説明

廃棄物焼却装置

【課題】廃棄物を、乾燥(低温)→分解(中温)→燃焼(高温)と効率良く、かつ確実に完全燃焼させ、ダイオキシンなどの有毒物質も排出しない。
【解決手段】投入口11を有する第一燃焼炉1と第二燃焼炉41とを横方向の第一煙道70で連結し、第二燃焼炉41と排ガス洗浄槽55とを第二煙道80で連結して、廃棄物燃焼装置90とする。第一燃焼炉1の側壁で、多数のノズル24を横方向に並べてノズル群25として、上下3段で形成して、ノズル群25a、25b、25cとし、各ノズル24の先端を炉内に向けて高圧空気吐出口とする。第一燃焼炉1の上端部で、第一煙道70に向かう開口13の近傍に、バーナの火炎口15を配置する。各ノズル群25a、25b、25cで、火炎口15に近い側を相対的に高圧で、他側を相対的に低圧となるように形成する。第一燃焼炉1に、斜め下方に向けて、高圧空気を吐出できる高圧空気突出口22を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃棄物をダイオキシンなどの有害ガスを放出せずに燃焼させることを目的とする廃棄物焼却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシンなどの有害ガスは比較的低温の燃焼時に発生すると考えられているため、ダイオキシンなどを放出せない焼却炉では、廃棄物を比較的高温(例えば800℃以上)で燃焼させて、燃焼ガスの温度を保つために助燃装置(二次燃焼室)も必要であると考えられていた。
【0003】
この場合、燃焼を促進させるために、燃焼室内に空気供給口を形成した焼却炉も提案されている(特許文献1)。この場合、空気供給口から比較的低圧(例えば、0.1kg/cm)で放出し、別途流体噴射ノズルで撹拌していた。
【0004】
また、一般に燃焼炉内の着火バーナは、燃焼炉内の下部に設けてあった(例えば、特許文献2)。これは、燃焼炉の下部に溜まった燃焼対象物に直接にバーナの炎を吹き付ければ、効率的に燃焼できると考えられていたからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−103439
【特許文献2】特開2008−139010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当社の実験によれば、燃焼炉内の温度を800℃程度に保ちながら、効率よく燃焼する為には、燃焼室の上部であって、二次燃焼室に向かう煙道の近傍にバーナを設けて、かつ、燃焼室内には圧力の異なる空気をまんべんなく供給することが必要であることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこでこの発明では、第一燃焼炉の上部で第一煙道の近傍にバーナの火炎口を配置し、また第一燃焼炉の側面に内側に向けて水平方向の高圧空気吐出口群を配置し、高圧空気吐出口群を多段に形成し、さらに、高圧空気吐出口から供給される高圧空気は、バーナの火炎口に近い側をより高圧としたので、前記問題点を解決して、ダイオキシンなどの有毒物質を排出せずに、かつ効率良い廃棄物の燃焼を実現できた。
【0008】
即ち、この発明は、以下の要件を具備したことを特徴とする廃棄物焼却装置である。
(1) 焼却物の投入口を有する「第一燃焼炉」と、発生する煤塵類を更に燃焼する「第二燃焼炉」と、上方にむけてガス排出口を有する「排ガス洗浄槽」とを有する。
(2) 前記「第一燃焼炉」と前記「第二燃焼炉」を横方向の第一煙道で連通する。
前記「第二燃焼炉」と「排ガス洗浄槽」とを第二煙道で連通させる。
(3) 前記「第一燃焼炉」で、一側面及び一側面に対向する面を他側面とする。
前記一側面の上部に横方向にバーナの火炎を放出する火炎口を配置する。
