建設機械のエンドアタッチメント装着装置
【課題】 重量エンドアタッチメントの着脱作業を容易にできる建設機械のエンドアタッチメント装着装置を提供すること。
【構成】 作業機の先端にエンドアタッチメントを着脱自在に装着する建設機械において、前記作業機のアームを基端部分と本体部分に分割し、かつ、該両分割部分の分割面を着脱可能に構成すると共に、リフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントは前記本体部分の先端に着脱可能に構成し、鉄骨カッター等の重量エンドアタッチメントは基端部分の先端分割面に着脱可能に構成したことを特徴とする。
【構成】 作業機の先端にエンドアタッチメントを着脱自在に装着する建設機械において、前記作業機のアームを基端部分と本体部分に分割し、かつ、該両分割部分の分割面を着脱可能に構成すると共に、リフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントは前記本体部分の先端に着脱可能に構成し、鉄骨カッター等の重量エンドアタッチメントは基端部分の先端分割面に着脱可能に構成したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設機械(作業機械も含む)の作業機にエンドアタッチメントを装着する装着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設機械の作業機には、対象とする作業に適したエンドアタッチメントを装着して作業を行え、別の作業をするときは別のエンドアタッチメントに交換して作業を行ってきた。さらに、別のアタッチメントに交換したときに作業機自体の構成を適した構成に変更することも採用されている。また、エンドアタッチメントにはバケットやリフティングマグネットのように軽量のエンドアタッチメントや鉄骨カッターのように重量のエンドアタッチメントがある。例えば、軽量のエンドアタッチメントと重量エンドアタッチメントの双方を交換して装着する従来の建設機械としては以下のものがある。
【0003】
図10はバケットやリフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントを装着可能な建設機械50の全体構成を示す。建設機械50は下部走行体51と、下部走行体51の上に回転自在に構成した上部旋回体52と、上部旋回体52上の一側(例えば左側)にキャブを設けると共に反対側に仰伏動自在な作業機53を設けている。作業機53は仰伏動自在なブーム54と、ブーム54の先端に回動可能に設けられたブームトップ(又は、中間アーム)55と、中間アーム55の先端に回動可能に設けられたアーム56とから構成されている。アーム56の先端にはバケットやリフティングマグネット等のエンドアタッチメントが装着可能に設けられている。なお、中間アーム55を省略した建設機械もある。
【0004】
上記のような建設機械50のアーム56の先端に鉄骨カッターのような重量エンドアタッチメントを装着すると建設機械50が転倒したり、アーム56が撓んで故障したりして作業が困難又は不能になるという不都合な事態が生じる。そこで、従来は鉄骨カッター60のような重量物はアーム56を取り外してブーム54又は中間アーム55の先端に装着して作業を行っていた。図11はブーム54の先端に直接装着した場合を示す。
【0005】
図11(A)に示すように、鉄骨カッター60は本体61と基端部分62との間に回転装置63が設けられており、基端部分62に装着部64が設けられている。装着部64には2個のピン孔65,65が設けられている。図6(B)は鉄骨カッター60をブーム54の先端に装着した場合を示す。鉄骨カッター60は重量物であり、しかも特別な工具が準備されていない場合はピン連結のためのピン孔の位置合わせは複雑な作業である。このため、従来装置における鉄骨カッター60等の装着、脱着作業は数人の作業員が必要であり、しかも複雑、危険な作業であるために長時間が必要であった。
【0006】
図12はアームを2分割した従来装置例(特許文献1)を示す。図12(A)において、建設機械70の作業機71はブーム72とアーム73から構成されている。アーム73は基端部分74と本体部分75に分割され、各分割面にはフランジ76(76a、76b)が設けられている。フランジ76aは、図12(B)に示すように、周囲に複数のボルト孔(a〜d)の組がアーム75の長手方向の軸線を中心に一定の中心角度で穿設されている。一方、フランジ76bは、図12(C)に示すように、周囲にボルト孔A,B,Cがアーム74の長手方向の中心軸を中心に図(B)と同じ一定角度で穿設されている。また、フランジ76aの中心にはピン孔77が設けられており,フランジ76bの中心には突起ピン78が設けられている。以上の説明から理解できるように、この従来装置では本体部分75の中心角度を偏らせて基端部分74に連結できるようにした装置である。
【特許文献1】公開実用新案公報、昭58−145361号(角度調整付アーム)
【0007】
図13は従来装置の建設機械(特許文献2)でバケットを装着した場合を示す図で、建設機械80の作業機87は、ブームトップ85とアーム82から構成されている。一方、図14はロングアタッチメントを設けた場合を示す図である。図14において、建設機械80の作業機(フロントアタッチメント)87は、ブーム81とアーム82の間に中継ブーム83、中継ブーム84、ブームトップ85を設けて、夫々の部材間を相互に複数のピン等の手段により着脱自在に、かつ、一体的に接続した従来装置である。アーム82の先端には破砕機(エンドアタッチメント)86が装着された場合を示している。従って、この建設機械ではバケットを使用する作業から破砕機を使用する作業に切換えるときには、ブーム81とブームトップ85との間に中継ブーム83、84を挿入して連結する作業が必要である。
【特許文献2】実用新案公報、実公平7−52184号(油圧ショベルのフロントアタッチメント)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に説明したように、鉄骨カッター等の重量エンドアタッチメントはアーム56を取り外してブーム54又は中間アーム55の先端に装着して作業を行っていた。しかし、鉄骨カッター60等の重量の重いエンドアタッチメントの装着、脱着作業は数人の作業員が必要であり、しかも複雑、危険な作業であるために長時間が必要であった。
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、バケットやリフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントの着脱作業と同様に、重量エンドアタッチメントの着脱作業も容易にできる建設機械のエンドアタッチメント装着装置を提供することを課題とする。
