説明

建築用バタ材

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコンクリート型枠を支えるためのアルミバタ材に関する。
【0002】
【従来の技術】建築業界では、アルミバタ材で支えられた木枠内にコンクリートを流し込んで作業を進めるが、工事が終わるとバタ材に付着したコンクリートを剥がして次の工事に再使用するのが通常である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように再使用する場合は、アルミバタ材にコンクリートが付着したままだと、木枠の寸法が変化するので、コンクリートをほとんど完全に落とさないと次の使用に耐えない。しかし付着したコンクリートを剥がすのは人手で行っており大変な労力を必要とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は付着したコンクリートを簡単に剥がせるアルミバタ材の供給を目的とするものであり、その要旨はポリ塩化ビニル100重量部に可塑剤15〜30重量部の範囲で添加してなる熱収縮性プラスチックフイルムまたはチューブの内面あるいはアルミバタ材の外面に予めホットメルト系接着剤を塗布し、アルミバタ材の表面を、上記熱収縮性プラスチックフイルムまたはチューブで被覆したことを特徴とする建築用バタ材である。
【0005】アルミバタ材の表面を、熱収縮性プラスチックフイルムまたはチューブで被覆したことにより、付着したコンクリートが剥がしやすくなるとともに、アルミバタ材を保護することができるものである。
【0006】熱収縮性プラスチックフィルムまたはチューブとしては、ポリ塩化ビニルからなる加熱により収縮する性質を有するフイルムまたはチューブが使用できる。
【0007】ポリ塩化ビニルは、価格等の面で好適であり、この場合、可塑剤含有量が15〜35重量部のポリ塩化ビニルであると、付着したコンクリートを剥がすには高圧水で洗浄するだけで良く、従来に比較して大幅に労力が軽減されることになるとともに、チューブの製造も容易であるという利点を有する。
【0008】アルミバタ材の表面を、熱収縮性プラスチックフィルムまたはチューブで被覆するためには、熱収縮性プラスチックフィルムを筒状にしたものや、シームレスで成形した熱収縮性プラスチックチューブにより、ほぼ1割の余裕をもってアルミバタ材をおおい、熱風などにより加熱して径方向に収縮密着させる方法が取られる。
【0009】この熱収縮フイルムまたはチューブの内面あるいはアルミバタ材の外面に予めホットメルト系接着剤を塗布しておくことにより、熱収縮被覆した後で、輸送中に熱収縮フイルムまたはチューブにすり傷等が入っても剥離することがないという利点を有する。
【0010】
【実施例】60mm×60mm角、長さ4000mmのアルミバタ材に、下表No.1〜5の如く可塑剤(DOP)の含有量を、ポリ塩化ビニル100重量部に対し10〜35重量部の範囲で変化させた、折り幅130mmのポリ塩化ビニル熱収縮性チューブ(100度Cにおける収縮率、縦15%、横45%)を被せた。次に160℃の熱風トンネル中で30秒間加熱収縮させた。
【0011】次に、同じアルミバタ材の外面にポリオレフイン系のホットメルト接着剤を前面に塗布し、乾燥させた後、No.3に示すように可塑剤含有量20重量部の熱収縮チューブを被せて160℃の熱風トンネル中で30秒間加熱収縮させて密着した。被せたバタ材を、各5本ずつバタ材として1月問使用した後取り外して、高圧水で洗浄した後、コンクリートの残量を目視した。
【表1】


表1のNo.1に示すポリ塩化ビニルのみのチューブを使用したものは、1往復高圧水で洗浄したところ、コンクリートはかなり剥がれたが、幾分残りが付着していた。ポリ塩化ビニル100重量部に可塑剤15〜35重量部含有する熱収縮性フィルムで被覆したNo.2〜5の建築用バタ材は1往復高圧水で洗浄したところ、コンクリートは残らず剥がれた。
【0012】また、中でもホットメルト接着剤を使用したNo.3のものは、片端をひきずりながらコンクリートの床を10m引っ張るという過酷な条件でも、チューブに細長い傷が生じたにもかかわらず、剥離は無く、アルミバタ材表面の露出は僅かであり、好ましいものであった。
【0013】
【発明の効果】本発明はアルミバタ材の表面を、特定のポリ塩化ビニルの組成からなる熱収縮性プラスチックフィルムまたはチューブで被覆したことを特徴とする建築用バタ材であるので、付着したコンクリートは極めて容易に剥がすことができ、容易に再利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリ塩化ビニル100重量部に可塑剤15〜30重量部の範囲で添加してなる熱収縮性プラスチックフイルムまたはチューブの内面あるいはアルミバタ材の外面に予めホットメルト系接着剤を塗布し、アルミバタ材の表面を、上記熱収縮性プラスチックフイルムまたはチューブで被覆したことを特徴とする建築用バタ材。

【特許番号】特許第3023258号(P3023258)
【登録日】平成12年1月14日(2000.1.14)
【発行日】平成12年3月21日(2000.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−74431
【出願日】平成5年3月31日(1993.3.31)
【公開番号】特開平6−288083
【公開日】平成6年10月11日(1994.10.11)
【審査請求日】平成10年2月17日(1998.2.17)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【参考文献】
【文献】実開 平4−103950(JP,U)