説明

引き綱の巻き取りおよび巻き戻しのためのデバイス

【課題】ノイズが発生するようなブロッキング手段の位置決めが可能な限り困難になるようにかつ同時に操作の快適性が改善されるように引き綱を巻き取りかつ巻き戻すためのデバイスを改善する。
【解決手段】本発明は、作動要素(37)およびロッキング要素(26)を有する、引き綱ローラー(11)とブロッキング手段(22)を備える、特に動物を誘導するための引き綱を巻き取りかつ巻き戻すためのデバイス(10,36,39)に関し、ローラー(11)は、その巻き戻し動作をブロックするロッキング手段(22)によって作動させることができ、作動要素(37)は作動操作によって作動させることができ、ロッキング要素(26)の動作はローラー(11)の巻き戻し動作をブロックするために作動要素(37)の動作に基づいて起動できる。上記課題の解決のためにデバイス(10,36,39)は、作動動作を、それよりも大きなロッキング要素(26)のロッキング動作へと伝達手段(23)によって伝達可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動要素およびロッキング要素を有する、引き綱ローラーを備え、かつ、ブロッキング手段を備える、特に動物を誘導するための引き綱を巻き取りかつ巻き戻すためのデバイスに関し、引き綱ローラーは、この引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするためのロッキング手段によってブロックすることができ、かつ、作動要素は作動操作によって作動させることができ、かつ、ロッキング要素のロッキング動作は、引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするために作動要素の作動動作に基づいて引き起こすことが可能である。
【背景技術】
【0002】
そうしたデバイスは引用文献1から公知である。ブロッキング手段の作動要素はブレーキボタンとして設計されるが、これは、ブレーキボタンを押し下げることによって人による操作の間、巻き戻し動作をブロックするための作動ポジションへと動かすことができる。作動要素の操作に基づいて、ロッキング要素は、巻き戻し動作をブロックするための作動ポジションへと、さらに動かされる。ロッキング要素は、引き綱ローラーの周面に沿った複数の突起の一つと、作動ポジションにおいて接触状態となることができ、この結果、巻き戻し動作が生じるのが抑えられる。突起は第1のフランクを有し、それとロッキング要素は接触状態となる。この第1のフランクは、引き綱ローラーの外周面に対して、直角ないし開き鋭角にて配置されている。
【0003】
この欠点は、作動要素を作動させるために、かつ/または、引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするためのロッキング要素のための作動ポジションに達するために、デバイスを操作する人の一部において、大きな操作動作が必要であることである。この結果、反復活用の場合に、特に作動要素を作動させるのに使用される親指および/または他の指が疲労するリスクがある。
【0004】
さらに、ロッキング要素が、突起の方向に十分にそれが押し下げられないかあるいは下方に回動させられないポジションにおいて、そして巻き戻し動作の方向に引き綱へ引っ張り力が作用する場合に、突起の上でスライドするリスクが存在する。この場合、望ましくない騒がしいノイズ、特にガタガタ音および急速な磨耗が生じる。作動要素のために必要な大きな作動動作に起因して、作動要素の非作動ポジションと、作動要素の完全作動、特に押圧されたポジションとの間に、騒がしいノイズの発生の影響を受け易い大きな領域が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許発明第200 19 939号明細書(DE 200 19 939 U1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底にある目的は、したがって、騒がしいノイズが発生するようなブロッキング手段の位置決めが可能な限り困難になるように、かつ、同時に操作の快適性が改善されるように、冒頭に述べたタイプのデバイスを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の根底にある目的を達成するために、冒頭に述べたタイプのデバイスは、作動動作を、この作動動作よりも大きなロッキング要素のロッキング動作へと、伝達手段によって変換可能であることを特徴とする。
【0008】
