延伸PTFEで被覆されるシリンジストッパー
シリコーンオイル又は他の液体の潤滑剤を用いることなく、シリンジストッパーが、シリンジ内で使用するのに適する。本発明は、シリンジ内でエラストマーストッパー材料(10)と治療薬との間で低摩擦バリア(20)を提供する。バリアは、材料がエラストマー材料からの浸出及びエラストマーによる薬剤由来の化合物の抽出を防止する。また、エラストマーと適切に結合しながら薄いバリア層を成形することを可能とする方法が述べられる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
薬剤の運搬のために使われるシリンジ(シリンジ)は、主にバレル(シリンダー)とストッパーから構成される。ストッパーはシリンジバレル内でスライドしながら適合して、シリンジの作動と薬剤の運搬のために貼付されるストッパーロッドを有してよい。ストッパーは、一般的には、シリコーンオイルが塗られた状態のエラストマーから構成される。ストッパーとバレルとの間でスライドする摩擦を減らすためにシリコーンオイルが適用されて、それらの間の封印を改良する。充分な量を保証する量を投与することを管理する場合に、オイルは滑りやすさの効果を保証する。このことは、特に、ペン型シリンジ及び自動注入シリンジの場合に重要である。また、そのオイルは注入の部位で精神的外傷につながる可能性があるデバイスの故障を妨げるためにも重要である。シリコーンオイルによって提供される改善された封印も、確実にバクテリアのような外からの汚染物質がシリンジに入らないことを保証することができる。
【0002】
最近、薬剤を保存して運搬することを機能とする薬剤充填済みシリンジを支持する傾向が展開されている。そのような薬剤充填済みシリンジは製薬業界にコスト削減をもたらして、薬剤運搬の安全性、便宜性及び有効性を改良する可能性がある。バイオ医薬品は、薬剤充填済みシリンジとその関連した装置(ペン型シリンジ及び自動注入シリンジ等)の使用量を増加させる医薬の重要な分野である。そのようなバイオ医薬品は、インシュリン、ワクチン、抗体、血液製剤、ホルモン類、サイトカイン等を含んでよい。より多くの医薬と特にバイオ医薬品が薬剤充填済みシリンジ及び同様なデバイスの運搬を利用すればするほど、従来のシリンジ分野の技術の課題は明らかである。
【0003】
従来のシリンジ構造物の幾つかの態様は、薬剤充填済みとして使用するためには課題がある。シリコーンオイルの使用は懸念事項である。なぜならばそのオイルが薬剤の品質を低下させる可能性があるからであり、そして、少量のシリコーンが薬剤と共に注入される可能性があるからである。また、そのオイルは特定のタンパク質の凝集を引き起こすので、そのオイルはバイオ医薬品に関して特に懸念される。
【0004】
薬剤充填済みシリンジで起こる別の問題は、ストッパーのエラストマーが、浸出して抽出される汚染物質を含む可能性があるということである。また、これらはシリンジ内で長期間にわたって保存する際に薬剤を汚染する可能性がある。そしてストッパーからの残存するモノマー若しくは可塑剤又は他の不純物は治療の逆効果である可能性があるか、又は一旦注入された場合に、患者に逆影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬剤充填済みのシリンジデバイス及び同様なデバイス、並びにそれらの構成要素に影響を及ぼすと考えられる様々な別の事項としては、殺菌の必要性、運搬の安定性、数年間に及ぶ保存性、光学的透明性、既存の充填用装置に組み入れる必要性(ストッパークリーニング及びシリンジバレルへの挿入のための耐久性の要件含む。)、シリンジ中の全てのコンポーネントの漏出物及び抽出物、薬剤の充填から投与までの維持管理、並びに最後として、ユーザーの好み及び人間工学的配慮がある。選択を維持する必要のための輸送と保管による安定性とエルゴノミクス重要な点です。考慮すべき様々な事項に対して、薬剤充填済みシリンジの市場は、ガラスバレル及びプラスチックバレルの両方を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、バリアフイルムの予備成形品のほとんどのものを作るために用いられる熱成形装置の概略のイメージ図である。
【図2】図2は、上記の熱成形装置で用いられた4個の空洞取りのモールド(金型)を示す。
【図3】図3は、圧縮成形のためのプレス機中の積層材の代表図である。
【図4】図4は、実施例7でストッパーを作るために用いられた空洞の図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にしたがったシリンジ ストッパーの断面図を示す。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態にしたがったシリンジ ストッパーの断面図を示す。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態にしたがったシリンジ ストッパーの断面図を示す。
【図8】図8は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図9】図9は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図10】図10は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図11】図11は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図12】図12は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図13】図13は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図14】図14は、ストッパーのバリア性能を利用するための試験装置の概略図である。
【図15】図15は、通気管挿入試験に対するストッパーの耐久性を決定するための試験装置の概略図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態の断面図を示すSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明はシリンジ(シリンジ)ストッパーを提供し、そのシリンジストッパーはシリコーンオイル又は他の液状潤滑剤を必要としないでシリンジ内で使用するのに適する。本発明は、シリンジ内でエラストマーストッパー材料と薬との間の低摩擦バリアを提供する。そのバリアはエラストマー材料からの浸出から材料を遮断し、又はエラストマーによる薬剤由来の化合物の抽出から材料を遮断する。また、薄いバリア層を成形することを可能とし、エラストマーとの適切な結合を可能とする方法も述べられる。
【0008】
ある実施形態においては、本発明は、延伸フルオロポリマーフイルム、特には延伸ポリテトラフルオロエチレンフイルムを含むバリアフイルムを用いてよい。延伸PTFEに基づいたバリアフイルムは、漏出物及び抽出物に対して強いバリア性を有する層を提供する。延伸フルオロポリマー構造の優れた強度によって、これらの材料が薄いバリアを成形することを可能とし、その薄いバリアは生産や、シリンジ体にストッパーを挿入する際に損傷を受けないままでいることができる。
【0009】
例えば、ePTFEのような、少なくとも部分的に多孔性であって、好ましくは繊維化した材料をバリア材料と組み合わせて用いることは様々な利点を提供することができる。一つの態様において、そのような部分的に多孔性である材料を使用することは足場を提供することを可能とし、その足場によって薄くて強いバリア層を生産することを可能とし、エラストマーとバリアとの結合を改良する。バリアコンプライアンスは、ストッパーとバレル(シリンダー)との封印を維持するのに重要である。また、多孔性材料はストッパーの改良されたコンプライアンスを提供することができる。改良コンプライアンスは、軽減されたフイルム厚、曲げコンプライアンス又は多孔質材料の1つ以上の層の圧縮率から生じる。したがって、シリンジストッパーの外側まで、少なくとも部分的に多孔性であるバリアを提供することによって、ストッパーとシリンジバレル(シリンダー)は、滑り力を最小限にしながら改良され得る。
【0010】
バリアは単一層又は複数層の構造でよい。本明細書で述べられるように、層は機能的に述べられてよい。ところが、以下の実施態様の記載において、様々な層の機能的な名前は、任意の所定の層の潜在的な機能の全てを必ずしも述べていなくてよい。したがって、そのような機能的な命名は、層の特性を限定する意図ではないことを理解されたい。例えば、バリア層は追加的な特性や機能を有してよく、例えば、低摩擦表面を提供することや、結合強度を増大させたりすること等の特性や機能を有してよい。その上、複数層の実施態様では、各々の層が、バリア層又は他の層として識別されるかどうかにかかわらず、漏出物及び抽出物の軽減に寄与することができる。
【0011】
図5は、エラストマー本体部10とフルオロポリマーバリア20とから構成される本発明のシリンジストッパーの第1の実施形態を示す。エラストマー本体部10は、その用途に対して適する任意のエラストマーから構成されよく、特にはブチル、ブロモブチル, クロロブチル、シリコーン、ニトリル、スチレンブタジエン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンジエン、フルオロエラストマー又はそれらの任意の組み合わせのブレンド物から構成されるラバーでよい。バリア20の材料は、低摩擦係数、低コンプライアンス係数、少量の抽出物及び漏出物、及びエラストマー本体部からの抽出物及び漏出物に関して良好であるバリア特性を提供するために選択される。
【0012】
1つの実施形態において、バリア(20)は高密度ePTFEの単層を含むことができる。図8は、エラストマー体10及びバリア層30から成る本発明のシリンジストッパーを示している。エラストマー体はこれらの前述の材料のいずれかを含むことができる。この態様では、バリアフィルムは、高密度延伸フッ素樹脂を含むことができ、好ましくは高密度ePTFEを含むことができる。
【0013】
高密度ePTFEフィルムは、ケネディらの米国特許第7521,010に記載の方法で調製されてよく、その高密度ePTFEフィルムはエラストマーと組み合わされてシリンジストッパーを構成する。この実施形態では、高密度ePTFEフィルムは、予備的成形品(試作完成品)を作るために熱成形される。熱成形は、ノード溶融よりも充分に高い処理温度で実行されて溶融成形を維持してバリア性と強度特性を維持する。高強度延伸フィルムは非常に薄いバリアフィルムを成形することを可能とする。バリアフィルムは0.5ミクロンから20ミクロンまでの厚さで生産され得る。フィルムは、優先的には30ミクロン未満である。フィルムは、必要に応じて、化学エッチング、プラズマ処理、コロナ、粗面化等の事前又は事後処理をしてよく、エラストマー体への結合を改良する。
【0014】
熱成形された高密度化ePTFE予備的成形品は、射出成形、圧縮成形、プライミング、エラストマー予備的成形品の周りの事後的な積層、又は他の適当な手段によりエラストマー体と組み合わせることができる。エラストマー体を成形するために使用することができるエラストマーの例としては、シリコーン、ブチル、ニトリル、ポリウレタン、フルオロエラストマー、スチレンエチレンブタジエンスチレンエラストマー、スチレンブタジエンラバー等が挙げられる。
【0015】
別の実施形態では、バリア20は、バリア層30と多孔質層40とを有するコンポジットフルオロポリマーフィルムを含んでよい。バリア層30は、高密度であるePTFE、PTFE、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルフルオライド、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシポリマー等から構成され得る。多孔質層40は、ePTFE又は他の多孔性の延伸フルオロポリマー、好ましくは繊維化したフルオロポリマー(例えば、米国6541、589に教示されるようなePTFE)で構成され得る。ePTFE層は、好ましくは有機又は無機材料で充填されてよく、色潤滑性又は他の機能を提供することができる。
【0016】
別の実施形態では、バリアがコーティングで構成されているか、又は多孔質延伸層の上に展開されたバリアポリマーを堆積させることによって構成されて、コンポジットフィルムを作り出す。これについての1つのそのような例示は、コーティングプロセスにおける多孔質ePTFEの表面に、例えば粉末のPTFEのような、粒状又は粉末のフルオロポリマーを堆積することである。ePTFEの支持体は、バリアの生産、又は多孔質ePTFE支持体に堆積層を結合させるために、堆積フルオロポリマーの熱処理を可能にするためには十分な熱的に安定であるように構成される必要がある。
【0017】
ある実施形態において、エラストマー材料は、好ましくはバリアの多孔質構造に浸透する。図6は、シリンジバレル壁50、バリアフィルム30、多孔質層40、及びエラストマー体10を示す、実施形態にしたがったストッパーの断面を示す。具体的には、この図は、多孔質構造40にエラストマー材料の部分的な浸透41を示す。多孔質構造にエラストマー材料が浸透することは、エラストマーとバリアとの間の結合を改善する。
