建築物における免震方法
【課題】 建築物の基礎部の直下の位置で水が溜まり続ける人工地盤構造を採用することで新たな免震効果を得る。
【解決手段】 基礎部4の上に建物部2が構築されており、基礎部4の直下の位置の地中内には防水層10が埋設されている。防水層10は、底部と底部の端部から上方に延びた側部とを有し、地中水位が上昇した際に側部の内側に水が溜まり、地中水位が下がった後も側部の内側に水が溜まり続ける。溜まり続ける水により、地震が発生した際の建築物の震動が軽減される。
【解決手段】 基礎部4の上に建物部2が構築されており、基礎部4の直下の位置の地中内には防水層10が埋設されている。防水層10は、底部と底部の端部から上方に延びた側部とを有し、地中水位が上昇した際に側部の内側に水が溜まり、地中水位が下がった後も側部の内側に水が溜まり続ける。溜まり続ける水により、地震が発生した際の建築物の震動が軽減される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、建築物に関するものであり、特に建築物における免震技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本は地震の多い国であり、阪神大震災を始めとした大地震の教訓を背景として、免震技術など、地震対策を考慮した建築技術の開発が進められている。また、一連の耐震偽装問題などから、建築物の構造部分についての関心も非常に高くなってきている。
このうち、建築物の地業部構造については、例えば特開平9−275160号公報に開示されているように、発泡樹脂(発泡スチロール)より成る人工地盤材を敷設し、その上にコンクリート材を設けた構造が考案されている。
このような地業部構造は、軽量化された人工地盤材を埋設し、これによってそれより下の地盤にかかる建築物全体の荷重を軽減するものと言える。これは、建築物直下の地盤(土)を軽量の人工地盤材で置換することで接地圧を軽減し、これによって不同沈下等の沈
下を防止する技術である。尚、本明細書において単に地盤というときは、人工地盤ではなく、敷地の元々の地盤という意味である。
【特許文献1】特開平9−275160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、発泡樹脂人工地盤材は排水性であり、地中水位が上昇した場合でもその部分で水が溜まるような構造にはなっていない。
本願の発明は、建築物の基礎部の直下の位置で水が溜まり続ける地盤構造を採用することで新たな免震効果を得ることを解決課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、基礎部と基礎部の上に構築された建物部とから成る建築物において、地震が発生した際の建築物の振動を軽減する免震方法であって、
基礎部の直下の位置の地中内には防水層が埋設されており、この防水層は、底部と、底部の端部から上方に延びた側部とを有していて、地中水位が上昇した際に側部の内側に水が溜まる構造であるとともに、地中水位が下がった後も側部の内側に水が溜まり続ける構造であり、
この防水層の側部の内側に溜まり続ける水により、地震が発生した際の建築物の震動を軽減するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により地震の振動に位相差を生じさせ、これによって振動を軽減するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により建築物全体の重心を下げるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかの構成において、前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により、地震が発生した際に地盤と建築物との共振を阻害するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至4いずれかの構成において、前記基礎部の下側には、地盤の土よりも軽量の樹脂ブロックを多数並べて設けることで地盤置換をした樹脂ブロック層が設けられており、前記防水層は、この樹脂ブロック層の下側に設けられており、各樹脂ブロックは通水性の開口を有しているという構成を有する。
【発明の効果】
【0005】
以下に説明する通り、本願の各請求項の発明によれば、建築物の基礎部の直下の位置で溜まり続ける水により地震の際の振動が軽減されるとともに、溜まっている水を渇水時に利用することもでき、一石二鳥的な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、参考例の建築物の正面概略図である。図1に示す建築物は、地表面より下に設けられた人工地盤1と、人工地盤1の上に建築された建物部2とより成っている。そして、人工地盤1は、地表面より下の所定の深さの領域を占めるよう設けられた樹脂ブロック層3を備えている。また、樹脂ブロック層3の上には基準層4が設けられており、建物部2は基準層4の上に構築されている。人工地盤1は、建物部2のほぼ直下の領域を占めている。即ち、建物部2が占める水平方向の領域と人工地盤1が占める水平方向の領域はほぼ同じである。
【0007】
この建築物の大きな特徴点は、樹脂ブロック層3が、樹脂(発泡樹脂を除く)製の樹脂ブロック5を多数並べることで形成されており、開口を通して内部に水が浸入できる状態とした点である。
図2は、図1に示す樹脂ブロック層3を構成する樹脂ブロック5の概略図であり、(1)が平面概略図、(2)は正面概略図である。樹脂ブロック5は、水平な姿勢とされるベース部51と、ベース部51から垂直に延びるよう形成された脚部52とから成っている。ベース部51は、全体としては正方形の板状である。ベース部51には、軽量化及び通水のため、多くの開口50が形成されている。
【0008】
脚部52は、正方形のベース部51の各角の位置に合計4つ設けられている。脚部52の位置は、角の縁から少し内側の位置である。各脚部52は、対角線上に位置し、ベース部51の中心からの距離はすべて同じである。
各脚部52は、全体としてはほぼ角柱状の部位である。但し、各脚部52の内部は軽量化のため空洞になっている。各脚部52は、ベース部51につながった部分で最も断面積が大きく、ベース部51から遠ざかるにしたがって徐々に小さな断面積となっている。即ち、正面から見ると台形状となっている。
各脚部52の高さは皆同じである。各脚部52の上端面には、嵌め込み用の突起(以下、嵌め込み突起)53が形成されている。嵌め込み突起53は、上側に位置させる別の樹脂ブロック5との組み合わせのための部位である。
【0009】
図2(1)に示すように、嵌め込み突起53は、各脚部52の上端面に二つずつ形成されている。各嵌め込み突起53は、図2(1)に示すように、各脚部52のほぼ正方形の上端面形状において斜め左上から斜め右下の方向の対角線上に設けられている。
また、各脚部52の上端面には、嵌め込み用の孔(以下、嵌め込み孔)54が形成されている。嵌め込み孔54は、嵌め込み突起53が嵌め込まれる孔である。嵌め込み孔54も、各上端面に二つずつ設けられている。嵌め込み孔54は、平面視で見た場合、斜め右上から斜め左下の方向の対角線上に設けられている。即ち、各脚部52の上端面において、各嵌め込み孔54は各嵌め込み突起53と線対称に配置されている。
【0010】
このような樹脂ブロック5は、人が持ち運んで並べることを想定しているため、人が持ち運べる程度の大きさとされる。一例を示すと、ベース部51は一辺が500〜600mm程度であり、脚部52の長さは200〜500mm程度である。
樹脂ブロック5は、後述するように軽量人工地盤材料として地盤置換に用いられるものであり、必要な強度が確保される範囲でできる限り軽量とされる。また、樹脂ブロック5は、人が持ち運べるという意味でも軽量とされる。具体的には、樹脂ブロック5は、一個につき6kg〜8kg程度の重量である。
【0011】
このような樹脂ブロック5は、全体がポリプロピレン製であり、射出成型により製作されている。このような樹脂ブロック5としては、道路造成等の土木用のものが株式会社林物産(茨城県日立市)からカンカンブロック(商品名)として市販されているので、これを応用しても良い。樹脂ブロック5の材質としては、ポリプロピレンの他、ポリエチレン製、ポリオレフィン製、ABS樹脂製などの樹脂ブロック5を使用しても良い。
【0012】
次に、上述した樹脂ブロック5を組み上げて樹脂ブロック層3とする点について説明する。図1に示すように、樹脂ブロック5は、水平方向及び垂直方向に隙間無く並べて敷設される。この際、上下方向では、各嵌め込み突起53を各嵌め込み孔54に嵌め込むことで組み上げを行う。
即ち、図1に示すように、下側の樹脂ブロック5は、脚部52を上に向けて配置される。そして、その上に脚部52を下に向けて別の樹脂ブロック5を配置する。この際、お互
いの脚部52を突き合わせ、互いの嵌め込み突起53が互いの嵌め込み孔54に嵌め込まれるようにする。
尚、脚部52を下側に向けて配置された樹脂ブロック5の上には、脚部52を上に向けた別の樹脂ブロック5が積み重ねられるが、この際、ベース部51に設けられた突起(以下、ベース突起)55によって、水平方向のずれが防止されるようになっている。
【0013】
図2(1)に示すように、ベース突起55は、四つ設けられており、ベース部51の中心と同心円周上に45度間隔で設けられている。また、ベース部51には、相手方のベース突起55が嵌め込まれる孔(以下、ベース孔)56が設けられている。図2(1)に示すように、ベース孔56も、ベース部51と同心の円周上に45度間隔で4つ設けられている。ベース突起55とベース孔56の位置関係は、ベース部51を裏返すと丁度同じ位置になるようずれた位置関係となっている。
