説明

廃油温風装置

【課題】廃油を燃料として使用する温風装置について、暖房空間の空気汚染を回避しながら優れた暖房効率を実現できるようにする。
【解決手段】廃油タンク4と、内部に縦長の燃焼室21aを有し底部側に燃料供給管43で廃油を導入して燃焼させ上部側から燃焼ガスを排出する燃焼釜21Aと、燃焼室21a内に強制的に空気を送入して廃油の燃焼を促進させる電動ファン22を有する燃焼用空気送入手段と、燃焼釜21Aの燃焼で加熱された空気を強制的に暖房空間側に送出する電動ファン23を有する暖房用空気送出手段とを備えた廃油温風装置1Aにおいて、燃焼釜21Aの外周側に外部空気を導入して燃焼釜21Aとの間で熱交換を行う熱交換室20aが、燃焼釜21A外周面の殆どを覆って設けられ、熱交換室20a底部側から導入した外部空気を燃焼ガスが混入しない状態で加熱して熱交換室20a上部側から暖房用空気として送出するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みのエンジンオイルやギヤオイルなどの廃油を燃焼させて温風を供給する廃油温風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みのエンジンオイルやギヤオイル、或いは使用済みのてんぷら油等の廃油は殆ど再利用されずに廃棄されており、廃棄の際に手間とコストを要することから不法投棄の問題もしばしば生じていた。しかし、近年において、廃油の回収経路やサーマルリサイクルの経路が構築され、燃料費の節約やエコロジーの観点から廃油の再利用を推進させる動きが見られるようになった。
【0003】
この廃油の再利用の例としては、廃油ストーブや廃油温風装置等の廃油燃焼暖房機器が周知である。しかし、エンジンオイルが主体の廃油は、灯油やホワイトガソリン等の市販燃料とは異なり揮発性が低く引火点が高いことから、常温では着火しにくいことに加え、燃焼温度が低いと廃油使用量に対する暖房効果(暖房効率)が悪化するとともに、未燃焼ガスによる環境汚染を生じやすくなるという問題が指摘されている。
【0004】
斯かる問題に対し、例えば特開2000−55337号公報や特開2000−257834号公報に記載されているもののように、鋼板を有底円筒状に形成した燃焼釜の燃焼室内に、電動ファンで燃焼用空気を強制的に導入し、高温での燃焼を確保しながら廃油の完全燃焼を促すようにした廃油燃焼装置が知られている。
【0005】
しかしながら、このように燃焼用空気を強制導入して高温燃焼させる廃油燃焼装置を暖房用の温風装置として使用する場合は、暖房効率を考慮すると温風に排気が混入する構成となってしまうことから、完全燃焼に近い状況でも排気による暖房空間の空気汚染を招くことになり、換気状況によってはガス中毒発生の畏れも否定できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−55337号公報
【特許文献2】特開2000−257834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、廃油を燃料として使用する温風装置について、暖房空間の空気汚染を回避しながら優れた暖房効率を実現できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、燃料としての廃油を貯留する廃油タンクと、内部に縦長の燃焼室を有しこの燃焼室の底部側に燃料供給管で廃油タンクから廃油を導入して燃焼させ上部側から燃焼ガスを排出する燃焼釜と、燃焼室内に強制的に空気を送入して廃油の燃焼を促進させる燃焼用空気送入手段と、燃焼釜の燃焼により加熱された空気を強制的に暖房空間側に送出する暖房用空気送出手段とを備えた廃油温風装置において、その燃焼釜の外周側には、外部空気を導入して燃焼釜との間で熱交換を行うための熱交換室が燃焼釜外周面の殆どを覆って設けられており、熱交換室の底部側から導入された外部空気を、燃焼ガスが混入しない状態で加熱して熱交換室上部側から延設された温風通路を介し暖房用空気として送出する、ことを特徴とするものとした。
【0009】
このように、縦長の燃焼釜外周面の殆どを覆うように熱交換室を形成し、その底部側に導入した大気を高温の燃焼釜と熱交換させて燃焼ガスを混入させずに加熱して、上部側から暖房用空気として送出する構成としたことにより、縦長の燃焼釜外周側で底部側から上部側に亘って比較的長い経路で効率的に加熱しながら、クリーンな暖房用空気を送出することができるようになる。