【0018】
図7は、シリンジバレル壁50、バリア20及びエラストマー体10を含む本発明に係るシリンジストッパーの別の実施形態の断面図を示す。バリアは、バリア層32及び多孔質層31から構成される。この実施形態では、バリア層は、多孔質層31上に堆積される被覆物を含む。バリア層は、多孔質層のコンポジットセクション99を作り出す方法で、多孔質層31に少なくとも部分的に吸収されたポリマーを含むことができる。この多孔質層のコンポジットセクション99は、多孔質層へのバリアポリマーの結合を改善することができる。また、多孔質のコンポジットセクションは、バリアポリマーのための支持体を提供することが可能であり、成形プロセス及び用途の両方において有益である、強度、靭性、コンプライアンス及び安定性を付与する。
【0019】
ある態様において、バリア層32は、多孔質層の特定のセクションを表面で曝露されることを可能とする方法で適用される吸収バリアポリマーを含んでよい。この態様では、多孔質層が十分に曝露されて、曝露されたセクションをシリンジ(シリンジ)壁50に接触させる。この態様では、多孔質ポリマーは、好ましくは、ePTFE、又は他の適切な滑らかな、拡延伸された多孔質フルオロポリマーから構成される。フルオロポリマーの曝露されたセクションは、壁に対するバリアフィルムの摩擦係数を軽減する。
【0020】
様々な本発明の実施形態において、多孔質層は、ストッパーの、バリア層表面とエラストマーとの間に配置される。図9〜13において示されるように、本発明のストッパーにおいて、エラストマー材料又はバリアポリマーの多孔質材料への浸透度が様々な程度を示すことが好ましい。図9は、エラストマー層(10)と、フルオロポリマーバリア層(30)及び多孔質ePTFE層(40)を含むコンポジット層とを有するストッパーの断面図である。この実施形態では、層(10)によるエラストマー材料(10)が、実質的にePTFE層(40)の孔を塞ぐ。
【0021】
代替的には、バリアポリマー(30)が、実質的に図11に示すように多孔質構造(40)を充填する。別の態様では、多孔質材料(40)は、バリアポリマー(30)とエラストマー(10)で実質的に同程度に充填され、図10に示されるように、多孔質構造に開放した孔を少ししか残さない。更なる別の態様において、図12に示すように、バリアポリマー及びエラストマーの両方が部分的に多孔質構造を塞いで、一方では、それらの間にいくつかの開孔を残す。エラストマー及び/又はバリアフルオロポリマーの浸透の他のバリエーションは、図13に示すように非常に明白な変形態様である。例えば、摩擦の低減、改善されたバリア性、及び改良された封印のように、完成したデバイスの様々な望ましい特性に配慮すると、特定の用途に応じて利点を有する。バリアポリマー又はエラストマーのいずれかの浸透の度合いは、公知の任意の手段によって制御されるが、時間の変化、温度の変化、圧力の変化、多孔質材料の多孔度の変化を含む。ある態様において、多孔質材料は、例えば、深さによって変化する多孔度を有する。
【0022】
さらに別の実施形態において、バリアは、バリア層フィルムに結合する高密度ePTFEフィルムと多孔質ePTFEの薄層とのコンポジットを含むことができる。ケネディらによる米国特許第7521、010で説明したように高密度ePTFEフィルムを得ることができる。ePTFE/高密度ePTFEのコンポジットは、ドランらによる米国特許第6030694に記載の方法で組み合わせることができる。
【0023】
この実施形態では、コンポジットバリアは高密度ePTFEフィルムの層と、多孔質ePTFE層とを含む。多孔質ePTFE層は、熱成形を通して大部分の多孔質を保持するような方法で構成される。また、それは、コンプライアントが充分であるので、シリンジバレル壁に対する封印性を改良する。これを達成するために、多孔質層の少なくとも一部分は、熱成形した後及び、事後的にエラストマーで圧縮成形をした後に十分に開放されている必要がある。この開孔度は、表面に対するストッパーの適合性及び封印性に役立つ可能性がある、ある程度の圧縮を可能とする。
【0024】
高密度ePTFEフィルムの厚みは、100ミクロン未満のプレ熱成形体の厚みを用いた適用に適切に合わせて調整されるが、好ましくはプレ熱成形体の厚みは50ミクロン未満であり、より好ましくは30ミクロン未満である。さらに、コンポジットフィルムの曲げ剛性は、この適用のための十分な強度を保持しながら、コンプライアンスや封印性を保証するために調整されることが必要である。
【0025】
ePTFE多孔質層は150ミクロン未満の厚みであることが好ましい。結合層としての性能を向上させるためには、ePTFE多孔質層は充分に開放されている必要があり、その結果として、エラストマー成形時に、多孔質への少なくとも部分的なエラストマーの浸透を可能とする(すなわち、ノード又はフィブリルの表面上にフィブリル化した構造を可能とする。)。
【0026】
バリア予備的成形品を構築するために、コンポジットバリアは、高密度フィルムを雌型空洞のストッパーモールド(金型)の形状まで成形させるのに適した温度、速度と及び圧力で熱成形されてよい。高密度ePTFEのバリア層がモールド(金型)の外側の壁に向かって配向されながら、より多くのePTFE層が、モールドキャビティー(型穴)の内側に向かって配向されてよい。熱成形は、ePTFEベースのフィルムを成形するのに適切である範囲の温度で実行されて、高密度ePTFEのバリア層によって提供されるバリアを破砕をすることはなく、或いはあるいは阻害することはない。適切な温度は330〜400℃の範囲であり、より好ましくは350〜380であり、バリア層を破砕、または実質的に多孔質層が崩壊することなく成形するために適切な圧力で実行される。
【0027】
熱成形バリア予備的成形品は、例えば、ブチルラバー、シリコーン又はバイトンTMのようなエラストマーを射出成形又は圧縮成形をすることによって、本発明のエラストマーシリンジストッパーに一体化され得る。有利なこととしては、多孔質ePTFE層をエラストマーの射出又は圧縮成形プロセスまで安定化させて、それによって、ある程度の多孔質構造を維持する。多孔質構造は、バリアに対するエラストマーの結合を改良する。多孔質層が優れた、低力の封印シーリングのためのある程度の圧縮が可能であるので、このことは、封印のためのコンプライアンスの改良につながる。
【0028】
さらに別の実施形態では、バリアは、多孔質ePTFE層と熱可塑性樹脂のバリア層とを含む、薄い高密度なコンポジットを成形することによって生産される。この態様では、低摩擦係数の表面を有する熱可塑性物が好ましい。したがって、例えばFEP、PFA、THVのようなフッ素樹脂系熱可塑性樹脂が適切である。この態様によるバリアはバチーノ(Bacino)のWO94/13469に教示されている方法に従うことによって得られるFEP/ePTFEの積層体であってよい。バリアは、雌型のキャビティーモールド(空洞金型)で、軟化温度以上の処理温度、又はFEPフィルムの溶融温度よりもずっと上の処理温度で成形されてよい。
【0029】
述べられたePTFEとFEPとのコンポジットバリアは、驚くほど薄く、強力なバリアフィルムを成形することを可能とする。この実施形態では、ePTFE層は、薄いバリアフィルムを可能とする形状成形時に支持体として作用する。多孔質のePTFE層はまた、上記のように、熱可塑性樹脂層の補強材として作用して、フィルム強度とバリア層との一体性を維持し、ePTFEの一部分を多孔性のままに維持させて、ePTFEの一部分がモールド(金型)の内側に向けて配向されるとき、ePTFEの多孔質層はまた、結合層として機能する。
【0030】
例えば、圧縮成形を介して、エラストマーとコンポジットフィルムとのその後の組み合わせは、ePTFEの多孔質部分を多孔質構造中へのエラストマーの部分的な浸透によって付着させるようにすることができる。また、代替的には、ePTFE/FEPコンポジットバリアが、コンポジットフィルムに残存多孔質を残さない方法で完全に吸収されてるならば、コンポジットバリアフィルムは、エッチング又はプラズマによって化学的に修飾されるか、又は粗面化によって物理的に修飾されて、例えば、エラストマーへの結合を可能とする。別の態様では、ePTFE多孔質層は、ePTFEの複数層から構成されてもよく、それぞれの層は、様々な細孔サイズと構造とを有する。この複数層構造は、バリアポリマー又はエラストマーの吸収度合いを制御することを促進するか、又は他の所望の特性を可能とする。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態の中から1つの驚くべき要素は、延伸フルオロポリマー層の多孔性フィルムの部分が、エラストマーの熱成形と、事後的な射出成形又は圧縮成形を介して構造を維持することができるということである。このことは、バリアフィルムとエラストマー体との間の改良された結合は当然のこととして、改良されたコンプライアンスと改良された封印性とを含めた、上述した幾つかの利点を可能とする。
【0032】
別の実施形態では、コンポジットバリアは、例えば、PFAなどのフッ素樹の脂熱可塑性結合剤の薄層を用いて、高密度ePTFEバリア層にePTFEの多孔質層を積層することによって生産される。この実施形態において、本発明のシリンジストッパーは、例えば、熱可塑性物質が高密度のePTFEバリア層と多孔質ePTFE層とに結合するように、コンポジットバリアをエラストマー層と組み合わせることによって生産され得る。コンポジットバリアのePTFEの多孔質層は、成形プロセスの間にエラストマー、すなわちストッパー材に結合される。
【0033】
コンポジットフィルムは、複数層の多孔質延伸フルオロポリマーフィルムで開始して、実質的に1つ以上の多孔質層を高密度化をすることによって生産される。1つの態様では、多孔質層は、成形又はシリンジ挿入のプロセス中に圧力をかけることにより高密度化がされ得る。
【0034】
別の態様では、多孔質延伸フルオロポリマーフィルムが成形されて、その後、適用されてバリア層を作製する。1つの実施形態においては、このことは、比較的低温(200℃未満)で、金型中で変形をすることができる適切な変形特性のePTFEフィルムを選択することによって実行され得る。そのような適切なePTFEフィルムは、例えば、高い伸びを示す引張特性、又は変形温度における低弾性率を有する。ePTFEフィルムは、空気圧の使用、雄型のモールドフォーム(型枠)を含めた様々な手段、又は他の適切な手段を介して雌型のモールドキャビティー(型穴)中で成形され得る。そして、ePTFEからの成形を可能とする。1つの方法は、射出又は圧縮成形処理中にそのようなePTFEフィルムを成形することにある。このことは、ePTFEが、シリンジストッパーの最外層を含む構造を可能とする。細孔構造、厚さ、その他の特性は延伸フルオロポリマー層にエラストマーの制御された浸透を可能とするために適切に調整され得る。1つの実施形態では、エラストマーを、延伸フルオロポリマーフィルム中に浸透させて、外側の表面に、延伸フルオロポリマーフィルムとエラストマーのコンポジット構造を可能にする。外側の表面が適切に高密で、かつ、ノード性であれば、エラストマー自体に対して有意に軽減された摩擦を可能とする。好ましい実施形態は、雌型のePTFEフィルムを成形するための上記プロセスを使用して作製されたストッパーを利用し、その後、ePTFEの最外表面に、事後的にバリアを積層、吸収、又はコーティングをする。コーティング及び吸収処理において、ePTFEは、バリアの厚さを制御するために使用されてよい。
【0035】
複数の多孔質層若しくは複数のバリア層、又は両方ともから成るコンポジットバリアから、本発明の実施形態シリンジストッパーは構成される。そのように構成されたコンポジットバリアの特性は、薄フィルムの特性を通して最適なコンプライサンスを可能とするように適切に調整されて、バレルに対する表面の低摩擦と、浸出性、抽出性及びガス浸透性の充分なバリア特性とを提供する
【0036】
最外の多孔質でePTFEのシリンジストッパーを生産して、バリア層を作り出すことの別の手段は、圧力と温度でePTFEの密度を事後的に高めることである。
【0037】
本発明を逸脱しない範囲で利用することができる、本明細書で述べられている様々なバリエーションがあることを理解されたい。これらのバリエーションの一部は以下を含むが、これらに限定されることはない。
【0038】
本発明のシリンジストッパーで使われるePTFEフルオロポリマーのどれもが、PTFE、修飾PTFE、PTFEとTFEとの共重合体、例えば米国6,541,589と米国の特許公報2009/0093602に記載の樹脂に基づく延伸フルオロポリマーで生産され得る。
【0039】
フィルムを成形して、発明を逸脱しない範囲で利用される可能性がるエラストマー体に取り付ける多種多様な方法もある。上述されることに加えて、低温でePTFEフィルムを成形することができる。
【0040】
