説明

建物の作業設備

【課題】外部から供給される電力を減少させる。
【解決手段】解体作業空間での作業によって発生した振動を振動発電装置Gが電気エネルギーに変換され蓄電池148を充電する。また、回生システム115が、クレーン112の巻上電動機Mを発電機として作動させることで、回生電力を発生させて、蓄電池148を充電する。更に、ソーラーパネル128が太陽光発電を行い蓄電池148を充電する。そして、この蓄電地148から供給される電力を解体作業空間で行う解体作業で利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の作業設備に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の合理化施工を目的として、仮設屋根や天井クレーン等が設けられた仮囲いで建物の施工階を囲み、この仮囲いを施工の進捗に伴って上昇させていく技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、全天候カバーや天井走行クレーン等が設けられ建物の周囲を囲う外構を、複数の昇降装置によって上昇させる周辺保持自昇式建築工法が開示されている。
【0004】
このような周辺保持自昇式建築工法では、仮囲いの中の照明や各種作業に用いる電力は、電力会社から供給される商業用電源や自家発電電源の外部から供給される電力によって賄われている。
【0005】
ここで、近年、地球温暖化問題に絡んで省エネルギーやエコロジーに関する関心が高まっている。よって、建築現場や解体現場においても、できるだけ商業用電源や自家発電電源などの外部から供給される電力を減らすことが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−133016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は係る事実を考慮し、外部から供給される電力を減少させることができる建物の作業設備を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、建物の上部の周囲を囲い前記建物の上部に作業空間を形成すると共に、前記建物に沿って昇降可能な養生部と、前記作業空間で使用する電力を供給可能な蓄電手段と、前記作業空間での作業によって発生した運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、前記蓄電手段を充電するエネルギー回収手段と、を備える建物の作業設備。
【0009】
請求項1の発明では、エネルギー回収手段によって、作業空間での作業によって発生した運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、蓄電手段が充電される。そして、この蓄電手段に充電された電力を作業空間で使用する。
【0010】
このように、作業空間での作業によって発生した運動エネルギーを電気エネルギーに変換して作業空間で使用するので、その分、外部から供給される電力が減少する。
【0011】
請求項2の発明は、前記エネルギー回収手段は、前記作業空間での作業によって発生した振動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動発電装置を有する。
【0012】
請求項2の発明では、振動発電装置が、作業空間での作業によって発生した振動エネルギーを電気エネルギーに変換して、蓄電手段を充電する。よって、外部から供給される電力が減少する。
【0013】
請求項3の発明は、前記作業空間には、荷降ろし又は荷挙げを行うクレーン装置が設けられ、前記エネルギー回収手段は、前記クレーン装置の電動機を発電機として作動させ回生電力を発生させる回生システムを有する。
【0014】
請求項3の発明では、回生システムが、クレーン装置の主に荷降ろし時に電動機を発電機として作動させることで、回生電力を発生させて、蓄電手段を充電する。よって、外部から供給される電力が減少する。
【0015】
請求項4の発明は、前記養生部の外壁を構成する防音壁と、前記防音パネルに設けられ、前記蓄電手段を充填する太陽光発電装置と、を備える。
【0016】
請求項4の発明では、防音壁に設けられた太陽光発電装置が発電して、蓄電手段を充電する。よって、外部から供給される電力が減少する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エネルギー回収手段で蓄電手段を充電しない構成と比較し、外部から供給される電力を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る移動式囲いを示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る解体建物を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る外構を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る外構を示す拡大図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る昇降装置を示す背面図である。
【図7】図6のB−B〜E−E断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る固定装置を示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る固定装置を示す正面図である。
