説明

引出しキャビネット

【課題】主引出しと内引出しを連結可能であり、主引出しと内引出しの両方にソフトクローズ機構を備えている引出しキャビネットにおいて、主引出しと内引出しを連結している際の引出し力を軽減する。
【解決手段】主引出し3と内引出し4とを係合させる係合部がそれぞれの引出しに設けられており、主引出し3と内引出し4を連結させて引出すことができるとともに、各インナーレールに対する引込み力とは反力の関係にある各インナーレールにかかる引出し力は、主引出し3及び内引出し4のうち、主引出し3の取手に遠い方のインナーレールを有する引出しを引出すための引出し力が、主引出し3の取手に近い方のインナーレールを有する引出しを引出すための引出し力よりも小さくなるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン等で使用される引出しキャビネットに関し、特に、内引出しを備え、しかも、ソフトクローズ機構等により、主引出し及び内引出しにそれぞれ引込み力が作用する引出しキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のキッチンではデザイン性を重視して、引出しの前面扉割を大型化する傾向や、その一方でキャビネットの収納効率を向上させたいというニーズがあり、内引出しを備えた引出しが増えている。そして、キッチンキャビネットにおいて、使い勝手向上のため、主引出しと内引出しとを連結させて引出せる引出しキャビネットも知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、引出しに小さな力を加えれば、引出しのレールが有する引込み力によって引出しが収納位置に引込まれる、いわゆるソフトクローズ機構を備えたキャビネットも増えている。ソフトクローズ機構を備えたキッチンキャビネットでは、引出しを閉める際の衝撃を吸収するために、キャビネット本体にダンパーを取付けている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−141796号公報
【特許文献2】特開2009−034153号公報
【特許文献3】特開2007−252491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
主引出しと内引出しを連結可能な引出しキャビネットにおいて、主引出しと内引出しの両方にソフトクローズ機構を備えている場合、主引出しと内引出しを連結している際には、それぞれの引込み力の和が引出しを開けようとする引出し力の反力となるため、引出しを開ける際には大きな力が必要になり、ユーザーにとって不便な面があった。
【0006】
本発明は、主引出しと内引出しを連結可能であり、主引出しと内引出しの両方にソフトクローズ機構を備えている引出しキャビネットにおいて、主引出しと内引出しを連結している際に大きな力が必要となるという上記問題を解決することを目的とするものであり、主引出しと内引出しを連結している際の引出し力を軽減することを可能にする引出しキャビネットを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、前面扉と前面扉に取付けられた取手と主引出し本体と主引出し本体の側面に取付けられた主引出し用インナーレールとを備えた主引出しと、内引出し本体と内引出し本体の側面に取付けられた内引出し用インナーレールとを備え主引出しの内部に配置される内引出しと、キャビネットの内側面に取付けられた主引出し用アウターレールと、内引出し用アウターレールと、を備えた引出しキャビネットであって、それぞれの引出しを閉める際にそれぞれの引出しを押すと引出しを閉める方向に各インナーレールに対する引込み力が作用する引出しキャビネットにおいて、主引出しと内引出しとを係合させる係合部がそれぞれの引出しに設けられており、主引出しと内引出しを連結させて引出すことができるとともに、各インナーレールに対する引込み力とは反力の関係にある各インナーレールにかかる引出し力は、主引出し及び内引出しのうち、主引出しの取手に遠い方のインナーレールを備えた引出しを引出すための引出し力が、主引出しの取手に近い方のインナーレールを備えた引出しを引出すための引出し力よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする引出しキャビネットを提供する。
【0008】
前記引出しキャビネットでは、主引出し用アウターレールおよびを内引出し用アウターレールに内蔵されたバネによって、それぞれのインナーレールに対する引込み力が作用するものにおいて、前記主引出しの取手に遠い方のインナーレールを備えた引出し用アウターレールのバネ弾性係数が、主引出しの取手に近い方のインナーレールを備えた引出し用アウターレールのバネ弾性係数より小さく設定されている構成とすることが好ましい。
【0009】
前記引出しキャビネットでは、内引出し用アウターレールに内蔵されたバネによって内引出し用インナーレールに引込み力が作用し、主引出し用アウターレールの後部側に設けた傾斜部によって主引出し用インナーレール引込み力が作用する構成としても良い。
【0010】
前記引出しキャビネットでは、主引出しの前面扉に対し、主引出し用インナーレールよりも内引出し用インナーレールに近い高さ位置又は主引出し用インナーレールに近い高さ位置に引出しキャビネットの取手が取付けられている構成とすることが好ましい。
【0011】