(4) 前記一側面及び他側面に、高圧空気を放出する空気吐出口を横方向に多数を並べて、空気吐出口群を形成し、前記空気吐出口群を上下多段に設ける。
(5) 前記火炎口を前記第一煙道の近傍に配置する。
(6) 前記各空気吐出口群の空気吐出口を、前記火炎口に近い位置を高圧で放出可能とし、前記火炎口に遠い位置を低圧で放出可能となるように形成する。
(7) 前記「第一燃焼炉」に、斜め下方に向けて、高圧空気を吐出できる空気突出口を形成する。
【0009】
また、前記において、以下のように構成したことを特徴とする廃棄物焼却装置である。
(1) 第一燃焼炉で、火炎口からのバーナの火炎が前記開口を横切るように、開口の軸の高さとの火炎口の軸の高さを略同一に形成する。
(2) 前記第一燃焼炉で、各高さの空気吐出口群に高圧空気を供給するダクトを形成し、ダクト内に高圧空気を供給する連結部を、前記火炎口の対向側に形成する。
(3) 前記第一燃焼炉で、前記各空気吐出口の吐出空気の圧力を調節できるように前記ダクト内に減圧弁を配置する。
(4) 前記第一燃焼炉で、火炎口の近傍に、上方から高圧空気を吐出できる空気吐出口を設ける。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、第一燃焼炉の上部で第一煙道の近傍にバーナの火炎口を配置し、また第一燃焼炉の側面に内側に向けて水平方向の高圧空気吐出口群を配置し、高圧空気吐出口群を多段に形成し、さらに、高圧空気吐出口から供給される高圧空気は、バーナの火炎口に近い側をより高圧としたので、燃焼する廃棄物を、徐々に温度を上げて、乾燥(低温)→分解(中温)→燃焼(高温)と効率良く、かつ確実に完全燃焼させることができる。従って、ダイオキシンなどの有毒物質を排出せずに、廃棄物を効率良くかつ確実に燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1はこの発明の実施例で、燃焼装置の全体構成を表す概略した縦断面図である。
【図2】図2はこの発明の実施例で、燃焼装置の平面図である。
【図3】図3はこの発明の実施例の第一燃焼炉と第一煙道の拡大正面図である。
【図4】図4はこの発明の実施例の第一燃焼炉と第一煙道の拡大右側面図である。
【図5】図5はこの発明の実施例の第一燃焼炉で、図2のA−A線における拡大断面図である。
【図6】図6はこの発明の実施例の第一燃焼炉で、図2のB−B線における拡大断面図である。
【図7】図6はこの発明の実施例の第一燃焼炉で、図2のC−C線における拡大断面図である。
【図8】図8はこの発明の実施例の第一燃焼炉で、図2のD−D線における拡大断面図である。
【図9】図9はこの発明の実施例の第一燃焼炉で、図5のE−E線における拡大断面図である。
【図10】図10はこの発明の実施例の第二燃焼炉で、図1のF−F線における拡大断面図である。
【図11】図11はこの発明の実施例の排ガス洗浄槽で、図2のG−G線における拡大断面図である。
【図12】図12はこの発明の実施例の第一煙道で、図3のH−H線における拡大断面図である。
【図13】図13はこの発明の実施例の第一燃焼炉で、空気吐出口群の圧力を表す概念図である。
【図14】図14はこの発明の実施例の第一燃焼炉で、空気吐出口群の圧力を表す概念図(横断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1) この発明の廃棄物焼却装置90は、焼却物の投入口11を有する第一燃焼炉1と、発生する煤塵類を更に燃焼する第二燃焼炉41と、上方にむけて煙突(ガス排出口)57を有する排ガス洗浄槽55とから構成する。第一燃焼炉1の開口13と第二燃焼炉2の開口45とを水平方向(横方向)の直線状の第一煙道70とで連通する。第二燃焼炉41の上を向いた開口43と、排ガス洗浄槽55の横方向の開口58とを、エルボ状の第二煙道80で連通させる(図1、図2)。