【0010】
また、この場合、燃焼用空気送入手段の吸入側には熱交換室の所定位置から延設された加熱空気導入路が接続されており、燃焼用空気の少なくとも一部に熱交換室内で加熱された空気を使用することを特徴としたものとすれば、燃焼用空気で燃焼室内が過剰に冷却されるのを回避して、廃油の良好な燃焼状態を確保しやすいものとなる。
【0011】
さらに、上述した廃油温風装置は、廃油導入用の電動ポンプと、この電動ポンプを駆動操作して燃焼室への廃油導入量を調整する電子制御装置を備えており、この電子制御装置が燃焼室内の温度又は/及び暖房用空気の温度を検知しながら電動ポンプの駆動を操作することにより、燃焼室内の温度又は/及び暖房用空気の温度を所定範囲内に制御する、ことを特徴としたものとすれば、管理者の手間を要することなく安全且つ効率的な暖房が実現しやすいものとなる。この場合、その電動ポンプによる廃油の導入は、所定量の廃油を所定の間隔で間歇的に送出して行われるものとされ、その廃油導入量の調整がその送出の間隔又は/及び1回当たりの送出時間を変動させることにより行われるものとすれば、簡易な手順で廃油導入量の調整が的確に行えるものとなる。
【0012】
さらにまた、電子制御装置で廃油導入量を調整する前述の廃油温風装置において、熱交換室から延設された温風通路の途中には、電子制御装置で駆動操作される電動ファンを有した大気混入路が接続されており、この大気混入路の接続位置下流側に配設した温度センサで暖房用空気の温度を検知している電子制御装置が、電動ファンの駆動を操作しながら暖房用空気に適量の大気を混入させることも暖房用空気温度の制御に含まれる、ことを特徴としたものとすれば、暖房用空気の精密且つ迅速な温度調整が容易なものとなる。
【0013】
加えて、上述した廃油温風装置において、その廃油タンクと燃焼釜を繋ぐ燃料供給管の途中に、灯油を貯留する灯油タンクから延設した点火用燃料供給路が接続されており、廃油の燃焼に先だって燃焼室内が所定温度以上に上昇するまで灯油を燃焼させることが可能とされていることを特徴としたものとすれば、その後は気化温度の高い廃油であってもスムースに燃焼させることができる。
【0014】
さらに加えて、上述した廃油温風装置において、その燃焼釜の外周面に、熱交換室内に導入した空気との熱交換を促進させるための熱交換用板が突設されていることを特徴としたものとすれば、熱交換効率が向上して暖房効率が一層良好なものとなる。
【発明の効果】
【0015】
縦長の燃焼釜外周側を覆うように熱交換室を設けて燃焼ガスを混入することなく暖房用空気を生成するものとした本発明によると、暖房空間の空気汚染を回避しながら優れた暖房効率を実現することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の廃油温風装置の配置図である。
【図2】図1の廃油温風装置の本体部の詳細を示す部分縦断面図である。
【図3】図2の本体部の応用例を示す部分縦断面図である。
【図4】図2の本体部の他の応用例を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態である廃油温風装置1Aの配置図を示している。この装置はエンジンオイル等を主体とする廃油を燃焼させて温風を生成し、ビニールハウス等の比較的大きな空間を暖房することを想定したものである。
【0019】
この廃油温風装置1Aは、燃料としての廃油を貯留する廃油タンク4と、この廃油タンク4から延設された燃料導入路43が底部側に接続し上部側から排気通路25が延設された縦長の燃焼室21aを内側に有してなる燃焼釜21Aを備えた本体部2Aとを備えている。
【0020】
また、廃油温風装置1Aは、燃焼釜21Aの燃焼室21a内部に強制的に空気を送入する燃焼用空気送入手段である電動ファン22及びこれから延設された燃焼用空気送入路220と、燃焼釜21Aの燃焼で加熱された空気を強制的に暖房空間側に送出する暖房用空気送出手段である電動ファン23及び大気送入路230及びその下流側の温風通路26を備えており、以上の構成部分は従来技術にも見られる周知のものである。
【0021】
