説明

建物

【課題】車寄せスペースを設けると共に、同居する各世帯のプライバシーを確保することができる建物を得る。
【解決手段】住宅10には車寄せ36が設けられており、玄関部分72が風雨にさらされないようになっている。このため、車両26を乗降する際に乗員が雨に濡れない。また、車寄せ36を構成する貫通部28の上方には居住スペース22が設けられており、当該居住スペース22が親世帯専用スペース104とされている。また、共有部74は居住スペース20の一部に設けられており、当該居住スペース20の共有部74以外の部分は子世帯専用スペース84とされている。そして、親世帯専用スペース104と子世帯専用スペース84とは上下方向で重ならないように形成されている。このため、同居する親世帯子世帯において、互いのプライバシーを確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車寄せスペースが設けられた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
同居形式の二世帯住宅において、例えば特許文献1では、一階に二世帯の共有空間として使用されるリビングルーム、ダイニングルーム及びキッチンと、親世帯の部屋とが設けられ、二階に子世帯の部屋が設けられて、各世帯のプライバシーが確保された住宅プランが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−138683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この先行技術では玄関から道路までの距離が長く、親世帯(高齢世帯)にとっては車両を使用する場合に不自由するおそれがある。このため、さらなる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車寄せスペースを設けると共に、同居する各世帯のプライバシーを確保することができる建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の建物は、一階部分の一部を貫通し、少なくとも車両が駐車可能な広さを有する貫通部と、前記貫通部の側部の一方に設けられた玄関扉と、前記玄関扉が設けられ一階部分を構成する第1居住スペースと、少なくとも前記第1居住スペースの一部に設けられた共有部と、前記第1居住スペースに設けられ、前記共有部を除く第1専用スペースと、前記貫通部の上方に一部が設けられて二階部分を構成する第2居住スペースと、前記第2居住スペースに設けられ、前記共有部を通じて前記第1専用スペースと繋がると共に、当該第1専用スペースとは上下方向で重ならない位置に設けられた第2専用スペースと、を有する。
【0007】
請求項1に記載の建物には、一階部分の一部を貫通する貫通部が設けられている。この貫通部は少なくとも車両が駐車可能な広さを有しているため、当該貫通部を例えば車庫として利用することができる。また、貫通部は雨天時における屋外の子供の遊び場としての利用も可能である。
【0008】
また、貫通部の側部の一方には玄関扉が設けられている。つまり、玄関の上方には貫通部の天井部が設けられることとなるため、玄関が風雨にさらされない。このため、当該貫通部を車寄せスペースとして利用することができる。これにより、高齢者や身体の不自由な人が車両を乗降する際に雨に濡れないため便利である。
【0009】
一方、一階部分を構成する第1居住スペースには玄関扉が設けられており、少なくとも第1居住スペースの一部には共有部が設けられている。ここで、「共有部」とは第1居住スペースの居住者と第2居住スペースの居住者が共有して利用可能な部分を言う。そして、ここでは、この共有部は一階部分のみに設けられるようにしても良いし、一階部分及び二階部分に設けられるようにしても良い。
【0010】
このように、共有部を設けることで、例えば、親世帯の住人と子世帯の住人とが互いに顔を合わすこととなるため、交流の場を確保することができる。また、例えば、各世帯で食事等をする場合と比較して無駄を省くことができ経済的である。
【0011】
そして、第1居住スペースの共有部を除いた領域には第1専用スペースが設けられている。また、貫通部の上方には、二階部分を構成する第2居住スペースの一部が設けられており、当該第2居住スペースには第2専用スペースが設けられている。この第2専用スペースは、共有部を通じて第1専用スペースと繋がるようになっており、第2専用スペースと第1専用スペースとは上下方向で重ならない位置に設けられている。つまり、親世帯の住人と子世帯の住人とで互いのプライバシーを確保することができる。
【0012】
請求項2に記載の建物は、請求項1に記載の建物において、前記共有部が一階部分にのみ設けられている。
【0013】
例えば一階部分に親世帯(高齢世帯)を住まわせた場合、請求項2に記載の建物では、共有部が一階部分にのみ設けられているため、親世帯の住人が高齢者である場合、当該高齢者が二階部分へ上がる必要がなくなる。このため、高齢者の身体への負担が軽減される。
【0014】