従って、二つの樹脂ブロック5をお互いのベース部51を突き合わせた状態で重ね合わせると、一方のベース突起55が他方のベース孔に嵌り込む状態となる。このため、水平方向の位置ずれが防止される。
【0014】
このような樹脂ブロック5の組み上げについては、水平方向の樹脂ブロック5の連結も行われるようになっている。この点について、図3を使用して説明する。図3は、図2に示す樹脂ブロック5の水平方向の連結構造について示した図であり、(1)は平面概略図、(2)は正面断面概略図である。
水平方向の樹脂ブロック5の連結には、連結具6が用いられる。連結具6は、図3(2)に示すように、プレート部61と、プレート部61から直角に突出するよう設けられた差込突起62とから成る形状である。プレート部61はほぼ方形であり、差込突起62は上下の両面に設けられている。また、上下両面において、差込突起62は四つ設けられており、プレート部61の各対角線上に中心から等距離の位置に設けられている。
【0015】
一方、図2(1)に示すように、樹脂ブロック5の各角部には、差込孔57が形成されている。差込孔57は、差込突起62に断面の形状及び大きさに適合した形状及び大きさのものである。
水平方向に樹脂ブロック5を連結する場合、図3(1)に示すように、各樹脂ブロック5を詰めて並べ、各角部が隣接するようにする。そして、連結具6で各角部を連結する。即ち、隣接した四つの樹脂ブロック5の各差込孔57に差込突起62を差し込む。
尚、図3(2)に示すように、上側に突出した差込突起62は、上側に並べた各樹脂ブロック5の連結に用いられる。各樹脂ブロック5を差込突起62が差込孔57に差し込まれるようにしながら配置することで、水平方向の樹脂ブロック5の連結が行われる。
【0016】
このような樹脂ブロック5が組み上げられて形成された樹脂ブロック層3は、軽量であるにもかかわらず建築物の人工地盤1を構成するものとして充分な強度を持つものとなっている。一例として強度を示すと、例えば図2に示すような構成の樹脂ブロック5の場合、一つの樹脂ブロック5としては、0.53t〜3.2tまでの荷重に耐えられるものである。このような樹脂ブロック5を脚部52を突き合わせて重ね合わせ、16t/m2までの荷重に耐えられるようにする。
【0017】
このような樹脂ブロック層3は、建築物が建築される敷地の地表面を所定の深さ掘り下げて形成した凹部に施工される。また、組み上げられた樹脂ブロック層3は、左右の側面と底面が透水シートで覆われ、上面は防水シートで覆われる。
また、図1に示すように、樹脂ブロック層3の周囲には、擁壁層7が設けられている。擁壁層7は、孔あけした発泡樹脂ブロック(有孔発泡樹脂ブロック)71を多数並べて積み上げたものである。
【0018】
図4は、有孔発泡樹脂ブロック71の斜視概略図である。図4に示すように、有孔発泡樹脂ブロック71は、全体としては直方体状である。そして、上面及び下面には、直角に交差する細長い溝72が形成されている。有孔発泡樹脂ブロック71を厚さ方向に貫通する貫通孔73が形成されている。貫通孔73は、溝72の交差部分を含む複数の箇所に設けられている。
また、樹脂ブロック層3の上には、基準層4が設けられている。基準層4は、建物部2を構築する際の基準となる水平面を得るためのものである。基準層4は、樹脂ブロック層3を覆うカバー層41と、カバー層41の上に設けられた捨てコンクリート層42となり成っている。
【0019】
カバー層41は、発泡樹脂プレート43を敷き詰めて形成されている。発泡樹脂プレート43は、1820mm×910mm程度の大きさの方形であり、厚さは30〜50mm程度で良い。ここでの発泡樹脂プレート43は、孔あけされたものでなくとも良い。
捨てコンクリート層42は、ベタ打ちとなっている。捨てコンクリート層42の厚さは、50mm〜100mm程度で良い。基準層4の上面(ここでは捨てコンクリート層42の上面)は、水平な平坦面になるよう施工される。
カバー層41無しに直接捨てコンクリート層42を施工しても良いのであるが、樹脂ブロック5が開口を多く有するため、そのまま捨てコンクリートを施工するのが難しいという事情による。尚、発泡樹脂プレート43に代えて防水シートを用い、防水シートで樹脂ブロック層3の上面を覆った上で捨てコンクリート層を設ける場合もある。
【0020】
このような基準層4も、人工地盤1を構成するものである。即ち、樹脂ブロック層3及び基準層4から主に人工地盤1が構成されている。
基準層4の上には、基礎部21が設けられており、その上に建物部2が構築されている。基礎部21は、鉄筋が入ったコンクリートより成る基礎である。基礎部21は、ベタ基礎であったり、布基礎(独立基礎)であったりする。
【0021】
次に、人工地盤1の作用及び人工地盤1を形成するための敷地の掘り下げ深さについて説明する。
図5は、参考例の建築物における人工地盤1の作用及び人工地盤1を形成するための敷地の掘り下げ深さについて示した図である。
図5(1)に示すように、建築物が建築された敷地においては、建物部と基礎部とを含めた全体の荷重(以下、総荷重)Wが地盤にかかる。総荷重Wにより地盤にかかる単位面積当たりの重力(圧力)を接地圧と呼ぶ。接地圧(図5中Pで示す)は、建築物全体が地盤に対して圧する力であるから、建築物の最下面における圧力である。
【0022】
総荷重Wが地盤にかかる場合において、地盤自体も重力バランスに従った力で建築物を受け止めており、接地圧Pがある限度以上にならないと、不同沈下のような沈下事故は発生しない。この地盤が建築物を受け止める圧力を自然地耐力(以下、単に地耐力)と呼び、qaで表す。地耐力qaは、地盤の種類によって異なり、水分を多く含む軟弱地盤ほど弱い。尚、地耐力には、長期地耐力と短期地耐力(地震等による短い期間の急激な振動に耐える力)とがあるが、以下の説明は、長期地耐力を想定している。
例えば三階建て程度までの木造家屋を建築する場合、地耐力qaは30〜50kN/m2程度が必要とされる。しかし、軟弱地盤では30kN/m2を下回るようになる。地耐力qaは、接地圧をPより大きいことが求められ、P>qaであると、沈下事故が生じ得ることになる。
【0023】
図5(1)に示すように、総荷重Wの建築物があったとし、その接地圧がPであるとする。この際、Wの重量になる分量の地表面からの地盤(地中)の領域をSとする。この領域Sの最下面においては、2Wの荷重による接地圧が生じているが、その周囲の地盤中の同じ深さのレベルでは、丁度Wの荷重による接地圧P’,P”が生じており、これを地耐力qaが受け止めている状態である。
ここで、図5(2)に示すように、建築物の下の地盤を掘り下げ、領域Sの分だけ空間(凹部)を作る。この空間に、荷重が実質的にゼロとみなせる支持構造物(即ち、人工地盤)を構築したとする。こうすると、掘り下げて形成した凹部の底面での接地圧は、人工地盤の荷重がゼロであるから、建築物の荷重Wによる接地圧Pのままである。このため、その深さにおける周囲の地盤中の接地圧P’,P”と実質的に等しくなり、従って建築物の総荷重Wによる沈下事故は発生しない。
これは、建築物の下の地盤をその建築物の荷重分だけ取り払って荷重ゼロの空間を作ることで、接地圧を周囲の地盤中の接地圧と等しくし、沈下を防止する技術であると言える。いわば、建築物を船のように浮かべる技術であるとも言える。
【0024】
但し、実際には、建築物の荷重分まで取り払わなくても良く、建築物による接地圧Pが地耐力qaを上回る分に見合うだけ取り払えば良い。従って、このような軽量人工地盤材による地盤置換を一般的な式で示すと、以下のようになる。
d=(P−qa)/γ
この式で、dは地盤を掘り下げる深さ(m)、Pは総荷重(人工地盤を含む)Wによる接地圧(kN/m2)、qaはその地盤の地耐力(kN/m2)、γはその地盤の土の単位体積当たりの重力(kN/m3)である。つまり、接地圧が地耐力を上回る分を土の単位体積当たりの重力で割った分だけ掘り下げて軽量人工地盤材で置換しておけば良い。
尚、上記式で、dは最低限の値であり、さらに深く掘れば(dを大きくすれば)、さらに沈下防止の効果が高まる。つまり、上記式は、
d≧(P−qa)/γ
とするのが正しい。
【0025】
上記各式において、dγは、地盤の土の単位体積当たりの重量に掘り下げ深さを掛けたものである。これは、掘り下げて形成した凹部空間において、掘り下げて取り出した土の全量が元々その空間において作用させていた単位面積当たりの重力(圧力)である。このような重力は、先行上載圧と呼ばれる。上記のような軽量人工地盤材による地盤置換は、接地圧が地耐力を上回る分だけ先行上載圧を取り除き、それによって沈下を防止するものに他ならない。
【0026】
実際の基礎設計においては、施工する敷地の地盤の地耐力、土の単位体積当たりの重量を予め調べておく。そして、建物部2の総重量と、樹脂ブロック層3を含む人工地盤1の総重量とを合算して総重量Wを求め、接地圧Pを計算しておく。接地圧Pは、地盤に対し総荷重Wがかかる面積(この例では人工地盤1の最下部の面積)で総重量Wを割った値である。このようにして求めた各値を上記式に代入して最低限のdの値を求め、その値から余裕を見てある程度大きい値を実際のdとして採用するようにする。
【0027】
次に、上記のような構造を有する基礎の施工方法について、図6を使用して説明する。図6は、図1に示す建築物の人工地盤1の施工方法について示した概略図である。以下の説明により、人工地盤1の更に具体的な構造が明らかにされる。
