説明

建設現場用階段

本発明は、高層ビルを建設している間の建設現場において使用される移動可能なモジュール式の階段ユニットに関する。階段ユニットは、蹴上げとは別個の多数の階段用踏面を有し、上端と下端とを含む階段通行部と、階段通行部の上端、または、階段通行部のうち階段通行部の上端から一定距離の位置に連結された上側の踊り場と、階段通行部の下端、または、階段通行部のうち階段通行部の下端から一定距離の位置に連結された下側の踊り場とを備えている。各踊り場は、階段通行部の幅を超えて横方向に延びる部分を有し、これによって、階段ユニットがビルの外面に隣接して配置されたとき、踊り場がそれぞれビルの上側の階および下側の階の高さで内側へと延びるよう設計されている。また、使用状態において踊り場を上側および下側の階の床に取り外し可能に固定するための固定手段が設けられ、これによって、2つの階の高さの間に延びる階段通行部において、二重片持取付構造を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は階段に関し、とりわけ、ビルを建設している間の建設現場における一時的な据付および使用に適した階段に関する。
【背景技術】
【0002】
一時的な階段は、しばしば、高層ビルを建設している間の建設現場において、建設作業員がビルのある1つの階からその他の階へと移動するために必要とされる。
【0003】
常置の階段が、しばしば、各階の床の厚板と同時に形成される。しかし、作業員が安全に使用することができる程度の質素な階段(例えばコンクリート鋳造による階段)を作ることは、現場における余分な建造、すなわち、手すり、滑り止め用の階段踏面の表面などの安全用部材を取り付けることを必要とする。さらに重要なこととして、常置の階段における階段開口部は、しばしばビルの中またはビルの端に配置されており、このため、ビルの建設作業が行われている間、作業員がビルのうち常置の階段が配置されている場所と異なる場所において作業を行っている場合、階段まで行くのに余分な移動時間が必要となる。ビルの階層間で材料を搬送する必要がある場合、離れた場所からのいくつかの移動が必要とされるので、このような不便さがさらに悪化される。
【0004】
工程を高速化し、ビル作業員により効率的な環境を提供するため、一時的な階段を、建設中のビルの数多くの場所に建てることができる。このような一時的な階段は、建設が完了したとき、または常置の階段が完成し安全に利用可能となったときに取り除かれる。
【0005】
高層ビルにおいて、一時的な階段は、典型的には、ビルの外面に設けられた枠組式構造により提供される。例えば、米国特許3684057号明細書は、移動可能な階段を開示しており、この移動可能な階段は、張出し材の支持部に取り外し可能に設けられた踏み段はしご状の部分を備え、この張出し材の支持部もまた、足場に直立するよう設けられた突っ張りに取り外し可能に固定されている。安全用のサイドガイドレールが支持柱に蝶番で取り付けられており、この支持柱もまた、踏み段はしご側のフレーム部材に回動可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許3684057号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ビル分野において、足場に設けられた移動可能な階段組立体がますます利用されてきているが、そのような足場階段構造の不利な点は、外部の足場の存在を必要とするという点、および、多数の追加構造部品を、特にモジュール化されたステップラダー部分(step−ladder sections)を足場に固定するために組み入れなければならないという点である。
【0008】
そのようなモジュール式または移動可能なタイプの階段におけるその他の課題は、それらの階段が、階高の調整性を欠いているという点である。すなわち、それらの階段は、下の階における床と、それに隣接する上の階との間の個別の階高に合わせて設計されている。建築法規が、階段通行部、すなわち階段のうち多数の個々のステップ(それぞれ鉛直方向への蹴上げと水平方向へのラン(RUN)とにより画定されている)からなる部分における各ステップに、最小寸法に関する安全基準を要求する場合、階段通行部の水平面に対する傾斜角度は、たいてい個別的な値に制限される。例えば、各ステップにおける蹴上げと踏面は、蹴上げが215mmを超えないよう決められているかもしれない。一方、踏面は、215mmより小さい範囲を有することが禁止されているかもしれない。業界の慣習として、階段の通行部を作るうえで、階段の蹴上げと踏面との比の公式が用いられている。
