説明

建造物又は設備を保護する装置

本発明は、建造物又は設備を、該建造物又は設備の少なくとも一部の周りに張設されたワイヤロープによって、外的な影響に対して保護する装置に関する。このような装置において本発明の構成では、ワイヤロープが引張り力下にあり、ワイヤロープの端部又は延長部が、ガイドを備えた緊締体に配置されていて、該ガイドは、引張り力の上昇時に緊締体による逆向きの抵抗力(Reactio)が引張り力にほぼ比例して増大するように、形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物又は設備を、該建造物又は設備の少なくとも一部の周りに張設されたワイヤロープによって、外的な影響に対して保護する装置に関する。
【0002】
このような装置はDE10155174A1に記載されている。この公知の構成では、外的な影響に対する保護のために、保護を必要とする建造物又は設備、例えば高い毒性又は高い爆発性の物質を有する化学設備、原子力発電所、又は重要な公的建造物は、張設された少なくとも太さ5mmのワイヤロープで取り囲まれる。そしてワイヤロープは特に、目標を定めて制御される飛行機による建造物又は設備に対する攻撃を阻止するために働く。なお本明細書中において飛行機という表現は、飛行機及びこれに類した種々の飛行物体を含む。
【0003】
明らかなことであるが、この場合ワイヤロープは、目標を定めて制御される飛行機であれ飛行機事故であれ、飛行機部分に対して切断工具のように作用し、ワイヤロープが既に、衝突する飛行機の運動エネルギの大部分を吸収し、この際に飛行機の一部は既に損傷又は破壊される。さらにワイヤロープへの飛行機の衝突は、建造物に対するワイヤロープの距離に相応して、回避不能な爆発を早期に促し、これによって爆発の衝撃は緩和されて建造物に達することになる。張り巡らされた張設されたロープは、確かに、飛行機部分が建造物に落下することを阻止することはできないが、しかしながらこれによって引き起こされる損傷は、建造物又は設備内に飛行機が突入した場合における損傷に比べて著しく僅かであり、建造物又は設備内に飛行機が突入した場合には、建造物又は設備の内部においてケロシンによる火災が壊滅的な被害を及ぼす。ロープの配置形式、特にロープの相互間隔、建造物からのロープの距離及びロープの太さは、その都度所望の保護条件に合わせることが可能であり、もしくは建造物に対する増設もしくは後付けにかけることのできる費用に合わせることが可能である。
【0004】
ワイヤロープの切断効果及びこれによる装置の保護作用のための前提条件としてはしかしながら、張設されたワイヤロープ自体が裂断しないということが挙げられる。この理由から前記刊行物に開示された構成では、ワイヤロープを弾性的な部材、有利にはコイルばねと結合していて、これによってワイヤロープのアンカー部もしくは引留め部の弾性度が改善される。しかしながら実際には、戻し力を規定する方向定数(Direktionskonstante)を可能な限り最良にするように、かつこの方向定数が長時間にわたって維持されるように、弾性体を選択することは極めて困難である。このような問題は、冒頭に挙げた刊行物に開示された保護装置のみならず、あらゆる所、つまり引張り負荷されるワイヤロープがワイヤロープ緊締装置において確実に緊締されることが望まれているあらゆる所に、存在する。
【0005】
ゆえに本発明の課題は、建造物又は設備を、該建造物又は設備の少なくとも一部の周りに張設されたワイヤロープによって、外的な影響に対して保護する装置を改良して、ワイヤロープに対して作用する引張り力(Actio)の上昇時に、可能な限り良好に合わせられた抵抗力(Reactio)がワイヤロープ緊締装置において簡単な形式で生ぜしめられるようにすることである。
【0006】
この課題を解決するために本発明では、請求項1記載のように構成された装置が提案され、この本発明による装置では、ワイヤロープが引張り力もしくは引張り応力下にあり、ワイヤロープの端部又は延長部が、ガイドを備えた緊締体に配置されていて、該ガイドは、引張り力の上昇時に緊締体による逆向きの抵抗力(Reactio)が引張り力にほぼ比例して増大するように、形成されている。
【0007】
