説明

弁構造体及びこの弁構造体を用いた電池

【課題】分解ガスの影響を受けず安定的に機能を発揮可能な弁構造体を提供する。
【解決手段】弁構造体は、本体61と、本体61の底面に対して略垂直方向に伸び、取り付け対象の孔に挿入可能な係止構造62とを具備する。係止構造62は、底面の周囲から略垂直方向に伸びる複数の差し込み部62bと、複数の差し込み部の62b各々の先端部分に設けられ、略垂直方向から外側に向いた突起部62cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス抜き弁及びガス抜き弁を用いたリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電池としてはリチウム二次電池のような二次電池が知られている。その二次電池は、充電を行うことにより繰り返して使用(放電)することが可能である。その充電時や使用時(放電時)、製造過程での電解液注入時に、二次電池は微量の分解ガスを発生する場合がある。その分解ガスが蓄積すると、電池容器の内圧が徐々に継続して上昇することになる。そして、そのような状態を長期間放置すると、その内圧が電池容器の許容圧力を超える場合も起こり得る。また、何らかの原因で二次電池内部に異常が発生したとき、内圧が上昇する場合も起こり得る。そのような場合に対処するために、二次電池には一般に安全弁(例示:破裂板(ラプチャーディスク))が取り付けられている。ただし、このような安全弁は、作動時に破壊されるため、破壊後に継続使用は出来ない。
【0003】
また、二次電池には、製造過程において、電池蓋を溶接された電池容器に電解液を注入する。電池蓋をされた電池容器には、内部に正極及び負極が配設され、電池蓋に設けられた正極端子及び負極端子にそれぞれ接続されている。電解液は、電池蓋の注入口から注入される。電解液の注入後、注入口を封止プラグで塞いで容器を密閉する。これにより、二次電池の基本的な構成が完成する。
【0004】
継続使用が可能で、二次電池の内圧が電池容器の許容圧力を超えない範囲に抑える目的で設けられたガス放出弁(ガス抜き弁)が、特許文献1に開示されている。特許文献1の固体型クロム−フッ素−リチウム二次電池のガス放出弁は、ガス放出穴を含む上部ボディ部分と、ゴム片と、ガス放出孔が設けられたベースプレートとを含んでいる。電解質の溶媒から発生するガスの内部ガス圧が所定のレベルを超えると、ガス放出孔からのガスは、ゴム片の底面に上方への圧力を負荷する。その結果、そのガスは、ゴム片を張出させ、ゴム片の環状縁とベースプレートとの間に残された隙間を介して上部ボディ部分内に達する。そして、そのガスは、上部ボディ部分のガス放出穴を介して外部環境に流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−210379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ガス放出弁(ガス抜き弁)を電池蓋に取り付ける方法については特許文献1に開示されていないが、例えば、内圧に対向するために、レーザー溶接のような手法や、弁及び電池蓋のいずれか一方にオネジ構造、他方にメネジ構造を設ける手法が考えられる。ここで、レーザー溶接のような手法は、手間や時間、コストがかかる。また、ネジ構造を用いる手法は、オネジ構造とメネジ構造との間のかみ合わせが悪い場合、切粉が発生する可能性が考えられる。その場合、その切粉が電池内部に混入することにより、電池の性能や安全性に悪影響を及ぼすことが懸念される。手間や時間、コストがかからず、電池の性能や安全性に影響を及ぼさない技術が望まれる。
【0007】
また、上記ガス放出弁(ガス抜き弁)は、分解ガスの放出時に、ゴム片の表面が腐食等の影響で変形したり、ゴム片が流速の速いガスにより急激な変形を受けたりすることが考えられる。そのような変形が一箇所でも起こると、ゴム片が薄い膜形状であるため、その変形を矯正するような力が働き難く、変形がそのまま残存することが考えられる。その結果、ゴム片とベースプレートとの間に隙間が出来て、常時ガスリークする可能性があり、ガス放出弁としての機能を果たせなくなると考えられる。分解ガスの影響を受けず安定的に機能を発揮可能な技術が望まれる。
【0008】
更に、封止プラグを電池蓋に取り付ける方法として、封止プラグ及び電池蓋のいずれか一方にオネジ構造、他方にメネジ構造を設けるネジ取り付け方式が考えられる。しかし、そのようなネジ取り付け方式には以下の欠点がある。すなわち、ネジ締め付け時に、オネジ構造とメネジ構造との間のかみ合わせが悪い場合、金属の切粉が発生する可能性が考えられる。その場合、その金属の切粉が電池内部に混入することにより、電池の性能や安全性の低下に繋がるというリスクが生じる。また、金属の切粉発生を抑制するために、ネジを樹脂製にするといった方法も考えられる。しかし、ネジ山の強度不足により、ネジ締め付け時にネジが破損するというリスクが生じる。加えて、ネジ取り付け方式の場合、製造工程において、締め付けトルク管理が必要となり、工程数の増加となる。従って、封止プラグに関し、手間や時間がかからず、電池の性能や安全性に影響を及ぼさない技術が望まれる。
【0009】
本発明の目的は、分解ガスの影響を受けず安定的に機能を発揮可能な弁構造体及びこれを用いた電池を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、手間や時間、コストがかからず、電池の性能や安全性に影響を及ぼさない弁構造体及びこれを用いた電池を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、手間や時間がかからず、電池の性能や安全性に影響を及ぼさないガス抜き弁の一種としての封止プラグ及び封止プラグを用いた電池を提供することにある。
【0012】
この発明のこれらの目的とそれ以外の目的と利益とは以下の説明と添付図面とによって容易に確認することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0014】
本発明の弁構造体としてのガス抜き弁は、本体(31)と、係止構造(32)とを具備する。係止構造(32)は、本体(31)の底面に対して略垂直方向に伸び、取り付け対象の孔に挿入可能である。係止構造(32)は、複数の差し込み部(32b)と、複数の突起部(32c)とを備える。複数の差し込み部(32b)は、本体(31)の底面に設けられた開口部(35)の周囲から略垂直方向に伸びる。突起部(32c)は、複数の差し込み部(32b)の各々の先端部分に設けられ、前記略垂直方向から外側に向いている。
本発明のガス抜き弁を用いれば、レーザー溶接のような手法やネジ構造を用いる手法を用いずに、係止構造(32)を取り付け対象の孔に挿入することで、突起部(32c)が当該孔に引っかかり、ガス抜き弁を取り付け対象に極めて容易に取り付けることができる。それにより、二次電池の電池蓋(2)等への取り付けに関して、手間や時間やコストを大幅に削減することが出来ると共に、切粉の発生による電池の性能や安全性に悪影響を及ぼすことを回避することが可能となる。
【0015】
上記のガス抜き弁において、係止構造(32)は、樹脂を含む。
本発明では、係止構造(32)を樹脂で形成している。そのため、係止構造(32)を取り付け対象の孔に挿入するとき、係止構造(32)の表面は削られ難い。そのため、削り粉が発生することを防止できる。
【0016】
