説明

建築板の塗装方法

【目的】 長尺な建築板、殊に表面に凹凸模様を有する建築板の表面に柄模様を能率良く且つ精度良く描出できる建築板の塗装方法を提供すること。
【構成】 コンベア1により搬送しつつある建築板Bの表面に柄模様を塗装する方法において、予め塗装すべき柄模様に対応する柄パタ−ンのパタ−ンデ−タ10をコンピュ−タ−11に記憶させ、前記コンベア1上に配した塗装ヘッド2に前記コンベア1の巾方向に亘って並列したジェットノズル3からのインク噴射の制御を前記コンピュ−タ−11の制御信号によるバルブ制御装置8により行ない、前記塗装すべき柄模様を前記ジェットノズル3からのインク噴射により前記建築板Bの表面に塗装することを特徴とする建築板の塗装方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築板の表面、殊に凹凸模様を有する表面に柄模様を塗装する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、住宅の外壁はレンガ調、タイル調、割石調が好まれ普及しつつある。しかし、これらに属する外装板の従来製法は、未硬化の状態にある平板状の基板の表面を凹凸模様が形成された型板を介してプレス機で押圧したり、ロ−ルの表面に凹凸模様が刻設されたロ−ルプレス機で押圧してレンガ、タイル、割石肌を表現する凹凸模様が板表面に形成され、次いで硬化養生工程を経、公知のスプレ−塗装機、フロ−コ−タ−塗装機、ロ−ルコ−タ−塗装機等で塗料を塗装する表面化粧工程を経て製品の外装板としている。しかし、これらの場合、外装板表面に柄模様を施すことは困難であり、施工状態において外観的に単調な外壁となり、本物のレンガ、タイル、割石とは趣きを異にし、意匠性に乏しくなるものであった。
【0003】又、実開昭63−149725号では、電子制御方式によりインクの噴射ノズルを左右に移動してプリント対象板を前後に移動したり、プリント対象板を固定して噴射ノズルを摺動軸と共に前後に移動しつつプリント作業を行なうことが提案されている。しかし、この方式は、噴射ノズルを左右に移動しつつ長尺のプリント対象板を前後に移動して全幅に亘って印刷するには、搬送装置に停止精度を得るための高度な技術が要求され、且つプリント所要時間も相当に長くなる。一方、長尺のプリント対象板を固定して噴射ノズルを摺動軸と共に左右、前後に移動しつつ印刷する場合には、摺動軸の移動機構に堅牢さと高精度性が必要となり、従って長尺の建築板に能率良くプリントするにはプリント速度の点と精度維持の点から不適当であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、長尺な建築板、殊に表面に凹凸模様を有する建築板の表面に柄模様を能率良く且つ精度良く描出できる建築板の塗装方法を提供し、もって上記従来技術の問題を解決しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願の第1の発明は、コンベアにより搬送しつつある建築板の表面に柄模様を塗装する方法において、予め塗装すべき柄模様に対応する柄パタ−ンのパタ−ンデ−タをコンピュ−タ−に記憶させ、前記コンベア上に配した塗装ヘッドに前記コンベアの巾方向に亘って並列したジェットノズルからのインク噴射の制御を前記コンピュ−タ−の制御信号によるバルブ制御装置により行ない、前記塗装すべき柄模様を前記ジェットノズルからのインク噴射により前記建築板の表面に塗装することを特徴とする建築板の塗装方法であり、第2の発明は、上記の第1の発明において、複数の塗装ヘッドを用いるものであって、コンベア上の前後に配した複数の塗装ヘッドにそれぞれ前記コンベアの巾方向に亘って並列したジェットノズルからのインク噴射により前記建築板の表面に多色塗装することを特徴とする建築板の塗装方法である。
【0006】
【実施例】次に本発明の一実施例について図1、図2を参照して説明する。1は建築板Bを前方に搬送するコンベアであり、コンベア1の上方には塗装ヘッド2が備えられ、塗装ヘッド2の下端にはそれぞれコンベア1の巾方向全体に亘ってジェットノズル3〜3が並列、例えば0.5〜3mmのピッチで並列されている。塗装ヘッド2にはインクタンク4内の塗装用インク5を送り込むポンプ6が接続されると共にレリ−フ弁7を介してインクタンク4が接続されている。
