説明

建具

【課題】操作性に優れた移動可能な障子を有する建具を提供する。
【解決手段】上方または下方に設けられたレール部材と、前記レール部材に沿って移動可能に設けられた移動体に支持される障子と、を有する建具であって、前記障子は、上下の横框、及び、左右の縦框が枠組みされた框体を有し、前記縦框は、前記障子の操作部をなし見込み方向に窪み上下方向に沿って設けられた操作溝部を有し、前記移動体は上または下の前記横框のいずれかに、見付け方向における両端側に収容されており、前記移動体が収容された前記横框の小口は、前記框体において前記操作溝部より、見付け方向おける外側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な障子を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動可能な障子を有する建具の一例としては、パネルとパネルに四方組みされた上下の横框と左右の縦框と縦框の上端部に設けられた上コーナー部材とを有する吊下障子を有する吊下障子ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような吊下障子ユニットの吊下障子の上コーナー部材には、上レールに走行自在に設けられた戸車と一体をなす戸車ホルダーが収容される収容凹部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−169328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吊下障子を移動するための操作部は、操作者の指がしっかりとかかるように、深く窪んでいる方が望ましく、また、子供から大人まで操作しやすいように形成されていることが望ましい。ところが、子供も大人も操作しやすいように子供用の操作部と大人用の操作部とを分けて形成すると障子の意匠性が低下するため、障子の上部から下部まで繋がった操作部を設けることが望ましい。しかしながら上記従来の吊下障子のように、縦框の上端部に戸車ホルダーを収容する上コーナー部材が設けられていると、縦框を深く窪ませることができないため、指の掛かりが浅く操作性が悪いという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、操作性に優れた移動可能な障子を有する建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、上方または下方に設けられたレール部材と、前記レール部材に沿って移動可能に設けられた移動体に支持される障子と、を有する建具であって、前記障子は、上下の横框、及び、左右の縦框が枠組みされた框体を有し、前記縦框は、上下方向に沿って設けられ前記障子の操作部をなし見込み方向に窪む操作溝部を有し、前記移動体は上または下の前記横框のいずれかに、見付け方向における両端側に収容されており、前記移動体が収容された前記横框の小口は、前記框体において前記操作溝部より、見付け方向おける外側に位置していることを特徴とする建具である。
このような建具によれば、移動体が収容された横框の小口は、框体の操作溝部より、見付け方向おいて外側に位置しているので、障子を移動可能に支持する移動体は縦框内には存在しない。そして、移動体が存在しない縦框は、見込み方向の幅を狭くすることが可能であり、縦框に設けられる操作溝部の深さを、移動体が縦框内に収容される場合より深く形成することが可能である。このため、操作者の指が掛かりやすく操作性に優れた建具を提供することが可能である。
【0007】
かかる建具であって、前記縦框は、前記障子の操作部をなし見込み方向に窪む前記操作溝部が上下方向に沿って設けられた縦框本体と、前記操作溝部より見付け方向における端部側にて前記縦框本体より上方及び下方にそれぞれ延出され前記上下の横框の小口を覆う小口カバー部と、を有していることが望ましい。
このような建具によれば、上下の横框の小口は、縦框に設けられた操作溝部より、見付け方向において端部側に設けられた小口カバー部にて覆われる。すなわち、框体において見付け方向における端部側に配置される縦框の操作溝部より、さらに端部側に上框及び下框の小口が配置されるので、上下の横框は障子の見付け方向におけるより端部まで存在し、縦框本体の上方及び下方にも上框及び下框が存在するように構成される。このため、上下の横框の小口は、小口カバー部に覆われるので、より意匠性に優れた建具を提供することが可能である。
【0008】
かかる建具であって、前記框体は、前記上下の横框の見付け方向における端部側を覆うとともに、前記上下の横框と前記縦框の前記操作溝部とを繋ぐカバー部材を有することが望ましい。