【0009】
なお、特許文献1、2に記載の従来装置と本願の課題とは以下の点で異なっている。
本願は軽量のエンドアタッチメントと重量のエンドアタッチメントとを同一の建設機械で交換して使用する場合の交換作業(着脱作業)を容易にすることを課題としている。しかし、特許文献1記載の従来装置はアームを分割した点は共通するが、この従来発明の目的は本体部分75の中心角度を偏らせて基端部分74に連結できるようにすることである。また、軽量のエンドアタッチメントの使用のみを予定しており,重量エンドアタッチメントの使用は予定外である。従って,重量エンドアタッチメントの装着は困難である。
【0010】
また、特許文献2記載の従来装置はエンドアタッチメントを交換する点では共通している。しかし、この従来装置では破砕機のような高所作業を必要とするエンドアタッチメントを装着した場合にロングアタッチメントが必要となる。このために、高所作業をする場合は中継ブーム83、84を挿入接続して使用し、掘削作業のような通常作業の場合は中継ブーム83、84を外して行うことを目的としている。従って、この装置では中継ブーム83、84の着脱(挿入、除去)は可能であるが、重量エンドアタッチメントに交換又は着脱する作業は困難(予定外)である。
従って、本願発明の課題は特許文献1又は特許文献2に記載されている従来装置の課題(又は目的)と本質的に異なるものであり、以下に説明するように解決手段(発明の構成)も異なっている。また、本願発明の課題解決にヒントを与えるものでもない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の課題を解決するための手段として以下の構成を採用している。即ち、
請求項1に記載の発明は、作業機のアームを基端部分と本体部分に分割し、かつ、該両分割部の分割面を着脱可能に構成すると共に、リフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントは前記本体部分の先端に着脱可能に構成し、鉄骨カッター等の重量エンドアタッチメントは基端部分の先端分割面に着脱可能に構成したことを特徴とする。
本発明は重量エンドアタッチメントの着脱作業の容易化を図ったことを主な特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記両分割部分の分割面の着脱装置は、一方に固定ピンと第1ピン孔を設け、他方に該固定ピンと係合する固定フック部と該第1ピン孔と連結する第2ピン孔を設けて、挿入ピンで脱着、固定可能に構成したことを特徴としている。
本発明は挿入ピンの挿入、抜き取り操作と簡単な作業で重量エンドアタッチメントの着脱作業ができるようにしたことを主な特徴としている。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記固定フック及び第2ピン孔を前記基端部分に設けたことを特徴としている。
本発明は固定フックを前記本体部分並びに重量エンドアタッチメントに設ける必要をなくしたことを主な特徴としている。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記挿入ピンは単一のピンで構成したことを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記固定フック部又は固定ピンの近傍にストッパーを設けて第1ピン孔と第2ピン孔の位置合わせを容易にしたことを特徴としている。
本発明は、構成の簡素化を図ったことを主な特徴としている。なお、同一構成には完全同一でなくても、主要部分が同一な構成も含まれる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記装着装置双方の着脱部分の側面にブラケットを設け、該ブラケットの双方にボルト孔を設けてボルト手段によりブラケット双方を堅結可能にしたことを特徴としている。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記重量エンドアタッチメントの着脱装置は前記本体部分の着脱装置と同一又は類似の構成としたことを特徴としている。
本発明は、構成の簡素化を図ったことを主な特徴としている。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項5に記載の発明において、前記固定フック部の開口部の向きを上側外向きにして前記固定ピンの係合が装着後に外れないようにしたことを特徴としている。
【0018】
本発明は、ブラケットを設けていない場合において、固定フックと固定ピンの係合が外れないようにしたことを主な特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、重量エンドアタッチメントの着脱作業又はエンドアタッチメントの交換作業が容易に行えるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明の実施形態を図に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は図10に示す中間アーム55を有する作業機に実施した場合である。図1はアームの分割と分割部分の着脱装置の構成を示した図である。図2は重量エンドアタッチメントとして、鉄骨カッターを示した図である。図3〜図5は着脱装置の第1実施形態を示し、図6〜図8は着脱装置の第2実施形態を示す。図9は着脱装置の着脱作業の手順を示した図である。
【0021】
<実施形態 1>
実施形態1は、請求項6に規定しているように、着脱部分の側面にブラケットを設けた場合の実施形態である。図1において、アーム56(図10参照)は基端部分11と本体部分12とに分割されている。なお、分割はアーム56の代わりに中間アーム55を分割してもよく、その場合も同様である。分割部分11、12の分割面を接続固定するための固定手段13,14が夫々の分割面に設けられる。基端部分11側の固定手段13は固定フック15、ピン孔16を有するボス16aとから構成される。また、本体部分12の固定手段14は固定ピン18、ピン孔19とから構成される。ここで、固定フック15は基端部分11の先端部の側面両側に前方に突起した形状で固設され、固定フック15に係止される固定ピン18は本体部分12の後端部の側面両側に設けられる。なお、接続固定を補強するために、各分割部分(基端部分11、本体部分12)にブラケット17、20が側面に突起した状態で設けられている。接続固定はピン孔16、ピン孔19にピン21を挿入して行う。詳細は後で説明する。
【0022】
