説明

引上げ式カーテンの昇降用コードのリング

【課題】 カーテン生地をジグザグに折畳んで引上げる為に、引上げ式カーテンの昇降用コードが挿通されるリングの提供。
【解決手段】 リング4は平坦な底面20を有して環状紐6に係合する底片10を有し、そして該底片側には下部空間8と昇降用コード22が収容される上部空間9を設け、下部空間8と上部空間9の間には先端に係止片14を形成した仕切り片13を有し、上部空間9と外部とは先端に隙間19を介在して撓み変形する係止片18を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は引き上げ式カーテンの上下方向に沿って縫着したテープの環状紐に対して着脱可能に係止することが出来、カーテン昇降用コードを順次通すことによって、カーテンがジグザグの折畳み状態で引き上げられるようにする引上げ式カーテンの昇降用コードのリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
引上げ式カーテンは、建物桟に固定するヘッドレールに上端部を固定し、このカーテンの幅方向の複数箇所にテープを上下方向に縫着し、各テープには上下一定の間隔でリングを取付け、そして各テープに取付けたリングにはカーテン昇降用コードをそれぞれ挿通している。上記昇降用コードは下端に接続したコードキャッチを介してカーテン下端のウエイトバーに連結し、昇降用コードを引き下げるとカーテンは下部から上昇し、そして昇降用コードの係止を解くと、カーテンは自重で降下することが出来る。
【0003】
引上げ式カーテンにはテープが縫着され、そして該テープにはリングが取付けられ、昇降用コードを通すことが出来るように円形のリングを用い、これをテープに設けた糸製の環状紐でテープに縫着されている。テープの環状紐にリングが前以て縫着されている場合、テープをカーテン生地に縫着する際に該リングが邪魔になり、テープ縫着作業が行い難いと共に合成樹脂製のリングがミシン針に当ることによってリングが破損する。また、ミシン針が折損する虞もある。
【0004】
そして、引き上げ式カーテンを洗濯する場合、カーテンと昇降用コードを切り離し、カーテンだけを取り外して昇降用コードをヘッドレールに残し、テープとリングが付いた状態でカーテンを洗濯し、洗濯乾燥後にカーテンをヘッドレールに取付けている。しかし、該リングを着脱式としてテープに設けた環状紐に係止して取付けるようにしたカーテンも知られている。
【0005】
特開2007−135903号に係る「カーテン昇降用のリングカン」は、リングカンを着脱可能としており、カーテンの取外しが、コードの端部とコードキャッチの接続を解くことなく行え、カーテンの再取付け時にコードの長さ調整作業が不要になるカーテン昇降用コードのリングカンである。
そこで、カーテン昇降用コードのリングカンが、たくし上げカーテンに縫着したテープの環状紐に対して係止するフック部と、昇降用コードを通すためのコード挿通環で形成され、コード挿通環に昇降用コードの出し入れを可能にするための切れ目を設けている。
【特許文献1】特開2007−135903号に係る「カーテン昇降用のリングカン」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特開2007−135903号に係る「カーテン昇降用のリングカン」は、テープに設けた環状紐に着脱可能としているが、その形状は全体形状が概略円形であり、環状紐に係止して取付けた場合に安定しない。すなわち、フック部に係止した環状紐はリングカンが回転して外れてしまう虞がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であって、テープに形成される環状紐に安定して取付けることが出来る引上げ式カーテンの昇降用コードのリングを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリングは、カーテンに縫い付けたテープの所々に形成している環状紐に係止することが出来、しかも該環状紐から外れない構造と成っている。ところで、引上げ式カーテンとしての形態は限定せず、またカーテンを取付けるヘッドレールの構造、及びカーテンを引上げる為の昇降用コードの形態などは限定しない。
【0008】
本発明のリングは平坦な底面を形成した底片を有し、そして、内部には仕切り片を有して独立した2つの空間を設けている。ただし、リングの外形形状は限定しないことにする。そして、平坦な底面中央には凹溝を有し、また底片の内側には係止片が対を成して形成されている。ところで、底部側空間にはテープに設けた環状紐が嵌ると共に、上記凹溝には環状紐が係合し、両係止片にも環状紐が係止することが出来る。