【図10】本発明の実施形態に係るエネルギーマネジメントシステムを示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態に係る振動発電装置を示す正面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る解体方法を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態に係る昇降装置の下降手順を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態に係る接合構造の変形例を示す説明図である。
【図15】本発明の実施形態に係る隙間養生装置を示す側面図である。
【図16】本発明の実施形態に係る隙間養生装置を示す側面図である。
【図17】本発明の実施形態に係る隙間養生装置の変形例を示す側面図である。
【図18】本発明の実施形態に係る作業設備で解体建物を上部から解体する様子を(A)〜(C)へと順番に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の実施形態では、図1の側面図に示す解体建物10に本発明を適用した例を示すが、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete-Filled Steel Tube:充填形鋼管コンクリート構造)、それらの混合構造など、さまざまな構造や規模の建物に対して適用することができる。
【0020】
<作業設備>
まず、本発明の実施形態に係る作業設備900の全体構成について説明する。
作業設備900は、解体空間構築システム、揚重システム、及びエネルギーマネジメントシステムにより構成されている。
【0021】
図1に示すように、作業設備900を構成する養生部902によって、解体建物10の上部を囲むことで解体作業空間904(図18も参照)が形成される。そして、この解体作業空間904の中で解体作業を行うことによって、解体作業時に解体階から発生し、解体建物10の周辺へ至る振動、騒音、粉塵等が抑制される。
【0022】
揚重システムは、解体作業空間904において、複数のクレーン112を稼働させることにより、解体作業の作業効率を向上させる。
【0023】
また、エネルギーマネジメントシステムは、解体作業に伴って発生する運動エネルギーや太陽光を電気エネルギーに変換して電力として利用することで、外部から供給される電力が減少する(図10も参照)。
【0024】
解体した部材906を、クレーン112(図1では後述するクレーン112D)で、解体建物10の中に上下方向に沿って設けられた運搬空間908を利用して降ろしていく。
【0025】
そして、図18に示すように、解体階を解体した後に養生部902を下降させ、解体建物10を上部から下へと順次解体していく。
【0026】
<解体空間構築システム>
図1に示すように、解体空間構築システムは、移動式囲い12、壁構造体14、及び隙間養生装置170によって構成された養生部902を有している。また、移動式囲い12は、架構としての外構16と、昇降手段としての昇降装置18とを備えている。
【0027】
[移動式囲い]
図2の平面図に示すように、外構16は、解体建物10の解体階26の外周全てを囲むようにして配置されている。
【0028】
図1に示すように、解体建物10は、円筒状の鋼管の中に高強度コンクリートを密実に充填したCFT造の柱28と、鉄骨造の梁30と、コンクリート造の床スラブ32とによって躯体を構成し、外壁面に外壁パネル34が設置された30階建ての高層ホテルである。すなわち、柱28は躯体柱、梁30は躯体梁、床スラブ32は躯体床を構成している。
【0029】
図3の斜視図に示すように、外構16は、複数の支柱20と、隣り合う支柱20同士を連結する繋ぎ梁22と、隣り合う支柱20同士を連結して支柱20を拘束する連結部材としてのブレース部材24とによって構成された架構である。繋ぎ梁22はH形鋼からなり、ブレース部材24はL形鋼からなる。支柱20の上には、解体建物10の桁行方向Y(図2を参照のこと)に沿って配置された受け梁40が架設されている。
【0030】
図4の拡大図に示すように、支柱20は、H形鋼からなり桁行方向Yへ並んで配置され略鉛直に立てられた一対の外フレーム36と、トラスを構成するように配置されて一対の外フレーム36同士をつなぐトラス部材38とによって構成されている。外フレーム36はH形鋼からなり、トラス部材38はL形鋼からなる。繋ぎ梁22の端部は、溶接等によって外フレーム36に接合されている。
【0031】
図4のA−A断面図である図5(a)に示すように、ブレース部材24の端部は、拘束手段としての接合構造42によって、外フレーム36に設けられた鋼製のガセットプレート44に接合されている。
【0032】
接合構造42は、ボルト46、ワッシャ48、テーパー付きワッシャ50、及びナット52によって構成されており、ワッシャ48を通したボルト46を、ブレース部材24の端部に形成された貫通孔54と、ガセットプレート44のコーナー部付近に形成された貫通孔56とへこの順に貫通させ、テーパー付きワッシャ50を通した後にナット52にねじ込んでいる。そして、ナット52に対してボルト46を締め付けることにより、ブレース部材24の端部をガセットプレート44に接合している。
【0033】
貫通孔56の径は、テーパー付きワッシャ50を構成するテーパー部の先端部分が入り込めるように、ボルト46を貫通させるのに必要な最小限の径よりも大きくなっている。これにより、ボルト46を緩めることによって、ブレース部材24による支柱20の拘束度合いをより小さくすることができるとともに、ボルト46を締め付けることによって、ボルト46の中心位置と貫通孔56の中心位置とを略一致させることができる。