図2は重量エンドアタッチメントの1例として、鉄骨カッター22を示す。鉄骨カッター22は固定刃23と揺動刃24を具備し、揺動刃24はピン25を中心に揺動可能に設けられていると共に図示されていない油圧シリンダによって揺動が制御されている。鉄骨カッター22の本体26と基幹部27とが回転自在に連結されている。なお、回転の制御は図示されていない油圧アクチュエータによって行われている。基幹部27には基端部分11の固定フック15と係合する固定ピン28と、ピン孔16に相当する位置にピン孔29が設けられており、ピン21によって接続固定する。さらに、基幹部27の一端部に設けられたてブラケット30が、ブラケット17と当接してボルトで堅結固定可能に構成されている。
【0023】
図3はアーム56の基端部分11の詳細を示した図である。図3(A)は基端部分11の側面図で中間アーム55を取り外した状態を示す。図3(B)は図3(A)の矢印A−Aから見た図で、図3(C)は矢印X−Xから見た図を示す。図3に示すように、固定フック15は基端部分11の先端縁11aから前方に突起した状態で基端部分11の両側に固定して設けられている。なお、固定ピン18(又は28、以下同じ)と係合する固定フック15の係合面(凹面)15aは前側(図3(A)右方向)に向くように設けられる。係合面15aは固定ピン18と係合した状態で固定ピン18が自在に回転できればよい。従って,係合面15aの断面形状は円の一部形状をしていることが望ましいが、それに限定されるものではない。
【0024】
ピン孔16はボス16aの内部に設けられ、ボス16aは固定フック15の後方(図3(A)の左方向)で、基端部分11の両側に、固定フック15aと平行して基端部分11の後端部に設けられている。なお、固定フック15の中心とピン孔16の中心との中心距離は一定で、本体部分12(及び、鉄骨カッター22)に設けられている固定ピン18の中心とピン孔19の中心との中心距離(及び、固定ピン28の中心とピン孔29の中心との中心距離)に一致するように構成されている。
【0025】
また、ブラケット17、17は基端部分11の両側に設けられており、ブラケット17の先端部17aは基端部分11の先端縁11aの付近(又はそれより内側)に設けられている。ブラケット17は当接面を有する板状部17bと補強部17cとから構成されている。ブラケット17の当接面(図3(A)の下側面)は基端部分11の先端縁11aと平行で、かつ、固定フック15の中心とピン孔16の中心とを通る線に平行に設けることが望ましい。ブラケット17の板状部17bには、図3(C)に示すように,複数のボルト孔を穿設させて設ける。
【0026】
次に、図4において、本体部分12の分割面に基盤23が設けられ、基盤23上に4枚の板部材(内側板部材26、26と、外側板部材25、25)が基盤23の垂直方向外向きに突起して設けられ、内側板部材26と外側板部材25は対を形成し、各対の前方(図4(B)の右方)には固定ピン18が固設されている。また、4枚の板部材には、固定ピン18からの距離が同じで、基盤23からの高さが同じ位置にピン孔19が穿設されている。なお、固定ピン18とピン孔19の中心距離は固定フック15とピン孔16の中心距離に合致するように構成することは前述したとおりである。
【0027】
内側板部材26、26には直角方向に突起する補強部材27が設けられている。さらに、外側板部材25、25の上側端面にブラケット20,20が固設されている。ブラケット20は上述したブラケット17と同様な構成であり、ブラケット20の位置は、固定フック15と固定ピン18が係合し、ピン孔16とピン穴19が一致したときにブラケット20の当接面とブラケット17の当接面が面接触するように設けられる。
【0028】
図5(B)は鉄骨カッター(重量エンドアタッチメント)22の装着部側面図を示し、図5(A)はZ−Zから見た矢視図を示し、図5(C)はC−Cから見た矢視図を示す。図5において、基盤31、32は相互に回転自在に設けられている。なお、回転装置及び回転角度制御手段は図示省略されている。基盤32は本体に固設されており、基盤31は基幹部27に固設されている。基盤31の外側(基盤32と反対側)表面には4枚の台形状の板部材(外側板部材33、33と内側板部材34,34)が
垂直方向に固設されている。
【0029】
これらの板部材33,34は補強部材35によって補強されている。さらに、外側板部材33と内側板部材34は対をなしており、それらの間に固定ピン28が一方の縁端部で基盤31の近くに設けられている。又、4枚の台形状の板部材33,34には、他方の縁端部で基盤31から離れた距離にピン孔29が設けられている。外側板部材33の先端部外側面にブラケット30が固設されている。ブラケット30の形状,機能はブラケット20の形状、機能と同じであり,詳細な説明は省略する。
【0030】
<実施形態 2>
実施形態2は、請求項5に規定しているように、着脱部分の側面にブラケットの代わりにストッパー40を設けた場合の実施形態である。以下、図6〜図8を参照して実施形態2を説明する。なお、実施形態2は実施形態1と同じ構成部分を有しており、その構成部分には同一の引用番号を付して詳細な説明を省略する。以下、異なる部分について詳述する。図6はアーム56の基端部分11の詳細を示した図である。図6(A)は基端部分11の側面図で中間アーム55を取り外した状態を示す。図6(B)は図6(A)の矢印A−Aから見た図で、図6(C)は矢印X−Xから見た図を示す。図6を図3と比較すれば解るように、両者の相違点は、実施形態2が実施形態1におけるブラケット17を設ける代わりにストッパー40を設けている点である。
【0031】
図6において、ストッパー40は基端部分11の左右何れかの側面外側表面上に突起した形状で、ピン孔16(又はボス16a)の内側(図6(A)の上方)で近接した位置に固設して設けられることが望ましい。なお、ストッパー40の機能(役割)は固定フック15と固定ピン19を係合させた状態で基端部分11と本体部分12(又は、鉄骨カッター)を相互に回転させたときにピン孔16の位置とピン孔19(又は,29)の位置が一致した状態で止まるようにするものである。従って、ストッパー40は上記機能を果たす限り、他の位置に設けてもよい。
【0032】
図7は実施形態2における本体部分12の装着装置の詳細を示した図である。また、図8は実施形態2における鉄骨カッター22の装着装置の詳細を示した図である。何れも図4、図5を参照すれば推測可能であるかも知れないが、実施形態2の構成を明確にするために記載してある。図7,図8に記載の引用番号を参照すれば、実施形態2の構成を把握できると考えられるので、説明は省略する。なお、実施形態1ではブラケット17とブラケット20を固定可能に構成されている。この代わりに、実施形態2では固定ピン18と固定フック15の係合が外れないように、図示されていない外れ止め装置を設けてもよいし、或いは、装着状態で固定フック15から固定ピンが外れないように、固定フック15の開口部の向きを変えてもよい。例えば、上側外向きに、即ち、開口部の向きを装着される被装着対象物の方に向けて、かつ固定ピン18と反対側を向くようにしてもよい。