上記のガス抜き弁において、弾性部材(34)は、開口部(35)に所定の圧力以上のガスが接するとき、封止を開放し、開口部(35)からガス抜き孔(33)へガスが抜けるように変形する。
本発明のガス抜き弁は、立体形状の弾性部材(34)を用い、その変形でガス抜きを行う。そのため、その表面が腐食等の影響を受けたり、その一部が流速の速いガスにより急激な変形を受けたりしても、その腐食や変形の影響は膜形状(二次元的形状)に比較して著しく小さく、その全体に及ぶことはない。それにより、分解ガスの影響を受けず安定的、継続的に、ガス抜き弁としての機能を発揮することが可能となる。
【0017】
上記のガス抜き弁において、弾性部材(34)は、底部(34a)と、側面部(34b)と、上端部(34c)とを備える。底部(34a)は、開口部(35)を覆う。側面部(34b)は、底部(34a)の周りに接続され、底部(34a)から立ち上がるように設けられている。上端部(34c)は、側面部(34b)の端部に接続され、ガス抜き弁本体(31)に保持されている。
本発明の弾性部材(34)では、上端部(34c)が基本的な位置を固定し、底部(34a)がガスと直接接して開口部(35)を塞ぎ、側面部(34b)が底部(34a)の位置変化を自身の変形で制御している。それにより、単純な二次元的な弾性膜と比較して、腐食や変形の影響が著しく小さく、分解ガスの影響を受けず安定的、継続的に、ガス抜き弁としての機能を発揮することが可能となる。
【0018】
上記のガス抜き弁において、弾性部材(34A)は、底面で開口部(35)を覆い、上面をガス抜き弁本体(31)に押さえられた中実円筒形状を有する。
本発明の弾性部材(34A)では、上面部分が全体の基本的な位置を固定し、底面部分が開口部(35)を塞ぎ、全体として自身が変形することにより底面部分の位置変化を制御している。それにより、単純な二次元的な弾性膜と比較して、腐食や変形の影響が著しく小さく、分解ガスの影響を受けず安定的、継続的に、ガス抜き弁としての機能を発揮することが可能となる。
【0019】
本発明の二次電池は、二次電池本体(2、3)と、ガス抜き弁(6)とを具備する。二次電池本体は、電池容器(3)と電池容器(3)に設けられた電池蓋(2)とを備える。ガス抜き弁(6)は、電池蓋(2)のガス抜き弁装着孔(23)に装着され上記各段落のいずれかに記載されている。ガス抜き弁(6)は、複数の差し込み部(32b)をガス抜き弁装着孔(23)に差し込まれ、突起部(32c)でガス抜き弁装着孔(23)に係止される。
本発明の二次電池は、上記のような、手間や時間、コストがかからず、電池の性能や安全性に影響を及ぼさないガス抜き弁(6)や、分解ガスの影響を受けず安定的、継続的に機能を発揮可能なガス抜き弁を用いている。それにより、圧力上昇が発生したとき、ガス抜き弁(6)で適切に高圧なガスを除去することが出来、信頼性が高く安全性にも優れたリチウム二次電池を得ることが出来る。
【0020】
上記の二次電池において、ガス抜き弁装着孔(23)は、電池容器(3)の内側へ向かって窪んでいる。
本発明では、電池蓋(2)のガス抜き弁装着孔(23)が窪んでいる。それにより、係止構造(32)をその窪みに滑らせて容易に装着することができる。また、電池容器(3)内の圧力が上昇したとき、窪みの部分で圧力を緩和することで、ガス抜き弁(6)を外れ難くすることができる。
【0021】
上記の二次電池において、所定の圧力は、電池蓋に設けられ設定圧力以上で不可逆的に開放される安全弁(11)における設定圧力よりも低い。
本発明では、急激で高圧の圧力変化は安全弁(11)を用いた不可逆的方法で対処する一方、安全弁(11)の設定圧力よりも小さい圧力ではガス抜き弁(6)を用いた繰り返し継続的に対応可能な方法で対処することが出来る。すなわち、圧力上昇が発生したとき、緊急事態(安全弁(11)を使用する事態)になる前に、ガス抜き弁(6)で対処できる。その結果、安全性や信頼性を維持しつつ、二次電池の使用可能な期間を延ばすことができる。
【0022】
本発明のガス抜き弁は、ガス抜き弁本体(31)と、係止構造(32)とを具備する。ガス抜き弁本体(31)は、開口部(35)を底面に、ガス抜き孔(33)を他の面に有する内部空間(A、B)を含み、開口部(35)を封止する弾性部材(34)を内部空間(A、B)に備える。係止構造(32)は、底面に設けられ、取り付け対象の孔に取り付け可能である。弾性部材(34)は、立体的な形状を有し、開口部(35)に所定の圧力以上のガスが接するとき封止を開放し、開口部(35)からガス抜き孔(33)へガスが抜けるように変形する。
本発明のガス抜き弁は、立体形状の弾性部材(34)を用い、その変形でガス抜きを行う。そのため、その表面が腐食等の影響を受けたり、その一部が流速の速いガスにより急激な変形を受けたりしても、その腐食や変形の影響は膜形状(二次元的形状)に比較して著しく小さく、その全体に及ぶことはない。それにより、分解ガスの影響を受けず安定的、継続的に、ガス抜き弁としての機能を発揮することが可能となる。
【0023】
上記のガス抜き弁において、弾性部材(34)は、底部(34a)と、側面部(34b)と、上端部(34c)とを備える。底部(34a)は、開口部(35)を覆う。側面部(34b)は、底部(34a)の周りに接続され、底部(34a)から立ち上がるように設けられている。上端部(34c)は、側面部(34b)の端部に接続され、ガス抜き弁本体(31)に保持されている。
本発明の弾性部材(34)では、上端部(34c)が基本的な位置を固定し、底部(34a)がガスと直接接して開口部(35)を塞ぎ、側面部(34b)が底部(34a)の位置変化を自身の変形で制御している。それにより、単純な二次元的な弾性膜と比較して、腐食や変形の影響が著しく小さく、分解ガスの影響を受けず安定的、継続的に、ガス抜き弁としての機能を発揮することが可能となる。
【0024】
上記のガス抜き弁において、弾性部材(34A)は、底面で開口部(35)を覆い、上面をガス抜き弁本体(31)に押さえられた中実円筒状を有する。
本発明の弾性部材(34A)では、上面部分が全体の基本的な位置を固定し、底面部分が開口部(35)を塞ぎ、全体として自身が変形することにより底面部分の位置変化を制御している。それにより、単純な二次元的な弾性膜と比較して、腐食や変形の影響が著しく小さく、分解ガスの影響を受けず安定的、継続的に、ガス抜き弁としての機能を発揮することが可能となる。
【0025】
本発明の二次電池は、二次電池本体と、ガス抜き弁(6)とを具備する。二次電池本体は、電池容器(3)と電池容器(3)に設けられた電池蓋(2)とを備える。ガス抜き弁(6)は、電池蓋(2)のガス抜き弁装着孔(23)に装着された上記各段落のいずれかに記載のガス抜き弁(6)を備える。ガス抜き弁(6)は、係止構造(32)でガス抜き弁装着孔(23)に取り付けられる。
本発明の二次電池は、上記のような、分解ガスの影響を受けず安定的に機能を発揮可能なガス抜き弁を用いている。それにより、圧力上昇が発生したとき、ガス抜き弁(6)で適切に高圧なガスを除去することが出来、信頼性が高く安全性にも優れたリチウム二次電池を得ることが出来る。
【0026】
本発明の弁構造体としての封止プラグは、封止プラグ本体(61)と、係止構造(62)とを具備する。係止構造(62)は、封止プラグ本体(61)の底面に対して略垂直方向に伸び、取り付け対象の孔に挿入可能である。係止構造(62)は、基底部(62a)と、複数の差し込み部(62b)と、突起部(62c)とを備える。基底部(62a)は、底面から略垂直方向に伸びる。複数の差し込み部(62b)は、基底部(62a)から略垂直方向に延びる。突起部(62c)は、複数の差し込み部(62b)の各々の先端部分に設けられ、外側に向いている。