別の態様においては、本発明は改善された先端キャップをシリンジ(シリンジ)に用意する。先端キャップは、シリンジへの保護カバーとして提供される。したがって、先端キャップは、薬剤の汚染を防止するために、針の終わりまで封印を提供することができる。シリンジストッパーと同様に、濾過できて抜き取れるコンポーネントを最小にする先端キャップ構造が好ましい。さらに、先端キャップは、すぐに取り外し可能である必要がある。先端キャップと針の間の摩擦が滑らかであることが好ましい。したがって、本発明による先端キャップは、シリンジストッパーの構造と同様な構造であってよい。しかし、ストッパーと対照的に、バリア層が先端キャップに配置されて、最終的なアセンブリ上に針に近接した状態となる。先端キャップとストッパーとの間のチャレンジが同様なので、ストッパーに関して本明細書で述べられている構造の各々は先端キャップ構造建設で使用するために構成されてよい。
【0041】
ブレイキング(breaking)及びスライディングの摩擦テスト
以下の手順は、本発明の実施形態の静摩擦及び動摩擦を評価するのに用いられた。先端(先端部は針を付けていない。)に1/4インチの外径(OD)であって、1/8インチの内径(ID)であるシリコーンチューブを固定することによって、可変圧力ポンプ(Barnant Air Cadet− model 420-3901)に、テスト用の各々のシリンジを取り付けた。(先端に最も近い)運動方向の一番下方になるように、バリアフィルムを有するストッパーアセンブリをシリンジに配置した。各々のテストの始めに、シリンジストッパーが(先端から離れる方向で)動き始めるまで、2psiで始まって、30秒おきにおよそ1psiを増加させて、圧力をゆっくりと調節した。動き始める圧力は、Pブレーク(break)として記録した。動きが始まった後、未だ滑ることを可能とする最も低いレベルまで圧力を減らした。この圧力は、Pスライド(slide)として記録した。すべての圧力をPSI単位で記録した。テストは、スライディング特性に関する相対的なデータを提供した。
【0042】
空気漏れテスト
その後、上記で述べた同じ装置とセットアップを用いて空気漏れを評価した。シリンジストッパーを圧力ポンプに取り付けた。しかし、このテストでは、ストッパーをシリンジ内の一番上の位置(先端から最もほど遠い)に動かした。そして、脱イオン水で満たされた2リットルのガラスのビーカーに、シリンジアセンブリを配置した。圧力を、3psiにセットした。漏れが5分後に確認できなければ(視覚的に泡の成形が示されないこと)、圧力を1psiずつ増加させた。漏れることが起こること(又は、空気がシリンジストッパーをバレルから放出するのに充分な圧力である、およそ15-17psi)まで、この手順を各々のシリンジにおいて繰り返した。5分後に観察可能な漏れを起こすのに必要な最小限の圧力をpsiで記録した。このテストが、実施例1A、1B、1Cの空気漏れを評価するために使われた。
【0043】
実施例1-8と比較例に対して、I.S. EN ISO 7886-1 :1998 Annex Bによって示されるテストを実行することによって、空気漏れを評価した。ただし、以下の例外がある。すなわち、i)ブルドンチューブゲージが圧力計の代わりに使われ、そして、ii)フレッシュな沸騰水の代わりに脱イオン水が用いられた。
【0044】
静的及び動的な力のテスト
そのテストを、I.S. EN ISO 7886-1:1998 Annex Gによって特定されたように実行したが、以下の例外がある。i)ノズルが下を向くようにシリンジが取り付けられる。ii)空気のみを追い出して液を残す。iii)結果として得られた力は、目盛りが付いた総容量から、ポイントとして記録した20mmまでの運動距離を成形する。静的な力は、変位のグラフに対する力の最初の変曲点の値として定義される。動的な力は15mmの運動距離後の値である。
【0045】
トルエン曝露試験
このテストは、ストッパーのバリア特性を評価するために使用された。試験装置の概略図を図14に示す。ストッパーの初期質量をはかりを用いて測定した。ストッパー(160)ガラスシリンジのバレル(シリンダー)(注射筒)(162)に装填した。1mlのトルエン(166)をルアーポート(164)を介してバレルに導入した。ルアーポートを先端キャップを使用して封印した。装置全体を、室温で5時間、実験室の排気室に放置した。5時間後、トルエンをシリンジを用いてバレルから削除されました。ストッパーは、圧縮空気を使用してバレルから取り除かれた。ストッパーの取り外し時に、そのストッパーをすぐにキムワイプTMを用いて乾燥して、はかりを使用して秤量した。初期質量と比較して、ストッパーの質量増加が小さければ小さいほど、バリアとしての機能の効果があることになる。ストッパーの質量増加が1mg未満であれば、効果的なバリア性が示されたことになる。
【0046】
通気管の取り付け手順
図15は、(ISO11040-5で示されたように)1mLの標準的なストッパーと、プランジャー(172)とに対して用いられる通気管(170)を備えた試験装置の概略を示す。Groningerによる、SVH200 Semiautomatic Stoppering Machineの一部である通気管が、この手順で使用される。装置は、0.7メートル/秒の速度でプランジャーを移動させることができる自在の試験機に装填された。図15に示すように、ストッパー(174)は、通気管(170)の上部に置かれた。試験は、通気管を介してストッパーをプッシュするために0.7メートル/秒の速度でプランジャーを移動することによって開始された。ストッパーが通気管の全長を横断したときに、試験が完了した。
【0047】
引張、弾性率及び呼び歪み
0.25インチ×3インチのサンプルと、20インチ/分のクロスヘッド速度と、1インチゲージ長とを用いて、ATM D882-10に従って引張、弾性率及び呼び歪みを材料について評価をした。
【0048】
実施例1A、1B及び1C
バリアとして高密度のePTFEフィルムの単一層を使って、本発明の実施態様の例示が構成された。ケネディらの米国特許7,521,010に記述される方法によって、フィルムは得られた。そして、それぞれ、フィルムは、25ミクロン、10ミクロン及び5ミクロンの厚さを有した。シャフト付きの8つの一般に利用できる使い捨てのプラスチックシリンジバレルとストッパーを得た。4つは1mlのプラスチックシリンジであった。そして、もう一方の4つは3mlのプラスチックシリンジであった。各々は、ブチルラバーを含むエラストマーストッパーを含んだ。シリンジを、どんなシリコーンオイルでも除去するために、95%のヘキサンで完全に洗浄をした。洗浄されたシリンジバレルとストッパーを、ヘキサンの完全な蒸発を確実にするために排気室で5日間、乾燥をさせた。高密度ePTFEフィルムを取り出して、それをストッパーに適用することによって、シリンジストッパーを生産した。サンプルを、これらの厚みが異なるこれらのフィルムを使って生産をした。ノズルからおよそ6-8インチ離れたところに600℃でセットされた熱銃(Karl Leister, CH 6056− Hotwind S)で、まずフィルムを加熱した。その後、熱の存在下でストッパーの周りにフィルムを引き寄せた(それによって雄プラグ又は型としてストッパーを用いることができる。)。ストッパー形状を変形させることなく迅速に成形して、熱銃の熱がストッパーを変形することがないように、フィルムが充分に加熱されることに注意が注がれた。高密度ePTFEに包まれた4つのストッパーを、以降のテストのためにシリコーンのないプラスチックシリンジバレルに挿入をした。
【0049】
シリコーンオイル対照群(control)と比較された、各々の包まれたストッパーについて、ブレイキング(breaking)及びスライディング(sliding)摩擦テスト、並びに空気漏れテストによって測定された性能を、下記の表は示す。気密の封印を提供することに関して、高密度のePTFEの薄いフィルムが比較的厚いフィルムより良好な性能を示すことが理解される。これは、ひとつには、この方法でストッパーの輪郭の周りに不可避的なしわができたからである。
【0050】
【表1】
【実施例】
【0051】
実施例
本発明の他の実施形態は、バリア予備成形品を熱成形するプロセスを用い、そして、シリンジストッパーを構築する形態内でエラストマー材料を成形して構成された。
【0052】
実施例2
バリアを、厚さ1.7 - 1.8milの単一の高密度ePTFEフィルムから作られた。そして、ケネディらの米特許7,521,010の記述される方法によって、単一の高密度ePTFEフィルムは得られた。図2の中で表される型を使って、図1の中で表される熱成形装置にフィルム(104)を配置した。熱成形装置(100)は熱空気を用いてモールド(金型)(200)を熱した。そして、装置による圧力低下は材料を成形するために力を供給する。型は、異なる寸法を有する丸い空洞(202、a-d)を有する。0.380インチの1つ、0.372インチの1つ、0.365インチの1つ及び0.358の1つがある。空洞の一番下の部分は、0.079インチの半径で丸いコーナー(203)を有し、0.188インチの高さのサイドの直線状の壁205を有し、最も底の地点に幅0.201インチであって、2ミクロンの多孔質ステンレス鋼ディスク(204)を含む。
【0053】
室温で、5psiの圧力が印加された。モールド(金型)より上の熱電対(106)で測定されたように、385℃のセットポイントを用いて、熱空気システム(102)(Osram Sylvania 6000W、240V、25A)のヒーターを作動させた。一旦、モールドキャビティー(型穴)の下方で360℃の温度に達するならば、底部の熱電対(108)で測定されるように、システムは5分間その温度を保った。それから、熱空気システムの吸込み弁(110)を用いて、流入空気流を増やすことによって、圧力を増加させた。圧力は、5psiから13psiまでおよそ3psi/分の率で増やされた。13psiを上回って、圧力はおよそ1psi/分で、18psiまで増やされた。この圧力は、高密度ePTFEシートを形成するのに十分でした。サンプルは5分の間この圧力で保たれ、そして、ヒーターはモールド(金型)とフィルムとを冷却させて使用を停止した。サンプルを取り除く前に、底部の熱電対で測定されるように、モールド(金型)は50℃以下まで冷却させた。材料を形成するために気圧を加える技術は勿論のこと、材料と型を熱することにふさわしい技術であればどれでも十分である。例えばモールド(金型)を単に固定されてもよいし、圧力を供給するために、エアーラインを有する、オーブン又は加熱されたプレスに配置されてもよい。熱成形、ブラダー(袋)成形又真空成形として公知である別の方法も用いられてよい。
【0054】
バリアの内部をエラストマー溶液で覆うために、相当な量の溶媒が蒸発するように、サンプルの空洞をMEKのエラストマーの10質量%の溶液で満たして、乾くのに十分な時間を確保した。各々の空洞を1-1.5グラムのエラストマーで充填した(varox D8PHとDiak 7で倍加して、Eagle Elastomer Inc., Cuyahoga Falls, Ohio によってクラム(304)まで処理されるDuPont 製のViton GF-600S)。100℃まで予熱された両方のプラテン(300、302)を有するプレス中に、上述の熱成形された高密度ePTFEシートとモールド(金型)を装填した。図3に表されるように、10milアルミニウムシート(312)を、下部のプラテン(302)に配置した。Kaptonシート(308)とスチールの大網フィルムプレート(310)を、均一な圧力を提供するために、上部プレスプラテン(300)の下に配置した。サンプルは45分の間圧力をかけないで加熱して、そして、8000lbsの力で圧縮した。プラテンをゆっくりと閉じて、温度設定値(セットポイント)を以下のプレスサイクルで用いた。
【0055】
ステップ1:プラテンを閉じる。
ステップ2:100℃で10分間加熱。
ステップ3:120℃で5分間。
ステップ4:175℃で15分間。
ステップ5:30℃で1分間。
ステップ6:プラテンを開く。
【0056】
その後、試料を、カミソリの刃を使用して剥離シートから切り取り、アクリル系結合剤(3M Scotch-Weld Structural Adhesive DP-8005)を使用してストッパー棒に貼付し、シリコーンオイルがない、標準的な1ccのガラス製のシリンジバレル(シリンダー)内に注入して試験をした。
【0057】
実施例3
高密度ePTFEバリアを、より速い圧力傾斜率を用いて形作った以外は実施例2と同様な方法でサンプルを調製した。5psiから18psiまで、およそ3psi/分の圧力傾斜率を選択した以外は、実施例2の手順に従った。このランプ率は、出口空気弁(112)だけを閉じることによって得られた。この成形手順によって、乳白色の外観であるバリアフィルムを得た。そして、そのバリアフイルムは、形成方法の速度によって材料に誘発されるある程度の多孔性があったことを示した。
【0058】
それから、モールドキャビティー(型穴)は、をエラストマーで充填されて、実施例2で記述される方法によって、成形されて、シリンジストッパーに付けられた。ガラスのシリンジバレルへの挿入の後、サンプルをテストした。
【0059】
実施例4