伝達手段に基づいて、より僅かなかつ/またはより小さな作動動作が、ブロッキング手段を作動させるために、かつ、ロッキング要素によって引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするために必要であることが、ここでは有利である。特に、作動要素の作動セクションおよび/または作動ストロークは著しく低減できる。この結果、人にとってのデバイスの操作快適性が改善される。人の早期の疲労は、ブロッキング手段の、あるいは作動要素の反復操作の間、回避することができる。
【0009】
さらに、伝達手段によって、作動動作が、引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするために十分に大きなロッキング要素のロッキング要素動作へと、変換、特に伝達することが可能であることが保証できる。特に、ロッキング要素によって引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするための十分なロッキング動作をもたらすために、短い作動セクションおよび/または短いストロークは作動要素を作動させるために十分である。ロッキング動作に比べて小さな作動動作は、伝達手段によって作動動作に比べて大きなロッキング動作へと変換、特に伝達することができる。伝達手段は、好ましくは、伝動手段として設計される。
【0010】
本発明は、特に、動物を誘導するための、特に犬および/または猫のための引き綱を巻き取りかつ巻き戻すためのデバイスに関する。引き綱、特にロープ、コードおよび/またはベルトは、ブロッキング手段の休止ポジションにおいて、引き込み要素、好ましくはスプリングの力に抗して巻き戻すことができる。引き綱ローラーの巻き戻し動作の方向に関して引き綱に引っ張り力が作用していない場合、引き綱は引き込み要素の力に基づいて引き綱ローラーの上に自動的に巻き上げられる。ブロッキング要素は、作動要素を用いて人が操作することができる。作動要素は、特にブレーキボタンとして設計される。作動要素は、変位可能なかつ/または回動可能な作動要素として設計できる。巻き戻し動作のブロックはロッキング要素によって実現できる。巻き上げ動作は、巻き戻し動作をブロックするとき、少なくとも広範囲に、同時にブロックできる。代替例として、巻き上げ動作は、巻き戻し動作のブロックの間、可能であり続けることができる。
【0011】
伝達手段は、好ましくは、機械的、電気的、空気圧および/または液圧式伝動機構、特にレバー機構を有する。したがって、小さな作動動作、特に機械的にもたらされるものは、より大きなロッキング動作へと変換かつ/または伝達することができる。電気式伝動機構の場合、この電気式伝動機構は、作動要素の、特にスイッチおよび/またはボタンの作動動作に基づいて作動させることができる。ロッキング要素のロッキング動作は、ここでは、電気式伝動機構によって引き起こすことができる。
【0012】
特に、1.25:1ないし10:1の範囲の、特に、1.5:1ないし5:1の範囲の伝達比が、ロッキング動作と作動動作との間に存在する。特に好ましくは、2:1の伝達比が実現される。騒がしいノイズの発生のリスクは、そうした伝達比の場合には、少なくとも50%だけ低減できる。したがって、伝達手段を、それに比べて小さな作動動作を大きなロッキング動作へと伝達する伝達機構として使用することができる。レバー機構が、好適な伝達機構を利用するために特に好適である。
【0013】
ロッキング要素は、作動要素に関して回動可能であってもよい。作動要素の作動動作は、したがって、ロッキング要素の回動動作へと変換できる。ロッキング要素は、作動要素に対して、ここでは、回動可能に連結されてもよい。作動動作は、ロッキング動作へと、これによって直接、変換しかつ/または伝達することができる。
【0014】
別な実施形態によれば、少なくとも一つの突起は引き綱ローラーと関連付けられ、かつ、突起の第1のフランクは、引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするために作動ポジションにおいてロッキング要素と協働する。突起の第1のフランクは、好ましくは、引き綱ローラーの外周面に関して鈍角を伴って配置される。ここでは、突起の第1のフランクと、引き綱ローラーの外周面および/または第1のフランクと外周面との交点における外周面に対する接線との間の開き鈍角に基づいて、騒がしいノイズが発生するようなロッキング要素の位置調整は困難なものとなることが有利である。さらに、簡素化されかつ快適な操作を可能にする構成が可能となる。さらに、突起の全高を低減することができ、この結果、必要な作動動作、動作セクションおよび/または作動要素のストロークを、特に20%だけ低減できる。
