説明

建設機械

【課題】 第2ブームと第3ブームの連結部、第3ブームとアームシリンダとの連結部および油圧ホースに障害物が干渉しないようにし、信頼性や作業効率を向上する。
【解決手段】 第2ブーム14には、この第2ブーム14の上面部14A先端側と第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとの間を延びるように防護部材30を設ける構成としている。従って、掘削作業時や作業現場への輸送時に、電線、樹木の枝等の障害物がシリンダ取付部16J、アームシリンダ23のチューブ23A、油圧ホース26B,27B,29B等に向けて接近した場合には、防護部材30によって保護することができる。これにより、シリンダ取付部16J、アームシリンダ23等の寿命を延ばすことができる。また、作業者は障害物の干渉に注意を配る必要がないから、作業に集中することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば側溝掘り作業等に用いるオフセットブーム式のフロント装置を備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、下部走行体上に上部旋回体が旋回可能に搭載され、該上部旋回体を構成する旋回フレームの前側に掘削作業を行うためのフロント装置を備えている。また、油圧ショベルには、車体の左側または右側で側溝の掘削作業等を実行できるようにしたオフセットブーム式のフロント装置を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このオフセットブーム式のフロント装置は、基端側が旋回フレームに俯仰動可能に取付けられた第1ブームと、基端側が該第1ブームの先端側に縦ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられた第2ブームと、該第2ブームの先端側に縦ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられた第3ブームと、基端側が該第3ブームに俯仰動可能に取付けられたアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられたバケットと、前記旋回フレームと第1ブームの先端側との間に設けられ該第1ブームを俯仰動させるブームシリンダと、前記第3ブームとアームとの間に設けられ該アームを俯仰動させるアームシリンダと、前記アームとバケットとの間に設けられ該バケットを回動させるバケットシリンダと、前記第1ブームに対して第3ブームを左,右方向に平行移動(オフセット)させるリンクロッドおよびオフセットシリンダとにより大略構成されている。
【0004】
また、アームシリンダは、円筒状のチューブと、該チューブから伸縮可能に突出したロッドとにより構成されている。このアームシリンダは、チューブのボトム側が第3ブームに上,下方向に回動可能に取付けられ、ロッドの突出端がアームの基端側に取付けられている。
【0005】
この場合、所望のストロークをもったアームシリンダが第3ブームの長さ寸法内に収まるように配置するためには、チューブのボトム側を取付けるための第3ブームのシリンダ取付部を、第2ブームの上面部よりも上方に突出させて延長する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−223381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1の発明では、第3ブームのシリンダ取付部を第2ブームの上面部よりも上方に突出して設けているから、第3ブームのシリンダ取付部とアームシリンダのボトム側との連結部も高い位置に突出している。また、第2ブームと第3ブームの連結部や、該連結部を通る油圧ホースも外部に露出した状態となっている。このために、作業時や輸送時には、第3ブームのシリンダ取付部とアームシリンダのボトム側との連結部、第2ブームと第3ブームの連結部および油圧ホースに対し、周囲の障害物、例えば電線や樹木の枝が衝突したり、引っ掛かったりする。このために、アームシリンダ、縦ピン、油圧ホースおよびこれらの連結部等が損傷する虞がある。しかも、作業時には、前記アームシリンダ、連結部等が周囲の障害物に衝突しないように注意して作業しなくてはならず、作業効率が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、第2ブームと第3ブームの連結部、第3ブームのシリンダ取付部とアームシリンダのボトム側との連結部および油圧ホースに周囲の障害物が衝突したり引っ掛かったりしないようにし、信頼性や作業効率を向上できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による建設機械は、自走可能な車体と、基端側が該車体に俯仰動可能に取付けられた第1ブームと、基端側が該第1ブームの先端側に縦ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられた第2ブームと、該第2ブームの先端側に縦ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられ該第2ブームよりも上方に突出した位置にシリンダ取付部を有する第3ブームと、基端側が該第3ブームに俯仰動可能に取付けられたアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられた作業具と、前記第1ブームを俯仰動させるために基端側が前記車体に取付けられ先端側が前記第1ブームに取付けられたブームシリンダと、前記アームを俯仰動させるために前記第3ブームのシリンダ取付部とアームとの間に取付けられたアームシリンダと、前記作業具を回動させるために前記アームと作業具との間に取付けられた作業具シリンダとを備えてなる。
