説明

建築物仕上げ用ゲル組成物及びその製造方法

【課題】接着の物性、有害ガス脱臭、坑菌及び結露抑制機能に優れている建築物仕上げ用ゲル組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1液状ゲルは、溶媒である水と、絹雲母粉末と、貴陽石粉末が混合ゲル化されて形成される。第2液状ゲルは、第1液状ゲルに抗菌剤粉末、ゼオライト粉末及び玉ネギ皮粉末が混合ゲル化されて形成される。第3液状ゲルは、第2液状ゲルに銀ナノコロイド、松葉抽出物及び増粘剤が混合ゲル化されて形成される。第4液状ゲルは、第3液状ゲルに金属酸化物ゾルが混合ゲル化されて形成される。第4液状ゲルを常温に急冷し、急冷した液状ゲルを密封包装して建築物仕上げ用ゲル組成物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内部壁面の仕上げ処理に用いられる建築物仕上げ用ゲル組成物及びその製造方法に関し、さらに詳細には、接着と関連した物性が優れており、揮発性有機化合物を放出せず、人体に有益な陰イオンと遠赤外線を放出し、有害ガス脱臭、坑菌、結露抑制機能が優れた建築物仕上げ用ゲル組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物を建築するために、コンクリートを打設して内部壁体を設置し、前記内部壁体の壁面にセメントのモルタルを塗って仕上げ処理する場合が頻繁である。
上記のように、コンクリート壁の表面をモルタルで仕上げ処理すると、前記コンクリートとモルタルに含まれたセメントから発散し続ける各種有害物質が居住者に悪い影響を及ぼすシックハウス症候群を引き起こす。
【0003】
従来では、主にこのようなシックハウス症候群を予防するために、居住者が入居する前に、長時間窓を完全開放した状態で室内を高温で暖房し(bake out)、このような暖房過程を複数回繰り返し行って、セメントから発散する各種有害物質を気化させて除去する。
しかしながら、このような室内暖房方法によってもセメントから発散する各種有害物質が完全に除去されないため、居住者が入居した後にも極めて長期間の間、各種有害物質が発散されて、居住者の健康に悪影響を及ぼす。また、実際に室内暖房を複数回行うことがたいそう面倒で、暖房にエネルギーを大量消費するという問題がある。
【0004】
これにより、セメントから発散する各種有害物質の発散を防止するか、又は、抑制するために、壁面を仕上げ処理する天然材料材質の各種壁仕上げ材が開発されている。しかしながら、開発された壁仕上げ材は、それ自体から揮発性有機化合物が発散して、人体に影響を及ぼし、かつ接着と関連した各種物性が不充分なため、壁面に仕上げられた状態で粉末現象が発生するか、又は、容易に壊されるなどの問題点がある。
【0005】
例えば、特許文献1では、サボテン粉末、黄土、火山石松茸粉末、海草濃縮液粉末を含んで自然香を発散し続け、遠赤外線を発散する塗膜が開示されている。
しかしながら、上記のような自然香を発散する塗膜は、接着と関連した物性が極めて不充分なため、壁面に仕上げ処理された状態で粉末拡散現象が発生するか、容易に壊されるという問題点がある。
また、特許文献2では、長時間香りを発散し得るマイクロカプセルを黄土ペイントに適用して、持続的な香り発散特性を有する黄土ペイントが開示されている。
【0006】
このような黄土ペイントは、それ自体に含まれる顔料から有機化合物や揮発性物質が発散して、居住者の健康に悪影響を及ぼし、壁面に仕上げ処理された状態でマイクロカプセルが離脱しやすいという問題点がある。
この他にも、特許文献3では、水、水溶性分散剤、水溶性有機増粘剤、添加剤などの混合物に玉粉末、二酸化チタニウム、石粉末、セラミックバインダーを混合してなる玉成分を含むペイント仕上げ材が開示されている。
しかしながら、このようなペイント仕上げ材は、高価であり、ペイント成分から有機化合物や揮発性物質が発散して、居住者の健康に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10−2002−17719号
【特許文献2】韓国公開特許公報第10−2004−26051号