まず、建築物を建築する敷地を掘り下げ、凹部8を形成する(図6(1))。掘り下げる水平方向の領域は、建物部2の施工領域と同じかそれよりより少し広い程度である。掘り下げる深さは、上記計算式に従って適宜決定される。
【0028】
次に、掘り下げて形成した凹部8の底面や側面をならして整地し、砕石等により突き固める。透水シート81で凹部8の底面や側面を覆う。次に、底面8には砕石82を敷き詰め、側面にも砕石82を敷き詰める。
次に、砕石82の内側に擁壁層7を施工する。上記の通り、通水用の溝及び孔を有する有孔発泡樹脂ブロック71を積み上げ、擁壁層7とする。擁壁層7を側面に沿って周状に形成した後、その内側に樹脂ブロック層3を施工する。予め、透水シートを底面及び側面に敷き、その内側に樹脂ブロック5を並べていく。即ち、前述したように、樹脂ブロック5を水平に並べて相互に連結した後、その上にさらに樹脂ブロック5を積み上げて組み上げ、樹脂ブロック層3とする(図6(3))。そして、防水シート30で樹脂ブロック層3の上面を覆う。
【0029】
その後、樹脂ブロック層3の上に発泡樹脂プレート43を敷設してカバー層41とし、その上に捨てコンクリート層42を施工する。そして、砕石82等の部分に残っている隙間を埋めるため、砕石や土で埋め戻しを行うと、最終的に人工地盤1が完成する(図6(4))。尚、捨てコンクリート層42は、地表面より低い位置となっているが、捨てコンクリート42の上面が地表面と同じ高さとされたり、地表面よりも高い位置とされることもある。また、地表面から所定の高さまで捨てコンクリート層42が施工される場合もある。
尚、建物部2については、特に限定されるものではなく、従来のものと同様に自由に設計、施工できる。
【0030】
上述したように、参考例の建築物は、先行上載圧を取り除いた部分に、軽量な樹脂ブロック5を並べて組み上げた樹脂ブロック層3を設けて地盤置換をしているので、不同沈下などの沈下事故が抑制される。
また、擁壁層7は、凹部の側面が崩れるのを防止し、土砂が樹脂ブロック層3内に進入しないようにしている。前述したように、上下に積み重ねた樹脂ブロック5の側面は開口であり、このままでは凹部の側面を擁護する作用は弱い。そこで、擁壁層7を設けて側面を擁護している。この場合も、通水性が阻害されないよう、有孔発泡樹脂ブロック71を用いる。
【0031】
また、有孔発泡樹脂ブロック71は軽量であるので、軽量人工地盤の一部として用いることも可能である。即ち、図1に示す構造では、擁壁層7に建物部2の荷重が直接かからないようになっているが、擁壁層7が建物部2の直下の位置になるようにして建物部2の荷重がかかるようにしても良い。この場合、有孔発泡樹脂ブロック71より成る擁壁層7は、軽量人工地盤の一部であり、上述したような地盤置換に資することになる。
【0032】
また、樹脂ブロック層3内に自由に水が浸入できる点は、軟弱地盤における施工の点で特に有利な構造となっている。この点について、図7を使用して説明する。図7は、図1に示す人工地盤1の効果について示した概略図である。図7中、(1)は従来のような発泡樹脂ブロック9を多数敷き詰め、積み上げて形成した人工地盤1について示し、(2)は参考例の人工地盤1について示している。
図7(1)に示すように、発泡樹脂ブロック9を多数敷き詰め、積み上げて形成した人工地盤1では、発泡樹脂ブロック9同士の隙間には水が若干浸入できるものの、発泡樹脂ブロック9自体に通水性が無く、人工地盤1は全体としては排水性(内部に水が浸入することを許さないという意味)である。このため、大雨などで地盤中に大量の水100が浸入して地中水位が上がった場合、水100が地表面にまで達してしまう(冠水してしまう)ことになり易い。
【0033】
一方、図7(2)に示すように、樹脂ブロック層3により形成した人工地盤1によれば、樹脂ブロック層3中に水が自由に浸入するので、地盤中の水位上昇が緩和され、冠水にまで達する可能性が低減される。いわば、樹脂ブロック層3を、軽量人工地盤材による地盤置換とともに増水時の貯水層(プール)として利用している。このため、軟弱地盤に施工されるものとして非常に好ましいものとなる。例えば、以前は田圃又は沼地であったような場所は、地中水位が高い場合が多く、大雨により冠水し易いことが多いが、このような場所であっても、人工地盤1を施工することで大雨が降っても冠水しないようにすることができる。
【0034】
また、従来の発泡樹脂ブロック5より成る人工地盤1では、発泡樹脂ブロック9に通水性が無いので、施工中に大雨が降ると、浮き上がり事故が発生し易い。即ち、発泡樹脂ブロック9を並べて敷設した後の建物部2を構築する前の段階で、大雨が降り、掘り下げて形成した凹部内に水が溜まってしまうと、発泡樹脂ブロック9が浮き上がってしまう事故が発生する。これを防止するため、発泡樹脂ブロック9の施工中や、施工完了後の建物部2の施工開始前の段階では、大雨が降るとポンプによる水の汲み出し作業などが必要になる。
一方、参考例の構造では、各樹脂ブロック5自体が開口を有していて通水性に富んでいるため、施工中又は施工完了後の建物部2未着工の段階で大雨があっても、樹脂ブロック5が浮き上がってしまうような事故は防ぐことができる。従って、ポンプで水を汲み出すような手間は必要無い。
【0035】
次に、本願発明の実施形態の免震方法が実施される建築物について説明する。
図8は、本願発明の実施形態の免震方法が実施される建築物の正面概略図である。図8に示す建築物では、人工地盤1を貯水層として利用して渇水時に利用できるようにしている。
即ち、図8に示す建築物では、掘り下げて形成した凹部の底面と側面には、防水層10が設けられている。防水層10は、例えば防水シートを敷設したり、多数の防水プレートを並べて防水性の接着材で接着したりすることで形成できる。図8に示すように、防水層10は、底部と、底部の端部から上方に延びた側部とを有する。
尚、防水層10の側部の高さは、必要に応じて凹部の深さの途中までであり、地表面には達していない。この実施形態では、樹脂ブロック層3の高さの1/3程度である。また、防水層10の側部の内側と地表面とをつなぐようにして、取水管11が設けられており、取水管11には不図示のポンプが設けられている。
【0036】
この建築物では、大雨が降って地中水位が上がった際、防水層10の側部の内側に水が浸入する。浸入した水は、水が引いて地中水位が下がった後も防水層10の側部の内側に溜まり続ける。溜まった水は、渇水時に取水管11を通してポンプで汲み上げ、庭先への散水等に利用することができる。尚、軽量人工地盤材による地盤置換の効果は、前述した参考例と同様である。
この建築物によれば、地盤置換をした人工地盤1によって沈下事故が防止できるとともに人工地盤1が増水時の水溜めとして利用でき、さらに防水層10内の水を渇水時に利用することができ、一石三鳥の効果がある。
【0037】
次に、別の構成に係る建築物について説明する。
図9は、別の構成に係る建築物の正面概略図である。この建築物の人工地盤1は、凹部が建物部2の水平方向中央部の直下において深く、水平方向周辺部の直下において浅い形状であり、これに合わせて樹脂ブロック層3も建物部2の水平方向中央部の直下において厚く、水平方向周辺部の直下において薄い形状となっている。
尚、図9では樹脂ブロック層3の詳細は省略されているものの、前述した説明から解る通り、樹脂ブロック5を並べ方を適宜変更することで、このような形状の樹脂ブロック層3を得ることができる。
【0038】
このような人工地盤1の技術的意義について、図10を使用して説明する。図10は、図9に示す建築物の人工地盤1の技術的意義について示した正面概略図である。前述したように、地盤に対しては、建築物の総重量に応じた接地圧がかかり、地耐力がこれに抗して作用している。この際、地中には建築物の総重量に応じた応力(地中応力)が生じている。
地中応力は接地圧によって生ずるから、図10に示すように、地中応力S1〜S4は、建築物の最下部の各点から広がるように分布する。地中において、地表面と平行な面で見た応力Sの分布は、建築物の最下部の各点からの応力S1〜S4を合成したものとなる。従って、図10に示すように、合成応力Sは、建築物の中央部の直下部分において大きく、周辺部において小さい分布となる。
【0039】
このような分布の応力が全体として生じている場合に、図1に示すように均一な深さの凹部を形状して樹脂ブロック層3の厚さを均一なものとしても、前述したように充分に沈下事故防止の効果が得られる。しかし、樹脂ブロック層3の厚さの分布を応力の分布に応じたものにしておくと、限られた量の樹脂ブロック5を効率よく利用しつつ沈下事故防止の効果を得ることができる。この参考例の建築物は、この点に技術的意義を有する。
【0040】
即ち、図9に示すように、建物部2の水平方向中央部の直下において地盤を深く掘って先行上載圧を大きく取り去り、水平方向周辺部の直下において浅く掘って先行上載圧を少なく取り去る。そして、建物部2の水平方向中央部の直下において樹脂ブロック層3を厚く(樹脂ブロック5の積み重ね段数を多く)し、水平方向周辺部の直下において樹脂ブロック層3を薄くし(樹脂ブロック5の積み重ね段数を少なく)する。これは、軽量人工地盤材による地盤置換の分布(接地圧緩和の分布)を応力分布に適合させたものである。つまり、図10に示すように、上に凸となる応力Sの分布に合わせて、下に凸となる分布Rで地盤置換を行う。このようにすると、応力の大きな中央部において効率よく接地圧が緩和され、より均一化された地中応力の分布S’が得られる。
このようにすると、樹脂ブロック5の使用効率が向上するので、沈下事故を効果的に防止しつつも全体の樹脂ブロック5の使用量を減らすことができ、施工コストを安く抑えることができる。
【0041】