このような構成のためには、以下において詳しく述べるように種々様々な解決策の可能性がある。まず初めに、ワイヤロープ端部及び/又は該ワイヤロープ端部の延長部のための(中空管状の)ガイドを円錐形に形成することが可能であり、このように構成されていると、無負荷状態又は僅かしか負荷されていない状態において、ワイヤロープ外周壁はガイド内周壁に接触しているか又はガイド内周壁に対して間隔をおいて位置している。引張り負荷によってワイヤロープは、先細になる円錐形に引き込まれ、この際にまず初めに付加的な摩擦力が有効になり、後で変形力が有効になる。この解決策は、純粋に幾何学的にシリコーン構造もしくはガイドによって得ることができ、場合によってはしかしながらまた機械的に、この場合例えば距離測定器を介して制御される作用機構を介して、ガイド内周壁が先細になる、もしくは小さくなる。同様なことは、ワイヤロープ端部に結合された延長部に対しても言えることであり、この延長部は、例えばベルト状のような他の部材形状を有することができる。
【0008】
本発明の別の構成では、ワイヤロープ又は該ワイヤロープの延長部のためのガイドの内周壁の材料が、ワイヤロープ端部もしくは延長部の材料よりも硬質であり、このように構成すると、先細になるガイドへのワイヤロープ端部又は延長部の引込み時に、ワイヤロープ又はその延長部は小さな外径へと変形されねばならない。この場合外径は有利には次のように、すなわちワイヤロープ又はその延長部が相対運動時にガイドによって引張り力の方向で塑性変形されるように、設定される。
【0009】
基本的にはまた、ワイヤロープ端部を、互いに対して鋭角的に案内される複数の部分ロープに分割することも可能であり、この場合これらの部分ロープはそれぞれ互いに間隔をおいて保持されるので、ワイヤロープの円錐形の端部区分はこれらのワイヤロープ端部によって形成される。
【0010】
緊締体のガイドは、周囲を閉鎖された円錐形の管から成っていても、又は互いに角度を成して配置された複数のクランプジョー又はばね負荷されたローラから成っていてもよい。
【0011】
ワイヤロープ端部及び/又はその延長部は、その都度大きな直径に向かって複数回段付けされて形成されていても良く、このように構成されていると、ワイヤロープは引張り力の作用時において急に撓むことになる。ワイヤロープ端部摩擦ライニングは延長部の直径が(無段階式に)連続的に増大している場合には、材料の変形率及び素材に関連して、抵抗力はほぼ直径の拡大に比例して増大する。本発明のよる構造は、直径の太い材料が直径を減少させながら引っ張られるダイスと比較することができる。基本的には、変形時に有効な力によって規定される抵抗は、建造物又は設備を保護するために働くすべてのロープに対して、同じであることが望ましい。しかしながら特別な場合には、種々様々なロープにおいて種々異なった抵抗力を設けることも可能であり、例えば単数又は複数のロープが、比較的小さな負荷において他のロープよりも早期に裂断するように構成することも可能である。このような種々異なった抵抗力もしくはロープ裂断が制御されて生ぜしめられると、場合によっては、衝突する飛行機の飛行軌道を変化させることができる。
【0012】
本発明の別の有利な構成では、複数のロープが金属薄板状の条片と結合されており、このような条片は、緊締装置内に保持されていて、その幅は、ロープと接続端部との距離が大きくなるに連れて増大している。場合によっては金属薄板体もまた巻き取られていてもよい。固定されたロープの引張り負荷時において有効な力の方向におけるロープの相対運動は、金属薄板の塑性変形によってのみ可能である。
【0013】
切断作用を高めるためにさらに別の構成では、ワイヤロープの表面が少なくとも部分領域において、高温プレスされた研磨切断物質によって被覆されているか又は、ワイヤロープがフック又は類似の裂断もしくは切断器具を備えている。択一的にワイヤロープは、ナイフのエッジのような楕円形もしくはブレード形の横断面を有していてもよい。ナイフエッジに相応して、切断作用を最適化するためにワイヤロープ・カッティングエッジは波形斜面(Wellenschliff)を備えていることもできる。本発明の別の構成では、攻撃する飛行機に対して最大可能な破壊作用を加えるために、ワイヤロープを高い緊張下にもたらすこと及び/又はワイヤロープに爆発物(Sprengkoerper)を取り付けることも可能である。建造物又は設備の外部における飛行機の破壊が大きければ大きいほど、飛行機及び該飛行機と共に極めて危険なケロシンが建造物又は設備内に達する蓋然性は小さくなる。ケロシンに起因する危険は、それが発火して、火炎が建造物又は設備の内部において燃え広がることにある。火炎及びこれによって発生した熱が支持構造に対して作用すると、例えば世界貿易センタービルのツインタワーにおけるような崩壊を招く。
【0014】
本発明の別の構成では、ワイヤロープが、建造物又は設備のファッサード平面及び/又はルーフ平面に、収納のために受容可能である。
【0015】