【0013】
(2) 第一燃焼炉1で、対向する第一側壁(一側面)5と第三側壁(他側面)7で、第一側壁5の上部に横方向に着火バーナ用の火炎口15を配置する。火炎口15の軸16を、開口13の軸14と、略同じ高さで交わるように配置する。即ち、着火バーナの炎が開口13を横切るように形成される。
【0014】
(3) 少なくとも第一側壁5と第三側壁7に、ノズル24、24を埋設して高圧空気を放出する空気吐出口26、26を横方向に多数を並べる。ノズル24、24の同一高さの一列をノズル群(空気吐出口群)25とする。ノズル群25は、上下に3段に形成し、ノズル群25a、25b、25cとする。ノズル群25は、複数段形成すれば良く、ノズル24の数や吐出する空気圧により、段数を設定する。
【0015】
(4) この実施形態では、第一側壁5と第三側壁7に加えて、第二側壁6にも同様に、ノズル28、28を埋設して高圧空気を放出する空気吐出口30、30を横方向に多数を並べる。ノズル28、28の同一高さの一列をノズル群(空気吐出口群)29とする。ノズル群29は、同様に上下に3段に形成し、ノズル群29a、29b、29cとする。
【0016】
(5) 略同じ高さの各ノズル群25aとノズル群29a、ノズル群25bとノズル群29b、ノズル群25cとノズル群29cで、ノズル24、28の基端側を、夫々ダクト(ヘッダー)31a、31b、31cで連結して、各ノズル24、28に一斉に高圧空気を供給できるようになっている。各ダクト31a、31b、31cへは、夫々連結口32a、32b、32cからブロワからの高圧空気を供給する。連結口32a、32b、32cは火炎口15の対向側に配置される。
【0017】
(6) 各ダクト31a、31b、31c内で、連結口32a、32b、32cから近いに減圧弁34a、34b、34cを配置し、遠い側に減圧弁35a、35b、35cを配置して、各ダクト31a、31b、31cを、高圧A、中圧B、低圧Cを形成する(図12)。この場合、例えば、
高圧A:中圧B:低圧C=5:3:1
程度に形成する。これにより、火炎口15に近い位置で高圧による放出を可能とし、火炎口15に遠い位置を低圧で放出可能となるように形成される。
【0018】
(7) 第一燃焼炉1で、天板3に斜め下方に向けて、高圧空気を吐出できるノズル21を設け、斜め下方に向けた空気突出口22を形成する(図1、図3)。
【0019】
(8) なお、前記において、ノズル群を3段で形成したが、2段以上であれば段数は任意である。
【0020】
また、前記において、ノズル24、28からの吐出する空気圧も高中低の3段階で設定したが、高低2段階で設定することもできる(図14)。ここで、連結口32から高圧空気をダクト(ヘッダー)31に供給し、さらに各ノズル24、28の先端(空気吐出口26、30)から第一燃焼炉1無いに、高圧空気が供給される。
【0021】
例えば、第一側壁5設けた火炎口15を第二側壁6側に形成した場合、平面視で(水平方向で)、火炎口1に近い側(減圧弁35より連結口32側)、即ち、
・第二側壁6のノズル28、28
・第一側壁5で、第二側壁6側(火炎口15側)のノズル24、24
・第三側壁7で、第二側壁6側(火炎口15側)のノズル24、24
から吐出される高圧空気を相対的に高圧Aで設定する(図14)。また、ダクト31の先端側(連結口32から見て減圧弁35、35より先)で、
・第一側壁5で、第四側壁8側(火炎口15から遠い側)のノズル24、24
・第三側壁7で、第四側壁8側(火炎口15から遠い側)のノズル24、24
から吐出される高圧空気を相対的に低圧Bで設定する(図14)。
