説明

建築用板材

【課題】建築用板材の突合せ箇所が目立ちにくく、外観のよい壁面を形成する建築用板材を提供する。
【解決手段】建築用板材Aは、縦幅が略同等で、施工した際に横方向に連続するように配置される複数のブロック状凸部1を有し、少なくとも一方の側端部4に、施工した際に縦目地6を形成する側端溝部2を備えている。施工した際に前記側端溝部2に隣接する前記ブロック状凸部1の一部は、側端溝部2側の端部の表面が崩落した崩落部3が形成されている。前記崩落部3は施工した際に横方向に隣り合わないように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁材として使用される建築用板材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表面に複数のブロック状凸部が設けられた建築用板材が知られている(例えば、特許文献1)。このような建築用板材は施工により端部が突き合わされ、ブロック調の模様が壁面に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−332226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなブロック状凸部が設けられた建築用板材では、両側端部に縦目地を形成するための溝部が形成されている場合が多い。そして、施工された際には、建築用板材の側端部と、この建築用板材と隣り合う他の建築用板材の側端部とが突き合わされて、両方の側端部の溝部が一体となって縦目地を形成する。
【0005】
しかしながら、側端部が突き合わされて形成された縦目地は目立ちやすく、そのため建築用板材の突合せ箇所が容易に視認されてしまい、ブロック調模様の一体感を損ねてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、建築用板材の突合せ箇所が目立ちにくく、外観のよい壁面を形成する建築用板材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建築用板材は、縦幅が略同等で、施工した際に横方向に連続するように配置される複数のブロック状凸部を有し、少なくとも一方の側端部に、施工した際に縦目地を形成する側端溝部を備えた建築用板材であって、施工した際に前記側端溝部に隣接する前記ブロック状凸部の一部は、側端溝部側の端部の表面が崩落した崩落部が形成され、前記崩落部は施工した際に横方向に隣り合わないように配置されている建築用板材である。
【0008】
そして、前記崩落部は、縦方向に配置された前記ブロック状凸部の一つおきに形成されていてもよい。
【0009】
また、中央に形成された縦目地に隣接する前記ブロック状凸部の一部は、縦目地側の端部の表面が崩落した縦目地崩落部が形成され、前記縦目地崩落部は、横方向に隣り合う配置とならないように形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建築用板材の突合せ箇所が目立ちにくく、ブロック調模様が連続したような印象を与える外観のよい壁面を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、建築用板材の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は(a)の(i)−(i)断面の端面図であり、(c)は(a)の(ii)−(ii)断面の端面図である。
【図2】(a)は、建築用板材を施工する様子の一例を示す概略図であり、(b)は、建築用板材によって形成された壁の一例を示す正面図である。
【図3】(a)は、建築用板材の実施の形態の他の一例を示す平面図であり、(b)は(a)の(i)−(i)断面の端面図であり、(c)は(a)の(ii)−(ii)断面の端面図であり、(d)は(a)の(iii)−(iii)断面の端面図である。
【図4】(a)は、建築用板材を施工する様子の一例を示す概略図であり、(b)は建築用板材によって形成された壁の一例を示す正面図である。
【図5】(a)は、建築用板材の実施の形態の他の一例を示す平面図であり、(b)は(a)の(i)−(i)断面の端面図であり、(c)は(a)の(ii)−(ii)断面の端面図であり、(d)は(a)の(iii)−(iii)断面の端面図である。
