説明

廃熱利用装置及び廃熱利用装置における圧縮機制御方法

【課題】冷凍サイクル回路の一部となる複合流体機械の内部領域にある駆動軸用軸受の信頼性を向上する。
【解決手段】温度検出器83によって検出された冷却水温度θが所定温度θoに達している場合、制御部32は、インバータ44に対して起動指令を送る。インバータ44は、起動指令に基づいてモータ・ジェネレータ43を電動機として作動させる。制御部32は、回転数検出手段84によって検出された膨張機の回転数が所定値に達した場合、制御部32は、電磁クラッチ82がON状態(励磁状態)か否かを判断する。電磁クラッチ82がOFF状態(消磁状態)である場合、制御部32は、所定時間tだけ電磁クラッチ82をON(励磁)する。これにより回転軸47と駆動軸40とが所定時間tだけ連結し、回転軸47と駆動軸40とが所定時間tだけ一体的に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランキンサイクル用作動流体を利用して駆動軸に回転力を付与する膨張機と、冷凍サイクル用作動流体を吸入して吐出する圧縮機とを備えた複合流体機械がランキンサイクル回路と冷凍サイクル回路との各一部を構成する廃熱利用装置及び廃熱利用装置における圧縮機制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の複合流体機械は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の複合流体機械は、流体を圧縮する圧縮機と、外部駆動源の廃熱エネルギーによって回転駆動力を発生する膨張機と、電動機及び発電機の両機能を備える回転電機とを備えている。膨張機は、圧縮機及び回転電機に連結されている。圧縮機と膨張機との間には切替手段が設けられている。切替手段は、ハウジング内を軸方向全体に亘って延びる駆動軸の端部に固定された吸着板とコイルとからなる電磁クラッチによって形成されている。駆動軸は、ハウジングの軸方向に沿って移動可能であり、吸着板が駆動軸に吸着されることによって駆動軸と圧縮機軸とが接続され、吸着板が圧縮機軸から離間することによって圧縮機軸と駆動軸とが切断される。吸着板が駆動軸に吸着されることによって駆動軸と圧縮機軸とが接続された状態では、圧縮機軸と駆動軸とが一体的に回転し、圧縮機が作動される。
【0003】
回転電機は、冷凍サイクル回路の一部となるハウジング内部にあり、回転電機のロータ軸(駆動軸)用の軸受は、冷凍サイクル回路を循環する冷凍サイクル用作動流体と共に流動する潤滑油によって潤滑される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−307951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、圧縮機軸と駆動軸とが切断された状態では、駆動軸が回転している状態(膨張機が作動している状態)においても圧縮機が不作動状態となり、冷凍サイクル用作動流体が冷凍サイクル回路を循環しない。そのため、駆動軸が回転し、且つ圧縮機軸が回転しない状態では、冷凍サイクル回路の一部となるハウジング内部にある駆動軸用軸受の潤滑が十分に行なわれず、ハウジング内部にある駆動軸用軸受の信頼性を確保することができない。
【0006】
本発明は、冷凍サイクル回路の一部となる複合流体機械の内部領域にある駆動軸用軸受の信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1乃至請求項4の発明は、少なくとも発電機として機能する回転電機と、ランキンサイクル用作動流体を利用して前記回転電機の駆動軸に回転力を付与する膨張機と、冷凍サイクル用作動流体を吸入して吐出する圧縮機と、前記駆動軸と前記圧縮機の回転軸とを接続する接続状態、又は前記駆動軸と前記回転軸とを切断する切断状態に切り替える切替手段とを備えた複合流体機械がランキンサイクル回路と冷凍サイクル回路との各一部を構成し、ランキンサイクル用作動流体の存在領域と冷凍サイクル用作動流体の存在領域とは分かれており、前記駆動軸の軸受の少なくとも1つは、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある廃熱利用装置を対象とし、請求項1の発明では、前記膨張機の回転数が所定値に達したか否かを把握する膨張機起動把握手段と、前記圧縮機の駆動を把握する圧縮機駆動把握手段と、前記膨張機起動把握手段によって前記膨張機の回転数が所定値以上であることが把握された場合、且つ圧縮機駆動把握手段によって前記圧縮機の非駆動が把握された場合には、前記切替手段の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御を前記起動の直後に行なう制御手段とを備えている。
【0008】
膨張機の起動直後に冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御が行なわれるため、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある駆動軸用軸受の潤滑が十分に行なわれる。
好適な例では、前記駆動源を冷却する冷却水を備え、前記膨張機起動把握手段は、前記冷却水の温度に相関する情報を検知する冷却水温度情報検知手段を含む。