【0010】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記第2ブームには、該第2ブームの先端側と前記第3ブームのシリンダ取付部との間に位置し、前記第2ブームと第3ブームの連結部および前記第3ブームのシリンダ取付部とアームシリンダのボトム側との連結部を防護する防護部材を設ける構成としたことにある。
【0011】
請求項2の発明は、前記防護部材は、前記第3ブーム側となる前端部を前記第3ブームのシリンダ取付部の最上部よりも上方に配置すると共に、この前端部は、前記第2ブームに対して前記第3ブームが揺動したときに該第3ブームの左,右方向の幅寸法内に収まる形状としたことにある。
【0012】
請求項3の発明は、前記防護部材は、前記第2ブームの上面部と前記第3ブームのシリンダ取付部との間を後側から上側にかけて凸湾曲状に形成する構成としたことにある。
【0013】
請求項4の発明は、前記防護部材の前端部は、前記第2ブームと前記第3ブームとを連結する前記縦ピンの上方に延在させる構成としたことにある。
【0014】
請求項5の発明は、前記アームシリンダと作業具シリンダに圧油を給排するために前記第2ブームと第3ブームの連結部を通って設けられた可撓性の油圧ホースを有すると共に、前記作業具が油圧アクチュエータ付き作業具の場合に、該油圧アクチュエータに圧油を給排する補助油圧ホースを前記第2ブームと第3ブームとの連結部の間に前記第2ブームに沿わせて設け、前記防護部材は前記油圧ホースと前記補助油圧ホースを保護するようにしてなる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、アームシリンダのボトム側を取付ける第3アームのシリンダ取付部は、第2ブームよりも上方に突出している。このために、第3ブームのシリンダ取付部とアームシリンダのボトム側との連結部が高い位置で露出している。また、第2ブームと第3ブームの連結部も外部に露出した状態となっている。従って、例えば作業時や輸送時には、電線、樹木の枝等の障害物がシリンダ取付部、アームシリンダのボトム側等に衝突したり、引っ掛かったりする虞がある。
【0016】
しかし、第2ブームには、第2ブームの先端側と第3ブームのシリンダ取付部との間に位置して防護部材を設けているから、この防護部材によって第2ブームと第3ブームの連結部、第3ブームのシリンダ取付部とアームシリンダのボトム側との連結部を、電線、樹木の枝等の障害物から防護することができる。
【0017】
この結果、第3ブームのシリンダ取付部、アームシリンダのボトム側等を保護することができ、これらの寿命を延ばして、信頼性等を向上することができる。また、作業時に周囲の電線、樹木の枝等が第3ブームのシリンダ取付部等に引っ掛からないように気を使う必要がなくなるから、作業に集中することができ、作業効率を向上することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、防護部材の前端部は、第3ブームのシリンダ取付部の最上部よりも上方に配置しているから、防護部材は、後側から接近する電線、樹木の枝等の障害物を、第3ブームのシリンダ取付部を確実に越えさせることができる。これにより、第3ブームのシリンダ取付部、アームシリンダのボトム側等の損傷を防止して寿命を延ばすことができる。
【0019】
また、防護部材の前端部は、第2ブームに対して第3ブームを揺動させた場合でも、該第3ブームの左,右方向の幅寸法内に収めることができる。これにより、側溝掘り作業等を行っているときに、防護部材の前端部が障害物に干渉して損傷するのを防止でき、信頼性や作業性を向上することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、第2ブームの上面部と第3ブームのシリンダ取付部との間に後側から上側にかけて凸湾曲状に形成された防護部材は、電線、樹木の枝等の障害物をスムーズに滑らせることができる。また、凸湾曲状に形成することにより、第3ブームの上部から第2ブームの上面部まで円滑につないで一体感をもたせることができ、外観上の見栄えを良好にすることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、第2ブームと第3ブームとを連結する縦ピンは、第2ブームと第3ブームとの揺動中心となるから、該縦ピンの上方に延在した防護部材の前端部は、第2ブームと第3ブームとが揺動した場合でも、はみ出すことなく第2ブームと第3ブームの連結部等を常に防護することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、第2ブームと第3ブームの連結部を通るアームシリンダ用の油圧ホース、作業具シリンダ用の油圧ホース、補助油圧ホースは、防護部材によって保護することができ、各油圧ホース、補助油圧ホースの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるオフセットブーム式のフロント装置を備えた油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中のオフセットブーム式のフロント装置を拡大して示す正面図である。
【図3】オフセットブーム式のフロント装置を拡大して示す外観斜視図である。
【図4】第2ブーム、第3ブーム、縦ピン、アームシリンダ、防護部材等を示す要部拡大の斜視図である。
【図5】アーム等を右側にオフセット移動した状態のフロント装置を示す要部拡大の平面図である。
【図6】防護部材を単体で拡大して示す正面図である。
【図7】防護部材を単体で拡大して示す平面図である。
【図8】防護部材を単体で拡大して示す外観斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による防護部材を単体で示す外観斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態による防護部材を単体で示す外観斜視図である。
【図11】本発明の第1の変形例による防護部材を単体で示す平面図である。