保護すべき建造物又は保護すべき設備のファッサード平面及び/又はルーフ平面にワイヤロープを収納すると、装置が観察者の視野に入らなくなるだけではなく、このような構成は、建造物又は設備を外的な影響から保護する必要のない時のために、ワイヤロープを確実に保管するために役立つ。そしてこれによって、装置自体が持続的に張設されたワイヤロープにおいて外的な影響によって、故意であれ故意でない場合であれ、損傷されることが、回避される。
【0016】
保管のためには、ワイヤロープが成形体によって受容されていると有利であり、この場合成形体は、ファッサード平面及び/又はルーフ平面に埋め込まれているか又は、例えば既に存在している建造物又は設備に後から設けられる場合には、後でファッサード平面及び/又はルーフ平面に装着される。このような成形体はそれぞれ単独で又はファッサード構造と一緒に中空室を形成している。張設のためにワイヤロープは中空室から引き出される。
【0017】
ファッサード平面及び/又はルーフ平面に埋め込まれた又は装着された、ワイヤロープを受容するための成形体は、ファッサードデザインもしくはルーフデザインに利用され、もしくは所与のデザインに合わせられるので、それ自体ファッサード構造もしくはルーフ構造の一構成部分と認識され、美観を損なうことはない。建造物又は設備の外観が損なわれることは、特に、デザイン自体に大きな意味がある公的な建造物又は設備では、不都合である。
【0018】
さらに本発明による装置は、意識的にデザインに役立つエレメントとして使用されることもできる。
【0019】
保護装置の別の構成では、ワイヤロープの端部又は延長部が保持されている緊締体が、建造物又は設備に摺動可能に取り付けられている。さらに別の構成では、建造物又は設備の周囲に星形に配置されたレールが、地面に埋め込まれていて、この地面に埋められたレールに沿って、緊締体もしくは緊締体を受容するための摺動可能なシューが運動可能である。ワイヤロープがファサードの上側の終端部に、ルーフに又は該ルーフに設置された中央のマストに固定されている場合に、建造物又は設備からの、レールにおける緊締体もしくはシューの離反運動によって、ワイヤロープはその受容部から引き出されて張設される。ワイヤロープの裂断が望まれているような場合のためには、複数のロープが受容部に並んで配置されていて、これらのロープが相前後して張設可能であり、このようになっていると、張設動作を繰り返すことが可能であり、これにより装置を新たに準備することができる。そのためにシューは、航空母艦のキャッチロープに似たキャッチ装置を備えていてもよく、その結果シューは張設されたロープの損傷時に戻って、後続のロープを掴み、引き出して張設する。
【0020】
本発明による装置の別の有利な構成では、ワイヤロープが、同様にファッサード領域及び/又はルーフ領域に配置されている成形体と結合されていて、該成形体が回転もしくは旋回可能及び/又は摺動可能であり、その結果、成形体の相応な運動によってワイヤロープは収容部から引き出されて張設される。このような構成によれば、地面近傍におけるワイヤロープ及び/又は成形体の配置を省くことができ、その結果、周りに位置する開発面及び交通面を引き続き利用することができる。さらに、地面近くの張設されたワイヤロープによって人が怪我をすることが阻止される。
【0021】
本発明の別の構成では、フレーム構造体が別のファッサード平面として本来のファッサードの前に設置されている。フレーム構造体は地面に設けられたレールを介して回転可能及び/又は摺動可能に支承されており、その結果、建造物又は設備に対するフレームのポジションは可変であり、例えば建造物又は設備に対するフレームの距離を増大させることや建造物を中心にしてフレームを回転させることができる。ワイヤロープはフレームの内部に収納されていて、必要な場合にカーテンのようにフレームから引き出されて張設される。ワイヤロープは水平に及び/又は鉛直に及び/又は対角線状にもしくは任意の角度で配置されていて、ネット構造体を形成することができる。
【0022】
ファッサードの前に設置されたフレームはさらに別の機能を果たすことができる。例えばフレームは、建造物又は設備を暗闇において照らし出す投光器及びこれに類したものを受容することができる。フレームは建築上のエレメントとして使用可能であり、設計段階で、新たに建てられる建造物又は設備のプランニングに取り入れられると有利である。しかしながらまた既存の建造物を、後から設置されるフレームによってグレードアップさせることも可能である。
【0023】