【0009】
好適な例では、前記圧縮機の停止から所定時間経過後、前記圧縮機が駆動していない場合には、前記制御手段は、前記循環制御を再度遂行する。
循環制御の再度遂行は、駆動軸が回転し、且つ回転軸が回転しない状態が長時間続いた場合に特に有効である。
【0010】
請求項4の発明は、前記膨張機の回転数が所定値に達したか否かを把握する膨張機起動把握手段と、前記圧縮機の駆動を把握する圧縮機駆動把握手段と、前記膨張機起動把握手段によって前記膨張機の回転数が所定値以上であることが把握された場合、且つ前記圧縮機の停止から所定時間経過後、前記圧縮機が駆動していない場合には、前記切替手段の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御を行なう制御手段とを備えている。
【0011】
膨張機の起動後、且つ圧縮機の停止から所定時間経過後に冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御が行なわれるため、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある駆動軸用軸受の潤滑が十分に行なわれる。
【0012】
請求項5の発明は、少なくとも発電機として機能する回転電機と、ランキンサイクル用作動流体を利用して前記回転電機の駆動軸に回転力を付与する膨張機と、冷凍サイクル用作動流体を吸入して吐出する圧縮機と、前記駆動軸と前記圧縮機の回転軸とを接続する接続状態、又は前記駆動軸と前記回転軸とを切断する切断状態に切り替える切替手段とを備えた複合流体機械がランキンサイクル回路と冷凍サイクル回路との各一部を構成し、ランキンサイクル用作動流体の存在領域と冷凍サイクル用作動流体の存在領域とは分かれており、前記駆動軸の軸受の少なくとも1つは、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある廃熱利用装置における圧縮機制御方法を対象とし、前記膨張機が起動された場合、且つ前記圧縮機が駆動していない状態である場合には、前記切替手段の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御を行なう。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、冷凍サイクル回路の一部となる複合流体機械の内部領域にある駆動軸用軸受の信頼性を向上することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態を示す複合流体機械の全体側断面図。
【図2】車両用廃熱利用装置を示す模式図。
【図3】圧縮機制御プログラムを表すフローチャート。
【図4】第2の実施形態を示す圧縮機制御プログラムを表すフローチャート。
【図5】第3の実施形態を示す圧縮機制御プログラムを表すフローチャート。
【図6】第4の実施形態を示す車両用廃熱利用装置を示す模式図。
【図7】圧縮機制御プログラムを表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図2に示すように、車両用廃熱利用装置11は、廃熱源としてのエンジン12を備えると共に、ランキンサイクル回路13と冷凍サイクル回路14とを併せ持つ。冷凍サイクル回路14では、車両空調用のために冷凍サイクル用作動流体としての冷媒(以下、冷凍サイクル用冷媒という)が循環する。冷凍サイクル回路14内には冷凍サイクル用冷媒と共に流動する潤滑油が入れられている。
【0016】
ランキンサイクル回路13では、エンジン12からの廃熱によって加熱されるランキンサイクル用作動流体としての冷媒(以下、ランキンサイクル用冷媒という)が循環する。車両用廃熱利用装置11を構成する複合流体機械34は、ランキンサイクル回路13の一部及び冷凍サイクル回路14の一部を構成している。ランキンサイクル回路13と冷凍サイクル回路14とは、非接続状態に分かれている。つまり、ランキンサイクル用冷媒の存在領域と冷凍サイクル用冷媒の存在領域とは分かれており、ランキンサイクル用冷媒が冷凍サイクル回路14を流れることはなく、冷凍サイクル用冷媒がランキンサイクル回路13を流れることはない。
【0017】
図1に示すように、複合流体機械34を構成する全体ハウジング35は、筒状をなすセンターハウジング36と、センターハウジング36の前端〔図1において左端〕に連結されたフロントハウジング37と、センターハウジング36に一体形成された隔壁38と、センターハウジング36の後端〔図1において右端〕に連結されたリヤハウジング39とから構成されている。
【0018】
隔壁38とセンターハウジング36の支持壁361とには駆動軸40が軸受50,51を介して回転可能に支持されており、駆動軸40にはロータ41が固定されている。センターハウジング36の内周面にはステータ42がロータ41を取り囲むように固定されている。駆動軸40、コイル421を備えたステータ42及びロータ41は、回転電機としてのモータ・ジェネレータ43を構成する。駆動軸40は、モータ・ジェネレータ43のロータ軸である。
【0019】