【図12】本発明の第2の変形例による防護部材を単体で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態による建設機械として、オフセットブーム式のフロント装置を備えた油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0025】
まず、図1ないし図8は本発明による第1の実施の形態を示している。図1において、1は後述するオフセットブーム式のフロント装置11を備えた油圧ショベルである。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられたフロント装置11とにより大略構成されている。
【0026】
ここで、上部旋回体3は、支持構造体として形成された旋回フレーム4と、該旋回フレーム4の左前側に設けられ、運転席、各種レバー等(図示せず)が配置されたキャブ5と、該キャブ5の後方に位置して前記旋回フレーム4上に搭載されたエンジン、油圧ポンプ等(図示せず)を覆う建屋カバー6と、前記旋回フレーム4の後部に設けられ、フロント装置11との重量バランスをとるカウンタウエイト7とを含んで構成されている。
【0027】
次に、土砂の掘削作業等を行うために上部旋回体3の前側に設けられた第1の実施の形態によるオフセットブーム式のフロント装置11について説明する。
【0028】
11はキャブ5の右側に位置して旋回フレーム4の前側に俯仰動可能に設けられたオフセットブーム式のフロント装置である。このフロント装置11は、図1、図2に示す如く、後述のオフセットブーム12、アーム20、バケット21、ブームシリンダ22、アームシリンダ23、バケットシリンダ24等により構成されている。
【0029】
12はフロント装置11を構成するオフセットブームで、該オフセットブーム12は、後述のバケット21をアーム20と一緒に左,右方向にオフセット移動(平行移動)させるものである。そして、オフセットブーム12は、図2ないし図5に示す如く、後述の第1ブーム13、第2ブーム14、第3ブーム16、オフセットシリンダ18、リンクロッド19等により大略構成されている。
【0030】
ここで、オフセットブーム12は、図2に示す如く、第2ブーム14の先端側に取付けられた第3ブーム16が第1ブーム13とほぼ同じ長さ寸法に形成されている。これにより、オフセットブーム12は、第1ブーム13、第2ブーム14および第3ブーム16によって門型状に構成されている。従って、第1の実施の形態によるフロント装置11は、第3ブーム16を長尺に形成した分だけ、バケット21を深い位置まで届かせることができ、通常よりも深い穴や溝を掘削することができる。
【0031】
13は旋回フレーム4の前側に俯仰動可能に取付けられた第1ブームである。この第1ブーム13は、先端側が略へ字状に屈曲した角筒状の中空構造体として形成され、その基端部がキャブ5の右側に位置して旋回フレーム4の前側に俯仰動可能に取付けられている。また、第1ブーム13の先端部には、図2、図3に示す如く、上,下方向に離間してブラケット13A,13Bが前向きに突出して設けられ、該各ブラケット13A,13Bには、後述の縦ピン15が挿嵌される。
【0032】
また、第1ブーム13の先端側の左側面には、3枚のリンク取付板13C,13D,13Eが上,下方向に所定の間隔寸法をもって外向きに突設されている。これら3枚のリンク取付板13C,13D,13Eのうち、上側と中間のリンク取付板13C,13D間には後述のリンクロッド19が揺動可能に連結されている。また、中間と下側のリンク取付板13D,13E間には後述のオフセットシリンダ18が揺動可能に連結されている。
【0033】
さらに、第1ブーム13の先端側には、下側ブラケット13Bの下側に位置してブームシリンダ用ブラケット13Fが設けられ、該ブラケット13Fには、後述するブームシリンダ22のロッド22Bの突出端が回動可能に取付けられる。
【0034】
14は第1ブーム13の先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられた第2ブームで、該第2ブーム14は、図2ないし図5に示すように、例えば上面部14A、下面部14B、左側面部14Cおよび右側面部14Dから角筒状の中空構造体として形成されている。また、第2ブーム14の長さ方向の両端部には筒状の取付ボス14E,14Fが設けられ、左側面部14Cには、先端側寄りに位置してオフセットシリンダ用ブラケット14Gが設けられている。
【0035】
一方、第2ブーム14の上面部14Aには、長さ方向に延びる逆樋状をしたホースカバー14Hが取付けられている。さらに、上面部14Aの先端側には、ホースカバー14Hの前側に位置して取付台座14Jが設けられ(図4参照)、該取付台座14Jは、後述の防護部材30を取付けるものである。
【0036】
そして、第2ブーム14は、基端側の取付ボス14Eを第1ブーム13の各ブラケット13A,13B間に配置し、この状態で該各ブラケット13A,13B、取付ボス14Eに亘って縦ピン15を挿通させる。これにより、第2ブーム14は、第1ブーム13に対し縦ピン15を中心にして左,右方向(水平方向)に揺動可能に取付けられている。
【0037】
16は第2ブーム14の先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられた第3ブームである。この第3ブーム16は、例えば第1ブーム13とほぼ同じ長さ寸法をもった角筒状の中空構造体として形成され、これにより、第3ブーム16が長い分だけ一般的なオフセットブーム式のフロント装置よりも深い穴や溝を掘削することができる。
【0038】
即ち、第3ブーム16は、図3ないし図5に示すように、例えば上面部16A、下面部16B、左側面部16Cおよび右側面部16Dから略角筒状に形成されている。また、第3ブーム16の基端側には、図4に示すように上,下のブラケット16E,16Fが設けられ、先端側には、後述のアーム20を俯仰動可能に取付けるためのアーム取付部16Gが設けられている。また、第3ブーム16の左側面部16Cには、2枚のリンク取付板16Hが左側に突設されている。