【特許文献3】韓国登録特許公報第10−0613877号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の第1の目的は、天然鉱石物とその他の材料を4つのステップでゲル化させることにより製造されて、接着と関連した物性が優れており、揮発性有機化合物を放出せず、人体に有益な陰イオンと遠赤外線を放出し、有害ガス脱臭、坑菌、結露抑制機能が優れた建築物仕上げ用ゲル組成物を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、天然鉱石物の絹雲母、貴陽石、その他の材料を4つのステップで混合してゲル化させることにより製造されて、接着と関連した物性が優れており、揮発性有機化合物を放出せず、陰イオンと遠赤外線を放出し、有害ガス脱臭、坑菌、結露抑制機能が優れた建築物仕上げ用ゲル組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の本発明の第1の目的を達成するため、本発明の建築物仕上げ用ゲル組成物は、溶媒である水100重量部と、325〜1000メッシュの絹雲母粉末35〜45重量部と、325〜1000メッシュの貴陽石粉末35〜45重量部が混合ゲル化されて形成される第1液状ゲルと、前記第1液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に抗菌剤粉末5〜7重量部、ゼオライト粉末5〜7重量部及び玉ネギ皮粉末5〜7重量部が混合ゲル化されて形成される第2液状ゲルと、前記第2液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に銀ナノコロイド2〜4重量部、松葉抽出物2〜4重量部及び増粘剤2〜4重量部が混合ゲル化されて形成される第3液状ゲルと、前記第3液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に金属酸化物ゾル5重量部が混合ゲル化されて形成される第4液状ゲルと、前記第4液状ゲルが常温に急冷されて密封包装されて構成される。
【0010】
また、本発明の第2の目的を達成するため、本発明の建築物仕上げ用ゲル組成物の製造方法は、溶媒である水100重量部を基準に325〜1000メッシュの絹雲母粉末35〜45重量部と、325〜1000メッシュの貴陽石粉末35〜45重量部を混合して、天然鉱石物混合物を形成するステップと、前記天然鉱石物混合物を60〜70分間攪拌して、第1液状ゲルを形成するステップと、前記第1液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に抗菌剤粉末5〜7重量部、ゼオライト粉末5〜7重量部及び玉ネギ皮粉末5〜7重量部を混合して、第1ゲル組成物を形成するステップと、前記第1ゲル組成物を30〜40分間攪拌して、第2液状ゲルを形成するステップと、前記第2液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に銀ナノコロイド2〜4重量部、松葉抽出物2〜4重量部及び増粘剤2〜4重量部を混合して、第2ゲル組成物を形成するステップと、前記第2ゲル組成物を30〜40分間攪拌して、第3液状ゲルを形成するステップと、前記第3液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に金属酸化物ゾル5重量部を混合して、第3ゲル組成物を形成するステップと、前記第3ゲル組成物を60〜70分間攪拌して、第4液状ゲルを形成するステップと、前記第4液状ゲルを常温に急冷するステップと、前記急冷した液状ゲルを密封包装するステップとが含まれる。
上記のように製造される建築物仕上げ用ゲル組成物は、接着と関連した物性が優れており、揮発性有機化合物を放出せず、人体に有益な陰イオンと遠赤外線を放出し、有害ガス脱臭、坑菌、結露抑制機能が優れている。
【発明の効果】
【0011】
本発明による建築物仕上げ用ゲル組成物は、接着と関連した物性が優れているため、建築物の内壁の仕上げ材として適しており、他の仕上げ材に比べて薄い厚さで仕上げ処理できるため、経済性が優れており、壁体から発生する有害物質を遮断して、シックハウス症候群を予防するという効果を有している。
また、前記建築物仕上げ用ゲル組成物は、有機溶媒が含まれていないため、揮発性有機化合物を放出せず、人体に有益な陰イオンと遠赤外線を放出し、有害ガス脱臭、坑菌、結露抑制機能が優れているため、建築物居住者の健康を向上させるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の建築物仕上げ用ゲル組成物に対する一実施例を詳細に説明する。
溶媒である水に主原料の貴陽石粉末、絹雲母粉末及び各種副原料が同時に混合攪拌されてゲル化されると、混合物が一定のステップまでゲル化されてから、もうこれ以上ゲル化されない現象が発生するため、このような現象を防止するために、本発明では、溶媒である水に主原料の貴陽石粉末、絹雲母粉末及び各種副原料が4回にわたって順次混合され、65〜80℃でゲル化されることによって、建築物仕上げ用ゲル組成物が構成される。