【0034】
このような構成により、接合構造42は、ボルト46を締め付けたり、緩めたり、緩めて外したりして、支柱20(ガセットプレート44)とブレース部材24の端部との接合部58の接合力を調整することができる。すなわち、ブレース部材24により支柱20を拘束する拘束力を変更することができる。図5(b)には、ボルト46を緩めた状態の接合構造42が描かれている。
【0035】
[昇降装置]
図6の背面図に示すように、昇降装置18は、外構16を構成する支柱20、支柱20の一対の外フレーム36間に配置される内支柱68、電動モータ72、ボールねじ76、及びボールねじ用ナット78を備えている。
【0036】
内支柱68は、桁行方向Yへ並んで配置され略鉛直に立てられた一対の内フレーム70と、一対の内フレーム70同士をつなぐ繋ぎ部材74と、一対の内フレーム70の上端面に左右両端部が固定された板状部材80と、によって構成されている。本実施形態においては、内フレーム70は、H形鋼からなる。
【0037】
図7に示すように、ボールねじ76は、一対の外フレーム36の間、及び一対の内フレーム70の間に回転可能に配置されている。
【0038】
図6に示すように、電動モータ72は、一対の外フレーム36間に架け渡された板状部材82の上面に固定されており、回転軸(不図示)がボールねじ76の上端部に接続されている。よって、電動モータ72を駆動させることにより、ボールねじ76を回転させることができる。
【0039】
図7(a)に示すように、板状部材80の上面にはボールねじ用ナット78が固定されており、このボールねじ用ナット78にボールねじ76が捩じ込まれて貫通している。よって、ボールねじ76を回転させることによりボールねじ76の回転運動をボールねじ用ナット78の直線(上下)運動に変換し、支柱20に対して内支柱68を上下方向に相対移動させることができる。
【0040】
一対の内フレーム70の上下端部には、外フレーム36のフランジ間に突出するように設けられ上下方向へ移動可能なガイド部材84が設けられている。これによって、内支柱68は、一対の外フレーム36の間から外れることなく、支柱20に対して上下方向へ相対移動することができる。
【0041】
一対の外フレーム36には、外フレーム36の内側に(解体建物10へ向かって)張り出す3つのアーム部材86A、86B、86Cがこの順に下から上へ設けられており、一対の内フレーム70には、内フレーム70の内側に(解体建物10へ向かって)張り出す3つのアーム部材88A、88B、88Cがこの順に下から上へ設けられている。アーム部材86Aとアーム部材86B、アーム部材86Bとアーム部材86C、アーム部材88Aとアーム部材88B、及びアーム部材88Bとアーム部材88Cとの中心間の距離Lは、解体建物10の上下階に配置された床スラブ32の上面間の距離L(図1を参照のこと)と略等しくなっている。
【0042】
外フレーム36(支柱20、図6参照)及び内フレーム70(内支柱68、図6参照)は、図8及び図9に示す固定装置90のアーム接合部92と、アーム部材86A〜86C、88A〜88Cの先端部とを接合することによって、解体建物10の周囲に取り付けられる。すなわち、外フレーム36(支柱20、図6参照)及び内フレーム70(内支柱68、図6参照)は、解体建物10(図1参照)を構成する躯体柱としての柱28(図1参照)に固定されることにより、解体建物10(図1参照)の周囲に取り付けられている。
【0043】
固定装置90は、鉛直部材108、110の上下端部に設けられ、解体建物10の柱28を平面視にて左右に挟み込む把持部94、96と、鉛直部材108、110から外構16へ向かって張り出すアーム部98、100と、アーム部98、100の先端部に固定されたアーム接合部92とによって構成されている。
【0044】
把持部94、96の内周面は、柱28の外周面と略等しい形状になっており、把持部94、96により柱28を挟み込む方向に対して把持部94、96の両側には、連結プレート102が設けられている。そして、把持部94の連結プレート102と把持部96の連結プレート102とをつなぐボルト104に対してナット106を締め付けることにより把持部94、96を柱28に押し付ける。これにより、柱28に固定装置90を固定することができる。
【0045】
柱28への固定装置90の固定作業、及び固定装置90のアーム接合部92へのアーム部材86A〜86C、88A〜88Cの先端部の接合作業は、図1に示す解体建物10の床スラブ32の上や、枠組足場60の上に作業員が載って行うことができるので、作業を安全に行うことができる。
【0046】
なお、図6に示すように、昇降装置18により解体建物10(図1参照)に対して支柱20(外構16(図1参照)を昇降させる際には、まず、支柱20のアーム部材86A、86Bの先端部を柱28に固定された固定装置90のアーム接合部92に接合し、アーム部材88A〜88Cを固定装置90のアーム接合部92に接合しない状態で、電動モータ72を稼働しボールねじ76を回転させて支柱20に対して内支柱68を昇降させる。
【0047】
そして次に、内支柱68のアーム部材88A、88Bの先端部を柱28に固定された固定装置90のアーム接合部92に接合し、アーム部材86A、86Bの先端部のアーム接合部92への接合を解除した後に、電動モータ72を稼働しボールねじ76を回転させて内支柱68に対して支柱20を昇降させることにより、外構16を昇降させる。
【0048】