本発明の封止プラグを用いれば、係止構造(62)を取り付け対象の孔に挿入することで、突起部(62c)が当該孔に引っかかるので、ネジ構造を用いるネジ取り付け方式を用いることなく、封止プラグを取り付け対象に極めて容易に取り付けることができる。封止は、基底部(62a)をOリングやガスケット等で囲んだ後、係止構造(62)を孔へ挿入することで、封止プラグ本体(61)がそのOリングやガスケット等を取り付け対象へ押し付けることにより実現することができる。あるいは、取り付け対象と係止構造(62)との間を封止剤や接着剤等で埋める方法を用いることもできる。それにより、封止プラグを二次電池の電池蓋(2)等へ取り付けることに関して、手間や時間を大幅に削減することが出来ると共に、切粉の発生による電池の性能や安全性に悪影響を及ぼすことを回避することが可能となる。
【0027】
上記の封止プラグにおいて、係止構造(62)は、樹脂を含む。
本発明では、係止構造(32)を樹脂で形成している。そのため、係止構造(32)を取り付け対象の孔に挿入するとき、係止構造(32)の表面は削られ難い。そのため、削り粉が発生することを防止できる。
【0028】
本発明の二次電池は、二次電池本体(2、3)と、封止プラグ(56)とを具備する。二次電池本体(2、3)は、電池容器(3)と電池容器(3)に設けられた電池蓋(2)とを備える。封止プラグ(56)は、電池蓋(2)の封止プラグ装着孔(28)に装着されるもので、上記いずれかの段落に記載されている。封止プラグ(56)は、複数の差し込み部(62b)を封止プラグ装着孔(28)に差し込まれ、突起部(62c)で封止プラグ装着孔(28)に係止される。
本発明の二次電池は、上記のような、手間や時間がかからず、電池の性能や安全性に影響を及ぼさない封止プラグ(56)を用いている。それにより、製造が容易で、信頼性が高く安全性にも優れた二次電池を得ることが出来る。
【0029】
上記の二次電池において、電池蓋(2)と基底部(62a)との間に配設された封止材(18)を更に具備する。
本発明の二次電池において、封止剤(18)を用いているので、電池容器(3)から電解液や分解ガスが漏洩することを確実に防止することができる。
【0030】
上記の二次電池において、封止材(18)は、基底部(62a)を囲むように装着されるOリング(18)である。
本発明の二次電池において、封止剤(18)としてOリング(18)を用いているので、漏洩することをより確実に防止することができる。
【0031】
上記の二次電池において、封止プラグ装着孔(28)は、電池容器(3)の内側へ向かって窪んでいる。
本発明では、電池蓋(2)の封止プラグ装着孔(28)が窪んでいる。それにより、係止構造(62)をその窪みに滑らせて容易に装着することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、手間や時間、コストがかからず、電池の性能や安全性に影響を及ぼさないガス抜き弁及びガス抜き弁を用いたリチウム二次電池を提供できる。また、分解ガスの影響を受けず安定的に機能を発揮可能なガス抜き弁及びガス抜き弁を用いたリチウム二次電池を提供できる。また、手間や時間がかからず、電池の性能や安全性に影響を及ぼさない封止プラグ及び封止プラグを用いたリチウム二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の第1、2の実施の形態に係るリチウム二次電池の概略構成を示す上面図である。
【図2】図2は本発明の第1、2の実施の形態に係るリチウム二次電池の概略構成を示す正面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態に係るリチウム二次電池の概略内部構成を示す模式図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態に係るガス抜き弁の構成を示す模式図である。
【図5A】図5Aは本発明の実施の形態に係るガス抜き弁の概略構成の一例を示す断面図である。
【図5B】図5Bは本発明の実施の形態に係るガス抜き弁の概略構成の一例を示す断面図である。
【図5C】図5Cは本発明の実施の形態に係る弾性部材の概略構成の一例を示す模式図である。
【図6A】図6Aは本発明の実施の形態に係るガス抜き弁の概略構成の他の一例を示す断面図である。
【図6B】図6Bは本発明の実施の形態に係るガス抜き弁の概略構成の他の一例を示す断面図である。
【図6C】図6Cは、本発明の実施の形態に係る弾性部材の概略構成の他の一例を示す模式図である。
【図7】図7は本発明の他の実施の形態に係るガス抜き弁の構成を示す模式図である。
【図8】図8は本発明の第3の実施の形態に係るリチウム二次電池の概略構成を示す上面図である。
【図9】図9は本発明の第3の実施の形態に係るリチウム二次電池の概略構成を示す正面図である。
【図10】図10は本発明の第3の実施の形態に係る封止プラグの構成を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施の形態に係る封止プラグの構成を示す模式図である。
【図12】図12は、本発明の第3の実施の形態に係る封止プラグの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明のガス抜き弁及びガス抜き弁を用いたリチウム二次電池の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係るリチウム二次電池の概略構成を示す上面図及び正面図である。リチウム二次電池1は、電池蓋2と電池容器3とを具備している。
【0036】
電池蓋2は、電池容器3を密閉する蓋であり、例えば、ステンレス等の鋼材やアルミニウム系材料で形成されている。電池蓋2は、正極端子4、負極端子5、絶縁体14、15、ガス抜き弁6、安全弁11を備えている。
【0037】
正極端子4は、正極用の取り出し端子であり、絶縁体14を介して電池蓋2に取り付けられている。正極端子4は、例えば、アルミニウムで形成され、電池容器3の内側で正極(後述)に接続されている。正極端子4は、接触抵抗低減のために、電池容器3の外側での表面を例えばニッケルメッキで覆っていても良い。負極端子5は、負極用の取り出し端子であり、絶縁体15を介して電池蓋2に取り付けられている。負極端子5は、例えば、銅で形成され、電池容器3の内側で負極(後述)に接続されている。
【0038】
ガス抜き弁6は、電池容器3内の圧力が所定の圧力以上となったとき、電池容器3内のガスを外部に開放する。すなわち、ガス抜き弁6は、継続使用が可能で、リチウム二次電池1の内圧が電池容器3の許容圧力を超えない範囲に抑える機能を有する。ガス抜き弁6の構成は後述される。ガス抜き弁6は、電池蓋2のガス抜き弁装着孔(後述)に装着されている。ガス抜き弁装着孔は、電池容器3内に電解液(後述)を注入するときの注入孔を用いることができる。すなわち、ガス抜き弁にて注入孔を封止することができる。また、図中、ガス抜き弁6は、電池蓋2における一方の端部に設けられているが、更に他方の端部に設けても良い。更に、対角線上の位置に設けることがより好ましい。電池容器3を横に倒した状態で使用する場合でも、いずれかのガス抜き弁6がガス抜きの機能が果たせるようにするためである。
【0039】
