説明

廊下灯

【課題】 火災などの非常時に、バッテリーから電力が供給されている廊下灯の消費電力をできる限り低減しつつ、救護の対象である患者が居るか否かを各病室に入っていちいち確認することなく医療従事者が容易に判断できるようにする。
【解決手段】 停電が発生すると表示部5に何も表示しないようにし、その状態で表示操作部6が操作されると、救護の対象であり救護を完了していない患者の患者情報および救護を必要とする旨を示す救護情報を表示部5に表示する。その状態で登録操作部7が操作されると表示部5に何も表示しないようにする。これにより、救護の対象の患者が居るか否かを確認する時に表示させることができ、廊下灯1の消費電力をできる限り低減できる。また、医療従事者は表示部5を見るだけで、救護の対象である患者が居るか否かを確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院などの施設における病室の出入口付近に設置され、病室の番号や患者の氏名などを表示する廊下灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病室内の患者の近辺(例えば、ベッド近傍など)に設置されたナースコール子機および医療従事者の居る部屋(例えば、スタッフルームなど)に設置されたナースコール親機を有線などにより接続して構成されている。また、ナースコール子機およびナースコール親機は、廊下灯や制御機などを介して接続されている。さらに、医療従事者が携行している携帯通信端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)やコードレス電話など)は、無線を介してナースコール親機に接続されている。そして、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール親機や携帯通信端末は、自装置に設けられた報知部を動作させて、スピーカから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知している。医療従事者は、呼び出し音を聞いたり、呼び出し表示を見たりして、患者からの呼び出しを把握する。
【0003】
ここで、廊下灯は、病室の出入口付近の壁面に取り付けられており、施設内に多数存在している。また、廊下灯は、病室の番号や病室を使用している患者の氏名などを表示している。また、廊下灯は、ナースコール親機の動作と連動しており、病室に居る患者によりナースコール子機が操作されると、自装置に設けられた報知部を動作させて、表示されている患者の氏名などと対となるように自装置に設けられた表示灯を点灯または点滅して呼び出しを報知している。医療従事者は、表示灯の点灯または点滅を見ることで患者からの呼び出しを把握する。また、廊下灯によっては、患者の氏名などを表示するための表示ディスプレイなどを備えているものもある。このような廊下灯は、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせて呼び出しを報知している。
【0004】
このようなナースコールシステムにおいて、火災などの非常時に、病室に居る患者に対して救護を必要とする旨を示す救護情報を病室の出入口付近に設置された廊下灯に表示する技術が知られている(例えば、特許文献1など)。特許文献1に記載のナースコール装置は、病院内において火災などの非常時に非常警報を出力する非常警報装置と接続されている。そして、非常警報装置から出力された非常警報を入力した廊下灯は、自装置が設置されている病室に居る患者の患者情報(例えば、患者の氏名など)およびその患者の救護情報を自装置の情報表示部に表示する。これにより、医療従事者は、廊下灯の情報表示部に表示されている救護情報を見ることで、救護の対象である患者が居るか否かを把握することができ、必要に応じて病室内に入って救護の対象である患者を救護することができる。また、その状態で廊下灯にて復旧操作が行われた場合に、廊下灯は、表示されている救護情報を非表示にして患者情報のみを情報表示部に表示するようにしている。
【0005】
ところで、火災などの非常時に施設内が停電してしまうことが考えられる。施設内が停電すると、外部からの電力(例えば、通常電源など)を必要とする特許文献1に記載のナースコール装置は動作できなくなる。そのため、廊下灯は上述の動作を実行できず、救護情報を表示できなくなってしまう。従って、医療従事者は、病室内に入って救護を行うか否かを判断することができなくなってしまい、救護の対象である患者が居るか否かを各病室に入っていちいち確認しなければならなくなってしまうという問題があった。
【0006】
一方、停電が発生して通常電源からの電力の供給が途絶えた場合に、バッテリーから電力を供給する技術が知られている(例えば、特許文献2など)。特許文献2に記載の移動棚装置は、棚と棚との間を照らすための照明装置と、照明装置へ給電可能なバッテリーとを備えている。通常時において、照明装置を点灯させるために必要とする電力は通常電源から供給される。一方、停電の発生時において、通常電源からの電力の供給が途切れた場合に、照明装置を点灯させるために必要とする電力はバッテリーから供給される。これにより、停電が発生しても棚と棚との間が照明装置により照らされるので、棚を使用する使用者は、棚と棚との間を安全に通ることができる。