【0033】
図9は実施形態1(実施形態2)の装着作業の手順を説明するための図である。なお、図9は基端部分11に本体部分12を連結する図を示しているが、基端部分11に鉄骨カッター22を連結する作業手順も全く同じである。図9(A)は装着作業途中の図であり、図9(B)装着作業が終了した図を示す。図9(A)において、最初に本体部分12を左右の固定ピン18、18が地面と平行になるように寝かせる。なお、装着作業は水平な地面で行うのが好ましい。次に、作業機のブーム54、中間アーム55を操作して固定ピン18,18に固定フック15,15を係合させる。係合している状態を維持しながらブーム54、中間アーム55をゆっくりと下向きに回転さてブラケット17の当接面とブラケット20の当接面を接触させる。
【0034】
次に、図9(B)に示すように、当接面同士が接触した状態でピン孔16とピン孔19の位置が一致する。一致したら挿入ピン21をピン孔16、16とピン孔19、19に挿入し、挿入ピン21を(図示省略の)固定手段で固定する。最後にブラケット17とブラケット20をボルトナットで固定する。また、本体部分12と鉄骨カッター22と交換するときは、上に説明した手順と逆の手順で本体部分12を取り外す。次に本体部分12を装着した手順と同様にして鉄骨カッター22を装着する。
【0035】
実施形態2の本体部分12の装着、交換作業は以下の点が上記の作業と異なる。即ち、ブラケット17とブラケット20の代わりに本体部分12にストッパー40を設けている(図6)。従って,固定ピン18,18に固定フック15,15を係合させて、係合状態を維持しながらブーム54、中間アーム55をゆっくりと下向きに回転さて外側板部材25がストッパー40に接触するまで行う。接触した状態でピン孔16とピン穴19の位置が一致する。以後は実施形態1の場合と同じである。
【0036】
以上に説明したように、実施形態1又は実施形態2に記載の発明によれば、装着、交換作業が従来装置に比べて容易になる。また、装着、交換作業を一人の作業員で行うことも可能になる。この結果、人件費が節約できるという効果も生じる。なお、実施形態2は作業がより容易になるが、実施形態1は堅固に固定できるという効果が得られる。
【0037】
以上本発明の実施形態を図面に基づいて詳述してきたが、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではなく、中間アームを有しない作業機に実施する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。更には、中間アームを分割する場合も本発明の技術範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】アームの分割と分割部分の着脱装置の構成を示す。
【図2】鉄骨カッター(重量エンドアタッチメント)を示す。
【図3】実施形態1の基端部分の詳細を示した図である。(A)は側面図で、(B)はA−A矢視図、(C)はX−X矢視図である。
【図4】実施形態1の本体部分の詳細を示した図である。(A)は側面図で、(B)はA−A矢視図、(C)はX−X矢視図である。
【図5】実施形態1の鉄骨カッターの詳細を示した図である。(B)は側面図で、(A)はZ−Z矢視図、(C)はC−C矢視図である。
【図6】実施形態2の基端部分の詳細を示した図である。
【図7】実施形態2の本体部分の詳細を示した図である。
【図8】実施形態2の鉄骨カッターの詳細を示した図である。
【図9】装着作業の手順を示した図である。
【図10】従来の建設機械を示す図である。
【図11】従来の鉄骨カッターを装着した建設機械を示す図である。
【図12】別の従来の建設機械を示す図である。
【図13】更に別の従来の建設機械でバケットを装着した場合を示す。
【図14】ロングアタッチメントを装着した従来の建設機械を示す。
【符号の説明】
【0039】
11 基端部分(分割部分)
12 本体部分(分割部分)
15 固定フック
15a 係合面
16 ピン孔(第2ピン孔)
17 ブラケット
18 固定ピン
19 ピン孔(第1ピン孔)
20 ブラケット
21 挿入ピン
22 鉄骨カッター(重量エンドアタッチメント)
29 ピン孔
30 ブラケット
40 ストッパー
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設機械(作業機械も含む)の作業機にエンドアタッチメントを装着する装着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設機械の作業機には、対象とする作業に適したエンドアタッチメントを装着して作業を行え、別の作業をするときは別のエンドアタッチメントに交換して作業を行ってきた。さらに、別のアタッチメントに交換したときに作業機自体の構成を適した構成に変更することも採用されている。また、エンドアタッチメントにはバケットやリフティングマグネットのように軽量のエンドアタッチメントや鉄骨カッターのように重量のエンドアタッチメントがある。例えば、軽量のエンドアタッチメントと重量エンドアタッチメントの双方を交換して装着する従来の建設機械としては以下のものがある。
【0003】
図10はバケットやリフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントを装着可能な建設機械50の全体構成を示す。建設機械50は下部走行体51と、下部走行体51の上に回転自在に構成した上部旋回体52と、上部旋回体52上の一側(例えば左側)にキャブを設けると共に反対側に仰伏動自在な作業機53を設けている。作業機53は仰伏動自在なブーム54と、ブーム54の先端に回動可能に設けられたブームトップ(又は、中間アーム)55と、中間アーム55の先端に回動可能に設けられたアーム56とから構成されている。アーム56の先端にはバケットやリフティングマグネット等のエンドアタッチメントが装着可能に設けられている。なお、中間アーム55を省略した建設機械もある。
【0004】
上記のような建設機械50のアーム56の先端に鉄骨カッターのような重量エンドアタッチメントを装着すると建設機械50が転倒したり、アーム56が撓んで故障したりして作業が困難又は不能になるという不都合な事態が生じる。そこで、従来は鉄骨カッター60のような重量物はアーム56を取り外してブーム54又は中間アーム55の先端に装着して作業を行っていた。図11はブーム54の先端に直接装着した場合を示す。