このような建具によれば、上下の横框の端部側を覆うとともに、上下の横框と縦框の操作溝部とを繋ぐカバー部材を框体が有しているので、上下の横框と縦框の操作溝部との間が繋がった意匠性に優れた框体及び建具を形成することが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記障子には見込み方向における両側に面材を有し、上の前記横框の上縁部、下の前記横框の下縁部、左の前記縦框が有する前記操作溝部の右縁部、右の前記縦框が有する前記操作溝部の左縁部にそれぞれ前記面材の周縁部を収容する面材収容部を有し、前記カバー部材は、前記上下の横框に設けられた前記面材収容部と、左右の前記縦框に設けられた前記面材収容部との間にて前記面材の周縁部を覆う覆い部を有することが望ましい。
このような建具によれば、上の横框の上縁部、下の横框の下縁部、左の縦框が有する操作溝部の右縁部、右の縦框が有する操作溝部の左縁部にそれぞれ面材の周縁部を収容する面材収容部を有しているので、各面材収容部に面材の周縁部を収容することにより、左右の縦框が有する操作溝部を除く、ほぼ全領域を面材の表面にて覆うことが可能である。また、上下の横框に設けられた面材収容部と、左右の縦框に設けられた面材収容部とにて周縁部が収容された面材の、上下の横框と左右の縦框との間では、カバー部材の覆い部により面材の周縁部が覆われるので、面材の周縁部を全周に渡って見えないように隠すことが可能である。このため、より意匠性に優れた障子を有する建具を提供することが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作性に優れた障子を有する建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る吊下障子ユニットを示す外観図である。
【図2】吊下障子ユニットを説明するための縦断面図である。
【図3】吊下障子ユニットを説明するための横断面図である。
【図4】上框、下框、縦框の接合部の構成を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る建具としての吊下障子ユニットについて図面を参照して説明する。本実施形態の吊下障子ユニットは、リビングルームやホールなどの空間を仕切る際に用いられる。
【0013】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の吊下障子ユニットに向かって、吊下障子の上下となる方向を上下方向、吊下障子が移動する方向であり左右となる方向を左右方向または見付け方向、仕切られる空間が連通する方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、吊下障子ユニットを構成する部材は、単体の状態であっても吊下障子ユニットが建物等に取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0014】
図1、図2に示すように、本実施形態の吊下障子ユニット10は、天井2に設けられたレール部材11と、レール部材11に沿って移動可能に設けられた移動体としての吊り車ユニット20と、吊り車ユニット20に吊り下げられて移動する吊下障子12と、吊下障子12を閉じた状態にて振れを規制する規制部材4と、を有している。
【0015】
レール部材11は、図2に示すように、吊下障子12の上端部が収容されつつ吊下障子12の上部に設けられた、後述する吊り車ユニット20が収容される中空部11aが見付け方向に沿って形成されたアルミニウム製の押出成形材である。
【0016】
レール部材11は、断面がほぼ矩形状をなす中空部11aと、中空部11aを形成し見込み方向に間隔を隔てて設けられている側壁11bの下縁から下方に延出された延出部11cと、中空部を形成する下板部11dに、見付け方向に沿って形成されたスリット11eと、を有し、中空部11aを形成する上板部11fが天井2にビスにて固定されている。レール部材11が天井2に固定されると下板部11d及びスリット11eが床3と対向するように配置される。
【0017】
規制部材4は、床3に設けられ、上面に突起部5を有する部材であり、突起部5が下框17に収容されることにより吊下障子12の振れが規制されるように構成されている。
そして、吊下障子12の上端部は、中空部11aを形成する下板部11dと、側壁11bの下縁から下方に延出された延出部11cと、にて形成される凹部11gに収容される。
吊下障子12の上框16の見付け方向における両端部近傍には、吊り車ユニット20が設けられている。
【0018】
吊り車ユニット20は、上框16内から上方に突出される軸体21と、軸体21の上端側に回動自在に設けられた回動部22と、回動部22を水平方向に貫通する回転軸23を中心に回転し、回動部22を挟むように配置された一対のローラ24と、軸体21の下端側に設けられ上框16内に収容される被収容部25を有している。
【0019】