安全弁11は、電池容器3内の圧力が急激に上昇した場合に破裂して、電池容器3内の圧力を開放する。安全弁11は、ラプチャーディスクに例示される。これにより、電池容器3の全体が破裂することを防止することが出来る。ただし、破裂するため、再利用は出来ない。安全弁11は、電池蓋2の略中央部に設けられ、例えば、アルミニウム等の金属材料で形成されている。
【0040】
電池容器3は、電池本体を格納する容器であり、例えば、ステンレス等の鋼材やアルミニウム系材料で形成されている。電池容器3の内面は、電解液と直接接触してもよいが、変性ポリオレフィン等の絶縁膜で被覆していてもよい。
【0041】
図3は、本発明の実施の形態に係るリチウム二次電池の概略内部構成を示す模式図である。電池容器3は、電解液7と、正極8と、負極9とを備えている。
【0042】
電解液7は、リチウムイオンを含む非水電解液である(例示:炭酸エチレンや炭酸ジエチルのような有機溶媒+六フッ化リン酸リチウム(LiPF)のようなリチウム塩)。正極8は、例えば、アルミニウム箔等からなる本体の表面にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なマンガン酸リチウム(LiMn)が正極活性物質として塗布されて構成されている。その上部に正極端子4を接続されている。負極9は、例えば、カーボンあるいはグラファイトで形成されている。その上部に負極端子5を接続されている。正極8及び負極9は交互に複数配置され、それらの間にはセパレータが挿入されている。セパレータは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔性高分子膜、ガラス繊維、高分子繊維から成る不織布等で形成されている。
【0043】
なお、上記リチウム二次電池の構成は一例であり、本発明の技術思想から逸脱しない限り他の構成を用いることも可能である。
【0044】
次に、ガス抜き弁6の構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係るガス抜き弁の構成を示す模式図である。ガス抜き弁6は、ガス抜き弁本体31と係止構造32を具備している。ガス抜き弁6は、電池蓋2に設けられたガス抜き弁装着孔(ガス抜き孔)23に、Oリング16のようなシール材を介して係止構造32により嵌合されている。
【0045】
ガス抜き弁本体31は、内部に弾性部材34(後述)を、その底面に第1孔35(後述)を、及び、側面又は上面に第2孔33を有している。図4の例では、側面に第2孔33を有している。ガス抜き弁本体31は、電池容器3内の圧力が所定の圧力以上となったとき、第1孔35を塞ぐ弾性部材34が変形して第1孔35を開放し、第1孔35、ガス抜き弁本体31内部及び第2孔33を介して電池容器3内のガスを外部に開放する。ガス抜き弁本体31は、円筒形状を有する。図4中の中心線Cは、ガス抜き弁本体31及び第1孔35の中心を通る。内部構造は後述する。
【0046】
係止構造32は、ガス抜き弁本体31の底面に設けられ、その底面の第1孔35の周囲から略垂直方向(図4の中心線Cに沿って下向きの方向)に伸びている。係止構造32は、電池蓋2のガス抜き弁装着孔23に差し込まれ嵌合される。それにより、ガス抜き弁6は、電池蓋2に固定される。図4中の中心線Cは、係止構造32及びガス抜き弁装着孔23の中心も通る。係止構造32は、基盤部32a、複数の差し込み部32b、突起部(返り)32cを含む。
【0047】
基盤部32aは、第1孔35を囲むようにガス抜き弁本体31の底面に設けられている。図4の場合、第1孔35を囲む肉厚の円筒形状を有している。この基盤部32aの周囲にOリング16が密接することにより、Oリング16による封止性能をより向上させている。差し込み部32bは、基盤部32aの表面に、第1孔35を囲むように複数個設けられている。そして、差し込み部32bは、基盤部32aから略垂直方向(図4の中心線Cに沿って下向きの方向)に伸びている。差し込み部32bにおける基盤部32aと反対の端部は、固定されていないので、揺動可能である。図4の場合、円筒を4分割した形状、すなわち、4本の差し込み部32bが基盤部32a上に設けられている。ただし、差し込み部32bの数は、4個の限定されるものではない。突起部32cは、各差し込み部32bにおける基盤部32aと反対の端部に設けられ、中心線Cに対して外側に向かう方向に伸びる突起である。
【0048】
複数の差し込み部32bの外側を囲む円の外径d1は、ガス抜き弁装着孔23の内径D1とほぼ等しいか、より好ましくはやや大きい。それにより、電池蓋2の表面に平行な方向の振れやガタツキを抑えることが出来る。また、複数の突起部32cの外側を囲む円の外径d2は、ガス抜き弁装着孔23の内径D1よりも大きい。それにより、ガス抜き弁6がガス抜き弁装着孔23に係止され、ガス抜き弁装着孔23からガス抜き弁6が外れることを防止することが出来る。更に、係止構造32における突起部32cの付け根までの長さt1(基盤部32a+差し込み部32bの突起部32cの付け根までの長さ)は、Oリング16を介してガス抜き弁6をガス抜き弁装着孔23に嵌めたとき、ガス抜き弁本体31の下部が適度にOリング16へ押圧を与える程度にする。それにより、Oリング16により適切に封止を行うことができる。
【0049】
ガス抜き弁本体31及び係止構造32は、樹脂(例示:プラスチック類)で形成されている。その樹脂は、耐食性が高く、強度が高く、ある程度の弾性を有する樹脂が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂である。より好ましくは、強度や耐食性が比較的高いエンジニアリング・プラスチックである。エンジニアリング・プラスチックは、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)に例示される。更に好ましくは、更に強度や耐食性が高いスーパーエンジニアリングプラスチックである。スーパーエンジニアリングプラスチックは、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)に例示される。更に好ましくは、ポリフェニレンスルファイド(PPS)である。
【0050】
電池蓋2は、ガス抜き弁装着孔23において、電池容器3の内部へ向かって窪んでいることが好ましい。すなわち、電池蓋2は、平板部分21と、平板部分21に接続され、電池容器3の内部へ向かって窪む窪み部22を有していることが好ましい。それは、以下の理由による。窪み部22は、電池容器3の外側から内側に向かって内径が徐々に減少している(窄まっている)。そのため、ガス抜き弁6をガス抜き弁装着孔23に装着するとき、係止構造32の差し込み部32b及び突起部32cが、窪み部22に挿入されるに連れて、窪み部22の窄まりに沿って、中心線Cへ近づく方向に向かって案内され容易に弾性変形する。その結果、係止構造32(外径d2)をガス抜き弁装着孔23(内径D1<d2)の内部へ容易に進入させることができる。突起部32cが窪み部22の先にあるガス抜き弁装着孔23に挿入されると、突起部32cが窪み部22の制約から解放される。それにより、差し込み部32bの弾性変形が開放され、概ね元の状態に戻る。そのとき、突起部32cは、ガス抜き弁装着孔23の中へ入り、ガス抜き弁装着孔23の内周部分に引っかかった状態となる。その状態が、図4である。窪み部22のような形状は、例えばプレス加工で作製可能である。
【0051】
