説明

廃棄物焼却炉

【課題】オイル、ガス等の化石燃料を多量に消費することなく、難燃性の廃棄物でも容易に焼却することができる廃棄物焼却炉を提供する。
【解決手段】廃棄物Aが収容される燃焼室1に燃焼用空気導入管10a〜10dを設け、該導入管に永久磁石13a,13bを対向状に配置した磁化部12a〜12dを設け、燃焼用空気が該磁化部を通って燃焼室1内に僅かずつ導入されるようにし、廃棄物Aを低酸素状態で燃焼させる。燃焼室の床面には遠赤外線を放射する石板2を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として難燃性の廃棄物を焼却するのに適した焼却炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水分を含んだ繊維屑、皮製品、食品、畳、或いは廃プラスチック製品等の廃棄物は、燃え難いので焼却するのにオイル、ガス等の化石燃料を多量に消費するものであった。このため地球環境のためによくないと共に、処理コストが高くなるという問題がある。
また、下記特許文献1に示された廃棄物の焼却処理方法では、上記のような難燃性の廃棄物に燃え易い廃棄物を混合し、燃焼可能にすることにより、オイル、ガス等の燃料の使用量を削減し得るようにしたものである。
【特許文献1】特許第2892296号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に示された焼却処理方法は、易燃性の廃棄物が十分な量だけ得られることが前提となるものであり、しかも実施するのに多大な設備投資を要するという問題がある。
また、従来の焼却炉は、難燃性の廃棄物を燃焼させる際に悪臭を伴う煤煙が発生するため、都市部、或いは住宅地のような場所では運転できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、請求項1に記載した廃棄物焼却炉は、廃棄物が収容される燃焼室に燃焼用空気導入管を設け、該導入管に永久磁石を対向状に配置した磁化部を設け、燃焼用空気が該磁化部を通って燃焼室内に僅かずつ導入されるようにし、該燃焼室内の廃棄物を低酸素状態で燃焼させることを特徴とする。
また、請求項2に記載した発明は上記廃棄物焼却炉において、燃焼室の床面に遠赤外線を放射する石板を配設したことを特徴とする。
また、請求項3に記載した発明は上記廃棄物焼却炉において、燃焼室で発生した燃焼排ガスを再燃焼させて排出する二次燃焼塔を該燃焼室の頂部に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
この焼却炉に廃棄物を容れて燃焼させることにより、常態では難燃性の廃棄物でも燃焼性が改善され燃え易くなる。このため、従来のようにオイル、ガス等の化石燃料を多量に消費することなく低コストで難燃性の廃棄物を焼却することができる。また、比較的簡単な構成であるので、設備費も軽減され、設置が容易となる。また、排ガスをクリーンに保つことができるので、住宅地等に設置することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に図面に従い本発明の実施形態を説明する。図1はこの焼却炉の縦断面図、図2は水平断面図である。燃焼室1は床面に遠赤外線放射石板2を配設すると共に、鉄板を形鋼3により支持することにより側壁4および天井壁5を形成してなる。6は該燃焼室1の上部に形成された投入室で、該投入室と燃焼室1とは天井壁5に開設された投入口7により連通し、該投入口には矢印で示したように下方に展開し得る一対の開閉板8が設けられている。また、該投入室6の上端開口に蓋板9が設けられ、該蓋板を閉じることで投入室6が密閉されるようにしている。
【0007】
10a〜10dは側壁3の底部寄りに適宜間隔を離して設けられた複数本の燃焼用空気導入管で、該導入管の外端部に夫々バルブ11a〜11dを設け、該バルブを絞ることにより燃焼用空気を燃焼室1内に僅かずつ導入できるようにしている。また、12a〜12dは該各導入管の途中に設けられた磁化部で、該各磁化部は、図3に示したように、永久磁石13a,13bを通気路14を挟んで配置してなるもので、このように永久磁石13a,13bを対向状に配置することにより、該通気路14を強力な磁力線が横断し高い磁束密度となるので、その高磁場の領域を燃焼用空気が低速度で通過することにより該燃焼用空気が磁化される。なお、15は燃焼室1の頂部に設けられた二次燃焼塔である。また、16は他方の側壁3に設けられた開閉扉で、該開閉扉を開口することで燃焼室1内の焼却灰を掻き出し得るようにしている。
【0008】