【0005】
図11(A)に示すように、鉄骨カッター60は本体61と基端部分62との間に回転装置63が設けられており、基端部分62に装着部64が設けられている。装着部64には2個のピン孔65,65が設けられている。図6(B)は鉄骨カッター60をブーム54の先端に装着した場合を示す。鉄骨カッター60は重量物であり、しかも特別な工具が準備されていない場合はピン連結のためのピン孔の位置合わせは複雑な作業である。このため、従来装置における鉄骨カッター60等の装着、脱着作業は数人の作業員が必要であり、しかも複雑、危険な作業であるために長時間が必要であった。
【0006】
図12はアームを2分割した従来装置例(特許文献1)を示す。図12(A)において、建設機械70の作業機71はブーム72とアーム73から構成されている。アーム73は基端部分74と本体部分75に分割され、各分割面にはフランジ76(76a、76b)が設けられている。フランジ76aは、図12(B)に示すように、周囲に複数のボルト孔(a〜d)の組がアーム75の長手方向の軸線を中心に一定の中心角度で穿設されている。一方、フランジ76bは、図12(C)に示すように、周囲にボルト孔A,B,Cがアーム74の長手方向の中心軸を中心に図(B)と同じ一定角度で穿設されている。また、フランジ76aの中心にはピン孔77が設けられており,フランジ76bの中心には突起ピン78が設けられている。以上の説明から理解できるように、この従来装置では本体部分75の中心角度を偏らせて基端部分74に連結できるようにした装置である。
【特許文献1】公開実用新案公報、昭58−145361号(角度調整付アーム)
【0007】
図13は従来装置の建設機械(特許文献2)でバケットを装着した場合を示す図で、建設機械80の作業機87は、ブームトップ85とアーム82から構成されている。一方、図14はロングアタッチメントを設けた場合を示す図である。図14において、建設機械80の作業機(フロントアタッチメント)87は、ブーム81とアーム82の間に中継ブーム83、中継ブーム84、ブームトップ85を設けて、夫々の部材間を相互に複数のピン等の手段により着脱自在に、かつ、一体的に接続した従来装置である。アーム82の先端には破砕機(エンドアタッチメント)86が装着された場合を示している。従って、この建設機械ではバケットを使用する作業から破砕機を使用する作業に切換えるときには、ブーム81とブームトップ85との間に中継ブーム83、84を挿入して連結する作業が必要である。
【特許文献2】実用新案公報、実公平7−52184号(油圧ショベルのフロントアタッチメント)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に説明したように、鉄骨カッター等の重量エンドアタッチメントはアーム56を取り外してブーム54又は中間アーム55の先端に装着して作業を行っていた。しかし、鉄骨カッター60等の重量の重いエンドアタッチメントの装着、脱着作業は数人の作業員が必要であり、しかも複雑、危険な作業であるために長時間が必要であった。
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、バケットやリフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントの着脱作業と同様に、重量エンドアタッチメントの着脱作業も容易にできる建設機械のエンドアタッチメント装着装置を提供することを課題とする。
【0009】
なお、特許文献1、2に記載の従来装置と本願の課題とは以下の点で異なっている。
本願は軽量のエンドアタッチメントと重量のエンドアタッチメントとを同一の建設機械で交換して使用する場合の交換作業(着脱作業)を容易にすることを課題としている。しかし、特許文献1記載の従来装置はアームを分割した点は共通するが、この従来発明の目的は本体部分75の中心角度を偏らせて基端部分74に連結できるようにすることである。また、軽量のエンドアタッチメントの使用のみを予定しており,重量エンドアタッチメントの使用は予定外である。従って,重量エンドアタッチメントの装着は困難である。
【0010】
また、特許文献2記載の従来装置はエンドアタッチメントを交換する点では共通している。しかし、この従来装置では破砕機のような高所作業を必要とするエンドアタッチメントを装着した場合にロングアタッチメントが必要となる。このために、高所作業をする場合は中継ブーム83、84を挿入接続して使用し、掘削作業のような通常作業の場合は中継ブーム83、84を外して行うことを目的としている。従って、この装置では中継ブーム83、84の着脱(挿入、除去)は可能であるが、重量エンドアタッチメントに交換又は着脱する作業は困難(予定外)である。
従って、本願発明の課題は特許文献1又は特許文献2に記載されている従来装置の課題(又は目的)と本質的に異なるものであり、以下に説明するように解決手段(発明の構成)も異なっている。また、本願発明の課題解決にヒントを与えるものでもない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の課題を解決するための手段として以下の構成を採用している。即ち、
請求項1に記載の発明は、作業機のアームを基端部分と本体部分に分割し、かつ、該両分割部の分割面を着脱可能に構成すると共に、リフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントは前記本体部分の先端に着脱可能に構成し、鉄骨カッター等の重量エンドアタッチメントは基端部分の先端分割面に着脱可能に構成したことを特徴とする。
本発明は重量エンドアタッチメントの着脱作業の容易化を図ったことを主な特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記両分割部分の分割面の着脱装置は、一方に固定ピンと第1ピン孔を設け、他方に該固定ピンと係合する固定フック部と該第1ピン孔と連結する第2ピン孔を設けて、挿入ピンで脱着、固定可能に構成したことを特徴としている。
本発明は挿入ピンの挿入、抜き取り操作と簡単な作業で重量エンドアタッチメントの着脱作業ができるようにしたことを主な特徴としている。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記固定フック及び第2ピン孔を前記基端部分に設けたことを特徴としている。
本発明は固定フックを前記本体部分並びに重量エンドアタッチメントに設ける必要をなくしたことを主な特徴としている。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記挿入ピンは単一のピンで構成したことを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記固定フック部又は固定ピンの近傍にストッパーを設けて第1ピン孔と第2ピン孔の位置合わせを容易にしたことを特徴としている。