【0015】
開き鈍角は、好ましくは、100°ないし150°、特に110°ないし140°である。この開き鈍角は、特に好ましくは120°に等しい。構造の機能的かつコンパクトなモードは、こうして可能となる。特に、複数の突起が設けられる。巻き戻し動作は、これによって、ブロッキング手段の作動の後、最小限まで低減することができる。複数の突起が、好ましくは、引き綱ローラーの外周面上に均一に割り当てられる。外周面は、少なくとも一つの別な突起の第2のフランクとして設計されてもよい。開き鈍角は、こうして、第1の突起の第2のフランクと第2の突起の第1のフランクとの間に形成され、第1の突起は、巻き戻し動作の方向に関して、第2の突起の前方に配置される。
【0016】
別な実施形態によれば、ロッキング要素は、特に第1のフランクに対応する停止面として構成された停止面として構成される。巻き戻し動作の方向における引き綱ローラーの確実なブロックは、この停止面によって達成できる。停止面は、好ましくは、引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするための作動ポジションにおいて、少なくとも部分的に、特に全面的に、第1のフランクと接触状態である。確実なサポートが、このようにして、作動ポジションにおいて実現できる。さらに、特に安定した構造が、停止面および/または第1のフランクに作用する力の平面的サポートに基づいて具現化できる。
【0017】
特に、停止面は、そのピボット軸を中心として、接線方向にかつ/または少なくとも部分円状様式で回動可能である。これは、操作が簡単かつ/または快適な構造を可能とする。停止面は、好ましくは、特に、引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするための作動ポジションに達するために、第1のフランクに面するポジションへと回動可能である。騒がしいノイズを発生させるポジションにロッキング要素を置くことは、著しく困難になる。
【0018】
伝達手段はレバーとして設計されてもよい。作動要素の作動動作とロッキング要素のロッキング動作との間の好適な伝達比を備えた構成は、これによって、特に簡単な様式で具現化できる。レバーは、好ましくは、引き綱ローラーの回転軸線と平行に配置されたピボット軸を中心として回動可能である。
【0019】
別な実施形態によれば、レバーは、10°ないし60°、好ましくは20°ないし50°のロッキング角度を伴って、巻き戻し動作をブロックするための作動ポジションに配置される。このロッキング角度は特に好ましくは30°である。騒がしいノイズの発生のリスクは、そうしたロッキング角度の場合には50%まで低減できる。このロッキング角度は、レバーの長手方向、特に、回動軸の中心、ならびにレバーのおよび/または突起のエッジの半径の中心を通るラインと、引き綱ローラーの外周円に対する接線との間に形成され、接線と外周円との間の接点は、突起のエッジの領域に存在する。レバーのエッジは、特に作動ポジションに到達するための回動ポジションにおいて突起および/または外周面に面する。
【0020】
第1のフランクおよび/または停止面は、部分円状面、特に互いに対応するものとして構成されてもよい。停止面がピボット軸を中心として回動可能であるならば、停止面の第1の面との平面的な接触は、これによって可能となる。部分円状面の半径は、好ましくは、伝達手段のピボット軸と第1のフランクおよび/または停止面との間の距離に基づいて得られる。
【0021】
変形例によれば、ロッキング機構(これは人によって操作可能である)が、引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするためのポジションにおいて、作動要素をロッキングおよび/または保持するために設けられる。作動要素は、ロッキング機構によって、引き綱ローラーの巻き戻し動作をブロックするための角ポジションにおいてロックできる。したがって、作動要素との噛み合いが存在するポジションにおいて、作動要素は、引き綱ローラーをリリースするための休止ポジションへと作動ポジションから、もはや動くことはできない。この結果、ロッキング要素はまた、巻き戻し動作をブロックするためのその作動ポジションに留まる。人による作動要素の連続操作は、これによって回避でき、この結果、操作快適性はさらに改善される。ロッキング機構は、変位可能なかつ/または回動可能なレバーとして設計されてもよい。レバーは、好ましくは、指および/または親指で操作できる。
【0022】
