説明

引出し引込み装置

本発明は家具枠体(2)に対し、引出し(3)、または引出し延出ガイド(4)のレール(6)を閉端位置にまで移動させる引込み装置(9)に関し、引込み装置(9)を家具枠体(2)に水平に取り付ける際に利用される配向線(A)を有したハウジング(9a)を含んでおり、引出し(3)または引出し延出ガイド(4)のレール(6)に対して作用力を作用させるバネ荷重された連行部材(11)が、直線移動通路(12)に沿って少なくとも部分的に可動であるようにハウジング(9a)に取り付けられており、連行部材(11)は、引出し(2)または引出し延出ガイド(4)のレール(6)に着脱式に連結可能であり、連行部材(11)の直線移動通路(12)は、ハウジング(9a)の配向線(A)に対して傾斜して延伸する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具枠体に対して引出しを閉端位置にまで動かすか、引出し延伸ガイドのレールを閉端位置にまで動かす引込み装置に関する。
【0002】
この引込み装置は、引込み装置を家具枠体に水平に取り付けるための配向線を有したハウジングを含む。引出し、または引出し延伸ガイドのレールに作用力を適用するバネ荷重された連行部材が直線(線状)移動通路に沿って少なくとも部分的に可動であるハウジングに取り付けられている。連行部材は引出し、あるいは引出し延出ガイドのレールに着脱式に連結できる。
【0003】
本発明は、さらに、以下において説明する引込み装置によって閉端位置にまで引き入れられる少なくとも1つの引出しを備えた家具にも関する。
【背景技術】
【0004】
引出しを閉位置にまで引き入れる引込み装置は、既に知られている。例えば、本出願人の特許文献1が存在する。自身の引込み装置を有していない引出し延出ガイドの場合には、多くの場合に追加の閉鎖装置を同時に装備することが望まれる。このような場合には、引き入れ機能は、緩衝形態でも行うことができる。閉動作が重力を利用して行われる、いわゆるローラスラストガイドが存在する。これは、後方に降下する傾斜進入部を後端領域に有した枠体レールによって可能になる。
【0005】
引出しが閉じられているとき引出しは、提供された傾斜進入部により閉端位置にまで閉動作の終了に向かって自然に移動する。追加の引込み装置によって引出しを閉位置にまで引き入れる場合には、後方の傾斜進入部の存在は、バネ荷重された連行部材と、連行部材に着脱式に連結可能な連結要素との間で不都合な分離(外れ)または動作不良を引き起こす可能性がある。
【0006】
このような不都合な分離または動作不良を防止するため、実際には追加的に取り付けられる引込み装置のハウジングは、家具枠体に対して少々傾斜した姿勢で取り付けられてきた。
【0007】
さらには、家具枠体の奥行き方向に端部が向かっている連行部材の直線移動通路は、家具枠体の前方に向かう連行部材の移動通路の端部よりも低い位置をとり、引出し延出ガイドの傾斜進入部の特性を補う。
【0008】
家具枠体への引込み装置のこのような傾斜取り付けは、実行が比較的に面倒であり、加えて、取り付け作業員には特殊技能の活用が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0391221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、家具へのこのような引込み装置の取り付けを単純化することである。この引込み装置は、特に傾斜進入部を有した引出し延出ガイドとの関係で使用できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、「請求項1」の特徴により達成される。本発明のさらなる有利な形態は、「従属項」において記載されている。
【0012】
本発明によれば、連行部材の直線移動通路は、ハウジングの配向線に対して傾斜して延びる。
【0013】
この点で、ハウジングの配向線は、ハウジングの側縁で形成可能であり、家具に取り付けられると実質的水平に延伸する。実質的に直交するハウジングの場合には、連行部材の直線移動通路は、ハウジングの長手軸に対して傾斜状態に配置できる。
【0014】
換言すれば、ハウジングまたはその配向線は、家具枠体に対して水平配向性を有して取り付け可能である。この場合には、この目的で提供された穴の配列を利用することが可能である。家具枠体に設けられたこのような配列の穴のおかげで設置作業員は、様々な所定の固定位置を利用することができ、ハウジングは、水平配向性を有して家具枠体に対して問題なく固定できる。この場合には、連行同部材の移動通路は、配向線に対して傾斜して延び、引出し延出ガイドの傾斜進入部の特性を補うことが可能である。
【0015】
本発明の一実施態様では、連行部材は、バネが付勢されている停留位置と、バネの付勢力が少なくとも部分的に開放される端部位置との間の直線移動通路に沿って可動に取り付けられる。端部位置は、家具の引込み装置の取り付け状態における停留位置よりも下方に存在し、ハウジングの配向線は水平に延びる。
【0016】
本発明の可能な1形態では、連行部材の直線移動通路は、ハウジングの配向線に対して2°から8°、好適には2°から4°の間で傾斜している。
【0017】
さらに、連行部材の移動を緩衝する緩衝装置が提供されている。この場合には、シリンダ内で移動可能なピストンを備えた回転式及び/又は直線式緩衝器の使用が非常に適していることは既に証明されている。本発明の一実施態様では、緩衝装置は好適には油圧式ピストン・シリンダ装置を有している。
