説明

建設機械の作業装置

【課題】 複数個のクランプ部材によってブームに固定配管を安定的に拘束すると共に、各クランプ部材の損傷を抑制して信頼性や耐久性を向上する。
【解決手段】 固定配管20,22への拘束力を一定に保つことができる拘束力一定クランプ部材25,30を、固定配管20,22の可撓ホース23,24との接続部位20A,22A,22Bの近傍に位置して設け、ボルト29,34の締付力に応じて固定配管20,22の拘束力を可変とすることができる拘束力可変クランプ部材35,39を、接続部位20A,22A,22Bから離れたブーム12の長さ方向の中間部に位置して設ける構成としている。これにより、拘束力一定クランプ部材25,30は、固定配管20,22の変位を受け流すことができ、拘束力可変クランプ部材35,39は、固定配管20,22を大きな拘束力で確実に拘束することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧シリンダの伸縮動作により各種作業を行う建設機械の作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルに搭載される作業装置は、旋回フレームの前側に俯仰動可能に取付けられたブームと、該ブームの先端側に回動可能に取付けられたアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられたバケットと、前記ブームを俯仰動するために前記旋回フレームとブームとの間に設けられたブームシリンダと、前記アームを回動するために前記ブームとアームとの間に設けられたアームシリンダと、前記バケットを回動するために前記アームとバケットとの間に設けられたバケットシリンダとにより大略構成されている。
【0003】
そして、ブームの上面側には、例えばアームシリンダ、バケットシリンダに対して圧油を給排するための4本の配管が設けられ、この4本の配管は、ブームの長さ方向に延びた非可撓性の固定配管(金属配管)として形成されている。また、固定配管の端部には、ブームまたはアームの動作を許容するための可撓ホースが接続されている。また、ブームのフート部側で各固定配管に接続された可撓ホースは、旋回フレーム上の制御弁装置に接続されている。一方、ブームの先端側で各固定配管に接続された可撓ホースは、バケットシリンダに接続されている。
【0004】
さらに、作業装置には、固定配管をブームの上面側に取付けるためのクランプ部材が設けられ、該クランプ部材は、油圧配管の長さ方向に間隔をもって複数箇所に配置されている。
【0005】
ここで、各クランプ部材は、ブーム側の配管受部と、該配管受部と対向する挟持部材との間に固定配管を挟み、この状態でボルトを用いて挟持部材を配管受部側に押付けることにより、ブーム側に固定配管を取付けている。このときに、配管受部と挟持部材との間に隙間を介在させることにより、ボルトの締付力に応じて固定配管の拘束力を可変とすることができる。これにより、各クランプ部材は、ボルトの締付けによって固定配管を軸方向にずれないように強固に拘束することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−25186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術によるものでは、ブームに設けたクランプ部材によって固定配管を強固に拘束することができる。しかし、ブームを俯仰動させたり、アームを回動させたときには可撓ホースが変形し、この変形による反力が固定配管に作用する。また、走行時や作業時に各可撓ホースが左,右方向等に揺れることによっても、固定配管に負荷が作用してしまう。
【0008】
この場合、特許文献1の発明では、全てのクランプ部材によって固定配管を強固に拘束しているから、固定配管に作用する負荷がクランプ部材にも作用してしまう。特に、可撓ホースに近い位置に配置したクランプ部材には、可撓ホースから直接的に大きな負荷が作用するから、この位置で固定配管を固定しているボルト等に曲げ荷重等が作用し、ボルト等が損傷するという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、各クランプ部材によってブームに固定配管を安定的に拘束すると共に、各クランプ部材の損傷を抑制することにより、信頼性や耐久性を向上できるようにした建設機械の作業装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による建設機械の作業装置は、建設機械の車体に俯仰動可能に取付けられたブームと、該ブームの先端部に回動可能に取付けられたアームと、該アームの先端部に回動可能に取付けられた作業具と、前記車体とブームとの間に設けられたブームシリンダと、前記ブームとアームとの間に設けられたアームシリンダと、前記アームと作業具との間に設けられた作業具シリンダと、前記ブームの長さ方向に延びて設けられた非可撓性の固定配管と、該固定配管に接続して設けられ前記ブームまたはアームの動作を許容する可撓ホースと、前記固定配管を前記ブームに取付けるために前記固定配管の長さ方向に間隔をもって前記ブームと固定配管との間に配置された複数個のクランプ部材とを備え、前記複数個のクランプ部材は、前記ブーム側に設けた配管受部と、該配管受部との間で前記固定配管を挟持するために該配管受部と対面して設けられた挟持部材と、前記固定配管を挟んだ状態で該挟持部材を前記配管受部側に押付けて固定するボルトとにより構成している。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記複数個のクランプ部材は、前記固定配管を挟んで前記ボルトを締付けたときに前記配管受部と挟持部材との間に隙間を介在させることにより前記ボルトの締付力に応じて前記固定配管の拘束力を可変とすることができる拘束力可変クランプ部材と、前記固定配管を挟んで前記ボルトを締付けたときに前記配管受部と挟持部材との間に隙間が無い状態にすることにより前記固定配管への拘束力を一定に保つことができる拘束力一定クランプ部材との2種類の組合せにより構成したことにある。
【0012】
請求項2の発明によれば、前記拘束力一定クランプ部材は、前記固定配管の可撓ホースとの接続部位の近傍に位置して設け、前記拘束力可変クランプ部材は、前記ブームの長さ方向の中間部に位置して設ける構成としたことにある。
【0013】
請求項3の発明によれば、前記拘束力一定クランプ部材の配管受部と挟持部材とは、前記固定配管を挟持する湾曲板状の半円筒部をそれぞれ備え、前記配管受部の半円筒部および/または前記挟持部材の半円筒部には、前記固定配管の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ前記固定配管と接触する2個の端部側エッジ部と、前記固定配管の中間部分に位置して前記固定配管と接触する中間側エッジ部とを形成している。
【0014】
請求項4の発明によれば、前記配管受部の半円筒部および/または前記挟持部材の半円筒部には、厚さ方向に貫通した貫通孔を設け、前記中間側エッジ部は該貫通孔の開口部位に形成している。
【0015】
請求項5の発明によれば、前記配管受部の半円筒部および/または前記挟持部材の半円筒部には、前記固定配管と接触する接触面側に位置して算術平均粗さRaが3.5〜10.0となった表面粗さを有する接触表面部を形成している。
【0016】
請求項6の発明によれば、前記配管受部の半円筒部および/または前記挟持部材の半円筒部には、前記固定配管と接触する接触面側に位置して前記固定配管の滑り止めを行う滑り止め材を塗布している。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、複数個のクランプ部材のうち、拘束力可変クランプ部材は、固定配管を挟んでボルトを締付けたときに、配管受部と挟持部材との間に隙間を介在させることができる。これにより、拘束力可変クランプ部材は、ボルトを締付けることにより固定配管を大きな拘束力で拘束することができる。
【0018】
一方、拘束力一定クランプ部材は、固定配管を挟んでボルトを締付けたときに、配管受部と挟持部材との間に隙間が無い状態にすることができる。これにより、拘束力一定クランプ部材は、ボルトを締付けても固定配管を一定以上の力で拘束することがないから、固定配管の拘束力が弱く、固定配管からの負荷を受けずに逃すことができる。
【0019】
従って、拘束力可変クランプ部材と拘束力一定クランプ部材との2種類のクランプ部材を、組合せて配設することにより、固定配管の長さ方向の位置で異なる負荷の大きさ、固定状態に応じた拘束力で固定配管を拘束することができる。
【0020】
この結果、適した位置に配設した拘束力可変クランプ部材と拘束力一定クランプ部材とは、ブームに対し固定配管を安定的に拘束することができる。この上で、固定配管から各クランプ部材に作用する負荷を軽減することができ、ボルト等の損傷を防止することができる。これにより、各クランプ部材の耐久性、拘束性能に対する信頼性を向上することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、一定の拘束力で固定配管を拘束する拘束力一定クランプ部材を、固定配管の可撓ホースとの接続部位の近傍に位置して設けているから、可撓ホースが変形したときの負荷で固定配管が変位した場合でも、拘束力一定クランプ部材は、固定配管の変位を許容することができる。
【0022】
一方で、強い拘束力で固定配管を拘束する拘束力可変クランプ部材は、ブームの長さ方向の中間部に位置して設けているから、拘束力可変クランプ部材には固定配管からの大きな負荷が作用することはない。
【0023】