次に、図11を使用して、さらに別の構成の建築物について説明する。図11は、さらに別の建築物における樹脂ブロック層3の構成について示した正面概略図である。
まず、図2に示す樹脂ブロック5を用いた場合、前述したように脚部52を突き合わせて重ねるのではなく、脚部52を上に向けた状態で順次重ねていっても良い。この場合、一番上の樹脂ブロック5に蓋をするように設けられるカバー用樹脂ブロックが別に用意される。カバー用樹脂ブロックは、図2に示す樹脂ブロック5のうちの脚部52の無い形状のものである。
また、樹脂ブロック5の形状としては、図11(2)に示すようなものでも良い。図11(2)は正面断面概略図となっているが、ここに示すものは、上端が開口になっている直方体のボックス状で、中央に補強用の脚部52が形成されている形状のものである。ボックスの側面や底面には、同様に開口50が多く設けられ、通水が確保されるとともに軽量化が図られる。
【0042】
次に、図12を使用して、水平方向において人工地盤1が占める領域と建物部2が占める領域との関係について説明する。図12は、水平方向において人工地盤1が占める領域と建物部2が占める領域との関係について示した図である。
上記建築物では、水平方向において人工地盤1が占める領域と建物部2の最下部が占める領域とは同じであった。即ち、例えば建物部2の最下部が長方形である場合、人工地盤1も同じ大きさの長方形であり、建物部2の直下の領域を占める。しかし、本願発明の実施に際しては、両者の領域が同じでなくとも良い。即ち、図12(1)に示すように、人工地盤1の領域が建物部2より狭くともよく、図12(2)に示すように、人工地盤1の領域が建物部2より大きくても良い。
【0043】
但し、図12(1)に示す場合は、人工地盤1が占めていない建物部2の直下の部分において、先行上載圧は取り去れていない。この部分の土の重力も、計算上は総荷重に入れる必要があり、従って、建物部の荷重が大きい場合とか、地耐力が小さい場合などには、沈下事故防止の効果が充分に得られなくなる場合もあり得る。
また、図12(2)の場合、はみ出し部分の樹脂ブロック層3は、接地圧の緩和には大きくは関与しない。水平方向の樹脂ブロック5が充分に連結されている場合、建物部2の水平方向周辺部の直下に位置で作用する接地圧を分散する効果はあるが、周辺部については、前述したように地中応力が小さいので、接地圧の分散はそれほど必要ではない。従って、必要以上に掘り下げを行い、樹脂ブロック5を使用しているとも言える。
これらの場合と比べると、前述した建築物は、必要充分な領域を掘り下げて必要充分な量の樹脂ブロック5を使用しており、効果やコストの面で最適であると言える。
【0044】
上述した各構成の建築物において、降雨時に地中水位が上昇した際、樹脂ブロック層3内に水が浸入して溜まる構成は、耐震性の点でも良好である。樹脂ブロック層3内に水が浸入して溜まると耐震性が向上するメカニズムの一つは、いわゆる動的相互作用と呼ばれる作用に相当するものである。動的相互作用は、剛性の高い地盤の上に軟弱な地盤があり、そこに振動(地震)が伝わった場合、振動に位相差が生じて振動が軽減される作用である。各構成の建築物においても同様な効果があり、樹脂ブロック層3内に水が溜まると、そこでは振動の伝わり方が遅くなり、結果的に免震効果が現れる。
【0045】
別の耐震性向上のメカニズムは、水が溜まることによるバラスト効果である。地震により液状化現象が発生した場合、水(地震による過剰間隙水)が樹脂ブロック層3内に入り込み、建築物全体の重心を下げる効果を生ずる。この結果、建築物が安定し、振動が軽減される。この効果は、大型船のバラストタンクやアンチローリングタンクの作用と類似している。
【0046】
さらに別の耐震性向上のメカニズムは、敷地地盤と建築物との共振を阻害する効果である。周知のように、地震が生ずると、敷地地盤はその地点固有の周期で卓越して揺れ、この周期は卓越周期と呼ばれる。そして、建築物自体も固有の周期で揺れる。敷地地盤の卓越周期と建築物の固有周期が近くなってくると、建築物は敷地地盤の揺れに共鳴して揺れることになり、建築物に大きな被害が生じる。
ここで、周知のように、P波(縦揺れ)は水や空気中でも伝わるが、S波(横揺れ)は水や空気中では伝わらない。従って、各構成の建築物のように建物部2の下に空洞を多く有する人工地盤1を設けたり、人工地盤1中を水が溜まるようにしたりすると、そこではS波は伝わらなくなる。この結果、敷地地盤の卓越周期と建築物の固有周期が近い値であったとして、人工地盤1が共振を阻害する(狂わせる)よう作用し、建物部2の揺れが軽減されることになる。
【0047】
尚、上記各効果において、水の免震作用は、降水時や液状化現象が生じた時などに地中水位が上昇して樹脂ブロック層3内に水が浸入した時に特に得られるが、図8に示す建築物においても勿論得られる。図8に示す建築物の場合、地中水位が人工地盤1の最下部よりも下に下がった場合でも水が溜まっているので、この状態の時に地震が起きた場合でも免震効果が得られる。
また、上述した免震効果は、地震による振動に限らず、トラック又は電車の往来、工事等により生ずる振動についても基本的に同様である。
【0048】
各建築物の基本的な構造は、掘り下げて形成した凹部内に樹脂ブロック5を並べて樹脂ブロック層3を形成した構造であり、図1に示すように、基準層4や擁壁層7を備えることは必須の条件ではない。
樹脂ブロック層3の最上面が水平な平坦面であれば、基準層4は不要である。また、図11(2)に示すような側面部分を有する樹脂ブロック5を使用すれば、その側面部分で擁壁ができる場合があり、擁壁ブロックは不要となる。但し、この場合も、開口から土砂が入らないよう、目の細かい透水シートなどを介在させる場合はある。
また、樹脂ブロック5は、水平方向に並べただけ(1段のみの樹脂ブロック5)でも実施できる場合がある。また、建物部2の水平方向の領域が小さい場合、水平方向に樹脂ブロック5を並べる必要はなく(水平方向は1個のみの樹脂ブロック5)、上下方向に並べただけで樹脂ブロック層3が形成できる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】参考例の建築物の正面概略図である。
【図2】図1に示す樹脂ブロック層3を構成する樹脂ブロック5の概略図であり、(1)が平面概略図、(2)は正面概略図である。
【図3】図2に示す樹脂ブロック5の水平方向の連結構造について示した図であり、(1)は平面概略図、(2)は正面断面概略図である。
【図4】有孔発泡樹脂ブロック71の斜視概略図である。
【図5】参考例の建築物における人工地盤1の作用及び人工地盤1を形成するための敷地の掘り下げ深さについて示した図である。
【図6】図1に示す建築物の人工地盤1の施工方法について示した概略図である。
【図7】図1に示す人工地盤1の効果について示した概略図であり、(1)は従来のような発泡樹脂ブロック9を多数敷き詰め、積み上げて形成した人工地盤1について示し、(2)は参考例の人工地盤1について示している。
【図8】本願発明の実施形態の免震方法が実施される建築物の正面概略図である。
【図9】別の構成に係る建築物の正面概略図である。
【図10】図9に示す建築物の人工地盤1の技術的意義について示した正面概略図である。
【図11】さらに別の建築物における樹脂ブロック層3の構成について示した正面概略図である。
【図12】水平方向において人工地盤1が占める領域と建物部2が占める領域との関係について示した図である。
【符号の説明】
【0050】
1 人工地盤
2 建物部
21 基礎部
3 樹脂ブロック層
4 基準層
41 カバー層
42 捨てコンクリート層
5 樹脂ブロック
6 連結具
7 擁壁層
71 有孔発泡樹脂ブロック
81 透水シート
82 砕石
10 防水層
11 取水管
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、建築物に関するものであり、特に建築物における免震技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本は地震の多い国であり、阪神大震災を始めとした大地震の教訓を背景として、免震技術など、地震対策を考慮した建築技術の開発が進められている。また、一連の耐震偽装問題などから、建築物の構造部分についての関心も非常に高くなってきている。
このうち、建築物の地業部構造については、例えば特開平9−275160号公報に開示されているように、発泡樹脂(発泡スチロール)より成る人工地盤材を敷設し、その上にコンクリート材を設けた構造が考案されている。
このような地業部構造は、軽量化された人工地盤材を埋設し、これによってそれより下の地盤にかかる建築物全体の荷重を軽減するものと言える。これは、建築物直下の地盤(土)を軽量の人工地盤材で置換することで接地圧を軽減し、これによって不同沈下等の沈
下を防止する技術である。尚、本明細書において単に地盤というときは、人工地盤ではなく、敷地の元々の地盤という意味である。
【特許文献1】特開平9−275160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、発泡樹脂人工地盤材は排水性であり、地中水位が上昇した場合でもその部分で水が溜まるような構造にはなっていない。
本願の発明は、建築物の基礎部の直下の位置で水が溜まり続ける地盤構造を採用することで新たな免震効果を得ることを解決課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、基礎部と基礎部の上に構築された建物部とから成る建築物において、地震が発生した際の建築物の振動を軽減する免震方法であって、