引出しキャビネットでは、主引出しが閉まる 際の衝撃を緩衝するためのダンパーと、内引出しが閉まる際の衝撃を緩衝するためのダンパーが取付けられている構成とすることが好ましい。
【0012】
前記キャビネットでは、主引出しが閉まる際の衝撃を緩衝するためのダンパーがキャビネット本体又は主引出し用アウターレールに取付けられ、内引出しが閉まる際の衝撃を緩衝するためのダンパーが内引出し用アウターレール又はキャビネット本体に取付けられている構成とすることが好ましい。
【0013】
本発明は上記課題を解決するために、前記キャビネットと内引出しを備えていない他の引出しキャビネットとを有するベースキャビネットであって、内引出しを備えた引出しキャビネットの主引出しと内引出しを連結させて引出すための引出し力が、ベースキャビネット内で隣り合う他の引出しキャビネットの引出しを引出すための引出し力と同等となるように設定されていることを特徴とするベースキャビネットを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、主引出しと内引出しを連結可能であり、主引出しと内引出しの両方にソフトクローズ機構を備えている引出しキャビネットにおいて、主引出しと内引出しとで引込み力の異なる特性を有するレールを配することにより、主引出しと内引出しを連結している際でも、引出し力を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る引出しキャビネットの実施例1の斜視図であり、(a)は主引出しと内引出しを連結した状態を示し、(b)は主引出しと内引出しを分離した状態を示す。
【図2】実施例1の断面図であり、主引出しと内引出しを連結した状態を示し、(a)はキャビネット本体内に納まっている状態を示し、(b)は引出した状態を示す。
【図3】(a)は実施例1の断面図であり、主引出しと内引出しを分離した状態を示し、(b)、(c)は外付け用のダンパーの平面図及び正面図を示す。
【図4】実施例1の主引出しと内引出しの連結機構を示し、(a)、(c)は断面図を示し、(b)、(d)は正面図を示す。
【図5】実施例1のダンパー内蔵したソフトクローズ機構を備えた内引出し用アウターレールを説明する図であり、(a)はアウターレールの平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は(a)の要部拡大図であり、(d)は(a)のD−D断面図であり、(e)ダンパー内蔵していないソフトクローズ機構を備えた主引出し用アウターレールの平面図である。
【図6】実施例1のインナーレールを説明する図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図であり、(d)はアウターレールに組み込んだ状態のソフトクローズ機構付きレール装置の側面図であり、(e)はアウターレールに組み込んだ状態を下方から見た図であり、(f)はアウターレールに組み込んだ状態を正面から見た図である。
【図7】実施例1のアウターレールに設けられているロック案内部材を示す図であり、(a)は水平面で破断した状態の平面図であり、(b)は側面図であり、(c)はロック部材の平面図であり、(d)はロック部材の正面図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ図7(a)のA−A、B−B断面図であり、(c)はアウターレール上にインナーレールを取付けた状態を示す断面図(図9(a)のC−C断面図)であり、(e)は(c)の要部拡大図である。
【図9】(a)〜(c)はソフトクローズ機構の作用を説明する図である。
【図10】本発明に係る引出しキャビネットの実施例2を説明する図であり、(a)、(b)は主引出し用アウターレールの側面図、正面図であり、(c)、(d)は主引出し用インナーレールの側面図、正面図であり、(e)、(h)は主引出し用アウターレールに主引出し用インナーレールを組み込んだ状態を示す側面図であり、(f)、(g)は(e)のF−F断面図、G−G断面図である。
【図11】本発明に係る引出しキャビネットの実施例3を説明する図であり、(a)は正面図であり、(b)は内引出しを備えた引出しキャビネットの断面図であり、(c)は内引出しを備えていない引出しキャビネットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る引出しキャビネットを実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【実施例1】
【0017】
(全体構成)
図1〜9において本発明に係る引出しキャビネットの実施例1を説明する。この引出しキャビネット1は、図1に示すように、キャビネット本体2(ベースキャビネット)に対して、主引出し3と内引出し4を引出し可能に備えている。
【0018】
主引出し3は、図1及び図2に示すように、前面扉6と、底板7、左右の側板8及び奥板9から成る主引出し本体10、及び主引出し用インナーレール11とを備え、左右の側板8において、キャビネット本体2の左右の側壁14に、ソフトクローズ機構付きレール装置15を介して、前後方向へ移動可能に取付けられている。この実施例1では、主引出し3の前面扉6の前面上部に取手17が設けられている。
【0019】
内引出し4は、図1及び図2に示すように、主引出し3の内部であって、主引出し3の上部の空間に引出し可能に設けられている。内引出し4は、底板19、左右の側板20、奥板21及び前板22から成る内引出し本体23と、内引出し用インナーレール24とを備え、主引出し3の左右の側板の上方の位置で、内引出し4の左右の側板20において、キャビネット本体2の左右の側壁14にソフトクローズ機構付きレール装置16を介して、前後方向へ移動可能に取付けられている。