【図6】建築用板材によって形成された壁の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の建築用板材Aの実施形態の一例である。この建築用板材Aは外壁材として使用されるものである。建築用板材Aは、矩形状に形成されており、縦長であっても、横長であっても、正方形形状であってもよい。例えば、横の長さを303〜3030mmにすることができ、縦の長さを100〜3030mmにすることができる。また、建築用板材Aは、施工の際に壁下地の表面に敷き詰められて取り付けられるものであるが、その取り付け方は、縦張りであっても横張りであってもよい。建築用板材Aは、適宜の材料を用いて形成されるものであり、例えば、セメント板、コンクリート板、木質板などにより形成される。
【0013】
建築用板材Aの表面には、複数のブロック状凸部1が表面一体に設けられている。ブロック状凸部1は、板材の表面において横長の矩形状に突出して形成されており、その縦幅は略同等に形成されている。図1の形態では、横幅も同等に形成されているが、横幅は同等でなくてもよい。また、ブロック状凸部1は、横方向に直線状に並べられて配置されている。図1の形態では、ブロック状凸部1は、縦方向にも直線状に並べられて配置されており、そのため、ブロック状凸部1は全体として碁盤目状に配置されている。なお、ブロック状凸部1の配置は。図示のものに制限されるものではなく、例えば、下側のブロック状凸部1の二つを跨って、上側のブロック状凸部1が配置されるなど、縦方向に千鳥状に配置されるようなものであってもよい。
【0014】
ブロック状凸部1の表面は平坦であってもよく、凹凸模様が形成されていてもよい。また、ブロック状凸部1の一部が部分的に少し崩れているような柄であってもよい。それにより、少しくずれた石を積み重ねたような模様を形成することができ、高級感や柔らかさを表現することが可能になる。ブロック状凸部1の寸法は特に制限されるものではないが、例えば、突出幅(厚み)を1.0〜10mm程度に、横幅を10〜1000mm程度に、縦幅を6〜300mm程度にすることができる。
【0015】
各ブロック状凸部1の突出した周縁は面取りされた斜面又は曲面となっており、図1(b)、(c)に示すように、断面形状において直線状あるいは丸みを帯びた円弧状となっている。面取りにより、より石に近似した形状に近づけることができ、石を積み上げたような模様を表現することができる。
【0016】
横に並ぶブロック状凸部1,1間には、ブロック状凸部1が突出することによりできた溝により複数の縦目地6が形成されている。また、縦に並ぶブロック状凸部1,1間には、ブロック状凸部1が突出することによりできた溝により複数の横目地7が形成されている。板材に予め設けられたこの縦目地6及び横目地7は、実際のブロックを積み上げて形成される壁の目地を模して設けられているものであり、擬似の目地となるものである。
【0017】
また、縦目地6及び横目地7は、この部分でカットすることにより、カット品として小サイズの建築用板材Aを形成することができるものである。このうち、縦目地6は、建築用板材Aの横幅の略半分の位置に形成されていることが好ましい。その場合、縦目地6の部分で建築用板材Aをカットして1/2サイズ品として使用することができ、建築用板材Aの利便性を高めることができる。図1の形態では、横幅の1/4、1/2、3/4の位置に縦目地6が形成されており、1/4サイズ品や3/4サイズ品のものも得ることができる仕様になっている。
【0018】
建築用板材Aの色や模様は特に制限されないが、例えば、目地部分(縦目地6及び横目地7)を黒又は濃いグレーなどにし、ブロック状凸部1を薄いグレーなどにすれば、石調のブロック模様を形成することができる。また、ブロック状凸部1を赤茶系の色にすれば、レンガ調のブロック模様を形成することができる。
【0019】