従って、ブームの長さ方向の中間部に設けた拘束力可変クランプ部材は、固定配管が位置ずれしないように固定することができる。この上で、固定配管の可撓ホースとの接続部位の近傍に設けた拘束力一定クランプ部材は、固定配管からの負荷を逃してボルト等の損傷を防止することができる。
【0024】
請求項3の発明によれば、配管受部の半円筒部および/または挟持部材の半円筒部には、固定配管の長さ方向の両端側に位置した端部側エッジ部と、固定配管の長さ方向の中間部分に位置した中間側エッジ部とを形成した。この場合、端部側エッジ部および中間側エッジ部は、半円筒部の他の部分に比べて、固定配管に対する接触圧力が高くなるから、固定配管の長さ方向に対して大きな抵抗力を発揮することができる。このため、端部側エッジ部に加えて中間側エッジ部によって固定配管が長さ方向に移動するのを抑制することができる。この結果、端部側エッジ部のみの場合に比べて、拘束力一定クランプ部材による固定配管の位置ずれ抑制効果を高めることができるから、拘束力一定クランプ部材の個数を減らすことができ、製造コストを低減することができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、配管受部の半円筒部および/または挟持部材の半円筒部には厚さ方向に貫通した貫通孔を設けたから、該貫通孔の開口部位に中間側エッジ部を形成することができる。このとき、中間側エッジ部で固定配管に対する接触圧力を高めることができるから、中間側エッジ部によって固定配管の位置ずれを抑制することができる。
【0026】
請求項5の発明によれば、配管受部の半円筒部および/または挟持部材の半円筒部には、固定配管と接触する接触面側に接触表面部を形成したから、接触表面部によって半円筒部と固定配管との間の接触抵抗を増加させることができる。このため、拘束力一定クランプ部材による固定配管の位置ずれ抑制効果を高めることができる。
【0027】
請求項6の発明によれば、配管受部の半円筒部および/または挟持部材の半円筒部には、固定配管と接触する接触面側に滑り止め材を塗布したから、滑り止め材によって半円筒部と固定配管との間の接触抵抗を増加させることができる。このため、拘束力一定クランプ部材による固定配管の位置ずれ抑制効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】旋回フレームを単体で示す平面図である。
【図3】旋回フレームに対するブーム等の取付状態を示す要部拡大の正面図である。
【図4】図1中のブームとアームとの接続部分を示す要部拡大の正面図である。
【図5】ブームと固定配管と各クランプ部材を拡大して示す正面図である。
【図6】ブームの基端側と固定配管と可撓ホースとクランプ部材を示す要部拡大の外観斜視図である。
【図7】ブームの先端側と固定配管と可撓ホースとクランプ部材を示す要部拡大の外観斜視図である。
【図8】ブームの基端側に配置された第1の拘束力一定クランプ部材を拡大して示す平面図である。
【図9】第1の拘束力一定クランプ部材を図8中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】第1の拘束力一定クランプ部材を分解した状態で示す分解断面図である。
【図11】ブームの先端側に配置された第2の拘束力一定クランプ部材を示す断面図である。
【図12】第2の拘束力一定クランプ部材を分解した状態で示す分解断面図である。
【図13】ブームの長さ方向の中間部で基端側寄りに配置された第1の拘束力可変クランプ部材を拡大して示す平面図である。
【図14】第1の拘束力可変クランプ部材を図13中の矢示XIV−XIV方向からみた断面図である。
【図15】第1の拘束力可変クランプ部材を分解した状態で示す分解断面図である。
【図16】ブームの長さ方向の中間部で先端側寄りに配置された第2の拘束力可変クランプ部材を示す断面図である。
【図17】第2の拘束力可変クランプ部材を分解した状態で示す分解断面図である。
【図18】本発明の第1の変形例による拘束力一定クランプ部材を示す断面図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態による第1の拘束力一定クランプ部材を分解した状態で示す分解斜視図である。
【図20】図19中の第1の拘束力一定クランプ部材を拡大して示す平面図である。
【図21】第1の拘束力一定クランプ部材を図20中の矢示XXI−XXI方向からみた断面図である。
【図22】図19中の配管受部を単体で示す斜視図である。
【図23】図19中の挟持部材を単体で示す斜視図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材を分解した状態で示す分解斜視図である。
【図25】図24中の第2の拘束力一定クランプ部材を拡大して示す正面図である。
【図26】第2の拘束力一定クランプ部材を図25中の矢示XXVI−XXVI方向からみた断面図である。
【図27】図24中の配管受部を単体で示す斜視図である。
【図28】図24中の挟持部材を単体で示す斜視図である。
【図29】本発明の第3の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材を拡大して示す正面図である。
【図30】第2の拘束力一定クランプ部材を図29中の矢示XXX−XXX方向からみた断面図である。
【図31】図29中の配管受部を単体で示す斜視図である。
【図32】本発明の第4の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材を拡大して示す正面図である。
【図33】第2の拘束力一定クランプ部材を図32中の矢示XXXIII−XXXIII方向からみた断面図である。
【図34】図32中の配管受部を単体で示す斜視図である。
【図35】本発明の第2の変形例による第2の拘束力一定クランプ部材を拡大して示す正面図である。
【図36】本発明の第3の変形例による第2の拘束力一定クランプ部材を拡大して示す正面図である。
【図37】本発明の第4の変形例による第2の拘束力一定クランプ部材を拡大して示す正面図である。
【図38】第2の拘束力一定クランプ部材を図37中の矢示XXXVIII−XXXVIII方向からみた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に適用される建設機械の作業装置として、作業具にバケットを用いた油圧ショベルの作業装置を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0030】
まず、図1ないし図17は第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に設けられた後述の作業装置11とにより大略構成されている。
【0031】
また、上部旋回体3は、旋回フレーム4と、該旋回フレーム4の左前側に搭載されたキャブ5と、前記旋回フレーム4の後部に取付けられたカウンタウエイト6と、エンジン、油圧ポンプ、制御弁装置等(いずれも図示せず)を覆うようにキャブ5とカウンタウエイト6との間に設けられた外装カバー7とを含んで構成されている。
【0032】
ここで、旋回フレーム4は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板4Aと、該底板4A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板4B,右縦板4Cと、該各縦板4B,4Cの左,右に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム4D,右サイドフレーム4Eと、前記底板4A、縦板4B,4Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム4D,4Eを支持する複数本の張出しビーム4Fとにより大略構成されている。また、各縦板4B,4Cの前側には、左,右のシリンダブラケット4G(右側のみ図示)が設けられている。
【0033】
そして、旋回フレーム4の前側には、作業装置11が設けられている。詳しくは、図3に示すように、左,右の縦板4B,4Cの前側位置にブーム12の基端側が俯仰動可能に取付けられ、左,右のシリンダブラケット4Gにブームシリンダ17がそれぞれ取付けられている。
【0034】
次に、土砂の掘削作業等を行うために油圧ショベル1に設けられた本実施の形態による作業装置11の構成について述べる。
【0035】
11は上部旋回体3の前側に設けられた本実施の形態による作業装置を示している。この作業装置11は、後述のブーム12、アーム14、バケット16、ブームシリンダ17、アームシリンダ18、バケットシリンダ19、アームシリンダ用固定配管20、バケットシリンダ用固定配管22、フレーム側可撓ホース23、バケットシリンダ側可撓ホース24、クランプ部材25,30,35,39等により大略構成されている。なお、作業装置11のブーム12とアーム14は、全体を前側に伸ばした姿勢を基にして上,下位置に関する名称を付して説明するものとする。
【0036】
12は基端側が旋回フレーム4の各縦板4B,4C上側に俯仰動可能に取付けられたブームを示している。このブーム12は、図5ないし図7に示す如く、上面を形成する上フランジ12Aと、下面を形成する下フランジ12Bと、左側面を形成する左ウェブ12C(図6中に点線で図示)と、右側面を形成する右ウェブ12Dとにより横断面が四角形状のボックス構造体として形成されている。即ち、ブーム12は、略L字形状の左ウェブ12Cと右ウェブ12Dとをほぼ平行に並べて配置し、この左ウェブ12C、右ウェブ12Dを上,下方向から挟むように上フランジ12Aと下フランジ12Bを配置して溶接手段を施すことにより四角筒状に形成されている。
【0037】