請求項3に記載の建物は、請求項1又は2に記載の建物において、前記第1居住スペースが平面視で略L字状を成し、当該第1居住スペースの一部と前記第2居住スペースとが平面視で略平行に設けられている。
【0015】
請求項3に記載の建物では、第1居住スペースが平面視で略L字状を成しており、当該第1居住スペースの一部と第2居住スペースとが平面視で略平行に設けられている。つまり、第1居住スペースと第2居住スペースとでは上下方向において階は異なるもののの互いに対向して設けられるため、お互いの部屋の明かりの有無が確認でき安全対策上好ましい。
【0016】
請求項4に記載の建物は、請求項3に記載の建物において、平面視で前記第1居住スペースと前記第2居住スペースとの間に車両が進入可能な進入スペースが設けられている。
【0017】
請求項4に記載の建物では、平面視で第1居住スペースと第2居住スペースとの間に車両が進入可能な進入スペースが設けられている。このため、第1居住スペースの居住者は玄関まで移動しなくても、当該第1居住スペースの居室から直接車両への乗降が可能となる。
【0018】
請求項5に記載の建物は、請求項1〜4の何れか1項に記載の建物において、前記貫通部の側部の他方に設けられ、前記玄関扉と対向して配置された収納庫と、前記収納庫の一部に設けられた耐力壁と、を有する。
【0019】
請求項5に記載の建物では、貫通部の側部の他方に玄関扉と対向して収納庫が設けられている。このため、収納庫内に収納された収納物を出入れする際にも当該収納物が雨に濡れない。また、収納庫の一部に耐力壁が設けられている。このため、貫通部の上方に居住スペース等を設けることができる。
【0020】
請求項6に記載の建物は、請求項5に記載の建物において、前記収納庫内に前記第2居住スペースへ通じる階段が設けられている。
【0021】
請求項6に記載の建物では、第2居住スペースへ通じる階段が収納庫内に設けられているため、共有部を通過することなく、当該階段を通じて直接第2居住スペースへ行くことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1に記載の建物によれば、車寄せスペースを設けると共に、同居する各世帯のプライバシーを確保することができる、という優れた効果を有する。
【0023】
請求項2に記載の建物によれば、高齢者の負担を軽減することができる、という優れた効果を有する。
【0024】
請求項3に記載の建物によれば、防犯対策を施すことができる、という優れた効果を有する。
【0025】
請求項4に記載の建物によれば、介護を必要とする被介護者において、居室から直接車両への乗降を可能とすることで、被介護者及び当該被介護者を介護する介護者にとって負担が軽減される、という優れた効果を有する。
【0026】
請求項5に記載の建物によれば、貫通部の上方の空間を利用して自由な設計を行うことができる、という優れた効果を有する。
【0027】
請求項6に記載の建物によれば、帰宅時間が遅い場合等に親世帯に迷惑を掛けなくて済む、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態に係る建物としての住宅を示す斜視図である。
【図2】(A)は、図1に示される住宅の一階部分の間取り図であり、(B)は、図1に示される住宅の二階部分の間取り図である。
【図3】図1で示す共有部を区画した斜視図である。
【図4】本実施の形態に係る建物としての住宅のその他の実施形態(2)を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態に係る建物としての住宅のその他の実施形態(3)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係る建物について説明する。
【0030】
図1には、本実施形態に係る建物としての住宅10の斜視図が示されている。なお、本発明の適用対象となる建物としてまず鉄骨軸組み工法が挙げられるが、これ以外の工法(例えば、ユニット工法等)であっても勿論良い。
【0031】
(建物の構成)
図1に示されるように、この住宅10は角地に設けられており、2面の道路12、14に面している。また、住宅10は二階建てとなっており、住宅10の一階部分16には第1居住スペースとしての居住スペース20(図2(A)参照)が設けられ、二階部分18には第2居住スペースとしての居住スペース22(図2(B)参照)が設けられている。なお、図2(A)には、住宅10の一階部分16の間取り図が示されており、図2(B)には、住宅10の二階部分18の間取り図が示されている。
【0032】
図1及び図2(A)、(B)に示されるように、一階部分16の居住スペース20は平面視で略L字状に形成されており、二階部分18の居住スペース22は平面視で長方形状に形成されている。そして、居住スペース20の一端側の一部が、居住スペース22と上下方向で重なるように形成されている。また、居住スペース20の他端側は、平面視で居住スペース22と略平行となるように形成されており、平面視で居住スペース20の他端側と居住スペース22との間には、貫通部28と繋がって車両26が進入可能な進入スペース42が設けられている。