【0020】
主引出し3と内引出し4は、図1(b)、図3(a)に示すように、それぞれ独立してキャビネット本体2内を前後方向に移動可能である。また、図2に示すように、主引出し3と内引出し4を互いに連結して、一体で前後方向に移動可能とすることもできる。そのために、主引出しの3の前面扉6と内引出し4の前板22を互いに着脱可能に係合させて連結する連結機構28が設けられている。
【0021】
主引出し3と内引出し4を連結する連結機構28を図4において説明する。この連結機構28は、主引出し3の係合部と、内引出し4にそれぞれ設けられた係合部とから構成される。主引出し3の係合部は、前面扉6の内側に装着されている係止受け具29であり、内引出し4の係合部は、前板22に設けられている係止フック30である。
【0022】
係止受け具29は、前面扉6の内側面に形成された取付け孔31に挿入されて固着されている円形の受け筒32と、円形の受け筒32内に回転可能に嵌着された係止ドラム33を有する。係止ドラム33は、図4(b)、(d)に示すように、主引出し3の後方から見て、上下方向に偏心した長方形の係止孔34が形成されている。この係止孔34の奥方の上縁には切り欠き状の係止部35が形成されている。
【0023】
係止フック30は、内引出し4の前板22の上縁部37に設けられており、可撓性を有し、その先端にフック部38が形成され、基端側に押部39が形成されている。上縁部37には、係止フック30の横幅に対応して切り欠き40が形成されており、上方から指で押部39を下方に押圧すると、係止フック30がこの切り欠き40内に沈み込み、フック部38が下方に撓うように形成されている。
【0024】
主引出し3と内引出し4を連結する際には、図4(a)、(b)に示すように、係止ドラム33の係止孔34が下方に偏心した状態において、内引出し4の前板22を主引出し3の前面扉6の背面に当接しながら係止フック30を挿入すると、フック部38が係止部35に係合して抜け止めされ、主引出し3と内引出し4は連結される。この状態で、フック部38の押部39を下方に押圧すると、フック部38が下方に撓って係止部35から外れ連結が解除される。
【0025】
一方、図4(c)、(d)に示すように、硬貨等を係止孔34に挿入し、係止ドラム33を180°回転し、係止孔34が上方に偏心した状態において、内引出し4の前板22を主引出し3の前面扉6の背面に当接し、係止フック30を挿入しても、フック部38が係止部35に係合することがないので、主引出し3と内引出し4は連結されることはない。
【0026】
(ソフトクローズ機構付きレール装置)
概要:
主引出し3及び内引出し4は、それぞれソフトクローズ機構によって、引出しを閉める際に、引出しがキャビネット本体に閉まる前に、引込み力が作用し、しかも減速されて、使用者が最後まで手で押し込まなくても、引出しは、ゆっくりと後方に移動して閉まるように構成されている。
【0027】
本発明のソフトクローズ機構は、主引出し3及び内引出し4をそれぞれキャビネット本体2内に引込む引込み力を生じる「引き込み機構」と、引出しを後方に押し込む押し込み力及び引込み力によって引出しがキャビネットに衝撃を与えないように緩衝する「ダンパー」とを有する。
【0028】
引き込み機構は、キャビネット本体側に取付けるアウターレールに対して、引出しのインナーレールを後方への引込むための引込み力を生じる機構である。引き込み機構として、引っ張りコイルバネ等のバネの弾力を利用する手段、アウターレールの後部に下方への傾斜部を設ける手段等がある。本実施例1では、主引出し3及び内引出し4は、それぞれ引き込み機構として引っ張りコイルバネ(以下、単に「バネ」という)を利用する構成とした。
【0029】
また、ソフトクローズ機構として、引き込み機構とダンパーを一体的に設けた「ダンパー内蔵のソフトクローズ機構」と、引き込み機構とダンパーを一体的に設けることなく、引き込み機構に対してダンパーは外付けした「ダンパー外付けのソフトクローズ機構」とがある。
【0030】
主引出し3と内引出し4それぞれについて、ダンパー内蔵のソフトクローズ機構付きレール装置を採用するか、又はダンパー外付けのソフトクローズ機構付きレール装置を採用するかは、設計上の問題であり、いずれでも良い。
【0031】
本実施例1では、内引出し4には、ダンパー内蔵のソフトクローズ機構付きレール装置16を採用した。そして、主引出し3には、ダンパー外付けのソフトクローズ機構付きレール装置15を採用し、図3(b)、(c)に示すような外付けのダンパー43を、図1に示すように、キャビネット本体2に取付ける構成とした。
【0032】
内引出し4をキャビネット本体2に対して移動可能とするために設けられているダンパー内蔵のソフトクローズ機構付きレール装置16について、以下説明する。なお、主引出し3をキャビネット本体2に対して移動可能とするために設けられているソフトクローズ機構付きレール装置15は、ダンパーは外付けであるが、引き込み機構については全く同様の構成である。
【0033】
全体構成:
まず、ソフトクローズ機構付きレール装置16の全体的な構成について説明する。ソフトクローズ機構付きレール装置16は、キャビネット本体2の側壁14の内面に固定される内引出し用アウターレール45と、内引出し4の側板20に固定され、アウターレール45で案内され前後方向に移動する内引出し用インナーレール24とを備えている。