【0013】
まず、バインダーである絹雲母粉末、貴陽石粉末が溶媒である水と混合され、一定の温度で攪拌されてゲル化されることによって、第1液状ゲルが形成される。
具体的には、溶媒である水100重量部と、325〜1000メッシュの貴陽石粉末35〜45重量部と、325〜1000メッシュの絹雲母粉末35〜45重量部が混合攪拌されて、第1液状ゲルが形成される。
【0014】
本発明の建築物仕上げ用ゲル組成物の主原料である絹雲母は、人体の血液循環を促進し、細胞活性を活性化する遠赤外線を90%以上放出する物質であって、強力な陰イオンを発散して各種有害物質を吸着する機能を有する。
また、貴陽石(kiyoseki)は、長石系の中で陰イオンを最も多く放出(24.140ed/cc.sec)する物質であって、常温である25℃で遠赤外線を最大に放出(96%)する物質である。このような貴陽石は、高い界面活性効果を示し、血流量を4.9%増加させることに対し、血流速度は7.2%減少させる鉱石物である。
【0015】
本発明では、このような絹雲母、貴陽石をバインダーとして使用して、天然鉱石物混合物が形成され、前記天然鉱石物混合物から接着性能が優れた建築物仕上げ用ゲル組成物が製造される。
溶媒に混合される絹雲母粉末と貴陽石粉末の平均粒度が325メッシュ未満であると、天然鉱石物混合物が正しくゲル化されず、絹雲母粉末と貴陽石粉末の平均粒度が1000メッシュを超過すると、絹雲母粉末と貴陽石粉末の粉砕費用に対比して、天然鉱石物混合物から製造される建築物仕上げ用ゲル組成物の物性がもうこれ以上向上しない。
【0016】
また、溶媒である水100重量部に混合される絹雲母粉末と貴陽石粉末の含量がそれぞれ35重量部未満であると、天然鉱石物混合物から製造される建築物仕上げ用ゲル組成物の接着性能が低下し、絹雲母粉末と貴陽石粉末の含量がそれぞれ45重量部を超過すると、前記天然鉱石物混合物が過剰ゲル化されて、次のステップのゲル化を進行させることができない。
上記のように構成される第1液状ゲルに坑菌力を提供する抗菌剤粉末、ゼオライト粉末及び玉ネギ皮粉末が混合され、一定の温度で攪拌されてゲル化されることによって、第2液状ゲルが形成される。
【0017】
具体的に、第1液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に抗菌剤粉末5〜7重量部、ゼオライト粉末5〜7重量部及び玉ネギ皮粉末5〜7重量部が混合攪拌されて、第2液状ゲルが形成される。
第1液状ゲルに混合される抗菌剤粉末の含量が5重量部未満であると、第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の坑菌力が低下し、抗菌剤粉末の含量が7重量部を超過すると、第1液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の機械的物性が低下する。
【0018】
また、第1液状ゲルに混合されるゼオライトは、アルカリ及びアルカリ土金属のケイ酸アルミニウム水化物であって、一般に、無色透明又は白色半透明であり、結晶構造的に原子間の結合が緩く、その間を満たしている水分を高熱で放出させても、骨格がそのまま維持されるので、微粒物質を容易に吸着することができる。このような性質を利用して、ゼオライトは、吸着剤、陽イオン交換樹脂、硬水の軟水化、大きさの異なる微粒物質を選択的に分離する分子篩、乾燥剤などの分野に応用され、最近では、石油化学工業の触媒、セメントの活性添加剤などのような多様な用途として広範囲に用いられている。
【0019】
第1液状ゲルに混合されるゼオライト粉末の含量が5重量部未満であると、建築物仕上げ用ゲル組成物の吸着及び脱臭機能が低下し、ゼオライト粉末の含量が7重量部を超過すると、ゼオライトの過剰使用による浪費が発生するようになる。
また、玉ネギ皮は、強力な殺菌及び防かび機能を有しているアリシン(allicin)を含んで、天然食品類中で防かび効果が最も優れているため、建築物仕上げ用ゲル組成物に防かび機能を付与する一方、化学的な防かび剤の必要性を低減させる。
【0020】
第1液状ゲルに混合される玉ネギ皮の含量が5重量部未満であると、玉ネギ皮の殺菌及び防かび機能が低下して、建築物仕上げ用ゲル組成物が変質しやすく、玉ネギ皮の含量が7重量部を超過すると、第1液状ゲルの濃度が増加するから、攪拌が困難になる。
上記のように構成される第2液状ゲルに銀ナノコロイド、松葉抽出物及び増粘剤が混合され、一定の温度で攪拌されてゲル化されることによって、第3液状ゲルが形成される。