【0018】
本発明の家具は、本発明の引込み装置を特徴とする。この点で、家具枠体には、家具枠体に取り付けられる枠体レールと、枠体レールに対して移動可能に取り付けられた少なくとも1つの引出しレールとを有した引出し延出ガイドが取り付けられている。枠体レールは、後端領域で引出しを閉端位置にまで自動的に移動させる傾斜進入部を有しており、引込み装置の連行部材の直線移動通路は、枠体レールの傾斜進入部に対して実質的に平行に延伸する。
【0019】
本発明のさらなる詳細と利点を以下の特定の説明を利用して解説する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1a】図1aは、移動可能な引出しを備えたキャビネット形態の家具の斜視図である。
【図1b】図1bは、家具枠体に取り付けられている引出し延出ガイドと、追加的な引込み装置とを備えた家具の斜視図である。
【図2】図2は、家具の側壁(側板)に固定される引出し延出ガイドの分解図と、引き込み装置の斜視図である。
【図3a】図3aは、追加の引込み装置を備え、家具枠体に固定された引出し延出ガイドの枠体レールの側面図である。
【図3b】図3bは、追加の引込み装置を備え、家具枠体に固定された引出し延出ガイドの枠体レールの側面図の一部の拡大詳細図である。
【図4】図4は、引込み装置の分解図である。
【図5】図5は、引込み装置の斜視図である。
【図6a】図6aは、180°移動でき、同じ構造的形態の引込み装置が家具の左右の側部に選択的に取り付け可能となるように固定位置が提供された引込み装置の斜視図である。
【図6b】図6bは、180°移動でき、同じ構造的形態の引込み装置が家具の左右の側部に選択的に取り付け可能となるように固定位置が提供された引込み装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1aは、家具枠体2を備えた家具1の斜視図を示す。引出し3は、引出し延出ガイド4によって枠体2に対して移動可能に取り付けられている。引出し延出ガイド4は、家具枠体2に取り付けられる枠体レール5と、引出し3の側壁をも形成している少なくとも1つの引出しレール6とを有している。枠体レール5は、C形断面でもよく、引出しレール6に対して静止位置に取り付けられたローラ7は、枠体レール5のC形状部に沿って走行する。
【0022】
図1bは、引出し3が取り外された図1aの家具1を示す。それぞれの引出し3には、枠体レール5が家具枠体2のそれぞれの側部に固定される。前端領域に枠体レール5は、静止位置に取り付けられたローラ8を有しており、その上を引出しレール6が走行できる。引出し3を完全閉端位置にまで引き入れるため、それぞれの引込み装置9は、家具枠体2に固定され、引込み装置9は、下記の図に関して詳細に説明されている。引込み装置9は、引出し3を閉移動の終了部に向かって係合状態で送り、引出し3は、引込み装置9のバネの作用によって完全閉位置にまで引き付けられる。
【0023】
図2は、家具枠体2に取り付けられる枠体レール5を図示している。この枠体レール5は、その前端領域にローラ8を有している。その後端領域に枠体レール5は、傾斜進入部10を有する。傾斜進入部10は、家具1の奥行き方向で下方に傾斜して延びる。傾斜進入部10のおかげで引出しレール6(および引出し3)は、重力の作用によって完全閉位置にまで移動できる。閉端位置への引出し3の移動を追加的に支援するため、バネ荷重された連行部材11を有した別体の引込み装置9が存在する。この連行部材11は、引出し3に固定されるか、引出しレール6に固定される連結要素14と係合する。連行部材11(および引出し3)に連結される連結要素14は、バネ作用力によって家具枠体2内に引き入れられる。
【0024】
しかし、枠体レール5の傾斜進入部10によって引出しレール6の後端領域も閉位置において幾分かは下方に移動するため、連行部材11と連結要素14との間で不都合な動作不良または不都合な離脱が発生する可能性がある。引込み装置9のハウジング9aは、連行部材11のための直線移動通路12を有する。直線移動通路12には、直線移動通路12に対して傾斜した部分13が隣接する。この構成によって連行部材11は、停留位置に導かれ、強制ロッキング関係及び/又は少なくとも部分的にポジティブロッキング状態で固定される。連行部材11に連結される連結要素14は、取り付け状態では実質的に水平に延伸する。
【0025】
図3aは、家具枠体2に固定される枠体レール5の側面図であり、その後端領域には、傾斜して下方に降下する傾斜進入部10を有する。引込み装置9のハウジング9aは、家具枠体2に水平配向性を有して取り付けられている。
【0026】
引込み装置9のハウジング9aは、取り付け状態では実質的に水平に延伸する配向線(A)を有する。連行部材11の直線移動通路12は、ハウジング9aの配向線(A)に対して傾斜して延びる。特に家具枠体2の奥行き方向で降下するように構成されている。1つの可能な形態では、連行部材11の直線移動通路12は、枠体レール5の降下する傾斜進入部10に対して実質的に平行に延び、連結要素14(図2)に、引出し3の全移動通路で連行部材11に対して同高間隙を保持させる。
【0027】