装置が中央の制御装置を有していて、警報システムに接続されていると有利である。警報発生時に装置は手動又は自動的に活性化され、この際にワイヤロープは受容部から引き出されて張設される。ワイヤロープが固定されている成形体の回転運動もしくは旋回運動及び/又は摺動運動が行われている間、警報が出され、その結果、場合によっては装置の運動空間にいる人はそのことに気付いて、適宜待避することができる。
【0024】
次に図面を参照しながら本発明による装置の実施例を説明する。
【0025】
図1は、緊締体のガイド内に保持されたワイヤロープ端部を概略的に示す図であり、
図2は、ルーフ領域に進出及び旋回可能な成形体を備えた建造物を示す概略図であり、
図3は、ルーフ領域に旋回可能な成形体を備えた建造物を示す概略図であり、
図4は、ルーフ領域に扇状に開放旋回可能な成形体を備えた建造物を示す概略図であり、
図5は、ファッサード領域に摺動可能及び開放旋回可能な成形体を備えた建造物を示す概略図であり、
図6は、ファッサードの前に設置された回転可能もしくは摺動可能なフレーム構造体を備えた建造物を示す概略図であり、
図7は、ファッサードの前に設置されたフレーム構造体を示す概略図である。
【0026】
図1に示された緊締装置10は、円錐形の内周面を備えたガイド11を有している。ワイヤロープは直径の小さな部分領域12と、円錐形の拡大部を備えた中央領域13と、円筒形の端部領域14とを有している。ワイヤロープが引張り力を加えられて矢印15の方向に運動されると、中央領域13の円錐形の外周面16はガイドの円錐形の内周面11へと移動し、その後では矢印15の方向におけるワイヤロープのさらなる運動は、ワイヤロープがより小さな直径へと塑性変形されない限り、不可能である。本発明によるワイヤロープ緊締装置によって、一方では、しっかりとした非可撓性の緊締が保証されるが、この緊締はしかしながら著しい引張り力増大の場合にはなお十分に可撓性であり、これによって完全に剛性の緊締装置におけるようなロープの裂断を回避することができるようになっている。また他方ではこの緊締装置は、極めて大きな可撓性は有しておらず、つまりばね緊締装置におけるような大きな可撓性もしくは使用時においていつまでも生じ得るような可撓性は有していない。本発明によるワイヤロープ緊締装置は特に次のような利点、すなわちばねにおいて生じ得るような不都合な振動が始めから回避されるという利点を有している。
【0027】
択一的な実施形態において、外周面16の移行部は階段状に形成されていてもよい。緊締装置10は位置固定のジョーから成っていても又は間隔を変化可能なジョーから成っていてもよい。ワイヤロープ端部は場合によっては、ベルト状に形成されていてもよい延長部と結合されていてもよく、この場合この延長部は相応に緊締装置10を介して変形可能な領域を有している。
【0028】
図2に略示された建造物21は、鉛直に延びていてファッサードに組み込まれた受容成形部22を、ワイヤロープを収納(Verwahrung)するために有している。本発明による装置の作用形式は例えば張設されたワイヤロープ23に示されている。ワイヤロープ23を張設するために、ワイヤロープ23の上端部が固定されていてルーフ平面に配置された成形体24が、矢印aの方向に進出させられ、矢印bの方向で上方に向かって旋回させられる。成形体24の運動によってワイヤロープ23は受容部から引っ張り出されて、緊張下で設置され、つまり張設される。ワイヤロープ23の下端部は受容部において摺動可能に保持され、矢印cの方向に移動させられる。
【0029】
図3には、図2に示された装置の変化実施例が示されている。この実施例では、進出可能な成形体の代わりに、旋回可能な成形体25が中央のマスト26に支持されていて、円錐形のルーフを形成している。この場合円錐形は建造物の基本形状から生ぜしめられ、この基本形状は必ずしも円である必要はない。ワイヤロープ23を張設するために成形体25は、マスト先端から離反するように外方に向かって矢印dの方向に旋回させられる。成形体25の自由端部に結合されているワイヤロープ23は一緒に導かれる。この際にワイヤロープ23の基点は、図2に示された実施例におけるように矢印cの方向で移動させられる。ワイヤロープ23の上端部はマスト26の先端と結合されている。ワイヤロープ23に付加的な長さを与えるために、ワイヤ部分23の上端部はマスト26内にも収納されていて、張設のために引っ張り出されることができる。
【0030】
図4に示された本発明による装置は、互いに内外に位置する複数の成形体27から成っており、これらの成形体27は、ルーフ平面に配置されていて、ワイヤロープ23の張設のために扇状に矢印eの方向で開放旋回可能である。開放旋回時にワイヤロープ23は一緒に導かれて、ルーフ平面における収納部から引き出される。
【0031】