【0021】
具体的に、第2液状ゲル85重量部に前記溶媒である水100重量部を基準に銀ナノコロイド2〜4重量部、松葉抽出物2〜4重量部及び増粘剤2〜4重量部が混合攪拌されて、第3液状ゲルが形成される。
第2液状ゲルに混合される銀ナノコロイドは、銀をナノ粉砕して微細銀粉末を形成し、前記微細銀粉末をアルカリアンモニア水であるコロイド溶液に溶解して、コロイド化させて製造されるものである。このような銀ナノコロイドは、コロイド化された微細銀粉末によって坑菌力が極めて優れているという特性を有している。特に、銀ナノコロイドは接着力が極めて強力なため、前記銀ナノコロイドが含まれた建築物仕上げ用ゲル組成物を壁面に仕上げ処理すると、長時間が経過しても前記建築物仕上げ用ゲル組成物から銀ナノコロイドが脱離しない。
【0022】
第2液状ゲルに混合される銀ナノコロイドの含量が2重量部未満であると、第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の坑菌力が低下し、銀ナノコロイドの含量が4重量部を超過すると、第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の製造原価が増大する。
また、松葉は、テルペン系のフィトンチッドが豊富であり、それ自体として陰イオンと松の香りを発生し、ビタミンが豊富に含まれている材料である。本発明では、松葉を粉砕してろ過して回収される液状成分である松葉抽出物を使用する。
【0023】
第2液状ゲルに混合される松葉抽出物の含量が2重量部未満であると、第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物は松の香りが十分に発生せず、松葉抽出物の含量が4重量部を超過すると、第2液状ゲルから形成されるゲル組成物の機械的物性が低下する。
また、増粘剤は、さつまいも澱粉、とうもろこし澱粉からなる群から選択される澱粉であって、第2液状ゲルのゲル化を促進し、前記第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物に粘性を提供する。
【0024】
第2液状ゲルに混合される増粘剤の含量が2重量部未満であると、第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の粘性が低下し、増粘剤の含量が4重量部を超過すると、第2液状ゲルの粘度が増加されて攪拌が困難になる。
上記のように構成される第3液状ゲルに金属酸化物ゾルが混合され、一定の温度で攪拌されてゲル化されることによって、第4液状ゲルが形成される。
【0025】
具体的に、第3液状ゲル95重量部に前記溶媒である水100重量部を基準に金属酸化物ゾル5重量部が混合攪拌されて、第4液状ゲルが形成される。
第3液状ゲルに混合される金属酸化物ゾルは、酸化亜鉛、二酸化チタニウム、酸化アルミニウムなどのような金属酸化物を弱酸に溶解してゾル形態で構成されたものであって、このような金属酸化物ゾルは、建築物仕上げ用ゲル組成物に色相を提供し、機械的物性を向上させる。
【0026】
また、金属酸化物ゾルが混合された第3液状ゲルの攪拌時間が60分未満であると、前記第3液状ゲルが正しくゲル化されず、攪拌時間が70分を超過すると、前記第3液状ゲルが硬化されるか、又は、過剰ゲル化されて、次のステップのゲル化を進行させることができなくなる。
前記第4液状ゲルが常温に急冷された後に、前記急冷された液状ゲルが缶などの容器で密封包装されて、本発明の建築物仕上げ用ゲル組成物が構成される。
【0027】
上記のように密封包装された容器を開封して、建築物の内部壁面に塗布して仕上げ処理する。
上記のように構成された建築物仕上げ用ゲル組成物は、バインダーとして機能する絹雲母粉末、貴陽石粉末を主成分として使用し、さつまいも澱粉、とうもろこし澱粉からなる群から選択される増粘剤が含まれて、接着と関連した物性が優れている。
【0028】
また、前記建築物仕上げ用ゲル組成物は、有機溶媒が含まれていないから、揮発性有機化合物を放出しない。
本発明の建築物仕上げ用ゲル組成物の製造方法の一実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例による建築物仕上げ用ゲル組成物の製造方法を説明するための順序を示す図である。
【0029】
図1に示すように、溶媒である水100重量部を基準に325〜1000メッシュの絹雲母粉末35〜45重量部と、325〜1000メッシュの貴陽石粉末35〜45重量部を混合して、天然鉱石物混合物を形成する(ステップS110)。
