説明

建具

【課題】構造が簡単で、体裁がよく、しかも種々の内装に適応する建具を提供する。
【解決手段】建物の室内外を連通する開口部に取付けられる樹脂製枠体2と、この樹脂製枠体2とは異なる色彩または模様を有するカバー部材3とからなり、樹脂製枠体2は、当該樹脂製枠体2における室内側端部において、樹脂製枠体2の枠内側向きに突出し、かつ樹脂製枠体2を構成する枠材6、7、8、9の長手方向に延びる室内側突条片12を備えるとともに、カバー部材3をもって、室内側突条片12の少なくとも室内側表面を覆うようにした建具とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅や事務所等の建物の開口部に取付けられる樹脂製枠体を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の建具としては、室内外を連通する建物の開口部に取付けられる四方枠組みされた枠体と、枠体に取付けられた挾持材と、枠体の室内側に設けられる四方枠組みされた額縁とを有し、枠体に当接した額縁を、挾持材により挾持することにより、枠体と額縁との境界部分にビスが露出しない美観に優れているものが知られている(例えば特許文献1)。
また、室内外を連通する建物の開口部に取付けられる四方枠組みされた枠体と、この枠体の室内側に設けられる四方枠組みされた額縁とを有し、この額縁の表面側に当接される枠材に中間部材を溶着した場合に、この溶着部分を室内側のカバーをもって覆うものが知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−53658号公報
【特許文献2】特開2010−196359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来の建具は、防火性能が優れた金属製の枠体または断熱性および防音性に優れた樹脂製の枠体を、一体的に四方枠組されており、室内側と室外側との色彩または模様が同一であるため、顧客の希望する種々の内装に対して、色彩または模様の点で充分に対応し難いという問題が存在していた。
この問題を解消するために、室内側と室外側との色彩または模様を異なる複数の枠体を製作することが考えられるが、枠体の種類が増大し、大幅なコスト高となるため現実的ではない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、色彩や模様の観点から種々の内装に適応しうるとともに、構造が簡単で、体裁がよく、かつ製作費の低減を図ることができる建具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、次のような構成からなる発明によって解決される。
(1)建物の室内外を連通する開口部に取付けられる樹脂製枠体と、この樹脂製枠体とは異なる色彩または模様を有するカバー部材とからなり、樹脂製枠体は、当該樹脂製枠体における室内側端部において、樹脂製枠体の枠内側向きに突出し、かつ樹脂製枠体を構成する枠材の長手方向に延びる室内側突条片を備えるとともに、カバー部材をもって、前記室内側突条片の少なくとも室内側表面を覆うようにする。
【0007】
(2)上記(1)項において、樹脂製枠体と、この樹脂製枠体とは異なる色彩または模様を有する複数種類のカバー部材とからなり、所望のカバー部材を選択的に樹脂製枠体に取付け得るようにする。
【0008】
(3)上記(1)または(2)項において、色彩または模様が異なる複数種類の樹脂製枠体と、これらいずれの樹脂製枠体とも異なる色彩または模様を有する複数種類のカバー部材とからなり、所望の樹脂製枠体とカバー部材とを選択して、樹脂製枠体にカバーを取付け得るようにする。
【0009】
(4)上記(1)〜(2)項のいずれかにおいて、カバー部材を、その長手方向に対する垂直断面形状をアングル状となし、カバー部材の一端を樹脂製枠体の室内側突条片の頂部に係合するとともに、他端を樹脂製枠体に設けた係止溝に係止することにより、カバー部材を樹脂製枠体に取付けるようにする。
【0010】
(5)上記(4)項において、樹脂製枠体を建物の開口部に取付けるための樹脂製枠体の室内側端部の外周面端に設けられた室内側に延びる横取付片の基部または室内側突条片の室内側表面に、樹脂製枠体を構成する枠材の長手方向に沿って係止溝を設け、この係止溝にカバー部材の一端を弾性的に係止させるようにする。
【0011】
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、カバー部材に、室内側に延びる額縁取付片または横取付片カバー部を設ける。