実施例2で記述されたのと同様な方法でサンプルを調製したが、熱成形される前に、高密度ePTFEバリア材料の1つの表面に質感を持たせた。高密度ePTFE材料の一方を、粗いビー玉サンドブラスターを使って変形させた。サンドブラスターノズルを15psiにセットして、サンプルからおよそ9インチ離して、その距離を保った。そして、そのサンプルをボール紙バッカー(backer)に貼付した。サンドブラスターを、5回、サンプルの表面全体の上で動かした。この方法によって、フィルムの一方の面で有意である機械的な変形として現れて、見た目の表面の粗さを増幅させた。
【0060】
エラストマーに向けて配向するように、バリア材料は、上側が粗いモールド(金型)に配置された。それから、モールドキャビティー(型穴)はエラストマーで充填されて、実施例2で述べられた方法にしたがって、成形されてシリンジストッパーに付けられた。ガラスのシリンジバレルへの挿入の後、サンプルをテストした。
【0061】
実施例5
高密度ePTFEバリア材料が熱形成した後にプラズマ処理を受けた以外は実施例1と同様にサンプルを調製した。材料はモールド(金型)に残されて、He/H2の90/10の混合で、10分の露出時間でプラズマ真空チャンバに配置された。このサンプルをは、圧縮成形の前にはエラストマー溶液で塗フィルムしなかった。他は、実施例2の手順に従った。
【0062】
それから、モールドキャビティー(型穴)はエラストマーを充填されて、成形されて、シリンジストッパーに付けられた。
【0063】
実施例6
実施例2と同様な方法でサンプルを調製したが、ePTFE/PFAコンポジットフィルムをバリアとして用いた。バリアは、BacinoのWO94/13469の実施例2で記述されたのと同様な方法で得られた。結果として得られたバリアは、1つの表面側にPFAが在るePTFE材料である。後のPFAを熱形成することがモールド(金型)の内側に向けて配置するように、バリア材料をモールド(金型)に配置して、コンンポジットのPFA側を上方に向けた。ヒーターセットポイントが295℃であったことと、モールドキャビティー(型穴)のセットポイントがほぼ275℃であったこと以外は、成形方法は実施例2の方法に従った。その上、成形工程の圧力傾斜率は5から18psiまで、およそ11.5psi/分であった。コンポジット材料は、冷却する前に、およそ15秒の間18psiで保持された。サンプルがモールド(金型)から取り除かれた後、ePTFE層が内側に向くように、サンプルは逆にされた。
【0064】
実施例7
バリアがePTFE/高密度ePTFEコンポジットであったこと以外は、実施例2と同様な方法でサンプルを調製した。ドーランの米国特許第6,030,694号で明らかにされる方法によって、バリアを調製した。材料はモールド(金型)の中で配向されて、コンポジットのePTFE側が下方に向くようにした。ePTFE層が内側に向くように、熱成形後、成形されたサンプルを逆にした。この実施例では、使われたモールド(金型)は、実施例2と同様な径の同じモールドキャビティー(型穴)を有した(「A」= 0.380インチ、「B」= 0.372インチ、「C」= 0.365インチ、「D」= 0.358インチ。)。しかし、各々の空洞は0.252インチの高さのまっすぐな円筒状であり、空洞の底を作っているステンレス鋼の多孔質ディスクを有した。
【0065】
実施例8
もう一つの例示は、Bacinoで記述される手順を使用して得られるePTFE/FEPコンポジットを用いて構成された。この実施例では、熱形成するよりはむしろ、フィルムはモールドキャビティー(型穴)の上に置かれて、圧縮形成によって成形された。一つの空洞のモールド(金型)が用いられて、それは図4の中で表されたプロファイルを有した。モールド(金型)は、主には0.49インチの径を有した。バリア材料は、Bacinoの明細書で記述される手順を使用して得られた。
【0066】
実施例9
厚さが約0.5milであるFEP層(FEP100、DuPont)が高密度の延伸PTFEに積層された[厚み:1mil;引張強度:13.85ksi(縦方向)、13.9ksi(横方向);弾性率:19.8ksi(縦方向)、20.7ksi(横方向);呼び歪み:425%(縦方向)、425%(横)]。2つの層は、ピンフレームで互いの上部同士で積み重ねられて、15分間、オーブンで380℃まで熱せられた。多孔性延伸PTFE層[厚み:27.5マイクロメートル、マトリックス引張強度:66.8MPa(縦方向)、75.8MPa(横方向)、呼び歪み:131%(縦方向)、91%(横方向)、バブルポイント:22.6psi]を、多孔質延伸PTFE層が積層されてFEP層に向き合うように高密度ePTFE-FEPの積層体上に配置した。これらの3つの層を2つの滑らかな金属プレートの間に配置し、プレートを、約1psiの締め付け圧まで締めて固定をした。それから、プレートを15分の間305℃のオーブンに配置した。その後、結果として得られた3つの層のコンポジット材料(高密度ePTFE−FEP−多孔性ePTFE)を約40℃まで冷却した。
【0067】
このコンポジット材料を熱と真空とを使って熱成形して予備的成形品を作製した。コンポジットを十分に高い温度まで加熱して、それからコンポジットを異なる圧力を使って、雄プラグに引き寄せることによって予備的成形品を構成した。高密度ePTFE層がプラグに向くように、コンポジットを熱成形装置に装填をした。コンポジットの表面からおよそ5mm離れたところに銃を置くことによって空気出口温度を380℃にして、熱いエアガン(Steinel HG2310)を使って、コンポジットを加熱した。5秒後に、フィルムは-85kPaの真空状態に曝された。コンポジットをもう15秒の間加熱して、真空下でおよそ40℃まで冷却した。
【0068】
その後、結果として得られた予備的形成品サンプルを逆さまにして、それから、3.5グラムのエラストマー(50のデュロメーターハロブチルラバー)を充填したゴムのモールドキャビティー(型穴)に配置をし、そして、ストッパーを圧縮形成によって作製をした。ISO標準ISO11040-5:2001(E)を通じて、モールド(金型)を1mlの標準的なプランジャーのために定められた形状にした。
【0069】
120℃まで予熱された2つのプラテンを有するプレス機に空洞を装填した。55,500lb(およそ8700psiの全内圧)までプラテンを閉じた。プラテンをそれから5分の間180℃で加熱して、そして、40℃に圧力の下で冷却した。圧力を解放して、ストッパーを取り出した。ストッパーを洗剤を使用して洗浄し、脱イオン水で3回リンスした。それから、ストッパーサンプルを、かみそりの刃を使って、リリースシートから切り取られた。それらのサンプルは121℃で、オートクレーブ中で2つの30分の循環を受けた。ストッパーにおける静的な力と動的な力の測定値はそれぞれ2.5Nと2.1Nであった。トルエン露出テスト後のストッパーの質重増加は0mgであった。そして、このことはストッパーが効果的なバリアとして機能したことを示した。さらに、同じストッパーは通気チューブ配置テストを受けて、その後、トルエン露出テストを繰り返した。体重増加は、未だ0mgであり、ストッパーの優れたバリア機能を示した。ストッパーは空気漏れテストを利用して漏れに対するテストをした。そして、漏れは見つけられなかった。
【0070】
比較例A
市販のシリコン処理されたブチルストッパーを、1ccの単回投与ガラス製の充填済みシリンジのために用いた。
【0071】
【表2】
【背景技術】
【0001】
薬剤の運搬のために使われるシリンジ(シリンジ)は、主にバレル(シリンダー)とストッパーから構成される。ストッパーはシリンジバレル内でスライドしながら適合して、シリンジの作動と薬剤の運搬のために貼付されるストッパーロッドを有してよい。ストッパーは、一般的には、シリコーンオイルが塗られた状態のエラストマーから構成される。ストッパーとバレルとの間でスライドする摩擦を減らすためにシリコーンオイルが適用されて、それらの間の封印を改良する。充分な量を保証する量を投与することを管理する場合に、オイルは滑りやすさの効果を保証する。このことは、特に、ペン型シリンジ及び自動注入シリンジの場合に重要である。また、そのオイルは注入の部位で精神的外傷につながる可能性があるデバイスの故障を妨げるためにも重要である。シリコーンオイルによって提供される改善された封印も、確実にバクテリアのような外からの汚染物質がシリンジに入らないことを保証することができる。
【0002】
最近、薬剤を保存して運搬することを機能とする薬剤充填済みシリンジを支持する傾向が展開されている。そのような薬剤充填済みシリンジは製薬業界にコスト削減をもたらして、薬剤運搬の安全性、便宜性及び有効性を改良する可能性がある。バイオ医薬品は、薬剤充填済みシリンジとその関連した装置(ペン型シリンジ及び自動注入シリンジ等)の使用量を増加させる医薬の重要な分野である。そのようなバイオ医薬品は、インシュリン、ワクチン、抗体、血液製剤、ホルモン類、サイトカイン等を含んでよい。より多くの医薬と特にバイオ医薬品が薬剤充填済みシリンジ及び同様なデバイスの運搬を利用すればするほど、従来のシリンジ分野の技術の課題は明らかである。
【0003】
従来のシリンジ構造物の幾つかの態様は、薬剤充填済みとして使用するためには課題がある。シリコーンオイルの使用は懸念事項である。なぜならばそのオイルが薬剤の品質を低下させる可能性があるからであり、そして、少量のシリコーンが薬剤と共に注入される可能性があるからである。また、そのオイルは特定のタンパク質の凝集を引き起こすので、そのオイルはバイオ医薬品に関して特に懸念される。
【0004】
薬剤充填済みシリンジで起こる別の問題は、ストッパーのエラストマーが、浸出して抽出される汚染物質を含む可能性があるということである。また、これらはシリンジ内で長期間にわたって保存する際に薬剤を汚染する可能性がある。そしてストッパーからの残存するモノマー若しくは可塑剤又は他の不純物は治療の逆効果である可能性があるか、又は一旦注入された場合に、患者に逆影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬剤充填済みのシリンジデバイス及び同様なデバイス、並びにそれらの構成要素に影響を及ぼすと考えられる様々な別の事項としては、殺菌の必要性、運搬の安定性、数年間に及ぶ保存性、光学的透明性、既存の充填用装置に組み入れる必要性(ストッパークリーニング及びシリンジバレルへの挿入のための耐久性の要件含む。)、シリンジ中の全てのコンポーネントの漏出物及び抽出物、薬剤の充填から投与までの維持管理、並びに最後として、ユーザーの好み及び人間工学的配慮がある。選択を維持する必要のための輸送と保管による安定性とエルゴノミクス重要な点です。考慮すべき様々な事項に対して、薬剤充填済みシリンジの市場は、ガラスバレル及びプラスチックバレルの両方を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、バリアフイルムの予備成形品のほとんどのものを作るために用いられる熱成形装置の概略のイメージ図である。
【図2】図2は、上記の熱成形装置で用いられた4個の空洞取りのモールド(金型)を示す。
【図3】図3は、圧縮成形のためのプレス機中の積層材の代表図である。
【図4】図4は、実施例7でストッパーを作るために用いられた空洞の図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にしたがったシリンジ ストッパーの断面図を示す。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態にしたがったシリンジ ストッパーの断面図を示す。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態にしたがったシリンジ ストッパーの断面図を示す。
【図8】図8は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図9】図9は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図10】図10は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図11】図11は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図12】図12は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図13】図13は、本発明のプランジャーストッパーの実施形態の断面図を示す。
【図14】図14は、ストッパーのバリア性能を利用するための試験装置の概略図である。
【図15】図15は、通気管挿入試験に対するストッパーの耐久性を決定するための試験装置の概略図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態の断面図を示すSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明はシリンジ(シリンジ)ストッパーを提供し、そのシリンジストッパーはシリコーンオイル又は他の液状潤滑剤を必要としないでシリンジ内で使用するのに適する。本発明は、シリンジ内でエラストマーストッパー材料と薬との間の低摩擦バリアを提供する。そのバリアはエラストマー材料からの浸出から材料を遮断し、又はエラストマーによる薬剤由来の化合物の抽出から材料を遮断する。また、薄いバリア層を成形することを可能とし、エラストマーとの適切な結合を可能とする方法も述べられる。