そして、本発明において、その本体部2Aの燃焼釜21A外周側にこれよりも大径の有底円筒状に形成した部材である外部ケーシング20を配設し、燃焼釜21Aの外周側に大気を導入して燃焼釜21Aとの間で熱交換を行うための熱交換室20aが燃焼釜21Aの底面と外周面の殆どを覆って形成されており、熱交換室20a内に導入された外部空気を燃焼室21aの燃焼ガスが混入しない状態で効率的に加熱しながら、暖房用空気として温風通路26から送出する構成とした点を特徴としている。
【0022】
即ち、本実施の形態では、燃焼釜21Aを熱伝導率の比較的良好な鋼板を有底円筒状に形成してなるものとして、これよりも大径で有底円筒状の外部ケーシング20内に挿設し、その内周面と燃焼釜21Aの外周面との間に隙間を形成して熱交換室20aとし、この熱交換室20aに導入した外部空気(大気)を燃焼釜21A外周面との間で熱交換を行うことで加熱し暖房用空気として送出する構成としたものである。
【0023】
この熱交換室20aは燃焼室21a側と完全に区画された閉鎖空間とされており、暖房用空気に燃焼ガスが混入しない構造としながら、縦長で比較的熱交換面積の大きな燃焼釜21Aとの間で効率的に熱交換を行えるようになっており、廃油燃焼による熱エネルギーのロスを最小限に抑えながら、優れた暖房効率を達成できるようになっている。
【0024】
本実施の形態では、熱交換室20aの上部側から加熱空気導入路221が延設されて燃焼用空気送入路220の基端側に配置した電動ファン22の吸引側に接続されており、燃焼室21a内へ導入する燃焼用空気に、熱交換室20aで加熱された空気を使用している点も特徴部分となっている。
【0025】
これにより、例えば寒冷環境において導入した外気(燃焼用空気)により燃焼室21a内が過剰に冷却されることを回避できるとともに、最適な燃焼用空気温度による効率的な燃焼状態を確保しやすいものとしている。尚、この場合、燃焼用空気の全部に加熱空気を使用するのではなく、大気を送入しながらこれに加熱空気を適当な割合で混入する構成としてもよい。
【0026】
また、廃油温風装置1Aには電子制御装置10が配設されており、温度センサ11で燃焼室21a内の温度(炉内温度)を検知している電子制御装置10が、燃料導入路43途中に配置されて廃油を燃焼室21a内に強制的に導入させる電動ポンプ42の駆動を操作・調整することにより、廃油の導入量を適宜変動させながら炉内温度が所定範囲内に収まるように制御を行うようになっている。
【0027】
これにより、装置管理者の手間を要することなく安全且つ効率的な暖房を実現しやすいものとしている。この場合、電動ポンプ42の駆動による廃油の導入は所定量の廃油を間歇的に送出して行うものであるが、電動ポンプ42の駆動速度は一定のものとし、廃油導入量の調整を、その送出間隔又は/及び1回当たりの送出時間を変動させることにより行うものとすれば、比較的簡易な制御手順で廃油導入量の調整が容易に行えるものとなる。また、電動ポンプ42の上流側には電子制御装置10で開閉操作される電磁駆動式の遮断弁41が配設されており、安全性確保の観点から電動ポンプ42の駆動と遮断弁41の開弁は連動(同時動作)するようになっている。これにより、電動ポンプ42の駆動停止時に遮断弁41が閉弁されて廃油タンク4からの圧力を電動ポンプ42上流側で確実に遮断することができ、電動ポンプ42の摩耗等に由来する廃油漏出のトラブルを回避可能なものとなる。
【0028】
さらに、本実施の形態では、点火用燃料としての灯油を貯留する灯油タンク3が付設されており、廃油タンク4と燃焼釜21Aを繋ぐ燃料供給路43の途中に灯油タンク3から延設された点火用燃料供給路33が接続されており、その途中には電磁駆動式の遮断弁31が配設されて電子制御装置10で開閉操作可能となっており、灯油導入時以外は閉弁するものとして上記同様に安全性を確保している。
【0029】
そして、点火の際には、電子制御装置10が廃油よりも着火容易な灯油を燃焼室21a内に導入して所定時間燃焼させ、燃焼室21a内の温度を所定レベルまで上げるものとし、その後に電動ポンプ42と遮断弁41が同時タイミングで動作して廃油を燃焼室21a内に導入することにより、廃油のスムースな燃焼を確保可能としている。
【0030】
図2の本体部2Aの拡大した部分縦断面図を参照しながら本実施の形態の作用を説明すると、燃料である廃油は、電動ポンプ42の駆動により燃焼室21aの平坦な底面のやや上方で開口した燃料導入路43から導入されて、底面に浅い廃油溜まり100を形成した状態で燃焼させる。尚、これに先だって、所定量の灯油を導入して点火し、炉内温度が廃油の気化・燃焼がスムースに行われる温度(例えば440℃)を燃焼室21a上部空間に露出した温度センサ11の検出体11aで検出してから、廃油を導入する制御の設定とすることが好ましい。