建築用板材Aの側端部4には、側端部4側のブロック状凸部1が突出することにより形成された溝として、側端溝部2が設けられている。図1の形態では、この側端溝部2は縦方向に亘って両側端部4,4に形成されているが、いずれか一方の側端部4のみに側端溝部2が形成されていてもよい。側端溝部2の横幅は、一方の側端部4の側端溝部2と他方の側端部4の側端溝部2との合計が、縦目地6の横幅と略同等に形成されることが好ましい。それにより、側端部4の突き合わせによって形成される縦目地6の横幅が、板材に予め設けられた縦目地6と同じ幅寸法となって、ブロック調模様となる壁面に自然な外観を与えることができる。例えば、各側端溝部2,2の横幅を縦目地6の横幅の略半分にすることができるが、これに限られることはなく、各側端溝部2,2の横幅が異なっていても、また、いずれか一方の側端部4のみに縦目地6と略同幅の側端溝部2を形成するようにしてもよい。
【0020】
また、図1の形態では、建築用板材Aの上端部及び下端部においても、ブロック状凸部1が突出することにより形成された溝として、上端溝部5及び下端溝部8が形成されている。施工の際、縦方向に突き合わされて建築用材Aが配設されたときには、上端溝部5と下端溝部8とにより横目地7が形成される。上端溝部5及び下端溝部8の縦幅は、例えば、縦目地7の縦幅の略半分にすることができる。
【0021】
そして、ブロック状凸部1は、施工した際には、横方向に直線状にブロック調の模様が連続するように配置される。すなわち、横方向の列を形成するブロック状凸部1が、複数の建築用板材Aを跨って縦方向の位置が揃うことにより、横方向に延伸する直線状の模様が壁面に形成されるものである。
【0022】
図2(a)は、図1の建築用板材Aを突き合せて取り付ける際の様子を示している。また、図2(b)は、図1の建築用板材Aが取り付けられてできた壁面を示している。図2(b)に示すように、隣り合う建築用板材Aにおいて、側端溝部4を挟んで向き合った各ブロック状凸部1は、縦位置が揃っている。このように、ブロック状凸部1の縦位置が揃うことによって、壁面に一体感のある連続したブロック調の模様を形成することができるものである。
【0023】
そして、本実施形態においては、施工した際に側端溝部2と隣接するブロック状凸部1の一部には、側端溝部2側の端部の表面が崩落した崩落部3が形成されている。いわば建築用板材Aに設けられた複数のブロック状凸部1のうち側端部4側に配置されたブロック状凸部1において、その一部に崩落部3が形成されているものである。図1の形態では、崩落部3は、建築用板材Aの両側端部4,4に設けられた側端溝部2と隣接するブロック状凸部1の一部に設けられており、表面と端面とを切り欠いた斜面として形成されている。この斜面は図示のように平坦な面であってもよく、あるいは曲面であってもよい。また、崩落部3は、斜面でなくてもよく、例えば階段状であってもよい。なお、いずれか一方の側端部4のみに側端溝部2が形成される場合、側端溝部2に隣接したブロック状凸部1に崩落部3を形成してもよく、あるいは、側端溝部2が形成されていない側の側端部4のブロック状凸部1に崩落部3を形成してもよく、あるいは、側端溝部2が形成された側と形成されていない側の両方に崩落部3を形成してもよい。
【0024】
崩落部3はブロック状凸部1の縦方向に亘って形成されている。図1(b)で示すように、崩落部3の深さ寸法L1は、例えば、ブロック状凸部1の突出寸法の1/5から4/5程度、好ましくは1/3から2/3程度にすることができる。具体的には、崩落部3の深さ寸法L1をブロック状凸部1の突出寸法の略半分にしてもよい。崩落部3の横寸法L2は、例えば、ブロック状凸部1の横幅の1/10から1/2程度にすることができる。具体的には、崩落部3の横幅L2をブロック状凸部1の横幅の略1/3にしてもよい。崩落部3を傾斜面で形成する場合には、板材の表面に対する傾斜角度θを15度から60度、あるいは30度から45度にしたりしてもよい。このように崩落部3の寸法を設定することで、突き合わせ部分の外観をより良好にすることができる。崩落部3の寸法が大きくなりすぎると、外観をかえって損なうおそれがある。
【0025】