モータ・ジェネレータ43は、ステータ42のコイル421への通電によってロータ41を回転させる電動機としての機能と、ロータ41が回転することによってステータ42のコイル421に電力を生じさせる発電機としての機能とを併せ持つ。
【0020】
モータ・ジェネレータ43にはバッテリ45がインバータ44を介して電気的に接続されている。モータ・ジェネレータ43で生じた電力は、インバータ44を介してバッテリ45に蓄電されるようになっている。インバータ44には制御部32が信号接続されている。
【0021】
センターハウジング36の前部内には支持ブロック46が固設されている。支持ブロック46には回転軸47が軸受48,49によって回転可能に支持されている。回転軸47は、駆動軸40と同軸上に配置されている。駆動軸40の前端部には可動クラッチ部68が軸方向へスライド可能に取り付けられており、回転軸47には固定クラッチ部69が可動クラッチ部68に対向するように取り付けられている。支持ブロック46に取り付けられたソレノイド81への通電により可動クラッチ部68が固定クラッチ部69に接合し、駆動軸40の回転が回転軸47へ伝達される。可動クラッチ部68、固定クラッチ部69及びソレノイド81は、駆動軸40と回転軸47とを接離する切替手段としての電磁クラッチ82を構成する。
【0022】
支持ブロック46とフロントハウジング37との間にはスクロール式の圧縮機52が設けられている。回転軸47の前端には偏心軸53が設けられている。偏心軸53は、回転軸47の回転により回転軸47の回転軸線の周りを公転する。偏心軸53には可動スクロール54がブッシュ55及び軸受56を介して回転可能に支持されている。可動スクロール54は、軸受56に支持された可動側端板541と、可動側端板541から突設された渦巻状の可動側渦巻壁542とを備えている。
【0023】
センターハウジング36の前部内には固定スクロール57が可動スクロール54と対向するように固設されている。固定スクロール57は、固定側端板571と、固定側端板571から支持ブロック46に向けて突設された渦巻状の固定側渦巻壁572とを備えている。可動スクロール54の可動側渦巻壁542と、固定スクロール57の固定側渦巻壁572とは、互いに噛み合わされて容積変更可能な圧縮室58を区画する。
【0024】
固定側端板571の中央部には吐出口573が形成されている。吐出口573は、吐出弁59により開閉される。固定側端板571とフロントハウジング37との間には吐出室60が区画されている。
【0025】
フロントハウジング37には吐出ポート371が吐出室60に連通するように形成されている。固定スクロール57と可動側渦巻壁542との間には吸入室Sが区画形成されている。吸入室Sは、支持ブロック46と支持壁361との間におけるセンターハウジング36内の内部空間K1に連通している。内部空間K1は、支持壁361と隔壁38との間におけるセンターハウジング36内の内部空間K2に連通している。内部空間K2は、センターハウジング36に形成された導入ポート362を介して外部冷媒回路61〔図2参照〕に連通している。内部空間K1,K2は、複合流体機械34を構成する全体ハウジング35内の冷凍サイクル用作動流体存在領域のうちの吸入圧領域である。
【0026】
センターハウジング36の後部内にはサイドプレート62が隔壁38に対向するように固設されている。隔壁38とサイドプレート62との間にはポンプ室64が区画されている。駆動軸40は、隔壁38及びサイドプレート62を貫通している。
【0027】
ポンプ室64内には駆動軸40に止着された駆動ギヤ65と、駆動ギヤ65に噛合する従動ギヤ66とが配設されている。ポンプ室64、駆動ギヤ65及び従動ギヤ66は、ギヤポンプ67を構成する。
【0028】
センターハウジング36の後部内には支持ブロック63が固設されている。支持ブロック63には回転軸70が軸受71によって回転可能に支持されている。回転軸70は、駆動軸40と同軸上で駆動軸40に連結されている。
【0029】
支持ブロック63とリヤハウジング39との間にはスクロール式の膨張機72が設けられている。回転軸70の後端には偏心軸73が設けられている。偏心軸73は、回転軸70の回転により回転軸70の回転軸線の周りを公転する。偏心軸73には可動スクロール74がブッシュ75及び軸受76を介して回転可能に支持されている。可動スクロール74は、軸受76に支持された可動側端板741と、可動側端板741から突設された渦巻状の可動側渦巻壁742とを備えている。
【0030】
センターハウジング36の後部内には固定スクロール77が可動スクロール74と対向するように固設されている。固定スクロール77は、固定側端板771と、固定側端板771から支持ブロック63に向けて突設された渦巻状の固定側渦巻壁772とを備えている。可動スクロール74の可動側渦巻壁742と、固定スクロール77の固定側渦巻壁772とは、互いに噛み合わされて容積変更可能な膨張室78を区画する。
【0031】
固定側端板771とリヤハウジング39との間には供給室79が区画されており、固定側端板571の中央部には供給口773が供給室79に連通するように形成されている。リヤハウジング39には導入ポート391が形成されている。サイドプレート62と支持ブロック63との間には排出室80が形成されている。膨張室78のランキンサイクル用冷媒は、排出室80へ排出される。センターハウジング36の後部には排出ポート363が排出室80に連通するように形成されている。