天然鉱石物混合物に含まれる絹雲母は、人体の血液循環を促進し、細胞活性を活性化する遠赤外線を90%以上放出する物質であって、強力な陰イオンを発散して、各種有害物質を吸着する機能を有する。
【0030】
また、貴陽石は、長石系中で陰イオンを最も多く放出する物質であって、常温で遠赤外線を最大に放出する物質である。このような貴陽石は、界面活性効果が優れており、血流量を4.9%増加させることに対し、血流速度は7.2%減少させる鉱石物である。
溶媒である水に混合される絹雲母粉末と貴陽石粉末の平均粒度が325メッシュ未満であると、天然鉱石物混合物が正しくゲル化されず、絹雲母粉末と貴陽石粉末の平均粒度が1000メッシュを超過すると、絹雲母粉末と貴陽石粉末の粉砕費用に対比して、天然鉱石物混合物から製造される建築物仕上げ用ゲル組成物の物性がもうこれ以上向上しない。
【0031】
また、溶媒である水100重量部に混合される絹雲母粉末と貴陽石粉末の含量がそれぞれ35重量部未満であると、建築物仕上げ用ゲル組成物の接着性能が低下し、絹雲母粉末と貴陽石粉末の含量がそれぞれ45重量部を超過すると、前記天然鉱石物混合物が過剰ゲル化されて、次のステップのゲル化を進行させることができなくなる。
また、天然鉱石物混合物の攪拌時間が60分未満であると、前記混合物が正しくゲル化されず、天然鉱石物混合物の攪拌時間が70分を超過すると、前記混合物が硬化されるか、又は、過剰ゲル化されて、次のステップのゲル化を進行させることができなくなる。
【0032】
前記天然鉱石物混合物を60〜70分間攪拌して、第1液状ゲルを形成する(ステップS120)。
すなわち、ステップS110で形成された天然鉱石物混合物を65〜80℃で60〜70分間攪拌して第1ゲル化させることによって、第1液状ゲルを形成する。
第1ゲル化温度が65℃未満であると、天然鉱石物混合物が正しくゲル化されず、第1ゲル化温度が80℃を超過すると、天然鉱石物混合物が一定のステップまで急速にゲル化されてから、もうこれ以上ゲル化されない。
【0033】
また、天然鉱石物混合物の攪拌時間が60分未満であると、前記混合物が正しくゲル化されず、天然鉱石物混合物の攪拌時間が70分を超過すると、前記混合物が硬化されるか、又は、過剰ゲル化されて、次のステップのゲル化を進行させることができなくなる。
前記第1液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に抗菌剤粉末5〜7重量部、ゼオライト粉末5〜7重量部及び玉ネギ皮粉末5〜7重量部を混合して、第1ゲル組成物を形成する(ステップS130)。
【0034】
第1液状ゲルに混合される抗菌剤粉末の含量が5重量部未満であると、第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の坑菌力が低下し、抗菌剤粉末の含量が7重量部を超過すると、第1液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の機械的物性が低下する。
また、第1液状ゲルに混合されるゼオライトはアルカリ及びアルカリ土金属のケイ酸アルミニウム水化物であって、無色透明又は白色半透明であり、結晶構造的に原子間の結合が緩く、その間を満たしている水分を高熱で放出させても、骨格がそのまま維持されるので、微粒物質を容易に吸着することができる。
【0035】
第1液状ゲルに混合されるゼオライト粉末の含量が5重量部未満であると、建築物仕上げ用ゲル組成物の吸着及び脱臭機能が低下し、ゼオライト粉末の含量が7重量部を超過すると、ゼオライトの過剰使用による浪費が発生する。
また、玉ネギ皮は、強力な殺菌及び防かび機能を有しているアリシンを含んで、防かび効果が最も優れているため、建築物仕上げ用ゲル組成物に防かび機能を付与する。
【0036】
第1液状ゲルに混合される玉ネギ皮の含量が5重量部未満であると、玉ネギ皮の殺菌及び防かび機能が低下して、建築物仕上げ用ゲル組成物が変質しやすく、玉ネギ皮の含量が7重量部を超過すると、第1ゲル組成物の濃度が増加するため、攪拌が困難になる。
前記第1ゲル組成物を30〜40分間攪拌して、第2液状ゲルを形成する(ステップS140)。
【0037】
すなわち、ステップS130で形成された第1ゲル組成物を65〜80℃で30〜40分間攪拌して第2ゲル化させることによって、第2液状ゲルを形成する。
第2ゲル化温度が65℃未満であると、第1ゲル組成物が正しくゲル化されず、第2ゲル化温度が80℃を超過すると、第1ゲル組成物が一定のステップまで急速にゲル化されてから、もうこれ以上ゲル化されない。
【0038】