基礎部の直下の位置の地中内には防水層が埋設されており、この防水層は、底部と、底部の端部から上方に延びた側部とを有していて、地中水位が上昇した際に側部の内側に水が溜まる構造であるとともに、地中水位が下がった後も側部の内側に水が溜まり続ける構造であり、
この防水層の側部の内側に溜まり続ける水により、地震が発生した際の建築物の震動を軽減するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により地震の振動に位相差を生じさせ、これによって振動を軽減するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により建築物全体の重心を下げるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかの構成において、前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により、地震が発生した際に地盤と建築物との共振を阻害するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至4いずれかの構成において、前記基礎部の下側には、地盤の土よりも軽量の樹脂ブロックを多数並べて設けることで地盤置換をした樹脂ブロック層が設けられており、前記防水層は、この樹脂ブロック層の下側に設けられており、各樹脂ブロックは通水性の開口を有しているという構成を有する。
【発明の効果】
【0005】
以下に説明する通り、本願の各請求項の発明によれば、建築物の基礎部の直下の位置で溜まり続ける水により地震の際の振動が軽減されるとともに、溜まっている水を渇水時に利用することもでき、一石二鳥的な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、参考例の建築物の正面概略図である。図1に示す建築物は、地表面より下に設けられた人工地盤1と、人工地盤1の上に建築された建物部2とより成っている。そして、人工地盤1は、地表面より下の所定の深さの領域を占めるよう設けられた樹脂ブロック層3を備えている。また、樹脂ブロック層3の上には基準層4が設けられており、建物部2は基準層4の上に構築されている。人工地盤1は、建物部2のほぼ直下の領域を占めている。即ち、建物部2が占める水平方向の領域と人工地盤1が占める水平方向の領域はほぼ同じである。
【0007】
この建築物の大きな特徴点は、樹脂ブロック層3が、樹脂(発泡樹脂を除く)製の樹脂ブロック5を多数並べることで形成されており、開口を通して内部に水が浸入できる状態とした点である。
図2は、図1に示す樹脂ブロック層3を構成する樹脂ブロック5の概略図であり、(1)が平面概略図、(2)は正面概略図である。樹脂ブロック5は、水平な姿勢とされるベース部51と、ベース部51から垂直に延びるよう形成された脚部52とから成っている。ベース部51は、全体としては正方形の板状である。ベース部51には、軽量化及び通水のため、多くの開口50が形成されている。
【0008】
脚部52は、正方形のベース部51の各角の位置に合計4つ設けられている。脚部52の位置は、角の縁から少し内側の位置である。各脚部52は、対角線上に位置し、ベース部51の中心からの距離はすべて同じである。
各脚部52は、全体としてはほぼ角柱状の部位である。但し、各脚部52の内部は軽量化のため空洞になっている。各脚部52は、ベース部51につながった部分で最も断面積が大きく、ベース部51から遠ざかるにしたがって徐々に小さな断面積となっている。即ち、正面から見ると台形状となっている。
各脚部52の高さは皆同じである。各脚部52の上端面には、嵌め込み用の突起(以下、嵌め込み突起)53が形成されている。嵌め込み突起53は、上側に位置させる別の樹脂ブロック5との組み合わせのための部位である。
【0009】
図2(1)に示すように、嵌め込み突起53は、各脚部52の上端面に二つずつ形成されている。各嵌め込み突起53は、図2(1)に示すように、各脚部52のほぼ正方形の上端面形状において斜め左上から斜め右下の方向の対角線上に設けられている。
また、各脚部52の上端面には、嵌め込み用の孔(以下、嵌め込み孔)54が形成されている。嵌め込み孔54は、嵌め込み突起53が嵌め込まれる孔である。嵌め込み孔54も、各上端面に二つずつ設けられている。嵌め込み孔54は、平面視で見た場合、斜め右上から斜め左下の方向の対角線上に設けられている。即ち、各脚部52の上端面において、各嵌め込み孔54は各嵌め込み突起53と線対称に配置されている。
【0010】
このような樹脂ブロック5は、人が持ち運んで並べることを想定しているため、人が持ち運べる程度の大きさとされる。一例を示すと、ベース部51は一辺が500〜600mm程度であり、脚部52の長さは200〜500mm程度である。
樹脂ブロック5は、後述するように軽量人工地盤材料として地盤置換に用いられるものであり、必要な強度が確保される範囲でできる限り軽量とされる。また、樹脂ブロック5は、人が持ち運べるという意味でも軽量とされる。具体的には、樹脂ブロック5は、一個につき6kg〜8kg程度の重量である。
【0011】
このような樹脂ブロック5は、全体がポリプロピレン製であり、射出成型により製作されている。このような樹脂ブロック5としては、道路造成等の土木用のものが株式会社林物産(茨城県日立市)からカンカンブロック(商品名)として市販されているので、これを応用しても良い。樹脂ブロック5の材質としては、ポリプロピレンの他、ポリエチレン製、ポリオレフィン製、ABS樹脂製などの樹脂ブロック5を使用しても良い。
【0012】
次に、上述した樹脂ブロック5を組み上げて樹脂ブロック層3とする点について説明する。図1に示すように、樹脂ブロック5は、水平方向及び垂直方向に隙間無く並べて敷設される。この際、上下方向では、各嵌め込み突起53を各嵌め込み孔54に嵌め込むことで組み上げを行う。
即ち、図1に示すように、下側の樹脂ブロック5は、脚部52を上に向けて配置される。そして、その上に脚部52を下に向けて別の樹脂ブロック5を配置する。この際、お互
いの脚部52を突き合わせ、互いの嵌め込み突起53が互いの嵌め込み孔54に嵌め込まれるようにする。
尚、脚部52を下側に向けて配置された樹脂ブロック5の上には、脚部52を上に向けた別の樹脂ブロック5が積み重ねられるが、この際、ベース部51に設けられた突起(以下、ベース突起)55によって、水平方向のずれが防止されるようになっている。
【0013】
図2(1)に示すように、ベース突起55は、四つ設けられており、ベース部51の中心と同心円周上に45度間隔で設けられている。また、ベース部51には、相手方のベース突起55が嵌め込まれる孔(以下、ベース孔)56が設けられている。図2(1)に示すように、ベース孔56も、ベース部51と同心の円周上に45度間隔で4つ設けられている。ベース突起55とベース孔56の位置関係は、ベース部51を裏返すと丁度同じ位置になるようずれた位置関係となっている。
従って、二つの樹脂ブロック5をお互いのベース部51を突き合わせた状態で重ね合わせると、一方のベース突起55が他方のベース孔に嵌り込む状態となる。このため、水平方向の位置ずれが防止される。
【0014】
このような樹脂ブロック5の組み上げについては、水平方向の樹脂ブロック5の連結も行われるようになっている。この点について、図3を使用して説明する。図3は、図2に示す樹脂ブロック5の水平方向の連結構造について示した図であり、(1)は平面概略図、(2)は正面断面概略図である。
水平方向の樹脂ブロック5の連結には、連結具6が用いられる。連結具6は、図3(2)に示すように、プレート部61と、プレート部61から直角に突出するよう設けられた差込突起62とから成る形状である。プレート部61はほぼ方形であり、差込突起62は上下の両面に設けられている。また、上下両面において、差込突起62は四つ設けられており、プレート部61の各対角線上に中心から等距離の位置に設けられている。
【0015】
一方、図2(1)に示すように、樹脂ブロック5の各角部には、差込孔57が形成されている。差込孔57は、差込突起62に断面の形状及び大きさに適合した形状及び大きさのものである。
水平方向に樹脂ブロック5を連結する場合、図3(1)に示すように、各樹脂ブロック5を詰めて並べ、各角部が隣接するようにする。そして、連結具6で各角部を連結する。即ち、隣接した四つの樹脂ブロック5の各差込孔57に差込突起62を差し込む。
尚、図3(2)に示すように、上側に突出した差込突起62は、上側に並べた各樹脂ブロック5の連結に用いられる。各樹脂ブロック5を差込突起62が差込孔57に差し込まれるようにしながら配置することで、水平方向の樹脂ブロック5の連結が行われる。
【0016】
このような樹脂ブロック5が組み上げられて形成された樹脂ブロック層3は、軽量であるにもかかわらず建築物の人工地盤1を構成するものとして充分な強度を持つものとなっている。一例として強度を示すと、例えば図2に示すような構成の樹脂ブロック5の場合、一つの樹脂ブロック5としては、0.53t〜3.2tまでの荷重に耐えられるものである。このような樹脂ブロック5を脚部52を突き合わせて重ね合わせ、16t/m2までの荷重に耐えられるようにする。
【0017】
このような樹脂ブロック層3は、建築物が建築される敷地の地表面を所定の深さ掘り下げて形成した凹部に施工される。また、組み上げられた樹脂ブロック層3は、左右の側面と底面が透水シートで覆われ、上面は防水シートで覆われる。
また、図1に示すように、樹脂ブロック層3の周囲には、擁壁層7が設けられている。擁壁層7は、孔あけした発泡樹脂ブロック(有孔発泡樹脂ブロック)71を多数並べて積み上げたものである。