変形例によれば、巻き上げ動作をブロックするための第1のブロッキング要素が設けられる。巻き上げは、それゆえ、特に、引き込み要素によって自動的に引き綱を巻き上げる引き綱ローラーの場合に、ブロッキング要素によって防止できる。特に、ロッキング要素との協働動作のための第1のブロッキング要素が設けられる。第1のブロッキング要素は、それゆえ、ロッキング要素と協働で、かつ/またはそれと同時に作動させることができる。巻き戻し動作をブロックするためのロッキング要素の作動ポジションにおいて、第1のブロッキング要素の作動ポジションは、特に交互にあるいは同時に、巻き上げ動作をブロックするために達成することができる。特に、引き綱ローラーの巻き上げ動作および巻き戻し動作の両方は、少なくとも、かなりの程度抑えることができる。第2のフランクおよび/または第2のブロッキング要素は、好ましくは、巻き上げ動作をブロックするための作動ポジションにおいて第1のブロッキング要素と協働するよう設計される。特に、一方では、第1のブロッキング要素、および他方では、第2のフランクおよび/または第2のブロッキング要素、好ましくは引き綱ローラーと関連付けられたものは、それらが互いに対応するように設計される。
【0023】
変形例によれば、引き綱ローラーをブロックするための作動ポジションから、巻き戻し動作のために引き綱ローラーをリリースするための休止ポジションへと復帰させるためのリセット要素が、ロッキング要素と、かつ/または、伝達手段と関連付けられる。引き綱および/または引き綱ローラーの確実なリリースは、このようにして実現できる。ブロッキング手段のあるいは作動手段の操作がない状態での巻き戻し動作の望ましくないブロッキングが回避される。さらに、製造公差はリセット要素によって補償できるが、この結果、特に、無クリアランス動作が保証される。リセット要素は、好ましくは、スプリングとして構成される。
【0024】
別な実施形態によれば、ブロッキング手段、特にロッキング要素および/または伝達手段は、最大の巻き出し可能な引き綱長とは異なる、より短い部分的引き綱長を設定するために、制限手段と協働する。巻き戻し可能な引き綱長は、したがって、最大の巻き出し可能な引き綱長と、それは異なる、より短い部分的引き綱長との間で、この制限手段によって選択可能である。引き綱ローラーの引き出し動作は、好ましくは、巻き戻し動作の方向への回転軸を中心とする引き綱ローラーの予め設定された数の回転の後、制限手段が作動させられたときにブロックできる。特に、ロッキング要素は巻き戻し動作をブロックするために使用される。
【0025】
以下、本発明について、図面を参照して、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に基づく第1のデバイスの概略側面図である。
【図2】図1に基づく本発明に基づく第1のデバイスの細部を示す図である。
【図3】本発明に基づく第2のデバイスの部分的破断斜視図図である。
【図4】本発明に基づく別なデバイスの部分的破断斜視図図である。
【図5】付加的なリセット要素を備えた図4に基づく本発明に基づく別なデバイスの細部の破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明に基づく、第1のデバイス10の概略側面図である。デバイス10は引き綱ローラー11を有する。引き綱ローラー11は複数の突起12を有するが、分かりやすくするために、全ての突起12に参照数字を付しているわけではない。
【0028】
さらに、引き綱ローラー11が、回転軸13を中心として回転可能に設けられている。突起12は、引き綱ローラー11の周面の領域に、回転軸13に面して外側に向かって半径方向に配置されている。外周円17(これは、ここでは一点鎖線で示されており、かつ、回転軸13を中心として同心状に広がっており、かつ、その半径は、回転軸13と突起12のエッジ14との間の最大距離によって決定される)は、引き綱ローラー11と関連付けられる。突起12は、それぞれの第1のフランク15およびそれぞれの第2のフランク16を有する。第1のフランク15および第2のフランク16は突起12のエッジ14において、それぞれ収束し、エッジ14は外周円17上に配置される。
【0029】
引き綱(ここには図示していない)は、引き綱ローラー11および回転軸13によって、引き綱ローラー11から巻き戻すことが、そして引き綱ローラー11上に巻き取ることができる。引き綱を繰り出す、すなわち巻き戻すために、引き綱ローラー11は矢印18の方向に回転させることができる。引き綱を巻き上げるすなわち巻き取るために、引き綱ローラー11は矢印19の方向に回転させることができる。突起12のエッジ14から始まって、個々の対応する第1のフランク15が矢印18に基づく巻き戻し動作の方向に配置され、一方、個々の対応する第2のフランク16が、エッジ14から始まる矢印19に基づく巻き取り動作の方向に配置されている。
