説明

建築板及びその塗装方法

【目的】 建物への施工状態において隣接する板間の色調差が目立ち難い建築板を提供する。
【構成】 表面に溝部3〜3を介して区割りした複数の凸部4〜4を形成した建築板1において、前記凸部4〜4相互間が2種以上の異なる色調5、6、7、8を有し且つこれら色調5、6、7、8がランダムに配分して前記凸部4〜4に塗装されていることを特徴とする建築板。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レンガ調、タイル調等のように表面に溝を介して多数の凸部を形成した建築板及びその塗装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、外装用建築板において、例えば図7R>7に示すように、エンボス成型あるいは溝部カットによりレンガ調、タイル調等のように基板51表面に溝部52〜52で区画した凸部53〜53を有する建築板54が増加している。
【0003】しかしながら、この建築板54は溝部52〜52と凸部53〜53をロ−ルコ−タ−で塗り分けをする等のツ−トン塗装を施しており、凸部53〜53は総べて同じ色調55の仕上がりであり、基板51への塗料の吸い込み斑、基板51の厚さのバラツキによる塗料の塗布量の不均一の発生、塗料自身の調合ロット間の色差変動等に起因して、建物への施工状態において隣接する建築板54、54間の色調55、56の差が目立ち易くて見苦しい状態を生じていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、建物への施工状態において隣接する板間の色調差が目立ち難い建築板及び該建築板を容易に得られる塗装方法を提供し、もって上記従来技術の問題を解決しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願の第1の発明は、表面に溝部を介して区割りした複数の凸部を形成した建築板において、前記凸部相互間が2種以上の異なる色調を有し且つこれら色調がランダムに配分して前記凸部に塗装されていることを特徴とする建築板を要旨とするものであり、第2の発明は、上記の建築板の凸部をインクジェットプリンタ−によって塗装することを特徴とする建築板の塗装方法を要旨とするものである。
【0006】
【作用】このようにした建築板にあっては、凸部相互間が多様な色調差を有し、建物への施工状態において隣接する建築板相互間の全体的な色調差が、前記凸部相互間の色調差に打ち消されて目立ち難い状態にある。
【0007】
【実施例】次に本発明の実施例を図1〜図6に基づいて説明する。図1、図2に示すように、本例の建築板1、1は、それぞれ、横長方形状の基板2の表面に溝部3〜3を介してレンガ調に多数の凸部4〜4を区割りし、凸部4〜4相互間が数種の異なる色調、例えば図では濃調、やや濃調、やや淡調、淡調の異なる色調5、6、7、8を有し、且つこれら凸部の色調5、6、7、8がランダムに配分して凸部4〜4に塗装されている。
【0008】このようにした建築板1、1にあっては、凸部4〜4相互間が多様な色調5、6、7、8を有するため、建物への施工状態において隣接する建築板1、1相互間の全体的な色調差が凸部4〜4相互間の色調5、6、7、8の差に打ち消されて目立ち難い状態にある。
【0009】次に、上記建築板1の塗装方法の一例を図3R>3、図4に示すインクジェットプリンタ−11による場合について説明すると、12は基板2を前方に搬送するコンベアであり、コンベア12の上方には塗装ヘッド13が備えられ、塗装ヘッド13の下端にはコンベア12の巾方向全体に亘ってジェットノズル14〜14が並列、例えば0.5〜3mmのピッチで並列されている。塗装ヘッド13にはインクタンク15内の塗装用インク16を送り込むポンプ17が接続されると共にレリ−フ弁18を介してインクタンク15が接続されている。19は塗装ヘッドの各ジェットノズル14〜14を開閉動作する弁20〜20を個別に制御するバルブ制御装置、21は塗装すべき色調に対応する色調パタ−ンを記録したパタ−ンデ−タ、22はインプットされたパタ−ンデ−タ21に基づきバルブ制御装置19に制御信号を発するコンピュ−タ−、23は投光器24と受光器25をコンベア12上の建築板搬送路の両側の所定位置に設けた光電管式センサ−であって、検出信号をコンピュタ−22に送信する。26はコンベア12の駆動ロ−ル27に連結したエンコ−ダ−であって、極小回転角、例えば2000分の360度の極小回転角毎にコンピュ−タ−22にパルスを送信する。
【0010】しかして、本例方法にあっては、表面に凸部4〜4を有する前記基板2が下塗りシ−ラ−処理後、コンベア12上を前送されて来ると、該基板2の前端部の所定位置到来をセンサ−23が検出して検出信号をコンピュ−タ−22に送信する。一方、コンベア12の作動に伴い、駆動ロ−ル27に設けたエンコ−ダ−26からパルスがコンピュ−タ−22に発信されている。コンピュ−タ−22は、上記センサ−23からの信号により上記パルスを計数し始め、該パルス数が予め記憶させた設定領域に至ると、パルス数に応じ前記色調パタ−ンのパタ−ンデ−タ21に基づく制御信号を逐次バルブ制御装置19に送信指令し、これによりバルブ制御装置19が弁20〜20を個別に開閉制御し、塗装ヘッド13にあるインク16が弁20〜20の開放時にジェットノズル14〜14から前記搬送中の基板2の表面の所要位置に噴出して前記パタ−ンデ−タ21に基づく色調5、6、7、8を凸部4〜4に描出し、所期の建築板1が得られる。
【0011】次に、建築板に多種の色彩を塗装して異なる色調を与える場合には、図5に示すように、コンベア31上の前後に複数の上例同様の塗装ヘッド32、33、34を配設し、これら塗装ヘッド32、33、34にそれぞれ異なるインクを上例同様に供給し、塗装ヘッド32、33、34にそれぞれコンベア31の巾方向に亘って並列したジェットノズル35、35、35から上記インクの噴射によりコンベア31上を前送される基板2表面の凸部4〜4に多色の塗装を行なう。
【0012】又、本発明の建築板は上例の外、図6に示すように曲線や斜方向を伴う溝部42〜42で区割りされた凸部43〜43に上例同様に異なる色調44、45、46を付与した建築板41としても差し支えはなく、この場合も上例同様の方法によって容易に塗装が行なわれる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の建築板においては、建物への施工状態において隣接する建築板相互間の全体的な色調差が各凸部相互間の色調差に打ち消されて目立ち難い効果がある。又、本発明の塗装方法においては、上記建築板を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の建築板の平面図である。
【図2】 同上例の建築板の一部分の拡大斜面図である。
【図3】 同上例の塗装方法を実施する一例装置の正面略図である。
【図4】 同上装置の右側面略図である。
【図5】 本発明の他の実施例装置の右側面略図である。
【図6】 本発明の他の実施例の建築板の平面図である。
【図7】 従来例の建築板の平面図である。
【符号の説明】
1 建築板
3 溝部
4 凸部
5 色調
6 色調
7 色調
8 色調
11 インクジェットプリンタ−

【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面に溝部を介して区割りした複数の凸部を形成した建築板において、前記凸部相互間が2種以上の異なる色調を有し且つこれら色調がランダムに配分して前記凸部に塗装されていることを特徴とする建築板。
【請求項2】 請求項1記載の建築板の凸部をインクジェットプリンタ−によって塗装することを特徴とする建築板の塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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