【0032】
圧縮機52、電磁クラッチ82、モータ・ジェネレータ43、ギヤポンプ67及び膨張機72は、この順序で駆動軸40の軸方向に並設されている。モータ・ジェネレータ43のステータ42及びロータ41は、冷凍サイクル回路14における吸入圧領域である内部空間K2内にある。
【0033】
次に、複合流体機械34を備えた車両用廃熱利用装置11における冷凍サイクル回路14について説明する。
図2に示すように、冷凍サイクル回路14は、複合流体機械34における圧縮機52、外部冷媒回路61上に設けられた凝縮器15、膨張弁16及び蒸発器17によって構成されている。
【0034】
圧縮機52で圧縮された冷凍サイクル用冷媒は、外部冷媒回路61に流出して凝縮器15で冷却される。膨張弁16は、凝縮器15で冷却された冷凍サイクル用冷媒を減圧膨張し、蒸発器17は、膨張弁16によって減圧された冷凍サイクル用冷媒を気化させる。蒸発器17を経由した冷凍サイクル用冷媒は、逆止弁18を経由してセンターハウジング36〔図1参照〕の内部空間K2に流入する。内部空間K2に流入した冷凍サイクル用冷媒に含まれる潤滑油は、軸受50,51を潤滑する。
【0035】
次に、複合流体機械34を備えた車両用廃熱利用装置11におけるランキンサイクル回路13について説明する。
ランキンサイクル回路13は、複合流体機械34の膨張機72、凝縮器29、複合流体機械34のギヤポンプ67、第1ボイラ20、及び第2ボイラ21によって構成されている。
【0036】
第1ボイラ20は、吸熱器201と放熱器202とを備える。ギヤポンプ67におけるポンプ室64〔図1参照〕の吐出側には第1ボイラ20の吸熱器201が第1流路22を介して接続されている。放熱器202は、エンジン12に接続された冷却水循環経路23上に設けられている。冷却水循環経路23上にはラジエータ24が設けられている。車両のエンジン12を冷却した冷却水(高温流体)は、冷却水循環経路23を循環して放熱器202及びラジエータ24で放熱する。
【0037】
第2ボイラ21は、吸熱器211と放熱器212とを備える。第1ボイラ20の吸熱器201の吐出側には第2ボイラ21の吸熱器211が接続流路25を介して接続されている。放熱器212は、エンジン12に接続された排気通路26上に設けられている。エンジン12からの排気は、放熱器212で放熱した後、マフラ27から排気される。ギヤポンプ67から吐出されたランキンサイクル用冷媒は、第1ボイラ20及び第2ボイラ21の吸熱器201,211と放熱器202,212との間での熱交換によりエンジン12からの廃熱によって加熱される。
【0038】
第2ボイラ21の吸熱器211の吐出側には膨張機72における導入ポート391〔図1参照〕が供給流路28を介して接続されている。第1ボイラ20及び第2ボイラ21で加熱された高温高圧のランキンサイクル用冷媒は、供給流路28を介して膨張機72に導入されるようになっている。膨張機72側の排出ポート363〔図1参照〕には凝縮器29が排出流路30を介して接続されている。膨張機72で膨張した低圧のランキンサイクル用冷媒は、排出流路30を介して凝縮器29へ排出されるようになっている。凝縮器29の下流側にはギヤポンプ67のポンプ室64〔図1参照〕が第2流路31を介して接続されている。
【0039】
ランキンサイクル回路13内のランキンサイクル用冷媒は、ギヤポンプ67のポンプ作用により、ポンプ室64、第1ボイラ20、第2ボイラ21、膨張機72及び凝縮器29を通過してランキンサイクル回路13を循環するようになっている。
【0040】
次に、車両用廃熱利用装置11の作用について説明する。
車両用廃熱利用装置11の作動は、モータ・ジェネレータ43を電動機として作動させることによって開始される。制御部32は、インバータ44に対して起動指令を送り、インバータ44は、起動指令に基づいてモータ・ジェネレータ43を電動機として作動させる。制御部32は、冷却水循環経路23内の冷却水の温度を検出する温度検出器83から温度検出情報を得ており、検出温度が所定温度以上になると、制御部32は、インバータ44に対して起動を指令する。モータ・ジェネレータ43が電動機として作動されると、駆動軸40が回転開始し、ギヤポンプ67の駆動ギヤ65及び膨張機72の回転軸70が駆動軸40と一体的に回転開始する。ギヤポンプ67の駆動ギヤ65の回転は、従動ギヤ66に伝達され、駆動ギヤ65及び従動ギヤ66が噛合しながら互いに逆方向に回転する。これにより第2流路31の冷媒がギヤポンプ67を通過して第1流路22へ送られる。
【0041】
第1流路22へ送られた冷媒は、第1ボイラ20の吸熱器201、接続流路25、及び第2ボイラ21の吸熱器211を通過して供給流路28へ送られる。第1ボイラ20の吸熱器201及び第2ボイラ21の吸熱器211を通過する冷媒は、エンジン12からの廃熱によって加熱される。
【0042】
加熱後の高圧のランキンサイクル用冷媒は、導入ポート391から膨張機72の供給室79を経て膨張室78に導入されて膨張する。このランキンサイクル用冷媒の膨張により膨張機72が機械的エネルギー(回転付与力)を出力し、この回転付与力によって回転軸70及び駆動軸40が回転する。膨張機72は、ランキンサイクル用冷媒を利用してモータ・ジェネレータ43の駆動軸40に回転力を付与する膨張機である。