更に、ガス抜き弁6の装着後では、ガス抜き弁6は、突起部32cによるガス抜き弁装着孔23の内周部分での引っかかりだけで、ガス抜き弁装着孔23に装着されていることになる。このとき、窪み部22は、電池容器3のガスの圧力が上昇したとき、その曲面での弾性変形の効果により、突起部32cの引っかかりの部分にかかる圧力を緩和することができる。それにより、電池容器3におけるガスの圧力の上昇に対して、ガス抜き弁6がより外れ難くすることができる。
【0052】
図4に示されるように、突起部32cの下側の面と差し込み部32bの中心線Cに平行な方向の面とが成す角αは、90度より小さいことが好ましい。より好ましくは、30度〜60度の範囲であることが好ましい。突起部32cが窪み部22上を滑るときの抵抗を少なくするためである。また、ガス抜き弁装着孔23側の電池蓋2の端と突起部32cの上側の面とが成す角βは、30度〜60度の範囲であることが好ましい。より好ましくは、40度〜50度である。電池容器3の内圧に対してガス放出弁6が外れないように、突起部32cが電池蓋2の端部で適度に固定され、かつ、ある程度の引っ張る強さでガス放出弁6が取り外せる(交換できる)ようにするためである。その「ある程度の強さ」を例えば、安全弁11の破裂する圧力と同程度とすれば、安全弁11の機能を同時に果たすことも可能となる。
【0053】
ガス抜き弁6をガス抜き弁装着孔23に挿入するときは、Oリング16に例示されるシール材と共にガス抜き弁6を差し込む。Oリング(シール材)16は、窪み部22の上面とガス抜き弁本体31の底面とで挟まれることにより弾性変形する。それにより、電池蓋2の平板部分21、窪み部22、Oリング16、及びガス抜き弁本体31(底面)を境界として、電池容器3の内部のガスを外部に対して隔離することが出来る。その結果、ガス抜き弁6の差し込み部32b(突起部32c)と電池蓋2のガス抜き弁装着孔23との間にガス流通可能な隙間があったとしても、ガスリークを防止することが出来る。そして、電池容器3内部のガスは、ガス抜き弁6又は安全弁11以外から外部に漏れることは無い。
【0054】
次に、ガス抜き弁6の内部構造について説明する。図5A〜図5Cは、本発明の実施の形態に係るガス抜き弁の概略構成の一例を示す断面図及び模式図である。ガス抜き弁本体31は、上部ガス抜き弁本体31aと、下部ガス抜き弁本体31bと、弾性部材34とを具備する。
【0055】
図5Aを参照して、下部ガス抜き弁本体31bは、円筒容器形状を有し、底面に第1孔35を、側面に第2孔33を有している。上部ガス抜き弁本体31aは、円筒蓋形状を有し、側面に第2孔33を有し、下部ガス抜き弁本体31bを上から覆うように蓋をしている。上部ガス抜き弁本体31aと下部ガス抜き弁本体31bとを、例えばオネジ構造/メネジ構造により結合しても良いし、接着剤で結合しても良い。
【0056】
弾性部材34は、お椀形の形状を有し、上部ガス抜き弁本体31aと下部ガス抜き弁本体31bとの間に形成された空間に格納されている。お椀形の上側及び下側に何も無い空間A、Bを有しているので、弾性部材34はその空間A、B内で変形可能である。弾性部材34は、電池容器3内の圧力が所定の圧力以上となったとき、変形して第1孔35を開放し、第1孔35、ガス抜き弁本体31内部及び第2孔33を介して電池容器3内のガスを外部に開放する。弾性部材34は、底部34a、側面部34b、上端部34cを含んでいる。弾性部材34の形状を示す概略斜視図が図5Cに示されている。
【0057】
底部34aは、第1孔35を塞ぐ位置に配置されるので、電池容器3のガスが接している。また、電池容器3の圧力が上昇した場合には、高圧のガスが接することになる。そのため、当該ガスに負けないようにある程度の厚みを有している。側面部34bは、底部34aの周囲に接続し、底部34aから立ち上がるように設けられている。底部34aが電池容器3のガスの圧力により跳ね上げられるとき、その跳ね上がる圧力の大きさを弾性力及び形状で規定する。そして、一度跳ね上がった底部34aをその弾性力により元に戻すように機能する。上端部34cは、上部ガス抜き弁本体31aと下部ガス抜き弁本体31bとの間に嵌まり込んで固定されている。上端部34cが強固に固定されることで、底部34aや側面部34bが動いたり変形したりしても、弾性部材34は、最終的に自身の弾性力により、元の位置及び形に戻ることが出来る。このように、弾性部材34は、全体の基本的な位置を固定する上端部34cと、第1孔35を塞ぐ底部34aと、自身が変形することにより底部34aの位置変化を制御する側面部34bとで構成されている。
【0058】
弾性部材34は、弾性材料で形成されている。弾性材料は、耐食性が高く、所定のガス圧力で変形可能な材料が好ましい。例えば、合成ゴムに例示される。合成ゴムは、水素化ニトリルゴムやクロロプレンゴムのようなジエン系ゴムや、エチレンプロピレンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)ゴムやフッ素ゴムのような非ジエン系ゴムに例示される。より好ましくは、エチレンプロピレンジエンゴムである。弾性部材34の形状及び材質(特に、弾性係数)は、ガス抜き弁6に要求されるガス抜きの設定圧力に対応して、例えば、実験的に、あるいはシミュレーション的に決定される。
【0059】
図5Bは、ガス抜き弁6を介してガスが抜かれる状態を示す概略断面図である。電池容器3内のガスの圧力が高くなると、第1孔35を覆う底部34aへの圧力が強くなる。そして、その圧力が側面部34bの弾性力に打ち勝つと、側面部34bが変形して、底部34aが上に跳ね上がる。その結果、電池容器3内のガスは、第1孔35、空間B、第2孔33を通り、外部へ送出される。その後、電池容器3内のガスの圧力が下がり、側面部34bの弾性力が打ち勝つと、側面部34bが元に戻り、底部34aが再び第1孔35を覆う。
【0060】
このようにして、電池容器3内のガスの圧力が、所定の圧力に維持される。その所定の圧力は、弾性部材34の材料の種類、形状(各部の厚みを含む)により所望の範囲に設定することが出来る。その場合、継続使用が可能で、リチウム二次電池1の内圧が電池容器3の許容圧力を超えない範囲、すなわち、安全弁11における設定圧力よりも低くする。例えば、安全弁11の設定圧力を0.5MPaとすれば、ガス抜き弁6の設定圧力を0.05MPa〜0.1MPaとすることができる。
【0061】
図5A〜図5Cの例では、弾性部材34はお椀形形状を有している。しかし、弾性部材はその形状に限定されるものではなく、電池容器3内の圧力が所定の圧力以上となったとき、変形して第1孔35を開放し、第1孔35、ガス抜き弁本体31内部及び第2孔33を介して電池容器3内のガスを外部に開放可能な形状であればよい。
【0062】
図6A〜図6Cは、本発明の実施の形態に係るガス抜き弁の概略構成の他の一例を示す断面図及び模式図である。図5A〜図5Cの場合と比較すると、弾性部材34Aの構成が異なる。
【0063】
図6Aを参照して、弾性部材34Aは、略円筒(中実、バルク状)の形状を有し、上部ガス抜き弁本体31aと下部ガス抜き弁本体31bとの間に形成された空間に格納されている。中実円筒の側方や一部上側に何も無い空間E、Dを有しているので、弾性部材34Aはその空間E、D内で変形可能である。弾性部材34Aは、電池容器3内の圧力が所定の圧力以上となったとき、変形して第1孔35を開放し、第1孔35、ガス抜き弁本体31内部及び第2孔33を介して電池容器3内のガスを外部に開放する。弾性部材34Aは、中実円筒の上面において固定されている。この場合、弾性部材34は、上面部分が全体の基本的な位置を固定し、底面部分が第1孔35を塞ぎ、全体として自身が変形することにより底面部分の位置変化を制御している。弾性部材34Aは、の材料については、弾性部材34Aと同じである。弾性部材34Aの形状を示す概略斜視図が図6Cに示されている。