【0018】
図4は、有孔発泡樹脂ブロック71の斜視概略図である。図4に示すように、有孔発泡樹脂ブロック71は、全体としては直方体状である。そして、上面及び下面には、直角に交差する細長い溝72が形成されている。有孔発泡樹脂ブロック71を厚さ方向に貫通する貫通孔73が形成されている。貫通孔73は、溝72の交差部分を含む複数の箇所に設けられている。
また、樹脂ブロック層3の上には、基準層4が設けられている。基準層4は、建物部2を構築する際の基準となる水平面を得るためのものである。基準層4は、樹脂ブロック層3を覆うカバー層41と、カバー層41の上に設けられた捨てコンクリート層42となり成っている。
【0019】
カバー層41は、発泡樹脂プレート43を敷き詰めて形成されている。発泡樹脂プレート43は、1820mm×910mm程度の大きさの方形であり、厚さは30〜50mm程度で良い。ここでの発泡樹脂プレート43は、孔あけされたものでなくとも良い。
捨てコンクリート層42は、ベタ打ちとなっている。捨てコンクリート層42の厚さは、50mm〜100mm程度で良い。基準層4の上面(ここでは捨てコンクリート層42の上面)は、水平な平坦面になるよう施工される。
カバー層41無しに直接捨てコンクリート層42を施工しても良いのであるが、樹脂ブロック5が開口を多く有するため、そのまま捨てコンクリートを施工するのが難しいという事情による。尚、発泡樹脂プレート43に代えて防水シートを用い、防水シートで樹脂ブロック層3の上面を覆った上で捨てコンクリート層を設ける場合もある。
【0020】
このような基準層4も、人工地盤1を構成するものである。即ち、樹脂ブロック層3及び基準層4から主に人工地盤1が構成されている。
基準層4の上には、基礎部21が設けられており、その上に建物部2が構築されている。基礎部21は、鉄筋が入ったコンクリートより成る基礎である。基礎部21は、ベタ基礎であったり、布基礎(独立基礎)であったりする。
【0021】
次に、人工地盤1の作用及び人工地盤1を形成するための敷地の掘り下げ深さについて説明する。
図5は、参考例の建築物における人工地盤1の作用及び人工地盤1を形成するための敷地の掘り下げ深さについて示した図である。
図5(1)に示すように、建築物が建築された敷地においては、建物部と基礎部とを含めた全体の荷重(以下、総荷重)Wが地盤にかかる。総荷重Wにより地盤にかかる単位面積当たりの重力(圧力)を接地圧と呼ぶ。接地圧(図5中Pで示す)は、建築物全体が地盤に対して圧する力であるから、建築物の最下面における圧力である。
【0022】
総荷重Wが地盤にかかる場合において、地盤自体も重力バランスに従った力で建築物を受け止めており、接地圧Pがある限度以上にならないと、不同沈下のような沈下事故は発生しない。この地盤が建築物を受け止める圧力を自然地耐力(以下、単に地耐力)と呼び、qaで表す。地耐力qaは、地盤の種類によって異なり、水分を多く含む軟弱地盤ほど弱い。尚、地耐力には、長期地耐力と短期地耐力(地震等による短い期間の急激な振動に耐える力)とがあるが、以下の説明は、長期地耐力を想定している。
例えば三階建て程度までの木造家屋を建築する場合、地耐力qaは30〜50kN/m2程度が必要とされる。しかし、軟弱地盤では30kN/m2を下回るようになる。地耐力qaは、接地圧をPより大きいことが求められ、P>qaであると、沈下事故が生じ得ることになる。
【0023】
図5(1)に示すように、総荷重Wの建築物があったとし、その接地圧がPであるとする。この際、Wの重量になる分量の地表面からの地盤(地中)の領域をSとする。この領域Sの最下面においては、2Wの荷重による接地圧が生じているが、その周囲の地盤中の同じ深さのレベルでは、丁度Wの荷重による接地圧P’,P”が生じており、これを地耐力qaが受け止めている状態である。
ここで、図5(2)に示すように、建築物の下の地盤を掘り下げ、領域Sの分だけ空間(凹部)を作る。この空間に、荷重が実質的にゼロとみなせる支持構造物(即ち、人工地盤)を構築したとする。こうすると、掘り下げて形成した凹部の底面での接地圧は、人工地盤の荷重がゼロであるから、建築物の荷重Wによる接地圧Pのままである。このため、その深さにおける周囲の地盤中の接地圧P’,P”と実質的に等しくなり、従って建築物の総荷重Wによる沈下事故は発生しない。
これは、建築物の下の地盤をその建築物の荷重分だけ取り払って荷重ゼロの空間を作ることで、接地圧を周囲の地盤中の接地圧と等しくし、沈下を防止する技術であると言える。いわば、建築物を船のように浮かべる技術であるとも言える。
【0024】
但し、実際には、建築物の荷重分まで取り払わなくても良く、建築物による接地圧Pが地耐力qaを上回る分に見合うだけ取り払えば良い。従って、このような軽量人工地盤材による地盤置換を一般的な式で示すと、以下のようになる。
d=(P−qa)/γ
この式で、dは地盤を掘り下げる深さ(m)、Pは総荷重(人工地盤を含む)Wによる接地圧(kN/m2)、qaはその地盤の地耐力(kN/m2)、γはその地盤の土の単位体積当たりの重力(kN/m3)である。つまり、接地圧が地耐力を上回る分を土の単位体積当たりの重力で割った分だけ掘り下げて軽量人工地盤材で置換しておけば良い。
尚、上記式で、dは最低限の値であり、さらに深く掘れば(dを大きくすれば)、さらに沈下防止の効果が高まる。つまり、上記式は、
d≧(P−qa)/γ
とするのが正しい。
【0025】
上記各式において、dγは、地盤の土の単位体積当たりの重量に掘り下げ深さを掛けたものである。これは、掘り下げて形成した凹部空間において、掘り下げて取り出した土の全量が元々その空間において作用させていた単位面積当たりの重力(圧力)である。このような重力は、先行上載圧と呼ばれる。上記のような軽量人工地盤材による地盤置換は、接地圧が地耐力を上回る分だけ先行上載圧を取り除き、それによって沈下を防止するものに他ならない。
【0026】
実際の基礎設計においては、施工する敷地の地盤の地耐力、土の単位体積当たりの重量を予め調べておく。そして、建物部2の総重量と、樹脂ブロック層3を含む人工地盤1の総重量とを合算して総重量Wを求め、接地圧Pを計算しておく。接地圧Pは、地盤に対し総荷重Wがかかる面積(この例では人工地盤1の最下部の面積)で総重量Wを割った値である。このようにして求めた各値を上記式に代入して最低限のdの値を求め、その値から余裕を見てある程度大きい値を実際のdとして採用するようにする。
【0027】
次に、上記のような構造を有する基礎の施工方法について、図6を使用して説明する。図6は、図1に示す建築物の人工地盤1の施工方法について示した概略図である。以下の説明により、人工地盤1の更に具体的な構造が明らかにされる。
まず、建築物を建築する敷地を掘り下げ、凹部8を形成する(図6(1))。掘り下げる水平方向の領域は、建物部2の施工領域と同じかそれよりより少し広い程度である。掘り下げる深さは、上記計算式に従って適宜決定される。
【0028】
次に、掘り下げて形成した凹部8の底面や側面をならして整地し、砕石等により突き固める。透水シート81で凹部8の底面や側面を覆う。次に、底面8には砕石82を敷き詰め、側面にも砕石82を敷き詰める。
次に、砕石82の内側に擁壁層7を施工する。上記の通り、通水用の溝及び孔を有する有孔発泡樹脂ブロック71を積み上げ、擁壁層7とする。擁壁層7を側面に沿って周状に形成した後、その内側に樹脂ブロック層3を施工する。予め、透水シートを底面及び側面に敷き、その内側に樹脂ブロック5を並べていく。即ち、前述したように、樹脂ブロック5を水平に並べて相互に連結した後、その上にさらに樹脂ブロック5を積み上げて組み上げ、樹脂ブロック層3とする(図6(3))。そして、防水シート30で樹脂ブロック層3の上面を覆う。
【0029】
その後、樹脂ブロック層3の上に発泡樹脂プレート43を敷設してカバー層41とし、その上に捨てコンクリート層42を施工する。そして、砕石82等の部分に残っている隙間を埋めるため、砕石や土で埋め戻しを行うと、最終的に人工地盤1が完成する(図6(4))。尚、捨てコンクリート層42は、地表面より低い位置となっているが、捨てコンクリート42の上面が地表面と同じ高さとされたり、地表面よりも高い位置とされることもある。また、地表面から所定の高さまで捨てコンクリート層42が施工される場合もある。
尚、建物部2については、特に限定されるものではなく、従来のものと同様に自由に設計、施工できる。
【0030】
上述したように、参考例の建築物は、先行上載圧を取り除いた部分に、軽量な樹脂ブロック5を並べて組み上げた樹脂ブロック層3を設けて地盤置換をしているので、不同沈下などの沈下事故が抑制される。
また、擁壁層7は、凹部の側面が崩れるのを防止し、土砂が樹脂ブロック層3内に進入しないようにしている。前述したように、上下に積み重ねた樹脂ブロック5の側面は開口であり、このままでは凹部の側面を擁護する作用は弱い。そこで、擁壁層7を設けて側面を擁護している。この場合も、通水性が阻害されないよう、有孔発泡樹脂ブロック71を用いる。
【0031】
また、有孔発泡樹脂ブロック71は軽量であるので、軽量人工地盤の一部として用いることも可能である。即ち、図1に示す構造では、擁壁層7に建物部2の荷重が直接かからないようになっているが、擁壁層7が建物部2の直下の位置になるようにして建物部2の荷重がかかるようにしても良い。この場合、有孔発泡樹脂ブロック71より成る擁壁層7は、軽量人工地盤の一部であり、上述したような地盤置換に資することになる。
【0032】