【0030】
第2のフランク16は周面20として構成されている。ここに示す代表的実施形態では、第2のフランク16すなわち周面20は、部分円状断面を備えた形状を有するが、これは、第1の突起12から第2の突起12の第1のフランク15へと延在しており、この第1の突起12は、巻き戻し方向18において、第2の突起12の直前に配置されている。
【0031】
第1のフランク15は、この第1のフランク15の巻き戻し方向18において、その前方に配置された周面20に関して、鈍角21をなして配置されている。この鈍角21は、ここに示す代表的実施形態では120°に等しい。
【0032】
さらに、ブロッキング要素22が設けられる。ブロッキング要素22は、伝達手段23および作動要素(ここでは詳しく示していない)を備えるが、ここで、作動要素は、引き綱ローラー11および外周円17の方向の操作動作に基づいて、人によって、矢印22に従って動作させることができる。操作要素の作動動作は、ロッキング要素26のロッキング動作へと伝達手段によって伝達される。これは、ロッキング動作に比べて、より小さな操作動作が、操作動作よりも大きなロッキング動作へと伝達されるように生じる。ここに示す実施例においては、操作動作に対するロッキング動作の伝達比は2:1に等しい。
【0033】
ロッキング要素26は伝達手段23と関連付けられる。ロッキング要素26は、ここに示す代表的実施形態では停止面26として設計されている。
【0034】
伝達手段23は、ピボット軸25を中心として回動可能にあるいは旋回可能に設けられている。ピボット軸25は、回転軸13と平行に配置されている。伝達手段は、ここに示す代表的実施形態では、レバー23として設計されている。ピボット軸25から始まって、レバー23の短い端部は引き綱ローラー11および突起12から離れる方向に面している。ピボット軸25から始まるレバー23の長い端部は、引き綱ローラー11および突起12に面する。レバー23は、長い端部に停止面26を有する。停止面26は、レバー23においてかつそのその長い端部において前方側に配置されている。したがって、停止面26は引き綱ローラー11および突起14の第1のフランク15に面する。
【0035】
停止面26は第1のフランク15に対応する設計を有する。停止面26および第1のフランク15は、互いに対応する面として設計され、かつ、ここに示される実施形態において部分円状断面を有する。半径27(これは、回動軸27と第1のフランク15の停止面26との間の距離として得られる)は、部分円状断面と関連付けられる。ピボット軸25はまた、同時に半径27の中心を形成する。この半径は、ここに示す代表的実施形態では、25mmに等しい。
【0036】
図1によれば、レバー23は作動ポジションにあるが、このポジションでは、矢印18の方向の引き綱ローラー11の巻き戻し動作はブロックされている。というのは、停止面26は第1のフランク15と部分的に接触状態にあるからである。ここに示す図の代替として、停止面26が第1のフランク15と完全な接触状態となるように、そしてレバー23が第1のフランク15と周面20との間に形成される角度21を満たし、かつ/またはレバー23が少なくとも部分的に周面20と接触状態となるように、レバー23はピボット軸25を中心として引き綱ローラー11の方向に回動可能であってもよい。
【0037】
作動ポジション(このポジションでは巻き戻し動作はブロックされる)において、レバー23はロッキング角度28(これは、ここでは30°に等しい)を伴って配置される。この代替として、特に10°ないし60°の範囲の、これとは異なるロッキング角度も考えられる。ライン29と接線30との間のロッキング角度28が、ここで得られる。接線30は、引き綱ローラー11の外周円17と接触状態である。
【0038】
図2は、図1に基づく本発明に基づく第1のデバイスの細部を示している。先に言及したものと同一の要素には同じ参照数字を付しており、したがって先の説明がやはり引用される。
【0039】
ライン29は、ピボット軸25(図1参照)の中心、レバー23のエッジ32の半径の中心31、そしてロッキング要素と協働する突起12のエッジ34の半径の中心33の中心を通って延在する。停止面26のエッジ32は第1のフランク15あるいは周面20と向き合う。接線30が外周円17と接するポイント(これは、ここでは詳しく説明していない)は、突起12のエッジ34の領域にあるが、これは、回転軸13の中心から半径方向に最大限の距離を置いて配されている。