【0064】
図6Bは、ガス抜き弁6を介してガスが抜かれる状態を示す概略断面図である。電池容器3内のガスの圧力が高くなると、第1孔35を覆う中実円筒の底面への圧力が強くなる。そして、その圧力が中実円筒の弾性力に打ち勝つと、主に中実円筒の下部及び側部周辺が変形して、底面が上に跳ね上がる。その結果、電池容器3内のガスは、第1孔35、空間E、第2孔33を通り、外部へ送出される。その後、電池容器3内のガスの圧力が下がり、中実円筒の弾性力が打ち勝つと、中実円筒の下部及び側部等の変形部分が元に戻り、底面が再び第1孔35を覆う。このようにして、電池容器3内のガスの圧力が、所定の圧力に維持される。
【0065】
図6A〜図6Cの例のような中実円筒の形状以外にも、ガス抜き弁本体31(円筒型の容器)の内部に納まり、第1孔35と第2孔33との間の気体の流通を遮断する形状、例えば、上下に扁平な回転楕円体のような形状であっても良い。あるいは、円筒の形状や回転楕円体形状が中空であっても良い。その場合、変形が容易となる。
【0066】
本実施の形態に係るガス抜き弁は、レーザー溶接のような手法やネジ構造を用いる手法を用いず、係止構造で極めて容易に電池蓋に取り付けることができる。それにより、電池蓋への取り付けに関して、手間や時間やコストを大幅に削減することが出来ると共に、切粉の発生による電池の性能や安全性に悪影響を及ぼすことを回避することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態に係るガス抜き弁は、弾性部材が薄い膜形状(二次元的形状)ではなく、お椀形の形状や、中実円筒等の形状等の立体的な構造を有している。そのため、弾性部材の表面が多少腐食したり、流速の速いガスを受けたりしても、変形を受け難く、その形状を維持することが可能となる。それにより、電池容器のガスの影響を受けず、安定的にガス放出弁としての機能を果たすことが可能となる。
【0068】
(第2の実施の形態)
上記実施の形態では、ガス抜き弁6の構成として、ガス抜き弁本体31の下部に係止構造32を有していた。ただし、ネジ構造を用いてよい場合(例示:切粉が発生し難い材料や、発生しても電池特性に影響を及ぼさない材料を使用する場合)には、係止構造に変えて、ネジ構造を用いても良い。
【0069】
図7は、本発明の他の実施の形態に係るガス抜き弁の構成を示す模式図である。ガス抜き弁6Aは、ガス抜き弁本体(ガス抜き弁本体)31とネジ構造32Aを具備している。ガス抜き弁6Aは、電池蓋2に設けられたガス抜き弁装着孔(ガス抜き穴)23Aに、Oリング16のようなシール材を介してネジ構造32Aにより嵌合されている。ガス抜き弁6Aのネジ構造32Aは、係止構造と比較すると、電池容器3内部の圧力ではほとんど外れることがない点が異なる。取り外し(交換)は、ネジ回転で容易に行うことができる。
【0070】
ガス抜き弁本体31は、第1の実施の形態と同じ(図4、図5A〜図5C、図6A〜図6C)なのでその説明を省略する。ネジ構造32Aは、ガス抜き弁本体31の底面に設けられたオネジ構造であり、その底面から略垂直方向に伸びている。ネジ構造32Aには、第1孔35(図示されず)に連通する流路(図示されず)が設けられている。それにより、電池容器3内のガスは第1孔35に接している。ネジ構造32Aは、電池蓋2の平板部分21のガス抜き弁装着孔23に設けられたメネジ構造22Aと螺合している。
【0071】
切粉が発生し難い材料や、発生しても電池特性に影響を及ぼさない材料として、ネジ構造32Aは、樹脂(例示:プラスチック類)で形成されている。その樹脂は、耐食性が高く、強度が高く、ある程度の弾性を有する樹脂が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂である。より好ましくは、強度や耐食性が比較的高いエンジニアリング・プラスチックである。エンジニアリング・プラスチックは、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)に例示される。更に好ましくは、更に強度や耐食性が高いスーパーエンジニアリングプラスチックである。スーパーエンジニアリングプラスチックは、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン (PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)に例示される。
【0072】
その他の構成等は第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0073】
この場合にも第1の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0074】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係るリチウム二次電池の構成について説明する。図8及び図9は、本発明の第3の実施の形態に係るリチウム二次電池の概略構成を示す上面図及び正面図である。本実施の形態に係るリチウム二次電池1aは、電池蓋2と電池容器3とを具備している。
【0075】
第1、2の実施の形態ではガス抜き弁の一種である封止プラグを明示的に示していない(図1、図2)が、本実施の形態では、封止プラグ56を明示的に示し、その詳細について説明する。本実施形態の封止プラグは、第1の実施形態のガス抜き弁の弁構造体において、ガス抜き構造を省いた弁構造体である。当業者に自明であるように、第1、2の実施の形態の場合にも、本実施の形態の封止プラグ56をガス抜き弁6とは別に適用することは可能である。逆に、本実施の形態においても、第1、2の実施の形態のガス抜き弁6を封止プラグ56とは別に適用することは可能である。
【0076】
本実施の形態において、電池蓋2は、電池容器3を密閉する蓋であり、例えば、ステンレス等の鋼材やアルミニウム系材料で形成されている。電池蓋2は、正極端子4、負極端子5、絶縁体14、15、封止プラグ56、安全弁11を備えている。
【0077】
封止プラグ56は、電池蓋2を溶接された電池容器3内に電解液7を注入する孔(封止プラグ装着孔(後述)ともいう)を封止するプラグである。封止プラグ56を封止プラグ装着孔に装着することにより、電池容器3内の電解液7や分解ガスの漏洩を防止することができる。封止プラグ56の構成は後述する。図中、封止プラグ56は、電池蓋2における一方の端部(角部)に設けられている。しかし、本発明はその例に限定されるものではなく、更に他の端部(角部)に設けても良いし、対角線上の位置に設けていても良い(例示:封止プラグ56’)。
【0078】
その他の構成、例えば、正極端子4、負極端子5、絶縁体14、15、安全弁11については、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
電池容器3は、電池本体を格納する容器であり、例えば、ステンレス等の鋼材やアルミニウム系材料で形成されている。電池容器3の内面は、電解液と直接接触してもよいが、変性ポリオレフィン等の絶縁膜で被覆していてもよい。
【0080】
リチウム二次電池の内部構成については、第1、2の実施の形態と同様である(図3)ので、その説明を省略する。
【0081】