【0034】
アウターレール45は、図5に示すように、長尺状の底部46と、底部46の外縁から上方垂直に起立した外側壁47と、底部46の内縁から上方垂直に起立しさらに外側に水平に曲げて形成された支持レール部48とを備えている。外側壁47がキャビネット本体2の側壁14の内面にねじ等で固定されることで、アウターレール45は、キャビネット本体2に取付けられる。
【0035】
インナーレール24は、図6に示すように、長尺状の頂壁52と、頂壁52の外縁から下方垂直に曲げられた外側壁53と、外側壁53の下縁から内側に水平に曲げて形成された底部54と、頂壁52の内縁から下方垂直に曲げられた内側壁55とを備えている。底部54の下面には、後記するロック部材と係合する係合突起56が下方に向けて突設されている。
【0036】
図6に示すように、外側壁53の外面に、取付け壁51が上方に伸びるよう固定されており、取付け壁51が内引出し4の側板20の外面に固定されることで、インナーレール24が内引出し4に取付けられる。
【0037】
インナーレール24が、図6(f)に示すように、アウターレール45の支持レール部48上に転動輪58を介して又は直接載置され、前後方向に移動することで、内引出し4は、引出しキャビネット1に対して前後方向に移動可能となる。
【0038】
ソフトクローズ機構:
次に、ソフトクローズ機構41について、まずその引き込み機構42について説明する。アウターレール45の底部46の長手方向中央部に、図5(a)に示すように、長手方向に伸びるロック案内部材60が設けられている。
【0039】
ロック案内部材60は、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すように、頂壁61と、頂壁61の外縁から下方にアウターレール45の底部46まで垂下した外側壁62と、頂壁61の内縁から下方に垂下した内側壁63と、前端及び側部に設けられた取付け部64とから構成されている。内側壁63とアウターレール45の底部46との間には、図7(b)、図8(a)に示すように、長手方向に沿って隙間66が形成されている。
【0040】
ロック案内部材60の内側壁63の後端部では、図7(b)に示すように、内側壁63はアウターレール45の底部46まで垂下し内方に取付け部64が形成されている。ロック案内部材60の前端部に近い部分は、図7(a)、(b)、図8(b)に示すように、内側壁63形成されておらず、頂壁60とアウターレール45の底部46との間には、隙間66より上下方向に広い開口部65が形成されている。
【0041】
ロック案内部材60で案内するロック部材70は、図7(c)、(d)に示すように、略台形状の平板部71を有する。平板部上に、前方内側には第1案内隆起部72が形成されており、後方方外側には第2案内隆起部73が形成されている。第1案内隆起部72及び第2案内隆起部73の間に、図7(a)、図8(a)、(c)、(d)に示すように、ロック案内部材60の内側壁63が嵌合し、ロック部材70は、ロック案内部材60で案内されてアウターレール45の底部46上を前後方向に移動可能である。
【0042】
平板部71の内側部上において、前方には第1係合隆起部74が形成されており、後方には第2係合隆起部75が形成されている。第1係合隆起部74と第2係合隆起部75は、図7(c)に示すように、平面視で二股状に形成されている。
【0043】
平板部71の外側部上には、バネ79の先端を装着する装着部77が設けられている。バネ79の基端部は、図5(a)、(c)、(e)に示すように、案内部材の底部の後端のバネ装着部81に装着されている。バネ79は、その弾力(付勢力)によって、ロック部材70を介してアウターレール45に対してインナーレール24を後方へ引込む力(「引込み力」という)を生じる。
【0044】
以上がソフトクローズ機構41の特に引き込み機構42の構成であるが、引き込み機構42を設けると、引出しを閉じる際に、バネ79による引込み力で、内引出し4がキャビネット本体2に対して衝突するので、ソフトクローズ機構においては、ダンパーを設ける必要がある。
【0045】
図5(a)〜(c)に示すソフトクローズ機構は、アウターレール45にダンパー82が内蔵(併設)されている。このダンパー82は、油圧シリンダー緩衝器(空圧緩衝器でもよい)が使用されており、その可動ピストン軸83から側方に突出した受け部84にインナーレール24の後端が衝接するように構成されている。
【0046】
作用の項で詳記するが、内引出し4を閉じるために後方に押し込むと、係合突起56が第2係合隆起部75に係合し、ロック部材70が案内部材に沿うようになり、しかもバネ79の弾力(付勢力)によって、アウターレール45に対してインナーレール24を後方へ引込む力(「引込み力」という)を生じる。
【0047】
このように、バネ79の弾力がロック部材70に作用するタイミングと同時に、インナーレール24の後端がダンパー82の受け部84に衝接するように構成されており、これにより、バネ79による弾力でインナーレール24に引込み力を作用させ、かつ緩衝させながら、インナーレール24を後方へ引込むように作用させる。
【0048】
ソフトクローズ機構41は、図5(e)に示すように、アウターレール45にダンパーが内蔵されていないソフトクローズ機構もあり、このようなダンパーが内蔵されていない構成の場合は、別途、図3(b)、(c)に示すような外付けのダンパー43を組み合わせて使用する。