【0043】
膨張して圧力が低下したランキンサイクル用冷媒は、排出流路30へ排出される。排出流路30へ排出されたランキンサイクル用冷媒は、凝縮器29を通過する。駆動軸40の回転によるギヤポンプ67の駆動に伴い、凝縮器29から排出されたランキンサイクル用冷媒は、第2流路31を介してポンプ室64に導入され、ポンプ室64から第1流路22へ吐出される。第1流路22へ吐出されたランキンサイクル用冷媒は、第1ボイラ20及び第2ボイラ21へ還流する。
【0044】
制御部32は、起動指令後にはモータ・ジェネレータ43を発電機として機能するように制御し、モータ・ジェネレータ43は、発電機として機能する。発電機として機能するモータ・ジェネレータ43によって得られた電力は、インバータ44を介してバッテリ45に充電される。制御部32は、冷却水の温度に応じた最大発電電力が得られるように、インバータ44を制御する。つまり、制御部32は、最大発電電力が得られるようにモータ・ジェネレータ43の回転数をインバータ44に指令してモータ・ジェネレータ43の回転を制御する。
【0045】
エアコンスイッチ33をONにすると、制御部32は、ソレノイド81への通電を行なう。これにより、駆動軸40の回転が回転軸47に伝達され、回転軸47が駆動軸40と一体的に回転する。
【0046】
回転軸47の回転に伴い、可動スクロール54が固定スクロール57に対して旋回し、外部冷媒回路61から冷凍サイクル用冷媒が導入ポート362を介してセンターハウジング36内の内部空間K2へ流入する。内部空間K2へ流入した冷凍サイクル用冷媒は、軸受50,51を潤滑しながら内部空間K1を経由して吸入室S内に吸入される。可動スクロール54の旋回に伴い、吸入室S内の冷凍サイクル用冷媒が圧縮室58へ導入されて圧縮される。圧縮室58で圧縮された冷凍サイクル用冷媒は、吐出弁59を押し退けて吐出口573から吐出室60に吐出される。吐出室60内の冷凍サイクル用冷媒は、凝縮器15へ送られ、凝縮器15で凝縮された後に膨張弁16で減圧される。膨張弁16を通過した冷凍サイクル用冷媒は、蒸発器17で気化され、逆止弁18を経由してセンターハウジング36の内部空間K2へ流入する。
【0047】
エアコンスイッチ33のON後、制御部32は、バッテリ45からインバータ44を介してモータ・ジェネレータ43のコイル421に給電し、モータ・ジェネレータ43を電動機として機能させる。ロータ41は、コイル421への給電により回転力を付与され、駆動軸40は、アシスト回転力を得る。
【0048】
圧縮機52が駆動開始されるときには、駆動軸40に対する回転抵抗が増大する。そのため、圧縮機52が駆動開始されるときには、制御部32は、回転軸47の回転数を要求される回転数にするために、モータ・ジェネレータ43を電動機として機能させる。つまり、ギヤポンプ67と圧縮機52とを駆動させるために必要とされる動力の一部がモータ・ジェネレータ43からの出力によって担われる。
【0049】
回転軸47の回転数は、回転数検出手段84によって検出されており、回転数検出手段84によって得られた回転数情報は、制御部32へ送られる。圧縮機52が作動開始された後、制御部32は、回転軸47が指定の回転数で回転するように制御する。
【0050】
エアコンスイッチ33がOFFにされると、制御部32は、ソレノイド81への通電を停止する。これにより、可動クラッチ部68が固定クラッチ部69から離れ、駆動軸40から回転軸47への回転伝達が遮断される。
【0051】
図3は、圧縮機制御プログラムを表すフローチャートである。以下、図3のフローチャートに従って圧縮機制御を説明する。
エンジン12が始動されると、制御部32は、温度検出器83によって検出された冷却水温度θを把握する(ステップS1)。制御部32は、検出された冷却水温度θが予め設定された所定温度θoに達したか否かを判断する(ステップS2)。検出された冷却水温度θが予め設定された所定温度θoに達していない場合(ステップS2においてNO)、制御部32は、ステップS1へ移行する。検出された冷却水温度θが予め設定された所定温度θoに達している場合(ステップS2においてYES)、制御部32は、インバータ44に対して起動指令を送る(ステップS3)。インバータ44は、起動指令に基づいてモータ・ジェネレータ43を電動機として作動させる。
【0052】
インバータ44に対して起動指令を送った後、制御部32は、電磁クラッチ82がON状態(励磁状態)か否かを判断する(ステップS4)。電磁クラッチ82がOFF状態(消磁状態)である場合(ステップS4においてNO)、圧縮機52は、駆動していない状態であり、制御部32は、予め設定された所定時間tだけ電磁クラッチ82をON(励磁)する(ステップS5)。これにより回転軸47と駆動軸40とが所定時間tだけ連結し、回転軸47と駆動軸40とが所定時間tだけ一体的に回転する。つまり、圧縮機52が所定時間tにわたって駆動される。
【0053】