【0040】
レバー23は、巻き戻し動作のブロックを保証するために、停止面26および第1のフランク15が互いに接触状態となる程度まで、引き綱ローラー11の方向に噛み合い深さを伴って回動させられる。突起12およびそのエッジ34上でのレバー23の意図しないスライドならびにこれに起因する騒がしいノイズは、この作動ポジションにおいては回避される。このために必要な最小噛み合い深さは、ここに示す代表的実施形態では、1mmに等しい。
【0041】
図3は、本発明に基づく第2のデバイス36の部分的破断斜視図である。先に説明したものと同一のコンポーネントには同じ参照数字を付している。したがって先の説明がやはり引用される。
【0042】
デバイス36は伝達手段23を備えたブロッキング手段22を有しており、これは、ピボット軸25を中心として回動可能に設けられる。さらに、ブロッキング手段22は作動要素37を有する。作動要素37は、ここに示す代表的実施形態では、直線的に動作可能なブレーキボタン37として設計されている。ブレーキボタン37は、巻き戻し動作をブロックするために、直線的に、かつ、概ね引き綱ローラー11の回転軸13の方向に、人が操作することができる。ブレーキボタン37は伝達手段23と連結される。ブレーキボタン37の作動動作は、これによって、ロッキング要素26の回動動作すなわちロッキング動作へと変換することができる。
【0043】
さらに、ブロッキング手段22はロッキング機構38を有する。ブレーキボタン37は、ロッキング機構38によって、押圧ポジションでロックできる。巻き戻し動作をブロックするためのブレーキボタン37の作動、そして、それに続くロッキング機構38の操作の後、ブレーキボタン37が人によってリリースされたときでさえ、引き綱ローラー11の回転軸13の方向に、それが押圧されたポジションにブレーキボタンは留まる。巻き戻し動作のブロッキングを無効にするために、ロッキング機構38をリリースすることができる。リセット要素に基づいて(ここでは詳しく図示しない)、ブレーキボタン37は、ロッキング機構38をリリースした後、回転軸13あるいは引き綱ローラー11から離れるように直線的に移動させられ、この結果、引き綱ローラー11は、矢印18の方向の巻き戻し動作のためにリリースされる。
【0044】
伝達手段23は第1のブロッキング要素44を有する。第1のブロッキング要素44は、ここでは、ロッキング要素26から離れる方向を向いて伝達手段23の側に配置される。第1のブロッキング手段44は、ここに示す代表的実施形態では、デテントとして設計されている。さらに、第2のブロッキング要素45が引き綱ローラー11における突起12の第2のフランク16と関連付けられている。第2のブロッキング要素45は第1のブロッキング要素44のためのマウントとして設計されている。伝達手段23およびロッキング要素26が巻き戻し動作をブロックするのに適した作動ポジションにある場合、第1のブロッキング要素44はまた巻き上げ動作をブロックするための作動ポジションにある。第1のブロッキング要素44および第2のブロッキング要素45が、巻き上げ動作19の方向への図3に基づくポジションから、引き綱ローラー11の動作の間、巻き上げ動作19の方向における、さらなる動作をブロックするために、互いに噛み合い状態となる。巻き上げ動作19および巻き戻し動作18は、したがって少なくとも広範囲に防止される。
【0045】
図4は、本発明に基づく別なデバイス39の部分的破断斜視図である。先に説明したものと同一のコンポーネントには同じ参照数字を付している。したがって先の説明がやはり引用される。
【0046】
デバイス39は、伝達手段23を備えたブロッキング手段22および作動要素37を有し、この作動要素37は、ここでは、回動可能に搭載されたブレーキボタン37として設計されている。ブレーキボタン37は軸40を中心として回動可能に設けられている。作動動作として作用するブレーキボタン37の回動動作は、ブレーキボタン37の操作の間、ロッキング動作として作用する回動動作へと変換される。ブレーキボタン37は、このために、伝達手段23と係合させられる。ロッキング要素26は、伝達手段23と関連付けられる。回動軸13の方向へのブレーキボタン37の操作に基づいて、引き綱ローラー11の巻き戻し動作のブロックは、ロッキング要素26によって達成できる。
【0047】
ここに示す代表的実施形態においては、第1のマウント41はブロッキング手段22と関連付けられ、そして第2のマウント42(その機能は図5から明らかである)は伝達手段23と関連付けられる。