【0049】
ところで、上記課題の項でも説明したとおり、主引出し3と内引出し4を連結可能な引出しキャビネット1において、主引出し3と内引出し4の両方に、それぞれソフトクローズ機構付きレール装置15、16を備えている場合、主引出し3と内引出し4を連結している際には、両者の引込み力の和は、引出しを開けようとする際に必要な前方に引く力(「引出し力」という)の反力となるため、引出しを開ける際には大きな力が必要となる。
【0050】
そこで、本発明では、主引出し3と内引出し4とで、引込み力の異なる特性を有するソフトクローズ機構付きレール装置15、16を配設することにより、主引出し3と内引出し4を連結している際の引出し力を軽減することを可能にする。
【0051】
具体的には、次のとおりの構成とする。使用者が取手17を把持して前方に引くことにより生じる引出し力の作用点の中心は、主引出し3の取手17の近くに位置する。従って、主引出し3の取手17の近くでは、使用者の前方への引きによって強い引出し力が生じるので、主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し用のソフトクローズ機構付きレール装置16としては、引込み力の強い特性を有するソフトクローズ機構付きレール装置を配置する。
【0052】
しかし、取手17から遠くに位置する主引出し用のソフトクローズ機構付きレール装置15には、弱い引出し力しか分配されないので、引込み力の弱いソフトクローズ機構付きレール装置を配置する。
【0053】
要するに、主引出し3の取手17から遠くに位置する主引出し3を単独で引出すための引出し力は、主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4を単独で引出すための引出し力より小さくて済むように、主引出し3及び内引出し4にソフトクローズ機構15、16の特性がそれぞれ設定されている。
【0054】
このような構成とすると、使用者による引出し力が大きく作用する領域で、引込み力の強いソフトクローズ機構付きレール装置16が配設された内引出し4を引出すことができ、使用者による引出し力の小さく作用する領域で、引込み力の弱いソフトクローズ機構付きレール装置15を配設した主引出し3を引出すことができる。
【0055】
その結果、使用者による引出し力を主引出し3と内引出し4に効率的に分配すること可能となり、全体として、主引出し3と内引出し4を連結している際の引出し力を軽減することを可能にする。
【0056】
実施例1においては、主引出し用アウターレール44及び内引出し用アウターレール45にそれぞれ内蔵されたバネ79によって、それぞれのインナーレール11、24に対する引込み力が作用するが、主引出し用アウターレール44のバネの弾性係数が、内引出し用アウターレール45のバネ79の弾性係数より小さく設定されている。
【0057】
(作用)
分離した状態での使用:
以上の構成から成る本発明に係る引出しキャビネット1の実施例1の作用を説明する。主引出し3及び内引出し4は、互いに分離した状態では、図1(b)、図3(a)に示すように、それぞれ独立して移動、開閉して使用する。
【0058】
互いに分離した状態での使用において、内引出し4が閉じた状態(図1(b)参照)から前方に引出すと、図9(a)に示すように、インナーレール24の係合突起56がロック部材70の第1係合隆起部74と係合し、ロック部材70が、その第1案内隆起部72と第2案内隆起部73がロック案内部材60の内側壁63に沿うようにして、前方に移動する。ロック部材70が前方に移動する際に、バネ79をその弾力に抗して伸ばし付勢力を蓄える。
【0059】
このロック部材70の前方への移動過程で使用者が手を離して前方への引出しを停止すると、バネ79により、インナーレール24に後方に戻る引込み力が作用する。しかし、インナーレール24の外側壁53後端がダンパー82の受け部84に衝接して緩衝されるので、内引出し4はゆっくりした速度で後方に戻る。これにより、内引出し4は、後方への引込み力が作用し自動的、後方に戻って閉じるが、衝突音が発生したり、キャビネット本体2の破損等が生じることがない。
【0060】
ロック部材70がさらに前方に引出されて移動し、第1案内隆起部72が内側壁63の開口部65に達すると、図9(b)に示すように、第1案内隆起部72が案内部材の内側壁63から外れて開口部65に入り込み、ロック部材70は、バネ79の弾力によってその外側面76を中心にして反時計方向に回転して、開口部65からロック案内部材60内に一部入りこみ、そこで停止する。
【0061】
同時に、インナーレール24の係合突起56は、第1案内隆起部72との係合から脱してさらに前方に移動する。従って、それ以降は、内引出し4の前方への移動によって、バネ79を付勢することもなく、また、内引出し4はバネ79の引込み力を受けることがない。従って、使用者が手を離しても、内引出し4は、バネ79の引込み力によって、自動的に後方に戻るようなことがない。
【0062】
内引出し4を閉じる場合は、内引出し4を後方に押し込む。すると、図9(c)に示すように、インナーレール24の係合突起56は第2の係合隆起部75に係合し、ロック部材70を時計方向に回転させる。これにより、ロック部材70は、その第1案内隆起部72と第2案内隆起部73が、ロック案内部材60の内側壁63に沿うようになって、前方に移動可能となる。また、同時に、インナーレール24の外側壁53の後端がダンパー82の受け部84に衝接する。