【実施例】
【0022】
図面に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0023】
この発明の廃棄物焼却装置90は、焼却物の投入口11を有する第一燃焼炉(サイロ)1と、発生する煤塵類を更に燃焼する第二燃焼炉(サイクロン兼差燃焼室)41と、上方にむけて煙突57を有する排ガス洗浄槽(スクラバー)55とを有する。第一燃焼炉1の開口13と第二燃焼炉41の開口45とを第一煙道70を介して連結し、第二燃焼炉41の開口43と排ガス洗浄槽55の開口58とを第二煙道80を介して連結して、この発明の廃棄物焼却装置90を構成する(図1、図2)。
【0024】
1.第一燃焼炉(サイロ)1の構成(図1〜図9)
【0025】
(1) 天板3、底板4、対向する第一側壁5と第三側壁7、対向する第二側壁6と第四側壁8、からなる略直方体の箱状の燃焼炉基体を構成する。天板3、底板4及び各側壁5、6、7、8は所定の耐熱・断熱の構造となっている。
天板3に焼却対象部の投入口11を設けて、投入口11に蓋12を被せてある。蓋12は、スライドして投入口11を開閉でき、焼却対象を投入する投入ホッパー(図示していない)と蓋12のスライドに連動して投入ホッパーを開く投入装置(図示していない)を設けてある。
【0026】
(2) また、第二側壁6の上端部で中央部付近に、第一煙道70に向かう開口13形成する。
【0027】
(3) また、第一側壁5の上縁部で第二側壁6に近い側(開口13に近い側)に助燃バーナの火炎口15を設ける(図1、図5)。天板3で、第一側壁5と第二側壁6の中間位置であって、火炎口15の上方付近に、下方に向けて天板3に直角に、多数のノズル17、17を埋設して、ノズル17、17の先端を炉内に位置させ、高圧空気吐出口18、18を形成する。ノズル17及び高圧空気吐出口18は、第二側壁6に略並列して(火炎口15の軸16方向に)2つ設け、天板3の外面(炉の外面)に位置するノズル17の基端17aに高圧空気を供給するブロアからのパイプ(小径ダクト。図示していない)に連結する。
また、天板3で、第一側壁5と第二側壁6の中間位置であって、開口13の軸14付近に温度計19を埋設し、感熱部を炉内に位置させる。また、図中20は炉内に水を吐出する水ノズル、36は炉内を目視する点検口である(図2)。
【0028】
(4) また、天板3で、投入口11より第四側壁8側に、第一側壁5と第三側壁7の中間位置であって、開口13の軸14付近に先端を第二側壁6側に向けて斜めにノズル21を埋設して、ノズル21の先端を炉内に位置させ、高圧空気吐出口22を形成する。また、同様に、天板3の外面(炉の外面)に位置するノズル21の基端21aに高圧空気を供給するブロアからのパイプ(小径ダクト。図示していない)に連結する。
【0029】
(5) また、第一側壁5及び第三側壁7に、横方向(水平方向)に13個のノズル24、24を並べて埋設して、ノズル群25を形成し、各ノズル24、24の先端を炉内に位置させて高圧空気吐出口26、26を形成する。ノズル群25は3段に形成し、上ノズル群25a、中ノズル群25b、下ノズル群25cとして、高さ方向(天板3と底板4の間)でほぼ均等に配置する。各ノズル群25a、25b、25cで第二側壁6に近い側のノズル24、24の複数は、火炎口15の端よりも第二側壁側6に位置する。従って、火炎口15の直下に複数(ここでは4つ)の高圧空気吐出口26(ノズル24)が位置する。
また、上ノズル群25aは、上下方向で、火炎口15の直下であって、開口13の下縁付近に位置している。また、各ノズル群25a、25b、25cは水平方向で第二側壁6と第四側壁7の間でほぼ全長に渡って、かつほぼ等間隔で配置される。
【0030】