【0008】
ある実施形態においては、本発明は、延伸フルオロポリマーフイルム、特には延伸ポリテトラフルオロエチレンフイルムを含むバリアフイルムを用いてよい。延伸PTFEに基づいたバリアフイルムは、漏出物及び抽出物に対して強いバリア性を有する層を提供する。延伸フルオロポリマー構造の優れた強度によって、これらの材料が薄いバリアを成形することを可能とし、その薄いバリアは生産や、シリンジ体にストッパーを挿入する際に損傷を受けないままでいることができる。
【0009】
例えば、ePTFEのような、少なくとも部分的に多孔性であって、好ましくは繊維化した材料をバリア材料と組み合わせて用いることは様々な利点を提供することができる。一つの態様において、そのような部分的に多孔性である材料を使用することは足場を提供することを可能とし、その足場によって薄くて強いバリア層を生産することを可能とし、エラストマーとバリアとの結合を改良する。バリアコンプライアンスは、ストッパーとバレル(シリンダー)との封印を維持するのに重要である。また、多孔性材料はストッパーの改良されたコンプライアンスを提供することができる。改良コンプライアンスは、軽減されたフイルム厚、曲げコンプライアンス又は多孔質材料の1つ以上の層の圧縮率から生じる。したがって、シリンジストッパーの外側まで、少なくとも部分的に多孔性であるバリアを提供することによって、ストッパーとシリンジバレル(シリンダー)は、滑り力を最小限にしながら改良され得る。
【0010】
バリアは単一層又は複数層の構造でよい。本明細書で述べられるように、層は機能的に述べられてよい。ところが、以下の実施態様の記載において、様々な層の機能的な名前は、任意の所定の層の潜在的な機能の全てを必ずしも述べていなくてよい。したがって、そのような機能的な命名は、層の特性を限定する意図ではないことを理解されたい。例えば、バリア層は追加的な特性や機能を有してよく、例えば、低摩擦表面を提供することや、結合強度を増大させたりすること等の特性や機能を有してよい。その上、複数層の実施態様では、各々の層が、バリア層又は他の層として識別されるかどうかにかかわらず、漏出物及び抽出物の軽減に寄与することができる。
【0011】
図5は、エラストマー本体部10とフルオロポリマーバリア20とから構成される本発明のシリンジストッパーの第1の実施形態を示す。エラストマー本体部10は、その用途に対して適する任意のエラストマーから構成されよく、特にはブチル、ブロモブチル, クロロブチル、シリコーン、ニトリル、スチレンブタジエン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンジエン、フルオロエラストマー又はそれらの任意の組み合わせのブレンド物から構成されるラバーでよい。バリア20の材料は、低摩擦係数、低コンプライアンス係数、少量の抽出物及び漏出物、及びエラストマー本体部からの抽出物及び漏出物に関して良好であるバリア特性を提供するために選択される。
【0012】
1つの実施形態において、バリア(20)は高密度ePTFEの単層を含むことができる。図8は、エラストマー体10及びバリア層30から成る本発明のシリンジストッパーを示している。エラストマー体はこれらの前述の材料のいずれかを含むことができる。この態様では、バリアフィルムは、高密度延伸フッ素樹脂を含むことができ、好ましくは高密度ePTFEを含むことができる。
【0013】
高密度ePTFEフィルムは、ケネディらの米国特許第7521,010に記載の方法で調製されてよく、その高密度ePTFEフィルムはエラストマーと組み合わされてシリンジストッパーを構成する。この実施形態では、高密度ePTFEフィルムは、予備的成形品(試作完成品)を作るために熱成形される。熱成形は、ノード溶融よりも充分に高い処理温度で実行されて溶融成形を維持してバリア性と強度特性を維持する。高強度延伸フィルムは非常に薄いバリアフィルムを成形することを可能とする。バリアフィルムは0.5ミクロンから20ミクロンまでの厚さで生産され得る。フィルムは、優先的には30ミクロン未満である。フィルムは、必要に応じて、化学エッチング、プラズマ処理、コロナ、粗面化等の事前又は事後処理をしてよく、エラストマー体への結合を改良する。
【0014】
熱成形された高密度化ePTFE予備的成形品は、射出成形、圧縮成形、プライミング、エラストマー予備的成形品の周りの事後的な積層、又は他の適当な手段によりエラストマー体と組み合わせることができる。エラストマー体を成形するために使用することができるエラストマーの例としては、シリコーン、ブチル、ニトリル、ポリウレタン、フルオロエラストマー、スチレンエチレンブタジエンスチレンエラストマー、スチレンブタジエンラバー等が挙げられる。
【0015】
別の実施形態では、バリア20は、バリア層30と多孔質層40とを有するコンポジットフルオロポリマーフィルムを含んでよい。バリア層30は、高密度であるePTFE、PTFE、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルフルオライド、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシポリマー等から構成され得る。多孔質層40は、ePTFE又は他の多孔性の延伸フルオロポリマー、好ましくは繊維化したフルオロポリマー(例えば、米国6541、589に教示されるようなePTFE)で構成され得る。ePTFE層は、好ましくは有機又は無機材料で充填されてよく、色潤滑性又は他の機能を提供することができる。
【0016】
別の実施形態では、バリアがコーティングで構成されているか、又は多孔質延伸層の上に展開されたバリアポリマーを堆積させることによって構成されて、コンポジットフィルムを作り出す。これについての1つのそのような例示は、コーティングプロセスにおける多孔質ePTFEの表面に、例えば粉末のPTFEのような、粒状又は粉末のフルオロポリマーを堆積することである。ePTFEの支持体は、バリアの生産、又は多孔質ePTFE支持体に堆積層を結合させるために、堆積フルオロポリマーの熱処理を可能にするためには十分な熱的に安定であるように構成される必要がある。
【0017】
ある実施形態において、エラストマー材料は、好ましくはバリアの多孔質構造に浸透する。図6は、シリンジバレル壁50、バリアフィルム30、多孔質層40、及びエラストマー体10を示す、実施形態にしたがったストッパーの断面を示す。具体的には、この図は、多孔質構造40にエラストマー材料の部分的な浸透41を示す。多孔質構造にエラストマー材料が浸透することは、エラストマーとバリアとの間の結合を改善する。
【0018】
図7は、シリンジバレル壁50、バリア20及びエラストマー体10を含む本発明に係るシリンジストッパーの別の実施形態の断面図を示す。バリアは、バリア層32及び多孔質層31から構成される。この実施形態では、バリア層は、多孔質層31上に堆積される被覆物を含む。バリア層は、多孔質層のコンポジットセクション99を作り出す方法で、多孔質層31に少なくとも部分的に吸収されたポリマーを含むことができる。この多孔質層のコンポジットセクション99は、多孔質層へのバリアポリマーの結合を改善することができる。また、多孔質のコンポジットセクションは、バリアポリマーのための支持体を提供することが可能であり、成形プロセス及び用途の両方において有益である、強度、靭性、コンプライアンス及び安定性を付与する。
【0019】
ある態様において、バリア層32は、多孔質層の特定のセクションを表面で曝露されることを可能とする方法で適用される吸収バリアポリマーを含んでよい。この態様では、多孔質層が十分に曝露されて、曝露されたセクションをシリンジ(シリンジ)壁50に接触させる。この態様では、多孔質ポリマーは、好ましくは、ePTFE、又は他の適切な滑らかな、拡延伸された多孔質フルオロポリマーから構成される。フルオロポリマーの曝露されたセクションは、壁に対するバリアフィルムの摩擦係数を軽減する。
【0020】
様々な本発明の実施形態において、多孔質層は、ストッパーの、バリア層表面とエラストマーとの間に配置される。図9〜13において示されるように、本発明のストッパーにおいて、エラストマー材料又はバリアポリマーの多孔質材料への浸透度が様々な程度を示すことが好ましい。図9は、エラストマー層(10)と、フルオロポリマーバリア層(30)及び多孔質ePTFE層(40)を含むコンポジット層とを有するストッパーの断面図である。この実施形態では、層(10)によるエラストマー材料(10)が、実質的にePTFE層(40)の孔を塞ぐ。
【0021】
代替的には、バリアポリマー(30)が、実質的に図11に示すように多孔質構造(40)を充填する。別の態様では、多孔質材料(40)は、バリアポリマー(30)とエラストマー(10)で実質的に同程度に充填され、図10に示されるように、多孔質構造に開放した孔を少ししか残さない。更なる別の態様において、図12に示すように、バリアポリマー及びエラストマーの両方が部分的に多孔質構造を塞いで、一方では、それらの間にいくつかの開孔を残す。エラストマー及び/又はバリアフルオロポリマーの浸透の他のバリエーションは、図13に示すように非常に明白な変形態様である。例えば、摩擦の低減、改善されたバリア性、及び改良された封印のように、完成したデバイスの様々な望ましい特性に配慮すると、特定の用途に応じて利点を有する。バリアポリマー又はエラストマーのいずれかの浸透の度合いは、公知の任意の手段によって制御されるが、時間の変化、温度の変化、圧力の変化、多孔質材料の多孔度の変化を含む。ある態様において、多孔質材料は、例えば、深さによって変化する多孔度を有する。
【0022】
さらに別の実施形態において、バリアは、バリア層フィルムに結合する高密度ePTFEフィルムと多孔質ePTFEの薄層とのコンポジットを含むことができる。ケネディらによる米国特許第7521、010で説明したように高密度ePTFEフィルムを得ることができる。ePTFE/高密度ePTFEのコンポジットは、ドランらによる米国特許第6030694に記載の方法で組み合わせることができる。
【0023】
この実施形態では、コンポジットバリアは高密度ePTFEフィルムの層と、多孔質ePTFE層とを含む。多孔質ePTFE層は、熱成形を通して大部分の多孔質を保持するような方法で構成される。また、それは、コンプライアントが充分であるので、シリンジバレル壁に対する封印性を改良する。これを達成するために、多孔質層の少なくとも一部分は、熱成形した後及び、事後的にエラストマーで圧縮成形をした後に十分に開放されている必要がある。この開孔度は、表面に対するストッパーの適合性及び封印性に役立つ可能性がある、ある程度の圧縮を可能とする。
【0024】
高密度ePTFEフィルムの厚みは、100ミクロン未満のプレ熱成形体の厚みを用いた適用に適切に合わせて調整されるが、好ましくはプレ熱成形体の厚みは50ミクロン未満であり、より好ましくは30ミクロン未満である。さらに、コンポジットフィルムの曲げ剛性は、この適用のための十分な強度を保持しながら、コンプライアンスや封印性を保証するために調整されることが必要である。
【0025】
ePTFE多孔質層は150ミクロン未満の厚みであることが好ましい。結合層としての性能を向上させるためには、ePTFE多孔質層は充分に開放されている必要があり、その結果として、エラストマー成形時に、多孔質への少なくとも部分的なエラストマーの浸透を可能とする(すなわち、ノード又はフィブリルの表面上にフィブリル化した構造を可能とする。)。
【0026】
バリア予備的成形品を構築するために、コンポジットバリアは、高密度フィルムを雌型空洞のストッパーモールド(金型)の形状まで成形させるのに適した温度、速度と及び圧力で熱成形されてよい。高密度ePTFEのバリア層がモールド(金型)の外側の壁に向かって配向されながら、より多くのePTFE層が、モールドキャビティー(型穴)の内側に向かって配向されてよい。熱成形は、ePTFEベースのフィルムを成形するのに適切である範囲の温度で実行されて、高密度ePTFEのバリア層によって提供されるバリアを破砕をすることはなく、或いはあるいは阻害することはない。適切な温度は330〜400℃の範囲であり、より好ましくは350〜380であり、バリア層を破砕、または実質的に多孔質層が崩壊することなく成形するために適切な圧力で実行される。
【0027】
熱成形バリア予備的成形品は、例えば、ブチルラバー、シリコーン又はバイトンTMのようなエラストマーを射出成形又は圧縮成形をすることによって、本発明のエラストマーシリンジストッパーに一体化され得る。有利なこととしては、多孔質ePTFE層をエラストマーの射出又は圧縮成形プロセスまで安定化させて、それによって、ある程度の多孔質構造を維持する。多孔質構造は、バリアに対するエラストマーの結合を改良する。多孔質層が優れた、低力の封印シーリングのためのある程度の圧縮が可能であるので、このことは、封印のためのコンプライアンスの改良につながる。
【0028】