【0007】
そこで、特許文献2に記載の技術を特許文献1に記載の技術に適用すると、非常警報装置から出力された非常警報を入力した廊下灯は、施設内が停電しても非常用のバッテリーを動力源として自装置が設置されている病室に居る患者の救護情報を表示することができる。これにより、医療従事者は、廊下灯に表示される救護情報をもとに、病室に入って救護を行うか否かを判断することができる。
【0008】
しかしながら、動力源がバッテリーに切り替わった際に、施設内に多数存在している廊下灯を医療従事者が一台ずつ確認する場合、次のような問題があった。すなわち、医療従事者が廊下灯を一台ずつ確認している間、確認が終わっていない廊下灯は救護情報を表示し続けており、その間、バッテリーは放電し続けている。また、バッテリーは、容量に限りがあることから放電できる時間が限られている。また、施設内に多数存在する廊下灯の確認作業を順番に行うと、医療従事者が全ての廊下灯を確認し終わるまでにある程度の時間がかかる。これらのことから、確認が最後の方になった廊下灯は、医療従事者が到着した時点でバッテリーが放電し終わって電力がバッテリーから供給されなくなってしまうケースが生じる。そのため、廊下灯によっては救護情報を表示することができなくなってしまうという問題があった。従って、病室に到着した医療従事者は、病室内に入って救護を行うか否かを廊下灯によって判断することができなくなってしまい、救護の対象である患者が居るか否かを各病室に入っていちいち確認しなければならなくなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−283681号公報
【特許文献2】特開2001−346637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、火災などの非常時に、バッテリーから電力が供給されている廊下灯の消費電力をできる限り低減しつつ、救護の対象である患者が居るか否かを各病室に入っていちいち確認することなく医療従事者が容易に判断することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の廊下灯は、自装置が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されている状態で、自装置が設置されている病室に居る患者に対して救護が必要である旨を示す救護情報を表示するために操作される第一の操作部と、その患者を救護したことを登録するために操作される第二の操作部とを備え、自装置が設置されている病室に居る患者を識別するための患者情報とその患者が救護の対象であるか否かを示す対象情報とその患者を救護したか否かを示す完了情報とを関連付けて記憶する。第一の操作部が操作された場合に、救護の対象であることを示す対象情報および患者を救護していないことを示す完了情報に関連付けて記憶されている患者情報を取得して、取得した患者情報により特定される患者の救護情報を表示するようにしている。また、第二の操作部が操作された場合に、記憶されている完了情報を患者を救護したことを示すものに書き換えて記憶するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、自装置が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されている状態において、初期の状態では救護情報が表示されていない。また、第一の操作部が操作されると、救護の対象であり救護を完了していない患者に対して救護情報が廊下灯に表示される。これにより、医療従事者が救護の対象である患者が居るか否かを確認するための救護情報を第一の操作部が操作された場合にのみ廊下灯に表示させることができるので、バッテリーから電力が供給されている廊下灯の消費電力をできる限り低減させることができる。また、医療従事者は廊下灯の表示を見るだけで、救護の対象となっている患者が居るか否かを確認することができるので、救護の対象である患者が居るか否かを各病室に入っていちいち確認することなく容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態による廊下灯の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による廊下灯の記憶部の記憶内容例を示す説明図である。
【図3】本実施形態による廊下灯の表示部の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態による廊下灯の構成例を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように、本実施形態による廊下灯1は、制御部2、記憶部3、電力検出部4、表示部5、表示操作部(特許請求の範囲の第一の操作部に該当する)6、登録操作部(特許請求の範囲の第二の操作部に該当する)7を備えて構成されている。