また、ブーム12のフート部となる基端部12E側には、図6に示すように、左,右方向に延びるように連結筒12Fが設けられている。そして、ブーム12の基端部12Eは、その連結筒12Fが連結ピン13(図3参照)を介して旋回フレーム4の左,右の縦板4B,4Cに回動可能に取付けられている。
【0038】
一方、ブーム12の先端部12G側には、図7に示すように、左,右で一対のアーム取付ブラケット12Hがほぼ平行に突出して設けられている。この各アーム取付ブラケット12Hには、後述するアーム14の基端部14A側が回動可能にピン結合されている。
【0039】
さらに、ブーム12の長さ方向の中間部位は、屈曲した辺りであり、左,右のウェブ12C,12Dの長さ方向のほぼ中間部位(屈曲部分)には、ブームシリンダ17のロッド17Bが取付けられるブームシリンダ取付部12Jが設けられている。また、上フランジ12Aの屈曲部分よりも先端側には、アームシリンダ18のチューブ18Aが取付けられるアームシリンダ取付ブラケット12Kが設けられている。
【0040】
14はブーム12の先端部12G側に回動可能に取付けられたアームを示している。このアーム14は、ブーム12とほぼ同様に、横断面が四角形状のボックス構造体として形成されている。また、アーム14は、その基端部14A側がブーム12の各アーム取付ブラケット12H間に支持ピン15を介して回動可能にピン結合されている。一方、アーム14の先端部14Bにはバケット16が回動可能に取付けられている。
【0041】
さらに、アーム14の基端部14Aには、アームシリンダ取付ブラケット14Cが設けられ、アームシリンダ取付ブラケット14Cよりも先端側には、バケットシリンダ取付ブラケット14Dが設けられている。
【0042】
16はアーム14の先端部に回動可能に取付けられた作業具としてのバケット(図1参照)を示している。このバケット16は、リンク機構16Aがバケットシリンダ19のロッド19B先端に連結されている。
【0043】
17は旋回フレーム4とブーム12との間に設けられた2本のブームシリンダ(右側のみ図示)で、該ブームシリンダ17は、旋回フレーム4に対してブーム12を俯仰動するものである。そして、ブームシリンダ17は、チューブ17Aの基端部が旋回フレーム4のシリンダブラケット4Gに回動可能に取付けられ、ロッド17Bの先端部がブーム12のブームシリンダ取付部12Jに回動可能に取付けられている。
【0044】
18はブーム12の上フランジ12A上に位置して該ブーム12とアーム14との間に設けられたアームシリンダである。このアームシリンダ18は、ブーム12に対してアーム14を回動するものである。そして、アームシリンダ18は、チューブ18Aの基端部がブーム12のアームシリンダ取付ブラケット12Kに回動可能に取付けられ、ロッド18Bの先端部がアーム14のアームシリンダ取付ブラケット14Cに回動可能に取付けられている。
【0045】
19はアーム14の上面側に位置して該アーム14とバケット16との間に設けられたバケットシリンダである。このバケットシリンダ19は、バケット16をアーム14の先端で回動するものである。そして、バケットシリンダ19は、チューブ19Aの基端部がアーム14のバケットシリンダ取付ブラケット14Dに回動可能に取付けられ、ロッド19Bの先端部がバケット16のリンク機構16Aに回動可能に取付けられている。
【0046】
次に、アームシリンダ18、バケットシリンダ19に制御弁装置(図示せず)からの圧油(作動油)を給排する固定配管20,22、可撓ホース21,23,24の構成について説明する。
【0047】
まず、20はブーム12の上フランジ12A上を該ブーム12の長さ方向に延びた2本のアームシリンダ用固定配管である。この2本の固定配管20は、例えば非可撓性の金属配管からなり、ブーム12の基端部12E側で左寄りに配置され、中央寄りに折れ曲がった後に先端側に向けて延びるように形成されている。また、各アームシリンダ用固定配管20の基端側は、フレーム側可撓ホース23が接続される接続部位20Aとなり、先端側は、ブーム12の中間位置まで延びている。そして、各アームシリンダ用固定配管20の先端側は、図1に示すように、アームシリンダ側可撓ホース21を介してアームシリンダ18のチューブ18Aに接続されている。
【0048】
22は各アームシリンダ用固定配管20と並ぶようにブーム12の上フランジ12A上に設けられた2本のバケットシリンダ用固定配管である。この2本の固定配管22は、例えば非可撓性の金属配管からなり、ブーム12の基端部12E側で右寄りに配置され、左,右方向に離間した後に先端側に向けて延びるように曲げ加工されている。また、各バケットシリンダ用固定配管22の基端側は、フレーム側可撓ホース23が接続される接続部位22Aとなっている。
【0049】
また、各バケットシリンダ用固定配管22の中間部位は、各アームシリンダ用固定配管20の左,右方向の外側に並ぶように先端側に向けて延びている。さらに、各バケットシリンダ用固定配管22の先端側は、図4に示すように、バケットシリンダ側可撓ホース24が接続される接続部位22Bとなり、該バケットシリンダ側可撓ホース24を介してバケットシリンダ19のチューブ19Aに接続されている。
【0050】
23はブーム12の基端部12E側に設けられた複数本、例えば4本のフレーム側可撓ホースである(図6参照)。この4本のフレーム側可撓ホース23は、旋回フレーム4に搭載された制御弁装置と2本のアームシリンダ用固定配管20、バケットシリンダ用固定配管22とを接続するものである。また、各フレーム側可撓ホース23は、旋回フレーム4に対するブーム12の俯仰動を許容するために、上側に略Ω形状の弛みをもった状態で、一端側が制御弁装置に接続され、他端側が各固定配管20,22の接続部位20A,22Aに接続されている。
【0051】
ここで、フレーム側可撓ホース23は、ブーム12が俯仰動したときに撓むことによって、このブーム12の動作を許容することができる。しかし、フレーム側可撓ホース23は、高圧に耐える強度を有しているから、撓ませるためには大きな力が必要となる。従って、フレーム側可撓ホース23を撓ませたときには、各固定配管20,22に対しても同等の負荷が作用することになる。
【0052】
24はブーム12の先端部12G側に設けられた複数本、例えば2本のバケットシリンダ側可撓ホースである(図7等参照)。この2本のバケットシリンダ側可撓ホース24は、バケットシリンダ用固定配管22とバケットシリンダ19のチューブ19Aとを接続するものである。また、各バケットシリンダ側可撓ホース24は、ブーム12に対するアーム14の回動を許容するために、略S字状の弛みをもった状態で、一端側が各固定配管22の接続部位22Bに接続され、他端側がバケットシリンダ19のチューブ19Aに接続されている。
【0053】
ここで、バケットシリンダ側可撓ホース24は、アーム14が回動したときに撓むことによって、このアーム14の動作を許容することができる。しかし、バケットシリンダ側可撓ホース24は、前述したフレーム側可撓ホース23とほぼ同様に、高圧に耐える強度を有しているから、撓ませるためには大きな力が必要となる。従って、バケットシリンダ側可撓ホース24を撓ませたときには、各固定配管22の先端側に対しても同等の負荷が作用することになる。
【0054】
次に、各固定配管20,22をブーム12に取付けるために、該各固定配管20,22の長さ方向に間隔をもって前記ブーム12と固定配管20,22との間に配置された複数個のクランプ部材25,30,35,39について、図5ないし図17を参照しつつ述べる。
【0055】
25はブーム12の基端部12E側に左,右方向に離間して設けられた第1の拘束力一定クランプ部材である(図5、図6参照)。この第1の拘束力一定クランプ部材25は、可撓ホース23が接続される各固定配管20,22の接続部位20A,22Aの近傍に位置して設けられている。また、第1の拘束力一定クランプ部材25の配設位置は、可撓ホース23の変形、揺れ等によって大きな負荷が作用する位置となっている。
【0056】
そして、第1の拘束力一定クランプ部材25は、2本の固定配管20,22を挟持するもので、図8ないし図10に示す如く、後述の支柱部材26、配管受部27、挟持部材28、ボルト29により構成されている。なお、第1の拘束力一定クランプ部材25の構成の説明では、バケットシリンダ用固定配管22を支持する右側のクランプ部材25を例示している。
【0057】
26はブーム12の上フランジ12Aから上側に突出するように設けられた角柱状の支柱部材で、該支柱部材26の上端面26Aには、図10に示すように、ボルト29が螺合する2個のねじ穴26B(1個のみ図示)が設けられている。
【0058】
27は支柱部材26の上端面26Aに当接して設けられた配管受部である。この配管受部27は、左,右方向の中央に位置して支柱部材26の上端面26Aに当接する四角形状の平坦部27Aと、該平坦部27Aの左,右両側に湾曲して設けられた半円筒部27Bとからなり、前記平坦部27Aには、支柱部材26のねじ穴26Bに対応して2個の挿通孔27C(1個のみ図示)が形成されている。ここで、配管受部27は、弾性をもった金属板に曲げ加工を施すことにより形成しているから、各半円筒部27Bは、バケットシリンダ用固定配管22の外径形状や変位(変形)に応じて弾性変形することができる。
【0059】
28はブーム12側の配管受部27と対面して設けられた挟持部材で、該挟持部材28は、配管受部27との間で固定配管22を挟持するものである。また、挟持部材28は、配管受部27とほぼ同様に、四角形状の平坦部28Aと、該平坦部28Aの左,右両側に湾曲して設けられた半円筒部28Bと、前記平坦部28Aに設けられた2個の挿通孔28C(1個のみ図示)とにより構成されている。また、挟持部材28は、配管受部27と同様に、弾性をもった金属板により形成されている。この場合、配管受部27と挟持部材28とは、同一部材を対向するように反転して用いることもできる。