【0048】
図5は、リセット要素43を備えた図4に基づく本発明に基づく別なデバイス39の細部の破断斜視図である。先に説明したものと同一の特徴部には同じ参照数字を付している。したがって先の説明がやはり引用される。
【0049】
リセット要素43が第1のマウント41と第2のマウント42との間に配置される。リセット要素43は、ここに図示する代表的実施形態では、圧縮スプリング43として設計されている。第1のマウント41は、圧縮スプリング43のための固定アバットメントをここでは形成している。圧縮スプリング43の力は、結果として、第2のマウント42に作用し、この結果、伝達手段23(これは第2のマウント42に対して堅固に連結される)は、巻き戻し動作をブロックするための作動ポジションから、巻き戻し動作のために引き綱ローラー11をリリースするための休止ポジションの方向に押しやられる。
【0050】
伝達手段23と係合させられた作動要素37はまた、いまや、伝達手段23によって休止ポジションへと導かれる。転がり動作のリリースは、作動要素37がリリースされたときに、このようにして保証される。さらに、リセット要素43によって予め設定される抵抗は、巻き戻し動作をブロックするための作動要素37の作動の間、打ち負かされるべきである。引き綱ローラー11の巻き戻し動作の意図しないブロッキングのリスクは、このようにして抑止される。さらに、作動クリアランスが、ブロッキング手段22において、かつ、伝達手段23と作動要素37との間で低減される。
【符号の説明】
【0051】
10 デバイス
11 引き綱ローラー
12 突起
13 回転軸
14 エッジ
15 第1のフランク
16 第2のフランク
17 外周円
18 矢印
19 矢印
20 周面
21 鈍角
22 ブロッキング手段
23 伝達手段
24 矢印
25 回動軸
26 ロッキング要素
27 半径
28 ロッキング角
29 ライン
30 接線
31 中心
32 エッジ
33 中心
34 エッジ
35 噛み合い深さ
36 デバイス
37 作動要素
38 ロッキング機構
39 デバイス
40 軸
41 第1のマウント
42 第2のマウント
43 リセット手段
44 第1のブロッキング要素
45 第2のブロッキング要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動要素(37)およびロッキング要素(26)を有する、引き綱ローラー(11)を備え、かつ、ブロッキング手段(22)を備える、特に動物を誘導するための引き綱を巻き取りかつ巻き戻すためのデバイスであって、前記引き綱ローラー(11)は、この引き綱ローラー(11)の巻き戻し動作をブロックするためのブロッキング手段(22)によってブロックすることができ、かつ、前記作動要素(37)は作動動作によって作動させることができ、かつ、前記ロッキング要素(26)のロッキング動作は、前記引き綱ローラー(11)の巻き戻し動作をブロックするための前記作動要素(37)の作動動作に基づいて引き起こすことが可能であり、前記作動動作は、この作動動作よりも大きな前記ロッキング要素(26)のロッキング動作へと、伝達手段(23)によって伝達可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記伝達手段(23)は、機械式、電気式、空気圧式、および/または液圧式伝達機構、特にレバー機構を有し、前記ロッキング動作と前記作動動作との間の伝達比は、好ましくは、1.25:1ないし10:1の範囲に、特に、1.5:1ないし5:1の範囲にあり、特に好ましくは2:1に等しいことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ロッキング要素(26)は、前記作動要素(37)に関して回動可能であり、かつ、特に、前記ロッキング要素(26)は、前記作動要素(37)に対して回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