【0012】
(7)上記(1)〜(6)項のいずれかにおいて、樹脂製枠体とカバー部材の両者をもって、窓枠を構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によれば、樹脂製枠体の色彩または模様にとらわれず、顧客の所望する色彩または模様を有するカバー部材を選択することにより、建物の内装と合致する美観に優れた建具を提供することができる。
さらに、カバー部材は、樹脂製枠体に対して、いわゆる小物であり、複数種類の色彩または模様の異なる樹脂製枠体を製作する場合に対比して、複数種類の色彩または模様の異なるカバー部材は安価に製作することができるため、窓枠等の建具の製作費を大幅に低減することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、所望のカバー部材を選択的に樹脂製枠体に取付け得るようにするため、例えば樹脂製枠体を共通部材とし、複数種類のカバー部材の中から建物における内装に合致する所望のカバー部材を選択することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、カバー部材の選択とともに、このカバー部材の色彩または模様に適合する樹脂製枠体を選択することができる。すなわち、より一層種々の建物の外観および内装に適合する建具を提供することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、カバー部材を、がた付きなく確実に樹脂製枠体に固定することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、係止溝の存在を目立たないようにして、カバー部材を見栄えよく、かつ弾性を利用してがた付きなく確実に樹脂製枠体へ固定することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、額縁取付片または横取付片カバー部が覆う部分の色彩または模様を、樹脂製枠体の室内側突条片を覆うカバー部材の部分と連続したものとすることができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、樹脂製枠体とカバー部材の両者をもって、建物の内装に合致する美観の優れた窓枠を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した窓枠と、この窓枠内に配設した障子を室内側から見た正面図である。
【図2】図1のII−II線における縦断面図である。
【図3】図1のIII−III線における横断面図である。
【図4】図2における波線円IV内の要部を拡大し、樹脂製枠体とカバー部材の第1実施形態を示す図である。
【図5】同じく、第2実施形態を示す図である。
【図6】同じく、第3実施形態を示す図である。
【図7】同じく、第4実施形態を示す図である。
【図8】同じく、第5実施形態を示す図である。
【図9】同じく、第6実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の建具を窓枠として構成し、この窓枠に引き違い障子を配設した場合を例示するが、例えば嵌殺し窓の窓枠等にも適用される。
【0022】
本発明に係る建具である窓枠1は、図1〜図3に示すように、建物の室内外を連通する開口部に取付けられる樹脂製枠体2と、この樹脂製枠体2の室内側Aに取付けられ、樹脂製枠体2とは異なる色彩または模様を有するカバー部材3とより構成され、窓枠1内には引き違い障子4が配設されている。
【0023】
樹脂製枠体2は、例えば合成樹脂製の上枠材6、下枠材7、左右の縦枠材8、9等の枠材の両端を45度にカットし、溶着により、方形に枠組することにより形成されている。
【0024】
上枠材6および下枠材7には、障子用レールが長手方向に沿って設けらるとともに、上枠材6、下枠材7、左右の縦枠8、9には、窓枠1を建物躯体5に取付けるための外周側に延びる縦取付片10と室内側に延びる横取付片11が設けられている。
【0025】
樹脂製枠体2には、該樹脂製枠体2における室内側端部において、樹脂製枠体2の枠内側向きに突出し、かつ樹脂製枠体2を構成する枠材の長手方向に延びる室内側突条片12が、枠内全周に亘って設けられている。
【0026】