【0015】
図1において、廊下灯1は、病室の出入口付近の壁面に取り付けられており、病室の番号や病室を使用している患者の氏名などを表示するためのものである。ここで、通常時において、廊下灯1は通常電源を動力源とする。一方、停電の発生時において、廊下灯1は、施設内に設置されている非常用のバッテリー(以下、単にバッテリーとする)を動力源とする。また、通常電源とバッテリーとの間で電力の供給を切り替える動作は、周知の技術を使用するため、具体的な構成および処理の説明は省略する。
【0016】
制御部2は、廊下灯1の各構成要素を後述するように制御する。記憶部3は、メモリなどの記憶装置などにより構成されている。また、記憶部3は、廊下灯1が設置されている病室に居る患者を識別するための患者情報、その患者が救護の対象であるか否かを示す対象情報、その患者を救護したか否かを示す完了情報、および、後述する表示部5における患者情報の表示位置を示す位置情報を関連付けて記憶している。
【0017】
記憶部3は、図2に示すように、患者の氏名を示す患者情報を格納する患者氏名領域31、その患者が救護の対象であるか否かを示す対象情報を格納する救護対象領域32、その患者を救護したか否かを示す救護完了情報を格納する救護完了領域33、および、後述する表示部5における患者情報の表示位置を示す位置情報を格納する表示位置領域34を記憶している。
【0018】
患者氏名領域31には患者情報として、例えば「山田太郎」、「田中次郎」、「鈴木三郎」、「佐藤四郎」などの情報が格納されている。救護対象領域32には、患者が救護の対象であるか否かを示すものとして、例えば、患者を救護の対象とする救護情報を示す「対象」、患者を救護の対象としない救護情報を示す「対象外」などの情報が格納されている。救護完了領域33には、患者を救護したか否かを示すものとして、例えば、患者を救護していない救護情報を示す「未完了」、患者を救護した救護情報を示す「完了」、患者を救護の対象とせず、患者を救護したか否かということを必要としない完了情報を示す「−(ハイフン)」などの情報が格納されている。表示位置領域34には位置情報として、例えば「5a」、「5b」、「5c」、「5d」などの情報が格納されている。
【0019】
ここで、医療従事者などは、患者情報、対象情報および位置情報を入力部(図示せず)などによって入力して記憶部3に記憶させることで、廊下灯1が設置されている病室を使用している患者の患者情報、その患者が救護の対象であるか否かを示す対象情報、および、表示部5における患者情報の表示位置を示す位置情報を予め登録することができる。また、完了情報は、患者情報、対象情報および位置情報を記憶部3に記憶する際に自動的に記憶部3に記憶される。このとき、登録された対象情報が患者を救護の対象とすることを示すものであれば、記憶部3に記憶される完了情報の値は「未完了」となり、登録された対象情報が患者を救護の対象としないことを示すものであれば、記憶部3に記憶される完了情報の値は「−」となる。また、完了情報は、後述する登録操作部7が操作されると値が書き換えられ、動力源がバッテリーから通常電源に戻ると、値が初期値に書き換えられる。
【0020】
電力検出部4は、電流計などの電気計器で構成されており、廊下灯1が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されている状態であることを検出するためのものである。電力検出部4は、バッテリーと廊下灯1とを電気的に接続するための電線に接続されており、電線に流れる電流を検出する。バッテリーから電力が供給されない場合、電線に電流が流れないので、電力検出部4は電流を検出しない。一方、バッテリーから電力が供給されている場合、電線に電流が流れるので、電力検出部4は電流を検出する。
【0021】
表示部5は、表示ディスプレイなどにより構成されており、廊下灯1が設置されている病室を使用している患者の氏名などを表示するためのものであり、救護の対象である患者が居ることを知らせるためのものである。廊下灯1が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されていない状態であることを電力検出部4にて検出している場合(換言すると、通常時)において、制御部2は表示部5を制御して、廊下灯1が設置されている病室内に居る患者の患者情報(例えば、患者の氏名など)をベッドのレイアウト通りに表示部5に表示させている。ここで、制御部2は、記憶部3を参照し、記憶部3に記憶されている位置情報により特定される表示位置に、その位置情報と関連付けて記憶されている患者情報を表示させている。
【0022】