【0033】
また、居住スペース20の一端側は、道路12に対して略直交すると共に道路14に対して略平行に設けられており、居住スペース20の他端側は、道路14に対して略直交すると共に道路12に対して略平行に設けられている。
【0034】
一方、居住スペース22の一端側の一階部分には、断面形状が矩形状を成す収納庫24が設けられており、図示しない自転車などが収納可能とされている。収納庫24の少なくとも住宅前面側に位置する側壁24Aには耐力壁(以下、「耐力壁24A」という場合もある)が使用されており、この耐力壁24Aによって居住スペース22が支持可能とされる。
【0035】
また、収納庫24の貫通部28側には開口24Bが形成されており、当該開口24Bには、両開き可能な開閉扉24Cが設けられている。なお、この開閉扉24Cはドアタイプでも引き戸タイプでも良い。さらに、収納庫24は居住スペース20及び道路14と平行に設けられており、当該居住スペース20との間に車両26が駐車可能な貫通部28が設けられている。
【0036】
また、収納庫24と対向する一階部分16の側壁30には、玄関扉としての玄関ドア32が設けられている。なお、この玄関扉はドアタイプ以外に引き戸タイプでも良い。前述のように、収納庫24は道路14と平行に設けられているため、収納庫24と対向する位置に設けられた玄関ドア32は、当該収納庫24によって道路14から遮蔽されることとなる。つまり、玄関ドア32は、道路14からは直接見えないようになっている。このため、居住者のプライバシーが確保され、また、防犯対策上も好ましい。
【0037】
また、玄関ドア32と収納庫24との間には、前述のように車両26が駐車可能な貫通部28が設けられている。この貫通部28の上方には二階部分18の一部が設けられているため、当該二階部分18によって貫通部28には屋根が設けられることとなる。つまり、この住宅10ではいわゆる車寄せ36が設けられている。
【0038】
また、一階部分16の側壁30には、アルコーブ34が形成されており、当該アルコーブ34内に玄関ドア32が設けられている。このため、当該アルコーブ34を利用して車両26のサイドドア26Aを開放させることができる。
【0039】
つまり、貫通部28と車両26との間の隙間が小さく、当該貫通部28内に車両26を収容させた状態で車両26のサイドドア26Aを開放させることができない場合でも、当該サイドドア26Aがアルコーブ34と対向するように車両26を停車させることで、サイドドア26Aを開放させることができる。
【0040】
これにより、貫通部28内へ車両26が収容可能な大きさであれば、人が乗降するスペースはアルコーブ34によって確保されるため、貫通部28のスペースを必要最小限の広さとすることができる。このため、この住宅10では、狭小住宅や敷地面積を確保し難い都市型住宅としての利用価値を得ることができる。また、アルコーブ34内に玄関ドア32が設けられることで、玄関ドア32は道路12からも見え難くなり、防犯対策がさらに向上する。
【0041】
また、貫通部28の入口部28A側は道路12に面している。つまり、貫通部28内を移動する車両26の移動方向と道路12とは略直交した状態で配置されることとなる。このため、貫通部28内を移動する車両26の移動方向と道路12とが略平行に設けられた場合よりも当該貫通部28に対して車両26を出入させやすい。
【0042】
なお、図示はしないが、貫通部28の入口部28A(道路12側)にシャッターやパネルゲートなどが設けられるようにしても良い。これにより、貫通部28の入口部28Aが塞がれることとなる。さらに、貫通部28の出口部28Bにシャッターを設けても良い。これにより、当該貫通部28を外部から遮断された空間とすることができる。
【0043】
次に、各階の間取りの一例について説明する。
例えば、住宅10において、一階部分16に設けられた居住スペース20には子世帯が居住し、二階部分18の居住スペース22には親世帯が居住するプランを一例として説明する。
【0044】
<一階部分16>
上述のように、図2(A)で示される一階部分16の側壁30にはアルコーブ34が形成されており、当該アルコーブ34内に玄関ドア32が設けられている。このため、一階部分16の居住スペース20では、この玄関ドア32に対向して玄関44が設けられ、玄関44の奥方には玄関ホール46が設けられている。つまり、玄関44は建物側面側に設けられている。
【0045】
そして、例えば、玄関44の建物正面側には納戸48が設けられており、納戸48の隣には、玄関ホール46と繋がって、回り階段58が設けられている。また、二階へ続く回り階段58の階段下のデッドスペースを利用して回り階段58の隣にはトイレ60が設けられている。トイレ60には小窓54が設けられており、外気を取り込むことができるようになっている。なお、トイレ60以外にも換気などのため小窓等を設けても良い。
【0046】
また、玄関ホール46には廊下56が繋がっており、玄関ホール46と廊下56の間には開閉ドア76が設けられ、当該開閉ドア76によって玄関ホール46と廊下56との空間が区画可能とされている。そして、この廊下56には、引き戸78が設けられおり、引き戸78の奥方には、洗面室50が設けられている。そして、この洗面室50の奥方には浴室48が設けられている。