【0039】
一方、左,右の側面部16C,16Dの上部(基端部)は、上側に向け略三角形状に突出し、その上部は、後述するアームシリンダ23のチューブ23Aを回動可能に取付けるためのシリンダ取付部16Jとなっている。ここで、第3ブーム16には、その上面部16A側にアームシリンダ23が配置され、このアームシリンダ23は、アーム20を所望の角度範囲で俯仰動できるようなストロークをもって形成されている。このために、シリンダ取付部16Jは、長尺なアームシリンダ23を上面部16A側に配置したときに、チューブ23Aのボトム側23A1を取付けられるように、第2ブーム14の上面部14Aよりも高さ寸法Hだけ上方に突出した位置に設けられている(図2参照)。また、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jは、アームシリンダ23のチューブ23Aのボトム側23A1と共に連結部を構成している。
【0040】
そして、第3ブーム16は、各ブラケット16E,16Fを第2ブーム14の取付ボス14Fの位置に配置し、この状態で各ブラケット16E,16F、取付ボス14Fに亘って縦ピン17を挿通させる。これにより、縦ピン17およびその周囲は、第2ブーム14に対し第3ブーム16を縦ピン17を揺動中心として左,右方向(水平方向)に揺動可能に支持する連結部を構成している。
【0041】
18は左側に位置して第1ブーム13のリンク取付板13D,13Eと第2ブーム14のオフセットシリンダ用ブラケット14Gとの間に設けられたオフセットシリンダで、該オフセットシリンダ18は、第2ブーム14を左,右方向に揺動させるものである。また、19は第1ブーム13のリンク取付板13C,13Dと第3ブーム16のリンク取付板16Hとの間に設けられたリンクロッドで、該リンクロッド19は、第1ブーム13に対して第3ブーム16を平行に移動させるための平行リンクを構成している。
【0042】
20は第3ブーム16に取付けられたアームで、該アーム20は、全体として角筒状をなす中空構造体として形成されている。そして、アーム20の基端側は、第3ブーム16のアーム取付部16Gに上,下方向に俯仰動可能にピン結合され、アーム20の先端側には、バケット21が回動可能にピン結合されている。
【0043】
また、アーム20の基端側には、アームシリンダ23のロッド23Bが取付けられるアームシリンダ用ブラケット20Aと、バケットシリンダ24のチューブ24Aのボトム側24A1が取付けられるバケットシリンダ用ブラケット20Bとが一体的に設けられている。
【0044】
22は旋回フレーム4と第1ブーム13との間に設けられたブームシリンダで、このブームシリンダ22は、第1ブーム13を第2ブーム14、第3ブーム16と一緒に上,下方向ないし前,後方向に俯仰動させるものである。また、ブームシリンダ22は、ピストン(図示せず)等を内蔵すると共に、そのボトム側22A1が閉塞しロッド側22A2が開口したチューブ22Aと、前記ピストンに連結された状態で該チューブ22Aのロッド側22A2から伸縮自在に突出したロッド22Bとにより構成されている。そして、ブームシリンダ22は、チューブ22Aのボトム側22A1が旋回フレーム4に回動可能に取付けられ、ロッド22Bの突出端が第1ブーム13のブームシリンダ用ブラケット13Fに回動可能に取付けられている。
【0045】
23は第3ブーム16とアーム20との間に設けられたアームシリンダである。このアームシリンダ23は、ボトム側23A1が閉塞しロッド側23A2が開口したチューブ23Aと、該チューブ23Aのロッド側23A2から伸縮自在に突出したロッド23Bとにより構成されている。そして、アームシリンダ23は、チューブ23Aのボトム側23A1が第3ブーム16のシリンダ取付部16Jに上,下方向に回動可能に取付けられている。一方、ロッド23Bの突出端はアーム20のアームシリンダ用ブラケット20Aに取付けられている。ここで、アームシリンダ23のチューブ23Aのボトム側23A1は、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jと共に連結部を構成している。
【0046】
24はアーム20のバケットシリンダ用ブラケット20Bとバケット21との間に設けられたバケットシリンダである。このバケットシリンダ24は、ボトム側24A1が閉塞しロッド側24A2が開口したチューブ24Aと、該チューブ24Aのロッド側24A2から伸縮自在に突出したロッド24Bとにより大略構成されている。そして、バケットシリンダ24は、アーム20に対しバケット21を回動させるものである。
【0047】
25はリンクロッド19上に設けられた逆樋状のホースカバーで、該ホースカバー25は、後述のアームシリンダ用管路26とバケットシリンダ用管路27とを第2ブーム14の左側で覆うものである。
【0048】
26はアームシリンダ23に圧油を給排するためにオフセットブーム12に沿って設けられた2本のアームシリンダ用管路である(図3、図4参照)。この2本のアームシリンダ用管路26は、例えば第1ブーム13の右側面側から上面を越えて左側面側に延びた金属パイプからなる油圧配管26Aと、該油圧配管26Aの先端部に接続され、リンクロッド19上のホースカバー25内、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部の左側方を通ってアームシリンダ23のチューブ23Aに接続された可撓性材料からなる油圧ホース26Bとにより構成されている。
【0049】