また、廊下灯1が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されている状態であることを電力検出部4にて検出した場合(換言すると、停電の発生時)において、制御部2は、消費電力を抑えるため表示部5に何も表示させない。また、表示部5に何も表示させていない状態で後述する表示操作部6が操作された場合に、制御部2は表示部5を制御して、記憶部3に記憶されている患者情報、対象情報、完了情報および位置情報をもとに、救護の対象である患者の患者情報および救護が必要である旨を示す救護情報を表示部5に表示させる。
【0023】
表示操作部6は、ボタンなどにより構成されている。表示操作部6は、停電の発生時に操作され、救護の対象である患者の患者情報および救護情報を表示部5に表示するためのものである。救護の対象である患者の患者情報および救護情報が表示部5に表示されている状態で、表示操作部6が操作された場合に、制御部2は表示部5を制御して、表示部5に表示されている救護の対象である患者の患者情報および救護情報を消して表示部5に何も表示させない。一方、救護の対象である患者の患者情報および救護情報が表示部5に表示されている状態で、後述する登録操作部7が操作された場合に、制御部2は表示部5を制御して、表示部5に表示されている救護の対象である患者の患者情報および救護情報を消して表示部5に何も表示させない。
【0024】
登録操作部7は、ボタンなどにより構成されている。登録操作部7は、停電の発生時に救護の対象である患者の患者情報および救護情報が表示されている場合に操作され、該当する患者に対して救護を完了したことを登録するためのものである。救護の対象である患者の患者情報および救護情報が表示部5に表示されている状態で、制御部2は、登録操作部7が操作されたか否かを判定する。登録操作部7が操作されたと制御部2にて判断した場合に、制御部2は、記憶部3を参照して、記憶部3に記憶されている完了情報のうち患者を救護していないことを示す完了情報を取得する。そして、制御部2は取得した完了情報の値を、患者を救護したことを示すもの(例えば、完了など)に書き換えて記憶部3に記憶させる。
【0025】
ここで、本実施形態による廊下灯1において、図2および図3に示す例に基づいて、停電の発生時における表示操作部6が操作された際の処理および登録操作部7が操作された際の処理を説明する。また、この例では、図3(a)に示すように、表示部5は、廊下灯1の筐体前面の中央部分に配置されている。また、表示操作部6は、表示部5の下方に配置されている。また、登録操作部7は、表示部5の上方に配置されている。
【0026】
また、この例では、病室に配置されているベッドのレイアウト通りに縦二列横二列に表示部5の表示を分割している。また、分割した表示のうち左上の表示位置5aには、記憶部3に記憶されている位置情報(5a)が対応する。また、分割した表示のうち左下の表示位置5bには、記憶部3に記憶されている位置情報(5b)が対応する。また、分割した表示のうち右上の表示位置5cには、記憶部3に記憶されている位置情報(5c)が対応する。また、分割した表示のうち右下の表示位置5dには、記憶部3に記憶されている位置情報(5d)が対応する。また、この例では、救護の対象である患者は、山田太郎、佐藤四郎である。
【0027】
まず、通常時において、表示部5の表示位置5aには、位置情報(5a)に関連付けて記憶部3に記憶されている患者情報(山田太郎)が表示されている。また、表示部5の表示位置5bには、位置情報(5b)に関連付けて記憶部3に記憶されている患者情報(田中次郎)が表示されている。また、表示部5の表示位置5cには、位置情報(5c)に関連付けて記憶部3に記憶されている患者情報(鈴木三郎)が表示されている。また、表示部5の表示位置5dには、位置情報(5d)に関連付けて記憶部3に記憶されている患者情報(佐藤四郎)が表示されている。
【0028】
この状態で、廊下灯1が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されている状態であることを電力検出部4にて検出した場合に、制御部2は表示部5を制御して、図3(a)に示すように、表示部5の各表示位置に表示されている患者情報を消して何も表示させないようにする。表示部5に何も表示させない状態になると、制御部2は、表示操作部6が操作されたか否かを判定する。表示操作部6が操作されたと制御部2にて判断した場合に、制御部2は、記憶部3を参照して記憶部3に記憶されている対象情報(対象、対象外、対象外、対象)および完了情報(未完了、−、−、未完了)を取得する。
【0029】
制御部2は、記憶部3を参照し、取得した対象情報のうち救護の対象であることを示す対象情報(対象)、および取得した完了情報のうち救護していないことを示す完了情報(未完了)に関連付けて記憶されている患者情報(山田太郎、佐藤四郎)および位置情報(5a、5d)を取得する。そして、制御部2は、図3(b)に示すように、取得した患者情報(山田太郎)および救護情報(要救護)を、取得した位置情報(5a)により特定される表示位置5aに表示させる。同様に、制御部2は、図3(b)に示すように、取得した患者情報(佐藤四郎)および救護情報(要救護)を、取得した位置情報(5d)により特定される表示位置5dに表示させる。