次に、封止プラグ56の構成について説明する。図10〜図12は、本発明の第3の実施の形態に係る封止プラグの構成を示す模式図である。ただし、図10は側面図(Oリング18と電池蓋2は断面)であり、図11は斜視図であり、図12は断面図(Oリング18を含む)である。封止プラグ56は、封止プラグ本体61と、係止構造62とを具備している。封止プラグ56は、電池蓋2に設けられた封止プラグ装着孔28に、Oリング18のような封止材を介して係止構造62により嵌合されている。
【0082】
封止プラグ本体61は、少なくとも一つの平面(底面)を有するバルク状の中実構造を有している。図10の例では、円柱形状を有している。そして、その一つの平面には、その平面から垂直に伸びるように係止構造62が設けられている。図10の例では、円柱の底面には、係止構造62が、その底面から垂直方向に延びるように形成されている。また、その底面(平面)が封止プラグ56と電池蓋2との間に配設されるOリング18(封止材)を電池蓋2の表面に所定の押し付け圧で押し付けられることで、封止プラグ56が封止プラグ装着孔28を封止している。図10中の中心線C2は、封止プラグ本体61及び係止構造62の中心を通る。
【0083】
係止構造62は、封止プラグ本体61の底面に設けられ、その底面から略垂直方向(図10の中心線C2に沿って下向きの方向)に伸びている。係止構造62は、電池蓋2の封止プラグ装着孔28に差し込まれ嵌合される。それにより、封止プラグ56は、電池蓋2に固定される。図10中の中心線C2は、係止構造62及び封止プラグ装着孔28の中心も通る。係止構造62は、基底部62a、複数の差し込み部62b、突起部(返り)62cを含む。
【0084】
基底部62aは、封止プラグ本体61の底面に、当該底面に対して略垂直に設けられている。基底部62aは、バルク状の中実構造を有している。図10の場合、中心線C2を中心とする円柱形状を有している。基底部62aの厚みd5は、封止プラグ本体61の底面からOリング18と係止構造62との接触部までの高さd6よりも大きい(d5>d6)ことが好ましい。この基底部62aの周囲にOリング18が密接することにより、Oリング18による封止性能をより向上させることができるからである。すなわち、Oリング18は、電池蓋2の封止プラグ装着孔28の上側の曲面及び封止プラグ本体61の底面に加えて、基底部62aの側壁部に密接することで、Oリング18による電解液7を封止する性能をより向上させている。
【0085】
差し込み部62bは、基底部62aの表面に、中心線C2及びその周辺領域65を囲むように複数個設けられている。そして、差し込み部62bは、基低部62aから略垂直方向(図10の中心線C2に沿って下向きの方向)に伸びている。差し込み部62bにおける基底部62aと反対の端部は、固定されていないので、揺動可能である。図11の場合、円筒を4分割した形状、すなわち、4本の差し込み部62bが基底部62a上に設けられている。ただし、差し込み部62bの数は、4個の限定されるものではない。突起部62cは、各差し込み部62bの先端部に設けられ、中心線C2に対して外側に向かう方向に伸びる突起がある。
【0086】
複数の差し込み部62bの外側を囲む円の外径d3は、封止プラグ装着孔28の内径D2とほぼ等しいか、より好ましくはやや大きい。それにより、電池蓋2の表面に平行な方向の振れやガタツキを抑えることが出来る。また、複数の突起部62cの外側を囲む円の外径d4は、封止プラグ装着孔28の内径D2よりも大きい。それにより、複数の突起部62cが電池蓋2の端部に引っ掛かることができる。その結果、封止プラグ56が封止プラグ装着孔28に係止され、封止プラグ装着孔28から封止プラグ56が外れることを防止することが出来る。更に、係止構造32における突起部32cの付け根までの長さt2(基底部62a+差し込み部62bの突起部62cの付け根までの長さ)は、Oリング18を介して封止プラグ56を封止プラグ装着孔28に嵌めたとき、封止プラグ本体61の底面が適度にOリング18へ押圧を与える程度にする。それにより、Oリング18により適切に封止を行うことができる。
【0087】
封止プラグ本体61及び係止構造62は、樹脂(例示:プラスチック類)で形成されていても良い。その樹脂は、電解液7やその分解ガスに対する耐食性が高く、強度が高く、ある程度の弾性を有する樹脂が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂である。より好ましくは、強度や耐食性が比較的高いエンジニアリング・プラスチックである。エンジニアリング・プラスチックは、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)に例示される。更に好ましくは、更に強度や耐食性が高いスーパーエンジニアリングプラスチックである。スーパーエンジニアリングプラスチックは、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)に例示される。更に好ましくは、ポリフェニレンスルファイド(PPS)である。
【0088】
また、Oリング18は、弾性部材で形成されている。その弾性部材は、電解液7やその分解ガスに対する耐食性が高く、適度な弾性を有する材料が好ましい。例えば、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)が好ましい。
【0089】
電池蓋2は、封止プラグ装着孔28において、電池容器3の内部へ向かって窪んでいることが好ましい。すなわち、電池蓋2は、平板部分21と、平板部分21に接続され、電池容器3の内部へ向かって窪む窪み部27を有していることが好ましい。それは、以下の理由による。窪み部27は、電池容器3の外側から内側に向かって内径が徐々に減少している(窄まっている)。そのため、封止プラグ56を封止プラグ装着孔28に装着するとき、係止構造62の差し込み部62b及び突起部62cが、窪み部27に挿入されるに連れて、窪み部27の窄まりに沿って、中心線C2へ近づく方向に向かって案内され容易に弾性変形する。その結果、係止構造62(外径d4)を封止プラグ装着孔28(内径D2<d4)の内部へ容易に進入させることができる。突起部62cが窪み部27の先にある封止プラグ装着孔28内に完全に挿入されると、突起部62cが窪み部27の制約から解放される。それにより、差し込み部62bの弾性変形が開放され、概ね元の状態(形状)に戻る。そのとき、突起部62cは、封止プラグ装着孔28の中へ入り、封止プラグ装着孔28の内周部分に引っかかった状態となる。その状態が、図10である。窪み部27のような形状は、例えばプレス加工で作製可能である。
【0090】
更に、封止プラグ56の装着後では、封止プラグ56は、突起部62cによる封止プラグ装着孔28の内周部分での引っかかりだけで、封止プラグ装着孔28に装着されていることになる。このとき、窪み部27は、電池容器3のガスの圧力が上昇したとき、その曲面での弾性変形の効果により、差し込み部62bに強く押し付けられる。それにより、電池容器3におけるガスの圧力の上昇に対して、封止プラグ56がより外れ難くすることができる。
【0091】