昇降装置18には、リミットスイッチ(不図示)が設けられており、支柱20に対する内支柱68の上下移動の移動量、及び内支柱68に対する支柱20の上下移動の移動量が、所定値以上になったときに、これらの上下移動を自動的に止めることができる。また、昇降装置18には、支柱20又は内支柱68に作用する鉛直荷重を計測する計測装置(不図示)が設けられており、支柱20又は内支柱68に作用する鉛直荷重が所定値以上になったときに、支柱20に対する内支柱68の上下移動、及び内支柱68に対する支柱20の上下移動を自動的に止めることができる。また、解体建物10や枠組足場60等に設置された非常停止ボタンを押すことによって、支柱20に対する内支柱68の上下移動、及び内支柱68に対する支柱20の上下移動を強制的に止めることができる。
【0049】
図1に示すように、養生部902を構成する壁構造体14は、枠組足場60と、防音壁62とによって構成されている。
【0050】
図1及び図7(d)に示すように、外フレーム36の下端部には、外構16の外側(解体建物10から離れる側)へ張り出す受け梁64が設けられており、この受け梁64の上に設置された足場板(不図示)の上に、複数層(図1では10層)を形成するように枠組足場60が建てられている。
【0051】
防音壁62は、枠組足場60の側面に取り付けられ略隙間無く配置された複数の防音パネル66により形成されている。また、図1及び図18に示すように、防音パネル66の外壁面には、ソーラーパネル128(図10と図18も参照)が固定されている。
【0052】
[隙間養生装置]
図15及び図16に示すように、隙間養生装置170は、閉塞部材172と、支持手段としての支持部材174と、摺動部としてのゴムシート176と、固定部材としてのエアーチューブ178と、車輪180と、を有している。
【0053】
閉塞部材172は、L形鋼からなる支持アーム182と、支持アーム182の上面に固定された薄鉄板184と、により構成されている。支持部材174は、外構16に設けられた枠組足場60に固定され解体建物10の外壁パネル34へ向かって張り出しており、支持アーム182の一端部186を回転可能に支持している。すなわち、支持部材174は、外構16に設けられて閉塞部材172を回動可能に支持している。
【0054】
支持アーム182の他端部188には、本実施形態ではC形鋼で構成された摺動部固定部材190が、材軸と外壁パネル34の壁面とが略平行になるように固定されている。摺動部固定部材190の外表面には、ゴムシート192が貼られ、摺動部固定部材190の下部には車輪180が設けられている。また、支持アーム182の上面には、薄鉄板184が固定されている。
【0055】
ゴムシート176は、閉塞部材172の自由端側に位置する摺動部固定部材190に一端部がボルト194で固定され、他端部が外壁パネル34の壁面に寄り掛かるようにして、外構16の下降に伴って、撓んだ状態でこの外壁パネル34の壁面(解体建物10の外壁)を摺動する。
【0056】
このような構成により、薄鉄板184とゴムシート176とによって、外構16と解体建物10の外壁(外壁パネル43の壁面)との隙間(例えば、500mm程度の隙間)を塞いでいる。
【0057】
エアーチューブ178は、ゴムシート192とともに密閉状態を構成するように、ゴムシート196の両端部を摺動部固定部材190にボルト194、198で固定することにより形成されている。
【0058】
エアーチューブ178は、空気が注入されることによって、膨張して外壁パネル34の壁面(解体建物10の外壁)に押し当てられる。また、エアーチューブ178の空気を抜いて、エアーチューブ178を収縮させた状態で、車輪180が外壁パネル34の壁面に接触する。
【0059】
[揚重システム]
揚重システムは、図1に示すように、解体作業空間904内に配置された複数のクレーン112A〜112Eと、梁114、116によって構成されている。また、移動式梁114には、解体作業空間904の上面を覆うように開閉式屋根118が設置されている。
【0060】
梁116は、H形鋼により構成され、支柱20の上に架設され対向して配置された受梁40の上に敷設されたレール上を走行することにより、桁行方向Yへ平行移動する。
【0061】
クレーン112Aは、梁116の下面に取り付けられたH形鋼からなるレール120に沿って解体建物10の梁間方向X(図2を参照のこと)へ移動可能な電気ホイスト(例えば、吊り能力7.5ton)である。
【0062】
クレーン112Bは、梁114の左右両端付近に設置され、外周に配置された柱28の撤去のための仮吊りに主に用いられる手動チェンブロック(例えば、吊り能力3ton)である。
【0063】
クレーン112Cは、梁114の略中央に設置された手動チェンブロック(例えば、吊り能力1ton)である。
【0064】
クレーン112Dは、梁114の右端部の上に設置され、梁114に取り付けられた方向転換シーブ122を介して下方へ吊り下げられるワイヤーを巻き上げるウインチ124(例えば、吊り能力3ton)である。
【0065】
クレーン112Eは、最上層の枠組足場60に設置され、外壁パネル34の揚重に主に用いられるテルハ(例えば、吊り能力0.23ton)である。
【0066】
クレーン112A〜112Eは、固定タイプ、一方向移動タイプ、二方向移動タイプの3タイプに分けられる。固定タイプは、水平方向に移動しないクレーンであり、一方向移動タイプは、桁行方向Yへのみ移動可能なクレーンであり、二方向移動タイプは、梁間方向Xと桁行方向Yとの二方向へ移動可能なクレーンである。
【0067】
一方向タイプのクレーンには、クレーン112Eが該当し、固定タイプのクレーンには、クレーン112B、112C、112Dが該当し、二方向移動タイプのクレーンには、クレーン112Aが該当する。
【0068】
そして、各クレーン112は、解体建物10の中に上下方向に沿って設けられた運搬空間908を部材906利用して降ろしていく。