【0009】
建設業および運送業において、高さが調整可能な、および、それ自体で高さが調整可能な階段構造を利用することが知られている。この場合、多数の踏面の板が平行に、段階的な関係かつ移動可能に、対向する一対の長手の階段梁に固定されている。この階段梁は、その端部を横切る連結棒を有している。階段梁と連結棒は、階段の踏面を支持する平行四辺形のフレーム構造を提供するよう回動可能に結合されている。前述のとおり、階段の踏面は長手の階段梁の間に延びており、従って、所望の高さに広がることが要求される階段梁が所望の傾斜またはピッチ角度に適合するよう、順応性のある組立体として階段を操作することができる。この場合、踏面はおおむね水平のままに保たれる。しかし、蹴上げは傾斜角度に応じて変更される。そのような調整可能な階段の例として、米国特許3626438号明細書、米国特許3593821号明細書、および米国特許4768617号明細書を挙げることができる。これらの公報はすべて、高さが調整可能な階段構造を記載しているが、本出願人の知る限りにおいて、これらの階段構造のいずれもが、高層ビルの階層間における一時的な階段ユニットとして利用されていない。
【0010】
本発明は、建築中の高層ビルの建築現場において使用するのに適した移動可能な階段ユニットを提供することを目的とする。この階段ユニットは、組立状態で配置されるとともに、床から天井への高さが様々であるビルにおいて使用するために調整される。好ましくはこのような階段ユニットは、モジュール式に設計される。またこのような階段ユニットは、締結または固定構造を有しており、これによって、階段ユニットを一時的にビルの所定の場所に固定し、そして異なる場所に配置するために容易に取り外すことができる。
【0011】
また、一時的な階段の構造は、ビルの構成要素、例えば床板や壁などに構造上の損傷を与えることなく取り外し可能にビルに固定されるようなものであることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による発明の一形態によると、高層ビルを建設している間の建設現場において使用される移動可能なモジュール式の階段ユニットは、
蹴上げとは別個の多数の階段用踏面を有し、上端と下端とを含む階段通行部と、
階段通行部の上端、または、階段通行部のうち階段通行部の上端から一定距離の位置に連結された上側の踊り場と、
階段通行部の下端、または、階段通行部のうち階段通行部の下端から一定距離の位置に連結された下側の踊り場と、を備え、
各踊り場は、階段通行部の幅を超えて横方向に延びる部分を有し、これによって、階段ユニットがビルの外面に隣接して配置されたとき、踊り場がそれぞれビルの上側の階および下側の階の高さで内側へと延びるよう設計され、
使用状態において踊り場を上側および下側の階の床に取り外し可能に固定するための固定手段が設けられ、これによって、2つの階の高さの間に延びる階段通行部において、二重片持取付構造を提供する。
【0013】
予め組み立てられたユニットとしてビルの外面に隣接する外側の場所に階段を配置することができる場合、本発明によるモジュール式の階段は、組立時間に関して十分なコスト削減を達成する。この場合、適切に踊り場を上側の階および下側の階に取り付けることにより、階段モジュールを所定の場所に固定することができる。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの踊り場は、回動可能に階段通行部に取り付けられており、これによって、使用中に、階段通行部の傾斜を変えることが可能となる。さらに好ましくは、各踊り場は階段通行部に蝶番構造により取り付けられており、これによって、階段モジュールが使用されていないときの搬送が容易となるように、踊り場を通行部の上に折りたたむことが可能となる。
【0015】