本発明は、構成の簡素化を図ったことを主な特徴としている。なお、同一構成には完全同一でなくても、主要部分が同一な構成も含まれる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記装着装置双方の着脱部分の側面にブラケットを設け、該ブラケットの双方にボルト孔を設けてボルト手段によりブラケット双方を堅結可能にしたことを特徴としている。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記重量エンドアタッチメントの着脱装置は前記本体部分の着脱装置と同一又は類似の構成としたことを特徴としている。
本発明は、構成の簡素化を図ったことを主な特徴としている。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項5に記載の発明において、前記固定フック部の開口部の向きを上側外向きにして前記固定ピンの係合が装着後に外れないようにしたことを特徴としている。
【0018】
本発明は、ブラケットを設けていない場合において、固定フックと固定ピンの係合が外れないようにしたことを主な特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、重量エンドアタッチメントの着脱作業又はエンドアタッチメントの交換作業が容易に行えるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明の実施形態を図に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は図10に示す中間アーム55を有する作業機に実施した場合である。図1はアームの分割と分割部分の着脱装置の構成を示した図である。図2は重量エンドアタッチメントとして、鉄骨カッターを示した図である。図3〜図5は着脱装置の第1実施形態を示し、図6〜図8は着脱装置の第2実施形態を示す。図9は着脱装置の着脱作業の手順を示した図である。
【0021】
<実施形態 1>
実施形態1は、請求項6に規定しているように、着脱部分の側面にブラケットを設けた場合の実施形態である。図1において、アーム56(図10参照)は基端部分11と本体部分12とに分割されている。なお、分割はアーム56の代わりに中間アーム55を分割してもよく、その場合も同様である。分割部分11、12の分割面を接続固定するための固定手段13,14が夫々の分割面に設けられる。基端部分11側の固定手段13は固定フック15、ピン孔16を有するボス16aとから構成される。また、本体部分12の固定手段14は固定ピン18、ピン孔19とから構成される。ここで、固定フック15は基端部分11の先端部の側面両側に前方に突起した形状で固設され、固定フック15に係止される固定ピン18は本体部分12の後端部の側面両側に設けられる。なお、接続固定を補強するために、各分割部分(基端部分11、本体部分12)にブラケット17、20が側面に突起した状態で設けられている。接続固定はピン孔16、ピン孔19にピン21を挿入して行う。詳細は後で説明する。
【0022】
図2は重量エンドアタッチメントの1例として、鉄骨カッター22を示す。鉄骨カッター22は固定刃23と揺動刃24を具備し、揺動刃24はピン25を中心に揺動可能に設けられていると共に図示されていない油圧シリンダによって揺動が制御されている。鉄骨カッター22の本体26と基幹部27とが回転自在に連結されている。なお、回転の制御は図示されていない油圧アクチュエータによって行われている。基幹部27には基端部分11の固定フック15と係合する固定ピン28と、ピン孔16に相当する位置にピン孔29が設けられており、ピン21によって接続固定する。さらに、基幹部27の一端部に設けられたてブラケット30が、ブラケット17と当接してボルトで堅結固定可能に構成されている。
【0023】
図3はアーム56の基端部分11の詳細を示した図である。図3(A)は基端部分11の側面図で中間アーム55を取り外した状態を示す。図3(B)は図3(A)の矢印A−Aから見た図で、図3(C)は矢印X−Xから見た図を示す。図3に示すように、固定フック15は基端部分11の先端縁11aから前方に突起した状態で基端部分11の両側に固定して設けられている。なお、固定ピン18(又は28、以下同じ)と係合する固定フック15の係合面(凹面)15aは前側(図3(A)右方向)に向くように設けられる。係合面15aは固定ピン18と係合した状態で固定ピン18が自在に回転できればよい。従って,係合面15aの断面形状は円の一部形状をしていることが望ましいが、それに限定されるものではない。
【0024】
ピン孔16はボス16aの内部に設けられ、ボス16aは固定フック15の後方(図3(A)の左方向)で、基端部分11の両側に、固定フック15aと平行して基端部分11の後端部に設けられている。なお、固定フック15の中心とピン孔16の中心との中心距離は一定で、本体部分12(及び、鉄骨カッター22)に設けられている固定ピン18の中心とピン孔19の中心との中心距離(及び、固定ピン28の中心とピン孔29の中心との中心距離)に一致するように構成されている。
【0025】
また、ブラケット17、17は基端部分11の両側に設けられており、ブラケット17の先端部17aは基端部分11の先端縁11aの付近(又はそれより内側)に設けられている。ブラケット17は当接面を有する板状部17bと補強部17cとから構成されている。ブラケット17の当接面(図3(A)の下側面)は基端部分11の先端縁11aと平行で、かつ、固定フック15の中心とピン孔16の中心とを通る線に平行に設けることが望ましい。ブラケット17の板状部17bには、図3(C)に示すように,複数のボルト孔を穿設させて設ける。
【0026】
次に、図4において、本体部分12の分割面に基盤23が設けられ、基盤23上に4枚の板部材(内側板部材26、26と、外側板部材25、25)が基盤23の垂直方向外向きに突起して設けられ、内側板部材26と外側板部材25は対を形成し、各対の前方(図4(B)の右方)には固定ピン18が固設されている。また、4枚の板部材には、固定ピン18からの距離が同じで、基盤23からの高さが同じ位置にピン孔19が穿設されている。なお、固定ピン18とピン孔19の中心距離は固定フック15とピン孔16の中心距離に合致するように構成することは前述したとおりである。
【0027】