崩落部3は施工した際に横方向に隣り合う配置とならないように形成されている。すなわち、横方向に並ぶブロック状凸部1の列(以下、横列という)は、少なくとも次の2種類の横列により形成されている。第1の横列は、例えば図1(a)の上から1、3、5列であり、一方の側端部4側(図1(a)の左側)に崩落部3が形成されるとともに、他方の側端部4側(図1(a)の右側)に崩落部3が形成されていないブロック状凸部1の横列である。第2の横列は、例えば図1(a)の上から2、4、6列であり、第1の横列において崩落部3が形成された側端部4側(図1(a)の左側)に崩落部3が形成されていないとともに、第1の横列において崩落部3が形成されていない側端部4側(図1(a)の右側)に崩落部3が形成されているブロック状凸部1の横列である。このように、どちらか一方の側端部4において崩落部3が形成されることにより、施工した際には、崩落部3が隣り合わせの配置にならないようにできる。ブロック状凸部1の一つの横列において、両側端部4,4に崩落部3が形成されていると、施工した際に崩落部3が隣り合わせに配置されることになり好ましくない。ブロック状凸部1の一つの横列において、両側端部4,4の両方に崩落部3が形成されていなくてもよいが、突き合わせ部分の外観を良好にするためには、側端部4のいずれか一方に崩落部3が形成されていることが好ましい。
【0026】
図1の形態では、崩落部3は、縦方向に配置されたブロック状凸部1の一つおきに形成されている。すなわち、前述したような、崩落部3が互いに側端部4の反対側で形成された第1の横列と第2の横列が、縦方向に交互に配置されている。このように配置すると、崩落部3が縦方向に連続して並ぶことがなくなって、より自然な外観を与えることができる。
【0027】
そして、図2(b)に示すように、建築用板材Aを突き合せて壁面を形成した際には、側端溝部2,2により形成された縦目地6を挟んで、崩落部3が縦方向に千鳥状に配置されている。このように、突き合わせ部分に隣接して崩落部3が形成されていることにより、突き合わせ部分が分かりにくくなり、外観を良好にすることができるものである。また、崩落部3が千鳥状の配置になることにより、ブロック調の模様が整った外観を付与することができるものである。
【0028】
ところで、図2(a)のように、建築用板材Aを突き合わせて壁下地に取り付けるにあたっては、建築用板材Aの縦位置や、各ブロック状凸部1の縦位置を合わせて取り付けるものであるが、左右の建築用板材A,Aにおいて、縦方向にわずかなずれが生じたり、一方の建築用板材Aが他方の建築用板材Aに対して傾いたりする場合がある。また、左右の建築用板材A,Aが横方向に互いに広がってずれて側端溝部2で形成される縦目地6が予め設けられた縦目地6よりも広がって形成される場合がある。また、壁下地への取り付け具合によって、左右の建築用板材A,Aにおいて、壁面の前後方向(厚み方向)にわずかなずれが生じる場合がある。このように建築用板材Aにずれが生じた場合、崩落部3がなく単なる矩形状に突出したブロック状凸部1しか形成されていない板材であると、側端溝部2により形成された縦目地6を挟んで向き合うブロック状凸部1においては、側端部4側の端縁同士の縦位置や前後位置が異なって、光の反射具合(テカリ)などによって突き合わせ部分が目立ってしまうおそれがある。
【0029】
しかしながら、本発明においては、側端部4の突き合わせで形成された縦目地6を挟むブロック状凸部1の一方に崩落部3が形成されているので、突き合わせ部分で隣り合うブロック状凸部1の端縁の位置ずれが分かりにくくなり、また、光のテカリの違和感を抑えることができ、突き合わせ部分を目立たなくすることができるものである。しかも、崩落部3が形成されたブロック状凸部1が隣り合わせの配置とならないので、崩落部3が隣り合うことによって生じ得る新たな位置ずれなどを発生させることがなく、また、ブロック調模様が不連続になるなどのような不自然な外観を与えることがなく、自然な外観を保ったまま、突き合わせ部分を目立たなくさせることができるものである。
【0030】
図3は、本発明の建築用板材Aの実施形態の他の一例である。図1の形態と同様の部分については説明を省略する。
【0031】
本実施形態では、ブロック状凸部1は、横幅の長いブロック状凸部1(長ブロック状凸部1a)と、横幅の短いブロック状凸部1(短ブロック状凸部1b)とにより構成されている。縦ブロック状凸部1aと横ブロック状凸部1bとは縦幅が略同等に形成されている。横ブロック状凸部1bは複数個(図示のものでは2個)が横方向に並んで、長ブロック状凸部1aの横幅と略同等になるように形成されている。隣り合う横ブロック状凸部1b,1b間には、縦方向に延びるブロック分溝10が縦目地6及び横目地7と同様の深さで設けられている。すなわち、短ブロック状凸部1bは、縦横に並ぶ長ブロック状凸部1aのうちの一部のものが、ブロック分溝10によって複数に分断されて形成されている。また、長ブロック状凸部1aの一つの区画が、複数の短ブロック状凸部1bに置き換わっているといってもよい。ブロック分溝10の横幅は、好ましくは縦目地6と略同等の幅で形成される。