【0060】
そして、配管受部27の平坦部27Aと挟持部材28の平坦部28Aとを当接した状態では、対向する半円筒部27B,28Bが円筒形状を形成する。この円筒部の内径寸法は、バケットシリンダ用固定配管22ががたつかないように、例えば固定配管22の外径寸法と同等か僅かに小さな寸法に設定されている。
【0061】
また、29は第1の拘束力一定クランプ部材25を構成する2本のボルトである。この2本のボルト29は、配管受部27の挿通孔27Cと挟持部材28の挿通孔28Cに挿通し、支柱部材26のねじ穴26Bに螺合することにより、バケットシリンダ用固定配管22を挟んだ状態で挟持部材28を配管受部27側に押付けて固定するものである。
【0062】
ここで、第1の拘束力一定クランプ部材25は、図9に示すように、配管受部27の平坦部27Aと挟持部材28の平坦部28Aとを当接した状態、即ち、平坦部27A,28A間の隙間が無い状態(隙間寸法X=0mm)でボルト29によって固定しているから、ボルト29の締付力に関係なく一定の拘束力をもってバケットシリンダ用固定配管22を保持することができる。
【0063】
この実施の形態では、配管受部27と挟持部材28とを弾性を有する金属板により形成している。また、配管受部27の半円筒部27Bと挟持部材28の半円筒部28Bとを対面させてなる円筒部の内径寸法を、バケットシリンダ用固定配管22の外径寸法と同等か僅かに小さな寸法に設定している。これにより、第1の拘束力一定クランプ部材25は、常時はバケットシリンダ用固定配管22を所定の位置に拘束することができる。
【0064】
一方で、バケットシリンダ用固定配管22に負荷が作用し、該固定配管22が移動したり、撓んだりした場合には、この固定配管22の変位に応じて半円筒部27B,28Bを図9中の矢示A,B方向に弾性変形させることにより、該各半円筒部27B,28B内で固定配管22が変位するのを許すことができ、大きな負荷を受けることなく逃すことができる。
【0065】
30はブーム12の先端部12G側となる左,右のアーム取付ブラケット12Hに設けられた第2の拘束力一定クランプ部材である(図11、図12参照)。この第2の拘束力一定クランプ部材30は、バケットシリンダ側可撓ホース24が接続される各固定配管22の接続部位22Bの近傍に位置して設けられている。また、第2の拘束力一定クランプ部材30は、前述した第1の拘束力一定クランプ部材25とほぼ同様に、その配設位置は、可撓ホース24の変形、揺れ等によって大きな負荷が作用する位置となっている。
【0066】
そして、第2の拘束力一定クランプ部材30は、1本の固定配管22を挟持するもので、図11に示す如く、後述の支持板31、配管受部32、挟持部材33、ボルト34により構成されている。なお、第2の拘束力一定クランプ部材30の構成の説明では、右側のクランプ部材30を例示している。
【0067】
31はブーム12のアーム取付ブラケット12Hに上側に延びるように設けられた長方形状の支持板で、該支持板31は、下側がアーム取付ブラケット12Hの外側面に固着されている。また、支持板31の上側には、図12に示すように、ボルト34が螺合する2個のねじ穴31A(1個のみ図示)が設けられている。
【0068】
32は支持板31の上側位置に当接して設けられた配管受部である。この配管受部32は、支持板31の外側面に当接する四角形状の平坦部32Aと、該平坦部32Aの上側に湾曲して設けられた半円筒部32Bとからなり、前記平坦部32Aには、支持板31のねじ穴31Aに対応して2個の挿通孔32C(1個のみ図示)が形成されている。また、配管受部32は、弾性をもった金属板に曲げ加工を施すことにより形成され、各半円筒部32Bは、バケットシリンダ用固定配管22の外径形状や変位(変形)に応じて弾性変形することができる。
【0069】
33はブーム12側の配管受部32と対面して設けられた挟持部材で、該挟持部材33は、配管受部32との間で固定配管22を挟持するものである。また、挟持部材33は、配管受部32とほぼ同様に、四角形状の平坦部33Aと、該平坦部33Aの上側に湾曲して設けられた半円筒部33Bと、前記平坦部33Aに設けられた2個の挿通孔33C(1個のみ図示)とにより構成されている。また、挟持部材33は、配管受部32と同様に、弾性をもった金属板により形成されている。この場合、配管受部32と挟持部材33とは、同一部材を対向するように反転して用いることもできる。
【0070】
そして、配管受部32の平坦部32Aと挟持部材33の平坦部33Aとを当接した状態では、対向する半円筒部32B,33Bが円筒形状を形成する。この円筒部の内径寸法は、バケットシリンダ用固定配管22ががたつかないように、例えば固定配管22の外径寸法と同等か僅かに小さな寸法に設定されている。
【0071】
また、34は第2の拘束力一定クランプ部材30を構成する2本のボルトである。この2本のボルト34は、配管受部32の挿通孔32Cと挟持部材33の挿通孔33Cに挿通し、支持板31のねじ穴31Aに螺合することにより、バケットシリンダ用固定配管22を挟んだ状態で挟持部材33を配管受部32側に押付けて固定するものである。
【0072】
ここで、第2の拘束力一定クランプ部材30は、図11に示す如く、前述した第1の拘束力一定クランプ部材25とほぼ同様に、配管受部32の平坦部32Aと挟持部材33の平坦部33Aとを当接した状態(平坦部27A,28A間の隙間が無い状態)でボルト34によって固定しているから、ボルト34の締付力に関係なく一定の拘束力をもってバケットシリンダ用固定配管22を保持することができる。
【0073】
この実施の形態では、配管受部32と挟持部材33とを弾性を有する金属板により形成している。また、配管受部32の半円筒部32Bと挟持部材33の半円筒部33Bとを対面させてなる円筒部の内径寸法を、バケットシリンダ用固定配管22の外径寸法と同等か僅かに小さな寸法に設定している。これにより、第2の拘束力一定クランプ部材30は、常時はバケットシリンダ用固定配管22を所定の位置に拘束することができる。
【0074】
一方で、バケットシリンダ用固定配管22に負荷が作用し、該固定配管22が移動したり、撓んだりした場合には、この固定配管22の変位に応じて半円筒部32B,33Bを図11中の矢示C,D方向に弾性変形させることにより、該各半円筒部32B,33B内で固定配管22が変位するのを許すことができ、大きな負荷を受けることなく逃すことができる。
【0075】
35はブーム12の長さ方向の中間部のうち、基端側寄りに設けられた第1の拘束力可変クランプ部材で(図5、図6参照)、該第1の拘束力可変クランプ部材35は、左,右方向に離間した位置に長さ方向に間隔をもった2箇所、合計4箇所(3箇所のみ図示)に配置されている。また、第1の拘束力可変クランプ部材35は、各固定配管20,22の接続部位20A,22Aから離れた位置に設けられている。この第1の拘束力可変クランプ部材35の配設位置は、可撓ホース23の変形、揺れ等によって各固定配管20,22に大きな負荷が作用しても、この負荷が減衰されて十分に小さくなる位置となっている。
【0076】
そして、第1の拘束力可変クランプ部材35は、2本の固定配管20,22を挟持するもので、図13、図14に示す如く、後述の配管受部36、挟持部材37、ボルト38により構成されている。なお、第1の拘束力可変クランプ部材35の構成の説明では、アームシリンダ用固定配管20とバケットシリンダ用固定配管22を1本ずつ支持するブーム12の右側のクランプ部材35を例示している。
【0077】
36はブーム12の上フランジ12Aに設けられた配管受部である。この配管受部36は、長方形状の板体を折曲げることにより逆U字状に形成され、その上側は固定配管20,22が当接する当接部36Aとなっている。また、当接部36Aの中央には、図15に示すように、ボルト38が螺合するねじ穴36Bが設けられている。
【0078】
37はブーム12側の配管受部36と対面して設けられた挟持部材で、該挟持部材37は、配管受部36との間で固定配管20,22を挟持するものである。また、挟持部材37は、強く締付けても殆ど変形を生じることがない剛性をもった厚板体として形成されている。そして、挟持部材37は、長さ方向の端部が挟持する配管の直径寸法に応じて形成された押圧部37A,37Bとなり、該押圧部37A,37B間となるほぼ中央部には挿通孔37Cが形成されている。そして、挟持部材37は、図14に示すように、締付位置となる挿通孔37Cの位置で配管受部36の当接部36Aとの間に隙間寸法Yを有している。
【0079】
また、38は第1の拘束力可変クランプ部材35を構成するボルトである。このボルト38は、挟持部材37の挿通孔37Cに挿通し、配管受部36のねじ穴36Bに螺合することにより、固定配管20,22を挟んだ状態で挟持部材37を配管受部36側に押付けて固定するものである。
【0080】
ここで、第1の拘束力可変クランプ部材35は、配管受部36と挟持部材37との間に固定配管20,22を挟んだ状態で、ボルト38によって挟持部材37を配管受部36側に押付けることにより、固定配管20,22を拘束する構成としている。このときに、配管受部36と挟持部材37との間には、締付量を制限しないように隙間Yを介在させている。従って、第1の拘束力可変クランプ部材35は、図14に示す如く、隙間Yによってボルト38を増し締めすることができるから、増し締めの分だけ固定配管20,22を矢示E,F方向から強く拘束することができ、ボルト38の締付け具合に応じて拘束力を変化させることができる。これにより、第1の拘束力可変クランプ部材35は、固定配管20,22が長さ方向に変位しないように、その位置を固定することができる。
【0081】