また、第1ゲル組成物の攪拌時間が30分未満であると、前記第1液状ゲルが正しくゲル化されず、第1液状ゲルの攪拌時間が40分を超過すると、前記第1液状ゲルが硬化されるか、過剰ゲル化されて、次のステップのゲル化を進行させることができなくなる。
前記第2液状ゲル85重量部に前記溶媒である水100重量部を基準に銀ナノコロイド2〜4重量部、松葉抽出物2〜4重量部及び増粘剤2〜4重量部を混合して、第2ゲル組成物を形成する(ステップS150)。
【0039】
銀ナノコロイドは、銀をナノ粉砕して微細銀粉末を形成し、前記微細銀粉末をアルカリアンモニア水であるコロイド溶液に溶解して、コロイド化させて製造される。このような銀ナノコロイドは、コロイド化された微細銀粉末によって極めて優れた坑菌力を有している。特に、銀ナノコロイドは接着力が極めて強力なため、前記銀ナノコロイドが含まれた建築物仕上げ用ゲル組成物を壁面に仕上げ処理すると、長時間が経過しても、前記建築物仕上げ用ゲル組成物から銀ナノコロイドが脱離しない。
【0040】
第2液状ゲルに混合される銀ナノコロイドの含量が2重量部未満であると、第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の坑菌力が低下し、銀ナノコロイドの含量が4重量部を超過すると、前記第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の製造原価が増大する。
また、松葉は、テルペン系のフィトンチッドが豊富であるから、それ自体として陰イオンと松の香りを発生し、ビタミンが豊富に含まれていている。本発明では、松葉を粉砕してろ過して回収される液状成分である松葉抽出物を使用する。
【0041】
第2液状ゲルに混合される松葉抽出物の含量が2重量部未満であると、第2液状ゲルから形成されるゲル組成物の松の香りが十分に発生せず、松葉抽出物の含量が4重量部を超過すると、前記第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の機械的物性が低下する。
また、増粘剤は、さつまいも澱粉、とうもろこし澱粉からなる群から選択される澱粉であって、第2液状ゲルのゲル化を促進し、前記第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物に粘性を提供する。
【0042】
第2液状ゲルに混合される増粘剤の含量が2重量部未満であると、前記第2液状ゲルから形成される建築物仕上げ用ゲル組成物の粘性が低下し、増粘剤の含量が4重量部を超過すると、前記第2液状ゲルの粘度が増加して、攪拌が困難になる。
前記第2ゲル組成物を30〜40分間攪拌して、第3液状ゲルを形成する(ステップS160)。
【0043】
すなわち、ステップS150で形成された第2ゲル組成物を65〜80℃で30〜40分間攪拌して第3ゲル化させることによって、第3液状ゲルを形成する。
第3ゲル化温度が65℃未満であると、第2ゲル組成物が正しくゲル化されず、第3ゲル化温度が80℃を超過すると、第2ゲル組成物が一定のステップまで急速にゲル化されてから、もうこれ以上ゲル化されない。
【0044】
また、第2ゲル組成物の攪拌時間が30分未満であると、前記第2ゲル組成物が正しくゲル化されず、攪拌時間が40分を超過すると、前記第2ゲル組成物が硬化されるか、又は、過剰ゲル化されて、次のステップのゲル化をさせることができなくなる。
前記第3液状ゲル95重量部に前記溶媒である水100重量部を基準に金属酸化物ゾル5重量部を混合して、第3ゲル組成物を形成する(ステップS170)。
【0045】
第3液状ゲル95重量部に金属酸化物ゾル5重量部を混合し、65〜80℃で60〜70分間攪拌して、第4液状ゲルを形成する。
第3液状ゲルに混合される金属酸化物ゾルは、酸化亜鉛、二酸化チタニウム、酸化アルミニウムなどのような金属酸化物を弱酸に溶解してゾル形態で構成されたものであって、このような金属酸化物ゾルは、建築物仕上げ用ゲル組成物に色相を提供し、機械的物性を向上させる。
【0046】
前記第3ゲル組成物を60〜70分間攪拌して、第4液状ゲルを形成する(ステップS180)。
すなわち、ステップS170で形成された第3ゲル組成物を65〜80℃で60〜70分間攪拌して第4ゲル化させることによって、第4液状ゲルを形成する。
第4ゲル化温度が65℃未満であると、第3ゲル組成物が正しくゲル化されず、第4ゲル化温度が80℃を超過すると、第3ゲル組成物が一定のステップまで急速にゲル化されてから、もうこれ以上ゲル化されない。
【0047】
また、第3液状ゲルの攪拌時間が60分未満であると、前記第3液状ゲルが正しくゲル化されず、攪拌時間が70分を超過すると、前記第3液状ゲルが硬化されて、建築物仕上げ用ゲル組成物として使用することができなくなる。