また、27はバケットシリンダ24に圧油を給排するためにオフセットブーム12に沿って設けられた2本のバケットシリンダ用管路である。これら2本のバケットシリンダ用管路27は、前述したアームシリンダ用管路26とほぼ同様に、例えば第1ブーム13側の金属パイプからなる油圧配管27Aと、該油圧配管27Aの先端部に接続され、ホースカバー25内、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部の左側方を通ってバケットシリンダ24のチューブ24Aに接続された可撓性材料からなる油圧ホース27Bとにより構成されている。一方、28はオフセットシリンダ18に圧油を給排するために第1ブーム13に沿って設けられた2本のオフセットシリンダ用管路を示している。
【0050】
さらに、29はオフセットブーム12とアーム20とに亘って設けられた2本の補助管路である。こられ2本の補助管路29は、バケット21に代えてブレーカ、グラップル等の油圧アクチュエータを備えた作業具(いずれも図示せず)を取付けたときに必要になる補助(予備)の補助油圧ホースを構成するものである。また、各補助管路29は、例えば第1ブーム13の上面に沿って延びた後に、第2ブーム14の上面部14Aに設けたホースカバー14Hと後述の防護部材30を通り、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jの位置で左,右方向に分かれ、該第3ブーム16の側面を通ってアーム20の側面に固定されている。
【0051】
そして、2本の補助管路29は、第1ブーム13の上面と第3ブーム16の側面とアーム20の側面の位置で固定的な金属パイプからなる油圧配管29Aとなっている。一方、油圧配管29A以外の可動部位、即ち、第2ブーム14と第3ブーム16との連結部の間、第3ブーム16とアーム20との連結部の間は、各油圧配管29Aを繋ぐ可撓性材料からなる油圧ホース29Bとなっている。
【0052】
ここで、第2ブーム14の上面部14Aと第3ブーム16との間に配設された油圧ホース29Bは、上側に突出したシリンダ取付部16Jの後側まで延びているから、第2ブーム14よりも高い位置に配置されている。従って、シリンダ取付部16Jに向けて後側から接近する樹木の枝や建物の梁等が接触する虞がある。しかし、第1の実施の形態では、第2ブーム14と第3ブーム16との連結部の間となる第2ブーム14のホースカバー14Hと第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとの間の油圧ホース29Bは、防護部材30の各枠体31,32間に収めることができるから、この防護部材30によって周囲の障害物から保護することができる。
【0053】
次に、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jを後側から覆うようにオフセットブーム12に設けられた第1の実施の形態による防護部材30について述べる。
【0054】
30は第2ブーム14の上側に位置して第3ブーム16に取付けられた防護部材を示している。この防護部材30は、図4、図5等に示すように、第2ブーム14の上面部14Aの先端側位置から第3ブーム16のシリンダ取付部16Jの上端部に向けて延び、該シリンダ取付部16Jを後側から覆うものである。これにより、防護部材30は、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部となる縦ピン17の周囲、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとアームシリンダ23のチューブ23Aのボトム側23A1との連結部および油圧ホース26B,27B,29Bを周囲の障害物から防護すると共に、シリンダ取付部16Jに障害物が引っ掛からないようにするものである。
【0055】
まず、防護部材30は、例えば金属材料、硬質樹脂材料等からなる中実な棒状部材または中空なパイプ部材(以下、まとめて棒状部材という)を用い所定の形状に折曲げたものに、所定の長さ寸法に切出した棒状部材を固着することにより、籠状体として形成されている。即ち、防護部材30は、図6ないし図8に示すように、周囲を構成する略d字形状の左枠体31と、右側の周囲を構成し、該左枠体31とほぼ同一形状に形成された右枠体32と、前記各枠体31,32の前端部となる上部を連結した連結枠体33と、前記各枠体31,32間を遮るように設けられた複数本の横棒部材34と、防護部材30を第2ブーム14に取付ける取付板35とにより構成されている。
【0056】
31は防護部材30の左側面の枠組みを形成する左枠体で、該左枠体31は、上,下方向にほぼ直線状に延びた縦枠部31Aと、該縦枠部31Aの下部から後向きに延びた横枠部31Bと、該横枠部31Bの後部から第3ブーム16の上部に向けて斜め上側に延びた円弧状枠部31Cとによりほぼd字形状に形成されている。
【0057】
ここで、円弧状枠部31Cは、第2ブーム14の上面部14Aと第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとの間に配置され、後側から縦枠部31Aの上端を通って前側に位置する第3ブーム16のシリンダ取付部16Jの上側にかけて凸湾曲状に形成されている。これにより、円弧状枠部31Cは、電線、樹木の枝等の障害物が後側から当接してきたときに、図4中の矢示のように、この障害物を第3ブーム16のシリンダ取付部16Jを越える高さ位置までスムーズに滑らせることができる。
【0058】
しかも、円弧状枠部31Cは、図2に示す如く、第2ブーム14の上面部14Aと第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとの間で扇状をなしているから、第3ブーム16の上側部分との間で滑らかに連続する半円形状を形成することができる。これにより、円弧状枠部31Cは、第3ブーム16の上部から第2ブーム14の上面部14Aまで円滑につないで一体感をもたせることができる。
【0059】
また、左枠体31は、防護部材30の前端部となる後述の連結枠体33を第3ブーム16のシリンダ取付部16Jの最上部よりも上方に配置するために、円弧状枠部31Cの上部(前部)をシリンダ取付部16Jよりも高い位置まで延ばしている。