図2における波線円IV内の要部を拡大して、樹脂製枠体とカバー部材の実施形態を例示する図4に示すように、室内側突条片12は、樹脂製枠体2とは異なる色彩または模様を有するカバー部材3をもって、室内側表面が覆われている。樹脂製枠体2は、例えば白色に近い塩化ビニール樹脂の色、または黒色、灰色等の暗色系の色彩または模様のものが通常用いられる。一方、カバー部材3は、和室、洋室等の種々の内装に適応しうるように、共通部材としての樹脂製枠体2とは異なる色彩または模様を有する複数種類のものを用意し、これらのうちから所望のものを選択することができるようになっている。
【0027】
たとえば、樹脂製枠体2が暗色系の色彩を有するものであっても、カバー部材3を選択することにより、室内の内装に合致する明るい色彩や木目調や大理石等のデザインを含む種々の内装に適合させることができる。
【0028】
さらに、樹脂製枠体2についても、色彩または模様が異なる複数種類の樹脂製枠体2を用意し、かつこれらいずれの樹脂製枠体2とも異なる色彩または模様を有する複数種類のカバー部材3を用意することにより、本発明の効果が優れて良好に発揮される。
たとえば、色彩または模様が異なる4種類の樹脂製枠体2と、これらいずれの樹脂製枠体2とも異なる色彩または模様を有するカバー部材3を用意し、これらを適宜組み合わせることにより、色彩または模様が異なる12種類の窓枠を提供することができる。これは、カバー部材3を備えることのない色彩または模様が異なる12種類の窓枠2を製作する場合に比較して、製作費の大幅な低減を図ることができる。
【0029】
カバー部材3は、その長手方向に対する垂直断面形状をアングル状に加工してある。ここで、アングル状とは、カバー部材3の長手方向に対する垂直断面形状として、図4〜図9に例示するような基本的骨格としての形態が、略J字状もしくは略逆J字状、または略U字状もしくは略逆U字状であるものを含む。
図4に示すカバー部材3は、略逆J字状をなし、一端に設けられた係合部3aが樹脂製枠体2の室内側突条片12の頂部12aに係合されるとともに、他端に設けられた係止部3bが樹脂製枠体2に設けられた係止溝2aに係止されることにより、室内側突条片12の室内側表面を覆うようにして、樹脂製枠体2に取付けられている。
【0030】
係止溝2aは、樹脂製枠体2を建物の開口部に取付けられるための樹脂製枠体2の室内側端面に設けられた室内側に延びる横取付片11の基部に、樹脂製枠体2を構成する下枠材7の長手方向に沿って設けられ、この係止溝2aにカバー部材3の係止部3bが弾性的に係止されている。
弾性的に係止されることにより、カバー部材3を、樹脂製枠体2に着脱可能に簡単に取付けることができる。
【0031】
着脱可能とすることにより、建物の内装がリホームされた場合、既設の枠材3を建物躯体5に取り付けた状態で、新たなカバー部材3に取り替えることにより、窓枠1を内装に合致させることができる。
【0032】
図5に示すカバー部材14は、前記カバー部材3と同様に、一端に係合部14a、他端に係止部14bを有し、同様にして樹脂製枠体2に取付けられているが、このカバー部材14には、室内側Aに延びる額縁取付片14cが設けられている。この額縁取付片14cと、樹脂製枠体2を建物躯体5に取付けるための横取付片11との間に、額縁(図示略)を挾持して額縁を取付けることにより、額縁取付片14cが額縁の内周面を覆い、この部分の色彩または模様を樹脂製枠体2の室内側突条片12を覆うカバー部材14の部分と連続したものとすることができる。
【0033】
図6に示すカバー部材15は、一端に係合部15a、他端に係止部15bと横取付片カバー部15cとを有する。この横取付片カバー部15cを設けることにより、樹脂製枠体2の横取付片11の室内側表面を横取付片カバー部15cが覆い、この部分の色彩または模様を樹脂製枠体2の室内側突条片12を覆うカバー部材15の部分と連続したものとすることができる。
【0034】
図7に示すカバー部材16は、額縁取付片16cと横取付片カバー部16dの両者を有するものである。16aは係合部、16bは係止部を示す。
【0035】
図8に示すカバー部材17は、一端に係合部17a、他端近傍に波状係止部17bを有する。この波状係止部17bは、樹脂製枠体18の室内側突条片18aにおける室内側表面の横取付片18dの近傍に設けられた波状係止溝18cに係止され、同時に係合部17aが室内側突条片18aの頂部18bに係合されることにより、カバー部材17が樹脂製枠体18に取付けられる。
【0036】
図9に示すカバー部材19は、略逆U字状をなし、一端に係合部19a、他端に第1係止部19bを有するとともに、前記一端のアングルを形成する端部が延びて略逆U字状を形成し、その先端にも第2係止部19cを有する。