39はブーム12の長さ方向の中間部のうち、先端側寄りに設けられた第2の拘束力可変クランプ部材で(図5、図7参照)、該第2の拘束力可変クランプ部材39は、左,右方向に離間した位置に長さ方向に間隔をもった2箇所、合計4箇所(3箇所のみ図示)に配置されている。また、第2の拘束力可変クランプ部材39は、各固定配管22の接続部位22Bから離れた位置に設けられている。この第2の拘束力可変クランプ部材39の配設位置は、バケットシリンダ側可撓ホース24の変形、揺れ等によって各固定配管22に大きな負荷が作用しても、この負荷が減衰されて十分に小さくなる位置となっている。
【0082】
そして、第2の拘束力可変クランプ部材39は、1本の固定配管22を挟持するもので、図16に示す如く、後述の配管受部40、挟持部材41、ボルト42により構成されている。なお、第2の拘束力可変クランプ部材39の構成の説明では、右側のクランプ部材39を例示している。
【0083】
40はブーム12の上フランジ12Aに設けられた配管受部である。この配管受部40は、前述した第1の拘束力可変クランプ部材35の配管受部36とほぼ同様に、長方形状の板体を折曲げることにより逆U字状に形成され、その上側は固定配管22等が当接する当接部40Aとなっている。また、当接部40Aの中央には、図17に示すように、ボルト42が螺合するねじ穴40Bが設けられている。
【0084】
41はブーム12側の配管受部40と対面して設けられた挟持部材で、該挟持部材41は、配管受部40との間で固定配管22を挟持するものである。また、挟持部材41は、挟持部材37とほぼ同様に、強く締付けても殆ど変形を生じることがない剛性をもった厚板体として形成されている。そして、挟持部材41は、長さ方向の一方の端部が下向き(配管受部40向き)に突出した支点突起41Aと、該支点突起41Aと長さ方向の反対側の押圧部41Bとを有し、該支点突起41Aと押圧部41B間となるほぼ中央部には挿通孔41Cが形成されている。そして、挟持部材41は、図16に示すように、締付位置となる挿通孔41Cの位置で配管受部40との間に隙間寸法Y′を有している。
【0085】
また、42は第2の拘束力可変クランプ部材39を構成するボルトである。このボルト42は、挟持部材41の挿通孔41Cに挿通し、配管受部40のねじ穴40Bに螺合することにより、固定配管22を挟んだ状態で挟持部材41を配管受部40側に押付けて固定するものである。
【0086】
ここで、第2の拘束力可変クランプ部材39は、前述した第1の拘束力可変クランプ部材35とほぼ同様に、配管受部40と挟持部材41との間に固定配管22を挟んだ状態で、ボルト42によって挟持部材41を配管受部40側に押付けることにより、固定配管22を拘束する構成としている。このときに、配管受部40と挟持部材41との間には、締付量を制限しないように隙間Y′を介在させている。従って、第2の拘束力可変クランプ部材39は、図16に示す如く、第1の拘束力可変クランプ部材35と同様に、隙間Y′によってボルト42を増し締めすることができるから、増し締めの分だけ固定配管22を矢示G,H方向から強く拘束することができ、ボルト42の締付け具合に応じて拘束力を変化させることができる。これにより、第2の拘束力可変クランプ部材39は、固定配管22が長さ方向に変位しないように、その位置を固定することができる。
【0087】
本実施の形態に適用される油圧ショベル1の作業装置11は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0088】
まず、オペレータは、キャブ5に搭乗し各種の操作レバー、ペダル等(いずれも図示せず)のうち、走行用の操作レバー、ペダルを操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。また、オペレータは、作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置11のブーム12、アーム14、バケット16を動作させ、例えば土砂の掘削作業を行うことができる。
【0089】
この油圧ショベル1の走行時、作業装置11による掘削作業時には、可撓ホース23,24等が曲がったり、揺れたりする。この場合、可撓ホース23,24は、高圧の作動油を流通させるものであるから、金属材料を含む多層構造となっている。このために、可撓ホース23,24が曲がったり、揺れたりして形を変えるときには、大きな負荷が発生する。そして、可撓ホース23,24が変形したときの負荷は、接続された固定配管20,22に作用し、この固定配管20,22を拘束している各クランプ部材25,30,35,39にも作用することがある。
【0090】
然るに、本実施の形態によれば、アームシリンダ用固定配管20とバケットシリンダ用固定配管22とをブーム12に取付けるために、前記各固定配管20,22の長さ方向に間隔をもって前記ブーム12と各固定配管20,22との間に複数個のクランプ部材25,30,35,39を設け、この複数個のクランプ部材25,30,35,39は、各固定配管20,22を挟んでボルト29,34を締付けたときに配管受部27,32と挟持部材28,33との間に隙間が無い状態(隙間寸法X=0mm)にすることにより前記固定配管20,22への拘束力を一定に保つことができる拘束力一定クランプ部材25,30と、固定配管20,22を挟んでボルト38,42を締付けたときに配管受部36,40と挟持部材37,41との間に隙間Y,Y′を介在させることにより、前記ボルト38,42の締付力に応じて前記固定配管20,22の拘束力を可変とすることができる拘束力可変クランプ部材35,39との2種類の組合せにより構成している。
【0091】
この上で、拘束力一定クランプ部材25,30は、固定配管20,22の可撓ホース23,24との接続部位20A,22A,22Bの近傍に位置して設ける構成としている。これにより、拘束力一定クランプ部材25,30は、固定配管20,22を強く拘束することがないから、固定配管20,22から負荷を受けることなく、該固定配管20,22の変位を許すことができる。
【0092】
一方、拘束力可変クランプ部材35,39は、接続部位20A,22A,22Bから離れたブーム12の長さ方向の中間部に位置して設ける構成としている。これにより、拘束力可変クランプ部材35,39は、固定配管20,22を挟んでボルト38,42を締付けることにより、この締付力に応じて固定配管20,22を大きな拘束力で拘束することができる。
【0093】
この結果、ブーム12の長さ方向の中間部に設けた拘束力可変クランプ部材35,39は、固定配管20,22が位置ずれしないように固定することができる。しかも、固定配管20,22の可撓ホース23,24との接続部位20A,22A,22Bの近傍に設けた拘束力一定クランプ部材25,30は、負荷を逃してボルト29,34等の損傷を防止することができる。これにより、各クランプ部材25,30,35,39の耐久性、拘束性能に対する信頼性を向上することができる。
【0094】
なお、第1の実施の形態では、第1の拘束力一定クランプ部材25を、配管受部27の半円筒部27Bと挟持部材28の半円筒部28Bとの間に固定配管20,22を配置し、この状態で、配管受部27の平坦部27Aと挟持部材28の平坦部28Aとを当接させた状態でボルト29によって固定することにより、ボルト29の締付力に関係なく一定の拘束力をもって固定配管20,22を保持する構成とした場合を例に挙げて説明している。
【0095】
しかし、本発明はこれに限らず、例えば図18に示す第1の変形例による拘束力一定クランプ部材51のように構成してもよい。この場合、拘束力一定クランプ部材51は、前述した第1の拘束力可変クランプ部材35とほぼ同様に、配管受部52、挟持部材53、ボルト54とにより構成されている。しかし、変形例による拘束力一定クランプ部材51は、ボルト54の周囲で配管受部52と挟持部材53との間にスリーブ55を設け、配管受部52と挟持部材53との隙間をスリーブ55によって無くすことにより、一定の拘束力で固定配管20,22を拘束する構成としてもよい。
【0096】
次に、図19ないし図28は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、第1,第2の拘束力一定クランプ部材は、配管受部の半円筒部および挟持部材の半円筒部に端部側エッジ部と中間側エッジ部とを形成したことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0097】
61は第2の実施の形態による第1の拘束力一定クランプ部材である。この第1の拘束力一定クランプ部材61は、図19ないし図23に示す如く、第1の実施の形態による第1の拘束力一定クランプ部材25とほぼ同様に構成されている。このため、第1の拘束力一定クランプ部材61は、第1の実施の形態による第1の拘束力一定クランプ部材25とほぼ同じ位置に配設されると共に、支柱部材26、配管受部62、挟持部材66、ボルト29により構成され、2本の固定配管22を挟持するものである。
【0098】
62は支柱部材26の上端面26Aに当接して設けられた配管受部である。この配管受部62は、左,右方向の中央に位置して支柱部材26の上端面26Aに当接する四角形状の平坦部62Aと、該平坦部62Aの左,右両側に位置して設けられた湾曲板状の半円筒部62Bとからなり、前記平坦部62Aには、支柱部材26のねじ穴26Bに対応して2個の挿通孔62Cが形成されている。ここで、配管受部62は、弾性をもった金属板に曲げ加工を施すことにより形成しているから、各半円筒部62Bは、バケットシリンダ用固定配管22の外径形状や変位(変形)に応じて弾性変形することができる。
【0099】
また、半円筒部62Bには、厚さ方向に貫通した貫通孔63が形成されている。この貫通孔63は、半円筒部62Bのうち固定配管22の長さ方向の中間部分に位置すると共に、固定配管22の長さ方向と略直交した左,右方向に延びた長穴をなしている。