【0030】
図3(b)に示すように、救護の対象である患者の患者情報および救護情報が表示部5に表示された状態になると、制御部2は、表示操作部6が操作されたか否かを判定するとともに、登録操作部7が操作されたか否かを判定する。表示操作部6が操作されたと制御部2にて判断した場合に、制御部2は表示部5を制御して、表示部5に表示されている患者情報および救護情報を消して、図3(a)に示すように、表示部5に何も表示させないようにする。
【0031】
一方、登録操作部7が操作されたと制御部2にて判断した場合に、制御部2は、記憶部3を参照して、記憶部3に記憶されている完了情報(未完了、−、−、未完了)のうち患者を救護していないことを示す完了情報(未完了)を取得する。制御部2は、取得した完了情報の値(未完了)を、患者を救護したことを示すもの(完了)に書き換えて記憶部3に記憶させる。そして、制御部2は表示部5を制御して、表示部5に表示されている患者情報および救護情報を消して、図3(c)に示すように、表示部5に何も表示させないようにする。
【0032】
図3(c)に示すように、表示部5に何も表示されていない状態において、患者を救護の対象とすることを示す対象情報(対象)に関連付けて記憶部3に記憶されている完了情報は、患者を救護したことを示す値(完了)に書き換えられている。この状態で、表示操作部6が操作されたと制御部2にて判断しても、制御部2は、図3(c)に示すように、表示部5に何も表示させないままである。
【0033】
以上、詳しく説明したように、本実施形態の廊下灯1では、廊下灯1が設置されている病室に居る患者を識別するための患者情報、その患者が救護の対象であるか否かを示す対象情報、その患者を救護したか否かを示す完了情報、および、表示部5における患者情報の表示位置を示す位置情報を関連付けて記憶部3に記憶する。廊下灯1が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されていると電力検出部4にて検出すると、まず制御部2は、表示部5の各表示位置に表示されている患者情報を消して何も表示させないようにする。その状態で表示操作部6が操作されると、制御部2は、記憶部3から取得した対象情報のうち救護の対象であることを示す対象情報、および記憶部3から取得した完了情報のうち救護していないことを示す完了情報に関連付けて記憶部3に記憶されている患者情報および位置情報を取得する。制御部2は、取得した患者情報および救護を必要とする旨を示す救護情報を、取得した位置情報により特定される表示部5の表示位置に表示させている。また、患者情報および救護情報が表示されている状態で表示操作部6が操作されると、制御部2は、表示部5に表示されている患者情報および救護情報を消して表示部5に何も表示させないようにする。一方、患者情報および救護情報が表示されている状態で登録操作部7が操作されると、制御部2は、記憶部3を参照して、記憶部3に記憶されている完了情報のうち患者を救護していないことを示す完了情報の値を、患者を救護したことを示すものに書き換えて記憶部3に記憶させ、表示部5に表示されている患者情報および救護情報を消して表示部5に何も表示させないようにする。
【0034】
これにより、廊下灯1が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されている状態において、初期の状態では救護情報が表示されなくなる。また、表示操作部6が操作されると、救護の対象であり救護を完了していない患者に対して救護情報が表示部5に表示される。このことから、医療従事者が救護の対象である患者が居るか否かを確認するための救護情報が、表示操作部6が操作された場合にのみ表示部5に表示されるので、バッテリーから電力が供給されている廊下灯1の消費電力をできる限り低減させることができる。また、医療従事者は表示部5の表示により、救護の対象となっている患者が居るか否かを見ることができるので、救護の対象である患者が居るか否かを各病室に入っていちいち確認することなく容易に判断することができる。
【0035】
なお、前述した実施形態では、表示部5は、表示ディスプレイなどにより構成されているが、これに限定されない。例えば、表示部5が表示灯により構成されるようにしても良い。
【0036】
具体的には、ベッドのレイアウト通りに表示灯を配置する。また、記憶部3は、表示灯の配置位置を示す位置情報を患者情報と関連付けて予め記憶しておく。また、位置情報と関連付けて記憶部3に記憶されている患者情報と同一の患者情報が記載された氏名カードなどを、その位置情報により特定される配置位置と対となる位置に予め取り付けておく。停電の発生時において、表示灯が消灯した状態となり、その状態で表示操作部6が操作されたと制御部2にて判断した場合に、制御部2は、記憶部3を参照して記憶部3に記憶されている対象情報および完了情報を取得する。制御部2は、記憶部3を参照し、取得した対象情報のうち救護の対象であることを示す対象情報、および取得した完了情報のうち救護していないことを示す完了情報に関連付けて記憶されている位置情報を取得する。そして、制御部2は、取得した位置情報により特定される配置位置に配置されている表示灯を点灯または点滅させるようにする。これにより、医療従事者は、表示灯の点灯または点滅を確認することで、その表示灯と対となる患者情報により特定される患者が救護の対象であることを把握することができる。