さらに別の実施形態では、バリアは、多孔質ePTFE層と熱可塑性樹脂のバリア層とを含む、薄い高密度なコンポジットを成形することによって生産される。この態様では、低摩擦係数の表面を有する熱可塑性物が好ましい。したがって、例えばFEP、PFA、THVのようなフッ素樹脂系熱可塑性樹脂が適切である。この態様によるバリアはバチーノ(Bacino)のWO94/13469に教示されている方法に従うことによって得られるFEP/ePTFEの積層体であってよい。バリアは、雌型のキャビティーモールド(空洞金型)で、軟化温度以上の処理温度、又はFEPフィルムの溶融温度よりもずっと上の処理温度で成形されてよい。
【0029】
述べられたePTFEとFEPとのコンポジットバリアは、驚くほど薄く、強力なバリアフィルムを成形することを可能とする。この実施形態では、ePTFE層は、薄いバリアフィルムを可能とする形状成形時に支持体として作用する。多孔質のePTFE層はまた、上記のように、熱可塑性樹脂層の補強材として作用して、フィルム強度とバリア層との一体性を維持し、ePTFEの一部分を多孔性のままに維持させて、ePTFEの一部分がモールド(金型)の内側に向けて配向されるとき、ePTFEの多孔質層はまた、結合層として機能する。
【0030】
例えば、圧縮成形を介して、エラストマーとコンポジットフィルムとのその後の組み合わせは、ePTFEの多孔質部分を多孔質構造中へのエラストマーの部分的な浸透によって付着させるようにすることができる。また、代替的には、ePTFE/FEPコンポジットバリアが、コンポジットフィルムに残存多孔質を残さない方法で完全に吸収されてるならば、コンポジットバリアフィルムは、エッチング又はプラズマによって化学的に修飾されるか、又は粗面化によって物理的に修飾されて、例えば、エラストマーへの結合を可能とする。別の態様では、ePTFE多孔質層は、ePTFEの複数層から構成されてもよく、それぞれの層は、様々な細孔サイズと構造とを有する。この複数層構造は、バリアポリマー又はエラストマーの吸収度合いを制御することを促進するか、又は他の所望の特性を可能とする。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態の中から1つの驚くべき要素は、延伸フルオロポリマー層の多孔性フィルムの部分が、エラストマーの熱成形と、事後的な射出成形又は圧縮成形を介して構造を維持することができるということである。このことは、バリアフィルムとエラストマー体との間の改良された結合は当然のこととして、改良されたコンプライアンスと改良された封印性とを含めた、上述した幾つかの利点を可能とする。
【0032】
別の実施形態では、コンポジットバリアは、例えば、PFAなどのフッ素樹の脂熱可塑性結合剤の薄層を用いて、高密度ePTFEバリア層にePTFEの多孔質層を積層することによって生産される。この実施形態において、本発明のシリンジストッパーは、例えば、熱可塑性物質が高密度のePTFEバリア層と多孔質ePTFE層とに結合するように、コンポジットバリアをエラストマー層と組み合わせることによって生産され得る。コンポジットバリアのePTFEの多孔質層は、成形プロセスの間にエラストマー、すなわちストッパー材に結合される。
【0033】
コンポジットフィルムは、複数層の多孔質延伸フルオロポリマーフィルムで開始して、実質的に1つ以上の多孔質層を高密度化をすることによって生産される。1つの態様では、多孔質層は、成形又はシリンジ挿入のプロセス中に圧力をかけることにより高密度化がされ得る。
【0034】
別の態様では、多孔質延伸フルオロポリマーフィルムが成形されて、その後、適用されてバリア層を作製する。1つの実施形態においては、このことは、比較的低温(200℃未満)で、金型中で変形をすることができる適切な変形特性のePTFEフィルムを選択することによって実行され得る。そのような適切なePTFEフィルムは、例えば、高い伸びを示す引張特性、又は変形温度における低弾性率を有する。ePTFEフィルムは、空気圧の使用、雄型のモールドフォーム(型枠)を含めた様々な手段、又は他の適切な手段を介して雌型のモールドキャビティー(型穴)中で成形され得る。そして、ePTFEからの成形を可能とする。1つの方法は、射出又は圧縮成形処理中にそのようなePTFEフィルムを成形することにある。このことは、ePTFEが、シリンジストッパーの最外層を含む構造を可能とする。細孔構造、厚さ、その他の特性は延伸フルオロポリマー層にエラストマーの制御された浸透を可能とするために適切に調整され得る。1つの実施形態では、エラストマーを、延伸フルオロポリマーフィルム中に浸透させて、外側の表面に、延伸フルオロポリマーフィルムとエラストマーのコンポジット構造を可能にする。外側の表面が適切に高密で、かつ、ノード性であれば、エラストマー自体に対して有意に軽減された摩擦を可能とする。好ましい実施形態は、雌型のePTFEフィルムを成形するための上記プロセスを使用して作製されたストッパーを利用し、その後、ePTFEの最外表面に、事後的にバリアを積層、吸収、又はコーティングをする。コーティング及び吸収処理において、ePTFEは、バリアの厚さを制御するために使用されてよい。
【0035】
複数の多孔質層若しくは複数のバリア層、又は両方ともから成るコンポジットバリアから、本発明の実施形態シリンジストッパーは構成される。そのように構成されたコンポジットバリアの特性は、薄フィルムの特性を通して最適なコンプライサンスを可能とするように適切に調整されて、バレルに対する表面の低摩擦と、浸出性、抽出性及びガス浸透性の充分なバリア特性とを提供する
【0036】
最外の多孔質でePTFEのシリンジストッパーを生産して、バリア層を作り出すことの別の手段は、圧力と温度でePTFEの密度を事後的に高めることである。
【0037】
本発明を逸脱しない範囲で利用することができる、本明細書で述べられている様々なバリエーションがあることを理解されたい。これらのバリエーションの一部は以下を含むが、これらに限定されることはない。
【0038】
本発明のシリンジストッパーで使われるePTFEフルオロポリマーのどれもが、PTFE、修飾PTFE、PTFEとTFEとの共重合体、例えば米国6,541,589と米国の特許公報2009/0093602に記載の樹脂に基づく延伸フルオロポリマーで生産され得る。
【0039】
フィルムを成形して、発明を逸脱しない範囲で利用される可能性がるエラストマー体に取り付ける多種多様な方法もある。上述されることに加えて、低温でePTFEフィルムを成形することができる。
【0040】
別の態様においては、本発明は改善された先端キャップをシリンジ(シリンジ)に用意する。先端キャップは、シリンジへの保護カバーとして提供される。したがって、先端キャップは、薬剤の汚染を防止するために、針の終わりまで封印を提供することができる。シリンジストッパーと同様に、濾過できて抜き取れるコンポーネントを最小にする先端キャップ構造が好ましい。さらに、先端キャップは、すぐに取り外し可能である必要がある。先端キャップと針の間の摩擦が滑らかであることが好ましい。したがって、本発明による先端キャップは、シリンジストッパーの構造と同様な構造であってよい。しかし、ストッパーと対照的に、バリア層が先端キャップに配置されて、最終的なアセンブリ上に針に近接した状態となる。先端キャップとストッパーとの間のチャレンジが同様なので、ストッパーに関して本明細書で述べられている構造の各々は先端キャップ構造建設で使用するために構成されてよい。
【0041】
ブレイキング(breaking)及びスライディングの摩擦テスト
以下の手順は、本発明の実施形態の静摩擦及び動摩擦を評価するのに用いられた。先端(先端部は針を付けていない。)に1/4インチの外径(OD)であって、1/8インチの内径(ID)であるシリコーンチューブを固定することによって、可変圧力ポンプ(Barnant Air Cadet− model 420-3901)に、テスト用の各々のシリンジを取り付けた。(先端に最も近い)運動方向の一番下方になるように、バリアフィルムを有するストッパーアセンブリをシリンジに配置した。各々のテストの始めに、シリンジストッパーが(先端から離れる方向で)動き始めるまで、2psiで始まって、30秒おきにおよそ1psiを増加させて、圧力をゆっくりと調節した。動き始める圧力は、Pブレーク(break)として記録した。動きが始まった後、未だ滑ることを可能とする最も低いレベルまで圧力を減らした。この圧力は、Pスライド(slide)として記録した。すべての圧力をPSI単位で記録した。テストは、スライディング特性に関する相対的なデータを提供した。
【0042】
空気漏れテスト
その後、上記で述べた同じ装置とセットアップを用いて空気漏れを評価した。シリンジストッパーを圧力ポンプに取り付けた。しかし、このテストでは、ストッパーをシリンジ内の一番上の位置(先端から最もほど遠い)に動かした。そして、脱イオン水で満たされた2リットルのガラスのビーカーに、シリンジアセンブリを配置した。圧力を、3psiにセットした。漏れが5分後に確認できなければ(視覚的に泡の成形が示されないこと)、圧力を1psiずつ増加させた。漏れることが起こること(又は、空気がシリンジストッパーをバレルから放出するのに充分な圧力である、およそ15-17psi)まで、この手順を各々のシリンジにおいて繰り返した。5分後に観察可能な漏れを起こすのに必要な最小限の圧力をpsiで記録した。このテストが、実施例1A、1B、1Cの空気漏れを評価するために使われた。
【0043】
実施例1-8と比較例に対して、I.S. EN ISO 7886-1 :1998 Annex Bによって示されるテストを実行することによって、空気漏れを評価した。ただし、以下の例外がある。すなわち、i)ブルドンチューブゲージが圧力計の代わりに使われ、そして、ii)フレッシュな沸騰水の代わりに脱イオン水が用いられた。
【0044】
静的及び動的な力のテスト
そのテストを、I.S. EN ISO 7886-1:1998 Annex Gによって特定されたように実行したが、以下の例外がある。i)ノズルが下を向くようにシリンジが取り付けられる。ii)空気のみを追い出して液を残す。iii)結果として得られた力は、目盛りが付いた総容量から、ポイントとして記録した20mmまでの運動距離を成形する。静的な力は、変位のグラフに対する力の最初の変曲点の値として定義される。動的な力は15mmの運動距離後の値である。
【0045】
トルエン曝露試験
このテストは、ストッパーのバリア特性を評価するために使用された。試験装置の概略図を図14に示す。ストッパーの初期質量をはかりを用いて測定した。ストッパー(160)ガラスシリンジのバレル(シリンダー)(注射筒)(162)に装填した。1mlのトルエン(166)をルアーポート(164)を介してバレルに導入した。ルアーポートを先端キャップを使用して封印した。装置全体を、室温で5時間、実験室の排気室に放置した。5時間後、トルエンをシリンジを用いてバレルから削除されました。ストッパーは、圧縮空気を使用してバレルから取り除かれた。ストッパーの取り外し時に、そのストッパーをすぐにキムワイプTMを用いて乾燥して、はかりを使用して秤量した。初期質量と比較して、ストッパーの質量増加が小さければ小さいほど、バリアとしての機能の効果があることになる。ストッパーの質量増加が1mg未満であれば、効果的なバリア性が示されたことになる。
【0046】
通気管の取り付け手順
図15は、(ISO11040-5で示されたように)1mLの標準的なストッパーと、プランジャー(172)とに対して用いられる通気管(170)を備えた試験装置の概略を示す。Groningerによる、SVH200 Semiautomatic Stoppering Machineの一部である通気管が、この手順で使用される。装置は、0.7メートル/秒の速度でプランジャーを移動させることができる自在の試験機に装填された。図15に示すように、ストッパー(174)は、通気管(170)の上部に置かれた。試験は、通気管を介してストッパーをプッシュするために0.7メートル/秒の速度でプランジャーを移動することによって開始された。ストッパーが通気管の全長を横断したときに、試験が完了した。
【0047】
引張、弾性率及び呼び歪み
0.25インチ×3インチのサンプルと、20インチ/分のクロスヘッド速度と、1インチゲージ長とを用いて、ATM D882-10に従って引張、弾性率及び呼び歪みを材料について評価をした。
【0048】
実施例1A、1B及び1C
バリアとして高密度のePTFEフィルムの単一層を使って、本発明の実施態様の例示が構成された。ケネディらの米国特許7,521,010に記述される方法によって、フィルムは得られた。そして、それぞれ、フィルムは、25ミクロン、10ミクロン及び5ミクロンの厚さを有した。シャフト付きの8つの一般に利用できる使い捨てのプラスチックシリンジバレルとストッパーを得た。4つは1mlのプラスチックシリンジであった。そして、もう一方の4つは3mlのプラスチックシリンジであった。各々は、ブチルラバーを含むエラストマーストッパーを含んだ。シリンジを、どんなシリコーンオイルでも除去するために、95%のヘキサンで完全に洗浄をした。洗浄されたシリンジバレルとストッパーを、ヘキサンの完全な蒸発を確実にするために排気室で5日間、乾燥をさせた。高密度ePTFEフィルムを取り出して、それをストッパーに適用することによって、シリンジストッパーを生産した。サンプルを、これらの厚みが異なるこれらのフィルムを使って生産をした。ノズルからおよそ6-8インチ離れたところに600℃でセットされた熱銃(Karl Leister, CH 6056− Hotwind S)で、まずフィルムを加熱した。その後、熱の存在下でストッパーの周りにフィルムを引き寄せた(それによって雄プラグ又は型としてストッパーを用いることができる。)。ストッパー形状を変形させることなく迅速に成形して、熱銃の熱がストッパーを変形することがないように、フィルムが充分に加熱されることに注意が注がれた。高密度ePTFEに包まれた4つのストッパーを、以降のテストのためにシリコーンのないプラスチックシリンジバレルに挿入をした。