少なくとも一つの突起(12)は前記引き綱ローラー(11)と関連付けられ、かつ、前記突起(12)の第1のフランク(15)は、前記巻き戻し動作をブロックするために作動ポジションにおいて前記ロッキング要素(26)と協働し、突起(12)の前記第1のフランク(15)は、好ましくは、前記引き綱ローラー(11)の周面(20)に関して鈍角(21)を伴って配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記開き鈍角(21)は100°ないし150°、特に110°ないし140°、特に好ましくは120°であり、かつ、好ましくは、複数の突起(12)が設けられ、かつ/または、前記周面(20)は、少なくとも一つの別な突起(12)の第2のフランク(15)として構成されていることを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ロッキング要素(26)は、特に前記第1のフランク(15)に対応する停止面として構成された停止面として構成されており、かつ、前記停止面は、好ましくは、前記引き綱ローラー(11)の前記巻き戻し動作をブロックするための作動ポジションにおいて、少なくとも部分的に、特に全面的に、前記第1のフランク(15)と接触状態であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記停止面は、ピボット軸(25)を中心として、接線方向にかつ/または少なくとも部分円状様式で回動可能であり、前記停止面は、好ましくは、特に前記巻き戻し動作をブロックするための前記作動ポジションに達するために、前記第1のフランク(15)に面するポジションにおいて回動可能であることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記伝達手段(23)はレバーとして構成されており、前記レバーは、好ましくは、前記引き綱ローラー(11)の回転軸と平行に配置されたピボット軸(25)を中心として回動させることが可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記レバーは、10°ないし60°、好ましくは20°ないし50°、特に好ましくは30°のロッキング角度(28)を伴って、前記巻き戻し動作をブロックするための前記作動ポジションに配置され、前記ロッキング角度(28)は、前記レバーの長手方向、特に、前記回動軸(25)の中心、ならびに前記レバーのおよび/または前記突起(12)のエッジ(14,32,34)の半径の中心(31,33)を通るライン(29)と、前記引き綱ローラー(11)の外周円(17)に対する接線(30)と、の間に形成され、前記接線(30)と前記外周円(17)との間の接点は、突起(12)の前記エッジ(14,34)の領域に存在することを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1のフランク(15)および/または前記停止面は、部分円状面、特に互いに対応するものとして構成されており、前記部分円状面の半径(27)は、好ましくは、前記伝達手段(23)の前記ピボット軸(25)と前記第1のフランク(15)および/または前記停止面との間の距離として得られることを特徴とする請求項4ないし請求項9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
ロッキング機構(38)、特に人によって操作可能なものが、前記引き綱ローラー(11)の前記巻き戻し動作をブロックするためのポジションにおいて、前記作動要素(37)をロッキングおよび/またはロッキングするために設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
巻き上げ動作をブロックするための、特に前記ロッキング要素(28)との協働動作のための第1のブロッキング要素(44)が設けられ、第2のフランク(16)および/または第2のブロッキング要素(45)は、好ましくは、前記巻き上げ動作をブロックするための作動ポジションにおいて前記第1のブロッキング要素(44)と協働することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記引き綱ローラー(11)をブロックするための前記作動ポジションから、巻き戻し動作のために前記引き綱ローラー(11)をリリースするための休止ポジションへと復帰させるためのリセット要素(43)が、前記ロッキング要素(26)と、かつ/または、前記伝達手段(23)と関連付けられ、前記リセット要素(43)は、好ましくは、スプリングとして構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ブロッキング手段(22)、特に前記ロッキング要素(26)および/または前記伝達手段(23)は、最大の引き出し可能な引き綱長とは異なる予め設定された部分的引き綱長を設定するための制限手段と協働することを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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