【0032】
長ブロック状凸部1aから複数の短ブロック状凸部1bに置き換わった区画においては、側端に配置された短ブロック状凸部1bの端縁が、縦方向に並ぶ他のブロック状凸部1の端縁と横方向の位置が揃うように配置されている。それにより縦目地6の横幅が縦方向に亘って一定となり、全体としてブロック調模様に安定した印象を与えることができる。
【0033】
短ブロック状凸部1bの横幅は、長ブロック状凸部1aの略半分であってもよいが、例えば、長ブロック状凸部1aの1/10〜4/5程度にすることができる。短ブロック状凸部1bの横幅が短すぎると、かえってブロック調模様の外観を損ねるおそれがある。
【0034】
短ブロック状凸部1bが形成される位置(長ブロック状凸部1aが複数の短ブロック状凸部1bに置き換わる区画)は、ランダムに設定されていてもよいが、規則的であってもよい。ただし、縦方向に短ブロック状凸部1bが多数連続して並びすぎると、ブロック調模様の外観を損ねるおそれがあるので、短ブロック状凸部1bが縦方向に並ぶ場合は5個以内であることが好ましい。短ブロック状凸部1bの区画が形成される数量(長ブロック状凸部1aが複数の短ブロック状凸部1bに置き換わる区画の数量)は、ブロック状凸部1が全て長ブロック状凸部1aであるとした場合に、その長ブロック状凸部1aの1/10から1/2程度の個数であることが好ましい。短ブロック状凸部1bの数が多くなりすぎると、ブロック調模様の外観を損ねるおそれがある。
【0035】
このように、ブロック状凸部1を、長ブロック状凸部1aと短ブロック状凸部1bといった横幅の異なるブロック状凸部1によって構成することにより、図4(a)(b)で示すように、施工した際に、突き合わせ部分をより一層目立たなくさせることができるものである。すなわち、短ブロック状凸部1bが縦に割り振られるように所々に挿入されていることによって、横目地7や、ブロック状凸部1の横並びによって形成される横方向に通った陰影を弱めることができ、建築用板材A間の縦目地6の違和感を緩和することができる。また、短ブロック状凸部1bがランダムに配置されることで、やさしいイメージの外観を表現することが可能になる。
【0036】
本形態では、崩落部3は、傾斜角度の異なる複数の傾斜面によって形成されている。図3の形態のものでは、建築用板材Aの表面に対する傾斜角度が緩やかな角度となった緩崩落部3aと、建築用板材Aの表面に対する傾斜角度が急な角度となった急崩落部3bとの二種類の傾斜の崩落部3が設けられている。緩崩落部3aは長ブロック状凸部1aに形成され、急崩落部3bは短ブロック状凸部1bに設けられている。このような傾斜角度の異なる複数の崩落部3を設けることにより、自然なブロック調の模様を形成することができ、より一層突き合わせ部分を分かりにくくすることができる。
【0037】
図5は、本発明の建築用板材Aの実施形態の他の一例である。図1、図3の形態と同様の部分については説明を省略する。
【0038】
本実施形態においては、中央に配置された縦目地6と隣接するブロック状凸部1の一部に、この縦目地6側の端部の表面が崩落した縦目地崩落部9が形成されている。図5の形態では、縦目地崩落部9は、表面と端面とを切り欠いた斜面として形成されている。この斜面は図示のように平坦な面であってもよく、あるいは曲面であってもよい。また、縦目地崩落部9は、斜面でなくてもよく、例えば階段状であってもよい。ただし、より外観のよいブロック調模様を形成するためには、縦目地崩落部9の形状は崩落部3と同じ形状であることが好ましい。なお、中央とは横方向の1/5〜4/5の間であってよい。
【0039】
このように、縦目地崩落部9が形成されることにより、図6で示すように、表面が崩落した部分が突き合わせ部分だけではなく建築用板材Aの中央にも形成されることになって、建築用板材Aの突き合わせ部分をより一層目立たなくさせることができる。