(6) また、第二側壁6にも同様に、横方向(水平方向)に7個のノズル28、28を並べて埋設して、ノズル群29を形成し、各ノズル28、28の先端を炉内に位置させて高圧空気吐出口30、30を形成する。ノズル群29は3段に形成し、上ノズル群29a、中ノズル群29b、下ノズル群29cとして、第二側壁6の下ノズル群29bと中ノズル群29cは、第一側壁5及び第三側壁7の中ノズル群25b、下ノズル群25c、と同一高さに配置する。
また、第二側壁6の上ノズル群29aは、開口13の下方に配置し、第一側壁5及び第三側壁7の上ノズル群25a、25aよりも下方に配置される。
【0031】
(7) 第一側壁5、第二側壁6、第三側壁7の外面に、各下ノズル群25c、29cの基端に連通して高圧空気を供給する下ダクト31cを配置する。同様に各中ノズル群25b、29bが連通する中ダクト31b、各上ノズル群25a、29aが連通する上ダクト31aを配置する。第一側壁5及び第三側壁7の上ノズル群25a、25aと、第二側壁6の上ノズル群29aとで高さが異なるので、上ダクト31cは斜め部分を有する(図3、図4)。
【0032】
従って、上ダクト31a、中ダクト31b及び下ダクト31cは、夫々平面視でコ字状に形成される。また、上ダクト31a、中ダクト31b、下ダクト31cの第三側壁7部分で、第二側壁6の近傍に、ブロアから夫々高圧空気を供給するパイプを連結する連結口32a、32b、32cを夫々形成する。
上ダクト31a、中ダクト31b及び下ダクト31cで、第一側壁5及び第二側壁6で、火炎口15の軸16よりも若干第四側壁8側の位置に第一減圧弁(オリフィス)34a、34b、34cを夫々設け、更に各ダクトの31a、31b、31cの第四側壁8側に第二減圧弁(オリフィス)35a、35b、35cを夫々設ける。連結口32a、32b、32cは、第一減圧弁34a、34b、34cよりも第二側壁6側に位置する。従って、第二側壁6の各ノズル群29a、29b、29cと第一側壁5及び第三側壁7で第一減圧弁34a、34b、34cよりも第二側壁6側の各ノズル28、28(火炎口15、開口13に最も近い側)に、最も高圧な高圧空気が供給される。また、第二減圧弁35a、35b、35cよりも第四側壁8側(火炎口15、開口13から最も遠い側)に最も低圧な高圧空気が供給される。また、第一減圧弁34a、34b、34cと第二減圧弁35a、35b、35cの間(火炎口15、開口13からの中間位置)のノズル28、28に中程度圧力の高圧空気が供給される(図3、図5、図7、図9)。
【0033】
(8) 前記におけるノズル17、21、26、28から供給される高圧空気は、少なくとも大気圧より高圧として、充分な空気量を炉内に供給する。
【0034】
(9) また、第四側壁8に、灰排出口37を形成して開閉する蓋38を設ける。天板3の上面に炉内に冷却水を供給する水タンク39を設ける。
以上のようにして第一燃焼炉1を構成する。
【0035】
2.第二燃焼炉(サイクロン兼再燃焼室)41の構成(図1、図2、図10)
【0036】
(1) 底が塞がった円筒体から燃焼炉基体を構成し、燃焼炉基体は全体が所定の耐熱・断熱の構造となっている(図1)。
【0037】
(2) 燃焼炉基体は上面が内周に沿って開口43が形成され、第二煙道80に接続できるようになっている。また、燃焼炉基体の中間高さの外面に膨出部44を形成して、膨出部44に長方形の開口45を形成し、第一煙道70に接続できるようになっている。
燃焼炉基体の一直径46に対して、開口45の一側面45aは、燃焼炉基体の一直径46と一致させる。また、開口45の他側面45bは燃焼炉基体の円形の内面の接線方向47と一致させる(図10)。
【0038】