【0060】
一方、32は防護部材30の右側面の枠組みを形成する右枠体で、該右枠体32は、左枠体31とほぼ同様に、縦枠部32A、横枠部33Bおよび円弧状枠部32Cによりほぼd字形状に形成され、円弧状枠部32Cは凸湾曲状に形成されている。
【0061】
そして、左枠体31と右枠体32とは、左,右方向で所定の幅寸法、例えば第2ブーム14の幅寸法よりも小さく、2本の補助管路29の油圧ホース29Bが左,右方向の内側に収まるような幅寸法(離間寸法)で配置されている。この配置状態で円弧状枠部31C,32Cの前端部が連結枠体33によって一体的に連結されている。
【0062】
33は防護部材30の前端部を形成する連結枠体で、該連結枠体33は、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jの最上部よりも上方に配置されている。これにより、連結枠体33は、各枠体31,32の円弧状枠部31C,32C上を滑る電線、樹木の枝等の障害物を、上側に突出したシリンダ取付部16Jを確実に越えさせることができる。
【0063】
また、連結枠体33は、第2ブーム14と第3ブーム16とを連結する縦ピン17の上方に配置されている。この上で、連結枠体33は、左枠体31の円弧状枠部31C前端と右枠体32の円弧状枠部32C前端とを繋ぐ半円形状の枠体として形成されている。これにより、半円形状の連結枠体33は、図5に示す如く、第2ブーム14に対して第3ブーム16を揺動させた場合でも、該第3ブーム16から左,右方向に突出しないように、第3ブーム16の幅寸法内にほぼ収まる形状となっている。ここで、第3ブーム16の幅寸法内に連結枠体33が収まる形状とは、第2ブーム14に対して第3ブーム16を揺動させたときに、連結枠体33が第3ブーム16の左,右方向の幅寸法内で移動することができる形状、または第2ブーム14に対して第3ブーム16を揺動させたときに、連結枠体33が第3ブーム16から僅かだけ突出するものの、第3ブーム16の幅寸法内にほぼ収まる形状をいうものである。
【0064】
34は左枠体31と右枠体32との間を遮るように設けられた複数本の横棒部材で、該各横棒部材34は、左,右方向にほぼ直線状に延び、前,後方向ないし上,下方向に所定の間隔寸法をもって配置され、先端が縦枠部31A,32A、円弧状枠部31C,32Cに溶接等の手段を用いて固着されている。
【0065】
なお、各横棒部材34を配置する場合の所定の間隔寸法とは、例えば第3ブーム16のシリンダ取付部16J、アームシリンダ23のチューブ23A、補助管路29の油圧ホース29Bを傷付ける虞がある大きさの障害物が衝突しても大きく損傷せず、これらに当接するのを防ぐことができ、かつ重量が増大しないように最小本数としたときの間隔寸法である。
【0066】
35は防護部材30を第2ブーム14に取付ける取付板で、該取付板35は、両端が各枠体31,32の横枠部31B,32Bに固着されている。また、取付板35には、1個または複数個、例えば4個のボルト挿通孔35Aが形成されている。そして、取付板35は、各ボルト挿通孔35Aに挿通したボルト36を第2ブーム14の上面部14Aに設けた取付台座14Jに螺着することにより、第2ブーム14に取付け、取外し可能に取付けることができる。
【0067】
第1の実施の形態によるオフセットブーム式のフロント装置11を備えた油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0068】
まず、油圧ショベル1により側溝の掘削作業等を行うときには、オフセットシリンダ18を作動させることにより、例えば図5に示すように、フロント装置11の第2ブーム14、第3ブーム16、アーム20等を車体の右側(または左側)に平行移動(オフセット移動)する。そして、掘削位置が決まったら、ブームシリンダ22、アームシリンダ23、バケットシリンダ24等を伸縮させることにより、オフセットブーム12、アーム20、バケット21等を作動させ、土砂等を掘削することができる。
【0069】
ここで、アームシリンダ23との連結部となる第3ブーム16のシリンダ取付部16Jは、第2ブーム14の上面部14Aよりも高さ寸法Hだけ上方に突出し、特に後側部分はほぼ垂直に立上がっている。このために、作業時や輸送時にシリンダ取付部16J、アームシリンダ23のチューブ23Aのボトム側23A1に周囲の電線、樹木の枝等の障害物が衝突し、これらが損傷する虞がある。また、油圧ショベル1を後側に走行させたときには、シリンダ取付部16Jに電線や枝が引っ掛かったり、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部の上側を通る補助管路29の油圧ホース29Bに障害物が衝突して損傷したりする。一方、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部の左側を通るアームシリンダ用管路26の油圧ホース26B、バケットシリンダ用管路27の油圧ホース27Bにも、障害物が衝突することがある。そして、これらの作業場の障害を気にし過ぎると、作業に集中することができなくなってしまう。
【0070】
然るに、第1の実施の形態によれば、第2ブーム14には、該第2ブーム14の上面部14A先端側と第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとの間を延びるように防護部材30を設ける構成としている。従って、土砂の掘削作業時や作業現場への輸送時に、電線、樹木の枝等の障害物がシリンダ取付部16J、アームシリンダ23のチューブ23A、油圧ホース26B,27B,29B等に向けて接近した場合には、第2ブーム14に設けた防護部材30によって保護することができ、障害物は各枠体31,32の円弧状枠部31C,32Cに沿わせてシリンダ取付部16Jの上部を越える位置まで案内してそらすことができる。
【0071】