【0049】
シリコーンオイル対照群(control)と比較された、各々の包まれたストッパーについて、ブレイキング(breaking)及びスライディング(sliding)摩擦テスト、並びに空気漏れテストによって測定された性能を、下記の表は示す。気密の封印を提供することに関して、高密度のePTFEの薄いフィルムが比較的厚いフィルムより良好な性能を示すことが理解される。これは、ひとつには、この方法でストッパーの輪郭の周りに不可避的なしわができたからである。
【0050】
【表1】
【実施例】
【0051】
実施例
本発明の他の実施形態は、バリア予備成形品を熱成形するプロセスを用い、そして、シリンジストッパーを構築する形態内でエラストマー材料を成形して構成された。
【0052】
実施例2
バリアを、厚さ1.7 - 1.8milの単一の高密度ePTFEフィルムから作られた。そして、ケネディらの米特許7,521,010の記述される方法によって、単一の高密度ePTFEフィルムは得られた。図2の中で表される型を使って、図1の中で表される熱成形装置にフィルム(104)を配置した。熱成形装置(100)は熱空気を用いてモールド(金型)(200)を熱した。そして、装置による圧力低下は材料を成形するために力を供給する。型は、異なる寸法を有する丸い空洞(202、a-d)を有する。0.380インチの1つ、0.372インチの1つ、0.365インチの1つ及び0.358の1つがある。空洞の一番下の部分は、0.079インチの半径で丸いコーナー(203)を有し、0.188インチの高さのサイドの直線状の壁205を有し、最も底の地点に幅0.201インチであって、2ミクロンの多孔質ステンレス鋼ディスク(204)を含む。
【0053】
室温で、5psiの圧力が印加された。モールド(金型)より上の熱電対(106)で測定されたように、385℃のセットポイントを用いて、熱空気システム(102)(Osram Sylvania 6000W、240V、25A)のヒーターを作動させた。一旦、モールドキャビティー(型穴)の下方で360℃の温度に達するならば、底部の熱電対(108)で測定されるように、システムは5分間その温度を保った。それから、熱空気システムの吸込み弁(110)を用いて、流入空気流を増やすことによって、圧力を増加させた。圧力は、5psiから13psiまでおよそ3psi/分の率で増やされた。13psiを上回って、圧力はおよそ1psi/分で、18psiまで増やされた。この圧力は、高密度ePTFEシートを形成するのに十分でした。サンプルは5分の間この圧力で保たれ、そして、ヒーターはモールド(金型)とフィルムとを冷却させて使用を停止した。サンプルを取り除く前に、底部の熱電対で測定されるように、モールド(金型)は50℃以下まで冷却させた。材料を形成するために気圧を加える技術は勿論のこと、材料と型を熱することにふさわしい技術であればどれでも十分である。例えばモールド(金型)を単に固定されてもよいし、圧力を供給するために、エアーラインを有する、オーブン又は加熱されたプレスに配置されてもよい。熱成形、ブラダー(袋)成形又真空成形として公知である別の方法も用いられてよい。
【0054】
バリアの内部をエラストマー溶液で覆うために、相当な量の溶媒が蒸発するように、サンプルの空洞をMEKのエラストマーの10質量%の溶液で満たして、乾くのに十分な時間を確保した。各々の空洞を1-1.5グラムのエラストマーで充填した(varox D8PHとDiak 7で倍加して、Eagle Elastomer Inc., Cuyahoga Falls, Ohio によってクラム(304)まで処理されるDuPont 製のViton GF-600S)。100℃まで予熱された両方のプラテン(300、302)を有するプレス中に、上述の熱成形された高密度ePTFEシートとモールド(金型)を装填した。図3に表されるように、10milアルミニウムシート(312)を、下部のプラテン(302)に配置した。Kaptonシート(308)とスチールの大網フィルムプレート(310)を、均一な圧力を提供するために、上部プレスプラテン(300)の下に配置した。サンプルは45分の間圧力をかけないで加熱して、そして、8000lbsの力で圧縮した。プラテンをゆっくりと閉じて、温度設定値(セットポイント)を以下のプレスサイクルで用いた。
【0055】
ステップ1:プラテンを閉じる。
ステップ2:100℃で10分間加熱。
ステップ3:120℃で5分間。
ステップ4:175℃で15分間。
ステップ5:30℃で1分間。
ステップ6:プラテンを開く。
【0056】
その後、試料を、カミソリの刃を使用して剥離シートから切り取り、アクリル系結合剤(3M Scotch-Weld Structural Adhesive DP-8005)を使用してストッパー棒に貼付し、シリコーンオイルがない、標準的な1ccのガラス製のシリンジバレル(シリンダー)内に注入して試験をした。
【0057】
実施例3
高密度ePTFEバリアを、より速い圧力傾斜率を用いて形作った以外は実施例2と同様な方法でサンプルを調製した。5psiから18psiまで、およそ3psi/分の圧力傾斜率を選択した以外は、実施例2の手順に従った。このランプ率は、出口空気弁(112)だけを閉じることによって得られた。この成形手順によって、乳白色の外観であるバリアフィルムを得た。そして、そのバリアフイルムは、形成方法の速度によって材料に誘発されるある程度の多孔性があったことを示した。
【0058】
それから、モールドキャビティー(型穴)は、をエラストマーで充填されて、実施例2で記述される方法によって、成形されて、シリンジストッパーに付けられた。ガラスのシリンジバレルへの挿入の後、サンプルをテストした。
【0059】
実施例4
実施例2で記述されたのと同様な方法でサンプルを調製したが、熱成形される前に、高密度ePTFEバリア材料の1つの表面に質感を持たせた。高密度ePTFE材料の一方を、粗いビー玉サンドブラスターを使って変形させた。サンドブラスターノズルを15psiにセットして、サンプルからおよそ9インチ離して、その距離を保った。そして、そのサンプルをボール紙バッカー(backer)に貼付した。サンドブラスターを、5回、サンプルの表面全体の上で動かした。この方法によって、フィルムの一方の面で有意である機械的な変形として現れて、見た目の表面の粗さを増幅させた。
【0060】
エラストマーに向けて配向するように、バリア材料は、上側が粗いモールド(金型)に配置された。それから、モールドキャビティー(型穴)はエラストマーで充填されて、実施例2で述べられた方法にしたがって、成形されてシリンジストッパーに付けられた。ガラスのシリンジバレルへの挿入の後、サンプルをテストした。
【0061】
実施例5
高密度ePTFEバリア材料が熱形成した後にプラズマ処理を受けた以外は実施例1と同様にサンプルを調製した。材料はモールド(金型)に残されて、He/H2の90/10の混合で、10分の露出時間でプラズマ真空チャンバに配置された。このサンプルをは、圧縮成形の前にはエラストマー溶液で塗フィルムしなかった。他は、実施例2の手順に従った。
【0062】
それから、モールドキャビティー(型穴)はエラストマーを充填されて、成形されて、シリンジストッパーに付けられた。
【0063】
実施例6
実施例2と同様な方法でサンプルを調製したが、ePTFE/PFAコンポジットフィルムをバリアとして用いた。バリアは、BacinoのWO94/13469の実施例2で記述されたのと同様な方法で得られた。結果として得られたバリアは、1つの表面側にPFAが在るePTFE材料である。後のPFAを熱形成することがモールド(金型)の内側に向けて配置するように、バリア材料をモールド(金型)に配置して、コンンポジットのPFA側を上方に向けた。ヒーターセットポイントが295℃であったことと、モールドキャビティー(型穴)のセットポイントがほぼ275℃であったこと以外は、成形方法は実施例2の方法に従った。その上、成形工程の圧力傾斜率は5から18psiまで、およそ11.5psi/分であった。コンポジット材料は、冷却する前に、およそ15秒の間18psiで保持された。サンプルがモールド(金型)から取り除かれた後、ePTFE層が内側に向くように、サンプルは逆にされた。
【0064】
実施例7
バリアがePTFE/高密度ePTFEコンポジットであったこと以外は、実施例2と同様な方法でサンプルを調製した。ドーランの米国特許第6,030,694号で明らかにされる方法によって、バリアを調製した。材料はモールド(金型)の中で配向されて、コンポジットのePTFE側が下方に向くようにした。ePTFE層が内側に向くように、熱成形後、成形されたサンプルを逆にした。この実施例では、使われたモールド(金型)は、実施例2と同様な径の同じモールドキャビティー(型穴)を有した(「A」= 0.380インチ、「B」= 0.372インチ、「C」= 0.365インチ、「D」= 0.358インチ。)。しかし、各々の空洞は0.252インチの高さのまっすぐな円筒状であり、空洞の底を作っているステンレス鋼の多孔質ディスクを有した。
【0065】
実施例8
もう一つの例示は、Bacinoで記述される手順を使用して得られるePTFE/FEPコンポジットを用いて構成された。この実施例では、熱形成するよりはむしろ、フィルムはモールドキャビティー(型穴)の上に置かれて、圧縮形成によって成形された。一つの空洞のモールド(金型)が用いられて、それは図4の中で表されたプロファイルを有した。モールド(金型)は、主には0.49インチの径を有した。バリア材料は、Bacinoの明細書で記述される手順を使用して得られた。
【0066】
実施例9
厚さが約0.5milであるFEP層(FEP100、DuPont)が高密度の延伸PTFEに積層された[厚み:1mil;引張強度:13.85ksi(縦方向)、13.9ksi(横方向);弾性率:19.8ksi(縦方向)、20.7ksi(横方向);呼び歪み:425%(縦方向)、425%(横)]。2つの層は、ピンフレームで互いの上部同士で積み重ねられて、15分間、オーブンで380℃まで熱せられた。多孔性延伸PTFE層[厚み:27.5マイクロメートル、マトリックス引張強度:66.8MPa(縦方向)、75.8MPa(横方向)、呼び歪み:131%(縦方向)、91%(横方向)、バブルポイント:22.6psi]を、多孔質延伸PTFE層が積層されてFEP層に向き合うように高密度ePTFE-FEPの積層体上に配置した。これらの3つの層を2つの滑らかな金属プレートの間に配置し、プレートを、約1psiの締め付け圧まで締めて固定をした。それから、プレートを15分の間305℃のオーブンに配置した。その後、結果として得られた3つの層のコンポジット材料(高密度ePTFE−FEP−多孔性ePTFE)を約40℃まで冷却した。
【0067】
このコンポジット材料を熱と真空とを使って熱成形して予備的成形品を作製した。コンポジットを十分に高い温度まで加熱して、それからコンポジットを異なる圧力を使って、雄プラグに引き寄せることによって予備的成形品を構成した。高密度ePTFE層がプラグに向くように、コンポジットを熱成形装置に装填をした。コンポジットの表面からおよそ5mm離れたところに銃を置くことによって空気出口温度を380℃にして、熱いエアガン(Steinel HG2310)を使って、コンポジットを加熱した。5秒後に、フィルムは-85kPaの真空状態に曝された。コンポジットをもう15秒の間加熱して、真空下でおよそ40℃まで冷却した。
【0068】
その後、結果として得られた予備的形成品サンプルを逆さまにして、それから、3.5グラムのエラストマー(50のデュロメーターハロブチルラバー)を充填したゴムのモールドキャビティー(型穴)に配置をし、そして、ストッパーを圧縮形成によって作製をした。ISO標準ISO11040-5:2001(E)を通じて、モールド(金型)を1mlの標準的なプランジャーのために定められた形状にした。
【0069】
120℃まで予熱された2つのプラテンを有するプレス機に空洞を装填した。55,500lb(およそ8700psiの全内圧)までプラテンを閉じた。プラテンをそれから5分の間180℃で加熱して、そして、40℃に圧力の下で冷却した。圧力を解放して、ストッパーを取り出した。ストッパーを洗剤を使用して洗浄し、脱イオン水で3回リンスした。それから、ストッパーサンプルを、かみそりの刃を使って、リリースシートから切り取られた。それらのサンプルは121℃で、オートクレーブ中で2つの30分の循環を受けた。ストッパーにおける静的な力と動的な力の測定値はそれぞれ2.5Nと2.1Nであった。トルエン露出テスト後のストッパーの質重増加は0mgであった。そして、このことはストッパーが効果的なバリアとして機能したことを示した。さらに、同じストッパーは通気チューブ配置テストを受けて、その後、トルエン露出テストを繰り返した。体重増加は、未だ0mgであり、ストッパーの優れたバリア機能を示した。ストッパーは空気漏れテストを利用して漏れに対するテストをした。そして、漏れは見つけられなかった。