【0063】
この状態では、バネ79により、内引出し4に後方に戻る引込み力が作用するが、ダンパー82によって緩衝されるので、内引出し4はゆっくりした速度で後方に戻る。これにより、内引出し4は、後方への引込み力が作用し自動的、後方に戻って閉じるが、衝突音が発生したり、引出しキャビネット1への破損等が生じることがない。
【0064】
主引出し3を開くための引出し動作及び閉じるための押し込み動作についても、内引出し4と全く同じように、ソフトクローズ機構が作用する。しかし、主引出し用ソフトクローズ機構付きレール装置15では、ダンパーは内蔵されていないので、図1に示すように、キャビネット本体2の側壁14内面に取付けた外付けのダンパー43に前面扉6が衝突して、引出し押し込みにより生じた力及びバネによる引込み力が緩衝される。
【0065】
連結した状態での使用:
主引出し3と内引出し4を連結して使用する場合には、内引出し4の前板22を主引出し3の前面扉6の背面に当接しながら連結機構28の係止フック30を係止孔34に挿入すると、フック部38が係止ドラム33の係止部35に係合し、主引出し3と内引出し4は連結される。
【0066】
主引出し3と内引出し4を連結すると、主引出し3と内引出し4は、共に移動し開閉が可能となる。取手17によって主引出し3を前方に引くと、内引出し4のソフトクローズ機構41のバネ79の引込み力と、主引出し3のソフトクローズ機構のバネの引込み力との和が、引出し力の反力として作用する。
【0067】
しかし、本発明では、取手17から遠くに位置する主引出し3のソフトクローズ機構のバネの弾性係数を、引出し力の作用点である主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4のソフトクローズ機構41のバネ79の弾性係数より小さくなるように、両者のバネを選択し、前者の引込み力を弱く、後者の引込み力を強くしたので、この両者の引込み力の大小に対応して、取手17による引出し力を、主引出し3と内引出し4に効率的に分配すること可能となり、全体として、主引出し3と内引出し4を連結している際の引出し力を軽減できる。
【0068】
なお、主引出し3と内引出し4について、それぞれ引出し力の反力として作用するのは、より正確には、それぞれバネ79の引込み力(弾力)とダンパーの抵抗力である。
【0069】
従って、ダンパーの抵抗力を考慮すれば、引出し力の作用点である主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4のソフトクローズ機構41のバネ79の弾力とダンパーの抵抗力の和は、取手17から遠くに位置する主引出し3のソフトクローズ機構のバネ79の弾力とダンパーの抵抗力の和より大きくする必要がある。
【0070】
しかしながら、ダンパーの抵抗力を考慮しない、或いは主引出し3のダンパーの抵抗力と内引出し4のダンパーの抵抗力を等しいとした場合には、主引出し3のバネ79の弾性係数と内引出し4のバネ79の弾性係数の大小が、引出し力に対する反力に影響する。従って、上記のとおり、引出し力の作用点である主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4のソフトクローズ機構のバネ79の弾性係数を取手17から遠くに位置する主引出し3のソフトクローズ機構のバネ79の弾性係数より大きくすればよい。
【0071】
ところで、本実施例1では、主引出し3の取手17を主引出し3の前面扉6の上部に設けたので、主引出し3の取手17の近くに位置するソフトクローズ機構は、自ずから内引出し用ソフトクローズ機構41となる。しかし、主引出し3の取手17は、必ずしも前面扉6の上部に設けるとは限らず、例えば、極端な例として、主引出し3の取手17が前面扉6の下部に設けられる構成もある。
【0072】
そのように、主引出し3の取手17が前面扉6の下部に設けられている引出しキャビネットの場合は、主引出し3の取手17の近くに位置するのは、主引出し用ソフトクローズ機構となる。従って、このような場合は、主引出し3の取手17の近くに位置するソフトクローズ機構のバネの弾性係数を、内引出し用ソフトクローズ機構のバネの弾性係数より大きく設定すればよい。
【実施例2】
【0073】
本発明に係る引出しキャビネットの実施例2を説明する。この実施例2の引出しキャビネットは、実施例1とほぼ同じである。しかし、相違する点は次のとおりである。引出しに後方に引込み力を与える手段として、実施例1では、主引出し3及び内引出し4について共に、バネの弾力を利用したソフトクローズ機構付きレール装置15、16を採用している。
【0074】
しかし、実施例2では、内引出し4については、実施例1と同様にバネ79を利用したソフトクローズ機構付きレール装置16を採用し、主引出し3については、主引出し用アウターレール90の後部側に設けた傾斜部94によって主引出し用インナーレール91に引込み力が作用する傾斜レール装置92を採用している点で相違する。
【0075】
傾斜レール装置92は、キャビネット本体2の側壁14に取付けられるアウターレール90と、主引出し3の側板8に取付けられるインナーレール91を備えている。アウターレール90は、図10(a)、(b)に示すように、L字型の断面を有し、長手方向前部にローラ93が回転可能に軸支されている。
【0076】
アウターレール90の後部では、途中から後方に向けて低くなるように傾斜部94が形成されている。インナーレール91は、図10(b)、(d)に示すように、Γ字型の断面をしており、長手方向前部にローラ95が回転可能に軸支されている。