この結果、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部となる縦ピン17の周囲、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとアームシリンダ23のチューブ23Aのボトム側23A1との連結部および油圧ホース26B,27B,29Bに対し、周囲の障害物が衝突したり、引っ掛かったりするのを確実に防止できるから、これらの部位、部品等を保護することができ、寿命を延ばして信頼性を向上することができる。
【0072】
また、作業時に周囲の電線、樹木の枝等が第3ブーム16のシリンダ取付部16J、アームシリンダ23のチューブ23A等に衝突したり、引っ掛かるのを防止することにより、作業者は作業に集中することができ、作業効率を向上することができる。
【0073】
特に、防護部材30の前端部となる連結枠体33は、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jの最上部よりも上方に配置しているから、防護部材30は、後側から接近する障害物を、シリンダ取付部16Jを確実に越えさせることができ、障害物をそらしてこれらの寿命を延ばすことができる。
【0074】
また、連結枠体33は、第3ブーム16の左,右方向の幅寸法内に収まる形状、具体的には半円形状に形成している。従って、第2ブーム14に対して第3ブーム16を揺動させた場合、防護部材30の前端部となる連結枠体33が第3ブーム16から突出するのを防止することができる。これにより、側溝掘り作業等を行っているときに、連結枠体33が障害物に干渉して損傷するのを防止でき、信頼性や作業性を向上することができる。
【0075】
また、連結枠体33は、第2ブーム14と第3ブーム16との揺動中心となる縦ピン17の上方に延在しているから、第2ブーム14と第3ブーム16とが揺動した場合でも、はみ出すことなく第3ブーム16のシリンダ取付部16Jを常に防護することができる。
【0076】
一方、防護部材30の各枠体31,32には、第2ブーム14の上面部14Aと第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとの間に後側から上側にかけて凸湾曲状の円弧状枠部31C,32Cを設けている。これにより、各円弧状枠部31C,32Cは、電線、樹木の枝等の障害物をスムーズに滑らせることができる。しかも、凸湾曲状に形成することにより各円弧状枠部31C,32Cは、第3ブーム16の上部から第2ブーム14の上面部14Aまで円滑につないで一体感をもたせることができ、外観上の見栄えを良好にすることができる。
【0077】
また、防護部材30は、第2ブーム14の上面部14A上に沿って設けられた補助管路29の油圧ホース29Bを、その左,右方向の内側に収めることができる。従って、防護部材30は、周囲の障害物から油圧ホース29Bを防護することができ、寿命を延ばすことができる。
【0078】
さらに、防護部材30は、例えば金属材料、硬質樹脂材料等からなる中実な棒状部材または中空なパイプ部材を用いて籠状体として形成しているから、キャブ5に搭乗したオペレータは、籠状の防護部材30を透してその先を目視することができる。これにより、作業時の死角をなくして作業性を向上することができる。また、防護部材30は、軽量で、かつ高い強度をもって形成することができる。また、修理作業、交換作業を容易に行うことができる。
【0079】
次に、図9は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、防護部材の左,右の側面と上面に縦棒部材を設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0080】
図9において、41は第2の実施の形態による防護部材、42は左,右の枠体31,32に複数本、例えば2本ずつ設けられた縦棒部材をそれぞれ示している。この縦棒部材42は、上,下方向にほぼ直線状に延び、前,後方向に所定の間隔寸法をもって配置され、先端が横枠部31B,32B、円弧状枠部31C,32Cに溶接等の手段を用いて固着されている。
【0081】
また、43は左,右の枠体31,32間に設けられた複数本、例えば2本の円弧状棒部材で、該各円弧状棒部材43は、4本の横棒部材34と一緒に枠体31,32間の上面ないし後面を格子状に遮るものである。また、各円弧状棒部材43は、各枠体31,32の円弧状枠部31C,32Cとほぼ同様の凸円弧状をもって湾曲している。
【0082】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、防護部材41の左,右の側面を縦棒部材42で覆うことができ、上面ないし後面を円弧状棒部材43で覆うことができるから、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部、第3ブーム16のシリンダ取付部16Jとアームシリンダ23のチューブ23Aの連結部、油圧ホース26B,27B,29B等をより一層強固に防護することができる。
【0083】
次に、図10は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、防護部材の上面ないし後面に傾斜棒部材を設ける構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0084】
図10において、51は第3の実施の形態による防護部材、52は左,右の枠体31,32間の上面ないし後面に設けられた複数本、例えば3本の傾斜棒部材をそれぞれ示している。この3本の傾斜棒部材52は、隣合う横棒部材34の間に対角線状に固着されている。
【0085】
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態では、防護部材51の上面ないし後面に、各横棒部材34間の対角線状に斜めに延びる傾斜棒部材52を設けているから、各横棒部材34間に三角形状の構造体を形成することができる。これにより、防護部材51の強度をより一層高めることができる。