図10に示されるように、突起部62cの下側の面と差し込み部62bの中心線C2に平行な方向の面とが成す角γは、90度より小さいことが好ましい。より好ましくは、30度〜60度の範囲であることが好ましい。突起部62cが窪み部27上を滑るときの抵抗を少なくするためである。また、封止プラグ装着孔28側の電池蓋2の端と突起部62cの上側の面とが成す角δは、30度〜60度の範囲であることが好ましい。より好ましくは、40度〜50度である。電池容器3の内圧に対して封止プラグ56が外れないように、突起部32cが電池蓋2の端部で適度に固定されるようにするためである。ただし、封止プラグ56は単に嵌め込んだだけではある程度の力で外れる可能性が考えられる。しかし、その取り外しに必要なある程度の力が安全弁11の破裂する圧力と同じかそれ以上となるように、突起部62cの形状を設計すれば問題はない。また、必要に応じて、接着剤で接着しても良い。
【0092】
封止プラグ56を封止プラグ装着孔28に挿入するときは、Oリング18に例示される封止材と共に封止プラグ56を差し込む。Oリング(封止材)18は、窪み部27の上面と封止プラグ本体61の底面とで挟まれることにより弾性変形する。それにより、電池蓋2の平板部分21、窪み部27、Oリング18、及び封止プラグ本体61(底面)を境界として、電池容器3の内部の電解液7や分解ガスを外部に対して隔離することが出来る。その結果、封止プラグ56の差し込み部62b(突起部62c)と電池蓋2の封止プラグ装着孔28との間にガス流通可能な隙間があったとしても、ガスリークを防止することが出来る。そして、電池容器3内部の電解液7や分解ガスは、外部に漏れることは無い。
【0093】
封止プラグ56の製造方法については、例えば、所定の樹脂材料を用いた射出成型法のような既存の製造方法を用いて形成することができる。
【0094】
上記電池蓋2の窪み部27は、図10のような断面図において所定の曲率R(上に凸)を有する曲面である。しかし、本発明はこの例に限定されるものではなく、例えば平板部分21に対して所定角度(例示:約45度)下向きの面(テーパのような面)を有する円錐側面型形状でもよい。また、その所定角度下向きの面を有する円錐側面型形状の先に、更に所定の曲率R’を有する曲面形状を有していても良い。
【0095】
上記封止プラグ56を封止プラグ装着孔28に挿入するとき、Oリング18にはグリースなどの封止性を高める材料を塗布していても良い。また、Oリング18のような封止材を用いずに、例えば封止用の樹脂や接着剤と共に封止プラグ56を差し込んで、その後硬化させるようにしても良い。
【0096】
更に、封止プラグ56は金属であっても良い。ネジ構造を有していないため、切粉が発生する可能性が極めて小さいからである。その場合、金属は電池蓋2と同じ金属であることが好ましい。異種金属を用いると腐食が発生しやすくなるからである。また、製造方法としては、例えば、鋳型を用いて製造する方法やバルク金属から削り出して製造する方法のような既存の製造方法を用いることができる。
【0097】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るリチウム二次電池の製造方法について説明する。
【0098】
まず、図8、図9、図3を参照して、まず、電池容器3(ただし、正極8と負極9とを含み、電解液7は未だ注入されていない)に、電池蓋2(正極端子4と負極端子5と絶縁体14、15と安全弁11とを含み、封止プラグ56は未だ装着されていない)を溶接する。これにより、電解液7を注液する前の二次電池が準備される(ステップS01)。
【0099】
次に、電池容器3に封止プラグ装着孔28から所定量の電解液7を注入する(ステップS02)。続いて、電池容器3の電解液7が安定するまで常温でしばらく放置する(ステップS03)。その後、発生した分解ガスを電池容器3から抜き、不活性ガスで置換する(ステップS04)。次に、二次電池を所定の量だけ仮充電(補充電)する(ステップS05)。続いて、再び、電池容器3の電解液7が安定するまで常温でしばらく放置する(ステップS06)。その後、発生した分解ガスを電池容器3から抜き、不活性ガスで置換する(ステップS07)。
【0100】
その後、準備された封止プラグ56にOリング18を取り付ける。そして、上記ステップS02〜S07の処理の終了した二次電池の封止プラグ装着孔28に、当該封止プラグ56(図10〜図12)を差し込んで装着する(ステップS08)。これにより、二次電池の封止(電解液7の封入)が完了し、二次電池1aを製造することができる。
【0101】
このとき、装着は、単に差し込んで押し付けるだけなので、作業が容易であり、余計な工数を必要とせず、手間や時間を大幅に削減することが出来る。加えて、ネジ構造を有していないので、金属の切粉が発生する可能性が無く、電池の性能の劣化や安全の維持を図ることができる。性に悪影響を及ぼすことを回避することが可能となる。
【0102】
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0103】
1、1a リチウム二次電池
2 電池蓋
3 電池容器
4 正極端子
5 負極端子
6、6A ガス抜き弁
7 電解液
8 正極
9 負極
11 安全弁
14、15 絶縁体
16、18 Oリング
21 平板部分
22 窪み部
22A メネジ構造
23 ガス抜き弁装着孔
27 窪み部
28 封止プラグ装着孔
31 ガス抜き弁本体
31a 上部ガス抜き弁本体
31b 下部ガス抜き弁本体
32 係止構造
32A ネジ構造
32a 基盤部
32b 差し込み部
32c 突起部
33 第2孔
34、34A 弾性部材
34a 底部
34b 側面部
34c 上端部
35 第1孔
56 封止プラグ
61 封止プラグ本体
62 係止構造
62a 基底部
62b 差し込み部
62c 突起部
65 周辺領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の底面に対して略垂直方向に伸び、取り付け対象の孔に挿入可能な係止構造とを具備し、
前記係止構造は、
前記底面の周囲から前記略垂直方向に伸びる複数の差し込み部と、
前記複数の差し込み部の各々の先端部分に設けられ、前記略垂直方向から外側に向いた突起部とを備える
弁構造体。
【請求項2】
前記弁構造体は、前記本体の底面に設けられ且つ前記複数の差し込み部の間に配置された第1の孔と、前記本体の面のうち前記底面とは異なる他の面に設けられた第2の孔と、前記本体内部に設けられ前記第1の孔と前記第2の孔とを接続する内部空間と、前記内部空間に配置され前記第1の孔を封止する弾性部材とをさらに有し、
前記弾性部材は、前記第1の孔に所定の圧力以上のガスが接するとき、前記封止を開放し、前記第1の孔から前記第2の孔へ前記ガスが抜けるように変形することを特徴とする請求項1に記載の弁構造体。
【請求項3】
電池容器と前記電池容器に設けられた電池蓋とを備える電池本体と、
前記電池蓋の装着孔にOリングを介して装着された請求項1または請求項2に記載の弁構造体とを具備し、
前記弁構造体は、前記複数の差し込み部が前記装着孔に差し込まれ、前記突起部で前記装着孔に係止されることを特徴とする電池。
【請求項4】
前記装着孔は、前記電池容器の内側へ向かって窪んでいることを特徴とする請求項3に記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−118339(P2010−118339A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237588(P2009−237588)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(390035909)興国インテック株式会社 (18)
【Fターム(参考)】