【0031】
また、廃油の導入に際し、前述のように炉内温度が所定温度(例えば450℃)まで低下した時点で所定量の廃油を間歇的に追加するものとし、ある程度燃焼が安定してから最初の設定温度よりも高い温度(例えば500℃)まで低下した時点で、それまでより増量した廃油を導入する制御が推奨される。このような制御とすることで、比較的処理能力が低くコストの低廉な電子制御装置であっても充分且つ的確な温度制御を行うことができる。
【0032】
そして、燃焼釜21Aの外周側(底面下方側含む)に形成された熱交換室20aでは、その底部側に接続・開口した大気送入路230から外部空気(大気)が送入され、燃焼釜21A外周面に接することによる直接的な熱や輻射熱で加温されながら、破線矢印のように比較的上下に長い経路を上昇し、上部側の温風通路26を通って暖房空間側に送出される。
【0033】
この熱交換室20aの上部側から加熱空気導入路221が延設されて開口しており、これを通った加熱空気が電動ファン22で吸引されて燃焼用空気送入路220を通り燃焼室21a底部側の中心に向かって噴出して、燃焼室21a内を過剰に冷却することなく供給されるとともに、廃油溜まり100上方で気化した廃油を高温で燃焼させ、燃焼ガスは破線矢印に示すように燃焼室21a内を上昇して、上部で開口した排気通路25を通り排ガスとして外部に排出される。
【0034】
このようにして、廃油が所定温度以上の高温で燃焼することにより比較的クリーンな排気を実現するとともに、縦長で表面積の大きい燃焼釜21Aの外周面がまんべんなく適度な温度に上昇することから、熱交換室20a内に導入した外部空気を比較的長い経路で充分に加熱することができる。
【0035】
尚、燃焼室21aの頂壁側は開閉可能な蓋28で構成されており、蓋28を開けることで燃焼室21a内部の清掃が容易に行えるようになっている。また、図示は省略するが、燃焼室21aの底部側面に開口し熱交換室20aを横断して外部ケース外面に延びて開口する掃除用連通路を設ければ、燃焼灰の排出及び燃焼室21a底面の掃除が一層容易になる。
【0036】
図3は図2に示した実施の形態の応用例としての本体部2Bを示している。この例では、燃焼釜21Bの外周面に熱交換室20b内に導入した外部空気との熱交換を促進させるための複数枚の熱交換用板(リブ)210が所定間隔で遠心方向に突設されている点を特徴としている。これにより、熱交換面積が拡大して熱交換室20bにおける熱交換がさらに効率的に行われるようになる。
【0037】
図4は、図2に示した本体部2Aの他の応用例としての本体部2Cを示している。この例では、熱交換室20aから延設された温風通路26の途中に、電子制御装置10で駆動制御される図示しない電動ファンを備えた大気混入路29が接続されており、温風通路26の大気混入路29の接続位置下流側に配設した図示しない温度センサで暖房用空気温度を検知している電子制御装置10が、電動ファンの駆動を調整することによっても暖房用空気の温度を所定範囲内に制御可能なものとしている。尚、この本体部2Aの燃焼釜21Aを図3の燃焼釜21Bと置き換えてもよく、また、暖房温度の調整は燃料供給量の調整を基本としながら、混入大気量を変動させることによる即時的な調整及び微調整を行う制御とするなど、両者を適宜組み合わせる方式とすれば良い。
【実施例1】
【0038】
以下に示す表1は、図1、図2に示した廃油温風装置1Aを実際に製作して作動させた場合の燃焼釜内の温度変化を記録したものである。燃焼釜のサイズは燃焼室底面の内径が25cm、燃焼室の高さが70cmであり、廃油は使用済みエンジンオイル、点火時の灯油使用量は初回に100mlとした。
【0039】
廃油追加のタイミングは、初回は灯油の燃焼により炉内温度が440℃に上がった時点で行ない、次回は炉内温度が450℃に下がった時点で、その後は追加タイミングを適宜500℃、550℃低下時と適宜上げていき、1回導入時間も10秒、15秒、20秒と徐々に上げて最大30秒まで延ばすものとし、燃焼時間は合計2時間15分とした。
【0040】
【表1】

【0041】