【0077】
図10(e)は、インナーレール91をアウターレール90に装着した傾斜レール装置92において、主引出し3を前方に引出した状態を示す。この状態から主引出し3を後方に押し込むと、ローラ95がアウターレール45上を転動し、インナーレール91は後方に移動する。そして、ローラ95が傾斜部94にさしかかると、主引出し3及びインナーレール91は、傾斜部94において、自重により付勢されて落下転動する。これにより、主引出し3に後方への引込む力が作用することとなる。
【0078】
このような傾斜レール装置92による主引出し3の引込み力を緩衝するために、図3(b)、(c)に示すようなダンパー43を、実施例1と同様に、キャビネット本体の側壁14の内面に取付ける。
【0079】
以上のように、実施例2の引出しキャビネットにおいては、主引出し3に引込み力を与える手段として、傾斜レール装置92を採用したが、取手17から遠くに位置する主引出し3を単独で引出すための引出し力は、主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4を単独で引出すための引出し力より小さくなるように、傾斜レール装置92の傾斜部94の傾斜度及び内引出し4のバネ79の弾性係数が適宜設定されている。
【0080】
なお、ダンパーの抵抗力を考慮すれば、引出し力の作用点である主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4のソフトクローズ機構のバネ79の弾力とダンパーの抵抗力の和は、取手17から遠くに位置する主引出し3の傾斜レール装置92を利用した引込み力とダンパーの抵抗力の和より大きく設定する必要がある。
【実施例3】
【0081】
本発明に係る引出しキャビネット1の実施例3を説明する。この実施例3は、図11(a)に示すように、内引出し4を備えた引出しキャビネット1(図1(b)参照)と、内引出し4を備えていない他の引出しキャビネット101(図1(c)参照)が、共通のベースキャビネット100に設けられている構成である。
【0082】
内引出し4を備えた引出しキャビネット1は、実施例1と同じ構成であり、主引出し3及び内引出し4は、それぞれソフトクローズ機構を備えており、主引出し3の取手17から遠くに位置する主引出し3を引出すための引出し力を、主引出し3の取手17の近くに位置する内引出し4を引出すための引出し力より小さくなるように設定されている。
【0083】
そして、内引出し4を備えた引出しキャビネット1の主引出し3と内引出し4を連結させて引出すための引出し力が、ベースキャビネット100内で隣り合う他の引出しキャビネット101の引出しを引出すための引出し力と同等となるように設定されている。
【0084】
具体的には、例えば、内引出し4を備えた引出しキャビネット1の主引出し3と内引出し4のソフトクローズ機構のそれぞれのバネ79の弾性係数を適宜設定するとともに、内引出し4を備えていない他の引出しキャビネット101のソフトクローズ機構のバネの弾性係数も、内引出し4を備えた引出しキャビネット1の主引出し3と内引出し4を連結させて引出すための引出し力と同等となるように設定する。
【0085】
このような構成とすることで、ベースキャビネット100内で互いに隣り合う内引出し4を備えた引出しキャビネット1と、内引出し4を備えていない他の引出しキャビネット101は、引出しを引出すための引出し力が同等となり、使用者に引出し力に差がありすぎて違和感を与えるということがなく、使い勝手が良くなる。
【0086】
以上、本発明に係る引出しキャビネットを実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る引出しキャビネットは上記のような構成であるから、内引出しを備えた引出しキャビネットであれば、キッチン用、事務用、家具様等、いろいろな分野の引出しキャビネットに適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 引出しキャビネット
2 キャビネット本体
3 主引出し
4 内引出し
6 前面扉
7 主引出しの底板
8 主引出しの左右の側板
9 主引出しの奥板
10 主引出し本体
11 主引出し用インナーレール
14 キャビネット本体の左右の側壁
15 主引出し用ソフトクローズ機構付きレール装置
16 内引出し用ソフトクローズ機構付きレール装置
17 取手
19 内引出しの底板
20 内引出しの左右の側板
21 内引出しの奥板
22 内引出しの前板
23 内引出し本体
24 内引出し用インナーレール
28 連結機構
29 連結機構の係止受け具
30 連結機構の係止フック
31 前面扉の取付け孔
32 連結機構の受け筒
33 連結機構の係止ドラム
34 連結機構の係止孔
35 連結機構の係止部
37 内引出しの前板の上縁部
38 連結機構のフック部
39 係止フックの押部
40 前板の上縁部の切り欠き
41 ソフトクローズ機構
42 引き込み機構
43 外付けのダンパー
44 主引出し用アウターレール
45 内引出し用アウターレール
46 内引出し用アウターレールの底部
47 内引出し用アウターレールの外側壁
48 内引出し用アウターレールの支持レール部
51 内引出し用インナーレールの取付け壁
52 インナーレールの頂壁
53 インナーレールの外側壁
54 インナーレールの底部
55 インナーレールの内側壁