【0047】
また、廊下56の奥方には、ダイニングキッチン80が設けられており、ダイニングキッチン80と廊下56の間には開閉ドア82が設けられ、当該開閉ドア82によってダイニングキッチン80と廊下56との空間が区画可能とされている。
【0048】
以上の空間は共有部74となっており、子世帯と親世帯が共有して使用するスペースとなって一階部分16に設けられている。
【0049】
一方、ダイニングキッチン80の奥方には、第1専用スペースとしての子世帯専用スペース84の一部としてのリビング86が設けられている。このリビング86とダイニングキッチン80との間には開閉ドア88が設けられており、当該開閉ドア88によってリビング86とダイニングキッチン80との空間が区画されると共に、子世帯専用スペース84と共有部74との空間が区画される。
【0050】
また、リビング86の隣には廊下89を挟んで子供部屋90が設けられている。リビング86と廊下89との間には開閉ドア91が設けられており、当該開閉ドア91によってリビング86と廊下89との空間が区画可能とされている。また、廊下89と子供部屋90との間には開閉ドア92が設けられており、当該開閉ドア92によって廊下89と子供部屋90との空間が区画可能とされている。なお、子供部屋90には一対のクローク94が隣接して設けられており、子供部屋90内の収納が確保されている。
【0051】
また、子供部屋90の奥方には、ダイニングキッチン80と隣接して寝室96が設けられている。廊下89と寝室96との間には開閉ドア98が設けられており、当該開閉ドア98によって廊下89と寝室96との空間が区画可能とされている。なお、寝室96には一対のクローク100が隣接して設けられており、寝室96内の収納が確保されている。
【0052】
<二階部分18>
図2(B)に示されるように、二階部分18の居住スペース22は、第2専用スペースとしての親世帯専用スペース104となっている。回り階段58の踊り場106の奥方にはトイレ108が設けられている。また、踊り場106には引き戸110が設けられており、引き戸110の奥方にはリビング112が設けられている。この引き戸110によって踊り場106とリビング112との空間が区画される。
【0053】
また、リビング112の奥方には和室114が設けられており、リビング112と和室114との間には引き戸116が設けられている。この引き戸116によってリビング112と和室114との空間が区画可能とされている。なお、リビング112及びトイレ108と隣接する一階部分16の屋根部118はベランダとして利用可能である。
【0054】
そして、ここでは、子世帯専用スペース84と親世帯専用スペース104とが上下方向で重ならないように形成されている。
【0055】
(建物の作用・効果)
図1及び図2(A)、(B)に示されるように、この住宅10には車寄せ36が設けられており、玄関部分72が風雨にさらされないようになっている。このため、車両26を乗降する際に乗員が雨に濡れない。特に、高齢者や身体の不自由な人が車両26を乗降する際、雨に濡れないため便利である。また、玄関部分72が風雨にさらされないため、玄関ドア32の劣化を抑制することができる。
【0056】
そして、車寄せ36を構成する貫通部28を例えば車庫としてそのまま利用することができる。また、貫通部28を雨天時における屋外の子供の遊び場としての利用も可能である。一方、玄関ドア32と対向する位置には収納庫24が設けられている。このため、収納庫24内に収納された自転車などの収納物を出入れする際にも当該収納物が雨に濡れない。
【0057】
また、収納庫24の少なくとも住宅前面側に位置する側壁24Aには耐力壁が使用されており、この耐力壁24Aによって居住スペース22が支持可能とされている。つまり、耐力壁24Aを設けることで、貫通部28の上方に居住スペース22を設けることができ、貫通部28の上方の空間を利用して自由な設計を行うことができる。
【0058】
ところで、本実施形態では、車寄せ36を構成する貫通部28の上方には居住スペース22が設けられており、当該居住スペース22に親世帯専用スペース104が設けられている。
【0059】
一方、図3では、図1で示される住宅10の共有部74が区画されている。この図3に示されるように、共有部74は居住スペース20の一部に設けられており、当該居住スペース20の共有部74以外の部分は子世帯専用スペース84とされている。
【0060】
そして、共有部74を通じて親世帯専用スペース104と子世帯専用スペース84とが繋がっており、親世帯専用スペース104と子世帯専用スペース84とは上下方向で重ならないように形成されている。このため、同居する住人において、互いのプライバシーを確保することができる。
【0061】