所定時間tは、冷凍サイクル用冷媒が冷凍サイクル回路14を一巡するのに十分な時間(例えば30秒)に設定されており、膨張機72の起動直後に冷凍サイクル用冷媒が冷凍サイクル回路14を循環する。ステップS5における制御は、膨張機72の起動直後に冷凍サイクル用冷媒を循環させる循環制御である。冷凍サイクル回路14を循環する冷凍サイクル用冷媒は、駆動軸40用の軸受である軸受50,51が存在する内部空間K1,K2を通る。軸受50,51が存在する内部空間K1,K2は、複合流体機械34の内部領域にあって冷凍サイクル回路14の一部となる冷凍サイクル用冷媒存在領域である。
【0054】
温度検出器83及び制御部32は、膨張機72が起動しているか否かを把握する膨張機起動把握手段を構成する。制御部32は、切替手段(電磁クラッチ82)の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用冷媒を循環させる循環制御を行なう制御手段である。又、制御部32は、圧縮機52が駆動しているか否かを把握する圧縮機駆動把握手段である。この実施形態では、循環制御は、膨張機72の起動直後に行なわれている。
【0055】
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)膨張機72が起動されても圧縮機52が駆動していない状態の場合、冷凍サイクル用冷媒を循環させる循環制御が行なわれる。そのため、複合流体機械34の内部領域にあって冷凍サイクル回路の一部となる冷凍サイクル用冷媒存在領域内(内部空間K2内)の軸受50,51(駆動軸40用の軸受)が冷凍サイクル用冷媒と共に流動する潤滑油によって十分に潤滑される。その結果、冷凍サイクル回路14の一部となる複合流体機械34の内部領域にある軸受50,51の信頼性が向上する。
【0056】
次に、図4の第2の実施形態を説明する。装置構成は第1の実施形態と同じである。又、図4のフローチャートにおいては、第1の実施形態におけるフローチャートと同じステップには同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
【0057】
ステップS4においてNOの場合(電磁クラッチ82がOFF状態であり、圧縮機52が停止状態である場合)、制御部32は、起動指令の時点から予め設定された所定時間T1が経過しているか否かを判断する(ステップS6)。所定時間T1が経過している場合(ステップS6においてYES)、制御部32は、ステップS5へ移行する。所定時間T1は、例えば1分である。
【0058】
膨張機72の起動時点から所定時間T1の経過後に冷凍サイクル用冷媒を循環させる循環制御が行なわれる。そのため、軸受50,51が冷凍サイクル用冷媒と共に流動する潤滑油によって十分に潤滑される。
【0059】
次に、図5の第3の実施形態を説明する。装置構成は第1の実施形態と同じである。又、図5のフローチャートにおいては、第1の実施形態におけるフローチャートと同じステップには同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
【0060】
ステップS4においてNOの場合(電磁クラッチ82がOFF状態であり、圧縮機52が停止状態である場合)、制御部32は、予め設定された所定時間tだけ電磁クラッチ82をON(励磁)する(ステップS5)。ステップS5の処理後、制御部32は、電磁クラッチ82がON状態か否かを判断する(ステップS7)。ステップS7においてNOの場合(電磁クラッチ82がOFF状態である場合)、制御部32は、電磁クラッチ82がONからOFFに切り換えられた時点から、即ち圧縮機52が停止した時点から予め設定された所定時間T2が経過しているか否かを判断する(ステップS8)。所定時間T2は、例えば30分である。所定時間T2が経過している場合(ステップS8においてYES)、制御部32は、予め設定された所定時間tだけ電磁クラッチ82をON(励磁)する(ステップS9)。ステップS8においてNOの場合(所定時間T2が経過していない場合)、制御部32は、ステップS7へ移行する。
【0061】
ステップS4においてYESの場合(電磁クラッチ82がON状態である場合)、制御部32は、ステップS7へ移行する。
駆動軸40が回転し、且つ回転軸47が回転しない状態が長時間続いた場合には、膨張機72の起動直後の循環制御の後に循環制御が再度行なわれる。循環制御の再度遂行は、駆動軸40が回転し、且つ回転軸47が回転しない状態が長時間続いた場合における軸受50,51の十分な潤滑を確実に保障する。
【0062】
次に、図6及び図7の第4の実施形態を説明する。図6に示す装置構成は、第1の実施形態に、ギヤポンプ67をバイパスするバイパス通路85と電磁三方弁86とが追加されている。電磁三方弁86は、消磁状態では、上流の排出流路30とバイパス通路85とを連通すると共に、上流の排出流路30と下流の排出流路30との連通を遮断するバイパス開状態にある。又、電磁三方弁86は、励磁状態では、上流の排出流路30とバイパス通路85との連通を遮断すると共に、上流の排出流路30と下流の排出流路30とを連通するバイパス閉状態にある。図7のフローチャートにおいては、第1の実施形態におけるフローチャートと同じステップには同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
【0063】