【0069】
[エネルギーマネジメントシステム]
(エネルギーマネジメントシステムの概要)
エネルギーマネジメントシステム126の概要について説明する。
【0070】
図10に示すように、クレーン112A〜112E(図1を参照)に設けられた回生システム115及び解体建物10の柱等の振動する部分132に設けられた振動発電装置G(図1、図11を参照)によって発生させた電気エネルギーが蓄電池148に充電される。
【0071】
また、図1及び図18に示すように養生部902の側壁(防音パネル66の外壁面)と屋根とに固定されたソーラーパネル128(図1も参照)が太陽光発電することによって発生させた電気エネルギーが蓄電池148に充電される。
【0072】
そして、図10に示すように、蓄電地148から供給される電力を解体作業空間904(図1参照)で行う解体作業で利用する。
【0073】
つぎに、エネルギーマネジメントシステム126について、詳しい説明を行う。
【0074】
(回生システム)
図10に示すように回生システム115によって、クレーン112A〜112E(図1を参照)の巻上電動機Mをクレーン112A〜112E(図1参照)の巻き下げ稼働時(荷降し時)に、巻上電動機Mを発電機として回生電力を発生させ、回生システム115を構成する巻き上げインバータ150を介して、蓄電池148を充電する。別の観点から説明すると、荷降ろし時の落下エネルギーを利用して発電し、蓄電池148を充電する。
【0075】
回生システム115を構成する制動抵抗器ユニット156は、巻き上げインバータ150が蓄電池148に出力する直流電圧(直流母線電圧)を検出し、予め定められた既定最大電圧以上となった場合には回生システム115を構成する回生抵抗器158へ電流を流し、既定電圧よりも低くなった場合には回生抵抗器158へ電流を流すことをやめる。別の観点から説明すると、充電池148を充電する動作開始電圧と動作停止電圧とにヒステリシスがある動作となる。
【0076】
このような制動抵抗器ユニット156の働きにより、蓄電池148の電圧よりも、蓄電池148に出力する電圧(直流母線電圧)が高電圧になること(回生失効)が防止され、この結果、AC/DCコンバータ144、蓄電池148、回生システム115を構成するクレーン巻上インバータ150等が保護される。
【0077】
(振動発電装置)
図10に示す振動発電装置Gは、図1に示す解体建物10の柱28、梁30、床スラブ32等や、解体作業に用いる重機、機器等の振動体に設けられている。そして、解体作業に伴って発生する振動エネルギーが電気エネルギーに変換され、AC/DCコンバータ144(図10を参照)に送られる。
【0078】
振動発電装置Gは、振動エネルギーを電気エネルギーに変換できるものであればよい。よって、次に、振動発電装置Gの一例について図11を用いて説明する。
【0079】
図11に示す一例としての振動発電装置130は、柱28の側面や床スラブ32の上面等(図1参照)の振動する部分132に取り付けられる台座134と、台座134に固定されたコイル136と、台座134に一方の端部が固定されたコイルばね138と、コイルばね138の他方の端部に固定された錘140と、錘140の下面に固定されコイル136に相対移動可能に挿入された磁石142と、を備えている。
【0080】
振動発電装置13の台座134に振動が伝達されると、磁石142が振動し、コイル136に対して磁石142が相対移動する。これにより、電磁誘導の原理によってコイル136から交流電流が発生し、AC/DCコンバータ144に送られる。
【0081】
(ソーラーパネル)
図10に示すように、ソーラーパネル128に設けられた太陽電池(図示略)により、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換し、パワーコンディショナ168を介して、交流電流がAC/DCコンバータ144に送られる。
【0082】
(全体構成)
図10に示すように、これら振動発電装置G及びソーラーパネル128からAC/DCコンバータ144に送られた交流電流は、AC/DCコンバータ144により直流電流へ変換され、蓄電池148に充電され電気エネルギーが蓄えられる。また、商業用電源146からもAC/DCコンバータ144に交流電流が送られ、直流電流へ変換され、蓄電池148に充電され電気エネルギーが蓄えられる。
【0083】
このようにして、蓄電池148に蓄えられた電気エネルギーの一部は、CVCF装置154により交流電流に変換され配電盤152へ送られる。そして、配電盤152を介して、場内照明(図示略)等の電源として利用される。
【0084】
また、蓄電池148に充電された電気エネルギーの一部は、回生システム115を構成するクレーン巻上インバータ150で交流電流に変換され、クレーン112A〜112Eの巻上電動機Mによる巻き上げの作動に使用される。
【0085】
<解体方法>
ここで、作業設備900を用いた解体建物10の解体方法の一例について説明する。なお、前述したように、図18に示すように、解体階を解体した後に養生部90を下降させ、解体建物10を上部から下へと順次解体していく。
【0086】
なお、説明の都合上、図12(a)〜(d)の側面図においては、解体階26をN階、解体階26の1つ下の階をN−1階、解体階26の2つ下の階をN−2階、解体階26の3つ下の階をN−3階とする。また、図13(a)〜(h)の背面図では、その位置にあるアーム部材86A〜86C、88A〜88Cの先端部を、解体建物10の柱28に固定された固定装置90のアーム接合部92に接合した状態であることを○の記号で示し、その位置にあるアーム部材86A〜86C、88A〜88Cを解体建物10に固定していない状態であることを×の記号で示す。