56 インナーレールの係合突起
58 インナーレールの転動輪
60 ロック案内部材
61 ロック案内部材の頂壁
62 ロック案内部材の外側壁
63 ロック案内部材の内側壁
64 ロック案内部材の取付け部
65 ロック案内部材の内側壁の開口部
66 ロック案内部材の内側壁の隙間
70 ロック部材
71 ロック部材の平板部
72 ロック部材の第1案内隆起部
73 ロック部材の第2案内隆起部
74 ロック部材の第1係合隆起部
75 ロック部材の第2係合隆起部
76 ロック部材の外側面
77 ロック部材のバネの装着部
79 バネ(引っ張りコイルバネ)
81 アウターレールの底部後端のバネ装着部
82 内蔵されたダンパー
83 ダンパーの可動ピストン軸
84 可動ピストン軸から側方に突出した受け部
90 主引出し用アウターレール
91 主引出し用インナーレール
92 傾斜レール装置
93 主引出し用アウターレールのローラ
94 主引出し用アウターレールの傾斜部
95 主引出し用インナーレールのローラ
100 ベースキャビネット
101 引出しキャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面扉と前面扉に取付けられた取手と主引出し本体と主引出し本体の側面に取付けられた主引出し用インナーレールとを備えた主引出しと、内引出し本体と内引出し本体の側面に取付けられた内引出し用インナーレールとを備え主引出しの内部に配置される内引出しと、キャビネットの内側面に取付けられた主引出し用アウターレールと、内引出し用アウターレールと、を備えた引出しキャビネットであって、それぞれの引出しを閉める際にそれぞれの引出しを押すと引出しを閉める方向に各インナーレールに対する引込み力が作用する引出しキャビネットにおいて、主引出しと内引出しとを係合させる係合部がそれぞれの引出しに設けられており、主引出しと内引出しを連結させて引出すことができるとともに、各インナーレールに対する引込み力とは反力の関係にある各インナーレールにかかる引出し力は、主引出し及び内引出しのうち、主引出しの取手に遠い方のインナーレールを備えた引出しを引出すための引出し力が、主引出しの取手に近い方のインナーレールを備えた引出しを引出すための引出し力よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする引出しキャビネット。
【請求項2】
請求項1に記載の引出しキャビネットであって、主引出し用アウターレールおよびを内引出し用アウターレールに内蔵されたバネによって、それぞれのインナーレールに対する引込み力が作用するものにおいて、前記主引出しの取手に遠い方のインナーレールを備えた引出し用アウターレールのバネ弾性係数が、主引出しの取手に近い方のインナーレールを備えた引出し用アウターレールのバネ弾性係数より小さく設定されていることを特徴とする引出しキャビネット。
【請求項3】
請求項1に記載の引出しキャビネットであって、内引出し用アウターレールに内蔵さ れたバネによって内引出し用インナーレールに引込み力が作用し、主引出し用アウターレールの後部側に設けた傾斜部によって主引出し用インナーレール引込み力が作用することを特徴とする引出しキャビネット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の引出しキャビネットであって、主引出しの前面扉に対し、主引出し用インナーレールよりも内引出し用インナーレールに近い高さ位置又は主引出し用インナーレールに近い高さ位置に引出しキャビネットの取手が取付けられていることを特徴とする引出しキャビネット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の引出しキャビネットであって、主引出しが閉まる 際の衝撃を緩衝するためのダンパーと、内引出しが閉まる際の衝撃を緩衝するためのダンパーが取付けられていることを特徴とする引出しキャビネット。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の引出しキャビネットで、あって、主引出しが閉まる 際の衝撃を緩衝するためのダンパーがキャビネット本体又は主引出し用アウターレールに取付けられ、内引出しが閉まる際の衝撃を緩衝するためのダンパーが内引出し用アウターレール又はキャビネット本体に取付けられていることを特徴とする引出しキャビネット。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の引出しキャビネットと内引出しを備えていない他 の引出しキャビネットとを有するベースキャビネットであって、内引出しを備えた引出しキャビネットの主引出しと内引出しを連結させて引出すための引出し力が、ベースキャビネット内で隣り合う他の引出しキャビネットの引出しを引出すための引出し力と同等となるように設定されていることを特徴とするベースキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−245311(P2012−245311A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121520(P2011−121520)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(511053078)関東産業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】