(3) 燃焼炉基体の中間部の開口45と同じ高さに再燃バーナ52Aを接続する第一火炎口48を設け、開口45(第一火炎口48)より若干上方の高さに、消煙バーナ52Bを接続する第二火炎口50を設ける。両火炎口48、50の軸49、51は燃焼炉基体の軸(中心)42に向けて形成されている。
また、燃焼炉基体の一直径46で、燃焼炉基体の中心42から開口45の反対側に向かう半径(放射線)46aに対して、第一火炎口48の軸49は平面視で角度45度となるように形成し、同じく第二火炎口50の軸51も、平面視で角度45度でとなるように成されている。従って、第一火炎口48の軸49と、第二火炎口50の軸51とは平面視で角度90度となっている(図10)。
【0039】
(4) 以上のようにして、第二燃焼炉41を構成する。
【0040】
3.排ガス洗浄槽(スクラバー)55の構成(図1、図2、図11)
【0041】
(1) 底が塞がった円筒体から洗浄槽基体を構成し、洗浄槽基体は全体が所定の耐熱・断熱の構造となっている。
【0042】
(2) 洗浄槽基体の上端部に逆漏斗部56を形成して縮径して、上方に向けて開口して、煙突57を接続する。煙突には上方に向けて空気を送るエゼクタブロワ(図示していない)が取付けてある。
洗浄槽基体の上端部側面に円形の開口58を形成して、第二煙道80を接続可能としてある。開口58に煙導入ダクト60を接続して、第二煙道80からの排ガスを洗浄槽基体の中心に導くことができるようになっている。煙導入ダクト60は、上方直管61、エルボ62、下方直管63から構成し、下方直管63の下端63aが、洗浄槽基体の下部に位置して、下方に向けて開放している(図1)。
【0043】
(3) 洗浄槽基体の中間高さで、煙導入ダクト60の下方直管63をその位置で保持できるように、下方直管63の外面と洗浄槽基体の内面との間に、放射状の保持材64を固定する(図1、図11)。
「下方直管63の外径と洗浄槽基体の内径との中間の径」でリング状に形成したパイプから洗浄ノズルヘッダー65を形成して、保持材64上に取り付ける。洗浄ノズルヘッダー65の下面側に、全周に渡って、下方に向けて洗浄ノズル66、66を形成し、洗浄ノズル66から下方に向けて噴射角70度程度で霧状の液体を噴霧できるようになっている。
また、洗浄槽基体の外面から連結管67を挿入して、洗浄ノズルヘッダー65に連通させ、連結管67の基端側を、水と適宜混合して吐出液を形成する苛性ソーダタンク(図示していない)に接続する。
【0044】
4.第一煙道70の構成(図1、図2、図12)
【0045】
(1) 第一煙道70は、内側が断面長方形のダクトで、直線状で全体が所定の耐熱・断熱の構造となっている(図12)。第一煙道70の一端71を第一燃焼炉1の開口13に連結・連通し、他端72を第二燃焼炉41の開口45に連結・連通できる(図1)。
【0046】
(2) 第一煙道70の一端71と他端72との中間位置で、一縦断面に沿って、上下壁に5個、両側壁に6個のノズル73、73を埋設して、ノズル群74を形成する。各ノズル74の先端が第一煙道70の内面に臨み、高圧空気吐出口75を構成する。ノズル74の基端は第一煙道の外面に位置し、ノズル群74の基端に高圧空気を供給するドーナツ状(断面長方形状)のダクト76を配置する。ダクトの一端にブロワから供給される高圧空気をダクトに導入するための連結部を形成する(図11)。
【0047】
(3) 高圧空気吐出口75は、エアーシャッターとなるように構成し、相対的に高圧空気を供給する高圧空気吐出口75Aと、相対的に低圧空気を供給する高圧空気吐出口75Bとを交互に配置する(図11)。従って、第一燃焼炉側からのガスが低圧となっている場合には、エアシャッターで第二燃焼炉41側への移動が規制される。また第一燃焼炉1側からの粉塵や煙が高圧となった場合には、相対的に低圧の高圧空気吐出口75Bの部分を通って、徐々に第二燃焼炉41側に移動する。