また、樹脂ブロック層3内に自由に水が浸入できる点は、軟弱地盤における施工の点で特に有利な構造となっている。この点について、図7を使用して説明する。図7は、図1に示す人工地盤1の効果について示した概略図である。図7中、(1)は従来のような発泡樹脂ブロック9を多数敷き詰め、積み上げて形成した人工地盤1について示し、(2)は参考例の人工地盤1について示している。
図7(1)に示すように、発泡樹脂ブロック9を多数敷き詰め、積み上げて形成した人工地盤1では、発泡樹脂ブロック9同士の隙間には水が若干浸入できるものの、発泡樹脂ブロック9自体に通水性が無く、人工地盤1は全体としては排水性(内部に水が浸入することを許さないという意味)である。このため、大雨などで地盤中に大量の水100が浸入して地中水位が上がった場合、水100が地表面にまで達してしまう(冠水してしまう)ことになり易い。
【0033】
一方、図7(2)に示すように、樹脂ブロック層3により形成した人工地盤1によれば、樹脂ブロック層3中に水が自由に浸入するので、地盤中の水位上昇が緩和され、冠水にまで達する可能性が低減される。いわば、樹脂ブロック層3を、軽量人工地盤材による地盤置換とともに増水時の貯水層(プール)として利用している。このため、軟弱地盤に施工されるものとして非常に好ましいものとなる。例えば、以前は田圃又は沼地であったような場所は、地中水位が高い場合が多く、大雨により冠水し易いことが多いが、このような場所であっても、人工地盤1を施工することで大雨が降っても冠水しないようにすることができる。
【0034】
また、従来の発泡樹脂ブロック5より成る人工地盤1では、発泡樹脂ブロック9に通水性が無いので、施工中に大雨が降ると、浮き上がり事故が発生し易い。即ち、発泡樹脂ブロック9を並べて敷設した後の建物部2を構築する前の段階で、大雨が降り、掘り下げて形成した凹部内に水が溜まってしまうと、発泡樹脂ブロック9が浮き上がってしまう事故が発生する。これを防止するため、発泡樹脂ブロック9の施工中や、施工完了後の建物部2の施工開始前の段階では、大雨が降るとポンプによる水の汲み出し作業などが必要になる。
一方、参考例の構造では、各樹脂ブロック5自体が開口を有していて通水性に富んでいるため、施工中又は施工完了後の建物部2未着工の段階で大雨があっても、樹脂ブロック5が浮き上がってしまうような事故は防ぐことができる。従って、ポンプで水を汲み出すような手間は必要無い。
【0035】
次に、本願発明の実施形態の免震方法が実施される建築物について説明する。
図8は、本願発明の実施形態の免震方法が実施される建築物の正面概略図である。図8に示す建築物では、人工地盤1を貯水層として利用して渇水時に利用できるようにしている。
即ち、図8に示す建築物では、掘り下げて形成した凹部の底面と側面には、防水層10が設けられている。防水層10は、例えば防水シートを敷設したり、多数の防水プレートを並べて防水性の接着材で接着したりすることで形成できる。図8に示すように、防水層10は、底部と、底部の端部から上方に延びた側部とを有する。
尚、防水層10の側部の高さは、必要に応じて凹部の深さの途中までであり、地表面には達していない。この実施形態では、樹脂ブロック層3の高さの1/3程度である。また、防水層10の側部の内側と地表面とをつなぐようにして、取水管11が設けられており、取水管11には不図示のポンプが設けられている。
【0036】
この建築物では、大雨が降って地中水位が上がった際、防水層10の側部の内側に水が浸入する。浸入した水は、水が引いて地中水位が下がった後も防水層10の側部の内側に溜まり続ける。溜まった水は、渇水時に取水管11を通してポンプで汲み上げ、庭先への散水等に利用することができる。尚、軽量人工地盤材による地盤置換の効果は、前述した参考例と同様である。
この建築物によれば、地盤置換をした人工地盤1によって沈下事故が防止できるとともに人工地盤1が増水時の水溜めとして利用でき、さらに防水層10内の水を渇水時に利用することができ、一石三鳥の効果がある。
【0037】
次に、別の構成に係る建築物について説明する。
図9は、別の構成に係る建築物の正面概略図である。この建築物の人工地盤1は、凹部が建物部2の水平方向中央部の直下において深く、水平方向周辺部の直下において浅い形状であり、これに合わせて樹脂ブロック層3も建物部2の水平方向中央部の直下において厚く、水平方向周辺部の直下において薄い形状となっている。
尚、図9では樹脂ブロック層3の詳細は省略されているものの、前述した説明から解る通り、樹脂ブロック5を並べ方を適宜変更することで、このような形状の樹脂ブロック層3を得ることができる。
【0038】
このような人工地盤1の技術的意義について、図10を使用して説明する。図10は、図9に示す建築物の人工地盤1の技術的意義について示した正面概略図である。前述したように、地盤に対しては、建築物の総重量に応じた接地圧がかかり、地耐力がこれに抗して作用している。この際、地中には建築物の総重量に応じた応力(地中応力)が生じている。
地中応力は接地圧によって生ずるから、図10に示すように、地中応力S1〜S4は、建築物の最下部の各点から広がるように分布する。地中において、地表面と平行な面で見た応力Sの分布は、建築物の最下部の各点からの応力S1〜S4を合成したものとなる。従って、図10に示すように、合成応力Sは、建築物の中央部の直下部分において大きく、周辺部において小さい分布となる。
【0039】
このような分布の応力が全体として生じている場合に、図1に示すように均一な深さの凹部を形状して樹脂ブロック層3の厚さを均一なものとしても、前述したように充分に沈下事故防止の効果が得られる。しかし、樹脂ブロック層3の厚さの分布を応力の分布に応じたものにしておくと、限られた量の樹脂ブロック5を効率よく利用しつつ沈下事故防止の効果を得ることができる。この参考例の建築物は、この点に技術的意義を有する。
【0040】
即ち、図9に示すように、建物部2の水平方向中央部の直下において地盤を深く掘って先行上載圧を大きく取り去り、水平方向周辺部の直下において浅く掘って先行上載圧を少なく取り去る。そして、建物部2の水平方向中央部の直下において樹脂ブロック層3を厚く(樹脂ブロック5の積み重ね段数を多く)し、水平方向周辺部の直下において樹脂ブロック層3を薄くし(樹脂ブロック5の積み重ね段数を少なく)する。これは、軽量人工地盤材による地盤置換の分布(接地圧緩和の分布)を応力分布に適合させたものである。つまり、図10に示すように、上に凸となる応力Sの分布に合わせて、下に凸となる分布Rで地盤置換を行う。このようにすると、応力の大きな中央部において効率よく接地圧が緩和され、より均一化された地中応力の分布S’が得られる。
このようにすると、樹脂ブロック5の使用効率が向上するので、沈下事故を効果的に防止しつつも全体の樹脂ブロック5の使用量を減らすことができ、施工コストを安く抑えることができる。
【0041】
次に、図11を使用して、さらに別の構成の建築物について説明する。図11は、さらに別の建築物における樹脂ブロック層3の構成について示した正面概略図である。
まず、図2に示す樹脂ブロック5を用いた場合、前述したように脚部52を突き合わせて重ねるのではなく、脚部52を上に向けた状態で順次重ねていっても良い。この場合、一番上の樹脂ブロック5に蓋をするように設けられるカバー用樹脂ブロックが別に用意される。カバー用樹脂ブロックは、図2に示す樹脂ブロック5のうちの脚部52の無い形状のものである。
また、樹脂ブロック5の形状としては、図11(2)に示すようなものでも良い。図11(2)は正面断面概略図となっているが、ここに示すものは、上端が開口になっている直方体のボックス状で、中央に補強用の脚部52が形成されている形状のものである。ボックスの側面や底面には、同様に開口50が多く設けられ、通水が確保されるとともに軽量化が図られる。
【0042】
次に、図12を使用して、水平方向において人工地盤1が占める領域と建物部2が占める領域との関係について説明する。図12は、水平方向において人工地盤1が占める領域と建物部2が占める領域との関係について示した図である。
上記建築物では、水平方向において人工地盤1が占める領域と建物部2の最下部が占める領域とは同じであった。即ち、例えば建物部2の最下部が長方形である場合、人工地盤1も同じ大きさの長方形であり、建物部2の直下の領域を占める。しかし、本願発明の実施に際しては、両者の領域が同じでなくとも良い。即ち、図12(1)に示すように、人工地盤1の領域が建物部2より狭くともよく、図12(2)に示すように、人工地盤1の領域が建物部2より大きくても良い。
【0043】
但し、図12(1)に示す場合は、人工地盤1が占めていない建物部2の直下の部分において、先行上載圧は取り去れていない。この部分の土の重力も、計算上は総荷重に入れる必要があり、従って、建物部の荷重が大きい場合とか、地耐力が小さい場合などには、沈下事故防止の効果が充分に得られなくなる場合もあり得る。
また、図12(2)の場合、はみ出し部分の樹脂ブロック層3は、接地圧の緩和には大きくは関与しない。水平方向の樹脂ブロック5が充分に連結されている場合、建物部2の水平方向周辺部の直下に位置で作用する接地圧を分散する効果はあるが、周辺部については、前述したように地中応力が小さいので、接地圧の分散はそれほど必要ではない。従って、必要以上に掘り下げを行い、樹脂ブロック5を使用しているとも言える。
これらの場合と比べると、前述した建築物は、必要充分な領域を掘り下げて必要充分な量の樹脂ブロック5を使用しており、効果やコストの面で最適であると言える。
【0044】