電磁三方弁86は、バイパス開状態にあり、エンジン12が始動されると、ランキンサイクル回路13内の差圧によりランキンサイクル用冷媒が循環し、膨張機72を回転させる(ステップS3)。膨張機72の回転により、ランキンサイクル用冷媒が電磁三方弁86の上流の排出流路30からバイパス通路85を経由して第1流路22へとギヤポンプ67を迂回して流れる。
【0064】
制御部32は、温度検出器83によって検出された冷却水温度θを把握する(ステップS1)。制御部32は、検出された冷却水温度θが予め設定された所定温度θoに達したか否かを判断する(ステップS2)。検出された冷却水温度θが予め設定された所定温度θoに達していない場合(ステップS2においてNO)、制御部32は、ステップS1へ移行する。検出された冷却水温度θが予め設定された所定温度θoに達している場合(ステップS2においてYES)、制御部32は、電磁三方弁86を励磁する(ステップS10)。これにより、ランキンサイクル用冷媒が電磁三方弁86の上流の排出流路30から下流の排出流路30及びギヤポンプ67を経由して第1流路22へと流れる。
【0065】
ステップS10の処理後、制御部32は、電磁クラッチ82がON状態(励磁状態)か否かを判断する(ステップS4)。電磁クラッチ82がOFF状態(消磁状態)である場合(ステップS4においてNO)、制御部32は、予め設定された所定時間tだけ電磁クラッチ82をON(励磁)する(ステップS5)。これにより回転軸47と駆動軸40とが所定時間tだけ連結し、回転軸47と駆動軸40とが所定時間tだけ一体的に回転する。つまり、圧縮機52が所定時間tにわたって駆動される。
【0066】
第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○膨張機72の起動と同時に電磁クラッチ82をONにして(切替手段の切替状態を接続状態にして)循環制御を行なうようにしてもよい。この場合にも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0067】
○第1〜第4の実施形態において、冷却水の温度を検知することで膨張機72の起動を把握したが、冷却水温度に相関する情報によって膨張機72の起動を把握してもよい。例えば、冷却水温度に相関する情報の検知手段(冷却水温度情報検知手段)として、膨張機72の入口側に温度検知器を設けたり、モータ・ジェネレータ43の駆動軸40や膨張機72の回転軸70に回転数検出器を設けてもよい。
【0068】
○車両用以外の廃熱利用装置に本発明を適用してもよい。
○回転電機は、発電機としてのみ機能するものであってもよい。
○膨張機として、ベーン式の膨張機を用いてもよい。
【0069】
○第4の実施形態において、エンジン12の始動時に制御部32に膨張機72を回転させる制御を行なってもよい。
○膨張機として、スクロール式やベーン式以外の他の形式の膨張機を用いてもよい。例えば、駆動軸40に軸流ファンを取り付け、駆動軸40の軸方向に冷媒を流して軸流ファン及び駆動軸40を一体的に回転させるようにしてもよい。
【0070】
○圧縮機として、スクロール式以外の他の形式の圧縮機(例えば斜板式、ベーン式、スクリュー式等)を用いてもよい。
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
【0071】
(イ)少なくとも発電機として機能する回転電機と、ランキンサイクル用作動流体を利用して前記回転電機の駆動軸に回転力を付与する膨張機と、冷凍サイクル用作動流体を吸入して吐出する圧縮機と、前記駆動軸と前記圧縮機の回転軸とを接続する接続状態、又は前記駆動軸と前記回転軸とを切断する切断状態に切り替える切替手段とを備えた複合流体機械がランキンサイクル回路と冷凍サイクル回路との各一部を構成し、ランキンサイクル用作動流体の存在領域と冷凍サイクル用作動流体の存在領域とは分かれており、前記駆動軸の軸受の少なくとも1つは、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある廃熱利用装置において、
前記膨張機の起動を把握する膨張機起動把握手段と、
前記圧縮機の駆動を把握する圧縮機駆動把握手段と、
前記膨張機起動把握手段によって前記膨張機の起動が把握された場合、且つ圧縮機駆動把握手段によって前記圧縮機の非駆動が把握された場合には、前記膨張機の起動が把握されたと同時に前記切替手段の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御を行なう制御手段とを備えた廃熱利用装置。
【0072】
(ロ)前記駆動軸の軸受の全ては、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の廃熱利用装置。
(ハ)少なくとも発電機として機能する回転電機と、ランキンサイクル用作動流体を利用して前記回転電機の駆動軸に回転力を付与する膨張機と、冷凍サイクル用作動流体を吸入して吐出する圧縮機と、前記駆動軸と前記圧縮機の回転軸とを接続する接続状態、又は前記駆動軸と前記回転軸とを切断する切断状態に切り替える切替手段とを備えた複合流体機械がランキンサイクル回路と冷凍サイクル回路との各一部を構成し、ランキンサイクル用作動流体の存在領域と冷凍サイクル用作動流体の存在領域とは分かれており、前記駆動軸の軸受の少なくとも1つは、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある廃熱利用装置における圧縮機制御方法において、