図3bは、図3aで特定された領域の拡大図である。枠体レール5の長手方向は、引込み装置9のハウジング9aの配向線(A)に対して平行に延びる。標準的に提供されている穴配列によってハウジング9aは、問題なく家具枠体2に固定できる。
【0028】
図4は、隣接する直交部13を備えた直線移動通路12が形成されているハウジング9aを備えた引込み装置9の分解図を示す。連行部材11は、バネ15の作用力によって後端位置に引き込み可能である。この引込み動作を緩衝するためにピストン18・シリンダ17装置の形態の緩衝装置16が存在する。これによって引出し3の最後の閉動作は、緩衝される。
【0029】
ピストン18は、連結部11aによって連行部材11に、特に旋回式に接続される。ハウジング9aを固定するために左右の固定部19aと19bが存在する。
【0030】
これら2つの固定部19aと19bは、180°の回転によりハウジング9aのガイド20押し付け可能である。固定部19aと19bのそれぞれの位置によって、同一構造設計である固定部19aと19bは、家具枠体2の左右側部に選択的に固定が可能であり、固定部19aと19bの平坦側部は、家具枠体2に対して平坦状態に固定される。
【0031】
図5は、連行部材11を予め付勢されている状態で停留位置に備えた引込み装置9の斜視図である。
【0032】
図6aと図6bは、それぞれ引込み装置9のハウジング9aを図示する。図6aは、家具枠体2の右側に取り付けられるようにアレンジされた固定部19aと19bを図示する。一方、図6bは、家具枠体2の左側に取り付けられるようにアレンジされた固定部19aと19bを図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具枠体に対し、引出し、または引出し延出ガイドのレールを閉端位置にまで移動させる引込み装置であって、本引込み装置を家具枠体に水平に取り付ける際に利用される配向線を有したハウジングとを含んでおり、前記引出し、または前記引出し延出ガイドの前記レールに対して作用力を作用させるバネ荷重された連行部材が、直線移動通路に沿って少なくとも部分的に可動であるように前記ハウジングに取り付けられており、前記連行部材は、前記引出し、または前記引出し延出ガイドの前記レールに着脱式に連結可能であり、前記連行部材(11)の前記直線移動通路(12)は、前記ハウジング(9a)の前記配向線(A)に対して傾斜して延伸することを特徴とする引込み装置(9)。
【請求項2】
前記連行部材(11)は、バネ(15)が付勢状態である停留位置と、該バネ(15)が少なくとも部分的に緩められた端位置との間で前記直線移動通路(12)に沿って可動に取り付けられており、前記端位置は、本引込み装置(9)が家具(1)に取り付けられた状態では前記停留位置よりも下方に存在することを特徴とする請求項1記載の引込み装置。
【請求項3】
前記連行部材(11)の前記直線移動通路(12)は、前記ハウジング(9a)の前記配向線(A)に対して、2°から8°、好適には2°から4°傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の引込み装置。
【請求項4】
前記連行部材(11)を緩衝する緩衝装置(16)をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の引込み装置。
【請求項5】
前記緩衝装置(16)は、好適には油圧式であるピストン(18)・シリンダ(17)装置を有していることを特徴とする請求項4記載の引込み装置。
【請求項6】
本引込み装置(9)は少なくとも1つの固定部(19a、19b)によって家具(1)に取り付けられるものであり、該固定部(19a、19b)は180°移動できるように本引込み装置(9)に取り付けられることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の引込み装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の引込み装置を含んだ家具。
【請求項8】
家具枠体(2)には引出し延出ガイド(4)が取り付けられており、該引出し延出ガイド(4)は、前記家具枠体(2)に固定される枠体レール(5)と、該枠体レール(5)に対して移動可能に取り付けられた少なくとも1つの引出しレール(6)とを有しており、前記枠体レール(5)は、引出し(3)を閉端位置にまで自動的に移動させる傾斜進入部(10)を有しており、引込み装置(9)の連行部材(11)の直線移動通路(19)は前記枠体レール(5)の前記傾斜進入部(10)に対して実質的に平行に延伸することを特徴とする請求項7記載の家具。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2013−517014(P2013−517014A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548302(P2012−548302)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/AT2010/000461
【国際公開番号】WO2011/088481
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(597140501)ユリウス ブルム ゲー エム ベー ハー (122)
【Fターム(参考)】