【0100】
半円筒部62Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の端部側エッジ部64が形成されている。これに加え、半円筒部62Bには、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の中間側エッジ部65が形成されている。この中間側エッジ部65は、貫通孔63のうち内周側の開口部位63Aに位置している。この結果、半円筒部62Bには、固定配管22の長さ方向に対して2個の端部側エッジ部64と、これら2個の端部側エッジ部64の間に位置して2個の中間側エッジ部65とが形成されている。これらのエッジ部64,65は、半円筒部62Bの他の部分に比べて、固定配管22に対する接触圧力が高くなっている。
【0101】
66はブーム12側の配管受部62と対面して設けられた挟持部材で、該挟持部材66は、配管受部62との間で固定配管22を挟持するものである。また、挟持部材66は、配管受部62とほぼ同様に、四角形状の平坦部66Aと、該平坦部66Aの左,右両側に位置して設けられた湾曲板状の半円筒部66Bと、前記平坦部66Aに設けられた2個の挿通孔66Cとにより構成されている。また、挟持部材66は、配管受部62と同様に、弾性をもった金属板により形成されている。この場合、配管受部62と挟持部材66とは、同一部材を対向するように反転して用いることもできる。
【0102】
そして、配管受部62の平坦部62Aと挟持部材66の平坦部66Aとを当接した状態では、対向する半円筒部62B,66Bが円筒形状を形成する。この円筒部の内径寸法は、バケットシリンダ用固定配管22ががたつかないように、例えば固定配管22の外径寸法と同等か僅かに小さな寸法に設定されている。
【0103】
また、半円筒部66Bには、厚さ方向に貫通した貫通孔67が形成されている。この貫通孔67は、半円筒部66Bのうち固定配管22の長さ方向の中間部分に位置すると共に、固定配管22の長さ方向と略直交した左,右方向に延びた長穴をなしている。
【0104】
半円筒部66Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の端部側エッジ部68が形成されている。これに加え、半円筒部66Bには、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の中間側エッジ部69が形成されている。この中間側エッジ部69は、貫通孔67のうち内周側の開口部位67Aに位置している。この結果、半円筒部66Bには、固定配管22の長さ方向に対して2個の端部側エッジ部68と、これら2個の端部側エッジ部68の間に位置して2個の中間側エッジ部69とが形成されている。これらのエッジ部68,69は、半円筒部66Bの他の部分に比べて、固定配管22に対する接触圧力が高くなっている。
【0105】
そして、配管受部62の挿通孔62Cと挟持部材66の挿通孔66Cには、ボルト29が挿通されると共に、ボルト29は支柱部材26のねじ穴26Bに螺合する。これにより、配管受部62および挟持部材66は、バケットシリンダ用固定配管22を挟んだ状態で支柱部材26に固定されている。
【0106】
ここで、第1の拘束力一定クランプ部材61は、配管受部62の平坦部62Aと挟持部材66の平坦部66Aとを当接した状態、即ち、平坦部62A,66A間の隙間が無い状態でボルト29によって固定している。これにより、第1の拘束力一定クランプ部材61は、ボルト29の締付力に関係なく一定の拘束力をもってバケットシリンダ用固定配管22を保持することができる。
【0107】
70は第2の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材である。この第2の拘束力一定クランプ部材70は、図24ないし図28に示す如く、第1の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材30とほぼ同様に構成されている。このため、第2の拘束力一定クランプ部材70は、第1の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材30とほぼ同じ位置に配設されると共に、支持板31、配管受部71、挟持部材75、ボルト34により構成され、1本の固定配管22を挟持するものである。
【0108】
71は支持板31の上側位置に当接して設けられた配管受部である。この配管受部71は、支持板31の外側面に当接する四角形状の平坦部71Aと、該平坦部71Aの上側に位置して設けられた湾曲板状の半円筒部71Bとからなり、前記平坦部71Aには、支持板31のねじ穴31Aに対応して2個の挿通孔71Cが形成されている。また、配管受部71は、弾性をもった金属板に曲げ加工を施すことにより形成され、各半円筒部71Bは、バケットシリンダ用固定配管22の外径形状や変位(変形)に応じて弾性変形することができる。
【0109】
また、半円筒部71Bには、厚さ方向に貫通した貫通孔72が形成されている。この貫通孔72は、半円筒部71Bのうち固定配管22の長さ方向の中間部分に位置すると共に、固定配管22の長さ方向と略直交した上,下方向に延びた長穴をなしている。
【0110】
半円筒部71Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の端部側エッジ部73が形成されている。これに加え、半円筒部71Bには、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の中間側エッジ部74が形成されている。この中間側エッジ部74は、貫通孔72のうち内周側の開口部位72Aに位置している。この結果、半円筒部71Bには、固定配管22の長さ方向に対して2個の端部側エッジ部73と、これら2個の端部側エッジ部73の間に位置して2個の中間側エッジ部74とが形成されている。これらのエッジ部73,74は、半円筒部71Bの他の部分に比べて、固定配管22に対する接触圧力が高くなっている。
【0111】
75はブーム12側の配管受部71と対面して設けられた挟持部材で、該挟持部材75は、配管受部71との間で固定配管22を挟持するものである。また、挟持部材75は、配管受部71とほぼ同様に、四角形状の平坦部75Aと、該平坦部75Aの上側に位置して設けられた湾曲板状の半円筒部75Bと、前記平坦部75Aに設けられた2個の挿通孔75Cとにより構成されている。また、挟持部材75は、配管受部71と同様に、弾性をもった金属板により形成されている。この場合、配管受部71と挟持部材75とは、同一部材を対向するように反転して用いることもできる。
【0112】
そして、配管受部71の平坦部71Aと挟持部材75の平坦部75Aとを当接した状態では、対向する半円筒部71B,75Bが円筒形状を形成する。この円筒部の内径寸法は、バケットシリンダ用固定配管22ががたつかないように、例えば固定配管22の外径寸法と同等か僅かに小さな寸法に設定されている。
【0113】
また、半円筒部75Bには、厚さ方向に貫通した貫通孔76が形成されている。この貫通孔76は、半円筒部75Bのうち固定配管22の長さ方向の中間部分に位置すると共に、固定配管22の長さ方向と略直交した上,下方向に延びた長穴をなしている。
【0114】
半円筒部75Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の端部側エッジ部77が形成されている。これに加え、半円筒部75Bには、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の中間側エッジ部78が形成されている。この中間側エッジ部78は、貫通孔76のうち内周側の開口部位76Aに位置している。この結果、半円筒部75Bには、固定配管22の長さ方向に対して2個の端部側エッジ部77と、これら2個の端部側エッジ部77の間に位置して2個の中間側エッジ部78とが形成されている。これらのエッジ部77,78は、半円筒部75Bの他の部分に比べて、固定配管22に対する接触圧力が高くなっている。
【0115】
そして、配管受部71の挿通孔71Cと挟持部材75の挿通孔75Cには、ボルト34が挿通されると共に、ボルト34は支持板31のねじ穴31Aに螺合する。これにより、配管受部71および挟持部材75は、バケットシリンダ用固定配管22を挟んだ状態で支持板31に固定されている。
【0116】
ここで、第2の拘束力一定クランプ部材70は、前述した第1の拘束力一定クランプ部材61とほぼ同様に、配管受部71の平坦部71Aと挟持部材75の平坦部75Aとを当接した状態(平坦部71A,75A間の隙間が無い状態)でボルト34によって固定している。これにより、第2の拘束力一定クランプ部材70は、ボルト34の締付力に関係なく一定の拘束力をもってバケットシリンダ用固定配管22を保持することができる。
【0117】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、配管受部62,71の半円筒部62B,71Bおよび挟持部材66,75の半円筒部66B,75Bには厚さ方向に貫通した貫通孔63,67,72,76を設けたから、該貫通孔63,67,72,76の開口部位63A,67A,72A,76Aに固定配管22の長さ方向の中間部分に位置して中間側エッジ部65,69,74,78を形成することができる。このため、配管受部62,71の半円筒部62B,71Bおよび挟持部材66,75の半円筒部66B,75Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置した端部側エッジ部64,68,73,77と、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置した中間側エッジ部65,69,74,78とを形成することができる。