階段通行部の上端および下端に関節式にまたは蝶番構造により取り付けられた踊り場を含む階段の形態により、同一の階段を、所定の狭い範囲内で異なる階高(すなわち、ビルの隣接する階の間における床から床までの距離)を有するビルに配置することができる。例えば、いくつかの高層ビルは、床から天井までの高さが異なる階を含んでいる。例えば、下層階における床から天井までの高さは2700mmであり、一方、上層階は、床から天井までの高さがそれよりも高く、例えば2900mmかもしれない。
【0016】
変形例において、少なくとも1つの踊り場は、階段通行部の長手方向の軸に沿って線形運動できるよう階段通行部に取り付けられている。さらに、踊り場を階段通行部の所望の位置に取り付けるための取付手段が設けられており、これによって、階段通行部における上側の踊り場と下側の踊り場の間の距離を変えることができ、そして、この距離を所望の位置で固定することができる。
【0017】
とりわけ、下側の踊り場は、階段通行部の長手方向の軸に対する傾斜が所定の角度に保たれるよう配置されている。このため、階段通行部が踊り場に対して相対的に動かされるとき、各ステップにおける踏面と蹴上げがそれぞれ水平および鉛直に保つことができる。
【0018】
好ましく、かつ有利なその他の形態において、階段通行部は、階段通行部の長手方向の軸に対する傾斜を選択的に変えることができる数多くの踏面を有するよう設計されている。また階段通行部は、階段通行部がビルにおいて隣接する階の間に延びるときの階段通行部の傾斜角度に関係なく、踏面が概ね水平のままであるよう固定されている。ステップの踏面の傾斜の変更は、個別的な踏面を互いに連接する結合機構を設けることによって優先的に達成される。この場合、階段通行部の傾斜角度を変更すると、踏面が自動的に水平姿勢に調整される。本発明は、前述のCornell、Lister、Masonその他の米国特許に示されているような周知の調整可能な階段通行部の構造原理を使用することを意図している。
【0019】
好ましくは、固定手段は、高さが調整可能な支柱により提供される。この支柱は、踊り場がそれぞれ取り付けられた階において支柱が床と天井の間に延びるときに、圧縮による負荷をかけるよう設けられている。従来の取り付けボルト、ホックおよびループではなく圧縮支柱を用いる場合、モジュール階段ユニットの踊り場のための固定場所またはアタッチメントを提供するためにビル構造の中に穴を掘る必要がないので、ビル構造に損傷を与えることを避けることができる。高さが調整可能な支柱は、建設業界において、ビルの階の厚板を鋳造する前後における固定枠組工事のために知られている。しかしながら、ボルトなどの従来の締結具もまた使用可能であり、モジュール式の階段を配置する際、例えば一時的に踊り場を固定するために使用される。
【0020】
本発明を説明する形態を、付随する図を参照して示す。本発明のさらなる特徴および利点は、図とともに示される付随の記述から明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一形態において、ビルの2つの階の間でビルの外面に対して設置されたモジュール式の階段を示す側面図。
【図2】図2は、図1に示す階段を矢印II方向に沿ってみた場合を示す平面図。
【図3】図3は、図1に示す階段を矢印IIIの方向に沿ってみた場合を示す端面図。
【図4】図4は、搬送または配置されていない姿勢にある図1の階段を示す側面図。
【図5】図5は、本発明のその他の形態において、高さが調整可能なモジュール式の階段を示す部分的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、ビルの外面であって、上階12と下階14の間に配置されたモジュール式の階段ユニット10を示す図である。モジュール式の階段ユニット10は、上側の踊り場16と、下側の踊り場18と、踊り場16、18の間に延び、踊り場16、18に結合された階段通行部20と、各踊り場16、18にそれぞれ4つ設けられた取付部材22a〜22dとからなる。これらについて、以下に詳述する。
【0023】
階段通行部20は、本質的に、板形状を有する多数の個別的な踏面24を有している。これら多数の踏面24の間には、任意の蹴上げ板26が延びている。踏面24の幅方向の両端部には、対向する格子パネル(図示せず)が取り付けられ、踏面24は、周知の方法、例えば米国特許3788028号明細書に記載されている方法により格子パネルから支持されている。また、米国特許3593821号明細書または米国特許4768617号明細書に記載されているように、踏面と蹴上げが調整可能な階段通行部組立体が使用されていてもよい。そのような調整可能なタイプの階段通行部組立体を本発明の範囲に組み込む上で必要となる所要の変形を施すことは、当然に認められる。