このように構成した焼却炉では、蓋板9を開けて投入室6に廃棄物Aをいったん収容し、開閉板8を開けることにより該廃棄物Aを燃焼室1内に落下収容させる。そして該廃棄物Aに対し例えばバーナーの火炎を当てるなどして着火して当初燃焼が持続可能な状況までにして該開閉板8を閉じる。その後はバルブ7a〜7dの開度を調節することにより磁化された燃焼用空気を該燃焼室1内に僅かずつ導入し、該燃焼室内の廃棄物Aを該燃焼用空気の基で低酸素状態で燃焼させる。この燃焼用空気は、磁化部12a〜12dを通って磁化されることにより磁束密度の高い空気となって燃焼室1内に流入する。そしてこの空気が廃棄物Aの燃焼部位の分子を励起させる。このため、低酸素状態であることと、燃焼部位が高温であることとが相俟って、燃焼部位の分子がプラズマ化し、その水素ガス反応により燃焼を活発化させる。
【0009】
また、この燃焼に伴い石板2が加熱されて遠赤外線を放射することから、その遠赤外線の作用によっても炉内温度が上昇し、燃焼を一層促進させることができる。このため、低酸素状態での燃焼でありながらも炉内が高温度となって廃棄物Aを完全燃焼することができ、従来のように不完全燃焼に基因する悪臭、煤煙の発生も軽微に抑えられる。燃焼中の炉内温度は1200℃程度の高温度になることから、例えば水分を含んだ廃畳やマットレス、廃プラスチック製品等の難燃性の廃棄物でも途中で火が消えることなく、内部まで火が浸透し6〜7時間程度で完全に焼却することができる。
なお、永久磁石13a,13bは、燃焼室1外にあって燃焼室1の高温度が伝熱され難く、常温に保たれるために強い磁力を維持し得る。
【0010】
また、燃焼室内で発生した燃焼排ガスは二次燃焼塔11にて再燃焼され、さらに清浄化された後に大気中に排出される。このため、都市部や住宅地のような場所でも、悪臭、煤煙を散乱させることなく種々の廃棄物を焼却処分することができる。
なお、燃焼室1内に新たに廃棄物を挿入するに際しては、該廃棄物をいったん投入室6に入れてから開閉板8を開けて該廃棄物Aを燃焼室1内に落下させることにより、炉内に急激に多量の酸素が流入することのないようにし、燃焼室1内が常に低酸素状態が保持されるようにする。
【0011】
このように、本発明の廃棄物焼却炉は、永久磁石によって磁化された燃焼用空気を燃焼室内に導入し、廃棄物を低酸素状態で燃焼させることにより、難燃性の廃棄物でも燃料ガス等の化石燃料を消費することなく低コストで処理することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明の廃棄物焼却炉は、例えば生ゴミ、繊維屑、皮製品のような難燃性の廃材、廃畳のような建築廃材、廃プラスチック製品等の産業廃棄物を焼却するのに広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る廃棄物焼却炉の縦断面図。
【図2】本発明に係る廃棄物焼却炉の水平断面図。
【図3】本発明に係る廃棄物焼却炉の磁化部の縦断面図。
【符号の説明】
【0014】
1 燃焼室
2 石板
10a〜10d 燃焼用空気導入管
11a〜11d バルブ
12a〜12d 磁化部
13a,13b 永久磁石
15 二次燃焼塔
A 廃棄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物が収容される燃焼室に燃焼用空気導入管を設け、該導入管に永久磁石を対向状に配置した磁化部を設け、燃焼用空気が該磁化部を通って燃焼室内に僅かずつ導入されるようにし、該燃焼室内の廃棄物を低酸素状態で燃焼させることを特徴とした廃棄物焼却炉。
【請求項2】
燃焼室の床面に遠赤外線を放射する石板を配設したことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物焼却炉。
【請求項3】
燃焼室で発生した燃焼排ガスを再燃焼させて排出する二次燃焼塔を該燃焼室の頂部に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の廃棄物焼却炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−20093(P2008−20093A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190350(P2006−190350)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(506238156)株式会社はせ川コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】