前記第4液状ゲルを常温に急冷する(ステップS190)。
前記急冷した液状ゲルを密封包装(ステップS200)して、建築物仕上げ用ゲル組成物を製造する。
以下、本発明を好ましい一実施例を参照して、具体的に説明する。但し、次の実施例は、本発明を具体的に例示するためのものであり、これに限定されるものではない。
【0048】
(実施例)
1.500メッシュの絹雲母粉末400gと、1000メッシュの貴陽石粉末400gと、溶媒である精製水1000gを反応器に投入して、天然鉱石物混合物を形成した。
2.前記天然鉱石物混合物を75℃で70分間355rpmで攪拌して、第1液状ゲルを形成した。
3.前記第1液状ゲルに抗菌剤粉末50g、ゼオライト粉末50g及び玉ネギ皮粉末50gを混合して、第1ゲル組成物を形成した。
【0049】
4.前記第1ゲル組成物を70℃で30分間355rpmで攪拌して、第2液状ゲルを形成した。
5.前記第2液状ゲルに銀ナノコロイド30g、松葉抽出物30g及びさつまいも澱粉40gを混合して、第2ゲル組成物を形成した。
6.前記第2ゲル組成物を70℃で40分間425rpmで攪拌して、第3液状ゲルを形成した。
【0050】
7.前記第3液状ゲルに金属酸化物ゾルの酸化亜鉛ゾル50gを混合して、第3ゲル組成物を形成した。
8.前記第3ゲル組成物を75℃で60分間425rpmで攪拌して、第4液状ゲルを形成した。
9.前記第4液状ゲルを急速冷却器に入れ、常温になるまで強制急冷した。
10.前記急冷した液状ゲルを缶に入れて密封包装して、建築物仕上げ用ゲル組成物を製造した。
【0051】
建築現場で缶を開封し、前記缶に含まれた建築物仕上げ用ゲル組成物を使用して、内壁を1〜3mmの薄い厚さで塗布して仕上げ処理した。建築物仕上げ用ゲル組成物を厚さ1mm未満に仕上げ処理すると、内壁のコンクリートから発散される有害物質の遮断、陰イオンと遠赤外線の放出量及び有害ガス脱臭率が低下し、建築物仕上げ用ゲル組成物を厚さ3mmを超過して仕上げ処理すると、建築物仕上げ用ゲル組成物の乾燥により、ひびが入ったり、亀裂が発生したりする。
【0052】
(実験例1)
前記実施例によって製造された建築物仕上げ用ゲル組成物を使用して仕上げ処理された内壁である実施例と日本フジワラ化学(Fujiwara Chemical co.,ltd)製品の硅藻土を主成分とした壁塗布材を使用して仕上げ処理された内壁である比較例に対して、有害ガス脱臭実験を行った。
有害ガス脱臭実験は、一般に用いられるアンモニア脱臭実験方法であるKICM−FIR−1085に基づいて行い、その結果を次の表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
前記表1において、本実施例の建築物仕上げ用ゲル組成物は、アンモニアなどのような有害ガス脱臭機能が極めて優れていることが表されている。
(実験例2)
前記実施例によって製造された建築物仕上げ用ゲル組成物である実施例と日本フジワラ化学の硅藻土を主成分とした壁塗布材である比較例に対して、陰イオン発生量測定実験を行った。
陰イオン発生量測定実験は、一般に用いられる陰イオン発生量測定実験方法であるKICM−FIR−1042に基づいて行い、その結果を次の表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
前記表2において、本実施例の建築物仕上げ用ゲル組成物が陰イオンを多量放出することが表されている。
(実験例3)
前記実施例によって製造された建築物仕上げ用ゲル組成物に対して、一般に用いられる遠赤外線放出量測定実験方法であるKCIM−FIR−1005に基づいて、遠赤外線放出量測定実験を行った。
このような遠赤外線放出量測定実験の結果、本実施例の建築物仕上げ用ゲル組成物の波長5〜25μmでの遠赤外線放射率は0.915、放射エネルギーは3.70×102W/m2であって、遠赤外線を多量放出することが表された。
【0057】
(実験例4)
前記実施例によって製造された建築物仕上げ用ゲル組成物に対して、揮発性有機化合物の中で代表的な物質であるホルムアルデヒド(HCHO)の検出実験を行った。前記ホルムアルデヒド検出実験は、韓国化学試験研究院で通常用いられるホルムアルデヒド検出実験方法であるEPA8315Aによって行い、その結果、前記実施例の建築物仕上げ用ゲル組成物からホルムアルデヒドが検出されないことが表された。
【0058】
前記実験例において、本実施例による建築物仕上げ用ゲル組成物は、人体に有害なホルムアルデヒドが検出されていないことを確認することができた。