【0040】
また、図示の形態では、建築用板材Aの略半分の位置の縦目地6と隣接して縦目地崩落部9が形成されている。それにより、この縦目地6で切断して1/2カット品を形成した際に、切断された縦目地6を他の建築用板材Aに突き合わせた場合でも、突き合わせ部分を目立ちにくくすることができ、建築用板材Aの利便性を高めることができる。なお、縦目地崩落部9は、横方向の1/4や3/4の位置の縦目地6に隣接して形成されていてもよい。
【0041】
縦目地崩落部9の寸法は、崩落部3と同様に形成することができる。それにより、より自然な外観を形成することができる。
【0042】
本形態では、縦目地崩落部9は、傾斜角度の異なる複数の傾斜面によって形成されており、建築用板材Aの表面に対する傾斜角度が緩やかな角度となった緩縦目地崩落部9aと、建築用板材Aの表面に対する傾斜角度が急な角度となった急縦目地崩落部9bとの二種類の傾斜の縦目地崩落部9が設けられている。緩縦目地崩落部9aは長ブロック状凸部1aに形成され、急縦目地崩落部9bは短ブロック状凸部1bに設けられている。このような傾斜角度の異なる複数の縦目地崩落部9を設けることにより、より一層突き合わせ部分を分かりにくくすることができる。
【0043】
縦目地崩落部9が形成されたブロック状凸部1は横方向に隣り合って配置されないように形成されている。縦目地崩落部9が形成されたブロック状凸部1が横方向に隣り合って配置するとブロック調模様の外観を損ねるおそれがある。縦目地6を挟んで向き合ったブロック状凸部1の側端部の両方に縦目地崩落部9が形成されていなくてもよいが、この側端部のいずれか一方に縦目地崩落部9が形成されていれば、突き合わせ部分をより目立たなくさせることができる。
【0044】
縦目地崩落部9は、ブロック状凸部1の横列において、図5(b)(c)に示すように崩落部3と左右反対の側に形成されていてもよく、図5(d)に示すように崩落部3と左右同一の側に形成されていてもよい。
【0045】
図5の形態では、縦目地崩落部9は、ランダムに形成されているが、縦方向に配置されたブロック状凸部1の一つおきに形成されていてもよい。すなわち、縦目地6を挟んで縦方向に千鳥状になった配置である。このような配置になると、縦目地崩落部9が縦方向に連続して並ぶことがなくなり自然な外観を与えることができる。
【0046】
そして、図5の形態の建築用板材Aによって形成された壁面は、図6に示すように、突き合わせ部分が目立ちにくく一体感のあるブロック調の模様が形成されるものであり、意匠性の優れた外壁となるものである。
【符号の説明】
【0047】
A 建築用板材
1 ブロック状凸部
2 側端溝部
3 崩落部
4 側端部
5 上端溝部
6 縦目地
7 横目地
8 下端溝部
9 縦目地崩落部
10 ブロック分溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦幅が略同等で、施工した際に横方向に連続するように配置される複数のブロック状凸部を有し、少なくとも一方の側端部に、施工した際に縦目地を形成する側端溝部を備えた建築用板材であって、施工した際に前記側端溝部に隣接する前記ブロック状凸部の一部は、側端溝部側の端部の表面が崩落した崩落部が形成され、前記崩落部は施工した際に横方向に隣り合わないように配置されている、建築用板材。
【請求項2】
前記崩落部は、縦方向に配置された前記ブロック状凸部の一つおきに形成されている、請求項1に記載の建築用板材。
【請求項3】
中央に形成された縦目地に隣接する前記ブロック状凸部の一部は、縦目地側の端部の表面が崩落した縦目地崩落部が形成され、前記縦目地崩落部は、横方向に隣り合う配置とならないように形成されている、請求項1又は2に記載の建築用板材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−107470(P2012−107470A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258743(P2010−258743)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(503367376)ケイミュー株式会社 (467)
【Fターム(参考)】