【0009】
そして、昇降用コードは上部側空間に嵌ることが出来る。ここで、リングの両空間は僅かな隙間を介して繋がり、しかも、上部側空間は外部と僅かな隙間を介して繋がっている。僅かな隙間は環状紐及び昇降用コードを空間に嵌めるに際してリンクが変形することで拡大し、環状紐及び昇降用コードを挿入することが出来るようにしている。
【0010】
一方、リング下部空間の形状を概略扇形、又は概略逆三角形とし、その基部には溝を形成している。そして、リング底面を丸みを有す滑らかな凸状とすることも可能である。勿論、このリングの場合も上部空間を有す、下部空間との間には仕切り片を設けている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るリングはカーテンに縫い付けされて上下方向に延びるテープの環状紐に係止して取付けられ、しかも環状紐から自由に取外すことが出来る。そして、本発明のリングはその形状が円形のリング体でなく、底片の底面はほぼ平坦な面としている為に、環状紐に係止した状態で回転することはなく安定して取付けられる。
【0012】
環状紐は底部側空間を利用して底片に係止している為に、仮にリングが回転しても底部側空間から上部側空間を通過しなくては外れることはなく、両空間を繋ぐ隙間は小さく、また上部側空間と外部をつなぐ隙間も小さい為に、環状紐が隙間を通過してリングが外れるケースは殆どない。しかも、上部側空間を閉じる先端係止片は内側へ屈曲した形状をしている為に、昇降用ロープも外れ難い形状と成っている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】引上げ式カーテンの概略図。
【図2】テープを縫い付けた箇所の縦断面。
【図3】テープの部分拡大図。
【図4】本発明に係るリングを示す実施例。
【図5】本発明に係るリングを示す他の実施例。
【図6】本発明に係るリングを示す別の実施例。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は引上げ式カーテンを示す概略図で、同図の1はカーテン生地、2はトップレール、3はテープ、4はリングをそれぞれ表している。該カーテン生地1は縦・横が所定の寸法を有す長方形を成し、該カーテン生地1の所々には複数本のテープ3,3・・・が上下方向に縫い付けられている。そして、カーテン生地1の上縁はトップレール2に取付けられている。
【0015】
上下方向に延びるテープ3,3・・・には一定間隔で本発明のリング4,4・・・が取付けられており、該リング3,3・・・には昇降用コードが挿通し、昇降用コードの下端はカーテン生地1の下縁に取付けたウエイトバー5に連結している。従って、上記昇降用コードを引上げるとウエイトバー5が上昇し、テープ3,3・・・に縫い付けたリング4,4・・・が互いに重なり、リンク4,4・・・間のカーテン生地1はジグザグに折畳まれて上昇する。
【0016】
図2はカーテン生地1にテープ3が縫い付けられている箇所の縦断面の一部拡大図を示している。該テープ3にはリング4が取付けられているが、該リング4は環状紐6を介して取付けられる。図3はテープ3に縫製した環状紐6を表しているが、該環状紐6はテープ3に紐7を縫着すると共に、その一部をテープ3の表面から盛上げてリング状に縫製している。本発明のリング4はこの環状紐6に係止して取付けられる。
【0017】
図4は本発明に係るリング4を示す実施例である。該リング4はその外形形状が概略長方形を成し、該リング4は下部空間8と上部空間9を有している。ところで、リング4は底片10、両側片11a,11b、上片12、そして側片11cを有している。また、側片11bの先端には仕切り片13を形成し、該仕切り片13の先端には係止片14a,14bを有し、両係止片14a,14bの間には凹部15と成っている。
【0018】
底片10の両側から側片11aと側片11bを立ち上げ、該側片11aの上端から上片12を屈曲して延ばし、上片12の先端から側片11cが底片側へ屈曲して延びている。また、側片11bの先端には仕切り片13が内側へ延び、該仕切り片13によってリング4の内部を下部空間8と上部空間9に仕切っている。そして、仕切り片13の先端に形成した係止片14a,14bの間の凹部15に係合する凸部16が側片11aの内面に形成されている。
【0019】