【0118】
この場合、端部側エッジ部64,68,73,77および中間側エッジ部65,69,74,78は、固定配管22に対する接触圧力が高くなっているから、固定配管22の長さ方向に対して大きな抵抗力を発揮することができる。このため、端部側エッジ部64,68,73,77に加えて中間側エッジ部65,69,74,78によって固定配管22が長さ方向に移動するのを抑制することができる。この結果、端部側エッジ部64,68,73,77のみの場合に比べて、拘束力一定クランプ部材61,70による固定配管22の位置ずれ抑制効果を高めることができるから、拘束力一定クランプ部材61,70の個数を減らすことができ、製造コストを低減することができる。
【0119】
次に、図29ないし図31は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、第2の拘束力一定クランプ部材は、配管受部の半円筒部および挟持部材の半円筒部に、固定配管と接触する接触面側に位置して表面粗さが所望の値となった接触表面部を形成したことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0120】
91は第3の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材である。この第2の拘束力一定クランプ部材91は、第2の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材70とほぼ同様に構成されている。このため、第2の拘束力一定クランプ部材91は、第2の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材70とほぼ同様に、支持板31、配管受部92、挟持部材96、ボルト34により構成され、1本の固定配管22を挟持するものである。
【0121】
配管受部92は、第2の実施の形態による配管受部71と同様に形成され、平坦部92Aおよび半円筒部92Bによって構成されている。前記平坦部92Aにはボルト34を挿通する挿通孔92Cが形成されると共に、半円筒部92Bには、厚さ方向に貫通した貫通孔93が形成されている。さらに、半円筒部92Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の端部側エッジ部94が形成されると共に、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の中間側エッジ部95が形成されている。この中間側エッジ部95は、貫通孔93のうち内周側の開口部位93Aに位置している。
【0122】
挟持部材96も、配管受部92とほぼ同様に形成され、平坦部96Aおよび半円筒部96Bによって構成されると共に、挿通孔96Cおよび貫通孔97が形成されている。そして、半円筒部96Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の端部側エッジ部98が形成されると共に、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の中間側エッジ部99が形成されている。この中間側エッジ部99は、貫通孔97のうち内周側の開口部位97Aに位置している。
【0123】
さらに、半円筒部92B,96Bには、固定配管22と接触する接触面側に位置して接触表面部100がそれぞれ形成されている。この接触表面部100は、算術平均粗さRaが例えば3.5〜10.0となった表面粗さを有している。接触表面部100は、例えば半円筒部92B,96Bの内周面側にショットブラスト加工等を施すことによって形成されるものである。
【0124】
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1,第2の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態では、配管受部92の半円筒部92Bおよび挟持部材96の半円筒部96Bに、固定配管22と接触する接触面側に位置して接触表面部100を形成した。このため、接触表面部100によって半円筒部92B,96Bと固定配管22との間の接触抵抗を増加させることができるから、第2の拘束力一定クランプ部材91による固定配管22の位置ずれ抑制効果を高めることができる。
【0125】
次に、図32ないし図34は本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、第2の拘束力一定クランプ部材は、配管受部の半円筒部および挟持部材の半円筒部に、固定配管と接触する接触面側に位置して滑り止め材を塗布したことにある。なお、第4の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0126】
101は第4の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材である。この第2の拘束力一定クランプ部材101は、第2の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材70とほぼ同様に構成されている。このため、第2の拘束力一定クランプ部材101は、第2の実施の形態による第2の拘束力一定クランプ部材70とほぼ同様に、支持板31、配管受部102、挟持部材106、ボルト34により構成され、1本の固定配管22を挟持するものである。
【0127】
配管受部102は、第2の実施の形態による配管受部71と同様に形成され、平坦部102Aおよび半円筒部102Bによって構成されている。前記平坦部102Aにはボルト34を挿通する挿通孔102Cが形成されると共に、半円筒部102Bには、厚さ方向に貫通した貫通孔103が形成されている。さらに、半円筒部102Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の端部側エッジ部104が形成されると共に、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の中間側エッジ部105が形成されている。この中間側エッジ部105は、貫通孔103のうち内周側の開口部位103Aに位置している。
【0128】
挟持部材106も、配管受部102とほぼ同様に形成され、平坦部106Aおよび半円筒部106Bによって構成されると共に、挿通孔106Cおよび貫通孔107が形成されている。そして、半円筒部106Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の端部側エッジ部108が形成されると共に、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置してそれぞれ固定配管22と接触する2個の中間側エッジ部109が形成されている。この中間側エッジ部109は、貫通孔107のうち内周側の開口部位107Aに位置している。
【0129】
さらに、半円筒部102B,106Bには、固定配管22と接触する接触面側に位置して固定配管の滑り止めを行う滑り止め材110が塗布されている。この滑り止め材110は、半円筒部102B,106Bと固定配管22との間の摩擦係数を増加させるものであればよく、例えばエポキシ樹脂を主成分として摩擦係数が0.8以上となったコーティング剤が使用される。
【0130】
かくして、このように構成された第4の実施の形態においても、前述した第1,第2の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第4の実施の形態では、配管受部102の半円筒部102Bおよび挟持部材106の半円筒部106Bに、固定配管22と接触する接触面側に位置して滑り止め材110を塗布した。このため、滑り止め材110によって半円筒部102B,106Bと固定配管22との間の接触抵抗を増加させることができるから、第2の拘束力一定クランプ部材101による固定配管22の位置ずれ抑制効果を高めることができる。
【0131】
また、例えば油圧ポンプからの圧油の供給や作業装置11の駆動に伴って固定配管22には振動が発生する。この場合でも、樹脂コーティング剤からなる滑り止め材110によって固定配管22の振動を吸収することができ、固定配管22の振動抑制効果を得ることができる。この結果、固定配管22の振動低減によって、振動による音の発生やボルト34の緩みを防止することができる。
【0132】
なお、前記第3,第4の実施の形態では、第2の拘束力一定クランプ部材91,101に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1の拘束力一定クランプ部材に適用してもよい。
【0133】
また、前記第2ないし第4の実施の形態では、配管受部62,71,92,102の半円筒部62B,71B,92B,102Bおよび挟持部材66,75,96,106の半円筒部66B,75B,96B,106Bには、1個の貫通孔63,67,72,76,93,97,103,107を形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図35に示す第2の変形例による拘束力一定クランプ部材111のように、配管受部112および挟持部材116に2個の貫通孔113,117をそれぞれ形成してもよい。この場合、配管受部112および挟持部材116は平坦部112A,116Aと半円筒部112B,116Bとからなり、半円筒部112B,116Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置して2個の端部側エッジ部114,118が形成されると共に、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置して貫通孔113,117の周囲に4個の中間側エッジ部115,119が形成される。この中間側エッジ部115,119は、貫通孔113,117の開口部位113A,117Aに形成されるから、貫通孔113,117の個数に応じて増加する。このため、中間側エッジ部115,119の個数を増加させて、固定配管22の位置ずれ抑制効果を高めることができる。