(結果)廃油導入回数は計18回であり、総量は2,875mlとなった。また、1回当たり廃油導入量は平均で160mlであった。炉内温度が300℃以下の状況では青白い煙が出たが、440℃以上で排気は無色であり良好な燃焼状態が確保されていることが推察された。炉内温度400℃〜690℃の燃焼では燃焼室内の廃油残は見られず、試験終了後の残留灰量は約4gであった。以上より、本実施の形態の廃油温風装置は、廃油燃焼による燃焼室温度が440℃〜550℃以上を維持する制御により優れた廃油の燃焼状態を確保することができ、優れた暖房効率を実現していることが推察された。
【0042】
以上、述べたように、廃油を燃料として使用する温風装置について、本発明により、暖房空間の空気汚染を回避しながら優れた暖房効率を実現することができた。
【符号の説明】
【0043】
1A 廃油温風装置、2A,2B 本体部、3 灯油タンク、4 廃油タンク、10 電子制御装置、11 温度センサ、20a,20b 熱交換室、21A,21B 燃焼炉、21a 燃焼室、22,23 電動ファン、25 排気通路、26 温風通路、29 大気混入路、33 点火用燃料供給路、42 電動モータ、43 燃料導入路、210 熱交換用板、220 燃焼用空気送入路、221 加熱空気導入路、230 大気送入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料としての廃油を貯留する廃油タンクと、内部に縦長の燃焼室を有し該燃焼室の底部側に燃料供給管で前記廃油タンクから廃油を導入して燃焼させ上部側から燃焼ガスを排出する燃焼釜と、前記燃焼室内に強制的に空気を送入して廃油の燃焼を促進させる燃焼用空気送入手段と、前記燃焼釜の燃焼により加熱された空気を強制的に暖房空間側に送出する暖房用空気送出手段とを備えた廃油温風装置において、
前記燃焼釜の外周側には、外部空気を導入して前記燃焼釜との間で熱交換を行うための熱交換室が前記燃焼釜外周面の殆どを覆って設けられており、前記熱交換室の底部側から導入された外部空気を、燃焼ガスが混入しない状態で加熱して前記熱交換室上部側から延設された温風通路を介し暖房用空気として送出する、ことを特徴とする廃油温風装置。
【請求項2】
前記燃焼用空気送入手段の吸入側には、前記熱交換室の所定位置から延設された加熱空気導入路が接続されており、燃焼用空気の少なくとも一部に前記熱交換室内で加熱された空気を使用する、ことを特徴とする請求項1に記載した廃油温風装置。
【請求項3】
廃油導入用の電動ポンプと、該電動ポンプを駆動操作して前記燃焼室への廃油導入量を調整する電子制御装置を備えており、該電子制御装置が前記燃焼室内の温度又は/及び前記暖房用空気の温度を検知しながら前記電動ポンプの駆動を操作することにより、前記燃焼室内の温度又は/及び暖房用空気の温度を所定範囲内に制御する、ことを特徴とする請求項1または2に記載した廃油温風装置。
【請求項4】
前記電動ポンプによる廃油の導入は、所定量の廃油を所定の間隔で間歇的に送出して行うものとされ、該廃油導入量の調整が前記送出の間隔又は/及び1回当たりの送出時間を変動させることにより行われる、ことを特徴とする請求項3に記載した廃油温風装置。
【請求項5】
前記熱交換室から延設された前記温風通路の途中には、前記電子制御装置で駆動操作される電動ファンを有した大気混入路が接続されており、該大気混入路の接続位置下流側に配設した温度センサで暖房用空気の温度を検知している前記電子制御装置が前記電動ファンの駆動を操作しながら暖房用空気に適量の大気を混入させることも暖房用空気温度の制御に含まれる、ことを特徴とする請求項3または4に記載した廃油温風装置。
【請求項6】
前記廃油タンクと前記燃焼釜を繋ぐ燃料供給管の途中に、灯油を貯留する灯油タンクから延設された点火用燃料供給路が接続されており、廃油の燃焼に先だって前記燃焼室内が所定温度以上に上昇するまで灯油を燃焼させることが可能とされている、ことを特徴する請求項1,2,3,4または5に記載した廃油温風装置。
【請求項7】
前記燃焼釜の外周面に、前記熱交換室内に導入した空気との熱交換を促進させるための熱交換用板が突設されている、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載した廃油温風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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