前記膨張機が起動された場合、且つ前記圧縮機が駆動していない状態である場合には、前記切替手段の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御を前記起動と同時に行なう廃熱利用装置における圧縮機制御方法。
【符号の説明】
【0073】
11…車両用廃熱利用装置。13…ランキンサイクル回路。14…冷凍サイクル回路。32…膨張機起動把握手段及び圧縮機駆動把握手段を構成し、制御手段としての制御部。34…複合流体機械。40…駆動軸。43…回転電機としてのモータ・ジェネレータ。47…回転軸。50,51…軸受。52…圧縮機。72…膨張機。82…切替手段としての電磁クラッチ。83…温度検出器。84…膨張機起動把握手段を構成する回転数検出手段。t,T1,T2…所定時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも発電機として機能する回転電機と、ランキンサイクル用作動流体を利用して前記回転電機の駆動軸に回転力を付与する膨張機と、冷凍サイクル用作動流体を吸入して吐出する圧縮機と、前記駆動軸と前記圧縮機の回転軸とを接続する接続状態、又は前記駆動軸と前記回転軸とを切断する切断状態に切り替える切替手段とを備えた複合流体機械がランキンサイクル回路と冷凍サイクル回路との各一部を構成し、ランキンサイクル用作動流体の存在領域と冷凍サイクル用作動流体の存在領域とは分かれており、前記駆動軸の軸受の少なくとも1つは、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある廃熱利用装置において、
前記膨張機の起動を把握する膨張機起動把握手段と、
前記圧縮機の駆動を把握する圧縮機駆動把握手段と、
前記膨張機起動把握手段によって前記膨張機の起動が把握された場合、且つ圧縮機駆動把握手段によって前記圧縮機の非駆動が把握された場合には、前記切替手段の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御を前記起動の直後に行なう制御手段とを備えた廃熱利用装置。
【請求項2】
駆動源と、前記駆動源を冷却する冷却水とを備え、前記膨張機起動把握手段は、前記冷却水の温度に相関する情報を検知する冷却水温度情報検知手段を含む請求項1に記載の廃熱利用装置。
【請求項3】
前記圧縮機の停止から所定時間経過後、前記圧縮機が駆動していない場合には、前記制御手段は、前記循環制御を再度遂行する請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の廃熱利用装置。
【請求項4】
少なくとも発電機として機能する回転電機と、ランキンサイクル用作動流体を利用して前記回転電機の駆動軸に回転力を付与する膨張機と、冷凍サイクル用作動流体を吸入して吐出する圧縮機と、前記駆動軸と前記圧縮機の回転軸とを接続する接続状態、又は前記駆動軸と前記回転軸とを切断する切断状態に切り替える切替手段とを備えた複合流体機械がランキンサイクル回路と冷凍サイクル回路との各一部を構成し、ランキンサイクル用作動流体の存在領域と冷凍サイクル用作動流体の存在領域とは分かれており、前記駆動軸の軸受の少なくとも1つは、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある廃熱利用装置において、
前記膨張機の起動を把握する膨張機起動把握手段と、
前記圧縮機の駆動を把握する圧縮機駆動把握手段と、
前記膨張機起動把握手段によって前記膨張機の起動が把握された場合、且つ前記圧縮機の停止から所定時間経過後、前記圧縮機が駆動していない場合には、前記切替手段の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御を行なう制御手段とを備えた廃熱利用装置。
【請求項5】
少なくとも発電機として機能する回転電機と、ランキンサイクル用作動流体を利用して前記回転電機の駆動軸に回転力を付与する膨張機と、冷凍サイクル用作動流体を吸入して吐出する圧縮機と、前記駆動軸と前記圧縮機の回転軸とを接続する接続状態、又は前記駆動軸と前記回転軸とを切断する切断状態に切り替える切替手段とを備えた複合流体機械がランキンサイクル回路と冷凍サイクル回路との各一部を構成し、ランキンサイクル用作動流体の存在領域と冷凍サイクル用作動流体の存在領域とは分かれており、前記駆動軸の軸受の少なくとも1つは、冷凍サイクル用作動流体の存在領域にある廃熱利用装置における圧縮機制御方法において、
前記膨張機が起動された場合、且つ前記圧縮機が駆動していない状態である場合には、前記切替手段の切替状態を接続状態にして冷凍サイクル用作動流体を循環させる循環制御を行なう廃熱利用装置における圧縮機制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−214483(P2011−214483A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82839(P2010−82839)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)