【0037】
また、前述した実施形態では、表示操作部6と登録操作部7とは、それぞれ別々に廊下灯1に設けられているが、これに限定されない。例えば、同一のボタンなどで表示操作部6と登録操作部7とを兼ねるようにしても良い。この場合、ボタンを押し続けた時間やボタンを押した回数などにより、表示操作部6の操作と登録操作部7の操作とを切り替えるようにする。
【0038】
また、前述した実施形態では、救護の対象である患者の患者情報および救護情報が表示部5に表示されている状態で、表示操作部6が操作されたと制御部2にて判断した場合に、制御部2は、表示部5に表示されている患者情報および救護情報を消して表示部5に何も表示させないようにしているが、これに限定されない。例えば、制御部2が救護の対象である患者の患者情報および救護情報が表示部5に表示させた際に、時間を計測するタイマー部(図示せず)を動作させる。そして、タイマー部にて計測した時間が所定時間を経過した場合に、制御部2が表示部5に表示されている患者情報および救護情報を消して表示部5に何も表示させないようにしても良い。
【0039】
また、前述した実施形態では、停電の発生時において、廊下灯1は、施設内に設置されている非常用のバッテリーを動力源としているが、これに限定されない。例えば、停電の発生時において、廊下灯1が自装置に内蔵しているバッテリーを動力源とするようにしても良い。
【0040】
また、前述した実施形態では、停電の発生時において、表示部5に何も表示させていない状態で、表示操作部6が操作されたと制御部2にて判断した場合に、制御部2は、記憶部3に登録されている患者情報のうち、救護の対象である患者の患者情報に限定して表示部5に表示させているが、これに限定されない。例えば、停電の発生時において、表示部5に何も表示させていない状態で、表示操作部6が操作されたと制御部2にて判断した場合に、制御部2が救護の対象である患者の患者情報だけでなく、記憶部3に記憶されている全ての患者情報を表示部5に表示させるようにしても良い。この場合、制御部2は、救護の対象である患者の患者情報が表示されている表示位置における表示と、救護の対象ではない患者の患者情報が表示されている表示位置における表示とを異ならせて表示部5に表示させる必要がある。
【0041】
その他、廊下灯1の構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 廊下灯
2 制御部
3 記憶部
31 患者氏名領域
32 救護対象領域
33 救護完了領域
34 表示位置領域
4 電力検出部
5 表示部
5a〜5d 表示位置
6 表示操作部
7 登録操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置が設置されている病室に居る患者を識別するための患者情報と、前記患者が救護の対象であるか否かを示す対象情報と、前記患者を救護したか否かを示す完了情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記患者に対して救護を必要とする旨を示す救護情報を表示するための表示部と、
自装置が動作するために必要とする電力がバッテリーから供給されている状態であることを検出する電力検出部と、
少なくとも前記電力がバッテリーから供給されている状態であると前記電力検出部にて検出した場合に操作が可能となり、前記救護情報を前記表示部にて表示させるために操作される第一の操作部と、
前記救護情報が前記表示部に表示されている場合に操作され、前記患者を救護したことを登録するために操作される第二の操作部と、
前記第一の操作部が操作されたと判断した場合に、前記記憶部を参照し、前記救護の対象であることを示す対象情報および前記患者を救護していないことを示す完了情報に関連付けて記憶されている患者情報を取得して、取得した前記患者情報により特定される患者の前記救護情報を前記表示部に表示させるとともに、前記第二の操作部が操作されたと判断した場合に、前記記憶部を参照し、前記記憶部に記憶されている前記完了情報のうち、患者を救護していないことを示す完了情報を取得し、取得した前記完了情報を患者を救護したことを示すものに書き換えて前記記憶部に記憶する制御部と、
を備えることを特徴とする廊下灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−92516(P2011−92516A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250614(P2009−250614)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】