄物製品の装入体を前記ベッセルの前記底部から前記ベッセルの前記頂部に向けて移動させ、さらに、前記固体廃棄物製品の装入体を前記ベッセル内で落下させ、これにより、実質的に前記ベッセルの長さ方向に沿って廃棄物の密度が低くなっている低密度廃棄物領域を維持する工程と、
その後、ベッセル内を減圧し、処理済みの廃棄物をベッセルから取り出す工程と、を備える
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記固体廃棄物製品の装入体を、前記長さ方向中央軸線と平行な方向に沿って実質的に圧縮することなく、前記ベッセルが回転させられる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ベッセルが回転させられている間に、前記固体廃棄物製品の装入体が積極的に均される
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ベッセルが回転させられている間に、前記固体廃棄物製品が前記長さ方向中央軸線と平行な方向に沿って前後に移動させられる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記固体廃棄物製品は、前記ベッセルの底部から前記ベッセルの頂部に向けて移動させられ、一連の別個の部分をなして落下させられる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記蒸気は、前記ベッセルにパルス的に導入された過熱蒸気である
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記固体廃棄物製品の装入体の質量の分布を計測する工程と、
前記ベッセルが回転している間に、前記固体廃棄物製品の装入体が吸収するエネルギを計測する工程と、
前記固体廃棄物製品の装入体を処理するのに必要な時間を、前記固体廃棄物製品の装入体が経時的に吸収するエネルギの量から決定する工程と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記固体廃棄物製品の装入体が経時的に吸収するエネルギの量から決定された、前記固体廃棄物製品の装入体を処理するのに必要な時間の経過後、前記固体廃棄物製品の装入体の処理を中止する
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−540086(P2008−540086A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510123(P2008−510123)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/016773
【国際公開番号】WO2006/121697
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(508013847)エステック、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】ESTECH, LLC
【Fターム(参考)】