説明

建材

【課題】建材が収縮しても、建材と建材との間の目隙が目立たない建材を提供することである。
【解決手段】矩形の板2と、雄実部3と、雌実部4とを有する建材であって、前記雄実部3と前記矩形の板2の表側の面との間に、前記雄実部3の上方から前記矩形の板2の表側の面に向かって、内側に傾斜する第一の傾斜面5と、前記雌実部4と前記矩形の板2の表側の面との間に、前記第一の傾斜面5と略平行である第二の傾斜面6と、前記第二の傾斜面6の上方から、矩形の板2の表側の面に向かって内側に傾斜する第三の傾斜面7とを有し、一の矩形の板2に設けられた前記雄実部3と、他の矩形の板2aに設けられた前記雌実部4aとを、互いに接合させたときに、一の前記矩形の板2の前記第一の傾斜面5と、他の前記矩形の板2aの前記第三の傾斜面7aとの間にV溝8が形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、建材の構造に関するものである。特に、建材同士の接触部分の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図6に示す床材101が知られている(特許文献1)。図6は、嵌合された2つの床材101が収縮した状態の側面図である。床材101は、隣接した二側面に雄実部103が、他の二側面に雌実部104が施されたものである。さらには、雄実部103の上面から床材101の表側の面にいたる雄実上部当接面と、雌実部104の上面から床材101の表側の面にいたる雌実上部当接面とが、床材101の表側の面に対して略垂直である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−52244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、床材101では、床材101が収縮したときに、雄実部103の上面が見える。そのため、床材101aと床材101bとの間に目隙が生じると、溝の底は目立ち、美観が損なわれるという問題があった。本願発明は、上記背景技術に鑑みてなされたもので、その課題は、建材が収縮しても、目隙が目立ちにくい建材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明の建材では、矩形の板と、矩形の板の側面に設けられた雄実部と、雄実部が設けられた側面とは反対側の側面に設けられた雌実部とを有し、一の矩形の板に設けられた前記雄実部と、他の矩形の板に設けられた前記雌実部とを、互いに接合させることで施工される建材であって、前記雄実部と前記矩形の板の表側の面との間に、前記雄実部の上方から前記矩形の板の表側の面に向かって、内側に傾斜する第一の傾斜面と、前記雌実部と前記矩形の板の表側の面との間に、前記第一の傾斜面と略平行である第二の傾斜面と、前記第二の傾斜面の上方から、矩形の板の表側の面に向かって内側に傾斜する第三の傾斜面とを有し、一の矩形の板に設けられた前記雄実部と、他の矩形の板に設けられた前記雌実部とを、互いに接合させたときに、一の前記矩形の板の前記第一の傾斜面と、他の前記矩形の板の前記第三の傾斜面との間にV溝が形成されることを特徴とする建材とした。
【0006】
また、一の矩形の板の前記第一の傾斜面と、他の矩形の板の前記第二の傾斜面とが接触している場合において、一の矩形の板の裏側の面と、他の矩形の板の裏側の面との間に溝が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の建材は、一の建材の表側の面と他の建材の表側の面との間に目隙が生じても、目隙が目立ちにくいので、美観が損なわれにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明の第一の実施形態における建材の側面図
【図2】本願発明の第一の実施形態における建材と建材とが接合された状態の側面図
【図3】本願発明の第一の実施形態における接合された建材が収縮した状態の側面図
【図4】本願発明の第二の実施形態における建材の側面図
【図5】本願発明の第二の実施形態における接合された建材が収縮した状態の側面図
【図6】従来の嵌合された床材が収縮した状態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、本願発明の第1の実施形態に係る建材1の構造を、図1を用いて説明する。次に、建材1aと建材1bとが接合された状態を、図2を用いて説明する。次に、接合された建材1が収縮した状態を、図3を用いて説明する。
【0010】