回動部22の上部及び一対のローラ24が中空部11aの内部、すなわち、スリット11eにより凹部11gと連通される中空部11aに入り、スリット11eから下方に回動部22の下部及び軸体21が突出されている。このとき、突出された軸体21の下端側には、被収容部25が設けられており、上框16の端部から挿入されて圧入状態で収容されている。
【0020】
吊下障子12は、上下の横框としての上框16及び下框17、左右の縦框18でなる框体13と、框体13の内側に設けられた芯材28と、見込み方向において吊下障子12の両面を形成する面材としての内装板14と、前記上框16及び下框17の端部側を覆うカバー部材19と、を有している。上框16、下框17、及び、左右の縦框18は、いずれもアルミニウム製の押出成形材である。
【0021】
被収容部25が上框16に収容された吊下障子12は中空部11aに吊り下げられた状態となりスリット11eに沿ってスライド可能となる。詳しくは、吊り車ユニット20の一対のローラ24が、スリット11eを形成する中空部11aの下板部11d上を転動することにより、吊下障子12はスリット11eに沿って滑らかにスライドする。このとき、吊下障子12は、レール部材11から吊り下げられた状態にて、吊下障子12の下端と床3との間隔が隔てられている。
【0022】
上框16は、図4に示すように、断面形状が上下方向に長いほぼ長方形状をなし、上框中空部16aを形成する上框本体16bと、長方形状をなす上框本体16bの上框下板部16cに設けられ縦框18と接合するためのビスが螺合される上框ビス螺合部16dと、上框本体16bの見込み方向における両側に設けられた上框側板部16eの上縁部に各々設けられた上框面材収容部16fと、を有している。尚、図4は、框体13の左右方向における左側部分を示して右側部分を省略しているが、右側部分は左右方向が異なる対称形状をなしている。
【0023】
各々の上框面材収容部16fは、上框本体16bの両上框側板部16eの上縁部から水平に、互いに遠ざかる方向に延出された上框水平延出部16gと、上框本体16bの両上框側板部16eと間隔を隔てて対向し、上框水平延出部の16gの先端から垂設された上框対向壁部16hとを有している。上框本体16bの上框側板部16eと上框対向壁部16hとの間隔は、吊下障子12が備える内装板14の板厚より僅かに広く形成されており、上框対向壁部16hの見付け方向における両端部は切り欠かれた上端切欠16kが形成されている。また、上框本体16bの上框上板部16iの両端部側には、各々端部側に開放された上框切欠部16jが設けられている。上框切欠部16jは、上框16の上框中空部16aに吊り車ユニット20の被収容部25が収容された際に軸体21が突出される部位である。
【0024】
下框17は、断面形状が上下方向に長く下方に開放されたほぼU字状をなし、上下方向のほぼ中央に、上側を中空部17aとする中板部17cを備えた下框本体17bと、下框本体17bの上部に設けられ縦框18と接合するためのビスが螺合される下框ビス螺合部17dと、U字状をなす下框本体17bの見込み方向における両側の下縁部に各々設けられた下框面材収容部17eと、を有している。
【0025】
各々の下框面材収容部17eは、U字状をなす下框本体17bの各々の下縁部から水平に、互いに遠ざかる方向に延出された下框水平延出部17fと、下框本体17bの両下框側板部17gと間隔を隔てて対向し、下框水平延出部の17fの先端から立設された下框対向壁部17iと、下框対向壁部17iの上縁から下框側板部17g側に向かって突出された下框突片17jと、を有している。下框本体17bの下框側板部17gと下框突片17jの先端との間隔は、吊下障子12が備える内装板14の板厚より僅かに広く形成されており、下框対向壁部17i及び下框突片17jの見付け方向における両端部は切り欠かれた下端切欠17kが形成されている。ここで、上框16の上框本体16bにおける見込み方向の幅と下框本体17bの見込み方向の幅とは同じ幅に形成されている。
【0026】
左右の縦框18は、左右が反転した互いに対称の形状をなしているので、ここでは左の縦框18を例に挙げて説明する。
左の縦框18は、図3、図4に示すように、戸先側に設けられ断面形状が見込み方向に長いほぼ長方形状をなし、縦框中空部18aを形成する中空縦框部18b、中空縦框部18bと見付け方向に間隔を隔てて右側に設けられ吊下障子12に内包される芯材28とともに内装板14を収容する縦框収容部18c、及び、中空縦框部18bと縦框収容部18cとを見付け方向に繋ぐ中空の連結部18d、を有する縦框本体18eと、縦框本体18eの戸先側にて上方に延出された上框小口カバー部18fと、縦框本体18eの戸先側にて下方に延出された下框小口カバー部18gと、を有している。ここで、縦框収容部18cが縦框18の面材収容部に相当する。
【0027】