図5に示された構成では、ワイヤロープは再びファッサード平面に収納される。この実施例においても同様に、矢印fの方向に移動可能でかつ矢印gの方向に開放旋回可能な複数の成形体28が配置されている。成形体28の旋回可能な脚の自由端部には、ワイヤロープ23が固定されているので、これらのワイヤロープ23は成形体28の旋回運動時に一緒に導かれて、張設される。図面には右側に成形体28の開放旋回が示され、左側に移動が示されている。
【0032】
上に述べた実施例とは択一的な実施例が図6及び図7に示されており、この実施例では、ファッサードの前にフレーム構造体29;29′が設置されており、このフレーム構造体29;29′のポジションは建造物に関連して変化可能である。
【0033】
図6には、建造物21に対して間隔をおいて位置するフレーム29が示されている。このフレーム29のサイド部分に、ワイヤロープ23が収納される。ワイヤロープの両端部、ここでは上端部及び下端部は、フレーム29内に移動可能に保持されるので、ワイヤロープ23はカーテンのように、収納部から矢印iの方向で引き出されることができる。フレーム29は、地面に埋設されたレール20を介して、移動させられることができ、つまり建造物21を中心にして該建造物21を取り囲むように設置されることができる(矢印h参照)。遮蔽体もしくはシールド(Schutzschild)のように、フレーム29は、単に建造物の所定領域だけが保護されるように、位置決めされることができる。
【0034】
図7の実施例では建造物21は方形の基本形状を有している。この建造物はしかしながら他の形状を有することも可能である。フレーム29′は、地面に埋設されたレール20を介して建造物21から離れるように矢印jの方向に移動させられる。これによって建造物21に対するフレーム29′の距離が増大される。ワイヤロープ23は、図6に示された構成におけるように、フレーム29′のサイド部分に収納されていて、必要に応じて引き出される。
【0035】
本発明による装置は、建造物又は設備の所定の基本形状に縛られるものではなく、また所定のファッサード構造又はルーフ構造に縛られるものでもない。従って装置は後から、現存の建造物又は現存の設備に取り付けられることができる。さらに、図示されたすべての実施形態は互いに組み合わせることができるので、特に高い建造物では、例えば図4及び図5に示された構成の組合せが保護装置として有利である。このようにすると、ルーフ又は上側のファッサード領域は図4に示された装置によって保護され、その下に位置する領域は図5に示された装置によって保護される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】緊締体のガイド内に保持されたワイヤロープ端部を概略的に示す図である。
【図2】ルーフ領域に進出及び旋回可能な成形体を備えた建造物を示す概略図である。
【図3】ルーフ領域に旋回可能な成形体を備えた建造物を示す概略図である。
【図4】ルーフ領域に扇状に開放旋回可能な成形体を備えた建造物を示す概略図である。
【図5】ファッサード領域に摺動可能及び開放旋回可能な成形体を備えた建造物を示す概略図である。
【図6】ファッサードの前に設置された回転可能もしくは摺動可能なフレーム構造体を備えた建造物を示す概略図である。
【図7】ファッサードの前に設置されたフレーム構造体を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物又は設備を、該建造物又は設備の少なくとも一部の周りに張設されたワイヤロープによって、外的な影響に対して保護する装置であって、ワイヤロープが引張り力下にあり、ワイヤロープの端部又は延長部が、ガイド(11)を備えた緊締体(10)に配置されていて、該ガイド(11)は、引張り力の上昇時に緊締体(10)による逆向きの抵抗力(Reactio)が引張り力にほぼ比例して増大するように、形成されていることを特徴とする、建造物又は設備を保護する装置。
【請求項2】
ワイヤロープ端部(13)及び/又は該ワイヤロープ端部の延長部のためのガイド(11)が、引張り力(15)の方向で先細に、有利には円錐形に先細になる外周面を有している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
緊締体(10)のガイド(11)の内周壁の材料が、ワイヤロープ端部(13)又は該ワイヤロープ端部の延長部の材料よりも硬質である、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
ワイヤロープ又は該ワイヤロープの延長部が、相対運動時にガイド(11)によって引張り力の方向で塑性変形される、請求項3記載の装置。