これとは別に、陰イオン発生粉末である絹雲母、貴陽石が混合されて製造された建築物仕上げ用ゲル組成物は、人体に有益な陰イオン、遠赤外線を大量放出すると表された。
上述した本発明の好ましい実施の形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であり、このような置換、変更などは特許請求の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例による建築物仕上げ用ゲル組成物の製造方法のフローチャートを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒である水100重量部と、325〜1000メッシュの絹雲母粉末35〜45重量部と、325〜1000メッシュの貴陽石粉末35〜45重量部とが混合ゲル化されて形成される第1液状ゲルと、
前記第1液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に、抗菌剤粉末5〜7重量部、ゼオライト粉末5〜7重量部及び玉ネギ皮粉末5〜7重量部が混合ゲル化されて形成される第2液状ゲルと、
前記第2液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に、銀ナノコロイド2〜4重量部、松葉抽出物2〜4重量部及び増粘剤2〜4重量部が混合ゲル化されて形成される第3液状ゲルと、
前記第3液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に、金属酸化物ゾル5重量部が混合ゲル化されて形成される第4液状ゲルと、
を含むことを特徴とする建築物仕上げ用ゲル組成物。
【請求項2】
前記松葉抽出物は、松葉を粉砕し、ろ過して回収される液状成分であることを特徴とする請求項1に記載の建築物仕上げ用ゲル組成物。
【請求項3】
前記増粘剤は、さつまいも澱粉、とうもろこし澱粉からなる群から選択される澱粉であることを特徴とする請求項1に記載の建築物仕上げ用ゲル組成物。
【請求項4】
前記金属酸化物ゾルは、金属酸化物が弱酸に溶解されてゾル形態で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の建築物仕上げ用ゲル組成物。
【請求項5】
溶媒である水100重量部を基準に325〜1000メッシュの絹雲母粉末35〜45重量部と、325〜1000メッシュの貴陽石粉末35〜45重量部とを混合して、天然鉱石物混合物を形成するステップと、
前記天然鉱石物混合物を60〜70分間攪拌して、第1液状ゲルを形成するステップと、
前記第1液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に抗菌剤粉末5〜7重量部、ゼオライト粉末5〜7重量部及び玉ネギ皮粉末5〜7重量部を混合して、第1ゲル組成物を形成するステップと、
前記第1ゲル組成物を30〜40分間攪拌して、第2液状ゲルを形成するステップと、
前記第2液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に銀ナノコロイド2〜4重量部、松葉抽出物2〜4重量部及び増粘剤2〜4重量部を混合して、第2ゲル組成物を形成するステップと、
前記第2ゲル組成物を30〜40分間攪拌して、第3液状ゲルを形成するステップと、
前記第3液状ゲルに前記溶媒である水100重量部を基準に金属酸化物ゾル5重量部を混合して、第3ゲル組成物を形成するステップと、
前記第3ゲル組成物を60〜70分間攪拌して、第4液状ゲルを形成するステップと、
前記第4液状ゲルを常温に急冷するステップと、
前記急冷した液状ゲルを密封包装するステップと、
が含まれることを特徴とする建築物仕上げ用ゲル組成物の製造方法。
【請求項6】
前記第1液状ゲルを形成するステップ、第2液状ゲルを形成するステップ、第3液状ゲルを形成するステップ及び第4液状ゲルを形成するステップは、65〜80℃で行うことを特徴とする請求項5に記載の建築物仕上げ用ゲル組成物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−163285(P2008−163285A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46674(P2007−46674)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(507063403)株式會社東洋リビンクエスツ (2)
【Fターム(参考)】