縦框本体18eの中空縦框部18bの見込み方向の幅と縦框収容部18cの見込み方向の幅とはほぼ同じ幅に形成されており、連結部18dの見込み方向の幅は、中空縦框部18b及び縦框収容部18cの見込み方向の幅より狭く形成されている。連結部18dは、中空縦框部18bと縦框収容部18cとの間にて見込み方向の中央に配置されている。すなわち、連結部18dは、中空縦框部18b及び縦框収容部18cの見込み方向における外縁部より框体13の厚み方向における内側に窪ませて形成されている。見込み方向に窪んだ部位が吊下障子12を移動する際の操作部をなる操作溝部18hをなしている。
【0028】
縦框収容部18cは、見込み方向に沿う面を形成する見込み壁部18oと、見込み壁部18oの見込み方向における両端部から中空縦框部18bと反対側にそれぞれ延出された延出片18pと、を有している。
【0029】
上框小口カバー部18fは、押出成形された部材から、縦框本体18eの上部に相当する部位のうち中空縦框部18bを残して切除されて形成されており、残存された中空縦框部18bに相当する部位の連結部18d側の壁部18rには、上框16が入り込む大きさに切り欠かれた上内側切欠部18iが形成されており、中空縦框部18bの戸先側の壁部18sには、上内側切欠部18iに入り込んだ上框16の小口が当接されるように、上内側切欠部18iより僅かに小さく切り欠かれた外側切欠部18jが形成されている。すなわち、上框小口カバー部18fは、中空縦框部18bの見込み方向における両端部が、各々U字状をなし開放されている側が対向するように対向壁部18kが残されている。また、上框小口カバー部18fには、外側切欠部18jの下側に上框16の上框ビス螺合部16dに螺合されるビスが貫通する貫通孔18lが形成されている。
【0030】
そして、上框16は、上框小口カバー部18fの対向壁部18k間に、上端切欠16kが形成されている先端部が入り込むように挿入される。このとき、上框16の上框本体16bが上内側切欠部18i間に位置して上框16の小口が対向壁部の18kの、戸先側の壁部18sにて覆われる。このため、上框16の先端は、対向壁部18kにより見付け方向からも見込み方向からも露出しないように覆われる。
【0031】
下框小口カバー部18gは、押出成形された部材から、縦框本体18eの下部に相当する部位のうち中空縦框部18bを残して切除されて形成されており、残存された中空縦框部18bに相当する部位の連結部18d側の壁部18rには、下框17が入り込む大きさに切り欠かれた下内側切欠部18mが形成されており、中空縦框部18bの戸先側の壁部18sには、下内側切欠部18mに入り込んだ下框17の小口が当接されて下框17の下框ビス螺合部17dに螺合されるビスが貫通する貫通孔18nが形成されている。
【0032】
下框小口カバー部18gは、中空縦框部18bの連結部18d側の壁部18rが切除されて断面がC字状をなすように下周壁部18qが残されている。そして、下框17は、下框小口カバー部18gの下周壁部18q間に、下端切欠17kが形成されている先端部が入り込むように挿入される。このとき、下框17の下框本体17bが下内側切欠部18m間に位置して下框17の小口が下周壁部18qの、戸先側の壁部18sにて覆われる。このため、下框17の先端は、下周壁部18qにより見付け方向からも見込み方向からも露出しないように覆われる。
【0033】
カバー部材19は、上框16の上框本体16bの2つの上框側板部16e及び下框本体17bの2つの下框側板部17gと各々対向するように、互いに間隔を隔てて形成された対をなす側カバー部19aと、対をなす側カバー部19aの上下方向における一端側を繋ぐ中継部19bと、中継部19bの、側カバー部19aと反対側であって見込み方向における中央に見付け方向に沿って凹設された凹溝部19cと、を有している。対をなす側カバー部19aの見付け方向における一方の端部には、側カバー部19aの他の部位より間隔が広く形成された、覆い部としての拡幅部19dが設けられており、拡幅部19dの間隔は、上框16に設けられている上框対向壁部16hの間隔、及び、下框17に設けられている下框対向壁部17iの間隔とほぼ一致するように構成されている。また、側カバー部19aの間隔が狭い部位は、中継部19bと反対側の縁が水平方向に、側カバー部19aの間隔が広い部位と同じ幅まで延出された水平延出部19eと、水平延出部19eより中継部19bと反対側に側カバー部19aが延出されるように突出された突出ヒレ部19fが形成されている。
【0034】
そして、カバー部材19は、上框16の上框本体16b及び下框17の下框本体17bに被せるように、上框16及び下框17の両端部に配置する。このとき、いずれのカバー部材19も拡幅部19d側が上框16及び下框17の見付け方向における中央側に位置するように配置される。また、上框16に被せられたカバー部材19は、突出ヒレ部19fが上框側板部16eと上框対向壁部16hとの間に挿入されて水平延出部19e及び拡幅部19dの端部が上框対向壁部16hの下縁に当接され、下框17に被せられたカバー部材19は、突出ヒレ部19fが下框側板部17gと下框突片17jとの間に挿入されて水平延出部19e及び下框突片17jの上面に当接される。