樹脂製枠体20は、横取付片20eの基部に第1係止溝20cを有するとともに、室内側突条片20aの室内側表面の基部にも第2係止溝20dを有する。
【0037】
カバー部材19は、係合部19aが室内側突条片20aの頂部20bに係合されるとともに、第1係止部19b、第2係止部19cがそれぞれ第1係止溝20c、第2係止溝20dに係止されることにより、樹脂製枠体20に取付けられる。
【0038】
以上説明したように、本発明におけるカバー部材の具体的形態は、各種のものがあり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜のものを選択することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 窓枠
2 樹脂製枠体
2a 係止溝
3 カバー部材
3a 係合部
3b 係止部
4 障子
5 建物躯体
6 上枠材
7 下枠材
8 左縦枠材
9 右縦枠材
10 縦取付片
11 横取付片
12 室内側突条片
12a 頂部
13 係止溝
14 カバー部材
14a 係合部
14b 係止部
14c 額縁取付片
15 カバー部材
15a 係合部
15b 係止部
15c 横取付片カバー部
16 カバー部材
16a 係合部
16b 係止部
16c 額縁取付片
16d 横取付片カバー部
17 カバー部材
17a 係合部
17b 波状係合部
18 樹脂製枠体
18a 室内側突条片
18b 頂部
18c 波状係止溝
18d 横取付片
19 カバー部材
19a 係合部
19b 第1係止部
19c 第2係止部
20 樹脂製枠体
20a 室内側突条片
20b 頂部
20c 第1係止溝
20d 第2係止溝
20e 横取付片
A 室内
B 室外

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の室内外を連通する開口部に取付けられる樹脂製枠体と、この樹脂製枠体とは異なる色彩または模様を有するカバー部材とからなり、樹脂製枠体は、当該樹脂製枠体における室内側端部において、樹脂製枠体の枠内側向きに突出し、かつ樹脂製枠体を構成する枠材の長手方向に延びる室内側突条片を備えるとともに、カバー部材をもって、前記室内側突条片の少なくとも室内側表面を覆うようにしたことを特徴とする建具。
【請求項2】
樹脂製枠体と、この樹脂製枠体とは異なる色彩または模様を有する複数種類のカバー部材とからなり、所望のカバー部材を選択的に樹脂製枠体に取付け得るようにしたことを特徴とする請求項1記載の建具。
【請求項3】
色彩または模様が異なる複数種類の樹脂製枠体と、これらいずれの樹脂製枠体とも異なる色彩または模様を有する複数種類のカバー部材とからなり、所望の樹脂製枠体とカバー部材とを選択して、樹脂製枠体にカバーを取付け得るようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の建具。
【請求項4】
カバー部材を、その長手方向に対する垂直断面形状をアングル状となし、カバー部材の一端を樹脂製枠体の室内側突条片の頂部に係合するとともに、他端を樹脂製枠体に設けた係止溝に係止することにより、カバー部材を樹脂製枠体に取付けるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
樹脂製枠体を建物の開口部に取付けるための樹脂製枠体の室内側端部の外周面端に設けられた室内側に延びる横取付片の基部または室内側突条片の室内側表面に、樹脂製枠体を構成する枠材の長手方向に沿って係止溝を設け、この係止溝にカバー部材の一端を弾性的に係止させるようにしたことを特徴とする請求項4記載の建具。
【請求項6】
カバー部材に、室内側に延びる額縁取付片または横取付片カバー部を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の建具。
【請求項7】
樹脂製枠体とカバー部材の両者をもって、窓枠を構成する請求項1〜6のいずれかに記載の建具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−87565(P2013−87565A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231285(P2011−231285)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(300088186)株式会社エクセルシャノン (30)