本実施形態の建材1は、矩形の板2と、矩形の板2の側面に設けられた雄実部3と、雄実部3が設けられた側面とは反対側の側面に設けられた雌実部4とを有し、一の矩形の板2aに設けられた雄実部3aと、他の矩形の板2bに設けられた雌実部4bとを、互いに接合させることで施工される建材であって、雄実部3と矩形の板2の表側の面との間に、雄実部3の上方から矩形の板2の表側の面に向かって、内側に傾斜する第一の傾斜面5と、雌実部4と矩形の板2の表側の面との間に、第一の傾斜面5と略平行である第二の傾斜面6と、第二の傾斜面6の上方から、矩形の板2の表側の面に向かって内側に傾斜する第三の傾斜面7とを有し、一の矩形の板2aに設けられた雄実部3aと、他の矩形の板2bに設けられた雌実部4bとを、互いに接合させたときに、一の矩形の板2aの第一の傾斜面5aと、他の矩形の板2bの第三の傾斜面7bとの間にV溝8が形成されるものである。また、一の矩形の板2aの第一の傾斜面5aと、他の矩形の板2bの第二の傾斜面6bとが接触している場合において、一の矩形の板2aの裏側の面と、他の矩形の板2bの裏側の面との間に溝9が形成されるものである。
【0011】
図1に示す建材1は、矩形の板2と、矩形の板2の側面に設けられた雄実部3と、雄実部3が設けられた側面とは反対側の側面に設けられた雌実部4とを有している。矩形の板2は、上部材21と下部材22とで構成されている。上部材21には、主にMDF(Medium Density Fiberboard)等の表側の面が平滑で硬質な材料が使用されており、その表側の面には化粧単板やプラスチックシートあるいは塗装等の表側の面化粧が施されている。上部材21としては、無垢の厚い板材が用いられることもある。下部材22は合板やパーチクルボードといった強度と厚みのある材料が使用されている。建材1の全体の厚みは12〜15mmが一般的である。上部材21と下部材22とは、面同士が接着一体化されている。
【0012】
雄実部3は、矩形の板2の側面に設けられる。一方、雌実部4は、雄実部3が設けられた矩形の板2の側面とは反対側の側面に設けられている。本実施形態においては、雄実部3と雌実部4とは、それぞれ矩形の板2を構成する下部材22に設けられている。雄実部3は、略三角柱を形成している。一方、雌実部4は、雄実部3と接合できるように形成されており、略三角柱を形成している。
【0013】
なお、矩形の板2の側面であれば、雄実部3と雌実部4とは、それぞれ上部材21に設けられてもよいし、上部材21と下部材22とを跨いで設けられてもよい。
【0014】
建材1は、第一の傾斜面5を有する。第一の傾斜面5は、雄実部3の上方から、矩形の板2の表側の面(上部材21の表側の面)に向かって、内側に傾斜する。本実施形態において、第一の傾斜面5の表側の面と、雄実部3の上部の表側の面とは、一連の面になっている。
【0015】
このように、雄実部3の表側の面と第一の傾斜面5とを一連の面にすることで、切削する面を減らすことができる。したがって、建材1を切削する工程が減り、建材1の製造を簡易にすることができる。
【0016】
建材1は、第二の傾斜面6を有する。第二の傾斜面6は、雌実部4の上方から、上部材21と下部材22との境目(雌実部4と矩形の板2の表側の面との略中央部)まで形成されている。そして、第二の傾斜面6は、雌実部4の上方から、上部材21と下部材22との境目に向かって、外側の傾斜を有するものである。本実施形態において、第二の傾斜面6の表側の面と、雌実部4の上部の表側の面とは、一連の面になっている。したがって、上記同様に、建材1の製造を簡易にすることができる。
【0017】
さらに、建材1は、上部材21と下部材22との境目から、矩形の板2の表側の面に向かって、内側に傾斜する第三の傾斜面7を有する。
【0018】
さらには、建材1は、雄実部3の下方から、矩形の板2の裏側の面まで内側に傾斜する第四の傾斜面10を有している。さらには、建材1は、雌実部4の下方と矩形の板2の裏側の面との略中央部まで、外側の傾斜を有する第五の傾斜面11を有する。第五の傾斜面11は、第四の傾斜面10と、略平行になるように形成されている。さらには、建材1は、雌実部4と反対側の第五の傾斜面11の端から、矩形の板2の裏側の面まで、内側の傾斜を有する第六の傾斜面12を有する。
【0019】
なお、第四の傾斜面10の表側の面と、雄実部3の表側の面とは、一連になっている。また、第五の傾斜面11の表側の面と、雌実部4の表側の面とは、一連になっている。したがって、上記同様に、建材1の製造を簡易にすることができる。
【0020】
図2に示すように、一の矩形の板2aの第一の傾斜面5aと、他の矩形の板2bの第二の傾斜面6bとが接触している場合において、一の矩形の板2aの裏側の面と、他の矩形の板2bの裏側の面との間に溝9が形成される構造を、建材1は有する。
【0021】
このような構造を建材1が有することで、建材1は湿度の変化等により収縮しても、凹反りと凸反りとを、それぞれすることができる。したがって、建材1aと建材2aとは、無理なく滑らかに密着するので、馴染みが良くなる。