【0007】8は塗装ヘッドの各ジェットノズル3〜3をそれぞれ開閉動作する弁9〜9を個別に制御するバルブ制御装置、10は塗装すべき柄模様に対応する柄パタ−ンを記録したパタ−ンデ−タ、11は、インプットされたパタ−ンデ−タ10に基きバルブ制御装置8に制御信号を発するコンピュ−タ−、12は投光器13と受光器14をコンベア1上の建築板搬送路の両側の所定位置に設けた光電管式センサ−であって、検出信号をコンピュタ−11に送信する。15は、コンベア1の駆動ロ−ル16に連結したエンコ−ダ−であって、極小回転角、例えば2000分の360度の極小回転角毎にコンピュ−タ−11にパルスを送信する。
【0008】しかして、本例方法にあっては、表面に凹凸模様Cを有する被塗装用建築板Bが下塗りシ−ラ−処理後、コンベア1上を前送されて来ると、該建築板Bの前端部の所定位置到来をセンサ−12が検出して検出信号をコンピュタ−11に送信する。一方、コンベア1の作動に伴い、駆動ロ−ル16に設けたエンコ−ダ−15からパルスがコンピュ−タ−11に発信されている。コンピュ−タ−11は、上記センサ−12からの信号により上記パルスを計数し始め、該パルス数が予め記憶させた設定領域に至ると、パルス数に応じ前記柄パタ−ンのパタ−ンデ−タ10に基く制御信号を逐次バルブ制御装置8に送信指令し、これによりバルブ制御装置8が弁9〜9を個別に開閉制御し、塗装ヘッド2にあるインク5が弁9〜9の開放時にジェットノズル3〜3から前記搬送中の建築板Bの表面の所要位置に噴出して前記パタ−ンデ−タ10に基く柄模様を描出する。この場合、建築板B表面とジェットノズル3〜3とは無接触のため、建築板B表面に凹凸模様Cを有するに拘らず、上記柄模様の描出が支障なく行なわれる。
【0009】次に、建築板に多色の柄模様を塗装する場合には、図3に示すように、コンベア1上の前後に複数の上例同様の塗装ヘッド22、23、24を配設し、これら塗装ヘッド22、23、24にそれぞれ異なる色のインキを上例同様に供給し、塗装ヘッド22、23、24にそれぞれコンベア1の巾方向に亘って並列したジェットノズル25、26、27からの上記インクの噴射によりコンベア1上を前送される建築板Bの表面に多色の柄模様の塗装を行なう。
【0010】
【発明の効果】以上説明したように、本発明においては、コンベアの巾方向に亘って塗装ヘッドに並列したジェットノズルからの噴射により走行中の建築板に無接触で塗装を行なうことができ、従来のような摺動軸に沿ってインクヘッドを移動させたり被塗装物を停止させて塗装するものと異なり、間欠動作による塗装着色の不正確さが解消し、建築板を連続的に送りながら精度良く且つ能率的に建築板に柄模様を塗装することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の一部欠截正面略図である。
【図2】同上例の右側面略図である。
【図3】本発明の他の実施例の右側面略図である。
【符号の説明】
1 コンベア
2 塗装ヘッド
3 ジェットノズル
8 バルブ制御装置
10 パタ−ンデ−タ
11 コンピュ−タ−
B 建築板

【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンベアにより搬送しつつある建築板の表面に柄模様を塗装する方法において、予め塗装すべき柄模様に対応する柄パタ−ンのパタ−ンデ−タをコンピュ−タ−に記憶させ、前記コンベア上に配した塗装ヘッドに前記コンベアの巾方向に亘って並列したジェットノズルからのインク噴射の制御を前記コンピュ−タ−の制御信号によるバルブ制御装置により行ない、前記塗装すべき柄模様を前記ジェットノズルからのインク噴射により前記建築板の表面に塗装することを特徴とする建築板の塗装方法。
【請求項2】 コンベア上の前後に配した複数の塗装ヘッドにそれぞれ前記コンベアの巾方向に亘って並列したジェットノズルからのインク噴射により前記建築板の表面に多色塗装することを特徴とする請求項1記載の建築板の塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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