内側板部材26、26には直角方向に突起する補強部材27が設けられている。さらに、外側板部材25、25の上側端面にブラケット20,20が固設されている。ブラケット20は上述したブラケット17と同様な構成であり、ブラケット20の位置は、固定フック15と固定ピン18が係合し、ピン孔16とピン穴19が一致したときにブラケット20の当接面とブラケット17の当接面が面接触するように設けられる。
【0028】
図5(B)は鉄骨カッター(重量エンドアタッチメント)22の装着部側面図を示し、図5(A)はZ−Zから見た矢視図を示し、図5(C)はC−Cから見た矢視図を示す。図5において、基盤31、32は相互に回転自在に設けられている。なお、回転装置及び回転角度制御手段は図示省略されている。基盤32は本体に固設されており、基盤31は基幹部27に固設されている。基盤31の外側(基盤32と反対側)表面には4枚の台形状の板部材(外側板部材33、33と内側板部材34,34)が
垂直方向に固設されている。
【0029】
これらの板部材33,34は補強部材35によって補強されている。さらに、外側板部材33と内側板部材34は対をなしており、それらの間に固定ピン28が一方の縁端部で基盤31の近くに設けられている。又、4枚の台形状の板部材33,34には、他方の縁端部で基盤31から離れた距離にピン孔29が設けられている。外側板部材33の先端部外側面にブラケット30が固設されている。ブラケット30の形状,機能はブラケット20の形状、機能と同じであり,詳細な説明は省略する。
【0030】
<実施形態 2>
実施形態2は、請求項5に規定しているように、着脱部分の側面にブラケットの代わりにストッパー40を設けた場合の実施形態である。以下、図6〜図8を参照して実施形態2を説明する。なお、実施形態2は実施形態1と同じ構成部分を有しており、その構成部分には同一の引用番号を付して詳細な説明を省略する。以下、異なる部分について詳述する。図6はアーム56の基端部分11の詳細を示した図である。図6(A)は基端部分11の側面図で中間アーム55を取り外した状態を示す。図6(B)は図6(A)の矢印A−Aから見た図で、図6(C)は矢印X−Xから見た図を示す。図6を図3と比較すれば解るように、両者の相違点は、実施形態2が実施形態1におけるブラケット17を設ける代わりにストッパー40を設けている点である。
【0031】
図6において、ストッパー40は基端部分11の左右何れかの側面外側表面上に突起した形状で、ピン孔16(又はボス16a)の内側(図6(A)の上方)で近接した位置に固設して設けられることが望ましい。なお、ストッパー40の機能(役割)は固定フック15と固定ピン19を係合させた状態で基端部分11と本体部分12(又は、鉄骨カッター)を相互に回転させたときにピン孔16の位置とピン孔19(又は,29)の位置が一致した状態で止まるようにするものである。従って、ストッパー40は上記機能を果たす限り、他の位置に設けてもよい。
【0032】
図7は実施形態2における本体部分12の装着装置の詳細を示した図である。また、図8は実施形態2における鉄骨カッター22の装着装置の詳細を示した図である。何れも図4、図5を参照すれば推測可能であるかも知れないが、実施形態2の構成を明確にするために記載してある。図7,図8に記載の引用番号を参照すれば、実施形態2の構成を把握できると考えられるので、説明は省略する。なお、実施形態1ではブラケット17とブラケット20を固定可能に構成されている。この代わりに、実施形態2では固定ピン18と固定フック15の係合が外れないように、図示されていない外れ止め装置を設けてもよいし、或いは、装着状態で固定フック15から固定ピンが外れないように、固定フック15の開口部の向きを変えてもよい。例えば、上側外向きに、即ち、開口部の向きを装着される被装着対象物の方に向けて、かつ固定ピン18と反対側を向くようにしてもよい。
【0033】
図9は実施形態1(実施形態2)の装着作業の手順を説明するための図である。なお、図9は基端部分11に本体部分12を連結する図を示しているが、基端部分11に鉄骨カッター22を連結する作業手順も全く同じである。図9(A)は装着作業途中の図であり、図9(B)装着作業が終了した図を示す。図9(A)において、最初に本体部分12を左右の固定ピン18、18が地面と平行になるように寝かせる。なお、装着作業は水平な地面で行うのが好ましい。次に、作業機のブーム54、中間アーム55を操作して固定ピン18,18に固定フック15,15を係合させる。係合している状態を維持しながらブーム54、中間アーム55をゆっくりと下向きに回転さてブラケット17の当接面とブラケット20の当接面を接触させる。
【0034】
次に、図9(B)に示すように、当接面同士が接触した状態でピン孔16とピン孔19の位置が一致する。一致したら挿入ピン21をピン孔16、16とピン孔19、19に挿入し、挿入ピン21を(図示省略の)固定手段で固定する。最後にブラケット17とブラケット20をボルトナットで固定する。また、本体部分12と鉄骨カッター22と交換するときは、上に説明した手順と逆の手順で本体部分12を取り外す。次に本体部分12を装着した手順と同様にして鉄骨カッター22を装着する。
【0035】
実施形態2の本体部分12の装着、交換作業は以下の点が上記の作業と異なる。即ち、ブラケット17とブラケット20の代わりに本体部分12にストッパー40を設けている(図6)。従って,固定ピン18,18に固定フック15,15を係合させて、係合状態を維持しながらブーム54、中間アーム55をゆっくりと下向きに回転さて外側板部材25がストッパー40に接触するまで行う。接触した状態でピン孔16とピン穴19の位置が一致する。以後は実施形態1の場合と同じである。
【0036】
以上に説明したように、実施形態1又は実施形態2に記載の発明によれば、装着、交換作業が従来装置に比べて容易になる。また、装着、交換作業を一人の作業員で行うことも可能になる。この結果、人件費が節約できるという効果も生じる。なお、実施形態2は作業がより容易になるが、実施形態1は堅固に固定できるという効果が得られる。
【0037】
以上本発明の実施形態を図面に基づいて詳述してきたが、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではなく、中間アームを有しない作業機に実施する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。更には、中間アームを分割する場合も本発明の技術範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】アームの分割と分割部分の着脱装置の構成を示す。
【図2】鉄骨カッター(重量エンドアタッチメント)を示す。
【図3】実施形態1の基端部分の詳細を示した図である。(A)は側面図で、(B)はA−A矢視図、(C)はX−X矢視図である。