一方、共有部74は子世帯の住人と親世帯の住人とが共有して利用可能である。このため、当該共有部74では子世帯の住人と親世帯の住人とが互いに顔を合わすこととなるため、交流の場を確保することができる。そして、このように共有部74を設けることで、例えば、各世帯で食事等をする場合よりも無駄を省くことができ経済的である。
【0062】
また、本実施形態では、居住スペース20が平面視で略L字状を成し、当該居住スペース20の一部と居住スペース22とが平面視で略平行に設けられている。このため、居住スペース20と居住スペース22とでは上下方向において階は異なるもののの互いに対向して設けられるため、お互いの部屋の明かりの有無が確認でき安全対策上好ましい。
【0063】
(その他の実施形態)
(1)上記の実施形態では、一階部分16に子世帯専用スペース84が設けられ、二階部分18に親世帯専用スペース104が設けられているが、これに限るものではない。例えば、図示はしないが一階部分16に親世帯専用スペース104を設け、二階部分18に子世帯専用スペース84を設けるようにしても良い。そして、共有部74を一階部分16にのみ設けることで、親世帯の住人が高齢者の場合、当該高齢者が二階部分18へ上がる必要がなくなり、高齢者の身体への負担が軽減される。
【0064】
また、この住宅10には、車両26が進入可能な進入スペース42が設けられている。このため、一階部分16に親世帯専用スペースを設けることで、親世帯の住人は、玄関部分72まで移動しなくても、当該親世帯専用スペースの居室から直接車両26への乗降が可能となる。したがって、介護を必要とする被介護者の場合、居室から直接車両26への乗降を可能とすることで、被介護者及び当該被介護者を介護する介護者にとって負担が軽減されることとなる。
【0065】
(2)また、上記の実施形態では、一階部分16にのみ共有部74が設けられているが、二階部分18にのみ共有部(図示省略)が設けられるようにしても良い。また、親世帯専用スペース104と子世帯専用スペース84とが上下方向で重ならないように形成されていれば良いため、図4に示されるように、一階部分16及び二階部分18に共有部120が設けられるようにしても良い。
【0066】
(3)さらに、図5に示されるように、収納庫24内に居住スペース22へ通じる階段122を設けても良い。例えば、二階部分18が子世帯専用スペース84の場合、帰宅時間が遅い場合等に玄関ドア32(図2(A)参照)を使用することなく、収納庫24に設けられた開閉扉24Cから収納庫24内へ入り、収納庫24内の階段122を使って直接子世帯専用スペース84へアクセスできるため、親世帯の住人に迷惑を掛けなくて済む。
【0067】
なお、上記プランは一例であり、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 住宅
16 一階部分
18 二階部分
20 居住スペース(第1居住スペース)
22 居住スペース(第2居住スペース)
24 収納庫
24A 耐力壁
26 車両
28 貫通部
32 玄関ドア(玄関扉)
42 進入スペース
74 共有部
84 子世帯専用スペース(第1専用スペース)
104 親世帯専用スペース(第2専用スペース)
120 共有部
122 階段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一階部分の一部を貫通し、少なくとも車両が駐車可能な広さを有する貫通部と、
前記貫通部の側部の一方に設けられた玄関扉と、
前記玄関扉が設けられ一階部分を構成する第1居住スペースと、
少なくとも前記第1居住スペースの一部に設けられた共有部と、
前記第1居住スペースに設けられ、前記共有部を除く第1専用スペースと、
前記貫通部の上方に一部が設けられて二階部分を構成する第2居住スペースと、
前記第2居住スペースに設けられ、前記共有部を通じて前記第1専用スペースと繋がると共に、当該第1専用スペースとは上下方向で重ならない位置に設けられた第2専用スペースと、
を有する建物。
【請求項2】
前記共有部が一階部分にのみ設けられた請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記第1居住スペースが平面視で略L字状を成し、当該第1居住スペースの一部と前記第2居住スペースとが平面視で略平行に設けられた請求項1又は2に記載の建物。
【請求項4】
平面視で前記第1居住スペースと前記第2居住スペースとの間に車両が進入可能な進入スペースが設けられた請求項3に記載の建物。
【請求項5】
前記貫通部の側部の他方に設けられ、前記玄関扉と対向して配置された収納庫と、
前記収納庫の一部に設けられた耐力壁と、
を有する請求項1〜4の何れか1項に記載の建物。
【請求項6】
前記収納庫内に前記第2居住スペースへ通じる階段が設けられた請求項5に記載の建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−251295(P2012−251295A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122188(P2011−122188)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】