【請求項5】
ワイヤロープ又は該ワイヤロープの延長部が、互いに対して鋭角的に案内される複数の部分ロープに分割されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
ワイヤロープ又は該ワイヤロープの延長部のためのガイド(11)が、個々に互いに角度を成して配置された複数のクランプジョー又はばね負荷されたローラから形成される、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
ワイヤロープ延長部がベルト状の部材から成っていて、該ベルト状の部材が有利にはローラに巻き取られている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
ワイヤロープ又はワイヤロープ延長部が、複数回段付けされているか又は連続的に拡大するように形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
種々異なったロープの抵抗力が、異なった大きさであるか又は、種々異なったロープが異なった耐摩耗性を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
ワイヤロープ(23)が、建造物又は設備のファッサード平面及び/又はルーフ平面に、収納のために受容可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
建造物又は設備の前に設置されたフレーム(29,29′)が別のファッサード平面を形成していて、該ファッサード平面にワイヤロープが収納のために受容可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
装着された又はファッサード平面及び/又はルーフ平面に埋め込まれた成形体(22)が、中空室を形成していて、該中空室内にワイヤロープが収納のために受容可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
ワイヤロープ(23)の端部又は延長部が保持されている緊締体(10)が、建造物又は設備に摺動可能に取り付けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
ワイヤロープ(23)が、装着された又はファッサード平面及び/又はルーフ平面に埋め込まれた成形体(24,25,27,28)と結合されていて、該成形体(24,25,27,28)が回転もしくは旋回可能及び/又は摺動可能である、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
成形体(24,25,27,28)が回転運動もしくは旋回運動及び/又は摺動運動によって、ワイヤロープ(23)を収納部から引き出して張設する、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
成形体(24,25,27,28)及び/又はフレーム(29,29′)が主として金属から成っている、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
張設されたワイヤロープ(23)がネット構造体を形成する、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
成形体(24,25,27,28)及び/又はフレーム(29,29′)の回転運動もしくは旋回運動及び/又は摺動運動が、中央において制御可能である、請求項1から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
制御装置が警報システムに接続可能である、請求項18記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−532800(P2007−532800A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506645(P2007−506645)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000538
【国際公開番号】WO2005/098173
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506277502)
【氏名又は名称原語表記】Egon Evertz
【住所又は居所原語表記】Vorlaenderstrasse 23, D−42659 Solingen, Germany
【Fターム(参考)】