【図4】実施形態1の本体部分の詳細を示した図である。(A)は側面図で、(B)はA−A矢視図、(C)はX−X矢視図である。
【図5】実施形態1の鉄骨カッターの詳細を示した図である。(B)は側面図で、(A)はZ−Z矢視図、(C)はC−C矢視図である。
【図6】実施形態2の基端部分の詳細を示した図である。
【図7】実施形態2の本体部分の詳細を示した図である。
【図8】実施形態2の鉄骨カッターの詳細を示した図である。
【図9】装着作業の手順を示した図である。
【図10】従来の建設機械を示す図である。
【図11】従来の鉄骨カッターを装着した建設機械を示す図である。
【図12】別の従来の建設機械を示す図である。
【図13】更に別の従来の建設機械でバケットを装着した場合を示す。
【図14】ロングアタッチメントを装着した従来の建設機械を示す。
【符号の説明】
【0039】
11 基端部分(分割部分)
12 本体部分(分割部分)
15 固定フック
15a 係合面
16 ピン孔(第2ピン孔)
17 ブラケット
18 固定ピン
19 ピン孔(第1ピン孔)
20 ブラケット
21 挿入ピン
22 鉄骨カッター(重量エンドアタッチメント)
29 ピン孔
30 ブラケット
40 ストッパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の先端にエンドアタッチメントを着脱自在に装着する建設機械において、前記作業機のアームを基端部分と本体部分に分割し、かつ、該両分割部分の分割面を着脱可能に構成すると共に、リフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントは前記本体部分の先端に着脱可能に構成し、鉄骨カッター等の重量エンドアタッチメントは基端部分の先端分割面に着脱可能に構成したことを特徴とする建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項2】
前記両分割部分の分割面の着脱装置は、一方に固定ピンと第1ピン孔を設け、他方に該固定ピンと係合する固定フック部と該第1ピン孔と連結する第2ピン孔を設けて、挿入ピンで脱着、固定可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項3】
前記固定フック及び第2ピン孔を前記基端部分に設けたことを特徴とする請求項2に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項4】
前記挿入ピンは単一のピンで構成したことを特徴とする請求項2に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項5】
前記固定フック部又は固定ピンの近傍にストッパーを設けて第1ピン孔と第2ピン孔の位置合わせを容易にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項6】
前記装着装置双方の着脱部分の側面にブラケットを設け、該ブラケットの双方にボルト孔を設けてボルト手段によりブラケット双方を堅結可能にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項7】
前記重量エンドアタッチメントの着脱装置は前記本体部分の着脱装置と同一構成にしたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項8】
前記固定フック部の開口部の向きを上側外向きにして前記固定ピンの係合が装着後に外れないようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項1】
作業機の先端にエンドアタッチメントを着脱自在に装着する建設機械において、前記作業機のアームを基端部分と本体部分に分割し、かつ、該両分割部分の分割面を着脱可能に構成すると共に、リフティングマグネット等の軽量エンドアタッチメントは前記本体部分の先端に着脱可能に構成し、鉄骨カッター等の重量エンドアタッチメントは基端部分の先端分割面に着脱可能に構成したことを特徴とする建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項2】
前記両分割部分の分割面の着脱装置は、一方に固定ピンと第1ピン孔を設け、他方に該固定ピンと係合する固定フック部と該第1ピン孔と連結する第2ピン孔を設けて、挿入ピンで脱着、固定可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項3】
前記固定フック及び第2ピン孔を前記基端部分に設けたことを特徴とする請求項2に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項4】
前記挿入ピンは単一のピンで構成したことを特徴とする請求項2に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項5】
前記固定フック部又は固定ピンの近傍にストッパーを設けて第1ピン孔と第2ピン孔の位置合わせを容易にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項6】
前記装着装置双方の着脱部分の側面にブラケットを設け、該ブラケットの双方にボルト孔を設けてボルト手段によりブラケット双方を堅結可能にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項7】
前記重量エンドアタッチメントの着脱装置は前記本体部分の着脱装置と同一構成にしたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【請求項8】
前記固定フック部の開口部の向きを上側外向きにして前記固定ピンの係合が装着後に外れないようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1に記載の建設機械のエンドアタッチメント装着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−274589(P2006−274589A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92668(P2005−92668)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(501132804)住友建機製造株式会社 (271)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(501132804)住友建機製造株式会社 (271)
【Fターム(参考)】
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