【0070】
比較例A
市販のシリコン処理されたブチルストッパーを、1ccの単回投与ガラス製の充填済みシリンジのために用いた。
【0071】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー体と、バリアフィルムとを含むシリンジストッパーであって、
該バリアフィルムが延伸フルオロポリマーを含む、
シリンジストッパー。
【請求項2】
前記延伸フルオロポリマーがePTFEである、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項3】
前記延伸フルオロポリマーが少なくとも50モル%のTFEの共重合体である、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項4】
前記延伸フルオロポリマーが少なくとも部分的に多孔質である、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項5】
前記延伸フルオロポリマーが高密度である、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項6】
前記バリアフィルムが、ePTFEと少なくとも1つの他のフルオロポリマーを含むコンポジットである、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項7】
a.エラストマー体、
b.延伸フルオロポリマーから成る第1面と、熱可塑性フルオポリマーを含む第2面とを有するコンポジット層、及び、
c.高密度ePTFEフィルム、
を含む、シリンジストッパー。
【請求項8】
前記バリアフィルムが15ミクロン未満の厚さである、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項9】
前記バリアフィルムが10ミクロン未満の厚さである、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項10】
前記エラストマー体がブチルラバーを含む、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項11】
請求項1に記載のシリンジストッパーを含む、シリンジ。
【請求項12】
第1に、ePTFE系フィルムを200℃以上で雌型のキャビティーモールド(空洞金型)中で熱成形して、
次に、ePTFEフィルムがエラストマーの表面に結合して形状化したエラストマーストッパーとなる方法で、該ePTFEの予備成形品を含むモールドキャビティー(型穴)中で該エラストマーを形成することによって、
シリンジストッパーを生産する方法。
【請求項13】
前記フィルムを熱成形するために、雄型のモールドフォーム(型枠)を使うことを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
エラストマー体と、バリアフィルムとを含む先端キャップであって、
該バリアフィルムが延伸フルオロポリマーを含む、
先端キャップ。
【請求項15】
a.エラストマー体、
b.延伸フルオロポリマーから成る第1面と、熱可塑性フルオポリマーを含む第2面とを有するコンポジット層、及び、
c.フルオロポリマーフィルム、
を含む、物品であって、
該コンポジット層の該第1面が該エラストマー体と結合して、該コンポジットの該第2面が該フルオロポリマーフィルムと結合する、物品。
【請求項16】
前記エラストマー体が、ブチルラバー及びバイトンTMから成る群から選ばれる、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
フルオロポリマーフィルムが、ePTFEとFEPから成るグループから選ばれる請求項15に記載の物品。
【請求項18】
a)エラストマー体、
b)該エラストマー体に結合される熱可塑性層、及び、
c)該熱可塑性層に結合される延伸フルオロポリマーフィルム、
を含む、物品。
【請求項19】
前記熱可塑性層がTHVを含み、前記延伸フルオロポリマーがePTFEを含む、
請求項18に記載の物品。
【請求項20】
エラストマー体を含むコンポジット物品であって、
a)前記エラストマー体に結合される熱可塑性ポリマー層、及び、
b)該熱可塑性ポリマー層に結合される延伸PTFEフィルム、
を含む、コンポジット物品。
【請求項21】
a)エラストマー体、
b)該エラストマー体に結合される第1延伸PTFEフィルム、及び、
c)該第1延伸PTFEフィルムに結合される第2延伸PTFEフィルム、
を含む物品であって、
該第2延伸PTFEフィルムの密度が、該第1延伸PTFEフィルムの密度より大きい、
物品。
【請求項22】
a)バレル、及び、
b)該バレルに挿入されるストッパー、
を含む、シリンジであって、
該ストッパーが、前面と、後面と、側面とを有し、該前面が該バレル中に面し、該側面が該バレルと接触し、該後面が該バレルから外方向に面し、
さらに、該ストッパーが、
i.エラストマーコア、
ii.該エラストマーコアに結合されて、かつ、該エラストマーコアを覆う延伸フルオロポリマーフィルムを含み、
該延伸フルオロポリマーフィルムが該バレルと接触して少なくとも該ストッパーの該前面及び後面を覆う、
シリンジ。
【請求項23】
前記延伸フルオロポリマーフィルムが少なくとも6.9×107Pa(10ksi)の強度を有する、請求項22に記載のシリンジ。
【請求項24】
前記延伸フルオロポリマーフィルムが12.7μm(0.5mil)未満の厚みを有する、請求項22に記載のシリンジ。
【請求項25】
前記延伸フルオロポリマーフィルムが二軸延伸である、請求項22に記載のシリンジ。
【請求項26】
a)初期径を有する実質的に円筒である形状部を有するエラストマーコア、及び
b)該エラストマーコアの該円筒である形状部に結合されるフルオロポリマーカバーリングフィルム、
を含む物品であって、
該初期径が少なくとも20%の割合で一時的に縮小するように該コアが圧縮されるときに、質重増加テストによって示されるように、該フィルムが、回復後に該エラストマーコアに結合された状態のままである、
物品。
【請求項1】
エラストマー体と、バリアフィルムとを含むシリンジストッパーであって、
該バリアフィルムが延伸フルオロポリマーを含む、
シリンジストッパー。
【請求項2】
前記延伸フルオロポリマーがePTFEである、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項3】
前記延伸フルオロポリマーが少なくとも50モル%のTFEの共重合体である、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項4】
前記延伸フルオロポリマーが少なくとも部分的に多孔質である、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項5】
前記延伸フルオロポリマーが高密度である、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項6】
前記バリアフィルムが、ePTFEと少なくとも1つの他のフルオロポリマーを含むコンポジットである、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項7】
a.エラストマー体、
b.延伸フルオロポリマーから成る第1面と、熱可塑性フルオポリマーを含む第2面とを有するコンポジット層、及び、
c.高密度ePTFEフィルム、
を含む、シリンジストッパー。
【請求項8】
前記バリアフィルムが15ミクロン未満の厚さである、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項9】
前記バリアフィルムが10ミクロン未満の厚さである、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項10】
前記エラストマー体がブチルラバーを含む、請求項1に記載のシリンジストッパー。
【請求項11】
請求項1に記載のシリンジストッパーを含む、シリンジ。
【請求項12】
第1に、ePTFE系フィルムを200℃以上で雌型のキャビティーモールド(空洞金型)中で熱成形して、
次に、ePTFEフィルムがエラストマーの表面に結合して形状化したエラストマーストッパーとなる方法で、該ePTFEの予備成形品を含むモールドキャビティー(型穴)中で該エラストマーを形成することによって、
シリンジストッパーを生産する方法。
【請求項13】
前記フィルムを熱成形するために、雄型のモールドフォーム(型枠)を使うことを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
エラストマー体と、バリアフィルムとを含む先端キャップであって、
該バリアフィルムが延伸フルオロポリマーを含む、
先端キャップ。
【請求項15】
a.エラストマー体、
b.延伸フルオロポリマーから成る第1面と、熱可塑性フルオポリマーを含む第2面とを有するコンポジット層、及び、
c.フルオロポリマーフィルム、
を含む、物品であって、
該コンポジット層の該第1面が該エラストマー体と結合して、該コンポジットの該第2面が該フルオロポリマーフィルムと結合する、物品。
【請求項16】
前記エラストマー体が、ブチルラバー及びバイトンTMから成る群から選ばれる、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
フルオロポリマーフィルムが、ePTFEとFEPから成るグループから選ばれる請求項15に記載の物品。
【請求項18】
a)エラストマー体、
b)該エラストマー体に結合される熱可塑性層、及び、
c)該熱可塑性層に結合される延伸フルオロポリマーフィルム、
を含む、物品。
【請求項19】
前記熱可塑性層がTHVを含み、前記延伸フルオロポリマーがePTFEを含む、
請求項18に記載の物品。
【請求項20】
エラストマー体を含むコンポジット物品であって、
a)前記エラストマー体に結合される熱可塑性ポリマー層、及び、
b)該熱可塑性ポリマー層に結合される延伸PTFEフィルム、
を含む、コンポジット物品。
【請求項21】
a)エラストマー体、
b)該エラストマー体に結合される第1延伸PTFEフィルム、及び、
c)該第1延伸PTFEフィルムに結合される第2延伸PTFEフィルム、
を含む物品であって、
該第2延伸PTFEフィルムの密度が、該第1延伸PTFEフィルムの密度より大きい、
物品。
【請求項22】
a)バレル、及び、
b)該バレルに挿入されるストッパー、
を含む、シリンジであって、
該ストッパーが、前面と、後面と、側面とを有し、該前面が該バレル中に面し、該側面が該バレルと接触し、該後面が該バレルから外方向に面し、
さらに、該ストッパーが、
i.エラストマーコア、
ii.該エラストマーコアに結合されて、かつ、該エラストマーコアを覆う延伸フルオロポリマーフィルムを含み、
該延伸フルオロポリマーフィルムが該バレルと接触して少なくとも該ストッパーの該前面及び後面を覆う、
シリンジ。
【請求項23】
前記延伸フルオロポリマーフィルムが少なくとも6.9×107Pa(10ksi)の強度を有する、請求項22に記載のシリンジ。
【請求項24】
前記延伸フルオロポリマーフィルムが12.7μm(0.5mil)未満の厚みを有する、請求項22に記載のシリンジ。
【請求項25】
前記延伸フルオロポリマーフィルムが二軸延伸である、請求項22に記載のシリンジ。
【請求項26】
a)初期径を有する実質的に円筒である形状部を有するエラストマーコア、及び
b)該エラストマーコアの該円筒である形状部に結合されるフルオロポリマーカバーリングフィルム、
を含む物品であって、
該初期径が少なくとも20%の割合で一時的に縮小するように該コアが圧縮されるときに、質重増加テストによって示されるように、該フィルムが、回復後に該エラストマーコアに結合された状態のままである、
物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2013−509270(P2013−509270A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537124(P2012−537124)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/054750
【国際公開番号】WO2011/059823
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/054750
【国際公開番号】WO2011/059823
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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