しかし、係止片14a,14b及び凹部15と側片11a内面との間には僅かな隙間17が介在し、底部空間8と上部空間9は隙間17を介して繋がっている。また、側片11cの先端には係止片18が延び、該係止片18は上記仕切り片13に係合している。ただし、仕切り片13と係止片18の先端間には僅かな隙間19が設けられ、その為に、上部空間9は該隙間19を介して外部と繋がっている。また、底片10の底面20の中央には凹溝21が設けられている。
【0020】
ところで、該リング4をテープ3に設けた環状紐6に取付ける場合、環状紐6は隙間19から上部空間9に入り、そして、隙間17を通過して下部空間8に収容される。環状紐6が隙間19を通過する場合には、仕切り片13及び係止片18は撓み変形して通過し易いように隙間19は拡大することが出来る。同じく、環状紐6が隙間17を通過する場合も、側片11a及び仕切り片13が撓み変形することが出来る。
【0021】
下部空間8に嵌った環状紐6は上部空間9へ移動し難い空間形状としている。すなわち、概略三角形をした下部空間8としているが、係止片14aと側片11aの内面とは大きな段差なく滑らかな平面と成っており、隙間17に環状紐6が侵入し難いようにしている。これに対して、上部空間9から下部空間8へ環状紐6を挿入する際には、側片11aの内面に沿って該環状紐6を移動するならば、係止片14bに当って隙間17を通過し易くなる。
【0022】
一方、昇降用コード22はリング4の上部空間9に収容されるが、隙間19を通過して入ることが出来る。昇降用コード22は環状紐6に比較して太いが、係止片18及び仕切り片13が撓み変形することで該隙間19の大きさは拡大することが出来る。そして、一旦、上部空間9に嵌った昇降用コード22は外れ難い。すなわち、係止片18が外側へ撓み変形しようとするならば、該係止片18は仕切り片13に当って隙間19を拡大することが出来ない。
【0023】
これは、下部空間8に嵌っている環状紐6の場合も同じであり、仮に隙間17を通過して上部空間9へ環状紐6が移動しても隙間19を通過して外れることは出来ない。このように、本発明に係るリング4はテープ3の環状紐6に取付け易く、しかも該環状紐6から外れにくい。
【0024】
図5は本発明に係るリング4を示す他の実施例である。基本的な形態は前記図4のリングと共通しているが、このリング4は底片10の中央に2つの係止片23a,23bが対を成して設けられている。係止片23a,23bは下部空間8へ延び、先端側間隔が狭まるようにハの字状に傾斜している。そこで、下部空間8に入った環状紐6は両係止片23a,23bの間に嵌り、その結果、リング4は移動することなく安定した取付けが成される。
【0025】
図6は本発明に係るリング4を示す更なる別の実施例である。該リング4はその外形形状が概略長方形を成し、前記図4、図5に示したリング4と同じく下部空間8と上部空間9を有している。このリング4は底片24、両側片25a,25b、上片26、そして側片25cを有している。また、側片25bの先端には仕切り片27を形成し、この仕切り片27によって下部空間8と上部空間9とに仕切られている。
【0026】
底片24の底面28は滑らかな凸状曲面を有し、該底片24の両側から上記側片25aと側片25bを立ち上げ、該側片25aの上端から上片26を屈曲して延ばし、そして、上片26の先端から側片25cが底片側へ屈曲して延びている。また、側片25bの先端には上記仕切り片27が内側へ延び、該仕切り片27によってリング4の内部を下部空間8と上部空間9に仕切っている。
【0027】
仕切り片27の先端は側片25aに近接し、側片25aの内面との間には僅かな隙間29が介在し、底部空間8と上部空間9は該隙間29を介して繋がっている。また、側片25cの先端には係止片30が延び、該係止片30は上記仕切り片27に係合している。ただし、仕切り片27と係止片30の先端間には僅かな隙間31が設けられ、その為に、上部空間9は該隙間31を介して外部と繋がっている。
【0028】
ところで、下部空間8は概略扇形を形成し、扇形の下部空間8の基部(下端)には溝32を有し、溝32は扇形下部空間8と繋がっている。そして、該リング4をテープ3に設けた環状紐6に取付ける場合、環状紐6は隙間31から上部空間9に入り、そして、隙間29を通過して下部空間8に収容される。環状紐6が隙間31を通過する場合には、仕切り片27及び係止片30は撓み変形して通過し易いように隙間31は拡大することが出来る。同じく、環状紐6が隙間29を通過する場合は、側片25a及び仕切り片27が撓み変形することが出来る。
【0029】
下部空間8に嵌った環状紐6は上部空間9へ移動し難い空間形状としている。すなわち、該下部空間8はその形状を概略扇形とし、環状紐6は扇形下部空間8の下端に形成される溝32に係合してリング4が取付けられている。その為に、環状紐6は該溝32から外れて上昇し難く、該隙間29を通過して上部空間9へ移動することはない。