【0134】
また、前記第2ないし第4の実施の形態では、配管受部62,71,92,102の半円筒部62B,71B,92B,102Bおよび挟持部材66,75,96,106の半円筒部66B,75B,96B,106Bには、貫通孔63,67,72,76,93,97,103,107を形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図36に示す第3の変形例による拘束力一定クランプ部材121のように、配管受部122および挟持部材126に固定配管22の長さ方向と直交した方向に延びる切欠き123,127を形成してもよい。この場合、配管受部122および挟持部材126は平坦部122A,126Aと半円筒部122B,126Bとからなり、半円筒部122B,126Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置して2個の端部側エッジ部124,128が形成されると共に、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置して切欠き123,127の周囲に2個の中間側エッジ部125,129が形成される。
【0135】
また、前記第2ないし第4の実施の形態では、配管受部62,71,92,102と挟持部材66,75,96,106の両方に中間側エッジ部65,69,74,78,95,99,105,109を形成した場合を例に挙げて説明したが、配管受部にだけ中間側エッジ部を設ける構成としてもよく、挟持部材にだけ中間エッジ部を設ける構成としてもよい。さらに、配管受部62,71,92,102の中間側エッジ部65,74,95,105と挟持部材66,75,96,106の中間側エッジ部69,78,99,109とは必ずしも同じ個数である必要はなく、互いに異なる個数でもよい。
【0136】
また、前記第2ないし第4の実施の形態では、貫通孔63,67,72,76,93,97,103,107を用いて中間側エッジ部65,69,74,78,95,99,105,109を形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図37および図38に示す第4の変形例による拘束力一定クランプ部材131のように、配管受部132および挟持部材136には内周側が開口して外周側が閉塞された有底の溝部133,137を設ける構成としてもよい。この場合、配管受部132および挟持部材136は平坦部132A,136Aと半円筒部132B,136Bとからなり、半円筒部132B,136Bには、固定配管22の長さ方向の両端側に位置して2個の端部側エッジ部134,138が形成されると共に、固定配管22の長さ方向の中間部分に位置して溝部133,137の周囲に2個の中間側エッジ部135,139が形成される。
【0137】
また、前記各実施の形態では、固定配管としてアームシリンダ用固定配管20とバケットシリンダ用固定配管22とを例に挙げ、各クランプ部材25,30,35,39,61,70,91,101によってブーム12に取付ける構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばバケット16に代えてブレーカ、グラップル等の他のアタッチメントを設けた場合、追加の油圧シリンダに圧油を給排するための固定配管を設け、この追加の固定配管を固定配管20,22と一緒にブーム12に取付ける構成としてもよい。
【0138】
さらに、前記各実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の油圧ショベル等の上部旋回体に作業装置を備えた他の建設機械にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0139】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4 旋回フレーム
11 作業装置
12 ブーム
12E,14A 基端部
12G,14B 先端部
14 アーム
16 バケット(作業具)
17 ブームシリンダ
18 アームシリンダ
19 バケットシリンダ(作業具シリンダ)
20 アームシリンダ用固定配管
20A,22A,22B 接続部位
22 バケットシリンダ用固定配管
23 フレーム側可撓ホース
24 バケットシリンダ側可撓ホース
25,61 第1の拘束力一定クランプ部材
27,32,36,40,52,62,71,92,102,112,122,132 配管受部
27B,28B,32B,33B,62B,66B,71B,75B,92B,96B,102B,106B,112B,116B,122B,126B,132B,136B 半円筒部
28,33,37,41,53,66,75,96,106,116,126,136 挟持部材
29,34,38,42,54 ボルト
30,70,91,101,111,121,131 第2の拘束力一定クランプ部材
35 第1の拘束力可変クランプ部材
39 第2の拘束力可変クランプ部材
51 拘束力一定クランプ部材
55 スリーブ
63,67,72,76,93,97,103,107,113,117 貫通孔
63A,67A,72A,76A,93A,97A,103A,107A,113A,117A 開口部位
64,68,73,77,94,98,104,108,114,118,124,128,134,138 端部側エッジ部
65,69,74,78,95,99,105,109,115,119,125,129,135,139 中間側エッジ部
100 接触表面部
110 滑り止め材
Y,Y′ 配管受部と挟持部材との隙間寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の車体に俯仰動可能に取付けられたブームと、該ブームの先端部に回動可能に取付けられたアームと、該アームの先端部に回動可能に取付けられた作業具と、前記車体とブームとの間に設けられたブームシリンダと、前記ブームとアームとの間に設けられたアームシリンダと、前記アームと作業具との間に設けられた作業具シリンダと、前記ブームの長さ方向に延びて設けられた非可撓性の固定配管と、該固定配管に接続して設けられ前記ブームまたはアームの動作を許容する可撓ホースと、前記固定配管を前記ブームに取付けるために前記固定配管の長さ方向に間隔をもって前記ブームと固定配管との間に配置された複数個のクランプ部材とを備え、
前記複数個のクランプ部材は、前記ブーム側に設けた配管受部と、該配管受部との間で前記固定配管を挟持するために該配管受部と対面して設けられた挟持部材と、前記固定配管を挟んだ状態で該挟持部材を前記配管受部側に押付けて固定するボルトとにより構成してなる建設機械の作業装置において、
前記複数個のクランプ部材は、
前記固定配管を挟んで前記ボルトを締付けたときに前記配管受部と挟持部材との間に隙間を介在させることにより前記ボルトの締付力に応じて前記固定配管の拘束力を可変とすることができる拘束力可変クランプ部材と、
前記固定配管を挟んで前記ボルトを締付けたときに前記配管受部と挟持部材との間に隙間が無い状態にすることにより前記固定配管への拘束力を一定に保つことができる拘束力一定クランプ部材との2種類の組合せにより構成したことを特徴とする建設機械の作業装置。
【請求項2】
前記拘束力一定クランプ部材は、前記固定配管の可撓ホースとの接続部位の近傍に位置して設け、
前記拘束力可変クランプ部材は、前記ブームの長さ方向の中間部に位置して設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械の作業装置。
【請求項3】
前記拘束力一定クランプ部材の配管受部と挟持部材とは、前記固定配管を挟持する湾曲板状の半円筒部をそれぞれ備え、
前記配管受部の半円筒部および/または前記挟持部材の半円筒部には、前記固定配管の長さ方向の両端側に位置してそれぞれ前記固定配管と接触する2個の端部側エッジ部と、前記固定配管の中間部分に位置して前記固定配管と接触する中間側エッジ部とを形成してなる請求項1または2に記載の建設機械の作業装置。
【請求項4】
前記配管受部の半円筒部および/または前記挟持部材の半円筒部には、厚さ方向に貫通した貫通孔を設け、前記中間側エッジ部は該貫通孔の開口部位に形成してなる請求項3に記載の建設機械の作業装置。
【請求項5】
前記配管受部の半円筒部および/または前記挟持部材の半円筒部には、前記固定配管と接触する接触面側に位置して算術平均粗さRaが3.5〜10.0となった表面粗さを有する接触表面部を形成してなる請求項3または4に記載の建設機械の作業装置。
【請求項6】
前記配管受部の半円筒部および/または前記挟持部材の半円筒部には、前記固定配管と接触する接触面側に位置して前記固定配管の滑り止めを行う滑り止め材を塗布してなる請求項3または4に記載の建設機械の作業装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−67580(P2012−67580A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82015(P2011−82015)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】