【0035】
カバー部材19が両端部に被せられた上框16は、上框本体16bが縦框18の上内側切欠部18iに上方から挿通され、上端切欠16kが形成されている先端部が対向壁部18k間に挿入される。このとき、カバー部材19のカバー部19aの戸先側の縁が上框小口カバー部18fの連結部18d側の壁部18rに当接される。この状態で、カバー部材19の拡幅部19dにより上框16の上框対向壁部16hと縦框18の延出片18pとが繋がって、上框面材収容部16fと縦框収容部18cとの間にも内装板14の周縁部が収容される収容部が形成される。そして、上框16の小口が中空縦框部18bの戸先側の壁部18sに当接された状態にて貫通孔18lを貫通したビスが上框ビス螺合部16dに螺合されて上框16と縦框18とが接合されるとともにカバー部材19が組み付けられる。
【0036】
また、カバー部材19が両端部に被せられた下框17は、下框本体17bが縦框18の下内側切欠部18mに下方から挿通され、下端切欠17kが形成されている先端部が下周壁部18q間に挿入される。このとき、カバー部材19のカバー部19aの戸先側の縁が下框小口カバー部18gの連結部18d側の壁部18rに当接される。この状態で、カバー部材19の拡幅部19dにより下框17の下框対向壁部17iと縦框18の延出片18pとが繋がって、下框面材収容部17eと縦框収容部18cとの間にも内装板14の周縁部が収容される収容部が形成される。そして、下框17の小口が中空縦框部18bの戸先側の壁部18sに当接された状態にて貫通孔18nを貫通したビスが下框ビス螺合部17dに螺合されて下框17と縦框18とが接合されるとともにカバー部材19が組み付けられる。
【0037】
上框16及び下框17と縦框18とが接合されカバー部材19が組み付けられた状態では、カバー部材19の凹溝部19cに縦框18の連結部18dが挿入されるように構成されている。
【0038】
上框16、下框17、及び左右の縦框18が接合される際には、上框16及び下框17と左右の縦框18の縦框収容部18cとに囲まれた内側に芯材28が収容され、上框16の上框面材収容部16f、下框17の下框面材収容部17e、左右の縦框18の縦框収容部18c、及び各カバー部材19の拡幅部19dに内装板14の周縁部が全周に渡って収容されて吊下障子12が形成される。そして、縦框18の外側切欠部18jと繋がった上框16の上框切欠部16jを利用して上框16に、レール部材11にスライド自在に設けられた吊り車ユニット20の被収容部25が収容されることにより吊下障子12がレール部材11から吊り下げられた状態となる。
【0039】
本実施形態の吊下障子ユニット10によれば、上框16及び下框17の小口は、縦框18に設けられた操作溝部18hより、見付け方向において端部側に設けられた小口カバー部18f、18gにて覆われる。すなわち、框体13において見付け方向における端部側に配置される縦框18の操作溝部18hより端部側に上框16及び下框17の小口が配置されるので、上框16及び下框17は吊下障子12の見付け方向における端部まで存在し、縦框本体18eの上方及び下方にも上框16及び下框17が存在するように構成される。このため、吊下障子12を移動可能に吊り下げるための吊り車ユニット20の被収容部25を縦框18内に設けることなく上框16内に収容することが可能である。
【0040】
そして、被収容部25を上框16内に設けることができるので、縦框本体18eの見込み方向の幅を狭くすることが可能である。このため、縦框18の縦框本体18eに設けられる操作溝部18hの深さを、被収容部25が縦框18内に収容される場合より深く形成することが可能である。また、操作溝部18hは、上下に各々延出されている上框小口カバー部18f及び下框小口カバー部18gの間に設けられている縦框本体18eに上下方向に沿って全域に設けられているので、操作者の身長に拘わらず操作し易い操作溝部18hを形成することが可能である。このため、操作者の指が掛かりやすく子供から大人まで操作しやすい吊下障子ユニット10を提供することが可能である。
【0041】
また、上框16及び下框17の小口は、上框小口カバー部18f及び下框小口カバー部18gに覆われるので、より意匠性に優れた吊下障子ユニット10を提供することが可能である。よって、意匠性及び操作性に優れた吊下障子ユニット10を提供することが可能である。
【0042】