【0087】
まず、図12(a)に示すように、解体建物10の周囲に複数の支柱20を取り付けて(外周の柱28に固定されたN階、N−1階、及びN−2階の固定装置90のアーム接合部92に、アーム部材86A〜86C、88A〜88Cの先端部を接合して)、解体建物10の解体階26(N階)を外構16により囲む。複数の支柱20は、ブレース部材24の両端部の接合構造42において、ナット52に対してボルト46を完全に締め付けて、ブレース部材24の両端部をガセットプレート44に接合した状態で(図5(a)を参照のこと)、解体建物10の周囲に取り付ける。すなわち、外構16は、ブレース部材24により支柱20が拘束された状態になっている。これにより、N階とその上部に解体作業空間904が構築される。
【0088】
次に、解体作業を行うN階、及びN階付近の下階(例えば、N−1〜N−3)に、床スラブ32を支持する仮設の移動式支保工(不図示)を配置した後に、解体作業空間904で解体作業を行う。
【0089】
解体作業において、梁30はガス溶断により、床スラブ32はロードカッターにより、コンクリート壁はワイヤソーにより、柱28はワイヤソーやガス溶断と圧砕とにより切断して、ブロック状の解体部材にして取り出される。また、外壁パネル34は取り外されて、板状の解体部材にして取り出される。そして、これらの解体部材をクレーン112A〜112Eによって地上階へ降ろし、解体建物10の外へ運び出す。このように、解体部材の荷降ろしは、解体建物10の中で行われる(図1及び図18を参照)。
【0090】
次に、図12(b)及び図13(b)に示すように、アーム部材86C、88Cを解体建物10に固定しない状態にし、N階に配置された外周の柱28に固定されていた固定装置90を外した後に、外周の柱28を切断して撤去する。そして、N階の柱28から外した固定装置90をN−3階の外周の柱28に固定する。このとき、外壁パネル34に孔をあけて、この孔から外壁パネル34の外側へアーム部材86A、88Aを突出させる。
【0091】
次に、図13(c)に示すように、アーム部材86A〜86Cを解体建物10に固定しない状態にした後に、ブレース部材24の両端部の接合構造42において、ナット52に対してボルト46を緩めたり、緩めて外したりして、ブレース部材24の端部をガセットプレート44に接合する接合力を小さくすることにより、ブレース部材24により支柱20を拘束する拘束力を変更し弱めた状態にする。
【0092】
次に、図12(c)及び図13(d)に示すように、電動モータ72を稼働させ、解体建物10を囲む全ての支柱20を内支柱68に対して同時に下降させることにより、外構16を1階分だけ下降させる。
【0093】
次に、図12(d)及び図13(e)に示すように、外構16の1階分の下降が完了した後に、ブレース部材24の両端部の接合構造42において、ナット52に対してボルト46を完全に締め付けて、ブレース部材24の両端部をガセットプレート44に接合する。このとき、ボルト46の中心位置と、ガセットプレーと44に形成された貫通孔56の中心位置とは、テーパー付きワッシャ50によって略一致させることができるので、外構16を下降前(ナット52に対してボルト46を緩めたり、緩めて外したりする前)と略等しい形状にすることができる。
【0094】
次に、アーム部材86A〜86Cの先端部を、解体建物10の外周の柱28に固定されたN−1階、N−2階、N−3階の固定装置90のアーム接合部92に接合し、解体建物10に支柱20を固定する。
【0095】
次に、図13(f)に示すように、アーム部材88A〜88Cを解体建物10に固定しない状態にした後に、図13(g)に示すように、電動モータ72を稼働させ、支柱20に対して内支柱68を1階分だけ下降させる。
【0096】
次に、図13(h)に示すように、アーム部材88A〜88Cの先端部を、解体建物10の外周の柱28に固定されたN−1階、N−2階、N−3階の固定装置90のアーム接合部92に接合し、解体建物10に内支柱68を固定する。そして、N−1階の解体作業を図12(a)と同様に行い、後は、図12(a)〜(d)と同様のサイクルを繰り返して、解体建物10を解体する。
【0097】
<作用及び効果>
次に、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0098】
図10に示すように、振動発電装置G(図1及び図11も参照)が、解体作業空間904(図1参照)での作業によって発生した振動を、電気エネルギーに変換し、蓄電池148を充電する。また、回生システム115が、クレーン112の巻上電動機Mを発電機として作動させることで回生電力を発生させ、蓄電池148を充電する。
【0099】
また、ソーラーパネル128(図1、図18も参照)が太陽光発電を行い、蓄電池148を充電する。
【0100】
そして、この蓄電地148から供給される電力を、解体作業空間904(図1参照)で行う解体作業で利用する。
【0101】
このように、エネルギーマネジメントシステム126では、解体作業に伴って発生する運動エネルギー及び太陽光を電気エネルギーに変換して蓄電器148に充電し、解体作業空間904(図1参照)で行う解体作業で利用する。よって、その分、商用電源146から供給される電力が減少する。つまり、省エネ化が図れる。
【0102】
なお、本実施形態では、エネルギーマネジメントシステム126と商業用電源146とを併用したが、これに限定されない。エネルギーマネジメントシステム126とディーゼルエンジンなどを用いた自家発電装置とを併用してもよい。
【0103】