【0048】
5.第二煙道80の構成(図1、図2)
【0049】
第二煙道80は、内側が断面円形のダクトで、外観がエルボ状で、全体が所定の耐熱・断熱の構造となっている(図1)。第二煙道80の一端(下方に向けて開口)81を第二燃焼炉41の開口43に連結・連通し、他端(水平方向に開口)82を排ガス洗浄槽55の開口58に連結・連通できる(図1)。
【0050】
6.廃棄物燃焼装置90の作動
【0051】
(1) 投入口から燃焼対象の廃棄物を第一燃焼炉1内に投入して、蓋12で密封する。
(2) 煙突57のエゼクタブロワを作動する。
(3) 排ガス洗浄槽(スクラバー)55で、所定のpH計の指示により、洗浄ノズルヘッダー65に、所定濃度の苛性ソーダを供給して、洗浄ノズル65から苛性ソーダを放出して排ガス洗浄槽55内を苛性ソーダで満たす。
(4) 第一燃焼炉1の火炎口15に装着した着火バーナ(図示していない)を着火し、第二燃焼炉の第一火炎口48の再燃バーナ52A、第二火炎口50の消煙バーナ52Bを着火する。
(5) 第二燃焼炉41の温度が例えば350℃となった状態で、ブロワを可動させ、各ノズル24、28か高圧空気吐出口75B空気を供給する。
(6) 第二燃焼炉41の温度が例えば350℃となった状態で、ブロワを可動させ、第一燃焼炉1内に各ノズル24、28か高圧空気を供給する。
(7) 第二燃焼炉41の温度が例えば500℃となった状態で、ブロワを可動させ、第一煙道70内にノズル73、73の高圧空気吐出口75から高圧空気を供給して、第一燃焼炉1からの粉塵や煙の流失を抑えて、第一燃焼炉1を簡易に密閉する。この場合、完全な密封では無く、第一燃焼炉1が設定以上の高圧にならないように、比較的低圧の高圧空気吐出口75Bの範囲からは第二燃焼炉41側に粉塵や煙を流出させる。
【0052】
(8)以上で起動動作を終え、以下の通常燃焼運転になる。
・ 第一燃焼炉1内の温度が設定温度以上の時は着火バーナをOFFとして、以下の時は着火バーナをONとする。以上を繰り返す。
・ また、第二燃焼炉41の温度が設定温度以上の時は再燃バーナをOFFとして、以下の時は再燃バーナをONとする。
・ また、第二燃焼炉41の温度が設定温度以上の時は消炎バーナをOFFとして、以下の時は再燃バーナをONとする。
・ 設定温度は、焼却する廃棄物の内容により異なる(例えば、医療用廃棄物の場合にはより高温で設定される)。通常は、第一燃焼炉1で800〜900℃、第二燃焼炉41で900〜1000℃程度となる。
【0053】
(9) 停止動作に入る際には、第一燃焼炉1内に、ノズル21の高圧空気吐出口22から斜め下方に高圧空気を吐出して、くすぶっている未燃焼物を無くして確実に廃棄物を燃焼させる。
(10) 以上の作動により、ノズル24、28からの高圧空気の投入で第一燃焼炉1内に効率よく空気が供給される。とりわけ、火炎口15(着火バーナ)に近いほど高圧で、遠くなるほど低圧の空気が供給されるので、着火バーナの火炎の勢いで炉内の空気を循環させ、廃棄物を効率よく燃焼させることができる。
また、第一煙道70の高圧空気吐出口75からも高圧空気を吐出するので、第二燃焼炉41での二次燃焼する煙や塵灰を確実に高温のまま処理できる。
【符号の説明】
【0054】
1 第一燃焼炉(サイロ)
3 天板
4 底板
5 第一側壁
6 第二側壁
7 第三側壁
8 第四側壁
11 投入口
12 投入口の蓋
13 開口(第一煙道に向かう)
14 開口14の軸
15 火炎口
16 火炎口15の軸
17 ノズル(天板、火炎口近く)
17a ノズルの基端
18 高圧空気吐出口(ノズル17の先端)
19 温度計
20 水ノズル