【0024】
また図1において、符号28により安全柵の構造が示されている。この安全柵28は、階段通行部20において幅方向の両端に取り付けられており、これによって、モジュール式階段ユニットの使用者にさらなる安全性を提供することができる。この安全柵を、従来の手すりによって置き換えることもできる。
【0025】
階段通行部20は、移動可能な階段の製造において一般的に使用されている材料および部品から製造され、組み立てられている。好ましくは、それらの部品は薄板および形鋼から構成され、これによって、階段10は、風雨に耐えるとともに、ビルの建設中に生じるかなりの負荷に耐えるのに十分な強度を有することができる。
【0026】
図2に詳しく示されているように、本質的に矩形の鋼板からなる2つの踊り場16、18はそれぞれ、符号16a、18aにより示されている部分を有する。部分16a、18aは、階段通行部20の幅を超えて幅方向に延びることにより一側へ突き出ている。すなわち踊り場16、18は、階段10をビルに固定するための張り出し材部分を有している。モジュール式ユニット10を配置する際、図1および2に示されているように、踊り場の部分16a、18aは、各階12、14の床12a、14aとおおむね同一水平面上においてビルの中まで延びている。上側の踊り場16および下側の踊り場18はそれぞれ、階段通行部20の上端および下端に対して関節式に(例えば車軸ヒンジをもちいて)固定されている。これによって、下側および上側の踊り場18、16の水平位置をそれぞれ維持しながら、モジュール式ユニット全体を、床14aから天井14bまでの高さが様々であるビルの階の間に配置することが可能となる。この場合、天井と床の間の高さに応じて、階段通行部20の傾斜角度(i)を変更可能であることが認められる。
【0027】
モジュール式の階段10全体は、長さ方向に調整可能な合計8個の圧縮支柱22a〜22dによって、2箇所、すなわち上側の床12および下側の床14において片持ち梁のように固定されるよう、取り外し可能に据え付けられている。この圧縮支柱22a〜22dは、例えばねじり支柱であり、一般に建設業界において使用されているタイプのものである。支柱22a〜22cは、本質的に、その下端に板状の土台を有する管状の突っ張りからなり、管状の支柱のうち下端の反対側にある中空の上端には、雌ネジが切られている。この雌ネジが切られた上端には、支柱ヘッダーのうち雄ネジが切られた軸が挿入される。好ましくは、支柱の高さを調整できる(および、支柱に張力をかける/支柱をくさび留めする)機構が、ユニットの上端(ヘッダー)に配置されている。これによって、階段を使用している間、偶発的に支柱の張力がなくなることを防ぐことができる。
【0028】
図1乃至4に示されているように、合計4個の支柱22a〜22dが、踊り場16、18にそれぞれ設けられており、これによって、ビルの階に対して、階段ユニットの下部および上部を安定して取り付けて配置させることができる。この場合、それぞれの支柱は、踊り場のプラットフォーム部分16a、18aの隅角の近傍に配置されている。これによって、階段の荷重、若しくは階段への負荷に起因して踊り場において起こりうるたわみおよび変形を最小化することができる。このような全体的な配置によって、2つの片持ち梁により階段通行部20をビルに据え付けることが達成される。
【0029】
個別的な支柱は、周知の方法、例えばプラットフォームにおいて適切な寸法で形成されたスルーホールに支柱を突き通し、その後、管状の支柱の突っ張りに対するプラットフォーム16、18の相対的な位置を確定することにより固定される。好ましくは、システムを製造している間、支柱は踊り場に溶接されており、これによって、全面的に組み立て式のユニットにおける据付時間を最小化することができる。ビルの階の間にモジュール式の階段ユニット10を締結して据え付ける際に支柱を使用することにより、場所に依存することなくユニット全体の設置を行うことができるということが、直接的に認められる。なぜなら、ビル構造の中に、例えば床の厚板に、固定の据付/固定場所を設けておく必要がないからである。
【0030】
支柱を受け入れ可能な穴を用意することなく、代わりに支柱の土台を踊り場プラットフォーム部分16a、18aの上面に溶接する(または固定する)ことも可能である。4個の支柱22a〜22dすべてのヘッダーは、天井の表面に係合するために延びていてもよく、このように更に延ばすことにより、弾性的に変形可能な鋼鉄のプラットフォーム部分をしっかりと階の床の表面に押圧することができる。このことにより、しっかりした摩擦によりしっかりと固定された、安定した踊り場と階の床の係合が達成される。必要に応じて、摩擦を増加させる表面処理をプラットフォーム16、18の表面に施してもよい。
【0031】
図2および3にも示されているが、図1において最も詳細に示されているように、各踊り場は、ビルの外方を向いている側に、L字状の柵構造30、32を有している。これによって、階段ユニットを使用する者の安全を確保することができる。この場合、柵30、32は、適切な位置にユニットが取り付けられ固定されたビルの階の中に延びている。
【0032】
図4は、搬送姿勢にあるモジュール式の階段を示している。この場合、階段通行部20は、踊り場16、18と平行に水平方向に延びている。これによって、平台トラックによるモジュール式の階段ユニットの搬送を容易化することができる。階段ユニット10がモジュール式、かつ関節式の構造を有することにより、予め組み立てられた形態でユニットを建設現場まで搬送することが可能となる。この場合、ユニットをビルの外面の所定位置まで吊り上げるためにクレーンリフトを用いてもよい。
【0033】
上述のように、1つの好ましい形態として、階段通行部20は高さが調整可能な踏面を有するタイプであってもよく、これによって、同一のモジュール式のユニットを様々な階高の階において使用することができる。しかしながら、階段通行部20の両端に蝶番構造で上側の踊り場16および下側の踊り場18を配置することによっても、(建築耐力の範囲内で、)一定の程度の調整性を、様々な階高の床に提供することができる。この場合、階段通行部が傾斜姿勢のときの傾斜角度(i)を、階段ユニット全体を不安全な状態にすることなく、ある程度変えられることが条件となる。
【0034】
踏面の幅および角度、および踏面間の距離は、好ましくは、関連する建築法規または基準を遵守すべきである。例えば、オーストラリアの基準AS1657−192は、以下のように規定している。すなわち階段は、その幅が600mmより小さくてはいけない。そして、階段の傾斜角度は、26.5度より小さくてはいけない、および、45度より大きくてはいけない。そして、各蹴上げの高さは、150−215mmの間でなければならない。そして、各踏面の長さは215−305mmの間でなければならない。
【0035】
図5は、図1乃至4に示された階段の変形例を示す図である。図5において、図1乃至4に示した形態と同一構成要素には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。上述の形態と同様に、上側の踊り場16は、階段通行部20の上端に蝶番構造で取り付けられており、これによって、プラットフォーム16と、階段通行部20における概念上の長手方向の面(または軸)との間の角度(ii)を変えることが可能となる。しかしながら、上述の形態とは対照的に、下側の踊り場18は、踊り場プラットフォーム18の姿勢がほぼ水平に維持されているときに階段通行部20の長手方向の軸に沿って移動できるよう、階段通行部20に取り付けられている。このために、踊り場プラットフォーム18は、スリーブが形成された支持部32を有している。この場合、階段通行部20の下端はスリーブに受け入れられており、これによって、踊り場プラットフォーム18と階段通行部20とが摺動可能に係合する。このことにより、プラットフォーム構造18全体は、ユニット20の長さに沿って矢印(iii)の向きで上下に移動することができる。スリーブ部材32は、階段通行部20の側板または棒部材34に適切に取り付けられている。また、踊り場18にはローラーが連結されており、このローラーは、踊り場18が棒部材34に沿って棒部材34に対して動くことができるよう配置されている。踊り場18が所望の位置にあるとき、踊り場18は階段通行部20に対して停止され、そして踊り場18が階段通行部20に対して固定される。この場合、例えばナットおよびボルト留め具、位置決めピンまたはボルトなどが用いられる。好ましくは、階段通行部20の側部にある棒部材34において、様々な位置に一連の穴36が設けられている。この場合、ボルトは支持部32に通された後、少なくとも1つの穴36に挿入される。これによって、踊り場18を所望の位置に取り付けることができる。
【0036】
本発明の思想および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な方法により実施可能であることは、当業者により理解される。
【0037】
本明細書における公報、デバイス、行為または知識に関するすべての考察は、本発明の内容を説明するために含まれている。どの材料も、本明細書と関連があって、本特許出願と同日または本特許出願より前のオーストラリアの関連技術における先行技術の基礎または共通の一般知識の一部を形成するということがものではないということが認められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層ビルを建設している間の建設現場において使用される移動可能なモジュール式の階段ユニットにおいて、
蹴上げとは別個の多数の階段用踏面を有し、上端と下端とを含む階段通行部と、
階段通行部の上端、または、階段通行部のうち階段通行部の上端から一定距離の位置に連結された上側の踊り場と、
階段通行部の下端、または、階段通行部のうち階段通行部の下端から一定距離の位置に連結された下側の踊り場と、を備え、
各踊り場は、階段通行部の幅を超えて横方向に延びる部分を有し、これによって、階段ユニットがビルの外面に隣接して配置されたとき、踊り場がそれぞれビルの上側の階および下側の階の高さで内側へと延びるよう設計され、
使用状態において踊り場を上側および下側の階の床に取り外し可能に固定するための固定手段が設けられ、これによって、2つの階の高さの間に延びる階段通行部において、二重片持取付構造を提供することを特徴とする階段ユニット。
【請求項2】
少なくとも1つの踊り場は、回動可能に階段通行部に取り付けられ、これによって、階段通行部の傾斜を当該少なくとも1つの踊り場に対して変えることができることを特徴とする請求項1に記載の階段ユニット。
【請求項3】
各踊り場は階段通行部のそれぞれの端部に蝶番構造により取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の階段ユニット。
【請求項4】
少なくとも1つの踊り場は、階段通行部の長手方向の軸に沿って線形運動できるよう階段通行部に取り付けられ、さらに、踊り場を階段通行部の所望の位置に取り付けるための取付手段が設けられ、これによって、階段通行部における上側の踊り場と下側の踊り場の間の距離を変えることができ、そして、この距離を所望の位置で固定することができることを特徴とする請求項1に記載の階段ユニット。
【請求項5】
下側の踊り場は、階段通行部の長手方向の軸に対する傾斜が所定の角度に保たれるよう配置されることを特徴とする請求項4に記載の階段ユニット。
【請求項6】
階段通行部は、階段通行部の長手方向の範囲に沿って一定間隔で配置された個別的な締結点を有することを特徴とする請求項4または5に記載の階段ユニット。
【請求項7】
上側の踊り場を階段通行部に対して所定の角度で固定する手段がさらに設けられたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の階段ユニット。
【請求項8】
所定の角度は水平から約26.5乃至45度であることを特徴とする請求項7に記載の階段ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−541612(P2009−541612A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515674(P2009−515674)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000863
【国際公開番号】WO2007/147210
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508212705)
【氏名又は名称原語表記】JOHN CLEMENT PRESTON
【Fターム(参考)】