【0022】
なお、凹反りとは、建材1の表側の面を上向きとして、建材1を単独で水平面においた際、建材1の両端部が持ち上がったものをいう。一方、これとは逆に、凸反りとは、建材1の表側の面を上向きとして、建材1を単独で水平面においた際、建材1の中央部が持ち上がったものをいう。
【0023】
なお、一の建材1aの裏側の面と、他の建材1bの裏側の面との間の溝9も、V溝であることが好ましい。溝9の形状がV溝8の形状に似ていると、建材1は凹反りと凸反りとを、それぞれ、さらにしやすいからである。
【0024】
図3に示すように、建材1が湿度の変化等により収縮すると、雄実部3aと雌実部4bとは、接触しなくなる。しかしながら、建材1が収縮しても、本実施形態では建材1aと建材1bとの間に、建材1が収縮する前と同様に、V溝8が形成されている。そのため、建材1の表側の面側から建材1を見ると、建材1aと建材1bとの間のV溝8の底は、建材1が収縮する前と同様に、線に見える。したがって、建材1aと建材1bとの間に目隙が生じても、V溝8の底は目立たず、美観はあまり損なわれない。
【0025】
[第2の実施形態]
次に、本願発明の第2の実施形態に係る建材201の構造を、図4を用いて説明する。さらに、建材201が収縮した状態について図5を用いて説明する。本実施形態においては、第一の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0026】
建材201の雄実部203は、凸部を形成している。より具体的には、雄実部203は略四角柱になっている。一方、雌実部204は、凹部を形成しており、雄実部203と接合できる形状になっている。
【0027】
一方、本実施形態における建材201は、第六の傾斜面12が設けられていない。その代わりに、第五の傾斜面211が、雌実部204の下方から、矩形の板202の裏側の面まで内側に傾斜している。
【0028】
図5に示すように、湿度の変化等により、建材201が収縮すると、雄実部203と雌実部204とは接触しない部分が生じる。しかしながら、建材201が収縮しても、建材201aの表側の面と建材201bの表側の面との間に、V溝208が形成されている。建材201の表側の面側から建材201を見ると、建材201aと建材201bとの間に形成されるV溝208の底は、線に見える。したがって、建材201aの表側の面と建材201bの表側の面との間に目隙が生じても、美観が損なわれることはない。
【0029】
なお、第五の傾斜面211は、溝209が形成されれば、建材201の裏側の面に対して略垂直であっても、外側に傾斜する傾斜面でもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 建材
2 矩形の板
3 雄実部
4 雌実部
5 第一の傾斜面
6 第二の傾斜面
7 第三の傾斜面
8 V溝
9 溝
21 上部材
22 下部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の板と、
矩形の板の側面に設けられた雄実部と、
雄実部が設けられた側面とは反対側の側面に設けられた雌実部とを有し、
一の矩形の板に設けられた前記雄実部と、他の矩形の板に設けられた前記雌実部とを、互いに接合させることで施工される建材であって、
前記雄実部と前記矩形の板の表側の面との間に、前記雄実部の上方から前記矩形の板の表側の面に向かって、内側に傾斜する第一の傾斜面と、
前記雌実部と前記矩形の板の表側の面との間に、前記第一の傾斜面と略平行である第二の傾斜面と、
前記第二の傾斜面の上方から、矩形の板の表側の面に向かって内側に傾斜する第三の傾斜面とを有し、
一の矩形の板に設けられた前記雄実部と、他の矩形の板に設けられた前記雌実部とを、互いに接合させたときに、一の前記矩形の板の前記第一の傾斜面と、他の前記矩形の板の前記第三の傾斜面との間にV溝が形成される
ことを特徴とする建材。
【請求項2】
一の矩形の板の前記第一の傾斜面と、他の矩形の板の前記第二の傾斜面とが接触させたときに、一の矩形の板の裏側の面と、他の矩形の板の裏側の面との間に溝が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の建材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−92544(P2012−92544A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239986(P2010−239986)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】