【0030】
一方、昇降用コード22はリング4の上部空間9に収容されるが、隙間31を通過して入ることが出来る。昇降用コード22は環状紐6に比較して太いが、係止片30及び仕切り片27が撓み変形することで該隙間31の大きさは拡大することが出来る。その為に、一旦、上部空間9に嵌った昇降用コード22は外れ難い。すなわち、係止片30が外側へ撓み変形しようとするならば、該係止片30は仕切り片27に形成した切欠き部33の底に当って隙間31を拡大することが出来ない。
【0031】
これは、下部空間8に嵌っている環状紐6の場合も同じであり、本発明に係るリング4はテープ3の環状紐6に取付け易く、しかも該環状紐6から外れ難い形状と成っている。図6に示すリング4はその底面28が滑らかな凸状曲面を形成していることで、環状紐6に取付けた該リング4は向きが変わり易く、カーテン昇降動作がスムーズとなる。
【符号の説明】
【0032】
1 カーテン生地
2 トップレール
3 テープ
4 リング
5 ウエイトバー
6 環状紐
7 紐
8 下部空間
9 上部空間
10 底片
11 側片
12 上片
13 仕切り片
14 係止片
15 凹部
16 凸部
17 隙間
18 係止片
19 隙間
20 底面
21 凹溝
22 昇降用コード
23 係止片
24 底片
25 側片
26 上片
27 仕切り片
28 底面
29 隙間
30 係止片
31 隙間
32 溝
33 切欠き部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン生地の複数箇所にテープを上下方向に延ばして縫い付け、該テープに形成した環状紐にリングを取付け、そしてリングには昇降用コードを挿通し、昇降用コードを引くことでカーテンをジグザグに折畳み状態で引き上げることが出来る引上げ式カーテンの上記リングにおいて、該リングはテープに当接して取付けられる平坦な底面を有して環状紐に係合する底片を有し、そして該底片側には下部空間と昇降用コードが収容される上部空間を設け、下部空間と上部空間の間には先端に係止片を形成した仕切り片を有し、上部空間と外部とは先端に隙間を介在して撓み変形する係止片を設けたことを特徴とする引上げ式カーテンの昇降用コードのリング。
【請求項2】
カーテン生地の複数箇所にテープを上下方向に延ばして縫い付け、該テープに形成した環状紐にリングを取付け、そしてリングには昇降用コードを挿通し、昇降用コードを引くことでカーテンをジグザグに折畳み状態で引き上げることが出来る引上げ式カーテンの上記リングにおいて、該リングはテープに当接して取付けられる平坦な底面を有して環状紐に係合する底片を有し、そして底片の両端には側片を立ち上げ、片方の側片先端には垂直に屈曲して他方の側片側へ延びる上片、該上片先端から屈曲して底片側へ別の側片を延ばすと共に該側片先端には係止片を設け、また、底片から立ち上がる他方の側片先端には仕切り片を設けてリング内部を下部空間と上部空間に仕切り、仕切り片の先端には側片内面との間に隙間を介在して係止片を形成したことを特徴とする引上げ式カーテンの昇降用コードのリング。
【請求項3】
上記仕切り片の先端には間の凹部を中心として両係止片を有し、側片内面の凸部を凹部に係合した請求項2記載の引上げ式カーテンの昇降用コードのリング。
【請求項4】
カーテン生地の複数箇所にテープを上下方向に延ばして縫い付け、該テープに形成した環状紐にリングを取付け、そしてリングには昇降用コードを挿通し、昇降用コードを引くことでカーテンをジグザグに折畳み状態で引き上げることが出来る引上げ式カーテンの上記リングにおいて、該リングは概略長方形で、テープに当接する底面を形成して環状紐に係合する底片を有し、そして、環状紐が収容される下部空間と昇降用コードが収容される上部空間を設け、下部空間と上部空間の間には側片との間に僅かな隙間を残して近接する仕切り片を有し、また上部空間と外部とは先端に隙間を介在して撓み変形する係止片を設け、上記下部空間の形状を概略扇形とし、扇形下部空間の下端には溝を連続して形成し、環状紐は該溝に係合することを特徴とする引上げ式カーテンの昇降用コードのリング。
【請求項5】
上記底面を滑らかな凸状曲面とした請求項4記載の引上げ式カーテンの昇降用コードのリング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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