また、図1、図18に示すように、解体作業空間904を防音壁62で囲むことにより、解体作業時に解体階26から発生し解体建物10の周辺へ至る振動、騒音、粉塵等を抑制することができる。また、開閉式仮設屋根118によって、解体作業空間904における全天候での解体作業を可能にし、作業環境を向上させることができる。更に、解体部材の荷降ろしは、解体建物10の中で行われるので、周辺への解体部材の飛散を防ぐことができる。
【0104】
また、図1、図8に示すように、固定装置90(支柱20及び内支柱68)は、(固定されるのは)解体建物10の躯体を構成する柱28に固定されるので、柱28に補強を施さなくても外構16の支持部としての十分な強度を確保することができる。
【0105】
また、揚重システムでは、複数のクレーンを稼働させることにより、解体作業を効率よく行うことができる。また、解体建物10の梁30、床スラブ32、及び柱28は、ブロック状の解体部材にして取り出され、外壁パネル34は、板状の解体部材にして取り出されるので、梁30、床スラブ32、柱28、及び外壁パネル34の解体作業や、搬出車両への解体部材の積込作業を効率よく行うことができ、また、積込作業を効率よく行うことで、解体作業により発生する粉塵量を効果的に低減することができる。
【0106】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0107】
例えば、本実施形態では、養生部902を下降させて行う解体工事に本発明を適用したがこれに限定されない。養生部902を上昇させて行う建築工事にも本発明を適用することができる。
【0108】
また、本発明の実施形態では、平面視にて矩形の解体建物10に適用した例を示したが、これに限定されない。さまざまな平面形状の建物に対して適用することができる。
【0109】
また、本実施形態では、昇降装置18により養生部902が昇降したが、これに限定されない、他の機構の昇降装置で昇降してもよい。
【0110】
また、本発明の実施形態では、拘束手段を、ボルト46、ワッシャ48、テーパー付きワッシャ50、及びナット52によって構成された接合構造42とした例を示したが、拘束手段は、連結部材により支柱20を拘束する拘束力を変更可能なものであればよい。例えば、拘束手段を、図14の拡大図に示す接合構造160としてもよい。
【0111】
また、図17の側面図に示すように、隙間養生装置170の摺動部は、閉塞部材172の自由端側に設けられたエアーチューブ200の外周面に設けられ、エアーチューブ200の膨張により解体建物10の外壁に押し当てられる刷毛部材202であってもよい。この構成では、エアーチューブ200を膨張させる簡単な機構によって、摺動部としての刷毛部材202を解体建物10の外壁に固定することができる。また閉塞部材172を、解体建物10に回転可能に支持するようにしてもよい。
【0112】
また、本実施形態では、外周の柱28を平面視にて左右に挟み込むことにより解体建物10に固定される固定装置90の例を示したが、固定装置は、床スラブ32を上下に挟み込むことにより解体建物10に固定される機構のもの(以下、「床固定装置」とする)であってもよい。また、固定装置90と床固定装置とを併用してもよい。例えば、図8(b)において、アーム部材86C、88Cの先端部を床スラブ32に固定された床固定装置に接合するようにしてもよい。
【0113】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0114】
<付記>
ここで、特許文献1の周辺保持自昇式建築工法では、外構と建物の外壁との間に隙間が生じることが考えられるので、一般の工事現場では、安全上及び作業環境上の観点からこのような隙間を塞ぐ隙間養生が義務付けられている。しかし、外構を上昇させる際には、この隙間養生を取り外さなければならない。
【0115】
よって、つぎに建物を囲む囲いを昇降させる際、取り外す必要のない隙間養生装置を提供することを課題とした場合について説明する。
【0116】
第1の態様の隙間養生装置は、建物を囲み昇降する架構と前記建物の外壁との隙間を塞ぐ閉塞部材と、前記架構又は前記建物に設けられ、前記閉塞部材を回動可能に支持する支持手段と、前記建物の外壁又は前記架構の内壁に寄り掛かる前記閉塞部材の自由端側に設けられ、前記架構の昇降に伴って前記建物の外壁又は前記架構の内壁を摺動する摺動部と、を有する。
【0117】
第1の態様の隙間養生装置では、建物を囲み昇降する架構と建物の外壁との隙間を塞ぐ閉塞部材により、建物に対して架構を昇降する際に、建物の外壁と架構との間の隙間から物(例えば、解体工事の場合には、コンクリートガラ、解体材、粉塵等、建築工事の場合には、建設資材や工具等)が落下又は飛散するのを防ぐことができ、架構により囲まれた階及びこの階の下階における作業安全性や作業環境を向上させることができる。
【0118】
第2の態様の隙間養生装置は、前記閉塞部材の自由端側に設けられ、膨張して前記建物の外壁又は前記架構の内壁に押し当てられるチューブを有する。
【0119】
第2の態様の隙間養生装置では、膨張するチューブによって、閉塞部材の自由端を建物の外壁又は架構の内壁に固定することができる。
【0120】
第3の態様の隙間養生装置は、前記摺動部は、前記閉塞部材の自由端側に設けられたチューブの外周面に設けられ、前記チューブの膨張により前記建物の外壁又は前記架構の内壁に押し当てられる。
【0121】
第3の態様の隙間養生装置では、チューブを膨張させる簡単な機構によって、摺動部を建物の外壁又は架構の内壁に固定することができる。
【0122】
上記態様の隙間養生装置では上記構成としたので、建物を囲む囲いを昇降させる際に、隙間養生装置を取り外す必要がなくなる。
【0123】