【0086】
なお、第1の実施の形態では、防護部材30の連結枠体33を半円形状に形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、図11に示す第1の変形例による防護部材61のように、連結枠体62を、左,右方向の中間に位置する直線部62Aと、該直線部62Aの両端に設けた円弧部62Bとにより構成してもよい。
【0087】
また、図12に示す第2の変形例による防護部材71のように、連結枠体72を、左,右方向の中間に位置する直線部72Aと、該直線部72Aの両端に設けた傾斜部72Bとにより構成してもよい。
【0088】
そして、いずれの変形例においても、前述した各実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、これらの変形例は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0089】
また、第1の実施の形態では、補助管路29の油圧ホース29Bを、第2ブーム14の上面部14Aに配置し、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部の上側を通す構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば補助管路29の油圧ホース29Bは、シリンダ用管路26,27の油圧ホース26B,27Bのように、第2ブーム14と第3ブーム16の連結部の左側を通す構成としてもよい。また、シリンダ用管路26,27の油圧ホース26B,27Bを第2ブーム14の上面部14Aに配置する構成としてもよい。これらの構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0090】
さらに、各実施の形態では、建設機械として、オフセットブーム式のフロント装置11を備えたクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、タイヤによって走行するホイール式の油圧ショベル等の他の建設機械に適用する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
11 オフセットブーム式のフロント装置
12 オフセットブーム
13 第1ブーム
14 第2ブーム
14A 上面部
15,17 縦ピン(連結部)
16 第3ブーム
16J シリンダ取付部(連結部)
18 オフセットシリンダ
20 アーム
22 ブームシリンダ
23 アームシリンダ
23A チューブ
23A1 ボトム側(連結部)
23B ロッド
24 バケットシリンダ
26 アームシリンダ用管路
26A,27A,29A 油圧配管
26B,27B,29B 油圧ホース
27 バケットシリンダ用管路
29 補助管路
30,41,51,61,71 防護部材
31 左枠体
32 右枠体
33,62,72 連結枠体
34 横棒部材
35 取付板
42 縦棒部材
43 円弧状棒部材
52 傾斜棒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、基端側が該車体に俯仰動可能に取付けられた第1ブームと、基端側が該第1ブームの先端側に縦ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられた第2ブームと、該第2ブームの先端側に縦ピンを介して左,右方向に揺動可能に取付けられ該第2ブームよりも上方に突出した位置にシリンダ取付部を有する第3ブームと、基端側が該第3ブームに俯仰動可能に取付けられたアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられた作業具と、前記第1ブームを俯仰動させるために基端側が前記車体に取付けられ先端側が前記第1ブームに取付けられたブームシリンダと、前記アームを俯仰動させるために前記第3ブームのシリンダ取付部とアームとの間に取付けられたアームシリンダと、前記作業具を回動させるために前記アームと作業具との間に取付けられた作業具シリンダとを備えてなる建設機械において、
前記第2ブームには、該第2ブームの先端側と前記第3ブームのシリンダ取付部との間に位置し、前記第2ブームと第3ブームの連結部および前記第3ブームのシリンダ取付部とアームシリンダのボトム側との連結部を防護する防護部材を設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記防護部材は、前記第3ブーム側となる前端部を前記第3ブームのシリンダ取付部の最上部よりも上方に配置すると共に、この前端部は、前記第2ブームに対して前記第3ブームが揺動したときに該第3ブームの左,右方向の幅寸法内に収まる形状としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記防護部材は、前記第2ブームの上面部と前記第3ブームのシリンダ取付部との間を後側から上側にかけて凸湾曲状に形成する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記防護部材の前端部は、前記第2ブームと前記第3ブームとを連結する前記縦ピンの上方に延在させる構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記アームシリンダと作業具シリンダに圧油を給排するために前記第2ブームと第3ブームの連結部を通って設けられた可撓性の油圧ホースを有すると共に、前記作業具が油圧アクチュエータ付き作業具の場合に、該油圧アクチュエータに圧油を給排する補助油圧ホースを前記第2ブームと第3ブームとの連結部の間に前記第2ブームに沿わせて設け、
前記防護部材は前記油圧ホースと前記補助油圧ホースを保護するものである請求項1に記載の建設機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate