建設資材の現場搬入管理システム
【課題】建設現場への建設資材搬入作業の効率化とコスト削減を可能にする。
【解決手段】 それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データ24と、資材の中継集積所への納入実績データ26と、各建物の建設現場への資材搬入計画データ28と、各建物の建設現場への資材搬入計画変更データ30と、中継集積所から各建設現場への資材搬入実績データ32とを記憶した記憶装置22と、各建物について、資材発注データ24と納入実績データ26とを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データ34を生成する資材納入管理手段52と、各建物について、資材搬入計画データ28と資材搬入計画変更データ30とを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データ36を生成し、資材搬入完了報告38を受け入れて、資材搬入実績データ32を更新する資材搬入管理手段54とを備える。
【解決手段】 それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データ24と、資材の中継集積所への納入実績データ26と、各建物の建設現場への資材搬入計画データ28と、各建物の建設現場への資材搬入計画変更データ30と、中継集積所から各建設現場への資材搬入実績データ32とを記憶した記憶装置22と、各建物について、資材発注データ24と納入実績データ26とを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データ34を生成する資材納入管理手段52と、各建物について、資材搬入計画データ28と資材搬入計画変更データ30とを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データ36を生成し、資材搬入完了報告38を受け入れて、資材搬入実績データ32を更新する資材搬入管理手段54とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場への建設資材搬入作業の効率化とコスト削減を可能にする建設資材の現場搬入管理システムと現場搬入方法と管理プログラムの記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、木造注文住宅の受注販売をする建設会社では、次のような手順で、受注、設計、施工監理を行う。まず、施主から建物を受注するとその設計を行う。また、施工エリアを担当する施工店と資材メーカ等を選択する。施工店には設計図面を渡し、施工を依頼して仕様及び工事日程等を打合わせる。施工店はその工事日程に基づいて施工に必要な各種資材を資材メーカに発注する。そして、詳細な工事日程に合わせた施工をする。建設会社は工事進捗に合わせて建物の検査や点検を行う。このようなシステムにおいて、設計データに基づいた資材の受発注管理、施工管理を自動化し効率化するために各種の技術が紹介されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−306632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
一般には、建設現場にあまり多くの建設資材を保管することができない。従って、施工店は、工事日程に合わせて必要な建設資材が所定のタイミングで納入されるように、資材の発注と納入期日の指定をする。しかしながら、そのためには、様々な資材メーカに対する発注手続き、工事日程の変更等に伴う納入指定日の変更通知管理、資材の受け取り等の煩雑な管理が必要になる。一方、資材メーカは、多数の建設現場から資材を受注しても、それぞれの工事の進捗状況に応じて個別に必要な資材を送り届けることから、輸送コストが高くなり、建物の価格に影響を及ぼすという問題があった。建物の設計や規格が統一されていると、資材を一括生産し、工事日程にそって資材を一括輸送するようなことが可能である。しかし、建物がそれぞれ独自の設計で施工されると、建設資材の共通化を図ることは難しい。また、それぞれ自由な施工日程で工事が進行するので、各現場へ資材を同じタイミングで一括輸送することは難しい。
本発明は、上記の課題を解決し、建設現場への建設資材搬入作業の効率化とコスト削減を可能にする、建設資材の現場搬入管理システムと現場搬入管理方法と管理プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の構成は上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データと、上記資材の中継集積所への納入実績データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データと、上記中継集積所から上記各建設現場への資材搬入実績データとを記憶した記憶装置と、上記各建物について、上記資材発注データと上記納入実績データとを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データを生成する資材納入管理手段と、上記各建物について、上記資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データを生成し、資材搬入完了報告を受け入れて、上記資材搬入実績データを更新する資材搬入管理手段とを備えたことを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0005】
資材の中継集積所を設け、資材メーカからこの中継集積所に資材を一括納入させる。複数の建物の資材がまとめて中継集積所に納入される。その後、建物の建設現場への資材搬入計画データに基づいて、必要な複数の資材をまとめて、最適なタイミングで建設現場に搬入する。資材の納入と建設現場への搬入の双方について、効率的な輸送システムにすることにより、輸送コストや資財の搬入管理手数が十分に軽減される。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、上記記憶装置に、使用資材と建設工事の工程との関係を示す工程管理データを記憶し、上記資材搬入実績データと上記工程管理データとを比較して、終了した工程と終了していない工程とを判定し、工事進捗状況データを生成する進捗管理手段を備えたことを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0007】
建設現場に新たな建設資材が搬入されたときには、前回搬入された資材を使用した工程はほぼ完了している。従って、資材搬入実績データが更新されたときに、前回搬入した資材を使用した工程が完了したものとして、工事進捗状況管理をすることができる。これにより、施工業者から工事進捗状況の逐次報告がなくても、ほぼ正確に工事進捗状況の予測管理が可能になる。
【0008】
〈構成3〉
構成1または2に記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、上記資材納入管理手段は、新たな資材の納入データ入力により上記各建物の資材の納入実績データが更新されたとき、当該納入実績データに、当該資材の管理責任の施工側への移転登録情報を含めることを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0009】
資材メーカの資材管理責任の終了時点を自動的に記録して、その後は施工側に管理責任が移転することを明確にした。これにより、資材メーカの管理負担が軽減されて、資材納入のための輸送費のコストダウンが可能になる。
【0010】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、上記資材納入管理手段は、それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、その資材の納入実績データから求めた標準納期と一括納品を可能にする調整日数を加算した発注リードタイム分遡った日以前に、上記資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行することを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0011】
資材名と数量とを含むデータは、設計書データ等から生成できる。発注リードタイムは資材の納入実績に基づいて計算できる。施工管理者が、計画した工事日程に合わせて、現場への搬入希望日を入力すると、自動的に発注日が計算されて発注書が生成される。こうして、資材の発注管理を支援することができる。
【0012】
〈構成5〉
構成1乃至3のいずれかに記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、上記資材納入管理手段は、建設現場への資材の搬入回数を、主要工事の種類に応じて一定回数以内になるように制限し、当該制限内で搬入日が入力されると、当該搬入日から自動的に一定日数だけ遡る逆算をして、資材メーカから中継集積所に資材が納入される納入日を算出し、この納入日を資材発注データに含めることを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0013】
資材の搬入回数を、主要工事の種類に応じて一定回数以内になるように制限すると、搬入した資材を効率良く使用した工事が可能になる。また、資材の搬入状況から工事の進捗を容易に推測できる。資材納入日を搬入日から自動的に一定日数だけ遡るように調整することにより、建設現場へ、主要工事ごとに一括してあるいは2回でといった最小限の回数で資材を搬入できる。資材の搬入日の入力があったときに、自動的に資材発注データを生成することができる。
【0014】
〈構成6〉
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データに基づいて生産される資材であって、上記複数の建物に使用される同一資材メーカの資材を1台の車両に一括積載して中継集積所へ運搬し、上記資材の納入結果を納入実績データに記録し、同時に、上記建物ごとに、資材の管理責任の施工側への移転登録を実行し、上記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データに基づいて、複数の資材メーカにより納入された資材を1台の車両に一括積載して、上記各建設現場へ、指定されたタイミングで搬入することを特徴とする建設資材の現場搬入方法。
【0015】
資材メーカは複数の現場に使用される資材を一括して輸送し、中継集積所に納入することができる。また、ここまでで管理責任を移転できる。その後は、任意の資材メーカの納入した資材をまとめて最小限の回数で建設現場に搬入できる。従って、全体として輸送コストを大幅に低減できる。
【0016】
〈構成7〉
コンピュータを、それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データと、上記資材の中継集積所への納入実績データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データと、上記中継集積所から上記各建設現場への資材搬入実績データとを記憶した記憶装置と、上記各建物について、上記資材発注データと上記納入実績データとを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データを生成する資材納入管理手段と、上記各建物について、上記資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データを生成し、資材搬入完了報告を受け入れて、上記資材搬入実績データを更新する資材搬入管理手段とを備え、上記資材納入管理手段は、上記複数の建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、その資材の納入実績データから求めた標準納期と一括納品を可能にする調整日数を加算した発注リードタイム分遡った日以前に、上記資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行するもの、として機能させる建設資材の現場搬入管理プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明では、複数の建設現場に建設資材を搬入するのに地理的に便利な位置に、中継集積所を配置する。中継集積所への資材の納入は資材メーカの責任で行なわれる。複数の建物に使用される同一資材メーカ製の多数の資材を、例えば1台の車両に一括積載して中継集積所へ運搬する。中継集積所のコンピュータは、資材メーカの資材納入処理が効率的にできるように、所定のタイミングで資材発注データを資材メーカに送信する。資材メーカは複数の建物の資材を一括積載して特定の場所に同時納入できるので、資材の輸送コストを低減できる。
【0018】
中継集積所のコンピュータは、発注した資材の受け入れ処理を実行する。さらに、管轄する全ての建設現場への資材の搬入管理データと搬入指示データの生成処理を実行する。また、各建設現場の工事進捗状況の記録処理を実行する。通常、建設現場には多くの資材を積み上げるスペースがない。また、建設現場に資材が到着するタイミングが適切でないと円滑な工事を妨げる。従って、中継集積所のコンピュータは、最適なタイミングで必要な資材を漏れなく建設現場に搬入できるように計画を立て、資材の発注業務、管理業務、資材搬入管理業務をするための管理データを出力する。
【0019】
建物の建設現場への資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとは、建物ごとに個別に作成する。搬入回数等の条件を定めておくことで、効率の良い搬入計画を自動生成できる。そして、これらの計画に基づいて、例えば、複数の資材メーカにより納入された資材を1台の車両に一括積載して、各建設現場へ、指定されたタイミングで搬入することができる。建設現場の地理に精通した担当者に車両の運転等を委託できるので、効率良く資材の搬入ができる。施工工程にあわせて、必要な資材を1台の車両に一括積載して搬入できるので、交通騒音、受け入れチェックの手間、搬入コスト等を低減できる。また、建設現場への資材の搬入タイミングを最適化できるので、工事を円滑に進めることができる。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
[システムの全体構成]
図1は実施例1の建設資材の現場搬入管理システムを示す概念図である。
このシステムは、中継集積所端末18を中心にして実現する。図のように、資材受発注システム12と施工店端末14と資材メーカ端末16と中継集積所端末18と建設現場端末20とが、コンピュータネットワークを通じて接続されている。資材受発注システム12は建設会社に設けられている。施工店端末14は、建物の建設を委託された施工店に設けられている。施工店の数は任意である。資材メーカ端末16は資材を供給する資材メーカにあり、日本全国任意の場所に任意の数だけあってよい。中継集積所端末18は、管理下にある建設現場から一定の距離以下の場所に設置された中継集積所5に設けられている。建設現場端末20は建設現場の施工担当者等が所持する携帯電話等である。なお、中継集積所は例えば、各県や都市に一つ程度設ける。そして工事中の建設現場を例えば、数十箇所管轄する。施工店の中には2箇所以上の建物の施工を同時に委託されているところもあるが、施工スケジュールも設計も別々だから、各工事現場はそれぞれ独立に管理される。即ち、それぞれ独自のスケジュールで資材が搬入される。
【0021】
図2は中継集積所端末18の具体的な機能ブロック図である。
まず、システムの中心的役割を果たす中継集積所端末18の構成を説明する。図のように、中継集積所端末18はネットワークを通じて、資材受発注システム12、施工店端末14、資材メーカ端末16、建設現場端末20と接続されている。中継集積所端末18には、記憶装置22と演算処理装置50とが設けられている。記憶装置22には、資材メーカに対する資材納入管理のために、資材発注データ24、納入実績データ26、資材納入管理データ34等が記憶されている。また、建設現場への資材搬入管理のために、資材搬入計画データ28、資材搬入計画変更データ30、資材搬入実績データ32、資材搬入指示データ36、資材搬入完了報告38が記憶されている。この他に、記憶装置22には工事進捗状況データ40や移転登録情報42が記憶されている。演算処理装置50は、資材納入管理手段52、資材搬入管理手段54及び進捗管理手段56を備える。これらの手段は、中継集積所端末18のコンピュータに所定の機能を付与するコンピュータプログラムからなる。
【0022】
各建設現場の建物は、それぞれ独自に設計され独自に施工される。資材発注データ24は、資材受発注システム12で管理データ13に含まれた建物の設計データ等を使用して作成されたものである。注文書の印刷等に利用される。納入実績データ26は、資材メーカから中継集積所への資材の納入実績を示すデータである。資材搬入計画データ28は、中継集積所から建設現場への資材搬入計画を示すデータである。資材搬入計画変更データ30は、資材搬入計画のうちの変更分を示すデータである。変更時にのみ生成され、その後資材搬入計画データ28に組み込まれる。資材搬入実績データ32は、中継集積所から各建設現場への実際の資材搬入実績を記録したデータである。資材搬入計画データ28と比較すると、未搬入の資材を確認できる。
【0023】
資材納入管理手段52は、各建物について、資材発注データ24と納入実績データ26とを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データ34を生成する機能を持つ。資材納入管理データ34は、資材メーカに対して欠品を連絡したり、不具合のあったものの交換を連絡する連絡書用データも含む。これにより、資材搬入日に計画どおり全ての資材が一括して建設現場に搬入できるかどうかを判定できる。欠品の場合には、資材搬入計画変更データ30が生成され、施工店端末14や建設現場端末20に送信される。さらに、資材搬入計画データ28が修正される。資材搬入管理手段54は、各建物について、資材搬入計画データ28を資材搬入計画変更データ30に基づいて修正し、少なくとも直近の資材搬入指示データ36を生成する機能を持つ。この搬入指示書は、資材搬入作業をする運送会社の担当者等に印刷して渡される。無事資材が搬入されると資材搬入完了報告38を受け入れて、資材搬入実績データ32を更新する。進捗管理手段56は、資材搬入実績データ32に基づいて、終了した工程と終了していない工程とを判定し、工事進捗状況データ40を生成する機能を持つ。
【0024】
以上のようなシステムを利用して資材を発注処理し、資材メーカから中継集積所に資材を一括納入させると、複数の建物の資材がまとめて中継集積所に納入される。その後、建物の建設現場への資材搬入計画データ28に基づいて、必要な複数の資材をまとめて、最適なタイミングで建設現場に搬入する。中継集積所で輸送手段を切り分けることにより、資材メーカからの資材の納入と建設現場への搬入の双方について、最も効率的な輸送システムを組むことができる。これにより、輸送コストや資材の搬入管理手数が十分に軽減される。
【0025】
なお、資材受発注システム12、施工店端末14、資材メーカ端末16、中継集積所端末18、建設現場端末20はいずれも、既知のパーソナルコンピュータにネットワーク接続機能を付与したものにより構成することができる。即ち、それぞれ演算処理装置と記憶装置とネットワークインタフェースを備えていれば、以下の処理を実行できる。各コンピュータが演算処理に必要なデータは、内蔵した記憶装置のみならず、外部記憶装置やネットワーク上の別のコンピュータの記憶装置を使用して記憶させておくことができる。また、専ら注文書や指示書等の帳票の送受信にのみ使用される端末はファクシミリ装置に置き換えることもできる。
【0026】
[資材の発注]
図1に示したように、資材受発注システム12を管理するコンピュータは、施主から建物を受注したときに作成される管理データ13を記憶する。この管理データ13には、建物の設計図面データや資材メーカリストが含まれる。資材受発注システム12を管理するコンピュータは、資材発注データ24を自動生成して、施工店端末14に送信する。即ち、施工店端末14には、資材受発注システム12から転送された設計図面データ23と資材発注データ24とが記憶される。建設会社と施工店とが建物の仕様及び工事日程等を打合わせる。その工事日程に基づいて、施工に必要な各種資材と納入日を指定して資材メーカに発注する。資材の納入日は建設現場への資材の搬入計画に従って決定される。資材の発注管理は、資材受発注システム12または中継集積所端末18で行う。以下の実施例では、中継集積所端末18で行う例を示す。図1のように、納入日を付加した資材発注データ24が中継集積所端末18に転送される。そして、中継集積所端末18から資材発注データ24が資材メーカ端末16に送信される。
【0027】
図3は資材発注関連データの内容説明図である。
中継集積所端末18では、図に示すような資材発注データ24を作成して資材メーカ端末16に送信する。資材発注データ24は資材メーカ別の発注書60を含む。資材メーカ別発注書60は、発注書の雛形61に、資材名62,発注数量63、資材納入先64、納入日65等のデータを含めたものである。資材納入先は中継集積所である。指定納入日は中継集積所への納入日を示す。この資材発注データ24に基づいて、納入実績データ26や資材納入管理データ34や移転登録情報42が順次更新される。納入実績データ26は、図のように、資材メーカ名と、発注した資材名と、その発注日と納入日とを含む。資材納入管理データ34は、図のように、資材メーカ名と発注した資材名と欠品連絡書や不具合連絡書等を含む。移転登録情報42は、図のように、資材メーカから施工店に管理責任が移転した移転日を含む。この移転日は資材の納品日である。あとで説明するように、資材発注データ24は資材搬入計画データ32を参照して生成される。資材搬入計画データ32は、図のように、建設現場と搬入資材と搬入日等を含む。なお、図のような資材発注データ24の全部を資材受発注システム12側で作成して、資材メーカ端末16に送信しても構わない。
【0028】
[管理責任の切り替え]
従来は、建設現場への資材の建設現場への搬入まで資材メーカに責任があった。従って、指定された日時に間違いなく搬入することが要求された。前倒しができないので都合良く他の資材との混載ができないこともある。また、遠地から輸送すると地理に不案内の運転手に電話等による道案内が必要で、運転手にも受け入れ側にも負担がかかった。さらに、建設現場に受け取り責任者がいないと時間待ちや持ち帰りが発生する。こうしたことが輸送コストのアップにつながった。全ての資材を中継集積所で受け入れ、発注のタイミングを制御して混載や前倒しの納入を可能にしたことで、この問題が解決する。
【0029】
ここで、中継集積所で資材を受け入れた後も資材メーカの責任で建設現場へ資材を搬入すると、従来の配送集荷センターのシステムと変わらなくなる。このシステムでは、中継集積所で資材を受け入れた後は資材の管理責任を建設会社あるいは施工店側に自動的に移転する。即ち、資材納入管理手段52は、新たな資材の納入データ入力により各建物の資材の納入実績データ26が更新されたとき、納入実績データ26に、資材の管理責任の施工側への移転登録情報42を含める。これにより、資材メーカの資材管理責任の終了時点を自動的に記録して、このシステムを適正に運用することができる。
【0030】
[資材の納入]
【0031】
図4は資材と資材メーカに指定した資材の納入日との関係を示す説明図である。
資材メーカはひとつの中継集積所が管轄する複数の建設現場向けの資材を随時受注する。この資材メーカは、A−Fの6種類の資材を生産しているものとする。資材メーカから中継集積所への資材の納入は、資材の輸送回数(コスト)が最小になるように、発送日と一括輸送される資材が選択される。資材発注データ24には納入日が表示されている。資材メーカ端末16は、現時点で受信済みの資材発注データ24に表示された資材のうち、中継集積所へ納入可能なもののリストを作成する。図の一点鎖線の枠内の納入日の資材がそのリストに含められる。このようにして、直近の納入日の資材から順番に1台の車両に積載して運搬する計画が生成される。
【0032】
例えば、今日が1日で、納入日が3日、4日、5日に指定された資材A−Fを積載すると丁度トラック1台分になるとき、3日にこれらの資材が中継集積所へ到着するように、発送分を決定するとよい。1台分ずつ納入日の近いものからまとめて発送する。3日から7日までの納入日のものを一括しても構わない。中継集積所は建設現場と異なり、ある程度まで資材の保管スペースに余裕があるからである。資材メーカ端末においてこのような演算処理を実行することにより、最小コストで資材を中継集積所へ納入できる。また、資材メーカは中継集積所へ資材を納入するところまで責任をもてばよいから、コスト計算が単純化できる。なお、5日に納入日が指定された資材を3日に納入するには前倒し生産が必要になる。また、相当量の在庫を持つ必要がある。発注側でこれを期待すると、売価コスト削減に結びつかない。そこで、次のようなタイミングで資材の発注を行う。
【0033】
図5は、資材発注データの送信タイミング説明図である。
上記の処理を無理なく可能にするために、中継集積所端末18から資材メーカに対して、資材発注データ24を所定のタイミングで送信する。送信する資材発注データ24に次のようにして決定した納品日を含める。まず、資材搬入計画データ28により指定された建設現場への資材の搬入日D1を参照する。そして、この搬入日D1から一定の予備日数Xだけ遡った日を納入日D2に指定する。予備日数Xは、たとえ資材の納入が数日遅れても搬入日に影響を与えない日数に定めておく。さらに、納入日D2から標準納期Yと調整日数Zを加えただけ遡った日を資材発注データの送信日(発注日D3)に設定する。
【0034】
標準納期Yは、資材の種類と資材メーカ固有の事情により決まる。これは資材搬入実績データ32を参照して決定する。例えば、最新の実績納期の平均値、即ち、同一資材の発注日から納入日までの日数の平均値を求めるとよい。さらに、資材メーカが複数の資材発注データに対して一括納入をし易いように、標準納期Yに調整日数Zを加算しておくことが好ましい。これで、前倒し生産や在庫増を強制する必要がなくなる。これらの演算処理を自動的に実行して資材発注データを送信すれば、資材メーカ側でも自動的に輸送費用の最適化を図ることが可能になる。上記予備日数Xは定数にしておくとよい。
【0035】
資材の納入実績データから求めた標準納期Yと調整日数Zとを加算した日数を、発注リードタイムと呼ぶことにする。発注リードタイムは、資材メーカの納入実績データを参照して演算処理すれば得られる。資材納入管理手段52(図1)は、建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、発注リードタイム分遡った日以前に、資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行する。注文書をメールで送信してもいいし、FAX送信してもいい。これで、自動的に最適のタイミングで発注ができる。発注リードタイムに予備日数Xやその他の余裕分をどの程度加えるかは、発注側の自由である。中継集積所の資材保管能力を考慮して決めればよい。こうして、資材の発注管理を支援することができる。
【0036】
[資材の搬入]
図6は資材の搬入計画説明図である。
中継集積所端末18は中継集積所から建設現場への資材の搬入計画を管理する。このシステムでは、建設現場への資材の搬入回数を予め、主要工事の種類に応じて決めた一定回数以内になるようにコンピュータ上で制限する。この実施例では、最大9回に制限しておく。図の例では、駆体工事時に一回、外部木工事と屋根工事時に一回、床工事時に二回、開口枠工事時に一回、壁・天井工事時と木仕上げ工事時にそれぞれ各二回に設定している。現場の状況、工事時期、建物の仕様を加味して、毎回搬入する資材の選定や搬入日を決める。この搬入日が入力されると、自動的に逆算をして、資材メーカから中継集積所に資材が納入される納入日が定められる。搬入日の数が制限を越えると入力を拒絶するとよい。この納入日が資材発注データに含められる。中継集積所端末18は資材搬入計画データ28を作成して、施工店端末14や建設現場端末20等に送信する。
【0037】
例えば、図6の例では、第1回目の現場搬入日が12月20日である。従って、該当する資材が資材メーカから中継集積所に納入される日を自動的に12月17日に設定する。なお、建設現場の事情で資材搬入計画が変更になったときには、資材搬入計画変更データ30を作成して処理する。資材を搬入したのに建設現場で受け入れされなかったとき、資材に不具合があって返品されたとき等にも、中継集積所端末18の管理で処理できるので、輸送コストや管理コストに大きく影響しない。即ち、自由にきめ細かく対応することができる。
【0038】
中継集積所から建設現場への資材の搬入は、建設現場固有の事情に合わせることが理想である。従来は資材メーカから資材が直送されていたから、現場への資材納入計画は資材メーカの事情も考慮された。しかしながら、本発明のシステムでは中継集積所に必要な資材が集積されており、中継集積所側で全てを管理できるから、工事の進捗に合わせて最適なタイミングで資材を搬入すればよい。これには、例えば、その日に必要な資材が前日に一括搬入されていることが最も好ましい。しかし、あまりきめ細かい搬入は輸送コストのアップになり、受け入れ管理も煩雑になる。そこで、上記のように標準的な主要工事と整合させて最適な現場搬入回数を設定した。
【0039】
例えば、その回数を9回とし、それを最大値に設定する。即ち、例えば、1件の木造住宅はトラック9台分の資材で建設できるという概算に基づいて搬入計画をたてると、搬入コストの最適化が図れる。あとは、工事進捗状況と資材の納入の遅れ等の事情に応じて微調整すればよい。例えば、図6で床工事のとき、3回目と4回目の現場搬入で、床下点検口の欠品があった。一方、木仕上げ工事で使用する掘炬燵については、早期に納入されていたので、3回目の搬入時に運搬をした。こうして、制限された搬入日の範囲で必要な資材を運搬できる。
【実施例2】
【0040】
図7は工事の進捗と資材搬入実績との関係を示す説明図である。
図2に示した記憶装置22には、図のように、搬入済み資材と搬入日と終了している工事との関係を示す工事進捗状況データ40を記憶した。進捗管理手段56は、図6に示した資材搬入実績データ32を参照して、終了している工程と終了していない工程とを判定し、工事進捗状況データ40を生成する機能を持つ。工事進捗状況データ40は、施工店の管理者や建設会社の管理部門でチェックされる。建設現場に新たな建設資材が搬入されたときには、前回搬入された資材を使用した工程はほぼ完了している。従って、資材搬入実績データ32が更新されたときに、前回納入した資材を使用した工程が完了したものとして、工事進捗状況管理をすることができる。これにより、施工業者から工事進捗状況の逐次報告がなくても、ほぼ正確に工事進捗状況の予測管理が可能になる。一般に、工事進捗状況の報告が遅れたり忘れられたりすることも少なくない。従って、このシステムで自動的に工事進捗状況の監視ができるのは、管理上きわめて有効である。
【実施例3】
【0041】
図8は資材受発注システムの処理動作フローチャートである。
この処理は、建設会社の資材受発注システム12が実行する。まず、ステップS11で資材受発注システム12内部の管理データの読み取りをする。そして、ステップS12で、資材発注データ24を自動的に生成する。この資材発注データ24を中継集積所端末18に転送する。ケースによっては、施工店端末14や資材メーカ端末16に転送する。中継集積所端末18が一切の発注管理をする場合には、資材発注データ24を資材受発注システム12から中継集積所端末18に直接転送するとよい。また、資材受発注システム12が施工店端末14から建設現場への搬入計画等の提出を受けて、資材発注データ24を資材メーカ端末16に転送するようにしてもよい。なお、発注後の管理は中継集積所端末18で行うので、中継集積所端末18は必ず資材発注データ24の転送を受ける。
【0042】
図9は、中継集積所端末の処理動作フローチャートである。
ここでは、中継集積所端末18が資材発注データ24に納入日等のデータを付加して資材メーカ端末16に送信する例を説明する。ステップS21では、資材受発注システム12から資材発注データを受信する。ステップS22では、施工店端末14等の情報を取得して、資材搬入計画データ28を生成する。ステップS23では、図5で説明をした予備日数を取得する。これは、施工店の事情や建設現場の事情に合わせて任意に決めてよい。ステップS24では、納入日を算出して決定する。
【0043】
ステップS25では、資材搬入実績データ32等を参照して標準納期と調整日数を取得する。ステップS26では、図5で説明をした要領で発注日を算出し決定をする。ステップS27では、ステップS23の結果とステップS26の結果を資材発注データ24に追加して更新をする。これで、いつでも資材発注データ24を資材メーカ端末16に送信できる状態になる。
【0044】
図10は、中継集積所端末の発注管理動作フローチャートである。
この実施例では、中継集積所から発注処理をして、その後の納入管理を進める。以下の処理は主として資材納入管理手段52が実行する。ステップS31では、カレンダデータ等を参照して、発注日が到達したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS32の処理に移行し、ノーのときは処理を終了する。ステップS32では、資材発注データ資材発注データ24を資材メーカ端末16に送信する。ステップS33では、資材納入データが入力されたかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS34の処理に移行し、ノーのときはステップS38の処理に移行する。ステップS34では、納入された資材について、それぞれ移転登録情報を生成して、例えば、該当する施工店に所有権を移転する。管理責任の主体を実質的に切り替えればよく、データ形式は任意である。
【0045】
ステップS35では、図3で説明をした納入実績データを生成する。ステップS36では、納入日遅れが発生したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS37の処理に移行し、ノーのときはステップS38の処理に移行する。ステップS37では、納入の遅れた資材について、搬入日を変更するために、資材搬入計画変更データを生成する。なお、図5で説明した予備日の範囲内であれば、搬入日の変更はない。従って、ステップS37の判断は、予備日以上に納入の遅れが発生した場合はに、ステップS38へすすむというように制御するとよい。ステップS38では、図3で説明した資材納入管理データ34を生成する。全ての資材について、このような管理を実行する。
【0046】
図11は、中継集積所端末の搬入管理動作フローチャートである。
ステップS41では、資材搬入計画データを生成する。これは図9ステップS22の処理と同じである。念のためにこのフローチャートの先頭に書いた。ステップS42では、資材搬入管理手段54が資材搬入計画変更データの入力かどうかという判断をする。資材搬入計画変更データの入力は施工店端末14や建設現場端末20から随時実行される。この判断の結果がイエスのときはステップS43の処理に移行し、ノーのときはステップS44の処理に移行する。ステップS43では、資材搬入計画データの更新をする。ステップS44では、カレンダデータ等を参照して、搬入日が到達したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS45の処理に移行し、ノーのときは処理を終了する。
【0047】
ステップS45では、資材搬入指示データの生成をする。ステップS46では、資材搬入指示データを資材の輸送担者に送信する。このデータは印刷されて、輸送担者に渡されけもよい。その後、資材の搬入報告を待つ。ステップS47では、資材搬入完了報告が入力したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS48の処理に移行し、ノーのときはそのまま待機する。ステップS48では、該当する資材の搬入を確認して、資材搬入実績データの生成をする。ステップS49では、図7で説明をした要領で工事進捗状況データを生成する。このデータは、必要に応じて資材受発注システム12等に転送される。この処理は進捗管理手段56が実行する。
【0048】
以上のシステムによれば、資材メーカは、中継集積所宛てに、複数の建設現場向けの資材を一括納入することができるので、輸送コストや資材納入管理コストを低減することができる。また、中継集積所から建設現場に対して、指定されたタイミングで必要な資材を一括して搬入することができるので、輸送コストを低減し、受け入れ作業等の手数も軽減できる。例えば、資材メーカから個別に資材が納入されると、同日に何台もの車両が納入のために現場に到着する。これは現場の交通量を増加させ、受け入れ業務も煩雑になる。例えば、建設現場に受け入れ担当者が不在のときは、持ち戻り等により輸送費が割り増しになる。一方、中継集積所に納入された資材のうち、その日に必要な資材を一括して該当する建設現場に搬入すると、搬入回数は最小限で済み、受け入れ手数も最小限で済む。
【0049】
また、遠方の資材メーカから資材が輸送されてくると、輸送担当者からそのつど建設現場の位置について問い合わせがくる。これに対応する業務も煩雑になる。中継集積所からその地域を良く知る輸送担当者が資材を搬入すると、こうした問い合わせは激減する。さらに、中継集積所からの資材搬入に慣れた輸送担当者によれば、資材の輸送中の破損事故も減少する。中継集積所への資材納入で資材メーカから施工者側に資材の所有権を移転できるので、責任範囲が明確になり、双方で管理コストを低減できる。
【0050】
また、工事の進捗状況に応じて、資材の搬入タイミングを自由にきめ細かく調整できるので、建設工事の円滑化に貢献する。中継集積所は比較的正確に資材搬入時刻等を建設現場に通知できるから、現場での作業効率もアップする。資材メーカから資材の納入管理と建設現場への資材搬入管理を一本化できるので、管理の最適化が容易である。実際に、この方法を実施して、資材メーカからの運送回数と建設現場への資材の搬入回数を同時に減少させることができた。資材メーカが直接建設現場に資材を搬入していた場合と比較して、炭酸ガス排出量を35%も削減でき、地球温暖化防止効果も大きいことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の建設資材の現場搬入管理システムを示す概念図である。
【図2】中継集積所端末の具体的な機能ブロック図である。
【図3】資材発注関連データの内容説明図である。
【図4】資材と資材メーカに指定した資材の納入日との関係を示す説明図である。
【図5】資材発注データの送信タイミング説明図である。
【図6】資材の搬入計画説明図である。
【図7】工事の進捗と資材搬入実績との関係を示す説明図である。
【図8】資材受発注システムの処理動作フローチャートである。
【図9】中継集積所端末の処理動作フローチャートである。
【図10】中継集積所端末の発注管理動作フローチャートである。
【図11】中継集積所端末の搬入管理動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
10 建設資材の現場搬入管理システム
13 管理データ
12 資材受発注システム
14 施工店端末
16 資材メーカ端末
18 中継集積所端末
20 建設現場端末
24 資材発注データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場への建設資材搬入作業の効率化とコスト削減を可能にする建設資材の現場搬入管理システムと現場搬入方法と管理プログラムの記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、木造注文住宅の受注販売をする建設会社では、次のような手順で、受注、設計、施工監理を行う。まず、施主から建物を受注するとその設計を行う。また、施工エリアを担当する施工店と資材メーカ等を選択する。施工店には設計図面を渡し、施工を依頼して仕様及び工事日程等を打合わせる。施工店はその工事日程に基づいて施工に必要な各種資材を資材メーカに発注する。そして、詳細な工事日程に合わせた施工をする。建設会社は工事進捗に合わせて建物の検査や点検を行う。このようなシステムにおいて、設計データに基づいた資材の受発注管理、施工管理を自動化し効率化するために各種の技術が紹介されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−306632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
一般には、建設現場にあまり多くの建設資材を保管することができない。従って、施工店は、工事日程に合わせて必要な建設資材が所定のタイミングで納入されるように、資材の発注と納入期日の指定をする。しかしながら、そのためには、様々な資材メーカに対する発注手続き、工事日程の変更等に伴う納入指定日の変更通知管理、資材の受け取り等の煩雑な管理が必要になる。一方、資材メーカは、多数の建設現場から資材を受注しても、それぞれの工事の進捗状況に応じて個別に必要な資材を送り届けることから、輸送コストが高くなり、建物の価格に影響を及ぼすという問題があった。建物の設計や規格が統一されていると、資材を一括生産し、工事日程にそって資材を一括輸送するようなことが可能である。しかし、建物がそれぞれ独自の設計で施工されると、建設資材の共通化を図ることは難しい。また、それぞれ自由な施工日程で工事が進行するので、各現場へ資材を同じタイミングで一括輸送することは難しい。
本発明は、上記の課題を解決し、建設現場への建設資材搬入作業の効率化とコスト削減を可能にする、建設資材の現場搬入管理システムと現場搬入管理方法と管理プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の構成は上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データと、上記資材の中継集積所への納入実績データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データと、上記中継集積所から上記各建設現場への資材搬入実績データとを記憶した記憶装置と、上記各建物について、上記資材発注データと上記納入実績データとを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データを生成する資材納入管理手段と、上記各建物について、上記資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データを生成し、資材搬入完了報告を受け入れて、上記資材搬入実績データを更新する資材搬入管理手段とを備えたことを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0005】
資材の中継集積所を設け、資材メーカからこの中継集積所に資材を一括納入させる。複数の建物の資材がまとめて中継集積所に納入される。その後、建物の建設現場への資材搬入計画データに基づいて、必要な複数の資材をまとめて、最適なタイミングで建設現場に搬入する。資材の納入と建設現場への搬入の双方について、効率的な輸送システムにすることにより、輸送コストや資財の搬入管理手数が十分に軽減される。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、上記記憶装置に、使用資材と建設工事の工程との関係を示す工程管理データを記憶し、上記資材搬入実績データと上記工程管理データとを比較して、終了した工程と終了していない工程とを判定し、工事進捗状況データを生成する進捗管理手段を備えたことを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0007】
建設現場に新たな建設資材が搬入されたときには、前回搬入された資材を使用した工程はほぼ完了している。従って、資材搬入実績データが更新されたときに、前回搬入した資材を使用した工程が完了したものとして、工事進捗状況管理をすることができる。これにより、施工業者から工事進捗状況の逐次報告がなくても、ほぼ正確に工事進捗状況の予測管理が可能になる。
【0008】
〈構成3〉
構成1または2に記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、上記資材納入管理手段は、新たな資材の納入データ入力により上記各建物の資材の納入実績データが更新されたとき、当該納入実績データに、当該資材の管理責任の施工側への移転登録情報を含めることを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0009】
資材メーカの資材管理責任の終了時点を自動的に記録して、その後は施工側に管理責任が移転することを明確にした。これにより、資材メーカの管理負担が軽減されて、資材納入のための輸送費のコストダウンが可能になる。
【0010】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、上記資材納入管理手段は、それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、その資材の納入実績データから求めた標準納期と一括納品を可能にする調整日数を加算した発注リードタイム分遡った日以前に、上記資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行することを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0011】
資材名と数量とを含むデータは、設計書データ等から生成できる。発注リードタイムは資材の納入実績に基づいて計算できる。施工管理者が、計画した工事日程に合わせて、現場への搬入希望日を入力すると、自動的に発注日が計算されて発注書が生成される。こうして、資材の発注管理を支援することができる。
【0012】
〈構成5〉
構成1乃至3のいずれかに記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、上記資材納入管理手段は、建設現場への資材の搬入回数を、主要工事の種類に応じて一定回数以内になるように制限し、当該制限内で搬入日が入力されると、当該搬入日から自動的に一定日数だけ遡る逆算をして、資材メーカから中継集積所に資材が納入される納入日を算出し、この納入日を資材発注データに含めることを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【0013】
資材の搬入回数を、主要工事の種類に応じて一定回数以内になるように制限すると、搬入した資材を効率良く使用した工事が可能になる。また、資材の搬入状況から工事の進捗を容易に推測できる。資材納入日を搬入日から自動的に一定日数だけ遡るように調整することにより、建設現場へ、主要工事ごとに一括してあるいは2回でといった最小限の回数で資材を搬入できる。資材の搬入日の入力があったときに、自動的に資材発注データを生成することができる。
【0014】
〈構成6〉
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データに基づいて生産される資材であって、上記複数の建物に使用される同一資材メーカの資材を1台の車両に一括積載して中継集積所へ運搬し、上記資材の納入結果を納入実績データに記録し、同時に、上記建物ごとに、資材の管理責任の施工側への移転登録を実行し、上記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データに基づいて、複数の資材メーカにより納入された資材を1台の車両に一括積載して、上記各建設現場へ、指定されたタイミングで搬入することを特徴とする建設資材の現場搬入方法。
【0015】
資材メーカは複数の現場に使用される資材を一括して輸送し、中継集積所に納入することができる。また、ここまでで管理責任を移転できる。その後は、任意の資材メーカの納入した資材をまとめて最小限の回数で建設現場に搬入できる。従って、全体として輸送コストを大幅に低減できる。
【0016】
〈構成7〉
コンピュータを、それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データと、上記資材の中継集積所への納入実績データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、上記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データと、上記中継集積所から上記各建設現場への資材搬入実績データとを記憶した記憶装置と、上記各建物について、上記資材発注データと上記納入実績データとを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データを生成する資材納入管理手段と、上記各建物について、上記資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データを生成し、資材搬入完了報告を受け入れて、上記資材搬入実績データを更新する資材搬入管理手段とを備え、上記資材納入管理手段は、上記複数の建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、その資材の納入実績データから求めた標準納期と一括納品を可能にする調整日数を加算した発注リードタイム分遡った日以前に、上記資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行するもの、として機能させる建設資材の現場搬入管理プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明では、複数の建設現場に建設資材を搬入するのに地理的に便利な位置に、中継集積所を配置する。中継集積所への資材の納入は資材メーカの責任で行なわれる。複数の建物に使用される同一資材メーカ製の多数の資材を、例えば1台の車両に一括積載して中継集積所へ運搬する。中継集積所のコンピュータは、資材メーカの資材納入処理が効率的にできるように、所定のタイミングで資材発注データを資材メーカに送信する。資材メーカは複数の建物の資材を一括積載して特定の場所に同時納入できるので、資材の輸送コストを低減できる。
【0018】
中継集積所のコンピュータは、発注した資材の受け入れ処理を実行する。さらに、管轄する全ての建設現場への資材の搬入管理データと搬入指示データの生成処理を実行する。また、各建設現場の工事進捗状況の記録処理を実行する。通常、建設現場には多くの資材を積み上げるスペースがない。また、建設現場に資材が到着するタイミングが適切でないと円滑な工事を妨げる。従って、中継集積所のコンピュータは、最適なタイミングで必要な資材を漏れなく建設現場に搬入できるように計画を立て、資材の発注業務、管理業務、資材搬入管理業務をするための管理データを出力する。
【0019】
建物の建設現場への資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとは、建物ごとに個別に作成する。搬入回数等の条件を定めておくことで、効率の良い搬入計画を自動生成できる。そして、これらの計画に基づいて、例えば、複数の資材メーカにより納入された資材を1台の車両に一括積載して、各建設現場へ、指定されたタイミングで搬入することができる。建設現場の地理に精通した担当者に車両の運転等を委託できるので、効率良く資材の搬入ができる。施工工程にあわせて、必要な資材を1台の車両に一括積載して搬入できるので、交通騒音、受け入れチェックの手間、搬入コスト等を低減できる。また、建設現場への資材の搬入タイミングを最適化できるので、工事を円滑に進めることができる。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
[システムの全体構成]
図1は実施例1の建設資材の現場搬入管理システムを示す概念図である。
このシステムは、中継集積所端末18を中心にして実現する。図のように、資材受発注システム12と施工店端末14と資材メーカ端末16と中継集積所端末18と建設現場端末20とが、コンピュータネットワークを通じて接続されている。資材受発注システム12は建設会社に設けられている。施工店端末14は、建物の建設を委託された施工店に設けられている。施工店の数は任意である。資材メーカ端末16は資材を供給する資材メーカにあり、日本全国任意の場所に任意の数だけあってよい。中継集積所端末18は、管理下にある建設現場から一定の距離以下の場所に設置された中継集積所5に設けられている。建設現場端末20は建設現場の施工担当者等が所持する携帯電話等である。なお、中継集積所は例えば、各県や都市に一つ程度設ける。そして工事中の建設現場を例えば、数十箇所管轄する。施工店の中には2箇所以上の建物の施工を同時に委託されているところもあるが、施工スケジュールも設計も別々だから、各工事現場はそれぞれ独立に管理される。即ち、それぞれ独自のスケジュールで資材が搬入される。
【0021】
図2は中継集積所端末18の具体的な機能ブロック図である。
まず、システムの中心的役割を果たす中継集積所端末18の構成を説明する。図のように、中継集積所端末18はネットワークを通じて、資材受発注システム12、施工店端末14、資材メーカ端末16、建設現場端末20と接続されている。中継集積所端末18には、記憶装置22と演算処理装置50とが設けられている。記憶装置22には、資材メーカに対する資材納入管理のために、資材発注データ24、納入実績データ26、資材納入管理データ34等が記憶されている。また、建設現場への資材搬入管理のために、資材搬入計画データ28、資材搬入計画変更データ30、資材搬入実績データ32、資材搬入指示データ36、資材搬入完了報告38が記憶されている。この他に、記憶装置22には工事進捗状況データ40や移転登録情報42が記憶されている。演算処理装置50は、資材納入管理手段52、資材搬入管理手段54及び進捗管理手段56を備える。これらの手段は、中継集積所端末18のコンピュータに所定の機能を付与するコンピュータプログラムからなる。
【0022】
各建設現場の建物は、それぞれ独自に設計され独自に施工される。資材発注データ24は、資材受発注システム12で管理データ13に含まれた建物の設計データ等を使用して作成されたものである。注文書の印刷等に利用される。納入実績データ26は、資材メーカから中継集積所への資材の納入実績を示すデータである。資材搬入計画データ28は、中継集積所から建設現場への資材搬入計画を示すデータである。資材搬入計画変更データ30は、資材搬入計画のうちの変更分を示すデータである。変更時にのみ生成され、その後資材搬入計画データ28に組み込まれる。資材搬入実績データ32は、中継集積所から各建設現場への実際の資材搬入実績を記録したデータである。資材搬入計画データ28と比較すると、未搬入の資材を確認できる。
【0023】
資材納入管理手段52は、各建物について、資材発注データ24と納入実績データ26とを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データ34を生成する機能を持つ。資材納入管理データ34は、資材メーカに対して欠品を連絡したり、不具合のあったものの交換を連絡する連絡書用データも含む。これにより、資材搬入日に計画どおり全ての資材が一括して建設現場に搬入できるかどうかを判定できる。欠品の場合には、資材搬入計画変更データ30が生成され、施工店端末14や建設現場端末20に送信される。さらに、資材搬入計画データ28が修正される。資材搬入管理手段54は、各建物について、資材搬入計画データ28を資材搬入計画変更データ30に基づいて修正し、少なくとも直近の資材搬入指示データ36を生成する機能を持つ。この搬入指示書は、資材搬入作業をする運送会社の担当者等に印刷して渡される。無事資材が搬入されると資材搬入完了報告38を受け入れて、資材搬入実績データ32を更新する。進捗管理手段56は、資材搬入実績データ32に基づいて、終了した工程と終了していない工程とを判定し、工事進捗状況データ40を生成する機能を持つ。
【0024】
以上のようなシステムを利用して資材を発注処理し、資材メーカから中継集積所に資材を一括納入させると、複数の建物の資材がまとめて中継集積所に納入される。その後、建物の建設現場への資材搬入計画データ28に基づいて、必要な複数の資材をまとめて、最適なタイミングで建設現場に搬入する。中継集積所で輸送手段を切り分けることにより、資材メーカからの資材の納入と建設現場への搬入の双方について、最も効率的な輸送システムを組むことができる。これにより、輸送コストや資材の搬入管理手数が十分に軽減される。
【0025】
なお、資材受発注システム12、施工店端末14、資材メーカ端末16、中継集積所端末18、建設現場端末20はいずれも、既知のパーソナルコンピュータにネットワーク接続機能を付与したものにより構成することができる。即ち、それぞれ演算処理装置と記憶装置とネットワークインタフェースを備えていれば、以下の処理を実行できる。各コンピュータが演算処理に必要なデータは、内蔵した記憶装置のみならず、外部記憶装置やネットワーク上の別のコンピュータの記憶装置を使用して記憶させておくことができる。また、専ら注文書や指示書等の帳票の送受信にのみ使用される端末はファクシミリ装置に置き換えることもできる。
【0026】
[資材の発注]
図1に示したように、資材受発注システム12を管理するコンピュータは、施主から建物を受注したときに作成される管理データ13を記憶する。この管理データ13には、建物の設計図面データや資材メーカリストが含まれる。資材受発注システム12を管理するコンピュータは、資材発注データ24を自動生成して、施工店端末14に送信する。即ち、施工店端末14には、資材受発注システム12から転送された設計図面データ23と資材発注データ24とが記憶される。建設会社と施工店とが建物の仕様及び工事日程等を打合わせる。その工事日程に基づいて、施工に必要な各種資材と納入日を指定して資材メーカに発注する。資材の納入日は建設現場への資材の搬入計画に従って決定される。資材の発注管理は、資材受発注システム12または中継集積所端末18で行う。以下の実施例では、中継集積所端末18で行う例を示す。図1のように、納入日を付加した資材発注データ24が中継集積所端末18に転送される。そして、中継集積所端末18から資材発注データ24が資材メーカ端末16に送信される。
【0027】
図3は資材発注関連データの内容説明図である。
中継集積所端末18では、図に示すような資材発注データ24を作成して資材メーカ端末16に送信する。資材発注データ24は資材メーカ別の発注書60を含む。資材メーカ別発注書60は、発注書の雛形61に、資材名62,発注数量63、資材納入先64、納入日65等のデータを含めたものである。資材納入先は中継集積所である。指定納入日は中継集積所への納入日を示す。この資材発注データ24に基づいて、納入実績データ26や資材納入管理データ34や移転登録情報42が順次更新される。納入実績データ26は、図のように、資材メーカ名と、発注した資材名と、その発注日と納入日とを含む。資材納入管理データ34は、図のように、資材メーカ名と発注した資材名と欠品連絡書や不具合連絡書等を含む。移転登録情報42は、図のように、資材メーカから施工店に管理責任が移転した移転日を含む。この移転日は資材の納品日である。あとで説明するように、資材発注データ24は資材搬入計画データ32を参照して生成される。資材搬入計画データ32は、図のように、建設現場と搬入資材と搬入日等を含む。なお、図のような資材発注データ24の全部を資材受発注システム12側で作成して、資材メーカ端末16に送信しても構わない。
【0028】
[管理責任の切り替え]
従来は、建設現場への資材の建設現場への搬入まで資材メーカに責任があった。従って、指定された日時に間違いなく搬入することが要求された。前倒しができないので都合良く他の資材との混載ができないこともある。また、遠地から輸送すると地理に不案内の運転手に電話等による道案内が必要で、運転手にも受け入れ側にも負担がかかった。さらに、建設現場に受け取り責任者がいないと時間待ちや持ち帰りが発生する。こうしたことが輸送コストのアップにつながった。全ての資材を中継集積所で受け入れ、発注のタイミングを制御して混載や前倒しの納入を可能にしたことで、この問題が解決する。
【0029】
ここで、中継集積所で資材を受け入れた後も資材メーカの責任で建設現場へ資材を搬入すると、従来の配送集荷センターのシステムと変わらなくなる。このシステムでは、中継集積所で資材を受け入れた後は資材の管理責任を建設会社あるいは施工店側に自動的に移転する。即ち、資材納入管理手段52は、新たな資材の納入データ入力により各建物の資材の納入実績データ26が更新されたとき、納入実績データ26に、資材の管理責任の施工側への移転登録情報42を含める。これにより、資材メーカの資材管理責任の終了時点を自動的に記録して、このシステムを適正に運用することができる。
【0030】
[資材の納入]
【0031】
図4は資材と資材メーカに指定した資材の納入日との関係を示す説明図である。
資材メーカはひとつの中継集積所が管轄する複数の建設現場向けの資材を随時受注する。この資材メーカは、A−Fの6種類の資材を生産しているものとする。資材メーカから中継集積所への資材の納入は、資材の輸送回数(コスト)が最小になるように、発送日と一括輸送される資材が選択される。資材発注データ24には納入日が表示されている。資材メーカ端末16は、現時点で受信済みの資材発注データ24に表示された資材のうち、中継集積所へ納入可能なもののリストを作成する。図の一点鎖線の枠内の納入日の資材がそのリストに含められる。このようにして、直近の納入日の資材から順番に1台の車両に積載して運搬する計画が生成される。
【0032】
例えば、今日が1日で、納入日が3日、4日、5日に指定された資材A−Fを積載すると丁度トラック1台分になるとき、3日にこれらの資材が中継集積所へ到着するように、発送分を決定するとよい。1台分ずつ納入日の近いものからまとめて発送する。3日から7日までの納入日のものを一括しても構わない。中継集積所は建設現場と異なり、ある程度まで資材の保管スペースに余裕があるからである。資材メーカ端末においてこのような演算処理を実行することにより、最小コストで資材を中継集積所へ納入できる。また、資材メーカは中継集積所へ資材を納入するところまで責任をもてばよいから、コスト計算が単純化できる。なお、5日に納入日が指定された資材を3日に納入するには前倒し生産が必要になる。また、相当量の在庫を持つ必要がある。発注側でこれを期待すると、売価コスト削減に結びつかない。そこで、次のようなタイミングで資材の発注を行う。
【0033】
図5は、資材発注データの送信タイミング説明図である。
上記の処理を無理なく可能にするために、中継集積所端末18から資材メーカに対して、資材発注データ24を所定のタイミングで送信する。送信する資材発注データ24に次のようにして決定した納品日を含める。まず、資材搬入計画データ28により指定された建設現場への資材の搬入日D1を参照する。そして、この搬入日D1から一定の予備日数Xだけ遡った日を納入日D2に指定する。予備日数Xは、たとえ資材の納入が数日遅れても搬入日に影響を与えない日数に定めておく。さらに、納入日D2から標準納期Yと調整日数Zを加えただけ遡った日を資材発注データの送信日(発注日D3)に設定する。
【0034】
標準納期Yは、資材の種類と資材メーカ固有の事情により決まる。これは資材搬入実績データ32を参照して決定する。例えば、最新の実績納期の平均値、即ち、同一資材の発注日から納入日までの日数の平均値を求めるとよい。さらに、資材メーカが複数の資材発注データに対して一括納入をし易いように、標準納期Yに調整日数Zを加算しておくことが好ましい。これで、前倒し生産や在庫増を強制する必要がなくなる。これらの演算処理を自動的に実行して資材発注データを送信すれば、資材メーカ側でも自動的に輸送費用の最適化を図ることが可能になる。上記予備日数Xは定数にしておくとよい。
【0035】
資材の納入実績データから求めた標準納期Yと調整日数Zとを加算した日数を、発注リードタイムと呼ぶことにする。発注リードタイムは、資材メーカの納入実績データを参照して演算処理すれば得られる。資材納入管理手段52(図1)は、建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、発注リードタイム分遡った日以前に、資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行する。注文書をメールで送信してもいいし、FAX送信してもいい。これで、自動的に最適のタイミングで発注ができる。発注リードタイムに予備日数Xやその他の余裕分をどの程度加えるかは、発注側の自由である。中継集積所の資材保管能力を考慮して決めればよい。こうして、資材の発注管理を支援することができる。
【0036】
[資材の搬入]
図6は資材の搬入計画説明図である。
中継集積所端末18は中継集積所から建設現場への資材の搬入計画を管理する。このシステムでは、建設現場への資材の搬入回数を予め、主要工事の種類に応じて決めた一定回数以内になるようにコンピュータ上で制限する。この実施例では、最大9回に制限しておく。図の例では、駆体工事時に一回、外部木工事と屋根工事時に一回、床工事時に二回、開口枠工事時に一回、壁・天井工事時と木仕上げ工事時にそれぞれ各二回に設定している。現場の状況、工事時期、建物の仕様を加味して、毎回搬入する資材の選定や搬入日を決める。この搬入日が入力されると、自動的に逆算をして、資材メーカから中継集積所に資材が納入される納入日が定められる。搬入日の数が制限を越えると入力を拒絶するとよい。この納入日が資材発注データに含められる。中継集積所端末18は資材搬入計画データ28を作成して、施工店端末14や建設現場端末20等に送信する。
【0037】
例えば、図6の例では、第1回目の現場搬入日が12月20日である。従って、該当する資材が資材メーカから中継集積所に納入される日を自動的に12月17日に設定する。なお、建設現場の事情で資材搬入計画が変更になったときには、資材搬入計画変更データ30を作成して処理する。資材を搬入したのに建設現場で受け入れされなかったとき、資材に不具合があって返品されたとき等にも、中継集積所端末18の管理で処理できるので、輸送コストや管理コストに大きく影響しない。即ち、自由にきめ細かく対応することができる。
【0038】
中継集積所から建設現場への資材の搬入は、建設現場固有の事情に合わせることが理想である。従来は資材メーカから資材が直送されていたから、現場への資材納入計画は資材メーカの事情も考慮された。しかしながら、本発明のシステムでは中継集積所に必要な資材が集積されており、中継集積所側で全てを管理できるから、工事の進捗に合わせて最適なタイミングで資材を搬入すればよい。これには、例えば、その日に必要な資材が前日に一括搬入されていることが最も好ましい。しかし、あまりきめ細かい搬入は輸送コストのアップになり、受け入れ管理も煩雑になる。そこで、上記のように標準的な主要工事と整合させて最適な現場搬入回数を設定した。
【0039】
例えば、その回数を9回とし、それを最大値に設定する。即ち、例えば、1件の木造住宅はトラック9台分の資材で建設できるという概算に基づいて搬入計画をたてると、搬入コストの最適化が図れる。あとは、工事進捗状況と資材の納入の遅れ等の事情に応じて微調整すればよい。例えば、図6で床工事のとき、3回目と4回目の現場搬入で、床下点検口の欠品があった。一方、木仕上げ工事で使用する掘炬燵については、早期に納入されていたので、3回目の搬入時に運搬をした。こうして、制限された搬入日の範囲で必要な資材を運搬できる。
【実施例2】
【0040】
図7は工事の進捗と資材搬入実績との関係を示す説明図である。
図2に示した記憶装置22には、図のように、搬入済み資材と搬入日と終了している工事との関係を示す工事進捗状況データ40を記憶した。進捗管理手段56は、図6に示した資材搬入実績データ32を参照して、終了している工程と終了していない工程とを判定し、工事進捗状況データ40を生成する機能を持つ。工事進捗状況データ40は、施工店の管理者や建設会社の管理部門でチェックされる。建設現場に新たな建設資材が搬入されたときには、前回搬入された資材を使用した工程はほぼ完了している。従って、資材搬入実績データ32が更新されたときに、前回納入した資材を使用した工程が完了したものとして、工事進捗状況管理をすることができる。これにより、施工業者から工事進捗状況の逐次報告がなくても、ほぼ正確に工事進捗状況の予測管理が可能になる。一般に、工事進捗状況の報告が遅れたり忘れられたりすることも少なくない。従って、このシステムで自動的に工事進捗状況の監視ができるのは、管理上きわめて有効である。
【実施例3】
【0041】
図8は資材受発注システムの処理動作フローチャートである。
この処理は、建設会社の資材受発注システム12が実行する。まず、ステップS11で資材受発注システム12内部の管理データの読み取りをする。そして、ステップS12で、資材発注データ24を自動的に生成する。この資材発注データ24を中継集積所端末18に転送する。ケースによっては、施工店端末14や資材メーカ端末16に転送する。中継集積所端末18が一切の発注管理をする場合には、資材発注データ24を資材受発注システム12から中継集積所端末18に直接転送するとよい。また、資材受発注システム12が施工店端末14から建設現場への搬入計画等の提出を受けて、資材発注データ24を資材メーカ端末16に転送するようにしてもよい。なお、発注後の管理は中継集積所端末18で行うので、中継集積所端末18は必ず資材発注データ24の転送を受ける。
【0042】
図9は、中継集積所端末の処理動作フローチャートである。
ここでは、中継集積所端末18が資材発注データ24に納入日等のデータを付加して資材メーカ端末16に送信する例を説明する。ステップS21では、資材受発注システム12から資材発注データを受信する。ステップS22では、施工店端末14等の情報を取得して、資材搬入計画データ28を生成する。ステップS23では、図5で説明をした予備日数を取得する。これは、施工店の事情や建設現場の事情に合わせて任意に決めてよい。ステップS24では、納入日を算出して決定する。
【0043】
ステップS25では、資材搬入実績データ32等を参照して標準納期と調整日数を取得する。ステップS26では、図5で説明をした要領で発注日を算出し決定をする。ステップS27では、ステップS23の結果とステップS26の結果を資材発注データ24に追加して更新をする。これで、いつでも資材発注データ24を資材メーカ端末16に送信できる状態になる。
【0044】
図10は、中継集積所端末の発注管理動作フローチャートである。
この実施例では、中継集積所から発注処理をして、その後の納入管理を進める。以下の処理は主として資材納入管理手段52が実行する。ステップS31では、カレンダデータ等を参照して、発注日が到達したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS32の処理に移行し、ノーのときは処理を終了する。ステップS32では、資材発注データ資材発注データ24を資材メーカ端末16に送信する。ステップS33では、資材納入データが入力されたかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS34の処理に移行し、ノーのときはステップS38の処理に移行する。ステップS34では、納入された資材について、それぞれ移転登録情報を生成して、例えば、該当する施工店に所有権を移転する。管理責任の主体を実質的に切り替えればよく、データ形式は任意である。
【0045】
ステップS35では、図3で説明をした納入実績データを生成する。ステップS36では、納入日遅れが発生したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS37の処理に移行し、ノーのときはステップS38の処理に移行する。ステップS37では、納入の遅れた資材について、搬入日を変更するために、資材搬入計画変更データを生成する。なお、図5で説明した予備日の範囲内であれば、搬入日の変更はない。従って、ステップS37の判断は、予備日以上に納入の遅れが発生した場合はに、ステップS38へすすむというように制御するとよい。ステップS38では、図3で説明した資材納入管理データ34を生成する。全ての資材について、このような管理を実行する。
【0046】
図11は、中継集積所端末の搬入管理動作フローチャートである。
ステップS41では、資材搬入計画データを生成する。これは図9ステップS22の処理と同じである。念のためにこのフローチャートの先頭に書いた。ステップS42では、資材搬入管理手段54が資材搬入計画変更データの入力かどうかという判断をする。資材搬入計画変更データの入力は施工店端末14や建設現場端末20から随時実行される。この判断の結果がイエスのときはステップS43の処理に移行し、ノーのときはステップS44の処理に移行する。ステップS43では、資材搬入計画データの更新をする。ステップS44では、カレンダデータ等を参照して、搬入日が到達したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS45の処理に移行し、ノーのときは処理を終了する。
【0047】
ステップS45では、資材搬入指示データの生成をする。ステップS46では、資材搬入指示データを資材の輸送担者に送信する。このデータは印刷されて、輸送担者に渡されけもよい。その後、資材の搬入報告を待つ。ステップS47では、資材搬入完了報告が入力したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS48の処理に移行し、ノーのときはそのまま待機する。ステップS48では、該当する資材の搬入を確認して、資材搬入実績データの生成をする。ステップS49では、図7で説明をした要領で工事進捗状況データを生成する。このデータは、必要に応じて資材受発注システム12等に転送される。この処理は進捗管理手段56が実行する。
【0048】
以上のシステムによれば、資材メーカは、中継集積所宛てに、複数の建設現場向けの資材を一括納入することができるので、輸送コストや資材納入管理コストを低減することができる。また、中継集積所から建設現場に対して、指定されたタイミングで必要な資材を一括して搬入することができるので、輸送コストを低減し、受け入れ作業等の手数も軽減できる。例えば、資材メーカから個別に資材が納入されると、同日に何台もの車両が納入のために現場に到着する。これは現場の交通量を増加させ、受け入れ業務も煩雑になる。例えば、建設現場に受け入れ担当者が不在のときは、持ち戻り等により輸送費が割り増しになる。一方、中継集積所に納入された資材のうち、その日に必要な資材を一括して該当する建設現場に搬入すると、搬入回数は最小限で済み、受け入れ手数も最小限で済む。
【0049】
また、遠方の資材メーカから資材が輸送されてくると、輸送担当者からそのつど建設現場の位置について問い合わせがくる。これに対応する業務も煩雑になる。中継集積所からその地域を良く知る輸送担当者が資材を搬入すると、こうした問い合わせは激減する。さらに、中継集積所からの資材搬入に慣れた輸送担当者によれば、資材の輸送中の破損事故も減少する。中継集積所への資材納入で資材メーカから施工者側に資材の所有権を移転できるので、責任範囲が明確になり、双方で管理コストを低減できる。
【0050】
また、工事の進捗状況に応じて、資材の搬入タイミングを自由にきめ細かく調整できるので、建設工事の円滑化に貢献する。中継集積所は比較的正確に資材搬入時刻等を建設現場に通知できるから、現場での作業効率もアップする。資材メーカから資材の納入管理と建設現場への資材搬入管理を一本化できるので、管理の最適化が容易である。実際に、この方法を実施して、資材メーカからの運送回数と建設現場への資材の搬入回数を同時に減少させることができた。資材メーカが直接建設現場に資材を搬入していた場合と比較して、炭酸ガス排出量を35%も削減でき、地球温暖化防止効果も大きいことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の建設資材の現場搬入管理システムを示す概念図である。
【図2】中継集積所端末の具体的な機能ブロック図である。
【図3】資材発注関連データの内容説明図である。
【図4】資材と資材メーカに指定した資材の納入日との関係を示す説明図である。
【図5】資材発注データの送信タイミング説明図である。
【図6】資材の搬入計画説明図である。
【図7】工事の進捗と資材搬入実績との関係を示す説明図である。
【図8】資材受発注システムの処理動作フローチャートである。
【図9】中継集積所端末の処理動作フローチャートである。
【図10】中継集積所端末の発注管理動作フローチャートである。
【図11】中継集積所端末の搬入管理動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
10 建設資材の現場搬入管理システム
13 管理データ
12 資材受発注システム
14 施工店端末
16 資材メーカ端末
18 中継集積所端末
20 建設現場端末
24 資材発注データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データと、前記資材の中継集積所への納入実績データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データと、前記中継集積所から前記各建設現場への資材搬入実績データとを記憶した記憶装置と、
前記各建物について、前記資材発注データと前記納入実績データとを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データを生成する資材納入管理手段と、
前記各建物について、前記資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データを生成し、資材搬入完了報告を受け入れて、前記資材搬入実績データを更新する資材搬入管理手段とを備えたことを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、
前記記憶装置に、使用資材と建設工事の工程との関係を示す工程管理データを記憶し、
前記資材搬入実績データと前記工程管理データとを比較して、終了した工程と終了していない工程とを判定し、工事進捗状況データを生成する進捗管理手段を備えたことを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、
前記資材納入管理手段は、
新たな資材の納入データ入力により前記各建物の資材の納入実績データが更新されたとき、当該納入実績データに、当該資材の管理責任の施工側への移転登録情報を含めることを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、
前記資材納入管理手段は、
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、その資材の納入実績データから求めた標準納期と一括納品を可能にする調整日数を加算した発注リードタイム分遡った日以前に、前記資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行することを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、
前記資材納入管理手段は、
建設現場への資材の搬入回数を、主要工事の種類に応じて一定回数以内になるように制限し、当該制限内で搬入日が入力されると、当該搬入日から自動的に一定日数だけ遡る逆算をして、資材メーカから中継集積所に資材が納入される納入日を算出し、この納入日を資材発注データに含めることを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項6】
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データに基づいて生産される資材であって、前記複数の建物に使用される同一資材メーカの資材を1台の車両に一括積載して中継集積所へ運搬し、前記資材の納入結果を納入実績データに記録し、同時に、前記建物ごとに、資材の管理責任の施工側への移転登録を実行し、
前記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データに基づいて、複数の資材メーカにより納入された資材を1台の車両に一括積載して、前記各建設現場へ、指定されたタイミングで搬入することを特徴とする建設資材の現場搬入方法。
【請求項7】
コンピュータを、
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データと、前記資材の中継集積所への納入実績データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データと、前記中継集積所から前記各建設現場への資材搬入実績データとを記憶した記憶装置と、
前記各建物について、前記資材発注データと前記納入実績データとを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データを生成する資材納入管理手段と、
前記各建物について、前記資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データを生成し、資材搬入完了報告を受け入れて、前記資材搬入実績データを更新する資材搬入管理手段とを備え、
前記資材納入管理手段は、
前記複数の建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、その資材の納入実績データから求めた標準納期と一括納品を可能にする調整日数を加算した発注リードタイム分遡った日以前に、前記資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行するもの、
として機能させる建設資材の現場搬入管理プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データと、前記資材の中継集積所への納入実績データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データと、前記中継集積所から前記各建設現場への資材搬入実績データとを記憶した記憶装置と、
前記各建物について、前記資材発注データと前記納入実績データとを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データを生成する資材納入管理手段と、
前記各建物について、前記資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データを生成し、資材搬入完了報告を受け入れて、前記資材搬入実績データを更新する資材搬入管理手段とを備えたことを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、
前記記憶装置に、使用資材と建設工事の工程との関係を示す工程管理データを記憶し、
前記資材搬入実績データと前記工程管理データとを比較して、終了した工程と終了していない工程とを判定し、工事進捗状況データを生成する進捗管理手段を備えたことを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、
前記資材納入管理手段は、
新たな資材の納入データ入力により前記各建物の資材の納入実績データが更新されたとき、当該納入実績データに、当該資材の管理責任の施工側への移転登録情報を含めることを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、
前記資材納入管理手段は、
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、その資材の納入実績データから求めた標準納期と一括納品を可能にする調整日数を加算した発注リードタイム分遡った日以前に、前記資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行することを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の建設資材の現場搬入管理システムにおいて、
前記資材納入管理手段は、
建設現場への資材の搬入回数を、主要工事の種類に応じて一定回数以内になるように制限し、当該制限内で搬入日が入力されると、当該搬入日から自動的に一定日数だけ遡る逆算をして、資材メーカから中継集積所に資材が納入される納入日を算出し、この納入日を資材発注データに含めることを特徴とする建設資材の現場搬入管理システム。
【請求項6】
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データに基づいて生産される資材であって、前記複数の建物に使用される同一資材メーカの資材を1台の車両に一括積載して中継集積所へ運搬し、前記資材の納入結果を納入実績データに記録し、同時に、前記建物ごとに、資材の管理責任の施工側への移転登録を実行し、
前記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データに基づいて、複数の資材メーカにより納入された資材を1台の車両に一括積載して、前記各建設現場へ、指定されたタイミングで搬入することを特徴とする建設資材の現場搬入方法。
【請求項7】
コンピュータを、
それぞれ独自に設計され独自に施工される複数の建物の資材発注データと、前記資材の中継集積所への納入実績データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画データと、前記各建物の建設現場への資材搬入計画変更データと、前記中継集積所から前記各建設現場への資材搬入実績データとを記憶した記憶装置と、
前記各建物について、前記資材発注データと前記納入実績データとを比較して、不足資材の有無の表示を含む資材納入管理データを生成する資材納入管理手段と、
前記各建物について、前記資材搬入計画データと資材搬入計画変更データとを参照して、少なくとも直近の資材搬入指示データを生成し、資材搬入完了報告を受け入れて、前記資材搬入実績データを更新する資材搬入管理手段とを備え、
前記資材納入管理手段は、
前記複数の建物の資材の現場搬入日が指定されたとき、当該資材の発注データであって、当該資材名と数量と納入日とを含むデータを生成し、その資材の納入実績データから求めた標準納期と一括納品を可能にする調整日数を加算した発注リードタイム分遡った日以前に、前記資材発注データを資材メーカ端末16に送信する制御を実行するもの、
として機能させる建設資材の現場搬入管理プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−158920(P2008−158920A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348995(P2006−348995)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】
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