つぎに、上記実施形態における隙間養生装置の作用及び効果について説明する。
【0124】
図15〜図17に示すように、解体建物10を囲み下降する外構16と、解体建物10の外壁との隙間を塞ぐ閉塞部材172及びゴムシート176と、により、解体建物10に対して外構16を下降する際に、解体建物10の外壁と外構16との間の隙間W(図15も参照のこと)から物(例えば、解体工事の場合には、コンクリートガラ、解体材、粉塵等)が落下又は飛散するのを防ぐことができる。よって、外構16により囲まれた階及びこの階の下階における作業安全性や作業環境が向上する。また、外構16に閉塞部材172を回動可能に支持することにより、解体建物10の解体工事全般において閉塞部材172の盛替えが不要とすることが可能になる。
【0125】
エアーチューブ178は、空気が注入されることによって、膨張して外壁パネル34の壁面(解体建物10の外壁)に押し当てられる。これにより、エアーチューブ178によって、閉塞部材172の自由端(エアーチューブ178)を解体建物10の外壁(外壁パネル34の壁面)に固定することができる。
【0126】
また、エアーチューブ178の空気を抜いて、エアーチューブ178を収縮させた状態で、車輪180が外壁パネル34の壁面に接触させることにより、解体建物10に対して外構16を下降する際に、車輪180を転動させて閉塞部材172をスムーズに移動させることができる。
【0127】
なお、本実施形態では、ゴムシート176を解体建物10の外壁に摺動させる例を示したが、ゴムシート176は、解体建物10、外構16、枠組足場60等が水平方向へ30mm程度揺れた場合にも、他端部を解体建物10の外壁に摺動可能であり、また、解体建物10の50mm程度の凹凸に対して摺動可能であるように、弾性を有し配置されるのが好ましい。
【0128】
また、本実施形態では、外構16に設けられた枠組足場60に支持部材174を固定し、この支持部材174に閉塞部材172を回転可能に支持した例を示したが、支持部材174は、外構16に直接固定するようにしてもよい。また、解体建物10に閉塞部材172を回転可能に支持するようにしてもよい。この場合、外構16の下降に伴って、摺動部としてのゴムシート176は、外構16に設けられた内壁を摺動する。また、エアーチューブ178は、膨張して外構16に設けられた内壁に押し当てられる。
【0129】
また、本実施形態では、エアーチューブ178に空気を注入し膨張させて、解体建物10の外壁に押し当てて固定する例を示したが、エアーチューブ178をゴム、ウレタン等の弾性を有する中空部材又は円柱部材とし、閉塞部材172の自由端側付近に下向きの力を作用させて、この中空部材又は円柱部材を解体建物10の外壁に押し当てるようにしてもよい。
【0130】
また、本実施形態では、支持アーム182の上面に薄鉄板を固定した例を示したが、合板等の他の板状部材を固定するようにしてもよい。また、支持アーム自体を、必要とする強度を有する板状部材としてもよい。
【0131】
また、養生部902を上昇させる建築工事にも適用する場合には、解体建物10の外壁との隙間を塞ぐ閉塞部材172により、解体建物10に対して外構16を上昇する際に、解体建物10の外壁と外構16との間の隙間W(図16を参照)から物(例えば、建築工事の場合には、建設資材や工具等)が落下又は飛散するのを防ぐことができ、架構により囲まれた階及びこの階の下階における作業安全性や作業環境を向上させることができる。
【0132】
また、本実施形態では、昇降装置18により昇降する外構16に隙間養生装置170を適用した例を示したが、他の機構の昇降装置により昇降する外構16に隙間養生装置170を適用してもよい。すなわち、本実施形態の隙間養生装置170は、昇降する外構であれば、適用することができる。
【符号の説明】
【0133】
10 解体建物(建物)
62 防音壁
112 クレーン(クレーン装置)
115 回生システム(エネルギー回収手段)
128 ソーラーパネル(太陽光発電装置、エネルギー回収手段)
130 振動発電装置(エネルギー回収手段)
148 蓄電池(蓄電手段)
900 作業設備。
902 養生部
904 解体作業空間(作業空間)
M 巻上電動機(電動機)
G 振動発電装置(エネルギー回収手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の上部の周囲を囲い前記建物の上部に作業空間を形成すると共に、前記建物に沿って昇降可能な養生部と、
前記作業空間で使用する電力を供給可能な蓄電手段と、
前記作業空間での作業によって発生した運動エネルギーを電気エネルギーに変換して、前記蓄電手段を充電するエネルギー回収手段と、
を備える建物の作業設備。
【請求項2】
前記エネルギー回収手段は、前記作業空間での作業によって発生した振動エネルギーを電気エネルギーに変換する振動発電装置を有する、
請求項1に記載の建物の作業設備。
【請求項3】
前記作業空間には、荷降ろし又は荷挙げを行うクレーン装置が設けられ、
前記エネルギー回収手段は、前記クレーン装置の電動機を発電機として作動させ回生電力を発生させる回生システムを有する、
請求項1又は請求項2に記載の建物の作業設備。
【請求項4】
前記養生部の外壁を構成する防音壁と、
前記防音壁に設けられ、前記蓄電手段を充填する太陽光発電装置と、
を備える請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の建物の作業設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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