また、上框16及び下框17の端部側を覆うとともに、上框16及び下框17と縦框18の操作溝部18hとを繋ぐカバー部材19を框体13が有しているので、上框16及び下框17と縦框18の操作溝部18hとの間が繋がった意匠性に優れた框体13及び吊下障子12を形成することが可能である。
【0043】
また、上框16の上縁部、下框17の下縁部、左の縦框18が有する操作溝部18hの右縁部、右の縦框18が有する操作溝部18hの左縁部にそれぞれ内装板14の周縁部を収容する上框面材収容部16f、下框面材収容部17e、縦框収容部18cを有しているので、各面材収容部16f、17e、18cに内装板14の周縁部を収容することにより、左右の縦框18が有する操作溝部18hを除く、ほぼ全領域を内装板14の表面にて覆うことが可能である。また、上框16及び下框17に設けられた上框面材収容部16f及び下框面材収容部17eと、左右の縦框18に設けられた縦框収容部18cとで周端部が収容された内装板14の、上框16及び下框17と左右の縦框18との間では、カバー部材19の拡幅部19dにより内装板14の周端部が覆われるので内装板14の周縁部を全周に渡って見えないように隠すことが可能である。このため、より意匠性に優れた吊下障子12を有する吊下障子ユニット10を提供することが可能である。
【0044】
上記実施形態においては、建具として吊下障子ユニット10を例に上げて説明したが、これに限るものではない。例えば、床に設けられたレール部材に、障子の下框に設けられた戸車が載置されて障子がレール部材に沿って移動する建具であっても構わない。
【0045】
また、上記実施形態においては、縦框18が上框小口カバー部18fと下框小口カバー部18gとを有し、上框小口カバー部18fの対向壁部18k間に、上框16の先端が入り込むように挿入され、下框小口カバー部18gの下周壁部18q間に、下框17の先端が入り込むように挿入される例について説明したが、例えば、縦框18の小口が、上框16の下面及び下框17の上面にそれぞれ当接されて枠組みされていてもよい。
【0046】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
10 吊下障子ユニット、11 レール部材、12 吊下障子、13 框体、
14 内装板、16 上框、16f 上框面材収容部、17 下框、
17e 下框面材収容部、18 縦框、18c 縦框収容部、18e 縦框本体、
18f 上框小口カバー部、18g 下框小口カバー部、18h 操作溝部、
19 カバー部材、19d 拡幅部、20 吊り車ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方または下方に設けられたレール部材と、
前記レール部材に沿って移動可能に設けられた移動体に支持される障子と、を有する建具であって、
前記障子は、上下の横框、及び、左右の縦框が枠組みされた框体を有し、
前記縦框は、上下方向に沿って設けられ前記障子の操作部をなし見込み方向に窪む操作溝部を有し、
前記移動体は上または下の前記横框のいずれかに、見付け方向における両端側に収容されており、前記移動体が収容された前記横框の小口は、前記框体において前記操作溝部より、見付け方向おける外側に位置していることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記縦框は、前記障子の操作部をなし見込み方向に窪む前記操作溝部が上下方向に沿って設けられた縦框本体と、前記操作溝部より見付け方向における端部側にて前記縦框本体より上方及び下方にそれぞれ延出され前記上下の横框の小口を覆う小口カバー部と、を有していることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記框体は、前記上下の横框の見付け方向における端部側を覆うとともに、前記上下の横框と前記縦框の前記操作溝部とを繋ぐカバー部材を有することを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3に記載の建具であって、
前記障子には見込み方向における両側に面材を有し、
上の前記横框の上縁部、下の前記横框の下縁部、左の前記縦框が有する前記操作溝部の右縁部、右の前記縦框が有する前記操作溝部の左縁部にそれぞれ前記面材の周縁部を収容する面材収容部を有し、
前記カバー部材は、前記上下の横框に設けられた前記面材収容部と、左右の前記縦框に設けられた前記面材収容部との間にて前記面材の周縁部を覆う覆い部を有することを特徴とする建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−117319(P2012−117319A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269571(P2010−269571)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】