上述した各構成の建築物において、降雨時に地中水位が上昇した際、樹脂ブロック層3内に水が浸入して溜まる構成は、耐震性の点でも良好である。樹脂ブロック層3内に水が浸入して溜まると耐震性が向上するメカニズムの一つは、いわゆる動的相互作用と呼ばれる作用に相当するものである。動的相互作用は、剛性の高い地盤の上に軟弱な地盤があり、そこに振動(地震)が伝わった場合、振動に位相差が生じて振動が軽減される作用である。各構成の建築物においても同様な効果があり、樹脂ブロック層3内に水が溜まると、そこでは振動の伝わり方が遅くなり、結果的に免震効果が現れる。
【0045】
別の耐震性向上のメカニズムは、水が溜まることによるバラスト効果である。地震により液状化現象が発生した場合、水(地震による過剰間隙水)が樹脂ブロック層3内に入り込み、建築物全体の重心を下げる効果を生ずる。この結果、建築物が安定し、振動が軽減される。この効果は、大型船のバラストタンクやアンチローリングタンクの作用と類似している。
【0046】
さらに別の耐震性向上のメカニズムは、敷地地盤と建築物との共振を阻害する効果である。周知のように、地震が生ずると、敷地地盤はその地点固有の周期で卓越して揺れ、この周期は卓越周期と呼ばれる。そして、建築物自体も固有の周期で揺れる。敷地地盤の卓越周期と建築物の固有周期が近くなってくると、建築物は敷地地盤の揺れに共鳴して揺れることになり、建築物に大きな被害が生じる。
ここで、周知のように、P波(縦揺れ)は水や空気中でも伝わるが、S波(横揺れ)は水や空気中では伝わらない。従って、各構成の建築物のように建物部2の下に空洞を多く有する人工地盤1を設けたり、人工地盤1中を水が溜まるようにしたりすると、そこではS波は伝わらなくなる。この結果、敷地地盤の卓越周期と建築物の固有周期が近い値であったとして、人工地盤1が共振を阻害する(狂わせる)よう作用し、建物部2の揺れが軽減されることになる。
【0047】
尚、上記各効果において、水の免震作用は、降水時や液状化現象が生じた時などに地中水位が上昇して樹脂ブロック層3内に水が浸入した時に特に得られるが、図8に示す建築物においても勿論得られる。図8に示す建築物の場合、地中水位が人工地盤1の最下部よりも下に下がった場合でも水が溜まっているので、この状態の時に地震が起きた場合でも免震効果が得られる。
また、上述した免震効果は、地震による振動に限らず、トラック又は電車の往来、工事等により生ずる振動についても基本的に同様である。
【0048】
各建築物の基本的な構造は、掘り下げて形成した凹部内に樹脂ブロック5を並べて樹脂ブロック層3を形成した構造であり、図1に示すように、基準層4や擁壁層7を備えることは必須の条件ではない。
樹脂ブロック層3の最上面が水平な平坦面であれば、基準層4は不要である。また、図11(2)に示すような側面部分を有する樹脂ブロック5を使用すれば、その側面部分で擁壁ができる場合があり、擁壁ブロックは不要となる。但し、この場合も、開口から土砂が入らないよう、目の細かい透水シートなどを介在させる場合はある。
また、樹脂ブロック5は、水平方向に並べただけ(1段のみの樹脂ブロック5)でも実施できる場合がある。また、建物部2の水平方向の領域が小さい場合、水平方向に樹脂ブロック5を並べる必要はなく(水平方向は1個のみの樹脂ブロック5)、上下方向に並べただけで樹脂ブロック層3が形成できる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】参考例の建築物の正面概略図である。
【図2】図1に示す樹脂ブロック層3を構成する樹脂ブロック5の概略図であり、(1)が平面概略図、(2)は正面概略図である。
【図3】図2に示す樹脂ブロック5の水平方向の連結構造について示した図であり、(1)は平面概略図、(2)は正面断面概略図である。
【図4】有孔発泡樹脂ブロック71の斜視概略図である。
【図5】参考例の建築物における人工地盤1の作用及び人工地盤1を形成するための敷地の掘り下げ深さについて示した図である。
【図6】図1に示す建築物の人工地盤1の施工方法について示した概略図である。
【図7】図1に示す人工地盤1の効果について示した概略図であり、(1)は従来のような発泡樹脂ブロック9を多数敷き詰め、積み上げて形成した人工地盤1について示し、(2)は参考例の人工地盤1について示している。
【図8】本願発明の実施形態の免震方法が実施される建築物の正面概略図である。
【図9】別の構成に係る建築物の正面概略図である。
【図10】図9に示す建築物の人工地盤1の技術的意義について示した正面概略図である。
【図11】さらに別の建築物における樹脂ブロック層3の構成について示した正面概略図である。
【図12】水平方向において人工地盤1が占める領域と建物部2が占める領域との関係について示した図である。
【符号の説明】
【0050】
1 人工地盤
2 建物部
21 基礎部
3 樹脂ブロック層
4 基準層
41 カバー層
42 捨てコンクリート層
5 樹脂ブロック
6 連結具
7 擁壁層
71 有孔発泡樹脂ブロック
81 透水シート
82 砕石
10 防水層
11 取水管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎部と基礎部の上に構築された建物部とから成る建築物において、地震が発生した際の建築物の振動を軽減する免震方法であって、
基礎部の直下の位置の地中内には防水層が埋設されており、この防水層は、底部と、底部の端部から上方に延びた側部とを有していて、地中水位が上昇した際に側部の内側に水が溜まる構造であるとともに、地中水位が下がった後も側部の内側に水が溜まり続ける構造であり、
この防水層の側部の内側に溜まり続ける水により、地震が発生した際の建築物の震動を軽減することを特徴とする建築物における免震方法。
【請求項2】
前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により地震の振動に位相差を生じさせ、これによって振動を軽減することを特徴とする請求項1記載の建築物における免震方法。
【請求項3】
前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により建築物全体の重心を下げることを特徴とする請求項1又は2記載の建築物における免震方法。
【請求項4】
前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により、地震が発生した際に地盤と建築物との共振を阻害することを特徴とする請求項1、2又は3記載の建築物における免震方法。
【請求項5】
前記基礎部の下側には、地盤の土よりも軽量の樹脂ブロックを多数並べて設けることで地盤置換をした樹脂ブロック層が設けられており、前記防水層は、この樹脂ブロック層の下側に設けられており、各樹脂ブロックは通水性の開口を有していることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の建築物における免震方法。
【請求項1】
基礎部と基礎部の上に構築された建物部とから成る建築物において、地震が発生した際の建築物の振動を軽減する免震方法であって、
基礎部の直下の位置の地中内には防水層が埋設されており、この防水層は、底部と、底部の端部から上方に延びた側部とを有していて、地中水位が上昇した際に側部の内側に水が溜まる構造であるとともに、地中水位が下がった後も側部の内側に水が溜まり続ける構造であり、
この防水層の側部の内側に溜まり続ける水により、地震が発生した際の建築物の震動を軽減することを特徴とする建築物における免震方法。
【請求項2】
前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により地震の振動に位相差を生じさせ、これによって振動を軽減することを特徴とする請求項1記載の建築物における免震方法。
【請求項3】
前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により建築物全体の重心を下げることを特徴とする請求項1又は2記載の建築物における免震方法。
【請求項4】
前記防水層の側部の内側に溜まり続ける水により、地震が発生した際に地盤と建築物との共振を阻害することを特徴とする請求項1、2又は3記載の建築物における免震方法。
【請求項5】
前記基礎部の下側には、地盤の土よりも軽量の樹脂ブロックを多数並べて設けることで地盤置換をした樹脂ブロック層が設けられており、前記防水層は、この樹脂ブロック層の下側に設けられており、各樹脂ブロックは通水性の開口を有していることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の建築物における免震方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−7926(P2009−7926A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150907(P2008−150907)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【分割の表示】特願2007−169760(P2007−169760)の分割
【原出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(507216892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【分割の表示】特願2007−169760(P2007−169760)の分割
【原出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(507216892)
【Fターム(参考)】
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