21 ノズル(天板、斜め)
21a ノズルの基端
22 高圧空気吐出口
24 ノズル(第一側壁、第二側壁)
25a 上ノズル群
25b 中ノズル群
25c 下ノズル群
26 高圧空気吐出口(ノズル24の先端)
28 ノズル(第二側壁)
29a 上ノズル群
29b 中ノズル群
29c 下ノズル群
30 高圧空気吐出口(ノズル28の先端)
31a 上ダクト
31b 中ダクト
31c 下ダクト
32a、32b、32c 連結口
34a、34b、34c 第一減圧弁(オリフィス)
35a、35b、35c 第二減圧弁(オリフィス)
36 点検口
37 灰排出口
38 灰排出口の蓋
39 水タンク
41 第二燃焼炉(サイクロン兼差燃焼室)
42 第二燃焼炉の軸(中心)
43 開口
44 膨出部
45 開口
45a 開口45の一側面
45b 開口45の他側面
46 一直径
46a 一直径の一半径
48 第一火炎口
49 第一火炎口の軸
50 第二火炎口
51 第二火炎口の軸
52A 再燃バーナ
52B 消煙バーナ
53 温度計
55 排ガス洗浄槽(スクラバー)
56 逆漏斗部
57 煙突
58 開口
60 煙導入ダクト
61 煙導入ダクトの上方直管
62 煙導入ダクトのエルボ
63 煙導入ダクトの下方直管
63a 下方直管の下端
64 保持材
65 洗浄ノズルヘッダー
66 洗浄ノズル
67 連結管
70 第一煙道
71 第一煙道の一端
72 第一煙道の他端
73 ノズル
74 ノズル群
75 高圧空気吐出口(ノズル73の基端)
75A 高圧空気吐出口・高圧
75B 高圧空気吐出口・低圧
76 ダクト
77 ダクトの連結部
80 第二煙道
81 第二煙道の一端
82 第二煙道の他端
90 廃棄物焼却装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を具備したことを特徴とする廃棄物焼却装置。
(1) 焼却物の投入口を有する「第一燃焼炉」と、発生する煤塵類を更に燃焼する「第二燃焼炉」と、上方にむけてガス排出口を有する「排ガス洗浄槽」とを有する。
(2) 前記「第一燃焼炉」と前記「第二燃焼炉」を横方向の第一煙道で連通する。
前記「第二燃焼炉」と「排ガス洗浄槽」とを第二煙道で連通させる。
(3) 前記「第一燃焼炉」で、一側面及び一側面に対向する面を他側面とする。
前記一側面の上部に横方向にバーナの火炎を放出する火炎口を配置する。
(4) 前記一側面及び他側面に、高圧空気を放出する空気吐出口を横方向に多数を並べて、空気吐出口群を形成し、前記空気吐出口群を上下多段に設ける。
(5) 前記火炎口を前記第一煙道の近傍に配置する。
(6) 前記各空気吐出口群の空気吐出口を、前記火炎口に近い位置を高圧で放出可能とし、前記火炎口に遠い位置を低圧で放出可能となるように形成する。
(7) 前記「第一燃焼炉」に、斜め下方に向けて、高圧空気を吐出できる空気突出口を形成する。
【請求項2】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1記載の廃棄物焼却装置。
(1) 第一燃焼炉で、火炎口からのバーナの火炎が前記開口を横切るように、開口の軸の高さとの火炎口の軸の高さを略同一に形成する。
(2) 前記第一燃焼炉で、各高さの空気吐出口群に高圧空気を供給するダクトを形成し、ダクト内に高圧空気を供給する連結部を、前記火炎口の対向側に形成する。
(3) 前記第一燃焼炉で、前記各空気吐出口の吐出空気の圧力を調節できるように前記ダクト内に減圧弁を配置する、
(4) 前記第一燃焼炉で、火炎口の近傍に、上方から高圧空気を吐出できる空気吐出口を設ける。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate